シーファイアIb(タミヤ+ハセガワ1/72)製作記

2006.10.7 初出




FAA増殖計画第2弾。



■ はじめに

 グリフォン・シーファイアF.XVに続き、またまたFAAのシーファイアが登場。これも数年前から士の字直前での放置キットであるが、ヘルダイバーが中だるみの頃、その裏でひっそりと製作再開していたのだよ。

 基本コンセプトはタミヤVとハセガワIXの合体。タミヤの1/72スピットは、決して悪くないキットだが、同社1/48キットゆずりで後部胴体の背が少し高く、加えてパーツ分割のまずさもあって、キャノピ周りがスッキリしない。ここをハセガワに交換すれば、ワタクシ的には完璧にカッコイイ前期マーリンスピットが出来上がるなあ、と思ったのがそもそもの製作動機。途中、塗装&マーキングが決まらずに放置となったのだが、シーファイアF.XVで脳内がFAAに染まり、すんなり製作方針決定となった次第。

■ タミヤのスピット

 ではまず、タミヤのキットをレビューしよう。機首上面のライン、特にスピナからシリンダーヘッドにつながるラインは、同社1/48から改善されていて、重箱の隅をつつかない限り十分な出来。

 風防パーツは、前期タイプ(防弾ガラス外付け)と後期タイプ(内側防弾ガラス)とのコンパチで、そのため胴体との分割ラインが曖昧。また本来直線であるべき風防両脇後端フレームが曲線となっている。可動部キャノピは側面が平らなタイプのパーツがセットされてなく、したがってそれと組み合わさる前期タイプの風防を装着した機体、すなわち、I、II型の全てとV型の多数が作れない、という重大な欠点がある。これは明らかに金型製作時のミスで、早急に改善してほしい。後期型風防のV型となると、北アフリカに送られた熱帯型かシーファイアくらいしかないからねえ。

 また、I型、V型ともプロペラの形がまるでダメ。飛行機を知らない人が設計したんだろな。I型はブレードが細すぎるし、断面がまるで棒。これじゃあ空気を掻き回すだけで前には進めないって。V型は平面形(というのかな?)が違い、さらにねじれ表現がいまいち。プロペラは中心側と外側では対気速度が違うから、遅い中心側は大きな迎え角、早い外側は小さな迎え角となり、そのため「ねじれ」が生じるのだけどね。
 I型は他からトレードするのが簡単で、オススメはハセガワの零戦。ペラのパーツが余るから。ハミルトンとデハビランドのペラはよく似ているので、そのままでも違和感ない。

 ついでに言うと、動翼の羽布張り表現がかなりオーバースケール。ラダーは断面形も違っているから、いっそのこと削ってしまった方がよいかも。その場合、リブはサフかデカールで再現してもよいが、このスケールなら削りっぱなしでも違和感ない。エルロンのリベットは、いつもながら余計なお節介だ。

■ 合体手術

 では組み立て。機首と主翼上下はタミヤ、キャノピ含めた後部胴体はハセガワである。どこで接合するかが問題。タミヤとハセガワはフィレットの大きさが違うので、胴体と主翼との分割ラインが異なるのだ。そこで、主翼との分割ラインが折れ曲がる位置でスパッと前後に分ける。分割位置より前側ではタミヤの胴体にタミヤの主翼となるから合わせは問題ない。分割より後側は接合部を慎重に削り合わせれば、パテなどは不要だ。



だいぶ以前にこの状態まで作ってしばらく放置。濃いグレイがタミヤV。薄いグレイはハセガワIX。

■ コクピット

 胴体と主翼上面を接着した後、コクピットパーツを下からはめ込む。どうせ完成後は見えないからどうでもいいのだけど、ディティールのよいタミヤを使用する。それより重要な作業は、コクピットの完全密閉。これは前作F.XVで、キャノピ内部にゴミがついてしまった反省から。密閉するため、前後にバルクヘッドを作り、底面はマスキングテープで完全にシール。手間だけど、キャノピのマスキングをはがしてゴミを発見したときのガッカリ感に較べたら、大したことない。

 しかし、何でキャノピの内側にゴミってつくんだろうね。しかも落ちない。マスキングをはがす時に静電気が発生して、コクピット内に散らばっていたゴミが吸い付くのではないかと疑っているのだが・・・。お、するってぇと理科の実験で使ったエボナイト棒を近づけるとゴミが落ちるのか?←逆にゴミだらけになったりして。



