P−51Cマスタング(1/48タミヤ)製作記

 


 


 

■ はじめに

 スピット2機同時進行に味をしめ、D型とC型の同時進行。図らずも再びハセガワvsタミヤ対決。D型をこねくりまわしているので、こちらは、極力ストレート。

 さて、B型とC型は製造工場の違いで形状の区別はない。モデラー的には塗装の違いという認識。しかしB/C型と表記すると費用対効果みたいで仕事を思い出すし、めんどくさいので以下C型と表記。

■ キット評

 プロポーション的には、D型でコメントしたタミヤの特徴をそのまま引き継ぐ。C型固有の部分を見ると、キャノピからファスト・バックに至る側面形のイメージは良い。ただし、なぜか胴体は同社のD型より太く、実機写真と照合すると、若干過大。
 これはキャノピ断面形にも現れており、実機は頂部がもっと尖っている。しかしクリアパーツだけに修正は不可能。カウリングはD型より太いが、それでもまだマーリンの存在感は足りない。

 主翼前縁バルジの垂れ下がり表現が弱い。機銃位置が異なる。実機は二丁が近接している。エレベータは、ちゃんと羽布張り。D型の初期生産型には、これが使える。
 小物を細かく見ると、ホイール、タイヤ(内側ホイール)、主脚、機首インテイクなどなど、なぜかD型と微妙に違って面白い。D型とは異なる主翼パイロンは、しっかり区別されている。

■ 胴体平面形

 D型の製作記で、胴体平面形について説明不足だった。その後、真上からの写真を入手したので、ここで追加説明する。

 胴体後半部は、タミヤでは尾翼近くになって急激に幅を絞り込んでいるが、実機はコクピット付近から、徐々に狭くなっていく。そのため、国籍マーク中央部の胴体幅は、C型で1.5〜2mmほどキットが過大。ただし前部風防付近では、せいぜい0.5mmぐらい。修正はクリアパーツに影響するので、完全には難しい。

 一方、実機のエンジンからコクピットに至るまでは直線的、別の表現をすれば平面が出ているが、これはタミヤがよく再現している。ハセガワは、エンジン後部付近が「ぶよん」と太く、イメージが悪い。ハセガワを素組みする場合も、ここだけは接着面を少々削った上で、側面を平らにすると、ぐっとイメージが良くなるだろう。


タミヤ素組みの平面形。後部胴体の絞り方に注目。ただし、カメラが近く歪みがあるので注意。主尾翼端部の形状は、D型の記述を参照いただきたい。
主翼の凸モールドは、誤って削らないようテープで養生しておく。

 

■ マルコム・フード

 実は、マルコム・フードの前後端には金属製の枠がない。薄いプレキシガラスそのままである。模型では、うっかり塗らないようにしよう。一方、下端の枠はかなり厚みがある。よく見ると下端前後の隅角部には平坦部分があるが、キットでは表現されていない。前方固定部には可動部の縁を納める枠が追加されている機体がある。ない機体も確認できる。

 マルコム・フードはスライド・レールが追加されているから、閉じた状態とするなら、後方へのレールを追加すると、作品に説得力が生まれるだろう。このレールは機軸に対し前上がり。

■ 機体重量と主翼位置

 マスタングの数少ない欠点の一つが、機体重量が重いこととされている。これは機体のフォルムを見ても推察できる。というのは、主翼位置が機体の後方寄りにある。同じエンジンなら機首の重さは機体により大差ないから、やじろべえの原理で機体が重い方が重心は後ろ寄り。主翼の前から1/3が重心位置だから、重い機体は相対的に主翼が後ろにある。

 そう思って比較すると、面白い。P−40はいかにも重そうだ。逆にスピットTは軽そうだが、これがグリフォンになると機首が伸びた分、主翼は相対的に後ろになり、エンジンも重くなってるはずだから、機体構造も強化されて重くなってるのかなあ・・と思ったら、垂直尾翼にバラスト積んでる。後で知ったけど。
 タイフーンは機首が短いが、これはエンジンが相当重いんだろうな。空冷でも零戦や隼は軽く、機首の長い疾風は重く感じる。

