マチルダ Mk.III(タミヤ1/48)製作記
2012.12.27初出
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製作にあたって、ネットでIWM(帝国戦争博物館)のアーカイブなどで実車について調べる。便利な世の中になったもんだ。で、写真を眺めていると、当時北アフリカで戦ったマチルダ達は、タミヤのキットとはちょっと違った姿をしているんだね。史実どおりに作らないといけないなんて野暮は言うつもりないけど、人と違った模型が大好きな私にとって、プチ改造で差別化できる格好のポイント。これはやるしかないよね。
2回目は、車体下部側面と一体となっている前部フェンダー内側部(画像C)を切り離し、車体上部に接着しておく。車体下部側面には、先に足回りと側面装甲を接着する。これと車体上部を接着したら、最後に車体下部底面を接着。フェンダー内側(C)と本来の車体下部側面の間のアイドラーホイル調節部が開くが、誤差を目立たないこの部分に持ってきたためで仕方ない。 |
![]() 上記組み立て方法で、A(フェンダーと側面装甲)、B(側面装甲と車体下部)の合わせはばっちり・・のハズだが。 |
![]() それでもAの合わせが気に入らず、結局パテ埋めして削り合わせ、消えた凸リベットは延ばしランナーで再生。何やってんだか。 |
次は差別化のプチ改造。フェンダー前端の切り欠きをプラ材で埋め、さらにオーバーフェンダー(というのかな?)を取り付ける。車体後方の増加燃料タンクは付けない。以上で9割方組み立て終わり。あとは予備履帯と、後述する車体後部の追加装備くらい。 |
![]() オーバーフェンダーはプラバンで。砲塔側面と車体前面にはパテで鋳造肌。 |
![]() 砲塔左側には真鍮帯金でラックのみ再現。フェンダー左右の車幅灯(かな?)は抜き勾配で台形をしており、直方体に削り直す。 |
また、砂漠では車体後部の増加燃料タンクを装備した車両は皆無。当然保持ステーもなし。さらに車体後部に荷物ラックを付けた車両も多い。というか、後部が写っている車両は皆ラック付き。砲塔左側にシートを載せた車両は少なく、ラックのみが多数。バックミラーはいかにもすぐに壊れそうだが、実際残っている車両も僅か。これはモデラーには嬉しい。砲塔後部のアンテナ基部もバリエあり。車長ハッチ付近のスポットライトは、専ら「なし」。 次は塗装。特徴的な三色迷彩は、確認できたものは前期型のみ。その塗り分けは、大まかな傾向はあるものの、細部は車両によって様々で統一がない。車体後部上面の塗り分けは不明。本当にキット指定のような凝った塗り分けだったか疑問。三色迷彩の暗色は資料により茶系、緑系あるが(キット指定も2種あり)、モノクロ写真ではどれがどれだかサッパリ分からん。後期型になると専らサンド単色となる。以下、画像はIWMアーカイブから。 |
![]() キット指定塗装のPHANTOM号。車体番号が若い前期型だ。オーバーフェンダーに注目。増加燃料タンクなし。 |
![]() 前期型の三色迷彩をもう一枚。捕獲した伊軍の旗を掲げているとのこと。スモーク・ディスチャージャーも無い。ヘルメットは常備品だ。 |
![]() 前期型。荷物入れのフタはスリットつき。一見サンド単色に見えるが、側面装甲やオーバーフェンダーに塗り分けがあるし、砲塔右舷前部が暗色で、三色迷彩である。 |
![]() 後期型。右舷荷物入れが開いており、プレーンなのが確認できる。フェンダー前端は切り欠きあり。単色迷彩だが、フェンダー前部のみ色違い。履帯は珍しい形状をしている。 |
欧州大陸のシャーマン戦車は荷物満載だが、マチルダには荷物が少ない。逆に、欧州のドイツ戦車は荷物が少ないが、砂漠のIII号は荷物・燃料満載。マチルダとIII号の違いは戦術の違い(歩兵支援と機動戦)が理由だろうが、ちょっと面白いね。 さて、今年も残りあとわずか。最後に馬を更新して新年を迎えたいところだが。
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![]() マチ針のような棒は、0.3mm洋白線の先端に瞬間をつけてプラ粉に突っ込む。2回ほど繰り返してナイフとペーパーで整形。簡単にできる。 |
![]() 荷物ラックは、プラバン細工。写真を見るとバリエーションがあり、中の箱ともどもテキトーにでっちあげ。 |
![]() 砲塔まわりにも追加工作。車長用照準器?は0.2mmアルミ板。真鍮より加工が簡単。その分曲がりやすいけど。 |
![]() 防楯上部の溝は、実物はスリット。キットのモールドは曖昧で、彫刻刀とピンバイスで深く彫る。 |
関連して実車写真。出典はIWM。 |
![]() 後部ラックの一例。三色迷彩の前期型だろう。不鮮明な写真数点しかなく、細部は不明。 |
