M3A1 スチュアート 後期型 1/48 オリジナル3Dモデル 製作記 その2

2022.4.11初出

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■ 最後期型3D設計終了 6/30追加

 恒例の身内ライブのギター練習で、リアル模型は進まず(いや、細々手は動かしてるが)。一方、バーチャル模型は着実に進行し、お試し&修正のプロセスを経て、M3最後期型の設計が一応完了する。HP掲載は四月からだけど、設計着手は昨年末。かれこれ半年だ。まあ、その間スパホやハリアーの設計に寄り道してたりで、正味3カ月くらいかな。



各パーツごとのファイルを1つのファイルに統合したもの。

車外工具の配置はちょっとアバウト。


 前回更新以降の追加設計は、ライト、ライトガード、機銃、車外装備品といった小物パーツ関係。また、お試しの結果で、細かいところを見直す。小物パーツは、単体でも、車体と一体でも出力可能だ。すなわち、車体のファイルにパーツのファイルをインポートしておく。表示をオフにすれば、パーツなしにもできるわけ。



ライト類、ライトガード、雑具箱、機銃、U字フックなど。

車外工具。これらは、シャーマンあたりのキットから持ってきてもいいけど、一応設計。


 車体の出力方向は、単純に上を上にすると後部の斜め装甲板上部エッジに「膨れ」が生じる。これを解消するには、九七戦車と同じく横(ロール方向)に15度ほど傾けるのがベストのようだ。その際、フェンダーと雑具箱は別出力、エアクリーナーと一部の小物パーツ(ステップ、サイレン、尾灯など)は一体とする。砲塔は前を下に15度ほど傾ける(すなわちピッチ方向)と、上端エッジの膨れと側面の積層痕の両面で効果がある。砲身と防盾は一体で立てて出力がいいかな。

 現在使用しているレジン(Sirayaホワイト)は、やや膨れが生じる。そのためスジボリを太目にしてある。別のレジンやプリンターでは過大になるかもしれない。そのときは、タイムラインを遡って、スケッチを修正するか(「親」寸法を変えると、関連付けた寸法が同時に変わる。こういうところがFusion360の良さ)、「面をオフセット」で幅を調整してくだされ。また、車体側面および後面の下端と砲塔下端には、サポート取り付け部の凸凹に対応して0.2mm程度のマージンをつけている。組み立て時にはこれを削り落とすべし。



この出力方向を推奨。細部の設計は、この方向に最適化されている。

砲は、横や斜めにすると歪む。車体と一緒にプリントすれば、時間の節約になる。

青い部分がサポート接合部のマージン。画像はないが、車体後部のオーバーハング後下端、車体最下端にもある。

こちらは砲塔。車体との接合リングは別出力し、マージンを削り落としてから砲塔に接着すべし。


 車体後部斜め装甲板の膨れ対策として、斜め板以降を別パーツとして切り離し、最適方向で出力して接着という方法も考えられる。まあ、15度のロールでなんとか膨れが解消したので、そこまでしなくてもいいと思うが。(設計はしてある。タイムラインを最後まで進めると切り離される。)

 また、これまでアップしてきた「暫定版」ファイルを最終版にバージョンアップ。足回りは、各パーツの勘合の調整、出力時の問題点の解消など。また、お持ち帰りファイルには、サポートも追加する。履帯はサポート強化と同時にディテールを微修正。車体は、メッシュの変更、パネルラインの修正、フェンダーの泥除けおよびリベットの追加など。



この分割位置だと、上面の接着線はパネルラインとなり、側面は雑具箱で隠される。

メッシュを面一杯に拡大。最後期型の燃料キャップはキットよりも高さがある。


 現在、最終版の出力中。次回はいよいよ組み立て&塗装のリアル模型だ。なお、小物パーツの設計残(アンテナ基部、アンテナ台、車外機銃、ワイヤロープなど)は、既存キットから流用または自作可能なので、設計はこれで打ち止め。次はM5だ。


■ 考証補記

 手持ちの現存車両の写真だと、細部のバリエーションが多い。これらの中には、WW2当時の記録写真では確認できず、実際のバリエーションなのか、いい加減なレストアによるのか、よく分からないものも多い。主なものを記載する。

 フェンダー前部の補強部材(2つある)の有無、位置。前照灯のサイズ(初期はライトが大きい)、位置。ライトガードの位置、サイズ、形状、補強部材との位置関係。車体後部上面のアンテナ取付台の有無(砲塔の取付台の有無と関係あり?)、操縦席側面部のリベットの数、サイレンのディテール。上面右後方点検パネルのリベットの有無と手掛けの形状。車体後部、フェンダー等のストラップ止めの数、位置。エアクリーナーのディテール(出鱈目レストア?)砲塔ハッチのヒンジ位置(外側に開く。現地改修か?)。車体後下部にグリルがある車両もあり(最最後期型?)。情報求む。


■ 3DPはズルいか?