■ 胴体組み立て

 コクピットは基本的にストレート。計器はD型同様に自作ポンチでデカールを切り抜く。頭部防弾板のバッグは付いている機体が確認できないので、削る。コクピット後方が筒抜けで、塗装時に窓が汚れる原因となるので、プラ板でバルクヘッドを作る。
 胴体に後方窓を接着。合わせは非常に良く、断面をグレーに塗り流し込み系で接着。胴体左右の接着の際は、風防との合わせを最優先に、機首上部パーツとも慎重にすり合わせる。

■ 主翼組み立て

 主翼の上反角は少々強める。D型同様に1.2mmプラ板で補強桁を貼る。今回、つぶれ防止のため、上下貼り合わせ時にポリパテを挟む。補強桁の上に3箇所ほど盛る。できあがりは相当しっかりした翼になる。手間もかからずこれはお薦め。教えてくれた方に感謝。
 胴体と主翼の合わせはとても良い。尖りすぎの主翼前縁を少々丸める。バルジ部の垂れ下がりは、そのまま。

■ リベット

 北風社氏のリベット・ツールを購入。以前から欲しかったが、売り切れで諦めていたところ、ある方から再販の知らせをいただき、即購入。
 説明書では、塗装後の作業が推奨されているが、少々リスキー。塗装前に打つが、何回か転がして深く打ち、浅丸刀でめくれをさらう。

 今回はツールのお試しが目的で、モデルは適当に省略する。まだ道具に慣れず、少々ミスったのが残念。きちんと定規を使うべき。マスキング・テープ細切りを位置の目安にするのも有効。

■ 細部工作 2/22追加

 C型の機銃は穴の中に銃身が見えている。キットそのままでは、この辺がスッキリ工作できず、結局穴を2mmプラ棒で埋め、1.5mmバイスで開け直す。この際、位置も正しく修正。内側を基準とし、外側は中心間で4mm離す。
 着陸燈も、スッキリ仕上げたい。1/43カーモデル用のライトを使う。クリアパーツは、十分摺り合わせて接着後、表面を面一に削り、コンパウンド磨き。スジ彫りは敢えてせず、セロテープ法でのマスキングで兼ねる。

 シートベルトは、いつものFモールドのエッチング。Dアップは、これとガンサイトのみ。なお、その考証には注意を要する。英軍使用機では、GM−2と呼ばれる四角いガラスが2本ステーで支持されるタイプが確認できるが、米軍使用機ではガラスが縦長のN−9が見られる。
 両者は、取り付け位置が異なり、前者はグレアシールド後方に、後者は前寄りシールド上である。モデルではプラ材でN−9らしきものをでっち上げる。キットのはオーバースケールで、形も曖昧。

■ キャノピ取り付け

 前部キャノピ下端は、胴体パネルがそのまま窓枠となっている。従って接着線は完全に消すのが正しい。ところが前方パーツと後方楕円窓との合わせを最優先すると、キャノピ前端に大きな隙間ができ、修正作業は手間を食う。
 マスキングは、曲線の多い前部と後部はセロテープ法、直線の中間部はマスキング・テープ法。


8角形の窓も、このようにすれば4枚のテープでマスク可能。テープは4枚重ねてカットすれば、コーナーの大きさもそろう

サフを吹いたら、未整形箇所を発見。この段階でどれだけ手間をかけるかが、仕上がりに大きく響く。

 

■ 主翼厚 

 これまで見落としていた点の、落穂拾い。
 タミヤとハセガワでは主翼厚が異なるが、どちらが正しいかは写真から判断するのは難しい。翼厚比のデータ(中心16.5%、翼端11.5%)は、そのとり方、即ち翼弦長にバルジを含めるか否かに注意が必要である。こういう場合、バルジを含めない直線翼が一般的。

■ コクピットの床

 キットのパーツは、主翼上面がそのまま床になった形状である。確かにA型ではその通りで、証拠写真もある。しかし、B型以降は主翼取り付け位置が3インチ下げられ、それに伴い床が新設された。また、B以降垂直尾翼が2インチ高くなったとする資料があるが、これに関しては写真との照合で高さは不変。

