ハンバー装甲車 Mk.IV タミヤ 1/48 製作記

2019.11.28初出



最終更新日



■ はじめに 

 いきなり英ハンバー装甲車が登場。いや、チャーチルの裏で密かに進行してたのだ。ポイントは唯一つ。3Dプリンタで斜めトレッドを再現するのだ。 ところで、ハンバーという正しい名称があるのに、タミヤでは7トン装甲車となっている。オトナの事情かな? また、ハンバー偵察車というのもあるが、全く別物。さてここで、各型の違いをwikiでざっとおさらい。

Mk.I:原型。主武装は15mmベサ機関砲
Mk.II:砲塔を換装。車体装甲を再設計。
Mk.III:さらに大型の砲塔に換装。1942年に生産終了。
Mk.IV:ベサ機関砲をアメリカ製のM5またはM6 37o砲に換装。砲塔上面ハッチ改修。

 本当は、Mk.IIIに改造して、アフリカ迷彩にしたかったんだけど、上面ハッチの変更点が分からず断念。Mk.IVは、手持ち資料ではダークグリーンのみ。 ・・・しかし、最近飛行機がおろそかだな。いや、地道に手は動いてるのだけど。


■ 3D設計

 では、タイヤ&ホイルの設計。こういう溝状のトレッドパターンは、IKE氏の「DMM.make & Fusion360 3Dプリントサービス活用テクニック (スケールモデルファンDX) 」新紀元社の方法をパクる。つまり、タイヤを溝の深さ分の「薄皮」と「それ以外」に分け、トレッドの溝をスケッチ→押し出し→パターンで配置して薄皮を切り取り、それ以外の部分と合体させる。ホイルは断面形をスケッチして回転。あとはボルトなどのディテールを加えるだけ。



まず、薄皮の半分を作る。残り半分はミラーで反転。

トレッドの溝を作る。側面の溝は、中心寄りが狭い。押し出しにテーパー角をつける。

薄皮を切り取った状態。便宜上このパターンを矢羽形と呼ぶことにする。

薄皮以外の部分を作る。もう片側も反転して作成し、左画像の薄皮と結合。

ホイルはこんな具合に回転する。なお、ホイルは別デザインで作って最後にタイヤのファイルに挿入する。

ディテールを加える。中心部の「ちくわぶ」形状もインジェクションキットでは一体再現不能。

裏側はこんな感じ。ホイル面を上にして出力するので、内部にサポートの働きをする柱を設けておく。内側のホイルは別作成。

バナナ形のトレッドパターンも作成。キットはこのタイプだが、抜きの都合でパターンの形状が不正確。



■ 追記(2021/12)

 上画像の矢羽根形は、グッドイヤー製のタイヤに近い。修正後の矢羽根形はファイアストーン製。バナナ形はダンロップ製。


■ お持ち帰り

 ホイルは、前後でハブの形状が微妙に異なる。矢羽形の場合、矢羽の向きが左右反対となるので、都合4種類。予備タイヤも向きを選べるように2種作成する。バナナ形は点対称だから、裏返しても同じ形。なお、タイヤ&ホイルは修正版に差し替えているが、上の画像は修正前。修正後の画像は本ページの末尾に掲載。(2/9追記)

ファイアストーン製(矢羽形)タイヤ&ホイル ファイルダウンロード

ダンロップ製(バナナ形)タイヤ&ホイル ファイルダウンロード

内側ホイル ファイルダウンロード


■ 出力

 3D設計の基本形は大分前にできてたんだけど、出力でトラブって今に至る。実は、シャーマンの履帯を出力している頃から、ある層から上が出力されないという「スピリチュアル現象」が頻発。原因が不明で、プリンタの制御部分が原因かと推測してたけど、スペインのアミーゴから「USBメモリを疑え」との教えを受ける(感謝)。今までのPhoton付属の中国製から台湾製に交換したところ、スピリチュアル現象が解消(とりあえず今のところは)。同様の悩みをお持ちの方、試してみては?

 出力メモ。ホイル面を上に出力。層厚0.03mm、時間8秒。サポートが取り付くタイヤの内側は膨れ気味に出力されるが、出力後に削ることとして、データはそのまま。内側ホイルは、膨れ気味に出力されるタイヤに合わせて、データ上は直径を小さくする。



プリントアウトして、キットのタイヤと交換。車体は、ほぼ素組み。

タイヤの向きは、左右とも矢羽が上を指すのが多く見られる。つまり、3D設計のレンダー画像は右舷側になるということ。


 光造形では、データより若干(0.1mmくらいか?)膨れて出力されるため、設計より溝が狭く、浅くなる。そこで、お持ち帰りデータは溝を広く、深く修正しておく。面倒くさいので再出力はしない。


■ 塗装、完成 2/9追加

 塗装は、いつもの手法。以下備忘録。基本色をチャーチルとは変えてC12オリーブドラブにする。並べたとき色相のばらつきがあったほうが、何となく実物っぽいかなと。白を3割混ぜて基本塗装。アクリルのバフで軽くアルコール落とし。水溶きウェザマスでウォッシング。シリコン剥がしは「なし」で、エッジに暗色をドライブラシ。あとは全体のバランスを見ながら、適宜暗色系、埃系をエアブラシ。

 マーキングは、実車写真を参考にイメージ。本当は車両番号の上部に個々の車両のニックネームが入っているけど、省略。赤白旗のマーキングはマスクして手描き。赤はRLM23とセールカラーが2:1。車体Noなどは自作インレタ。

 細部補足。砲塔のアンテナ柱とフェンダーの車幅灯は3Dプリンター。右前フェンダー上のB167弾薬箱と後部フェンダーの2ガロン携行缶は、フェイスブックのグループ「3D48th」を主宰するRodriguez氏設計の3Dプリント。当該グループでファイル公開されている(多分)。サーチライトは、くり抜いてアルミ板と塩ビ板をポンチで抜いたライトに置き換え。バックミラーのステーは0.5mm真鍮線。砲塔横のピストルポート(?)は、抜きの都合でエッジが甘い。スジ彫りして周囲をノミで切り落とし、エッジを立たせる。





















■ 3Dデータ修正

 完成して実車写真と見比べると、タイヤは、もっと幅広いのが正解だな。以前のデータは、タミヤのパーツから採寸したんだけど、要はタミヤのタイヤが細いわけ。パターンもちょっと違うのが一般的。ということで、データを修正する。作品はそのまま。



修正後のデータ(これはファイアストーン製)。幅を広げてトレッドパターンを変更。ダンロップ製(バナナ形)は幅の変更のみでパターンの変更なし。

お試し出力。気が向いたら作品も履き替えよう。









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