ノースアメリカン B-25 ミッチェル 図面



2015.5.18初出



最終更新日へ




■ はじめに

 タイガーキャットに続いてミッチェル嬢の図面を描く。これもさる方のご厚意で多量のマニュアルをご提供頂いたもの。模型の方も、いつかはアキュレイトの1/48をカタチにしたいけど、いつになるやら。


■ 使用上の注意とお願い 

  • 本サイトの図面は本ページ以外も含め、商用、私用にかかわらず、どなたでも無償で自由に使って頂いて結構である。むしろ機体によっては、私の図面を使って新金型キットを開発してほしい!!と願うくらいである(F6FとかF8Fとかね)。ただし商用(出版、キット開発等)に使用の際はご一報くださるようお願いする。
  • 細心の注意を払って描いているものの、間違い等多々あるはずで、ご使用にあたっては自己責任でお願いする。
  • 作図にあたっては、製造図面、公式マニュアル、実機写真という一次資料のみをベースとして、既存の三面図等は使わないことを原則としている。
  • 一般的な手順は、次のとおり。まず、マニュアル等にあるステーション・ナンバーを図上にプロットし、そこに実機写真(遠近法の誤差を補正したもの)のリベットラインやパネルラインを重ね合わせ、外形をトレースする。細かいリブやストリンガーは、実機クローズアップ写真を読み取るほか、マニュアルの構造図等も参照する。
  • ミスや新事実の発見等により適時図面を修正・差し替えすることがある。軽微なものはとくにお知らせしないので、使用にあたってはver番号を確認いただきたい。
  • 今後当図面を使用するモデラーの幸福に資するべく、図面の正確度は日々向上させたいと思っている。そのため、間違いの発見、新資料のご提供など、お気づきの点はメール等にてぜひお知らせくださるようお願いする。


■ 胴体高さの違い

 さて、今回も自分で図面を描いてみて初めて気付く。知っている人は知っているんだろうけど、上部銃塔が後方にあるA〜G型までの前期型(と、ここでは呼ぶ)と、銃塔が前方に移動し、後部銃座が設けられたH〜Jの後期型では、後部胴体の高さが異なり、それに伴い水平/垂直尾翼取付高さが7インチ違うのだ。既存の図面や塗装図でも、この違いを無視しているものが多い。気になるのは、前期型の1/48アキュレイトと後期型の1/72ハセガワがちゃんとなっているかだが、キットと図面を重ねてみると、細部の微妙な線の違いはさておき、両者とも概ね合っているのでご安心を。


■ 側面図

 それでは、まずは側面図から。図面をクリックすると別画面で大サイズ図面が開く。平面図、正面図は次回更新以降で。AirCorps Libraryから製造図を入手し、それに基づく訂正をver.3とする。なお、以下の記述は、図面改訂時に適宜修正・追加しているため、通して読むと辻褄の合わない部分がある。悪しからず。


  • 寸法諸元、各フレームの位置はノースアメリカン社製造図面(ver.3以降)及び公式マニュアル記載の数値に従う。側面形状は真横からの実機写真のトレースでも確認する。したがって、基本的な形状、寸法の精度は高い。ただし、後部銃座のラインは垂直尾翼が邪魔でいまいち甘い。

  • パネルライン、リベットラインは、製造図、マニュアルの構造図、外板構成図を参照するほか、実機クローズアップ写真でも確認。機首、後部胴体ともに左右非対称なので注意。

  • 水平/垂直尾翼のユニットは、丸ごと全体が機軸に対して2°後傾している。つまり、水平尾翼取付角、ラダーヒンジ、垂直尾翼の横リブは胴体基準線から2°傾いている。この場合、マニュアル記載の胴体基準線からの高さをどこでとるかが問題となる。本図では垂直尾翼の前後位置も含め、ヒンジライン付近とする。

  • 左右エンジンカウル(カウルフラップ及びそれより前方)は、鏡面対称ではなく基本的に左右同じもので互換性がある。プロペラ回転も左右同方向(前から見て反時計回り)。 一方、エンジンナセル(カウルフラップより後方)と垂直尾翼は左右鏡面対称である。

