サーブ B-17A マリヴォックス 1/72 製作記

2014.6.26初出




完成画像





■ 宮崎メカ

 ベアキャットとスピットが完成し、次の1/72アイテムとしてB-17をスタートさせる。といってもボーイングの四発重爆でなく、サーブの単発爆撃機。脚の整流スパッツが、なんとも宮崎駿メカ。そのままアニメに出てきそう形だね。テュナンといい、サーブ社ってデザインのユーモアセンス抜群だよ。キットはマリヴォックスというメーカーから、わりとまともなインジェクションが出されている。だいぶ前から作りたかったのだけど、お手付きを増やしたくなくって我慢してたのだ。現存実機写真は、いつものこちらあたりでドゾ。Saab B17AのMOREをクリックすれば多数出てくる。


■ キット評

 現存実機と見比べると、キットの基本的外形は概ね正確。良い図面を下敷きにしたのだろう。側面形、胴体断面形とも大変良い。翼平面形は真上からの写真がないが、やや斜めからの写真との比較では良好。翼型データは不明だが、写真の印象では大きな問題はなさそう。ちなみにキットの翼型は本家(?)B-17と同じ対称翼型。

 仮り組みした第一印象で気になるのは、カウリング先端のカーブと、第一風防の形状。この2点を修正すれば、外形的にほぼ満足となる。クリアパーツの薄さ透明度は合格点。小物はこの手のキットの常として甘く、他からの流用や自作となる。一応全てのサブタイプが作れるように、カウリングは3種のパーツがあるが、どれも形がイマイチだな。







■ 製作コンセプト

 外形はキットの素性を活かし、上記2点のみ修正、小物を他から流用してサラッと作るのが王道かな。でも実機写真を眺めていると、「顔」のビミョーな違いが見えてきて、つい直したくなったりして。このあたりは、作りながら考えよう。サブタイプは、ツインワスプ装備のA型にする。フライアブル現存機もこのタイプだ。


■ 重箱の隅

 そのビミョーな違いとは、キャノピの高さが1mmほど低いのだ。このせいで風防正面ガラスの角度が寝ており、またキャノピ後部が胴体につながる部分のカーブがなく直線となっている。ただし修正するとなると、キャノピ全体を絞る必要がある。さらに、実機の風防前方胴体は、グラマン猫姉妹ほどではないが峰が立って両脇が削がれている。これが表現されてない。



風防正面窓の形状(かなりの縦長)、傾斜角度が表情のカギ。鼻筋、カウル先端のカーブにも注意。

キットはこのあたりの印象が違うんだよ。



■ 作業開始

 最初の作業は、胴体下方窓。キットにもクリアパーツがセットされるが、FR.47で使ったDVDケースを大きめに切り取ってはめる。コクピットは後はめ出来ない構造で、胴体接着前に片付ける必要がある。実機は中翼構造の主桁キャリースルーがコクピットを貫き、パイロットは桁の上に座る格好になる。このあたり、キットは1ピースでよく表現している。操縦席の床を拡大。偵察員席はキットの床を切り取りプラバンで床を新設。

 側壁にはリブを追加し、適当なプラ材で機器類を追加。省略とデフォルメ炸裂で考証的には全くでたらめ。偵察員席左右は、実機(レストア)でもスカスカ。計器盤は現存機と計器の配置、数が違う。正解は知らない。操縦席前方の胴体上部は、プラを曲げて鼻筋の盛り上がりを再現。この作業で左右接着面が開くのでプラバンのシムをかませる。内部の塗色は、不明。同社他機から想像して、RAFダークグリーンにセールカラーを半分ほど混ぜて塗る。



