ハリアー GR.1 エアフィックス 1/72 製作記
2014.10.28初出
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キットはエア新シリーズの標準レベルで、つまり、とても良いキットである。仮組みして実機写真と見比べてみると、形状イメージは非常に良好。重箱の隅をつつけば、2、3気づくところはあるけど、全体の「らしさ」に影響する部分でなくスルーするつもり。もっとも、全長、全幅の寸法チェックはしてないので悪しからず。小物やモールドのもっさり、あっさり感もシリーズ通例。 ところで、RAFのハリアーはGR- 、RNのシーハリアーはFRS- という呼称。Fはファイター、Rはリコン、じゃあGは何?、Sは?ってことで、いつもの掲示板で教えて頂く。で、GはGround Attack、SはStrike。つまりRAFでは地上攻撃と偵察で、満足な飛行場のない前線での地上支援という役どころ。空中戦は別の機種の役割だ。一方海軍では艦隊防衛も含めたマルチロールなのだね。ちなみに、コースタルコマンドのウェリントンやホィットレーなどの昔のGRはGeneral Reconnaissanceとのこと。毎度情報THNX。 |
![]() とりあえず仮組み。重箱の隅はあえて記載しない。 |
左右一体の主翼上面パーツが事後変形で歪んでいる。指でしごいて曲げ、矯正したところで下面パーツを瞬間で接着。こうすることで曲げ矯正の将来の戻りを予防する。CAD設計だろうから金型の精度としての合わせは良好。ただし柔らかいプラ質ゆえ事後変形の影響は避けられず、先ほどの矯正のせいで主翼上面と胴体の合わせに段差が生じる。 ここらの合わせは他キットもイマイチで、ハリアーのキットの鬼門だね。ここは瞬間+プラ粉でかっちり修正。フラップ&エルロンと主翼上面の段差も同様。それ以外にもGR-3とのバリエーションで別パーツとなる機首や尾部にも段差、隙間が発生。これらはラッカーパテや溶きパテでまったり修正。一部のスジボリが太く、溶きパテを流したり、表面を一皮剥くように削ったりして調整。 |
![]() エンジンインテイク内側パーツは、インストと組み方を変え、それぞれを先に左右胴体に接着する。 |
![]() コクピットはキットのまま。計器板とコンソールはデカール。シートのみパブラのレジンに換装予定。 |
![]() キットのエンジン補助インテイクは抜きテーパーのせいで形が歪んでいる。ナイフで形を整え、ドアはプラバンに置き換える。 |
![]() とりあえず十の字。背中には瞬間を盛ってゴリゴリ。 |
引き続き、細部を仕上げていく。スジボリに結構手間を喰う。キットのは場所によって太く、一皮剥くように削ったり、溶きパテで埋めたりして細くする。タミヤの新商品エッチング・ソーの0.1mmと0.15mmを購入。いつも使っているトライツールと微妙に厚さが違うので、狙った太さのスジボリにする際に重宝する。大体仕上がったところで、再度サフェーサ。 |
![]() 補助インテイク周囲のスジボリ。風防下方の縦パネルライン、実機は「なし」が正解かも。 |
![]() 下面に機銃ポッド、パイロンを接着。機体との間に出来る大きな隙間は、溶きパテ&シンナー拭き取り方式で処理。 |
![]() ぶら下げものも工作。シートはパブラ。 |
![]() ジェットノズルをロータリー・ツールで開口。左はキットオリジナル状態。 |
機体の基本工作は概ね終了。キャノピを処理したら、塗装だ。
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![]() シーハリアーF/A.2。主翼直後にプラグを差し込んで延長しており(矢印)、その部分は平行となる。 |
![]() AV-8BハリアーII。後部胴体は完全に再設計で、滑らかな曲線でつながる。主翼と胴体の取り合いも、両者比べると相当違うね。 |
キャノピと並行で細部を進める。翼端灯をクリアー化。削り飛ばした主翼前縁の境界層板を0.2mmプラバンで復活。厚手のエッチング・ソーで切り込みを入れてプラバンをはめ込み余分をカットする。水平尾翼付け根の板も同様に0.2mmプラバンに置き換え。シートの塗色がよく分からない。おそらく金属部分は黒で、半分想像で塗り分ける。 |
![]() 実機の境界層板は、地面に垂直ではなく翼基準面に垂直となる。作品は間違い。翼端灯の段差はマスキングのセロテープ。 |
![]() 機首のピトー管は、ロータリーツールで0.8mm真鍮線を削る。 |
![]() 布部は塗料にタバコライオンの粉末を混ぜて完全な艶消しにする。先日フィギュアの筆塗り達人から教わった技。まだ売ってるんだね。 |
![]() 可変ジェットノズル、片側は開口して0.2mmプラバンのベーンを取り付けるが、もう片側はキットパーツの縁を削り込んで手抜き。 |