■ 無線機のアンテナ

 英国の基地から展開した第8軍のマスタングは、アンテナ線が張られていない。アンテナ線を使うSCR-274無線システムに代わって(追加で?)、機体背中のブレードアンテナを使う SCR-522無線システムが 積載されたためである。写真をよく見ると、線ありは垂直尾翼の前方に碍子があるので判別の手がかりになる。また、英軍で使用されたマスタングは英軍仕様の無線機を搭載している。マルコムフード装着機ではホイップアンテナも確認できる。

 ただし、初期のB/C型では細い棒状アンテナ柱も見られ、このあたりは不明。また、イタリア、アジア、朝鮮戦争では写真で線ありが確認できる。関連するサイトは、
@Aである。リンク切れの節はご容赦を。

■ 脚庫再び

 D型の項で、脚庫の側壁はジンクロ・イエローと書いた。当時のオリジナル写真でもそれを示す証拠はあるのだが、一方で銀色の主脚庫のカラー写真も発見。つまり両方の状態が存在したということ。銀で塗ってしまった方には朗報。しかし、その法則については不明。今後の研究、新資料の発掘に期待。
 以上、情報提供の皆様に感謝。内容に誤りがあればご教示願う。

■ 塗装の考証

 エアロマスター48−288より、357FG、363FS所属、W.オーバーストリート中尉機「ベルリン急行」C−3−NT型、s/n42−103309とする。実機写真はMotorbooks International社刊「P-51 Mustang Nose Art Gallery」に機首左側面のものがある。同じものはこちらのサイトにも。写真を読み込んでいこう。同隊の通例パターンと少々異なる部分があって面白い。
 同資料には塗装違いの「ベルリン急行」の機首左右の写真もある。上面全体が暗色、「BERLIN EXPRESS」の字体も異なり、マルコムフード装着。胴体右側にはペガサスとP−51らしき飛行機のノーズアート(文末の参考サイト参照)がある。

  排気管は、同隊機にしては異例のフェアリング付き。機首のチェックの幅は機体によりバリエーションがある。本機は排気管の前端まで。機首のオリーブ・ドラブ(OD)は工場出荷状態の塗り分けで、これも異例。「SHOO SHOO BABY」などは塗りなおされてパネルラインまでとなっている。
 上面の塗色はRAFあるいは現地調達ダークグリーンの可能性もあるが、357FGの現存カラー写真を何枚も見比べたところで、決め手なし。本項、色名としてはODとする。いずれにせよ色調は鈍い暗緑色。
 前部風防上部に丸型のバックミラーが1つ。アンテナ柱は初期の棒状タイプ。問題のアンテナ線の有無は写真からは判読できない。窓枠は写真が不鮮明でよく分らないが、ODで塗られているようだ。可動部は開状態で不明だが、ODと考えるのが自然。

 胴体のインベイジョン・ストライプの前端は、後方窓の直後。主翼のインベイジョン・ストライプは、ちょうど人物が邪魔になってよく分らないが、規定の18インチより広い。モデルでは10.5mmとしている。このあたりは部隊、機体ごとにバラバラで、写真があれば確認するとよい。味方識別の白帯をベースにしているものも多い。白黒の境がちょうど外側機銃の中心に位置する。作品では間違い。

 主脚カバーは、デカールのインストでは無塗装とされているが、落下タンクの陰に黒帯が隠れていると判断。落下タンクは銀色の強化紙製108USガロン。パイロンは無塗装。主車輪カバーは閉じられており、詳細不明。タイヤ両面の白バンドがまた珍しい。ホイールは本人談で赤。写真でもそのように見える。
 機体後方は写真が切れており、同隊他機からの推定となる。作品ではデカール・インスト説を採用し、ラダー全体がOD、水平尾翼には上に白帯、下に黒帯とする。


胴体後半部の塗装は推定。尾輪の白バンドは、特に根拠はない。

右側のレターは「O B6」となる。ODの塗り分け線は風防部で段差がついている。

 

■ 調色

 下塗り銀は#8銀+#46クリアを半々程度で、これは主翼とエレベータ下面のシルバードープ部分を兼ねる。上塗り銀は、アルクラッドのポリッシュド・アルミニウムとクリアを半々程度に混ぜたもの。ポリッシュド・アルミは銀粒子が粗く、つや消し状態での金属感がよい。シンナーはクレオスで問題ない。