  • 上部銃塔は、現存機の正確度が怪しい部分で、図面の精度も甘い。その後方にある跳弾板は、バリエーションあり。横から見て拙図のような台形のほか、半月形、もっと細長い紡錘形もあり。

  • 主翼取付高さとスラストラインについては、公式マニュアルの正面図(D&S等にあるものも同じ)がすご〜く解りづらい。あれこれ悩んで以下の解釈とすると実機写真との整合がよい。まず、胴体基準線から9/16インチ上にスラストラインがある。さらにスラストラインの4-3/8インチ上が胴体中心線上における主翼基準線の高さ。すなわち、胴体基準線から主翼基準線までは4-15/16インチとなる。 なお、胴体基準線とスラストラインの差9/16インチは1/48スケールで0.3mmなので、模型製作上はほとんど無視できる。

  • 主翼基準線がどこに位置するかが問題。普通に考えると、%コード線(ルートと翼端の同じコード同士を結んだ線)が、胴体基準線と直交するコードである。別の言い方をすれば主翼前縁ラインの延長線と、後縁ライン延長線との交点から胴体基準線に下ろした垂線。これをルートと翼端のコード長と前縁後退角から計算すると33%コードとなる。ところが、製造図の座標値ではなぜか42%コードくらいの位置にある。中途半端な位置だが、これに基づき上述主翼高さを求めると写真と極めて整合がよい。

  • 主翼取付前後位置は、マニュアルによると、sta200が主翼前端である。普通に考えると胴体中心線上の仮想主翼の前端位置だが、写真でチェックすると、sta200は胴体側面での前端位置である模様。ただし、ルートのコードの寸法は胴体中心線上の仮想翼のコードとなっている。手持ちの製造図にはこのあたりを明記したシートはない。

  • 垂直尾翼の前後位置については、マニュアルの平面図ではsta.585のエレベータヒンジから2"後方にラダーヒンジがあるとされる。ラダーヒンジが2°傾いているから高さによって位置が変わるけど、水平尾翼ヒンジの高さと想定して図面を作成。垂直尾翼の大きさ等はマニュアルの数値に従う。




■ 上面図 6/8追加

 ミッチェルの主翼桁は、内外翼で主桁の位置が食い違う。内翼は爆弾倉を前後から挟むように2本桁。位置はパネルラインのところ。一方、外翼はコード中央付近に主桁があり、基本的に1本桁(主桁部分にはパネルラインがないので分かりづらい。下面は主桁部にパネルライン)。構造的には、内外翼境のリブに負担がかかって不利だと思うが、なんでこんな設計にしたんだろう?

  • 主翼staナンバーは主翼基準面に沿って設定されているのか、水平面に沿っているのか不明。本図では主翼基準面沿いとして作図。もっとも、実機が水平面沿いだとしても、1/48で0.3mm程度の差なので、模型的には無視しうる。外翼はほとんど上反角がないので、有意な差がない。

  • 内翼のリブは翼基準面でなく水平面に対して垂直。

  • 主翼リブ、ストリンガーの配置は、マニュアルの構造図がベース。外翼の前後桁間にはリブのリベットがほとんど見えない。一方、ストリンガーは密に配置され、またランダムに途中で途切れる。

  • マニュアルでは主翼翼型はルートでNACA23017、翼端でNACA4409Rとされている。このRは改変を意味しており、ノーマルな4409と実機写真とを見比べると、実機は下面の逆Rが強い。拙図面では製造図にある座標値を読み取って図化する。

  • 翼厚比は、座標値から計算すると胴体端で16.9%、また翼端(カーブの始まる前のsta365)では10.3%となる。いずれもマニュアルとはやや異なる。また、座標値を図上に再現すると、コード基準線は胴体端で3.3゚、sta365で1.1゚の取付角となる。これもマニュアルに記載された主翼取付角の値とは異なる。