翼下面接着の前にコクピットをテープやプラ板で密閉。キャノピ内側を汚さないための工夫である。

■ 主翼

 シーファイアMk.Ibの主翼は折り畳み機構がなく、スピットMk.Vbと全く同じ。折り畳み機構が導入されるのはMk.IIIcからである。
 タミヤの主翼は、エルロンとフラップの下面が上面パーツと一体化しているが、この部品分割には極めて不満。私はいつも翼上面を先に胴体に接着してから下面を接着するのだが、その場合に下面の接合部がきれいにならないのだ。逆にここの接合面をきれいにしようとすると、他(例えば翼上面とフィレット)にシワ寄せがくる。

 とまあ不満はさておき、主翼下面を接着する。いつものとおり、機銃は切り取って前縁の翼断面を整形。最近、翼前縁のカーブとか、翼端の厚み(後端ではなく左右の端部)とかの「形」がすごく気になる。世の中の大半のキットは、ぽってり厚かったりして正しくない。飛行機模型の美しさは、翼断面とかプロペラ断面とか、空気という流体に働きかける(作用を受ける)部分にあると思うのだ。

 と、のたまいつつ、翼下面では摺り合わせをさぼったら大きな隙間と段差が発生。目立たない下面なので、溶きパテでイージーに修復。タミヤの翼下面パーツとハセガワのフィレット後部とは合わないが、ここは強引に接着して整形する。キットにモールドされている主翼上面車輪収容部の補強部材は、シーファイアには見られないので削り取る。



機首下面を接着。後端の隙間はプラ材で埋める。

エルロンのリベットはタミヤのラッカーパテで埋める。ヘラ(代わりのプラノミ)ですり込む。

■ ボークス・トロピカル・フィルター

 大昔、エアの72にプラバン積層で改造したが、タミヤのVではちゃんとパーツ化されており、とても嬉しい。「ひょっとこ」のようなマヌケ顔は、初めて出会ったガキの頃は何とも不細工に見えたもんだが、オトナになった今ではすこぶる魅力的。ちなみにハリケーンもひょっとこが大好き。

 それはさておき、作品では先に胴体左右を接着してしまったので、フィルター部と機首カウルとの合わせに段差が発生。(←ちゃんと摺り合わせしろって。)これは左右接着前にフィルターとカウルを接着するのが一番の解決方だが、それだとこんどは主翼との取り合いが難しい。フィルターの後半を切り離すといいかも。また、キットパーツは、断面形や開口部が少々角ばっているので、気持ちだけ丸める。



トロピカルフィルターは機首より幅が広い。同社48より改良された機首上面形状にも注目。

■ 尾翼 10/13追加

 スピットファイアは、駐機中にエレベータが下がっているという、他機種であまり例のない特徴がある。実際、当時の記録写真を見れば、ほとんど全ての機体でその状態。これはつまり操縦桿が最前方位置にあるわけで、スピットファイア独自の固定機構があるのでは?と想像するが、ご存じの方ぜひご教示いただきたい。

 で、今回はこの駐機状態を表現する。エレベータを分割ラインで切り取り、接合面を斜めに削って再接着する。実は水平安定板の方も斜めに削っており、厳密には正確ではないが、言わなきゃ誰も気づくまい。使うパーツは、胴体との接合の都合でハセガワとなるが、エレベータの分割ラインがVと異なるので修正する。ラダーもハセガワだが、手元にはなぜか「とんがり」尾翼しかなく、タミヤを参考に不要部を削る。



接合面をこのように斜めに削る。こうしないと接合部に段差が生じる。

接着はイモ付けなので、手荒には扱えない。(←手を抜くな。)

■ 艦上型への改修

 陸上型スピットファイアMk.Vbと艦上型シーファイアMk.Ibの違いは、着艦フックと胴体の補強板である。まあ、「改造しました」的ポイントなので、オーバー承知でモールド浮き上がり段差表現する。ただし、コクピット横のは間違い(後日追記、詳細は後述)。



Aフレームフックは、こんなふうにスジ彫り。フックだけあとで付ける。

コクピット横の補強板はエバーグリーンの0.13mmプラ板。フック基部のものはタミヤの0.1mmプラぺーバー。

■ プロペラ

 ヒコーキ模型として、ここだけは改修したいポイント。まずはキットパーツに瞬間+アルテコプラ粉を盛りつけシコシコ削ってみるが、ベースが悪くてうまく形が作れない。ジャンク箱を漁って「これだっ」と取り出したのはP-51マスタングのカフス付きプロペラ。ハセガワでもタミヤでも可。ジャブロ・ロートルの輪郭に削り、厚みを調整すればバッチリだ。プロペラを取られたP-51がどうなるか、なんて考えない。



