II号戦車C型 (タミヤ1/48)製作記

2013.12.19初出




最終更新日へ





■ はじめに 

 砂漠の次は、ジャーマン・グレイ。いくつかの候補から、フランス戦のU号戦車C型を選択。実はスピットの裏で、少しずつ進行してたのだ。キットは、タミヤスタンダードで素晴らしい出来。マチルダのような組み立て上の落とし穴もない。ところで聞くところによると、この1/48ミリタリーシリーズは、フィリピン・タミヤが本邦1/35データを使って独自開発したものだとか。そう聞けば、散見されるタミヤらしからぬ詰めの甘さもうなずける。虎後期の回収騒ぎは、このデータの取り違えが原因とのウワサも。(伝聞につき事実誤認あるかも)


■ 組み立て

 基本は素組み。前後のオーバーフェンダーは、記録写真でも外れてる場合がほとんどで、付けない。排気管のメッシュをエッチングに。ピッチが粗いのは気にしないことにしよう。あとは、前照灯をアルミ板+UVクリア、クランプを0.2mm真鍮線でナンチャッテ再現する程度。前述の詰めの甘さは、本キットにも感じられ、場所によりパーツの厚さがちぐはぐ。例えば、車体前方の牽引フックは妙に薄いが、フェンダーのリブは厚いとか。ま、目くじら立てる程のことでもない。



ヒケで表面がうねっているから、ペーパーをかけて平面を出す。

塗装の便を考え、転輪と履帯を一体で組み、車体から取り外し式にするのは、いつもどおり。



■ フィギュア

 キットのフィギュアは例により発育不良。これだけは大いに不満。で、胴と脚にそれぞれ1.2mmプラバンを挟んで身長拡大する。ベレー帽のヘッドはマチルダの余りフィギュアから。小改造のつもりが、結局全身にパテ盛りでフルスクラッチと同じ。それならポーズを変えればよかったな。

 フィギュア原型師のA氏より、タミヤパテを筆で少しずつ盛りながら服の皺や顔などの細部を造形するとお聞きし、試してみる。私の場合は、普通のパテを筆で盛る技術がなく、溶剤が揮発して粘度の高くなった溶きパテを使用。これだと一度に沢山は盛れないし、溶きパテはヒケるから、ヒコーキの合間に少しずつ作業する。まあ、箸休めみたいなもんだ。従前のミリプット削り方式は、シワの山を残し谷を彫る。だから最初にシワ全体の設計図が描けていないとうまくいかない。一方こちらは山を盛り上げていくので、その場の感覚で進められる。まったりお気楽に作るのに適しているかな。シワの出来は、とくに腕のあたりはまだ不満だけど、飽きてきたのでこの辺で切り上げる。

 細部ディティールにはプラバンを多用する。この方式、パテより簡単でオススメしたい。腰ベルト、肩章、左前襟、ズボンのポケットのフラップは0.3mm。襟章、鉄十字、そのリボン、袖口には0.14mm。いずれも流し込み接着剤をたっぷり塗って柔らかくして密着させる。せっかくなので、前襟はちょいと浮かせる。英兵の小粋なベレー帽にはパテを盛り、ドイツ戦車兵独特の妙に大きなやつを再現。まだ「ずるっと感」が足りないか? 顔も整形手術だ。溶きパテで顎を太らせ、頬に縦シワを刻んで老け顔にする。何だかんだで、製作時間は戦車の何倍にもなって、戦車はフィギュアの飾り台みたいな〜。



今回もまずはキットパーツにミリプットを盛り、硬化後に削って大体の形を作っていく。ここから先は主として溶きパテ。

ハッチに手をついたポーズだから、腕に体重がかかって見えるよう、肩を上げ、首を前に下げる。前屈みでたるむズボンのヒザも強調。

背中には肩甲骨を意識。キットのお尻は日本人的で貧相。ぷりっと盛り上げてやる。

眼球のモールドにナイフで横スジを入れて目を表現。これら細部彫刻には切り出し刀が便利。



■ 塗装 1/15追加

 フィギュアの飾り台、もとい戦車を塗装する。イメージをつかむため当時のカラー写真を眺めると、ジャーマングレイにも明るめのから暗いものまで様々あるけど、当節戦車モケイで流行の妙に明るいブルーグレイは無いな。あれはアニメの架空軍隊だ。ということで、しっかり暗めのあんまり青くないグレイを狙う。1940年、電撃戦勝利の勢いに乗り、フランスの田舎道を急行するという設定だ・・