0.3mmプラバン細切りでリブを再現。キットのコクピット内部パーツはなかなかよい雰囲気。

ま、「何か作ってあるな」という程度で。枠の多いキャノピ越しに見るからいいのだ。



■ 図面 7/7追加

 今回、図面を作るつもりはなかったのだが、自分専用の模型製作補助に写真をトレースしているうち、つい本気になってしまう。図面に起こすと、写真を眺めているだけでは見過ごす点に気付かされる。当機の場合、基準線の取り方がポイント。単純にプロペラ軸と胴体尾部先端を結んでみても、しっくりこない。いろいろ試して、キャノピ下辺とその下方にあるパネルラインを水平として(両者はたぶん平行)、胴体フレーム、キャノピ縦フレームはそれに垂直として作図すると、写真とのなじみがよい。以下、作図中気付いた点など。

拡大図面

  • 現存レストア実機の極めて条件の良い写真のトレースで、外形正確度はばっちり。
  • 作図のお約束は従来どおり。赤:左舷のみ、緑:右舷のみ、水色:確度の低い線。
  • 注目すべきはスラストラインで、上述基準線から2°下向き。これは、既存資料の図面や塗装図では再現されてない。ところがキットは驚くべきことに表現されている。
  • 主翼翼型は、トレースした印象では本家B-17と同じNACA0018のようだ。ま、偶然の一致だけど。取付角度は約2°。スラストラインと取付角度の差は4°となって、この値はヘルキャットなどよりも大きい。
  • 水平尾翼もNACA0000シリーズとして作図。真偽は不明。
  • パネルライン、リベットラインは、実機クローズアップ写真で読めたものを図示。また、ネットで拾った透視図がかなり正確そうで(写真で読めた部分がちゃんと整合している)、一部の不明点は透視図に従う。それでもなお、後部胴体下方が不明。図では曖昧に表現。
  • このあたりのストリンガーは胴体後部先端に向かって均等に収束するのではなく、側面では収束が弱く、他方下面では収束が強く早く間引かれる。この感じはSB2Cに似ていて、そういえば後部胴体の形も似ている。ラダーを下まで伸ばして、胴体を前後に圧縮するとそのまんまヘルダイバーだ。(だから構造的にも似てるのか?)
  • 防火壁の角度が悩ましい。基軸に垂直なのか、スラストラインに垂直なのか。トレースした写真ではその中間、1°傾いているように見える。
  • 緑色が見えづらいけど、アンテナ線引き込みは右舷。


平面図、正面図は、図面を起こすに足る十分な情報がなく、作図予定なし。あしからず。


■ 胴体接着

 では、作業。



胴体左右を接着。後部胴体上側にもプラバンのシム。

内寸に合わせて削ったケミウッドを介して、ロータリーツールに取り付け、先端を丸く削る。開口部はプラバンを接着して口を狭める。



■ 主翼

 キットは翼端部が少々厚い。翼端の接着面を1mmほど削ってから上下パーツを接着。翼前縁がダルく、尖らせる。とくに20%コード付近は相当削り込む。翼端は米機のように削ぎ上がっている。



途中で折れ曲がっているので、正しい翼型に削るのは結構難しい。余計なモールドは邪魔なので削り飛ばす。

正しい翼型に削れたら、カーボンファイバを通して胴体に瞬着で強固に接着。内翼は上反角ゼロである。


 出来上がってみると、なんか外翼の上反角がおかしい。改めてチェックすると、翼端がキャノピ下辺ラインに位置するのが正。3mm程上がり過ぎだ。キットの胴体の基本形状が良いので、翼もそうだろうと思い込んだのが敗因だな。 胴体にはがっちりくっついているから、外翼のみエッチングソーで切り離し再接着という泥縄。



中には強度と角度を保持するためにプラバンの桁を入れる。

水平尾翼、カウリング上部にエアインテイクを取り付け、士の字となる。


 中翼&緩い上反角は、B-17のそこはかとなく優雅な姿を表現する重要ポイント。これから作ろうという方は(←いるのか?)、パーツ段階で曲げてから上下接着するとよいだろう。胴体取付角度だけで翼端位置を合わせると、逆ガル翼となってこれでは別の優雅(Grace:流星)だ。