マスキングには、頂き物の色つきセロテープを使用。毎度感謝。スジボリが見やすいので、ナイフでカットするときの失敗が少なくなる。貼り忘れも防げるので、これはオススメ。普通のセロテープと全く同じ材質ではなく、比べると伸縮性(=曲面追従性)と粘着力に劣るので、場所によって使い分けるといいかも。いずれにせよ、マスキングゾルをナイフで切る方法は時代遅れ。まだやっている方は色つきセロテープに変えられたし。 |
![]() キットオリジナルのぬるっとしたフレーム。 |
![]() 風防、キャノピ、後方部を一体化し、擦り合わせてスジボリ。胴体には仮止め。 |
![]() 細いフレームのスジボリには、自作のダブル針を使う。間隔違いで何種類か作ってある。 |
![]() コンパウンドで磨く。 |
![]() 色つきセロテープ |
![]() テープを貼って、デザインナイフで切り抜く。曲面でも、画像のように切断部にシワができなければOKだ。 |
RAFの塗装色は、BS381CまたはBS2660に規定されている。1970年までのハリアーの上面は、グロスのダークグリーン(BS381C No.641)及びダークシーグレイ(BS381C No.638)、下面はセミグロスのライトグレイ(BS2660/9-095)、ラウンデルは赤白青のタイプD。1970年11月以降はラウンデル、フィンフラッシュが赤青となる(下面のみ赤白青が継続)。さらに71年初めに迷彩塗装が艶消しとなり、下面はライトエアクラフトグレイ(BS381C No.627)となった。ただしこれら下面色は艶が違うだけで色調は同じ、理由はBS381Cはグロスとマットのみで、セミグロスはBS2660しかないため、とのこと。 続いて細部。脚ドアおよびエアブレーキ内側、ホイル、脚収容部などは下面色と同じだが、脚柱のみグロス・ライトグレイ(BS381C No.631:世傑ではライトブルーとの記述だがBS381CではNo.631はライトグレイである)。前方ファンエアノズルはダークグリーン(!)、後方ジェット排気ノズルとデフレクターは無塗装。 国籍マークでは、当初の赤白青は主翼上下が36インチ、胴体24インチ、各色の比率は1:2:3。後の赤青は主翼上が30インチ、胴体24インチで比率は1:2。WW2当時のBタイプラウンデルは2:5なので比率が異なることに注意。フィンフラッシュは赤青タイプが高さ27.5インチ(何故に中途半端?)下辺の長さが18インチ。赤白青タイプの記述が世傑にないが、同じサイズか。主翼下面シリアルは高さ20インチ幅13インチ文字幅3インチ、胴体シリアルは高さ8インチ幅5インチ文字幅1インチ。 BS381C、BS2660のWEBカラーチャートはこちら。モニターによっても色味が変わるから、あくまで参考程度で。 ・BS381C、 BS2660
ダークグリーンのマスキングの最中にミス発覚。エンジンインテイクの内側をダークシーグレイで塗ってるが、右舷の少なくとも機首からつながる部分はダークグリーンが正解。奥にファンがあって塗り直しも大変なので忘れることにする。 |
![]() 下面のライトエアクラフトグレイを吹き、下面をマスキング。上面色が翼前縁に回り込む。 |
![]() ダークシーグレイを吹く。ラウンデル、フィンフラッシュは突合せで塗るので、マスキングしておく。 |
![]() ダークグリーンのマスキング。上面迷彩の境界はかなりクッキリしているが、近くで見るとわずかにぼけているので、練りゴムでマスクする。 |
![]() 迷彩塗装終了。スマホのカメラだと、肉眼よりダークシーグレイが明るく映る。肉眼だともっと2色の明度は近い。 |
![]() ラウンデルのマスキング。 |
![]() ラウンデルはシーファイア47と同じフタロシアニンブルーとサンダーバーズレッドのいずれもビン生。 |
基本塗装後、塗膜の段差を軽くラプロスで落とし、面相筆でタッチアップ。胴体上部のブレードアンテナを取り付けようとして、またミス発覚。GR.1では1個で、キットの2つの取付穴の片方を埋める必要がある(←ちゃんとインスト読めよ)。塗装前なら何でもないが、塗装後なので周囲を汚さぬようにプラ材で埋めて筆塗りでタッチアップ。
ちなみに1sqnの三色ラウンデルでは、他にXV778:S、XV748:レターなし。また1sqnXV441とXV744は給油プローブとフェリー用延長翼端をつけて、1969年の大西洋横断レースに出場した。模型的には面白いアイテムだね。写真は新版世傑にもある。なお、レース時は部隊マークや機番は未記入。 垂直尾翼の機番と胴体シリアルは作り置きのインレタから近いサイズ・書体のものを選ぶ。下面シリアルはキットデカールを加工する。細部マーキングも基本的にキット付属のデカール。かなり細かいコーション類まで用意されているが、全部は使わず目立つ部分のみ使う。背中の赤線はニス部が目立つので、手持ちシルク印刷デカールの赤ベタ部分の細切りに交換。 貼り付け後にガイアセミグロスクリアを吹いて軽く研ぎ出す。キットのデカールが厚いから必然的にその上のクリアも厚くなり、全体がぼってりするなあ。しかも手順が悪くてクリア後にデカールの貼り忘れに気付いたり。実は、デカールを貼る前にも、塗装表面を整えるため、クリアを吹いてラプロスで磨いており、手順が悪い。デカール貼りつけ箇所のみクリアを吹いて磨き、デカール貼付後全体に少々厚めにクリアを吹いて研ぎだすのが正解だな。 |