![]() 太平洋戦線におけるオーストラリア軍のマチルダ。鋳物のフェンダーとかカウボーイハットとか、改造ネタとしては面白いアイテムだ。 |
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![]() 基本塗装はエアブラシ。マスキングが面倒臭い。透け防止に暗色を吹いておく。はみ出しは筆でタッチアップ。履帯や装備品なども筆塗り。 |
![]() 暗色ウェザマスでウォッシング。拭き取り時に、右後ろフェンダー上の板(用途不明。上2つの丸は赤白ランプらしい)が取れる。 |
チッピングと砂&埃系汚しはこれから。
砂&埃系汚しは、いつもの水溶きウェザマスのライトサンドを足回りにたっぷり。それだけでは埃感が足りず、極薄セールカラーをオーバースプレー。チッピングはダークグレイをスポンジでちょんちょんと。もう少し汚しを追加したいが、一方でただ汚らしくなるだけのような気もするし。この「止めどころ」は難しい。 車体後部の荷物ラックがちょっと寂しくてシートを追加。マクドナルドの紙ナプキンを適当に丸めて押し込み、水で濡らして形を整え、乾いてから溶きパテを塗る。以上で95%完成。残る車体番号はP-51と一緒にインレタを作る予定。車幅灯(?)と機銃もまだ。ヘルメットとフィギュアも添えたいな。 |
![]() 砲塔の赤白帯は左右真横、車体側面は前寄りにする。車体前面の赤白帯も例はある。 |
![]() 右側面。参考にした写真の位置そのままで。ラックの中に丸めたシートを追加。 |
![]() 気分は完成。チッピングはもう少し修行が必要だな。オーバーフェンダーが自己主張してくれて、これには大満足。予備履帯とその後ろのポールは目立つのでポイント高い追加工作である。あとはほとんど素組みでこの精密感は、キットの出来がとんでもなく良いということに他ならない。 |
で、私としてはカラー写真に重きを置き、A説をとりたい。Aが正解だとすると、ライトブルーを使った三色迷彩は、モノクロでは二色迷彩に見えるはず。実際そんなふうに見える写真は存在する。そう思って写真を見返すと、タミヤ塗装例のPHANTOM号の中間色はライトブルーでなくダークグリーンのように見える。とはいえ、うっすらサンドとライトブルーらしき濃淡が見られる写真もあり、このあたりは退色とかペンキの色のぶれ(現地調合もありえる)もあったか。 |
![]() A説の根拠のカラー写真。着色写真には見えないが・・ま、上手な人もいるから。ネットで拾ったため出所不明。 |
![]() 再掲、PHANTOM号。迷彩色はサンド、ダークグリーン、ダークブラウンではないかな? 赤白帯の位置にも注目。 |
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![]() ライトが箱に落ち込まないように伸ばしランナーの足をつけ、スジボリ堂のUVクリアを表面張力で盛り上がるように盛る。 |
![]() 取り付けて軽くウェザリング。手前の棒が邪魔になるので、取り外し式にしてある。 |
ともあれ、楽しんで製作できた。タミヤのキットは、2個買わされたのはさておき、他には一切ストレスなく、それでいて極めて高い再限度なのは流石。天邪鬼なマニア向けに、穴(オーバーフェンダーとかね)を残してくれてるのも心憎いばかり?? さて、48陸シリーズ、まだまだ続く。次も砂漠で最新キットを料理する予定。
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ところで、タミヤの1/48フィギュアは身長33〜4mm(48倍して160cm内外)が大多数だが、同社HP上では約37mmと表示されている(48倍で178cm)。いくらなんでも、嘘はいけないと思うなあ。知らない人は騙されてしまうよ。37mmと書くなら、製品も37mmにしてくれ。 |
![]() 今回は針金方式。身長だけでなく、肩幅も広げる。 |
![]() ミリプットを何度か盛り削り。33mmのおっさんと撮影。「何でまたワイ呼ぶねん」 |
![]() さらに何度か盛り削り。やや小さい顔に溶きパテを塗って拡大。どうやっても、太ももが女性っぽくなってしまう。 |
![]() 戦車に乗せてポーズ確認。 |
![]() ファレホで塗装。手法、使用色等は、これまでの作品と同様。 |
![]() 完成を焦ったのが敗因か。造形、塗りとも細部の出来がイマイチだな。 |
![]() 肩章、ポケットのフラップに、0.3mmプラバンを使用。流し込み接着剤をたっぷり塗布して柔らかくする。 |
![]() アップはちときびしい。 |
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では静岡で。