■ 風防

 ここまで来たら、キャノピ自作かな。とりあえずケミウッドを削ってイメージチェックしてみる。キットより1mm高くして前面傾斜を強めると、断然イメージが良くなる。ダウンスラストも機首イメージに大きく影響している。



だいぶ実機の雰囲気が出てきたんでないかな。

再掲。



■ スジボリ 7/25追加

 暑さ、その他で停滞中。来週は涼を求めて北の方へ。たいして進んでないが状況報告ってことで。

 では、スジボリ。胴体&主尾翼のパネルラインは現存機写真で概ね明らか。主尾翼もInkscapeで簡単な図面を描く。で、いざ彫ると、キットのプラが意外に硬く、かつ脆いので厄介。モノのベアキャットといい勝負で、あのときの悪夢が甦る。ファスナやリベットがちゃんと打てるか心配だ。 また、キットは全ての動翼が別パーツで、これもまた厄介。結局全部埋めて彫りなおすのだけど、硬さが違ってきれいに彫れない。



スジボリ8割方終了。スジボリの前に、主脚フェアリングの後端を主翼に接着しておく。



■ エンジン 8/11追加

 B-17Aはスェーデンでライセンス生産されたプラット&ホィットニー・ツインワスプR-1830を装備する。F4F-4ワイルドキャットやP-35、P-36、B-24、C-47(DC-3)などにも搭載された傑作エンジンだ。B型は直径の大きいブリストル・マーキュリーXXIV(ポーランド生産)、C型になるとイタリア製ピアジオP.XIと、型式番号が新しくなるたびヘボエンジンになっていくのは何故?

 ウィキなどによると、エンジンの供給に問題があり、当初想定のツインワスプが供給困難で、代わりにブリストル、その供給も難がありピアジオということらしい。したがって就役時期はB→C→Aの順になる。このB→Aの流れは本邦九七艦攻と似ていて、機首のイメージもそっくり。窓枠の多いキャノピや垂直尾翼の形、暗緑単色迷彩と相まって、本機って何となく日本機っぽいよね。

 さて、そのツインワスプ。ハセ・ワイルドキャットの余りがあるハズと、ジャンクboxをさんざん探すも見つからず、クイックブースト製レジンをネット通販。実はこれもあちこち探して、ホビーランドにたどり着く。D-アップパーツ関係が充実している。ちなみに購入は2個セットでお得なC-47ダコタ用。使用機別に別商品となっているが、基本はみな同じなので、何を買っても同じ。大量消費者はB-24用がお得。




キットのカウリングに収まるよう周囲を削る。延ばしランナーのカムロッド。プラグコードの基部は、真鍮帯金を焼き鈍してから曲げる。

塗装して糸はんだのプラグコードを取り付け。コードの取り回しは正しくないので、参考にせぬように。

プロペラ軸は、例により、裏側から径の大きいバイスで迎えにいき、穴あきプラバンで軸の中心出し。

左、自作オイルクーラー。右、キットパーツ。



■ オイルクーラー

 オイルクーラーも自作。キットパーツは小さ過ぎて機首のイメージを損なう。手近なところで、レジンの余りブロックを削る。エンジンカウルを胴体に接着し、オイルクーラーを接着。ここで機首イメージをチェックすると、カウル上側のエアインテイクが高過ぎ。少々削る。主脚フェアリングの一部は、主翼側に付いている。0.5mmプラバンを曲げて接着。地上姿勢では脚カバーの陰でほとんど見えないけど。