  • 主翼前縁の着陸灯は左右で大きさが違う。左舷は中にライトが2つあって幅が広い。

  • ナセル部の主翼上面の詳細は、資料が乏しく不明点が多い。

  • 垂直尾翼の翼型は根拠なし。厚さだけは後方からの写真に合わせてある。

  • 主翼の前1/3程度までは沈頭リベット、後ろは凸リベットで、図面では点の大きさで描き分けている。

  • 横から見たカウリングのアウトラインは、上下非対称で下側に膨らんでいる。一方、カウリングの上半分は完全な回転体(=断面が真円、上半分だから半円か)となることは、製造図で確認できる。カウル最大幅より、Aカウル最大幅の方が狭く、上下方向から見ると段差がある。




■ 下面図 6/26追加

 胴体及びカウル、アクセサリカウルの平面形は、製造図に記載の数値に従う。エンジンナセルの平面形状は、下方からの実機写真のトレース。J型は、胴体後方に銃座が新設され後方胴体が改設計となり、下から見ると胴体側面のラインが水平尾翼前端付近で折れ曲がる。ちなみにA〜G型では折れ曲がらない。

  • 爆弾倉の後方胴体下面にある小窓は、海軍型PBJ-1J、B-25Jで「あり」の機体が確認できる。この窓は胴体の曲面部にあるが、ガラスは平面。

  • マニュアルのパーツ図や外板図によると、その小窓なしでもパネルやリブは左右非対称のようだ。現存機ではこのあたりの写真に乏しく詳細不明。

  • 着陸灯は、文献-1のSRIマニュアルによるとJ-30の生産途中(44-31111以降)から両主翼下面に移設される。PBJ-1Jでも途中(シリアルは不明)から同様に変更になっている。

  • 主翼下面の小判型アクセスパネルの位置や数は、マニュアルと現存実機で違いがある。生産途中で変更になったのか?また、右舷と左舷でも違うようで、図の左舷の水色アクセスパネルは現存実機では「なし」。




■ 主翼上反角の謎 7/22追加

 主翼上反角が分からない。参考文献-1の組立補修マニュアルの緒元表(p.10)では「 Dihedral (of 25% Line) / Wing Center Section 4°38'23" / Wing Outer Section 0°21'39"」となっている。一方、同じ文献の寸法図(p.30)では 「Neg. dihedral at intersection of chord plane & leading edge / outerwing 0°21'39"」とあり、内翼上反角の記載はない。記述を素直に解釈すれば、外翼の上反角は前者が正、後者は負。上反角基準位置は前者が25%コードの翼基準線、後者は翼前縁の翼基準線だ。さらに参考文献-2のH型組立補修マニュアルでは「Dihedral Centersection L.E. 4°38'23" Outer panel 0°21'39"」とあり、位置は前縁、外翼は正。主翼取付角(ルート 3°0'30"、翼端 -0°30')と前縁後退角(4°12'13")のため、同じ上反角の値でも基準位置が異なれば実質の上反角は異なる。さて、一体どれが正しいのか。

 こういうときは実機写真に従う主義。ところが、写真と照合しても分からない。というのは、地上では自重で翼端が下がり、飛行中は揚力で翼端が上がる。また、前縁後退角のため、視点の高さによっても上反角が違って見えるし、機体の個体差があるかも。とりあえず、写真を見ていただく。



やや上から見下ろしているが、外翼前縁は正の上反角に見える。

やや見上げる視点。定規を当てれば前縁は正の上反角。

水平尾翼の位置からして、視点としてはほぼ水平。前縁上反角はほぼゼロ。

前縁上反角は負。やや見上げている視点で、さらにカメラ位置が近いため、見かけ上は負の方向にずれる点は考慮する必要あるかも。



■ 正面/断面図

 結局のところ、主翼上反角は決め手がなく不明。判断は読者諸兄にお任せする。図面は一応外翼前縁: -0°21'39"、内翼前縁: 4°38'23"と解釈する。設計図にこう書かれていて、それをマニュアルの表や図にする際に間違えたり負号を書き忘れたりしたのが真相ではないかと。製造図でも上反角が分かるものは手持ちの中に含まれない。