正面から見ると、砲弾形。グリフォンのジャブロロートルペラとは異なり、先が尖る。スピナはタミヤ。

横から見ると、ねじれのためくさび形に見える。プロペラはヒコーキの要。ケチッてはいけないのだ。

■ 細部

 カウル後方の水滴形小バルジ、大きい方はモールドが曖昧なため、削り取って0.5mmプラバンで再生する。まず、水滴形の平面形に削り出し、接着後、断面を半円形に削る。給油口は1.5mmバイスの穴に同径の延ばしランナー輪切りを落とし込む。排気管はタミヤ。モールドが大袈裟なので、削って形を整える。主脚、尾脚回りもタミヤ。カバーの縁を薄くするのみ。以下、写真で。



小バルジはプラバンで作りかえる。シリンダヘッド部の側面を直線に削る。

デカール(ハセガワ製)でリブの再現。

ハセガワのシートは薄く削り、鉛板でベルトを追加。後方の防弾板などはタミヤ。

タブ操作ロッドなど追加。

延ばしクリアランナーで置き換え。

20mm機関砲はハセガワから切り取ってくる。接着後にうっかりポキッ(泣)。真鍮線を介して接合。

 キャノピはコンパウンドで内外を磨き、接着後に後部胴体とツライチに削って磨くが、アンテナ柱の基部の穴から削りカスが侵入。窓が汚れる。ヂグジョー(号泣)!

■ 続、細部 10/20追加

 汚れたキャノピ。駄目もとでアンテナ柱の穴から水道水を勢いよく注入してシャカシャカ。完全ではないが、だいぶゴミが取れて一安心。コクピットを密閉したはずだが、入った水はどっかから抜けて、いいんだか悪いんだか。

 主脚。カバー上端と翼とに隙間が出来る。これでは脚のみに荷重が集中して折れそうだし、なんとなく腰高感がある。そこで、取り付け部を加工して1mmほど短縮し、カバーと翼とを直に接着。これで強度を稼ぐ。車輪ホイールは、実機写真ではタイプが特定できず、なんとなく円盤形ホイールキャップ付きとするが、他のIbでは5本スポークタイプが一般的である。

 機関砲のスリーブ。実機では、Bウイングのものと、Cウイングのものとは形が異なる。作品はハセガワのCウイングのものを取り付けているので、ちょっと気になる。ただ、タミヤのは先が細くて将来折れるのは目に見えてるし、バーツの型ズレがあるので使いたくないのだ。

■ 塗装考証

 塗装&マーキングは、スコードロン社刊「Fleet Air Aim」に塗装図&実機写真のある、885Sqn所属、シリアル「MB345」機番「K」に決めてある。というか、これ見て製作再開したわけ。本機は空母フォーミダブルに搭載され、1942年11月から始まったトーチ作戦(北西アフリカへの連合軍上陸作戦)に参加した。

 ここから愚考が始まる。モデルアート別冊「スピットファイア」によると、Ibは全て陸上型Vbからの改造、IIcは新造とある。ところが、MB345がVbのシリアルになく、同部隊に似たようなシリアル(MB182)のIIcの機体がある。で、肝心のMB345の写真では外見上の識別点であるカノン横の小突起や、翼上面バルジがよく分らないし、シーファイアのシリアルリストは手元にないし・・ひょっとして「MB345」機番「K」はIbではなくてIIcなのォ?(冷汗)

 という思考経路を辿り、Webで助けを乞う。以下、K氏の情報による(毎度感謝)。

 同機体は、The Aviation Work Shop社のOn Targetシリーズ、シーファイア本にも紹介され、ウェストランド社製Mk.Vb(シリアルAR445)がシーファイアIb仕様に改造されたもの(1942年4月)。AirBritain社のThe Squadrons of the Fleet Air ArmにもSeafire Ib、1942年10月から1943年8月まで885Sqに在籍、MB345(K)の記述あり。On Target本によると、

1)同書中にSeafire Ib側面図が10機分、その全てがVbからの改造機で、シリアルもVb時代とIb時代は別物(全機両方がキャプションに記載あり)。つまり、Vbから改造されたIbには、新しいシリアルNo.が与えられた。