オイルクーラーのフラップはプラバン。

側面形状チェック。


 この段階で、外形の基本的パーツが全て取り付いた状態になる。防火壁のスリット、やり残しのパネルラインも彫り、表面確認のため、一旦サフを吹く。



Mr.のサフにガイアの黒サフをブレンド。この位の明度が見やすいかと。粗いペーパーで外形出しをしているため、キズ埋めを兼ねて厚めに。



 改めてサフを吹いてみると、主翼上面のパネルラインが疎らで間延びした感じ。リベットを打とうかな。


■ リベット 8/27追加

 急にグラディエーターに盛り上がったりしつつ、こちらは粛々とリベット作業中。とりあえず、主翼が概ね終了。主翼付け根付近はかなり密にストリンガーが入るが、1/72だと煩雑なので、適宜省略。その他にも図面と異なる部分があるけど、この際気にしないことにする。



セロテープに貼ったハイテク・マスキング・テープ(の同等品)をガイドに打つ。粘着力が落ちるとセロテープのみ貼りかえる。

リベット周囲の「めくれ」は平丸刀で切り取る。こうするとペーパー掛けでも埋まらない。

主翼がほぼ終了。結局サフェーサは全部削り落とされる。




■ 平面図

 リベットに先立ち、主尾翼のリベットラインを図面化してあったところ、その後少しずつ手を加えて胴体を描き加える。ただし、胴体は図面の精度が甘いので、雰囲気として楽しんでもらえれば幸い。

拡大図面

  • 主尾翼上下面のパネルライン、リベットラインは、クローズアップ写真とWEBで拾った構造図を組み合わせて、それなりの精度である。ただし、内翼下面に小アクセスパネルがありそうなものの、詳細不明で図面にしていない。
  • 主翼、尾翼の平面形もやや斜め方向ながら、実機写真をトレースして、まずまず。キットと比較すると、主翼平面形状は良好。ただし、水平尾翼はコードがかなり不足。
  • エレベータのトリムタブは右舷のみ。ピトー管は左舷。エルロンのタブは両舷にある。着陸灯も両舷。
  • 上記以外の主翼は基本的に左右対称。
  • エルロンのコードは上面と下面で異なる。固定部後端の線も上面は一直線、下面は折れ曲がる。キットは上下面とも同コード。
  • 細部は逐次追加予定。



■ キャノピ絞り 9/18追加

 ゆるゆる進行中。

 胴体リベットの前に、キャノピの粗ごなしをしておく。まず、木型の形状チェック。0.5mmプラバンを絞って胴体に合わせてみると、前部がうまく合わない。この機種、胴体との接合ラインが独特で、横から見てL字の角が丸くなった形。この正面垂直ラインが曲者で、風防との調整が難しい。



再掲。微調整前の木型。

プラバンを絞って胴体に乗せると、接合部の断面が合わない。

風防形状を微修正。

再度プラバンで確認する。今度は概ねOK。小さなズレは胴体の盛り削りで強引に合わせる予定。


 木型ができたら、いよいよ本番。接着の便を考えると透明プラバンで絞りたいところ。しかし、腕が落ちたか上手くいかない。で、いつものアクリル。さて、今回は木型表面にワセリンを塗ってみる。これは、さる名人より伝授いただいたワザ。本来はシリコングリスだけどワセリンでも可とのことで、手元にあるリップクリームで代用。



後部キャノピの木型も作る。これもプラバンで形状チェック&修正を繰り返す。

0.5mm透明アクリル板でヒートプレス。ざっと切り出したところ。微調整はこれから。


 ワセリンの効果は、微小な凸凹の発生が抑えられ、絞りっぱなし状態での透明度がやや高い感あり。ただ、いずれ表面をペーパーで削るから関係ないかも。


■ お絵かき 10/31追加

 模型の方は1ヶ月以上の放置。キャノピと胴体の合わせに手こずり、ちょいと息切れ。お気楽エアフィクスに流れてしまう。そのうち必ず再開するので、気長にお待ちいただきたい。その間にお絵かき。

 マーキングは、ネットで拾った記録写真から、第6航空団(訳語はこれでいいのかな?)所属機とする。この写真には他に、機番11、40が写っている。文献-2の同隊所属機には機首に青い爆弾に乗った黒服悪魔(?)の部隊マークが描かれるが、写真の機体は無記入。レストア機に見られる機首のスピナは、かなり後期になって導入された模様で、大戦中はスピナなしが一般的。スウェーデン空軍迷彩色の色調はよく分からず、現存機などを参考にする。