  • 主翼前縁ラインは正面図に細線で表示。

  • 胴体断面形は、製造図にある座標値に基づく。ver.2以前は前後方向から撮影した写真の窓枠やパネルライン、リベットラインのトレースであったが、ほとんど同じで一安心。断面#F(紫色)には、操縦席窓下端部に「くびれ」がある。#Gではくびれがない。

  • 断面#Pは窓枠を水平方向から見た形として描く。

  • ナセルの断面形はやや精度低し。幅と高さは平面図、側面図に合わせてある。

  • 垂直尾翼、水平尾翼の厚さは写真の読み取り。




■ 下面図訂正 8/2追加

 C/D型図面の前に、下面図を訂正する。主翼のエアインテイクは左右で形状が違う(←今頃気付くなよ)。機首等のパネル&リベットラインを修正。併せて、アンテナ等の細部も追加。まず、訂正箇所の多い下面図から掲載し、他図面も逐次修正する予定。
  • 主翼前縁のオイルクーラー・エアインテイクは、左右で形状が異なる。右舷は翼面から突き出る形でインテイクが設けられる。一方、左舷は翼面に単純にインテイクの穴が開いている。正面から見れば左右開口部は同じ大きさに見えるが、下から見れば左舷のは前後に広い。

  • 機首下面部のパネルライン、リベットラインを訂正。微妙に左右非対称である。もっとも実機写真はリベットが不鮮明で、リブの配置はいまいち確信がない。また、現存機ではパネルラインの有無や小アクセスパネル有無のバリエーションがある。その他、ナセルと主翼の取り合い部のパネルラインなども変更。

  • 胴体下面の観測窓は胴体の湾曲部分に設けられるが、ガラスそのものは平面。




■ 側面、上面図訂正 8/19追加

 下面に続いて、側面と上面を掲載する。側面図は翼型とナセルの取り付け位置の変更が主な訂正箇所。その他、アンテナ、機銃、窓枠リベット等の細部を追加。上面図はカウリング幅の他、操縦席キャノピ部分を微修正。
  • 機首右舷から垂直尾翼に伸びるアンテナ線は、アンテナ柱がなく胴体から直に線が出ているタイプもあるみたい。後部胴体下面から斜めに伸びる棒は、

  • 機首の牛の角のようなアンテナは、現存実機写真から採寸。中心線より右舷側にあり、前から見るとやや傾いている。

  • 胴体後方上部の航法灯はB-25Hの一部に見られるが、-Jにもあるかどうか確証なし。というか大半の-Jには無い模様。



 続いて-J正面/断面図の予定。C/Dは暫しお待ちを。


■ 正面/断面図訂正 9/8追加

 長らくお待たせ。それほど修正箇所は多くないんだけど、スピット図面やらソードフィッシュやらで。
  • 基本形状の修正箇所はナセル断面形、コクピット付近の断面形くらい。あとは細部の追加・修正。

  • 機首下の水滴状アンテナの断面は真円でなく縦長の楕円。




■ C/D側面図

 C/D型シリーズも開始。残念ながら、現存機が少ないため不明部分が多い。そこはJ型をコピペしているだけなので、悪しからずご了解を。また生産初期には変更点が多くてややこしい。極力、記録写真でシリアルからブロックナンバーを調べた上でチェックしているが、レトロフィット、現地改修も多くて、間違いも多々あろうかと思う。

  • C型とD型は製造工場の違いで、基本的には同じ。胴体はC-5-NAを図化したつもり。ただし、他ブロックがまぜこぜになっているかも。

  • フィンガータイプ排気管はC-5(42-53332〜)、D-1(41-29848〜)から。また、クレイトンS単排気管になるのはC-15(42-32383〜)およびD-15の途中(42−30533〜)から。クレイトン単排気管は以前の型にもレトロフィットされる。

  • C-15、D-15以前のカウル及びナセル(ここでは初期カウル/ナセルと呼ぶ)は不明点が多く、図面もかなり怪しい。とくに内舷側は写真が乏しく詳細不明。パネルラインはマニュアルの外板図による。

