三菱 零式艦上戦闘機三二型 タミヤ 1/72 製作記

2025.7.17初出




最終更新日 3DPファイル




■ はじめに

 バッカニアは鋭意進行中。その旅には、癒しとなる「お供」が欲しい。そこで、半年前くらいに着手して、ゆる〜りと組んで、士の字で放置していた零戦32型を引っ張り出す。今回の製作プランは、@キャノピは閉める(前作21型との対比)、Aリベットは「なし」(気が変わったら打つかも)、Bカウルフラップは3DPで開き、エンジン、シート、タイヤも3DP(商品見本となるので必須)、C塗&マは全面明灰色で大分空(インレタ作成済み)。

 ところで、いつの間にか当ページの飛行機が100機を超えている。この零戦32型が104機目で、ちょうど100機はH-75だ。ページ開設が2003年だから、年あたり4〜5機といったところ。少ないなあ。このペースだと死ぬまでにあと何機作れるのか? (少なくとも、キットの在庫よりは多そうだけど・・)


■ 製作

 タミヤの超優良キットなので、スラスラ進む。特記事項は下記のとおり。
  • 前作同様、コクピットはC340フィールドグリーンFS34097で塗装。
  • 後方キャノピと胴体の間に接着剤が流れるので、胴体側を削ってクリアランスをとる(21型製作記参照)。
  • 動翼リブは削り落とし、後でインレタで再生する。
  • 外板パネルの微小な浮き出し表現は、邪魔なのでフラットに削る。
  • 全てのパネルラインは、ケガキ針、エッチングソー、ラインチゼル(0.1mm)で彫りなおす。  



これが放置中の状態。ここからスタートする。

3DPの座席を塗装して、コクピットに組み込む。アンテナ柱は1.2mm真鍮棒の削り出し。後方胴体は白30%の半艶黒。

キャノピとカウルを仮組み。気分が盛り上がる。

機首のクローズアップ。この開いたカウルフラップがイイでしょ? 欲しくなってきたでしょ? ←ヤメレ


 改めて、32型ってカッコイイなあ。マスタングやグラマン猫族など一般的な切断翼は、前後縁が翼端まで直線だが、32型は翼端にわずかにカーブが入って(21型の名残ね)、それがまた得も言われぬ美しさよ。

 さて、今回使用する3DPがこちら。秋のモデリンクで販売するよ。



開いた状態のカウルフラップ。

ベルト付き座席。底に薄いプラバンを瞬間で貼り、コクピットには溶剤系で接着する。

栄エンジン。プラグコード付き。

主車輪。32型が縦溝タイヤを装着したかどうかは不明。まあ妄想ということで。



■ キャノピのマスキング

 次の工程はキャノピのマスキング。手順は前作同様、カッティングフィルムをマシンでカットして、それを定規がわりにマステを切る。カットデータは作成済みだ。クラフトロボcc330-20を出し、いざカットしようとしたら・・「動かん!」

 新PCが、ロボをプリンターとして認識してくれないのだ。ドライバを入れたら動くかと思ったが、メーカーが当該機種のダウンロードサービスを終了していて入手できない。購入時に同梱のCDを探すも見当たらず。

 仕方がない、買い替えるか。ロボは長年の使用(購入は2011年)で精度が落ちてきた気がするし。ということで、シルエットポートレート4を新規購入する。これ、実質的なクラフトロボの後継機なのだ。値段も2万6千円ほどでお手頃。


■ シルエットポートレート4

 マシンが届き、早速テストする。後継機だから同じ使い勝手かと思ったら、違っていて戸惑う。ロボはインクスケープから直に「印刷」でカットできたが、それが出来ない。相変わらずマシンをプリンタとしては認識しないのだ。カットするためには、「Silhouette Studio」という専用のデザイン/マシン制御ソフトを経由する必要がある。

 Silhouette Studioは、svgファイルが読めない。読むには有償の高級版を購入する必要がある(※)。そこで、インクスケープで作成したデータは、一旦png画像として出力し、その画像を取り込む。結果、微修正して再カット、という手順が少々面倒になるのと、カット順序、カットの方向、始点といった細かい制御ができない。

 画像は線画ではなくベタでないとダメ。ベタ画像の輪郭をカット線と認識する。だから、閉じた曲線しか切れない。開いた曲線にしたければSilhouette Studioの中で描画するしかないが、こいつは描画ソフトとしての出来はイマイチで、機能に制約がある。