■ キャノピ再び 1/15追加

 二か月半ぶりに更新。停滞の元凶、キャノピと胴体の合わせをやっつける。図面とチェックすると、胴体とキャノピの分割ラインがやや低い。つまり、キャノピ自体の高さが正しいと、キャノピ部での胴体全高が低くなるわけ。そこで、胴体の上縁に0.5mmプラバンを貼り、分割ラインを少々上げる。後方スライドキャノピの幅と胴体幅も合ってなく、胴体がやや広い。そこで当該部の胴体をやや狭める。削って済む程度ではないので、プラ丸棒を左右に通して引っ張り強制的に矯正。

 キャノピの方は、横から見てL字形の風防と胴体の取り合いラインが、まだビミョーに合ってなく、風防木型の左右湾曲部を少々削る。で、再度0.5mmアクリル板をヒートプレス。これで何とか合わせも許容範囲か。ようやく先に進めるぞ。



胴体側も微修正。開口部を狭めた状態で、バイスで穴を開けプラ丸棒を接着して固定。

再度キャノピを絞る。


 引き続き、胴体にリベット中。と、気が付くと、いつの間にか表のカウンタが150万越え。毎度のご訪問に改めて御礼申し上げ、引き続きご支援お願いする次第。


■ 続、キャノピ 1/29追加

 窓枠をスジボリ。日本機のような細かい窓枠をいかにキレイに彫るかが課題。例により縫い針を2本並べた特製ケガキ針を使い、ハイテク・マスキングテープをガイドにする。針だけでは線が浅いので、ある程度彫ったらエッチングソーでさらう。彫り終わって写真と見比べると、風防後端窓枠がやや後退気味。う〜む、気付かなかったことにしよう。



窓枠スジボリ終了。

再掲、キットのキャノピ。苦労の甲斐があるというもの。



■ 胴体リベット

 キャノピが概ねできたところで、胴体側の合わせを微修正し、胴体にリベットを打つ。胴体後半のストリンガーは間隔が狭く、1/72だとかなりツライなあ。作業中に瞬間で接着した胴体下側の接着部が剥がれてくる。補強の接着ベロをつけとくべきだったな。仕方なく内側にプラバンを当て瞬間を流して補修。コクピット内を工作済でボトルシップのような作業となる。



胴体リベット終了。残るはカウリングのファスナ。

胴体下面のリベットラインは不明部分が多く、作品でもこのあたりは推測で。


 着陸灯と、コクピット内部の残作業(シート、アンテナ架台)、動翼リブを終えたら塗装だ。


■ 細部工作 2/26追加

 キャノピを接着するため、コクピットの工作を進める。  



前後のシートは、文献-1の細部写真を見ながらプラバン細工。操縦席の背もたれは防弾板になっている。

キャノピ窓枠位置をミスった関係で、ロールバーの辻褄がいまいち。アンテナ柱はキャノピパーツでなく、このロールバーに接着する。

着陸灯カバーは、割り箸の木型で透明プラバンのヒートプレス。

中のライトはアルミ板を凹ませてポンチでくり抜いたもの。


 後方機銃は手元にいいパーツがなく、オミット。アクリルのキャノピを接着するため、胴体の縁にプラバンの細切りでガイドを接着する。カウルのファスナはたまぐりで○形に打ちたいところだが、F8Fの苦い経験で硬いプラとたまぐりの相性が悪いことが分かっているので、0.3mmドリルで穴掘り。この段階で、一旦サフを吹き、表面をチェックする。ラダーのヒンジラインの工作がいまいち気に入らず、ラダーを切り離して整形する。