  • B型からB-25C-NA及びD-NCまでの初期ナセルは上部エアインテイクが短く低い。C-1及びD-1以降は前方に延びる。この改変は集合排気管型の生産途中であるため、集合排気管では長短両方のインテイクが見られる(拙図は短を図化)。フィンガータイプで短インテイクもあるが、これもレトロフィットか。

  • 初期カウルのパネルは6枚。各パネルは同じサイズではなく、2時10時方向の2枚が大きい。分割ラインも微妙に左右非対称。

  • 航法士のドーム天窓はC-1の途中(41-12757以降)及びD-1(41-29848〜)から。操縦席後方の窓がブリスターになるのはC-10(42-32233〜)からとする資料があるが、C-1でブリスター窓が確認できる。まあ、レトロフィットは当然ありうるだろう。

  • BからC-1、D-1までの機首中央の機銃は、30口径で、取り付け位置がやや高く、基部は四角いプレートが無く球状。C-5、D-5以降は50口径となり、右舷側にも前方固定50口径が標準装備となる。

  • アンテナ線の張り方はよく分からない。D-25でJ型同様に尾翼上部に向けて張られる例あり。また、水平尾翼前端もあり。背中のブレードアンテナ(紫線)は地中海方面の一部機体に見られ、中心線よりかなり右舷寄り。この場合直前の細柱はない。

  • 現地改修により、後部胴体側面の銃座、あるいは胴体後端の銃座(J型と似た形状)が追加された例あり。これはガンノーズのG型にも見られる。




■ C/D平面図 9/25追加

 続いてC/D型上面図、下面図を掲載する。側面図と同様に基本図はC-5(D-5も同じ)のつもり。不明点はJ型コピペなのも同じ。

  • 主尾翼関係では、@翼端灯、A短いエルロンタブ、B内側フラップの切欠き、C右翼オイルクーラー・アウトレットのカバー、D短いエレベータタブ(ver.3で訂正)がJとの相違点。

  • @の翼端灯は、G型でも同様な「内側タイプ」が見られることから、イングルウッド製C型では全て内側タイプと推測できる(イングルウッド工場ではC-25以降はGの生産に移行した)。一方で、C/D後期生産型の現存機でJ型と同じ「翼端タイプ」があることから、カンザスシティ製はある時期から翼端タイプに移行した可能性大。なお、当該現存機では3色識別灯もある模様。

  • A、BはH型で見られることから、おそらく全てのC/D型に共通と思われる。

  • CオイルクーラーはC-15及びD-15でJと同じカバーなしが見られる。一方C-10でカバー付きが見られることから、移行はこのあたり。

  • C-1型(s/n 41-13184とその前後)で左舷後部胴体上部ライフラフトのパネルと上部銃塔前後のパッチがクリアに確認できる。一方、後期生産型になると、パッチ「なし」が確認できる。ただし正確にいつからかは不明。参考文献-13のCrowood本ではコクピット後方側方窓がブリスタータイプになるのはC-10からと書かれているが、このC-1の写真ではブリスターが確認できる。

  • 胴体下面銃塔前後のパッチも「あり」が確認できる。上面同様にリベットがあるが、数が不明で図示していない。これも後期生産型になると「なし」の可能性大。

  • B型のエンジン後方の主翼上面は、ドゥーリトル隊の記録写真などから読み取って図化。エンジンカウルが同じ形状のB-25C及びD(ブロックナンバーなし)も同じ形状で、これは工場生産中の同型のオリジナルカラー写真から確認できる。C-1/D-1以降は図で示すようにJ型と同じとなる。

  • 初期生産型では機首下面に観測窓が見られる。詳細不明。図もかなりアバウト。

  • 主尾翼前縁の氷結防止ラバーが図化できてない。そのうち追加しよう。




■ C/D側面図訂正

 平面図の作図中、あっちゃこっちゃ間違いを発見。修正してVer.2.1とする。主な変更点は、上部銃塔の位置、機首下面観測窓の追加。ナセルパネルライン等の修正。



 次はC/D型正面図&断面図の予定。その後はG/H型へと展開する・・・かな、たぶん。


■ C/D正面図 10/21追加

 続いてC/D型正面図、断面図を掲載する。これも基本図はC-5(D-5)。胴体後端窓の断面形は写真をトレース。胴体後半の断面形は、J型断面図と辻褄が合わなくて焦る。改めてJ図を見直してミスというか手抜きを発見。微修正して辻褄も合ったはず。


