チャーチル歩兵戦車 Mk.VII タミヤ 1/48 製作記

2019.4.11初出


完成画像





■ はじめに 

 ツイッターで告知のとおり、隠し玉はチャーチルVII。飛行機の箸休めに、素組みしていたのだよ。ファントムとシャーマンが完成したところで、一気に塗装する。本命はチャーチルAVREなんだけど、車体側面、前面を改造、砲塔は新造となるから、この着手は大分先。今回は練習台としてAFV本流の塗りに挑戦。いろんなベクトルを試すことで、テクとセンスの幅が広がればいいなと。


■ 組み立て

 上面と側面の接合線がデリケートで、ここを上手に接着するのがポイント(←拙作はいまいち)。排気管のカバーは後付けにしたほうが、排気管の塗装が楽(←いつも後で気付く)。完全素組みは嫌で、砲塔前面のコブを削って初期生産型にする(←ただの天邪鬼)。若干のお化粧を。キューポラ、ベンチレータ、取っ手など、型抜きの都合で再現されない凹みを彫刻刀などで彫りこむ。正面から見える履帯の断面を削って薄くする。エッチングソーで、ハッチ周囲のスジボリやフェンダーの段差を強調。これは飛行機屋の得意技。



組み立て終了。ディテールアップの余地はあるけど、今回この程度で。

シリコンバリアの下地を兼ねて、黒サフ+サフ+レッドブラウンを全体にスプレー。このあとシリコンバリアをカップ7分目ほど。



■ 塗装

 欲張って、知ってるテクは全部使おうと。シリコン落とし+アルコール落とし+ウェザマスのウォッシュ+ドライブラシ+シャドウ吹き、などなど。いつも汚しは「控えめ」を旨とするが、練習なので「やり過ぎ」を目標にする。あーちなみに、フィルタリングとカラーモジュナントカは、効果がサッパリ不明なので今回不採用。



#330ダークグリーンと白を3:2くらいかなあ。自分じゃかなり明るめのつもり。履帯はダークアース。

ウェザマスの黒+茶を石鹸水で溶いてウォッシング。これは拭き取り前の状態。

ドライヤーで乾燥させ、濡らしたティッシュ、綿棒、筆など駆使して拭き取る。

タミヤアクリルのバフを石鹸水でしゃぶしゃぶに溶いて砂吹き状にエアブラシ。

シリコン落とし。エタノールをティッシュなどにつけてバフを落とす。が、ここで問題発生(後述)。

気を取り直して、金属ヘラ(塗料を掻き混ぜるヤツね)などで、カリカリ。今回普段より多めにカリカリ。さすがに槍杉君。


 さて、シリコンバリアの上のアルコール落とし、やる前から不安だったけど、案の定トラブル。バフだけ落としたいのに下地のダークグリーンまで一緒に「ずるっ」と剥けてしまう。砲塔右舷側のペリスコープカバーとか、前方ライトとかがそれ。他の個所も、もっと落としたいのにズルムケ(こまわり君を思い出すあなたは同世代)が怖くてあまり落とせない。ただし、これはダークグリーン の塗膜を厚くしっかり吹くか、あるいはフラットクリアなどでコーティングすれば、ある程度防げるはず。





さらに、エナメルの茶+黒で雨だれ&油汚れ(筆で描き込む)、サンド系ウェザマス+石鹸水でウォッシュ。エッジにレッドブラウン(ラッカー系)のドライブラシで錆を表現、黒を薄く溶いて、隅部やエッジにエアブラシ(明暗コントラストの強調)、足回りにサンド系をエアブラシ、履帯と砲身に鉛筆粉をすりすり。こういうの、書いとかないと自分で忘れちゃうんだよ。



固まった泥の表現は今後の課題。でもあれ、あんまり好きじゃないんだよね。シートなどお荷物関係は後回し。これらを追加し細部を塗り分けたら完成だ。






■ 総括

 どうせ練習だからと、失敗を恐れずにどんどん汚していくのは気持ちいい。結果は、実物はこんな風には汚れないぞ!てな箇所もちらほらだが(作る前から想定内)、その分、見た目のインパクトは上がったか。想定イメージは、もっと明暗コントラストがあるハズだけど、シャーマンと並べると、なんかよく似た雰囲気。同じ人間が作ると、出発点と経路が違っても、ゴールは同じになるのか??

 最初に大量に白を混ぜ、汚して黒くなってくると、グレイを混ぜるのと同じだから結果的に彩度が落ちる→地味で目立たない方向。基本塗装の彩度を高くする人の気持ちが分からんでもない。ただ、ミリタリー系では彩度が低い方が本物っぽく見える(逆に言うと、彩度が高いとオモチャっぽく見える)。だから、飛行機では意識して迷彩やマーキングの彩度を低く調色してるのだよ。デカールは彩度が高いから、それも手描きにこだわる理由のひとつ。


■ お荷物 5/4追加

 GW更新強化週間なのだ。しかし、絶好の行楽日和に、部屋に籠って模型を作るって・・・ さて、お荷物は砲塔脇の丸めたシートのみ追加。昔のMMシリーズの擦り込みのせいか、チャーチルには砲塔脇のシートが必須な気がしてたけど、記録写真を眺めると、それほど多くはないな。



材料はケミウッド。どうせ削って形にするから、パテが固まる時間の分だけこっちが早い。

彫刻刀で彫っていく。ベルトは鉛板にする。


 タバコライオンを混ぜたラッカー系で塗装。ベルトは革を想定して茶色く塗るけど真偽不明。シートが布に見えないけど、センスの問題だから仕方ない。


■ 3D

 実は、追加装甲用にこんなのも作ってたのだけど、時間切れ。次作に活用しよう。接地面の裏側の凹みがポイントだ。お試しプリントして、データ修正したらアップする。出力方向が悩ましいな。








■ 完成

 シートを取り付け、細部を塗り分け、ズルムケを面相筆でタッチアップ。アンテナも取り付ける。独特のY字形の基部は、キットパーツをナイフなどで削り込む。ウェザリングを追加して完成。サクサク作って、グイグイ塗って、プラモデルって楽しいなあ。1/48戦車って、精密感と、お手軽感のバランスがいいのだよ。

 チャーチルって、いかにも英国らしくって昔から好きなんだよね。本命は、3Dプリント炸裂のAVRE。遠からず着手する予定だ。乞うご期待。





作って楽しい分、出来は人様に見せるほどではないな。

















イージーエイトとツーショット。塗装技法を変えたつもりが、出来上がるとほとんど同じ。













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