■ キャノピ接着

 ようやくキャノピを接着。エポキシ接着剤を使ってみたところ、接着力が弱くてペケ。結局、白化のリスクはあるものの瞬間を使う。少しでもリスクを避けようと、刷毛塗りタイプの硬化剤を胴体側に塗っておき、キャノピを仮固定して隙間に瞬間を流す。そのおかげか白化は発生せず。苦労した胴体との合わせはまずまずで一安心。後部胴体が少々高い。これは分かっていて、予定通りキャノピ接着後に削って合わせる。ただ、プラが薄くなって、ちょっと心配。






■ 塗装考証 3/5追加

 塗装&マーキングは、イラストの第6航空団所属機番34とする。大戦中のスウェーデン空軍塗装色はいまだによく分かっていない。レストア機は上面が米軍オリーブドラブのようだし、下面はRLM78みたいに青味が強いが本当はどうなんだろう? IPMSストックホルムや現役機などの写真から自分なりにイメージすると、上面色は北欧の森という感じで、より暗く彩度が低いかな。下面はあまり青味が強くない。

 インシグニアの黄色は米軍オレンジイエローのような赤味があり、青は意外と明るく鮮やか。そのサイズは、胴体が直径960mm、主翼が1,800mm。フチの幅や王冠の規定は不明でイラストは写真をみて適当に。上の王冠の下辺が円の中央にくるようだ。ということで、以前のイラストを新たな色調イメージに直して再掲する。



■ 塗装

 イメージが固まったところで調色する。ダークグリーンは#17RLM71ダークグリーンと#333エクストラダークシーグレイを半々程度。ブルーグレイは#74エアスペリオリティーブルーと#335ミディアムシーグレイを半々程度。黄色はいつもの自作オレンジイエロー、青はGX5スージーブルーと#74エアスペリオリティーブルーが4:6くらいかな。



まず下面を吹き、マスクして上面。インシグニアは突合せでぬるためマスクしてある。なんか地味〜な色だなあ。

黄フチを塗装。

青を塗装しマスクをはがす。ちと青が明るかったか。まあ半分はカメラのせいで、実物はもうちょい暗い。王冠はこのあと。

下面色はイメージより青味が強かったかも。こちらの画像のインシグニアの青は実物に近い明度。



■ インレタ 3/18追加

 国籍マークを手描きすると、王冠の細い黒縁が問題となる。さらに動翼のリブ表現、レターのマーキングを考えると、新たにインレタを作る価値はあるかな。白い機番は塗装にすれば黒1枚でOK。スペースが余るから、ついでに将来作る「かもしれない」機体のシリアルや動翼リブなども作っておこう。リブやマーキングは図面&イラストのデータを使えば楽勝じゃ。リブは幅0.2mmとしてみる。いつものアドマに発注して\2,376なり。3機分作れば1機800円で別売りデカールと同じだ。

 届いたところで早速貼りつける・・・と、模型が図面と違っていて、インレタがうまく納まらないぞ。まあいいかと、適当に辻褄を合わせて先に進む。



できあがったインレタ。他の機体が何か、分かる人には分かるかな。翼の下にはその他にも(←秘密)。

リブを貼り付ける。このあと上下迷彩色を吹き、国籍マークにかかる部分のみ面相筆でタッチアップ。



■ マーキング

 王冠の黄色、機番の白はカッティング・マシーンでシートを切って塗装。データもあるし、理論上は王冠の黒フチとピッタリ一致するはず。ただし、マシーンの精度がどこまでか、やってみないと分からない部分もある。



再びクラフト・ロボの出番。こういう曲線は、なかなか手では難しく、マシーンが威力を発揮する。

マーキング塗装終了。なお、キャノピのマスキングはまだ残したまま。セロテープの上の塗料だけ剥がれている状態。

位置決めは慎重に。紙をちょっとズラして確認、修正する。胴体は曲面がきつくて、上下2分割。

貼付け終了。シートとインレタの誤差は許容範囲で一安心。


 インレタ終了後、ウェザマス(艦船用セットのグレイとデッキタンの混色)でウォッシング。ガイアのフラットクリアを吹き、ラプロス#6000で軽く磨いて、基本マーキングはほぼ終了。残るはお楽しみウェザリング。クリアの前にウォッシングするのは、リベットが埋まると困るから。