■ J型図面修正

 前述のミスやら手抜きを修正&追加し、ver.2.1とする。

  • 後部銃座まわりを中心に追加修正。側面窓形状、胴体とフレームの取り合い、窓枠リベットなど。リベットは数えて描いてるんだけど、図面サイズが小さくてよく分からないね。

  • ナセル平面形状を修正。カウルフラップを閉じた状態でも、その後方のナセルとの間に隙間があるのを見落としてたのだ。カウルはそのままに、その直後のナセル幅を狭める。上からの写真でも確かにそうなっている。

  • 操縦席上方、爆撃照準窓にリベットなど追加。正面図では、胴体後半の断面形を見直して微修正。

  • C/D型の細部写真を基に、後部胴体左舷上方のライフラフト収納部を追加。ただし、J型もC/D型と同様になっているかどうかは実機写真で確認できず、今ひとつ確証なし。一応、マニュアルには図示されている。





 C/D側面、上下面図も関連部分を修正する予定。


■ C/D側面、上下面図修正 11/17追加

 C/D型図面のナセルを修正し、ver.2.2とする。それだけでは寂しいので、表紙のナセル、翼つき図面も作成(←後日、表紙は他に差し替え。そのうちカラーイラストを描こう)。それにしても、戦闘機と同じ縮尺で出力するとデカいなあ。

 さて、フィンガータイプ排気管のナセル後方点検パネルの分割ラインは単排気管と同じであることが判明。それ以前の集合排気管では、カウルフラップとその後方ナセルの隙間が小さく、フィンガータイプに改修する際に、排気管の出る隙間を作るためにナセルを改修。その結果、パネル分割も変更になった。その後、クレイトンS単排気管になって隙間は不要になったが、元に戻すことはせず、そのままの形で生産が続けられた。J型のナセルで下半分の方が隙間が広いのは、そういう経緯なのだね。この部分はナセル両サイドとも幅広。


■ C/D側面、上下面図修正 2018/2/19追加

 ほぼ2年ぶりに図面を修正。従前の図面は構造補修マニュアルをベースに、不足情報は実機写真から読み取ったもの。その後、AirCorps LibraryからNA社製造図面を入手。それまで不明だった翼座標テーブル、胴体座標テーブル、カウル&ナセル断面形が判明。また、フィンガータイプ排気管の図面もあり、カウル両サイドにあることが判明。

 で、ボチボチ直してたんだけど、疾風、隼、ファントムが盛り上がって、つい後回し。一通りの修正終了後に掲載しようと思ってるうち、とうとうエア新キット発売。作業途中だけど、取り急ぎ重要な箇所のみ訂正した暫定バージョンを、ver.3として掲載する。主な訂正箇所は下記のとおり。C/D正面図&断面図、J型各図面も順次差し替え。なお、従前までの記事も製造図ありきのものに訂正する。中には訂正漏れがあるかもしれず、そこは適宜読み取ってくだされ。



  • カウル前後端、Aカウル前後端の断面形状、前後位置を製造図に合わせる。ちなみにカウル先端はsta149.32、カウルフラップ前端はsta185.19、同後端(=Aカウル前端)がsta196.25、Aカウル後端がsta240となる。カウル開口部直径、カウル最大幅&高さ、ナセル最大幅等も製造図に基づき側面図、上下面図を訂正する。

  • 下面図に記載の翼断面図は、製造図の主翼座標テーブルをエクセルでグラフにしてトレースしたもの。胴体側面図の翼断面もこれに合わせる。マニュアル記載のスペックと違うところが多々あり、どっちが正解か不明だが、数値の集合体である座標値表を信じることにする。