 最近SNSでは、この話題が盛り上がっているらしい。私はクォリティ至上主義なので、手だろうが3Dプリンタだろうが、ベストのものを選択するだけ。だから、ズルいとかズルくないとかいう議論は、そもそも意味がない。まあしかし、出来ない人から見れば、確かにズルいかもね。だから「ズルい」って言葉は賛辞にしか聞こえない。ああこのズルという言葉の甘美な響きよ。←ズル休みとか。

 なお、3Dって、いかにも簡単そうに見えるかもしれないが(たしかに小パーツなら簡単だ)、今回のM3程度になると、それなりに時間と情熱と知識と忍耐が必要で、そのあたりはフツーのプラモデルと何ら変わりはない。


■ 設計修正 7/28追加

 お試し含めて設計終了!と思ったんだが、いざ本番出力して組み立てたところ、基本設計のミスに気付く。前フェンダーと履帯との隙間が狭いのだ。レンダー画像だと気づかないもんだね。フェンダー傾斜角を1°緩め(先端がその分上がる)、グレイス(前下部上面)は0.5°緩める(以前のが間違いで、今回合わせて訂正)。その他にも、見逃してたミスや改善点を発見し、その都度修正再出力して、結構大変。

 車体後方の切り離しは、意味がないのでやめる。砲塔は、ハッチを別ボディにする。タイムラインを最後まで辿ると、ハッチが開く。ただし、閉じた状態で出力するなら、ファイルの状態ではハッチ部分が薄いから、タイムラインを少し遡って、ハッチを薄くする前の状態で出力するとよい。ペリスコープはM5と同じ大きさに変更。多分タミヤM3A1のは直径が過大。M5の砲塔に納まらないのだ。



ハッチオープン状態。ただし、砲塔側のフチの厚さはそのままなので、そこは各自なんとかされたし。(出力後に削るのがいいかな)


 ともあれ、これで本当に設計終了。四面図を掲載する。一目盛り1mm。組み立ての際、部品取付位置の参考になればと。お持ち帰りファイルも、修正済み。



フェンダー修正後。以前の画像は修正前なので、履帯との隙間をチェックしてみてくだされ。



後方車外装備品などの取り付けの参考にしてくだされ。ま、位置はアバウトだけど。



■ 出力

 再出力。当初、ライトガードなどの細い小物はタフレジンにする予定だったが、レジンを交換してバットを掃除したりするのが面倒でそのままホワイトレジンで出力しちゃう。ぶつけると、すぐ折れるだろうけど、折れたらその時考えよう。となれば、小物もそのまま一体出力がよい。ということで、前フェンダーとライト、ライトガード、ステップ、手掛け、車外工具なども車体と一体(シャベルと機銃のみ別)。

 方向は、ロール15°、ヨー15°、ピッチ0°を推奨。この場合、下になる側のフェンダー下端には欠けが生じるので、十分なマージンをつけておくべし。お持ち帰りファイルにはついてない。悪しからず。砲塔は、ロール0°、ヨー15°、ピッチ-15°を推奨。砲身、機銃、防盾は一体で、砲口を上に立てるのがベスト。



最終的に、この方向、パーツ構成で出力。後ろフェンダー、雑具箱は別出力。


 雑具箱は、車体と同じ方向がよい。後ろフェンダーは90°ロールかな。二次硬化前にサポートを外したら、フェンダーが歪む。完全硬化後にサポートを除去すべし。


■ 組み立て

 ここまで、えらく長い道のりだったけど、最終版パーツが出来ちゃえば、組み立ては半日作業。しかも、作業の大半はサポート除去と除去部の整形、積層痕のサンディング。ただし、足回りの組み立ては注意がいる。履帯両脇のガイドが邪魔で、シャシーを接着してしまうと履帯がはまらないのだ。この組み立ては知恵の輪だぞ。