 ODやインシグニア・ブルーはP−47で使ったもの。ストライプの黒は白を3割程度混入。黄色は黄橙色ビン生、赤はサンダーバーズに黄色を3割入れ、かなり明るくする。今回、色見本を作らず、行き当たりばったりで塗装したため、色調のバランスに不満が残る。


 ここで、訂正。マスタングの主翼に塗られた「銀塗料」は、シルバードープではない、とのご指摘をいただいた。なお、羽布部の銀塗料はシルバードープでよい。以下、その要約。

 『航空で言う「ドープ塗料」とは、布を緊張させる役目しかなく、金属に全く接着しない、あるいは保護作用しない。合理的に見て、マスタングに塗装したのは銀ラッカー。この場合ニトロセルロースラッカーだが、ワニスすなわちエナメル系(空気中の水分で固まるヤツ)もあったか。』 (2008.1追記)

■ 塗装

 今回の銀塗装は、つや消し仕上げとして、風雨に晒されたナチュラル・メタル(NM)の感じを出すのが主題。順序は、窓枠(インテリアグリーン)→サフ→下塗り銀→白→黒→上塗り銀→OD→紺→黄→赤→境目を研磨→クリア→デカール→クリア砥ぎ出し→フラットクリア。

 インシグニアは、いつものとおり、キットのデカールを下敷きにマスキング・テープを切り出すが、このときにデカールの上にセロテープを貼っておくと、マスキング・テープにデカールの切れ端が付着しない。これが付くと、そこから塗料が漏れ出すのだ。


白を吹いたところ。

マスクして黒、銀と吹く。

ポリッシュド・アルミニウム+クリアを吹き、#1500ペーパーで表面を磨いたところ。ペーパーのヘアラインが妙に金属っぽい。

銀塗装の1パターンとして使えるテク。(追記:P-35など参照のこと)

赤黄チェックは半分ずつ塗るのが、賢いやり方。

赤黄チェックは、パネルラインと塗り分け位置を実機どおりに合わせると、なぜか全体の辻褄が合わない。

 

 #1500ペーパーのヘアラインは、クリアー上掛けで案の定、消えてしまう(追記:消える場合と消えない場合があり、塗料との相性や塗膜の厚さ、ペーパーの番手などが関係あり)。そこでMr新色スーパーステンレスで刷毛目が残るようにドライブラシ。これもなかなかの金属感。さらにクリアー上掛けでも変化しないから、かなり実用的に使えるテク。なお、排気管周囲のパネルは、スーパーステンレスにさらに黒を混ぜるが、少々コントラストが強すぎると反省。

■ デカール 3/7追加

 エアロマスター48−288は、機関車と「BERLIN EXPRESS」の形状、大きさは正しい。一方尾翼のシリアルは、357FGの他機を見ると文字間が広い。数字を1つ1つ切り離し貼り付ける。コードレター「B6 O」のサイズも、他機の例と比較すると一回り過大。モデルではそのまま使用。撃墜マークの赤円の内部は白とする資料もあるが、写真では銀にも見える。
 クレオスの糊つき軟化剤を試すが、エアロマスターのデカールには効きすぎ、怖いくらい。マイクロ・ゾルが穏やかでよろしい。

 その後、上からフラットクリアを吹く。当初想定した風雨に晒された感じではあるが、金属感はかなり低下。また、クリアコートの上にデカールを貼っているにもかかわらず、なぜかニス部分が目立つ。


クリアー吹き後にMrスーパーステンレスをドライブラシ。デカールを貼ってて気づいたが、左排気管直後の小パネルは、本機には無い。

さらにフラットクリアを吹いた状態。写真だと艶や金属感の変化があまり出ない。

胴体のコードレターは少々大きいか。デカールは「生の黒」なので、周囲とのバランスが悪いのが気になる。

シリアルは間隔をあけて貼る。

 

■ ウェザリング 3/21 追加

 D型では、エアショーのレストア機のように、全く汚しのない仕上げなので、こちらは実戦で使い込まれた状態を再現する。

 艶消しの銀の上に、スーパークロームシルバーをドライブラシ。やり方がまずいのか、塗料の選択が悪いのか、ただ汚いだけになって残念。とはいえ、エアブラシと筆を併用する「ハイブリッド塗り」は、新塗料と相まって銀塗装として極めて有効。今後も研究してみたい。この技法に興味のある方は、名付け親である去病氏のサイトもぜひご覧いただきたい。