  • フィンガータイプ排気管も製造図を図化したもの。左右ナセル同一(つまり交換可)で左右対称ではない。これは一見すると単排気管に見えるが、集合排気管の出口が指の形に分かれたもの。集合排気管の位置、サイズも製造図に基づき訂正。各ナセルとも外舷側のみにある。この時期のカウル回りの変遷は複雑。9/18更新記事参照。後期のクレイトンS単排気管は特段の訂正なし。

  • エンジンを取り囲む6枚のパネルの分割線は左右対称ではない。線の高さが若干異なることに注意。エンジン・カウル部分(及びフィンガータイプ以降の排気管)は左舷右舷共通部品であり、したがって左舷カウル外側と右舷カウル内側は同じ分割位置、左舷カウル外側と右舷カウル内側も同じとなる。

  • 胴体外形は製造図の座標でチェックした結果、従前の図面から微修正程度。そもそもマニュアルにフレームのステーションや最大幅などの記載があり、これと写真とでほぼ正確に外形が再現できていたわけである。

  • 風防前面ガラス(下図薄青、薄緑)は半径27"の真円柱。ただし円柱中心は機体中心から1-11/32外れており、正確には円柱の真ん中を薄く切り落として合わせた形となる。したがって、胴体中心線上にはわずかに峰が立ち、風防前面ガラス最大幅(風防後下端)は円柱直径より狭い((27-1-11/32)*2=51+5/16<27×2となる)。この円柱は横から見て45度の傾斜角となる。今回訂正図は、この形状を図学的に正確に再現する。その結果は・・従前の線とほとんど一致で一安心。










■ エア1/72キットレビュー 

 今回、クレオス版が並行輸入版と同時に発売で、早速入手。拙図と重ねるとほとんどピッタリで、基本的外形・寸法はほぼ満点。マニュアルや製造図(あるいはそれに基づいた誰かの図面)に基づく設計であるのは明らか。翼型、翼厚も適正で翼端下面の凹みもよく再現される。ハセのJ/Hと比べれば、基本外形はエア、モールドと小物はハセ。ともかく選択肢が増えるのは嬉しいことである。パーツ割を見ると、G型は出なさそう。ま、ハセH使えば改造は簡単か。そういや、G/H型の図面もまだだなあ・・・

 重箱の隅をつつけば、細部には気になる点がいくつか。排気管は集合とクレイトン単の2種のみで、フィンガータイプはない。キャノピや小窓関係も各種セットされるが、C/D初期の細部バリエーションはやたら複雑なので、特定の機体を作る際は写真の確認(とシリアルからの類推)が吉。拙図も全てを描ききれてない。集合排気管の場合、カウル上部エアインテイクはバリエーションあり。キットは長いタイプのみ。


■ J型 側平断面図修正 4/2追加

 四月。職場が変わって何かと忙しい。引越しは来週末で、模型関係もすでに梱包し、再開は落ち着いてから。その隙間に更新する。

 C/Dに続き、正・断面図とJ型各図をver.3にアップデート。従前の記事もver.3対応に修正する。カウル&アクセサリ・カウルのパネル分割位置とクレイトンS排気管配置は、製造図においてスラストラインを中心とした角度で表されている。以下、角度は正面から見て、真上(12時)を0゚として時計回りに表記する。NA社製造図は後ろから見ているので、左右反転となる。見比べて「違う」と慌てないこと。ただし表記法が違うのでミスあるやもしれず、その際はご指摘願う。

  • カウルパネル(集合〜フィンガー排気管装着型):24゚、102.5゚、153.5゚、204.5゚、255.5゚、333゚

  • カウルパネル(クレイトンS排気管):0゚、56゚、107゚、158.5゚、210゚、261.5゚、313.5゚

  • アクセサリカウルパネル(集合排気管型左舷を示す。右舷は左右反転):125゚(排気口中心)から上(※パネル沿い)に7-15/16インチ、125゚から下(※同)に8インチ、192゚、246゚

  • アクセサリカウルパネル(フィンガー〜クレイトンS排気管):120゚、159.25゚、200.75゚、240゚(左右対称)

