P−43ランサー製作記

 

 スクラッチビルドに興味のある方のために、製作法をもう少し詳しく紹介する。なお、必ずしもこれがベストの作り方だとは、私自身も思っていないので念のため。

図面づくり

 真横から写した実機写真から図面を起こす。基準座標を決め、代表点を座標に置き換え、1/72換算して方眼紙に描く。換算のところではエクセルを使うと簡単。こんなことをしなくても拡大・縮小コピーをすればもっと簡単。ただし、エクセルをうまく使うと写真の歪みを修整することも可能。

胴体木型製作

 バルサを使う。原型は左右2分割とする。キャノピーは別に型を作る。側面図、平面図をバルサ板にトレースして削っていく。形ができたらパテで表面を平滑にする。

レジン複製

 シリコン型をとりレジンを流す。ワンオフだから片面型で十分。
 型から外したレジンの固まりから不要部をカットする。さらに胴体はムクなので、エンジン、コクピット部を掘る。

組み立て

 主翼、垂直・水平尾翼はP−47のキットから加工する。胴体表面をサンディングすると気泡が現れる。この処理に相当手間取る。最終的には瞬間接着剤でコーティングするような形になる。ここまでくると、あとはガレージキットと同じ。

キャノピー製作

 エンビでヒートプレスする。私のやり方を紹介する。
 型を作るときは、製作中の胴体に取り付けられるようにして、胴体とキャノピーとのバランスをチェックする。←これは重要なポイント。型はつるつるに磨き、棒状のものに固定。
 0.3mmエンビ板を5×10cm程度に切る。型とエンビを濡れティッシュで拭いてホコリを取る。←これも重要なポイント。網を外した電気ストーブに1cm位まで近づけて加熱。熱いからペンチなどで持つ。ぷるぷる状態になったら両手に持ち替え型に押しつける。何個か作って一番いいのを採用。
 はさみで大まかに切って、カッター、ペーパーと整形。接着は曇らない瞬間。接着までは「キャノピー」を胴体に合わせ、接着後は逆に「胴体」をキャノピーに合わせるべく最大限努力する。
 マスキングは、まず位置決めに窓枠位置に細切りテープを貼るとよい。塗装後にマスキングをはがす際には、境目にナイフでスジを入れるとシャープになる。

小物、仕上げ

 あちこちから小物を調達、加工して取り付ける。小物やデカールの調達がスクラッチの成否を左右する。ちなみにエンジンはF4F、タイヤはP−40、ターボチャージャーはP−38 、脚柱とペラはP−47で、いずれもハセガワ。マーキングは一部手描きと別売り文字デカールの切り貼り。

完成

 このモデル、資料@を見ていてムラムラと製作欲が湧き起こり、一気に作りあげたもの。近頃はマイナー機もどんどんキット化されるが、それでもまだなら、スクラッチで世界に1つしかないモデルを作るのもまた楽しいのでは?

参考資料

@ Republic'sP-47 THUNDERBOLT Widewing Publications
A MINI in action number1 P-35 Squadron/Signal Publications
B War Eagles Global Air War in Original Color Widewing Publications
C 世界の傑作機(新版)P−47サンダーボルト 文林堂

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