 では後々忘れないよう塗装方法のメモ。ベースは前回8輪装甲車と同じく#333エクストラ・ダークシーグレイのビン生(実はこれが失敗)。細部は筆塗り。履帯はダークアース、自作焼鉄色、自作黒鉄色を1:1:1。木部はダークアース+赤褐色少々。自作タイヤブラックの転輪ゴムは、車体色と差がなくて汚すと同色に見えてしまう。ウェザリングも前回と同じウェザマス落とし。緒戦の頃の新品感を出したくて、前作1回目での軽めの汚しをさらに軽くするのが目標。艦船木甲板色をタミヤアクリルシンナーで希釈してエアブラシ、筆や指などで落とし、ラッカー系フラットクリアで定着させる。

 ところが吹きつけが軽過ぎで、全然汚しの効果なし。おまけに拭き取り中にライトが取れるし。一方でグレイはやけに明るくなって何やってんだか。仕方なく、水溶きウェザマス黒で強めにウォッシングして全体の明度を下げる。さらに水溶きウェザマスのサンドやサビなどで汚れも強調。部分的に暗色系のドライブラシ、エッジや砲身に鉛筆粉をまぶして画像の状態。とりあえず途中段階ということで、再度足回りにウェザマス落としを施す予定。マーキングもまだだし。



ベースのエクストラ・ダークシーグレイ、細部の筆塗りまで。足回りはこのように取り外して塗装。

ウェザリング・マスターをエアブラシ。結果的には、この段階での吹き付け量が不十分。

乾燥後にこすって落とす。グレイが明るくなり、ベースの色調をもっと暗くすべきだったな。定着時のトーン変化を考慮して強めに汚す。

フラットクリアを吹く。予想以上に埃汚れのトーンが失せ、全体にぼやけた仕上がり。こらあかん。どないし よ。

さらにコテコテと汚しを追加。コネくり回したせいでヤレた感じになり、当初の狙いから外れていく。1940年のはずが1944年だな。

後側から。排気管のメッシュは効果大。一体モールドのOVMはフェンダーとの境を掘り込んで、これも一定の効果あり。



■ 引っ越し 3/25追加

 北へ巣立つ長男に続き、私自身の転勤&単身赴任が決まる。中部方面の某会社へ出向、と書くと分かる人には分かるかな。数日前から荷造りでモケイは休止。更新ネタは少々あるので、暫くそれでつなぐ。それにしても、モデラーの引っ越しは大変。資料本の重いこと。


■ 戦車完成

 さて、2ヶ月のご無沙汰でマーキング。手持ち画像でフランス戦を調べると、鉄十字のみで車番のない車両もあり、安直にこれにする。車体左側の鉄十字は、キット指定位置の他に作品の位置もある。右側に鉄十字がない車両も多い。作品の「あり」は単に見栄え。当時の画像はWorld War Photosに多数。飛行機関係もあり、珍しい写真も多い。興味のある方は掘るべし。

 鉄十字は、安直にキットデカール。周囲のニスのみ切り取って使用する。残る真ん中のニスは、マークソフターがわりにMrカラーのシンナーを塗ってシルバリングを抑える。あとはウェザマスでトーンを落とせば、十分見られるものになる。足回りには、ウェザマス吹いたり、落としたり、フラットクリア吹いたり、途中で履帯の接着が外れたり、あれやこれや。でも、大して変わり映えしない。



悲しいかな、前回更新と比べ、車両はほとんど変化なし。



 フィギュアはラッカーで下塗りして、ざっとファレホを塗る。記録写真では戦車兵の服は真っ黒に写っていて、作品は生の純黒を使い、あまりハイライトをつけない。この段階になって、襟章、帽章等の細部で造形のミスに気づく。これらを直して仕上げ塗りの予定。



顔の出来は、精鋭機甲師団のエリート将校って感じになって、まずまず満足。手はもうちょっと何とかする必要あり。

服の色調はこんなイメージが最終形。細部はこれから。









■ フィギュアも完 5/31追加

 話は静岡の直前に遡る。シーファ47がなんとか95%完になり、途中段階のフィギュア塗装を再開。久しぶりで、塗り方を忘れてる。ピンクの細線が難しくてヨレヨレ。初期の制服は襟章周囲だけでなく、襟のフチにもあって厄介。胸のバッヂなんかも全然ダメだなあ。ともあれ備忘メモ。基本はファレホ。服は純黒に凸部のみ薄くブラックグレイ。塗装中に触って服がテカる。そこで、クレオスのフラットベースをシンナーで溶いてスプレー。でも、あんまり艶消しになってない。靴とベルトはその上からクリアを筆塗して質感の違いを表現。バックルなど一部はクレオス銀。

 で、静岡以降放ったらかし。ようやく写真を撮る。フィギュアは見せる程ではなく、アップはなしで。










 さて、48陸シリーズ、まだまだやりたいアイテムが残ってるので、引き続きゆるゆると進めるつもり。仕掛りは英軍戦車西部戦線で、それとは別に独軍重戦車も気になるところ。ツィメリット・コーティングが技術的課題だ。トラックもいいな。









HOME