 では私の推奨手順。まず、誘導輪と履帯を一体出力してしまう。どうせ後で筆で塗り分けるので、これでいいのだ。塗装後に組みたい人は塗装して接着する。起動輪内側のみ車体にはめる。誘導輪サスの内側のアームを誘導輪に接着。この状態で履帯を起動輪に仮り組み。転輪とボギーは別に組んで、所定位置に仮り置き。まだ接着しない。

 次に、上部転輪を車体に取り付ける(上部転輪を履帯と一体出力というのもありかな)。ボギー前後を車体に接着(接地面が水平になるように、また前後から見て履帯が曲がってないか注意)。誘導輪サス(外側)を車体に接着。出力条件などによっては、履帯長さが合わないかもしれない。そのときは、誘導輪サスの接着位置を前後させて調整する。私の環境下では調整いらず。最後に起動輪外側を接着する。



組み立て終了。雑具箱を接着して、それを基準に後ろフェンダーを接着。その後、足回りを組み立てる。

サフを吹いて、見落としてた積層痕をペーパーで削り落とす。ヒケやピンホールは、タミヤパテ。

これは、フェンダー修正前のもの。無視しようと思ったけど、やっぱりやり直す。

サイズ感はこんなもの。意外と小さいでしょ。ちなみにこれもフェンダー修正前のもの。


 砲身が、二次硬化後に少々曲がってしまう。砲身を垂直に立てているから、理論的に曲がる要素はないはずなんだけど、原因不明。何度やっても同じ方向に曲がる。空洞にして真鍮線を通す作戦は、細すぎて穴が埋まる。結局、熱湯に浸けて直す。レジンを変えると良くなるかも? というのも、同じようなチハ新砲塔の砲身は曲がってないのだ。



ともかく、組み立て、サフまで終了。手の平サイズでここまでディテールが出てるってのは、3DPって、やっぱすごいな。ボギーの前後方向の抜けやエンドコネクター側面なんて、1/35キットでも再現されてない。


 次回は、塗装して完成。


■ 残りの工作 9/6追加

 前回から大分放置しちまったな。F-5と疾風が完成したので、こっちに集中だ。塗装の前に最後の工作。車外装備品は革ベルトで留められている。鉛板の細切りで再現。本当はズボンのベルトのようなバックルがあって、3D設計しようかと思ったけど、面倒になってパス。

 前照灯は0.1mmアルミ板を2.5mmポンチでくり抜き、0.2mm透明プラバンを直径2.5mmに切って(これはナイフとヤスリで)プライマーで接着。エッジが白く浮くので、ダークグレイを塗る。これは塗装後に木工ボンドで取り付ける。



ヘッドライト出来上がり。ポンチで抜くだけでアルミ板がレンズ状に凹む。



■ 塗装

 塗装。基本色はC330ダークグリーンに白2割ほど。足回りはC22ダークアースを少し加える。偶部とエッジに軽くシェーディングする。履帯のゴムはC333エクストラダークシーグレイ。ここまでエアブラシで以下は筆塗り。転輪ホイルとマッドガードのゴムは、当初EDSGで塗ったところ明る過ぎ。自作タイヤブラック(RLM66ブラックグレイ相当)で塗り直す。履帯のエンドコネクタはC522土地色。シャブシャブに薄めて、さっと塗る。ショベルなどの鉄部分も同色。木部はC526茶色。



エアブラシの基本塗装終了。

前述のベルトがこれ(赤矢印)。



■ ウェザリング

 チッピングは土地色。この色はちょうど黒錆の色をしており便利だ。エッジにドライブラシ、あるいは面相筆で点描。広い面はスポンジでちょんちょんと。次に、水溶きウェザマスの木甲板で全体をウォッシング。エンドコネクターなどには茶(サビ)をウォッシュ。ここで一旦シンナーを吹いて定着。



足回りの筆塗り、茶系のウェザマスとチッピング終了。

そのクローズアップ。



■ マーキング

 マーキングに少々悩む。手持ち記録写真を調べて、砲塔左右と上面に白星を描く。1943年末マキン島の第193戦車大隊(tank battalion)や1944年初めクェゼリン環礁の767戦車大隊の例がある。前者は砲塔側面前寄りに車両番号?が記入され、車体後部にも識別番号?が小さく記入されている。また、車体側面にはシリアルナンバーが水色?で記入されているかも。後者の車両番号等の有無は不明。

