ベル P-400 エアラコブラ 1/72 アルマホビー 製作記
2024.4.11初出
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製作コンセプトは、基本素組みで、コルセアとサンダーの箸休めに、ゆるゆるまったり作る。マーキングは、キット指定から選ぶ。とはいえ、完全素組みでは面白くないので、ワンポイント手を加え、ささやかに個性を主張したい。 今回、図面は作成しない。キットのアウトラインがいいときは、図面を描く必要がない、というスタンスなので(例外あるけど)。3DPは、ベルト付きシートくらいかな。
さらに、美点として強調したいのは、主翼の部品分割だ。キットは、単純な上下分割で、それなのに後縁が非常にシャープ。よくあるように、エルロンを上下一体として下面のエルロン境で分割されると、そこがキレイに工作できず、余計な手間がかかって困るのだ。厚くなったエルロンにはヒケも出来るしな。タミヤには、早くその分割方法を止めてもらいたいものだ(あと翼端別パーツもね)。 あと、P-400では機首の機銃口付近が3Dパーツとなっている。この合わせが驚異的に良い。代表は「同じデータだから」というが、単純に同じデータなら、プリント時の痩せ、太りでこうはピッタリ合わないはず。慎重な調整がされているものと推測する。 以上、貰ったからという訳ではないが褒めちぎったところで、私の好みでは「できればこうしてほしかった」も書いておこう。同社のいつものスタイルで、凸に盛り上がるキャノピのフレームが、ややごつい。私は、ハセガワのような表面がフラットで凹スジボリが好み。いつもお願いしてるのだが、なかなか実現しない。ひょっとして、ポーランドの金型事情でハセガワ的表現が難しいのかな? それと、別パーツとなっているエレベーターとラダーは、接着シロが少なく、強度的に弱い。粗忽な私は、製作中に破損してしまうだろう。ここは無理せず一体パーツでよいと思う。また、エレベーターとラダーのリブ表現が、ちょいオーバー。一方、同じ羽布貼りのエルロンではリブがなく、バランスを欠く。ここは、どちらも疾風のような表現でよいと思う。 ということで、あれこれ書いたが、結論は「買い」だ。(って、お前はアルマの回し者か→はい、その通り)
完全にモールドを削り落としてからスジボリすると、フレームの位置決めが厄介。モールドのあるうちに、フレームの隅をスジボリすれば、位置は決まる。ただし、それだとフレームの幅が太くなる。そこで、片側のみスジボリしてからフレームを削り落とし、もう片側はそのスジボリをガイドにすれば、問題解決だ。以下画像で。 |
キットのキャノピ。画像はネットで拾ったもの。フレームの表現に注目。 |
フレームをガイドにエッチングソーでスジボリ。後半上部は機体中心線に合わせるため左右ともスジボリ。 |
スジボリを一旦セロテープに写し取って、その形にカッティングシートを切り、それをガイドとしてダブル針でケガく。 |
コンパウンドで磨いて出来上がり。正面窓下方の防弾板は、邪魔なので削り落とし、あとでプラバンで再生する。 |
補足。スジボリを写し取るには、セロテープを貼って、ケガキ針でスジボリをなぞる。それを黒いカッティングシートの上に貼ると、ラインがクッキリ見える。これ今回の新たな発見。これまでは、マステに細ペンで描いていた。これだと正確さ、精密さに欠けるのだよね。 胴体およびドアとの境のフレームは、上記方式ではなく、ダブル針の片側をパーツのエッジに引っ掛けて彫る。以下個人的メモ。胴体境:0.8mm、ドア境:0.6mm、正面上:0.4mm、正面左右および天頂:0.3mm。
つまり、普通にコクピットを挟んで胴体左右を接着し、キャノピを乗せ、ドアを外からはめると、たぶんドアと胴体とキャノピの3つを段差無くキレイに接着するのが難しくなる。(やってみると杞憂かもしれんが。でも、うっかりドアを中に押し込んだら、どうやって外に戻す?) そこで、左舷は閉じ、右舷は開くことにする。これなら、左舷ドアを押し込んでも、中から押し出してやればいい。片方開くことで、モデルに動きが出て、見栄えもいいだろう。人様の作品もこのパターンが多い。考えることは一緒だね。ただ、もし左右とも閉じて作って、かつ段差ゼロの作品があったら、その作者は「凄腕」。一見地味だが、実は超高難易度工作をキメてることを覚えておこう。 ついでに、左右閉じるなら私はこう作る、という方法を思いついたのでご紹介。ドアの窓部分を切り離し、先にキャノピパーツに接着する。ドアの下半分は先に胴体に接着/段差修正する。あとは普通の飛行機キットのように、胴体にキャノピを乗せ、合わせ目を処理する。このとき、ドアの窓の境ギリギリでカットすると、切断面が窓越しに見えてしまうから、0.5mmほど離してカットする。内側に切断線が見えてしまうが、キャノピ越しならあまり目立たないだろう。 方法その2:コクピットパーツを胴体左右接着後に下から後はめ出来るように加工しておき、胴体左右、キャノピ、左右ドアを接着。合わせの調整、段差消しの後、コクピットを組み込む。ただし、後はめ可能かどうかは未確認。少なくとも前脚収容部と一体に組んでしまうと無理だろう。床、後方フレーム、後方デッキを別にしておいて、後ろからはめればいけるかも。 方法その3:片側(両側でもいいけど)のドアの窓をくり抜いて「窓開け」状態にする、って手もあるな。 製作はもうちょい進んでいるが、初回ここまで。