 また、画像データは拡大するとフチがギザギザだから、画像のトレースでは精度もやや落ちる心配がある。これについては、画像出力のときに大きく出して、Silhouette Studioで正しいサイズに縮小という手順がいいのかも。このあたりは、今後研究してみたい。

※ 後日(10/16)追記、有償版でなくともsvg対応可能。詳細は
隼II前期型製作記に記載。


■ ロボ復活

 で、使用不能、と思ったロボだが、その後調べると代用ドライバで動かすことができることが判明。それが「Silhouette Studio_v3.8.206」(※)で、現在最新のv5では代用できない。以下、自分用メモ。

 ロボをPCにつなぎ、Silhouette Studio v3.8.206を立ち上げる。「デザイン」を選択、左上の「ファイル→挿入」で画像を取り込む。右上のアイコンの「トレースウィンドウ」でトレースエリアを選択し、外枠をトレース。赤線がカットラインとなる。v5よりトレース能力が低いので、はみ出すほど大きい画像をトレースして縮小する方がよい。「拡大縮小ウィンドウ」でサイズを変更。

 「Silhouetteへ送る」アイコンから「カット設定を調整」「Silhouetteビニール」を選択すると、ラチェットブレード(刃先位置)、速度、厚み等の編集ウィンドウが出る。これら全て「1」をまず選択し、試し切りして数値を変更。「Silhouetteに送信」でカット開始となる。

 v5をインストール済みだと、v3がインストールできない。逆はv3が消えてv5が上書きされる。そこで一旦v5をアンインストールし、v3をインストール後にフォルダの名前を変えて別の場所に移動、改めてv5をインストールすると共存可能。複雑なデータはv5で作って保存してからv3で読み込むといいのかも。

※ https://silhouettejapan.info/download/ss-w-3-8-206/


■ 続、ポートレート 8/5追加

 新マシンの性能試験を兼ねて、キャノピのマスキングシートを切ってみる。データは以前21型で使ったものと同じ。ただし、ベクターデータではなく、pngファイルとして印刷した図形を取り込む。結果は、以前のマシンと比べて思ったほどの精度の向上が見られない。

 原因はどうやら図形を取り込んでカットデータに置き換えるプロセスにあるようだ。カットデータはベクターデータになるのだが、それをよく見ると細かい点の連続となって、元のデータで直線であるところが、ビミョーに蛇行線になっている。結果として、カットラインも直線にならないのだろう。

 試しに、Silhouette Studio(純正制御ソフト)を使ってベクターデータの直線を描き(コーナーは直角とする)、それで切ると精度よく直線になってくれる。しかし、このソフト、描画ソフトとしては貧弱で、操作性が悪い。簡単な長方形ならいいけど、複雑になるとかなり大変。



Inkscapeで画像として出力したものの拡大。キャノピ全体で2000pxというかなりの拡大度でもこんなにギザギザ。

Silhouette Studioに取り込んだもの。小さな四角い点がベジェ曲線の制御点となっている。


 実は、Silhouette Studioでもベクターデータを取り込むことが可能。ただしそれは有償のハイグレード版となり値段も8000円以上と高額。マシン購入を検討されている方は、この点も考慮するといいだろう。


■ キャノピのマスキング

 原因は分かった。しかし、新たにデータを作るのは面倒。ということで、キャノピのマスキングは、全て手切り。定規とカッターナイフでシートを切る。前回同様に1枚の窓のシートをX字に4分割して、1辺ごとに貼っていく。コーナーの隅切りはせず、四角をやや小さめにして、間をあけて貼り、隙間をマスキングゾルで埋め、角丸はゾルでマスクする算段。



貼り付け中の状態。アップでみるとガタガタだなあ。

マスキング終了。透明な部分はセロテープ。これらは窓枠のエッジがハッキリしているため、この方法が可能。貼ってから切る。


 ちなみに、風防は胴体に接着済み。キャノピはまだ接着せず、このまま仮置きで塗装し、その後に、内部の汚れを落としてから接着する予定。で、ここでふと我に返る。オレ、何のためにマシン買い替えたんだろう???