インレタの部隊番号(黒6)も貼り付け、マーキング終了。




■ 脚 4/13追加

 基本塗装が終了し、細部工作に進む。主脚柱はキットパーツで、トルクリンクを延ばしランナーで自作。タイヤもキット。幅がやや広いが、代替品も見つからずそのまま使用。脚出し入れリンクは0.6mmプラロッドで自作。このあたり、実機と少々異なる部分もあるが雰囲気で。本機のチャームポイント脚カバーもキットパーツ。サイズ、形状等問題なし。尾輪はキットパーツを元に基部を自作する。



主脚柱そのものはカバーの陰であまり良く見えないので、ワンポイントのディテールアップ。

主翼に取り付ける。トルクリンクは両脚とも左側になる。つまり脚柱は左右共通部品なのだ。


 ということで、自立。







■ 最後の小物 5/3追加

 脚の次はプロペラ。A型はカウンターウェイトタイプのハミルトン製3D40を装着している。B型も同じカウンターウェイトタイプのハミルトンだが、左回転用(←5/20訂正、情報感謝)。キットパーツはかなりツラい出来で、他からトレードしたいところだが、あいにく手持ちがない。幸いキットのブレードは太めなので削り出し、ハブにディテールを追加してお茶を濁す。塗色は確信がない。当時の写真では表面が無塗装、裏は黒、先端の警戒塗装なし(←危なくないのか?)に見える。スーパーファインシルバーで塗装。

   ピトー管、ループアンテナは真鍮細工。少々オーバースケールだな。アンテナ柱はあらかじめ開けておいた取付架台の穴にエポキシで接着。台の強度が低いから、アンテナ線のテンションを強くかけられない。今回はコクピットを密閉していない。案の定、内側にゴミがつくが、尾脚部から水をいれてシャカシャカするとキレイに取れる。水滴や曇りはエアブラシの空気を吹き込んで取る。



上側の1枚だけ整形(まだ不十分だけど)。下2枚はキットのまま。



■ 完成

 キットパーツを削り出した排気管、航法灯、アンテナ線を取り付けて完成とする。急降下爆撃時にはエアブレーキの役目を果たすといわれる脚カバーが、強烈に個性を発揮して存在感を示してくれる。自作キャノピは、自分の描くイメージどおりの形になってくれて、苦労の甲斐があったかな。いろいろ付け忘れもあるけど許してくだされ。

 最後に、wikiなどから実機の歴史など。B-17の最初の生産型は1940年5月に初飛行。1942年にスウェーデン空軍の6つのウイングに配属されるが、B-17Aはエンジン供給の遅れがあって、配備は43-44年に遅れた。その後1947−1950の間に退役。46機はエチオピアに売却された。また2機のA型がフィンランドに売却された。幸か不幸かWW2ではほとんど活躍せず、戦後はジェット機の台頭により早々と退役。いやあ、なんて地味なんだ。

























■ 参考文献

 資料の援護射撃を頂く。毎度感謝。文献-1は、作例と現存B-17Bのクローズアップ写真30枚。コクピット、爆弾槽、脚など。現存機はオリジナル状態に近そうに見え、コクピットのディテール、塗色など参考度高し。文献-2は、当時の記録写真、塗装図、三面図(ダウンスラスト無視など、外形正確度はいまいちか)、コクピットや脚部などの詳細な細部イラスト(マニュアルから転載と思われる)。これも資料価値高し。どちらもフランス語。古いので入手困難か?

1 Replic No 73 September 1997 DTU
2 Air Magazine No 17 Dec 2003 / Jan 2004 TMA




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