2)MB345の「K」と「Φ6K」は同じ機体。後者6K部に元の「K」を塗りつぶした可能性ありとされ、「K」が1943年2月、Φ6Kが同年5月。

3)塗装は↑両方の時期ともにtemperate sea scheme、下面はsky。スコドロ本塗装図では「K」とスピナが白いが、オンターゲット本では文字もスピナもskyの解釈になっている。

*ちなみにΦ6が部隊コード、Kが個機レターで、右舷のΦ◎6Kに対して左舷ではΦ6◎Kとの推定。885NASはOperation Torch作戦中、IIcが6機、他はIbらしい。

■ IbとIIcに関する考証

 そのMB345。Ibであることが分かって一安心も束の間、スコドロ26ページ下の写真、前にいるIIc「Φ◎6F」機は胴体側面に補強板ありだが、Ib「K」=「Φ◎6K」機は補強板が無い!!との指摘。確かに写真をよく見ると「無い」。手持ちで他のIbの写真(スコドロ本など)を見ても「無い」。

 ということで作品は間違いだが、知ったのが塗装後なのでこのまま修正せず。なお、トロピカル・フィルターの有無については、Ibで「無し」、IIcでも「有り」の機体が存在し、IbとIIcの識別点にはならない。一部のトロピカル・フィルタ装備のIbでは、デハビランド・プロペラ+短スピナがあり、これも要注意。また、IIcの機関砲バルジは、後のCウイングで一般的な細身タイプと異なり、陸上型Vcのような横に幅広いタイプの写真もあり(モデルアート別冊p.102「Φ◎6G」MB156など)、さらに一部のIIcは4翅ペラを装備している。これまた要注意である。

 いやしかし、スピットファイア(含むシーファイア)の考証って、難しい。  

■ 再度、塗装考証

 IbはVbからの改造。ということで、塗色も悩ましい。つまりVb時代のRAF temperate scheme(RAF温帯迷彩=ダークシーグレイ/ダークグリーン/ミディアムシーグレイ)そのままか、FAA temperate sea scheme(FAA温帯海上迷彩=EXダークシーグレイ/ダークスレートグレイ/スカイ)に塗りなおされたのか。

 写真では「K」も「Φ◎6K」も、RAF迷彩のような明瞭なコントラストが見られず、また隣のIIc(これは新造だから疑いなくFAA迷彩)との類似性で、FAA迷彩と決める。スピナとコードレターは、特に「Φ◎6K」の写真の印象ではスカイ。ま、このあたりはいろんな解釈がありうる。

■ 塗装

 前回Mk.XVでの反省から、前回使用の上面色に白を加え、明るく調合する。下面は、ビン生のダックエッググリーン。塗装手法は、いつものとおりで特筆することはないが、最近自分の作品に「クドさ」が足りないなあと思い、暗色立ち上げ法もどきのクドめのグラデーションを施してみる。(←まだ足りない?)



エアブラシ塗装が終了。前作シーファイアF.XVと比較してみる。雲形迷彩の塗り分けはMr.ペタリ。

■ ウェザリング

 実機写真の右側胴体を見ると、機首パネルを中心に塗装の剥離が著しい。これは写真を見ながら筆でチョボチョボと描き込む。本当にこんな広範囲に金属地肌が露出しているのか、一抹の疑念が無くは無いが、タッチアップの跡にも見えず、ひとまず銀色と解釈する。生の#8銀では、迷彩部分とのコントラストが強すぎるので、ミディアム・シーグレイと半々に混ぜる。胴体がこの有様なので、主翼もやらないとバランスを欠く。付け根を中心に相当にハゲチョロだろうと想像し、この辺はフィクションで「らしく」描く。胴体左側も写真がなく、右側とのバランスでこれも「らしく」。

 さらに写真を観察すると、@剥げている部分と剥げてない部分の差がハッキリしている、A必ずしもパネルのエッジから剥がれるのでなく、パネル中程で「ペリッ」と皮がむけたように剥がれている、という特徴が分かる。だから、全てのパネルラインに均等にハゲチョロを描くことはせず、粗密のメリハリをつけ、特定のパネルにハゲチョロを集中させる。



ハゲチョロを描いた状態。バックはスコドロ本の26ページ。

■ マーキング 11/1追加

 デカール嫌いここに極まり。主翼は当然として、胴体ラウンデルも手描きだ。白円は直径5.5mm。サークルカッター・ペガサス1号の性能は最小直径6mmなので、さらにチューンアップする(といっても干渉部分を削るだけ)。中心の赤丸だけはこいつでも無理で、エッチング製テンプレートとデザイン・ナイフを使う。この場合、マスキングテープよりセロハンテープの方が、きれいに切れるし、貼るときの位置決めも楽。