 とりあえずこれら番号類はスルー。そのうちインレタ作ろうか。また、記録写真では、白星記入車両は、車体後部左側にアンテナを装備している。取り付け台は板を逆L字に曲げたもの。とりあえずこいつもスルーする。そのうちプラバンとジャンクパーツで取り付けよう(←いつやる?)。

 この白星、マスクして塗装するには、星の直ぐ隣にハッチやアンテナ台があって、マスキングが困難。最初に白を吹いて、星をマスクしてODなら簡単だが、今更それもねえ。ということで、ベタデカールを星形に切って貼る。星はPCでお絵かきしてカッティングマシンでマスキングシートを切る。カルト製デカールの上に貼り、それを目安にして切る。いきなりデカールをマシンで切るのは、位置決めが困難なのだ。貼り付けてフラットクリアを吹き付け。



砲塔白星の記入例。画像はネットより拝借。アンテナに注目。

RAAFラウンデルの白を活用する。緑がマシンカットのマスキングシート。



■ 完成

 デカール貼ってみて、なんかちょっと全体がぼやけた印象。ウェザマス黒のウォッシュを重ねる。サビ表現も加える。機銃や履帯の鉄部分などに鉛筆粉。

 以上でとりあえず完成。前述やり残しはそのうち。手の平サイズのかわいい戦車が出来上がって大満足。お尻の丸い最後期型にしたのは、マーキングの選択肢が増えて大正解。タミヤのタイプは実車写真が少なく、マーキングが限られる。

 3Dフルスクラッチも2作目となると、だいぶ手慣れてくる。今回のハイライトは、ポリゴンモデリングの習得。しかもfusionフォームとblenderの二刀流だぞ。鋳造の防盾、なかなかよく出来てるでしょ。これで模型の世界がまた少し広がったよ。将来はポリゴンモデルの飛行機フルスクラッチってか。



大画面だと、細かいディテールがよく見える。苦労が報われる瞬間だ。





以前シャーマンで作ったお荷物類を拝借。





車外機銃もつけたいな。これはM5で3D設計する予定。















同スケールのライトニングと記念撮影。飛行機って大きいんだよなあ。

チハと記念撮影。車高はM3、全長はチハが上回る。幅は同じくらい。




 スチュアートシリーズはまだ続く。引き続き、M5A1の設計を進める。





■ 3Dデータファイル

 お持ち帰りファイルのダウンロードは、右のDLをクリック(ブラウザによって保存方法が違うけど)。左は閲覧のみ。Blenderファイルは閲覧なし。


M3スチュアート 防盾  ●DL

M5スチュアート 防盾  ●DL

M5防盾 Blenderファイル ●DL

M3A1スチュアート 後期型砲塔  ●DL [7/8修正]

M3スチュアート 起動輪  ●DL

M3スチュアート 転輪  ●DL

M3スチュアート 遊動輪、上部転輪  ●DL

M3/M5 T16 履帯  ●DL

M3スチュアート サスペンション  ●DL

M3A1スチュアート 車体(最後期型) ●DL [7/19修正]

M3スチュアート ライト、雑具箱  ●DL [7/13修正]

M3スチュアート 車外装備工具  ●DL

M3A1スチュアート最後期型全体(閲覧のみ) 




■ 参考文献

 M5も含めて掲載。モノグラフ以外は、M4シャーマン参考文献とほぼカブるので、そちらを参照されたし。


1 Armor Walk Around 5719 M5 Stuart Tank Squardron/Signal
2 Armor in action 2018 Stuart Squardron/Signal
3 Osprey New Vanguard 033 M3 & M5 Stuart Light Tank 1940-45 Osprey
4 Osprey Vanguard 017 The Stuart Light Tank Series Osprey
5 Stuart A History of the American Light Tank Presicio Press
6 Wydawnictwo Militaria 44 M3 Stuart Wydawnictwo Militaria
7 Tankograd 6013 U.S. WWII M5 & M5A1 Stuart Light Tanks Tankograd Publishing
8 Kagero Photo Snoper18 M5A1 Stuart Classic
9 Armor At War 7004 Tank Battles of the Pacific War 1941-1945 Concord
10 Armor At War 7038 US Light Tanks at War 1941-45 Concord
11 TM 9-726 Technical Manual Light Tank, M3 War Department
12 TM 9-732 Technical Manual Light Tank, M5 War Department







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