BAEホーク T1 エアフィックス 1/72 製作記

2015.2.9初出




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■ はじめに

 最近、エア赤箱にハマっている。ハリアーが完成したところで、次のアイテムにBAEホークを選ぶ。愛嬌のある外形に、カラフルな塗装が魅力的な機体だね。手持ちキットは2012年のRAFチャリティー記念塗装バージョン。英国旗をアレンジしたデザインが素敵で思わず購入したもの。もちろん作品の塗りもこれに決まり。






■ キット評

 まずキット評。厳密なチェックはしていないが、外形的には実機の特徴、雰囲気をよくつかんでいる。モールドや小物はエア通例の太めスジボリにアッサリ小物。総合的にみて、シリーズ標準レベルの秀作キットといえる。個人的には、キャノピパーツ内側の爆破火薬のモールド表現が唯一のNGポイント。太い凹が厄介で、削り落とそうとしてパーツにクラック。もう1箱買ってくる破目に。

 そのパッケージ違いの箱を開けてビックリ、中身はほとんど同一だが金型が別物なのだ。パーツの形状や、モールドは全く同じなのに、ランナー配置やゲート位置、裏の押しピンの位置などが違う。聞くところによると、識別ポイントは生産国で、メイド・イン・チャイナかインディアか。中国製はプラが硬く、キャノピが2ピース。インド製はエア通例の柔らかいプラで1ピースのキャノピ。その他、一部パーツの分割が異なる。



上の水色がインド製。下は中国製。ビミョーに違う。



■ 組み立て開始

 2個めキットのキャノピをストレートに使うつもりが、やっぱり火薬モールドが気に入らず、ヒートプレスで自作する。これが上手くいかず、思いの外苦労する。まずクラック入りキャノピの内側にエポパテを詰めて絞ってみるが、これだと少々オーバーサイズ。そこでキャノピのプラパーツを取り除いてエポパテを型とする。絞る素材も試行錯誤。透明プラバンや0.5mmアクリルも試し、最終的に1.0mm厚のアクリル板に落ち着く。厚くてあまり伸びないので、型に押し付けて引っ張るのでなく、巻きつける感じ。今度はやや小振りだが、まあいいや。




エポパテの型。

アクリル板を絞って切り出して軽く磨いたところ。


 最大の難関をクリアしたので、あとは普通に組み立てる。自作キャノピの幅に合わせて、胴体接着面を少々削り、コクピットパーツも幅を狭める。計器盤のデカールはパーツと形が合わない。そもそもキットのコクピットフロアパーツは前席と後席で角度が違っていて、そのせいか計器盤パーツの形も前後違う。胴体上部の小エアインテイクは、整形の邪魔になるので削り飛ばす。スジボリが若干異なるので、目立つ部分のみ瞬間で埋めて彫りなおす。



コクピットはデカール。機首に鉛板のオモリ5g。

インテイク内部の壁をくり抜き、内側を赤く塗っておく。実機は多分途中から奥は白となるが無視。突き当りは黒く塗る。

キットの主翼パーツ。フェンスは切り飛ばし、あとでプラバンに置き換える。

十の字。ボーテックス・ジェネレータはグロス塗装の磨きの際に邪魔になるので削り落とす。


 このあたり、細部の考証より模型としての見た目を重視で。


■ 続、組み立て 3/21追加

 しばらくサーブに集中していて、あまり進んでいない。以下画像で。



マーチン・ベイカーMk.10エジェクション・シートはパブラのレジン。塗装はWEB画像など参考にするけど、一部はフィクション。

前後席の仕切りガラスはキットパーツ。コクピットのフチに、細切りプラバンでキャノピ接着用のガイドを取り付ける。

主翼のフェンスは翼前縁にエッチング・ソーで切り込みを入れて0.2mmプラバンを挟む。翼端灯をクリア化。

キャノピの合わせを調整。このあともう少し磨いてから接着する。


 その他、足りないパネルラインなど追加。ただし、グロス仕上げを考慮して全部は再現しない。機体工作は大体終了で、もう少しで塗装に進めるぞ。


■ キャノピ 4/5追加

 キャノピを接着する。内側のキャノピ破砕爆薬(canopy detonation cordというらしい)は糸はんだで再現、フューチャーで接着しようと目論んでたが、面倒臭くなってパス。結局、キャノピ自作してトータルの完成度は上がったのか下がったのか・・微妙。HUDなどのディテールも同様にパス。さておき、接着。サーブB-17同様、胴体側に液体瞬着硬化剤を塗布しておき、キャノピを乗せ、隙間に瞬間を流す。結果、白化は発生せず。ただ、先端部でグレアシールドとの隙間に毛管現象で瞬間が流れてしまう。これ、よくやるミスなんだよね。←いい加減学習しろよ。