  • クレイトンS排気管配置(排気管中心位置を示す):8.1゚、46.9゚、79.6゚、98.1゚、133.3゚、149.8゚、184.7゚、201.1゚、236.3゚、252.7゚、285.1゚、304゚、324.9゚、336.6゚

 図示するとこうなる。左図は、集合〜フィンガー排気管装着型のカウル分割ライン。右図はクレイトンS単排気管装着型の排気管とカウル分割ラインの位置をいずれも正面から見たもの。いずれも、左舷、右舷カウルとも同じ。






 また、カウルとアクセサリカウルの高さ、幅等はスラストラインからの距離として下記のとおり。これら数値も全て製造図に記載のデータから計算したもの。拙図はこれらのデータに基づき作図している。
  • カウルパネル後端(=カウルフラップ前端、sta185.2、上画像ピンク)における上及び左右端:28.19"、同下端:29.97"

  • アクセサリカウル前端パネルライン付近(sta199.75)における左右端:27.06"、同下端:29.45"

  • アクセサリカウル後端(sta224)における左右端:27.50"、同下端:31.31"

  • スピニング開口部(上画像赤)内端半径:18.00"、スピニングリップ先端(上画像青)半径:19.38"、スピニング後端パネルライン(sta158.38、上画像緑)半径:25.9"(図面読取)


■ 参考文献 7/22変更

 文献-1、2の組立修繕マニュアルは、各型の寸法諸元、ステーションナンバー、構造図、外板図など。D&Sやウォーバード・テックなどの図も元データはこれである。両者は基本的に同じであるが、-1はB-25及びPBJ-1の全型式が一応網羅されているのに対し、-2はB-25H-1に限定されている。また上述のとおり、同じであるべき上反角が違っていて悩ましい。-3のパーツカタログは、基本的にJ型のもので、各パーツの詳細な図面などあり、-1と合わせて相当の情報量。-4のC、D型メンテマニュアルはそれを補完する。資料は他にもあるが、とりあえず図面作成に使ったものだけリストアップ。-10と-11のWalkaroundは、全く別物。

1 Structural Repair Instructions for B-25 PBJ-1 Mitchell - -
2 Temporary Handbook Of Structural Maintenance Instructions For The B-25 H-1-NA - -
3 Illustrated Parts Breakdown B-25J,TB-25J,TB-25L,TB-25L-1 and TB-25N - -
4 Maintenance Manual B-25C & B-25D - -
5 新版 世界の傑作機 No.158 ノースアメリカン B-25 ミッチェル 978-4-89319-221-9 文林堂
6 新版 世界の傑作機 No.51 B-25 ミッチェル - 文林堂
7 旧版 世界の傑作機 No.58 ノースアメリカン B-25 ミッチェル 1975年2月 - 文林堂
8 In Action No.34 B-25 Mitchell 0-89747-033-8 Squadron/Signal Publications
9 In Action No.221 B-25 Mitchell 978-0-89747-625-6 Squadron/Signal Publications
10 Walkaround No.12 B-25 Mitchell 0-89747-379-5 Squadron/Signal Publications
11 B-25 Mitchell Walkaround 978-0-89747-696-6 Squadron/Signal Publications
12 Detail & Scale Vol.60 B-25 Mitchell 1-888974-13-3 Squadron/Signal Publications
13 North American B-25 Mitchell 1-86126-394-5 Crowood
14 WarbirdTech 12 North American B-25 Mitchell 0-93342-477-9 Specialty Press
15 Osprey Combat Aircraft 32 B-25 Mitchell Units of the MTO 1-84176-284-9 Osprey
16 Osprey Combat Aircraft 40 PBJ Mitchell Units of the Pacific War 1-84176-581-3 Osprey
17 Monografie Lotnicze 78 North American B-25 Mitchell cz.1 83-7283-088-5 AJ-Press
18 Monografie Lotnicze 79 North American B-25 Mitchell cz.2 83-7283-103-2 AJ-Press
19 Monografie Lotnicze 80 North American B-25 Mitchell cz.3 83-7283-125-3 AJ-Press
20 Warpaint No.73 B-25 Mitchell - Hall Park Books





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