この色は、コクピットだけでなく、脚柱や脚カバー内側にも塗られたそうな。そこで、当時のカラー写真を眺め、「えいやっ」とC340フィールドグリーンFS34097のビン生に決める。→その後発見したカラー写真だと、もっとオリーブドラブに近いかも。ま、いいや。 続いて工作。キットそのままストレート。とてもよく出来ている。照準器、操縦桿、座席は後で取り付ける。 |
コクピット出来上がり。内部色はぺぺっと筆塗り。計器盤はキットデカールの貼りっぱなし。 |
コクピットと前脚収容部とオモリが一体となる。鉄球もキットに含まれる。素晴らしい。 |
コクピット後部のデッキは、このとき一緒に組み込むことになっているが、取付ガイドを切り落とすと、あとで下からはめ込むことが可能となる。窓掃除のため、あとはめにする。 |
胴体左右接着。ヒケないように上面のみ瞬間を流して接着。その他は流し込み系で。デッキは後付けする。 |
一体の水平尾翼と3DPのガンカバーも接着。 |
水平安定板とエレベーターは別パーツ。これは0.3mmの真鍮線を左右2箇所ずつ打って、瞬間でしっかり接着する。それを避けるなら、塗装まで別パーツのままにしておいて、最後に接着するしかないかな。ガンカバーの合わせは驚異的に良い。ごく少量の瞬間で接着する。
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キャノピとドアを接着し、それらと胴体をツライチに削り合わせる。そこで気付く。ドアの窓枠が少々太い。無視するか・・ |
やはり気になるので、ドアの窓枠を削り落として、新たにスジボリすることに。 |
スジボリには、カッティングシートをマシンでカットしたガイドを使う。 |
スジボリ終了。少々ガタガタしてるのは技術の限界。気にしないことにする。 |
アルマのキットは、キャノピが鬼門だな。
エルロンのタブは、内側がトリムタブ、外側はサーボタブ(エルロンと反対に曲がり、操舵力を軽減する。バランスタブとも)。このサーボタブを装備した型式は、エレクション&メンテナンスマニュアルに限定列挙されており、その中にP-400は含まれない。なお、一部資料は、左右でタブの数が異なるものがあるが、それはない。両側2つか両側1つのどちらか。 水平安定板、垂直安定板の断面は、参考文献-4の補修マニュアルに図がある。図中にスケールがあって、それで測ると、水平安定板は内寄りのヒンジの断面で厚さ3.6インチ程度。1/72なら1.3mmで意外と薄い。キットの厚さは正しい。垂直安定板は下側のヒンジの断面で厚さ5インチ程度。1/72なら1.8mm。こちらもキットは正しい厚さ。先端はP-47ほどではないが、尖り気味。同時代の米陸軍機には、他にも尾翼先端が尖っている機体がある(P-40、P-47)。流行ってたのかな? |
E&Mマニュアルの記述。エルロンのリブ配置も分かるね。タブはラミネートされたフェノール樹脂製だって。 |
垂直安定板の図。リブの配置も分かる。実機写真を見ても、先端は尖り気味。 |
1 | 新版 世界の傑作機 No.36 ベルP-39エアラコブラ | 文林堂 |
2 | 旧版 世界の傑作機 No.34 1973年2月 ベルP-39エアラコブラ | 文林堂 |
3 | Handbook of Erection and Maintenance P-39 Series Airplanes | Bell Aircraft Corporation |
4 | Instructions for Repair of Airacobra I Airplanes | Air MInistry |
5 | Parts Catalog P-400, P-39D, D-1, D-2 and K-1 Airplanes | Army Air Forces |
6 | Pilot's Flight Operating Instructions P-39N-0 and P-39N-1 | Army Air Forces |
7 | P-39 Airacobra in Action Aircraft No.43 | Squadron/Signal Publications |
8 | D&S 63 P-39 Airacobra | Squadron/Signal Publications |
9 | Aircraft of the Aces 36 P-39 Airacobra Aces of World War 2 | Osprey Publishing |
10 | Duel 87 P-39/P-400 Airacobra vs A6M2/3 Zero-sen New Guinea 1942 | Osprey Publishing |
11 | Bell P-39 Airacobra | Crowood |
12 | Warbird Tech 17 Bell P-39/P-63 Airacobra & Kingcobra | Specialty Press |
13 | Yellow series 6106 Bell P-39 Airacobra | Mushroom Model Publications |
14 | Monografie Lotnicze 58 P-39 Airacobra cz1 | Aj-Press |
15 | Monografie Lotnicze 59 P-63 Kingcobra, XFL-1, P-39 cz2 | Aj-Press |
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