 ラウンデル、フィンフラッシュの各色は、赤を除き突き合わせで塗る。マスクの手間が少々増えるだけで、そう難しくはない。段差の有無は後の磨きの工程で差が出る。使用色はいつも使っている自作ダルブルー&ダルレッド、それにビン生の黄橙色。折角の手描きだから、特に翼上面では白を多め(2割くらい?)に混ぜ、デカールでは不可能な退色効果を出す。白黄の環が少し太いとか、丸の形が乱れてるとかは、手描きの味だと思って気にしない気にしない。



手順をあれこれ考え、青→白→黄→赤とする。黄フチを細くマスクしておくのがミソか?

ペガサス1号「改」。5mmまでいけるぞ。

 コードレターも手描き。今回はラベルシートを使ってみる。いつものようにエクセルでお絵かきしてから、レーザープリンターでラベルシートに出力、デザイン・ナイフで切り出す。マスキングテープと比べ、複雑な形状を切る場合に切りやすいが、貼るときの取り扱いが難しい。

 まず中のレター部分をモデルに貼って位置決めして、周囲を貼り、中をはがして塗装、というのはこれに限らず手描きの基本。形が少々ずっこけてるのは、これも手描きの味と割り切ろう。下面のスカイはビン生だが、レターとスピナは白を混ぜて明るく調色。理由は不明だが、記録写真ではこう見えるものが多い。



このあとフチのめくれを軽くおとす。あまりやると迷彩まで落ちるので程々に。

レターのサイズは20×15インチ(1/72で7.1×5.3mm)とする。

■ 仕上げ

 マーキング塗装の「めくれ」を#1200ペーパーで軽く落とし、フラットクリアを吹き、再度全体的に#2000ペーパーで研ぐ。シリアルはインレタ。字体が異なるが気にしないことにしよう(またかい)。極薄のフラットクリアでペーパー目を消して塗装&マーキング終了。アンテナ線を取り付ける。アンテナ柱の三角板はラベルシートの余り。瞬間で固め、穴を開けてテグスを通す。一寸オーバースケール。

■ 完成

 以上で完成。考証がちょっとぬるいのが反省点だけど、自分としては苦心した外形、つまりスッキリ&シャープな後部胴体に存在感ある機首の対比が気に入っている。ハセガワは胴体高さや垂直尾翼の厚さなど、実機を正確に再現している。

 迷彩やマーキングの色味も、まずまず思い通りに仕上がって満足。ハゲチョロは、肉眼で見るといい感じなのだが、デジカメの拡大画像だとちょっと大味で残念。銀剥がし方式の方が、拡大には耐えるかな。エレベータダウンは、だからどうなの?って感じ。次からは止めようか。

 この勢いで、72のハセガワ胴体にベンチュラ機首のグリフォンXIVでもやろうかな、などと考える今日この頃。



画像ソフトでモノクロ変換し、明度、コントラストをちょいといじくる。

当時の記録写真の雰囲気あるかな?

■ 885Sqnの歴史

 最後に885Sqnの歴史を紹介して、本項おしまいとする。元ネタはこちら

 英海軍第885航空隊は、1941年3月にシー・グラディエターとバッファローIを装備し、艦隊防空隊として発足した。同年12月にシー・ハリケーンIb装備で再編。42年にはマルタへの輸送船団を護衛した。同年10月、シーファイアIbとIIcを装備し、空母フォーミダブル(HMS Formidable)に乗艦、トーチ作戦(連合軍の北西アフリカ上陸作戦)など地中海戦域の作戦に43年10月まで参加した。

 44年2月、英国南西部ハンプシャー州のLee-on-Solent基地でシーファイアIIIを装備して再編。同年8月まで2nd TAF(第2戦術空軍)の一員として、ノルマンディ上陸作戦前後の戦闘掃討や爆撃目標指示任務を遂行。44年12月、ヘルキャットI、IIに機種改変し、BPF(英軍太平洋艦隊)所属の空母ルーラー(HMS Ruler)に乗艦となる。45年6月からはコルセアII、IVに再び改変、空母インデファティガブル(HMS Indefatigable)に乗艦し沖縄戦などに参加。45年9月、戦争終結に伴い解隊された。


■ 参考資料

 参考文献は、スピットファイアMk.IIaの項を参照願う。





PRスピットに続く。

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