 ともかく先へ進む。胴体との段差は胴体側を盛り削りして修正。窓枠をスジボリ。ちなみに使うのはエッチングソーでガイドはハイテクマスキングテープ(同等品はニチバンからクリアーラインテープとして販売されている)を使用。小さいRは同テープをナイフで切り抜いてテンプレートを作ってケガキ針で。実機では、前後席の仕切りガラス部分には窓枠がなく、内側にクッション材を挟んで仕切りガラスが取り付けられているが、1/72では外側から塗った方がスッキリ仕上がるかなと思い、スジボリする。



キャノピまわり終了。

クリアーラインテープ。スジボリ、リベットのガイドとして重宝している。



■ 塗装 5/25追加

 削り飛ばした胴体背部のインテイクは、ランナーを削り出して再生。機首アンテナ基部、胴体フィンも取り付け、塗装に進む。キャノピ周囲に窓枠内側色となるダークグレイを塗装し、サフを吹く。吹いてみると、あちこち不具合が出てくるので1つずつ処理していく。まだキャノピと胴体との接合部分に不満があるが、塗装に進む。

 本作品のキモである赤青白の3色塗装スキームは、誰が作っても塗装するしかないだろう。なにしろ、キットのデカールが白帯しかなく、赤と青をデカール通りに塗り分けるのも大変なのだ。グロス仕上げ、リベットなし、太めのスジボリということで、下地のサフはしっかり厚く吹き、ラプロスで磨く。続いてGX1クールホワイトを3回塗装。これは赤の下地も兼ねる。キットデカールを参考にテープでマスク。

 吹き込み防止に薄く白を吹いてから赤を塗装。赤をマスクして薄い白を吹いて青。実機はラウンデル・ブルーで、例によりフタロシアニン・ブルー(ブルーインパルスカラー)を使う。この塗料はやや透明感があり隠ぺい力が低く、何度も重ね塗り。

 マスクをはがすと、赤の乾燥が不十分でマスキングテープの糊に塗装表面が侵されていて焦る。幸い表面を軽くラプロスで磨いてクリアを吹くと回復する。色の境界も、本当はもっと乾燥時間を取ってテープをはがすとよいのだが、乾燥不十分でいまいちシャープでない。



マスキングしてみると、エンジンインテイク下側のラインがやや実機と異なるためか、赤と青の境界の収まりが悪い。

実機はやや暗めのポストオフィス・レッドのようだが、写真によっては明るく見えるし、模型映えもするだろうとGX3ハーマンレッドを選択。

塗り上がってみると明るい赤は鮮やかで模型映えする。青はもう少し明るくてもいいかな。

下面もマスクして塗り分け。


 次にデカール。ラウンデルもキットのデカール。サイズが小さいため、塗装色との差は目立たない。細かいコーションは省略。主翼上面の黄色枠デカールのニス部分は、貼り付け後にナイフで切って取り除く。その後、ガイアのクリアを2回ほど吹いてラプロス→コンパウンドで磨く。



キャノピ窓枠の白線は、キットの白デカールの細切り。




■ 小物 6/1追加

 脚まわりは、よく見ると実機とかなり違うけど、キットをそのまま使う。前脚は「く」の字形の部分が大きすぎるし、主脚カバーは形が全然違う。前脚が長く、独特の前傾姿勢にならないので2mmほど詰める。脚柱、ホイルはハリアーと同じかと思ってミディアム・シーグレイで塗ったけど、あとで写真を見るともっと明るい。






■ 完成

 機首のピトー管、着陸灯などを取り付け、一応完成とする。アンテナ類は大胆に(?)省略。飛行機のグロス塗装って、難しい。細部をきっちり作りこまないとスケールモデルとして見えてくれない。また、クリアが厚塗りになって、スジボリのキレが悪くなるのも課題。さておき、たまにはカラフルな塗装もいいかな。















■ 参考文献

 練習機ゆえか、モノグラフは少ない。製作にあたっては、専らWeb画像を参考にする。現役機なので細部から外形まで多数あり。

 製作中に資料の援護射撃を頂く。毎度感謝。文献-4、5がそれで、いずれもレッド・アローズ使用機の美しい空撮写真多数。製作モチベ向上に効果絶大。 (3/21追加)

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2 Topshot 49 BAE Hawk T1 978-83-61220-45-9 Kagero
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