 マスタングのインベイジョン・ストライプは、そこだけ特に汚れているイメージがある。同じ357FG「LI’L KITTEN」の有名なカラー写真をイメージソースに、茶、黒、バフのパステルを綿棒でこすりつける。
 続いて、定番の面相筆チッピング。銀、ニュートラルグレー、ジンクロ黄、オリーブドラブを使い、主翼付け根の「はがれ」に力点を置く。多少観念的ではあるが、銀の周囲にジンクロを配し、塗料の層を表現する。その他、パステル粉すりつけを少々。今回はパネルライン沿いの暗色ぼかしは、ほとんど行わない。


機銃パネルの周囲の塗装のはがれを描き込む。

この辺をひとつの見せ場として、集中的に手を入れる。

 

■ 細部

 バックミラーは、実機写真ではODより暗く写っている。オーバーストリート機は、D型が充足してきたDデイ時点でもまだC型で、しかもマルコム・フードすら未装着。ここから中尉の部隊内でのちょっと不遇なポジションが推察される。タイヤの白帯や赤いホイルは、そんな境遇に対する心意気・反骨精神の表れではなかろうか。と考えると、バックミラーは赤に見えてくる。いや、赤にしか見えない。キットパーツはなかなか良い出来。ステーを細く削り、機首と同じ赤で塗って取り付け。

 アンテナ柱は0.6mm真鍮線を板状に削る。アンテナ線の有無は議論のあるところだが、棒状アンテナ柱なら線ありと考え、柱と胴体上部の2箇所からV字状に張る。柱は金属でも細くて強度が低く、僅かに前傾させて接着、テグスを緩く張りドライヤーで慎重に加熱する。
 その後方の航法燈は、機体により有無があり確認が必要。翼端燈と同様、透明ランナーを削って工作したが、完成後に実機写真と見比べると、なしが正解。

 スピナはタミヤとハセガワの合体。胴体との径を合わせるため、D型とは異なり後端に0.3mmプラ板を貼る。ブレードはハセ。裏側の接着ダボを削り、ピッチを強める。機銃は0.6mm真鍮パイプ。繊細な表現の数少ないアピールポイント。その他の小物はキットパーツ。D型と一緒に工作してあるので楽ちん。

■ 中尉のエピソード

 1944年5月23日、南フランス上空25,000フィート(22,000という新聞記事もあり)で対空砲火により酸素システムが破損、彼は無意識下で90分飛行を続け、7,000フィートまで降下した結果、意識を回復し、無事基地に戻ったそうである。気づいたとき、機はガス欠でエンジン停止、スピンに入っており、なんとかエンジンをかけスピンから回復したときは、樹上すれすれであった。

 本人の手記では、彼の最初のP−51は「SOUTHERN BELLE」だったが、直ぐにミッション中に他のパイロットによって失われ、次の機体が「BERLIN EXPRESS」。当初はEXPRESSのみ斜めに記入され、機関車なし。次に全文字が斜めになり機関車が追加、次に茶色の馬が描かれた。馬の背景の飛行機は黒、円形は白。全ての機体は赤いホイルに白いサイドウォールとのこと。残っている写真と見比べると、順番に記憶違いがあるように思える。

■ 完成

 以上で一応完成。ウェザリングは楽しいので、折りを見て少しずつ手を加えていきたい。しかし、3機同時進行は少々キツイね。作っても作っても前に進まない。私には2機が限度。
 タミヤのC型は、若干太めでマッチョだが、これはこれでカッコイイ。ミラーの赤が絶妙の配色バランスと思うが、如何だろうか。でもこれ、まるで「ドキンちゃん」だね。

 

■ C型の給弾パネル

 完成後知った事実。CとDでは、主翼上側の給弾パネルの大きさが異なり、CはDより翼リブ1つ分だけ狭いが、タミヤはDと同じである。正しくは、前縁からエルロンまでつながるパネルラインともども、4mmほど内側に移動すべき。残念ながら、作品ではそのまま。

■ 関連サイト

357FG部隊史
中尉のポートレートと馬のノーズアート写真
ベルリン急行の写真と塗装図
無意識飛行の新聞記事

 ※参考文献はD型の項を参照いただきたい。


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