![]() キットのデカールXV758とXV749を利用してXV750にする。下面ラウンデルもキットデカール。足りない部分は筆塗りタッチアップ。 |
![]() デカール&セミグロスクリア終了。燃料タンク、ロケット弾ポッドも塗装&デカール。インレタはまだ。 |
![]() 機首まわりにディテールを追加。風見鶏がいいアイキャッチになる。ワイパーは細すぎて目立たず。 |
![]() ラウンデルの色調が不満で、赤青を面相筆でタッチアップ。 |
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さて、次はサーブB-17に戻ることにしよう。並行で赤箱第3弾いってみようか。P-38は、アルミ貼りに飽きてきちゃって、しばらくお休み。休んでる間にタミハセあたりから1/32でいいキットが出ないかなあ。
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1 | 新版 世界の傑作機 No111. ハリアー/シーハリアー | 4-89319-127-6 | 文林堂 |
2 | 旧版 世界の傑作機 No.47 1974年3月号 HS.ハリアー | 文林堂 | |
3 | Harrier In Action Aircraft No.58 | 0-89747-139-3 | Squadron/Signal Publications |
4 | AV-8 Harrier In Action Aircraft No.209 | 978-0-89747-545-7 | Squadron/Signal Publications |
5 | D&S 28 AV-8 Harrier Part 1 USMC Versions | 978-0-83068-038-2 | Airlife Publishing |
6 | BAE/McDonnel Douglas Harrier | 1-86126-105-5 | Crowood |
7 | Harrier In and Out | 1-86126-500-X | Crowood |
8 | Warbird Tech Volume21 Boeing/Bae Harrier | 1-58007-014-0 | Specialty Press |
9 | MDF 11 The British Aerospace Sea Harrier | 0-9551858-2-3 | SAM Publications |
10 | Combat Aircraft 28 Air War In The Falklands 1982 | 1-84176-293-8 | Osprey Publishing |
11 | Combat Aircraft 90 AV-8B Harrier II Units of Operations Desert Shield and Desert Storm | 978-1-84908-444-4 | Osprey Publishing |
12 | Combat Aircraft 99 AV-8B Harrier II Units of Operation Iraqi Freedom I - VI | 978-1-78096-310-5 | Osprey Publishing |
13 | British Harriers Part 1 | 978-3-935687-14-0 | Air Doc |
14 | Aero Series 31 Harrier AV-8A/B | 8-8168-0611-X | Aero Publishers |
15 | Aero Guide 12 Hawker Siddeley Harrier GR Mk3/T Mk4 | 0-946958-12-2 | Linewrights |
16 | Aircraft Illustrated Special Harrier | 0-7110-1886-3 | Ian Allan |
17 | Modern Combat Aircraft 13 Harrier | 0-7110-1071-4 | Ian Allan |
18 | Osprey Aircombat British Aerospace Harrier and Sea Harrier | 0-85045-561-8 | Osprey |
19 | Osprey Military Aircraft Harrier The V/STOL Warrior | 1-85532-218-8 | Osprey |
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