■ 塗装開始 8/20追加

 バカニアの裏で、ゆるゆる進行中。

 まず調色。機体色のグレイはC35明灰白色に、わずかにC325 FS26440の風味を加える。これは混色して吹くのではなく、C325を斑に吹いた上にC35を乗せる。カウリングはP-47Mで使ったダークブルー(C365とC326を2:1+黒20%+C13ニュートラルグレイ少量)。 以下画像で。



リブテープのインレタを貼る。その後、上からサフを吹いて保護。

プラ下地最終チェックのサフを吹く。スジボリ脱線、風防の合わせ、接着面の隙間などの不具合を修正。この工程は大事。

塗装の下地としてのサフを吹く。さらに薄めた黒でモヤモヤ吹き。カウルにはモヤモヤなし。意味がないから。

機体色としてのグレイを塗装。ノズルを絞って薄く細く吹いていく。まずC325、次にC35。80%程度の発色で一旦止める。

C35にC13ニュートラルグレイを混ぜて、スポンジチッピング。強めに施し、上からC35を吹いて抑える算段。

チッピングの強いところを中心にC35を被せる。カウルも塗装。もう少しチッピングを消した方がいいかな。


 キャノピ内側の汚れ対策として、胴体に接着せず被せた状態で塗装する。最後に内側を掃除して接着。合わせが完璧に良いからこそ出来るワザ。


■ マーキング塗装 8/29追加

 どうも、箸休めばかり進んでしまって。さてゼロ、マーキング塗装に進む。赤は21型で使ったもの(C365 紅色、C310 FS30219ベト迷タン、黄色が2:2:1)。主翼日の丸は21型と同じ位置に記入されるので、翼端を切り落とすと、かなり外寄りになる。



マスクして赤を吹いたところ。

マスクをはがす。


 マーキング塗装は、この赤のみ。吹き終わったら、薄めたセミグロスクリアを全体に吹く。マーキング境には、しっかり目に。そして塗装境の段差をラプロス#6000で均す。


■ スミイレ

 続いて、スミイレというかウォッシングというか、水溶きウェザマスを全体に塗って、拭き取る。これも21型同様に、スス、サビ、グレイを混ぜていつもより明るめ。カウリングでは地より明るく、他は地より暗く見える。



ウォッシング終了。ウェザマスの特性でとくに明色地の場合、塗膜に食い込んで拭き残しが生じる。そこはラプロスで磨き落とす。

同時に小物も塗装。脚カバーのフチは薄く削る。脚柱パーツの一部を切り取りカバーに接着(詳細は21型製作記参照)。車輪は3DP。


 キットのパネルラインは、全てラインチゼル0.1mmかケガキ針で彫りなおしてある。だから、スミイレがシャープに決まり、苦労の甲斐ありだ。塗膜に拭き残る顔料は、ウェザマスの欠点でもあるが、逆にそれがまたイイ感じにリアルだったりする。気になる場合はラプロスで下地ごと削り落とす。そのためクリアを吹いてある。


■ エンジン

 3DPのエンジンを塗装して取り付ける。シリンダーは本来黒だと思うが、それだと何も見えないので暗銀で塗って強めにウォッシュ。黒で塗って銀でドライブラシするのと同じだね。



塗装、ウォッシング終了。色味はフィクション。ギアケースはEDSG。

シリンダーを銀で塗装してるので、カウルを被せても、冷却フィンの存在が分かる。

後ろ側はこうなっている。

機体に取りつけると、カウルフラップの隙間から排気管と操作ロッドがチラ見え。ね、いいでしょ?


 3DPご使用の皆様へ。エンジンとカウルフラップの接着面は、サポート痕で荒れている。そのため、入念に擦り合わせ、仮接着してカウルを被せ、スピナとカウルの位置関係をチェックして調整を推奨。←サボった私は、接着をはがしてやり直すはめに。


■ プロペラ

 プロペラ、スピナはキットパーツを使う。スピナ先端は、少々尖りが足りない気がして、ペーパーで削って形を整える。プロペラは3枚一体のパーツで、それだとスピナの整形に不都合。先にスピナ前後を接着。整形し、切り取ったブレードを後付けする。ブレード中央の「芯」は、忘れずにスピナ後半パーツに接着しておくこと。でないとブレードを取り付けられない。←忘れたのか?



プロペラ、スピナ出来上がりの図。ブレードの形は非常に良いので、修正の必要は全くない。先端を薄く削るのみ。

ブレードに真鍮線を打ち、極少量の瞬間で仮接着。角度を整え、裏の穴から瞬間を流して本接着。



■ トースカン

 スピナのスジボリに、簡易自作トースカンを作る。材料はケガキ針と棒ヤスリとプラ材。



間に挟んだプラ材の厚みで針の高さを調整する。固定はセロテープ。

後方のスジボリは、こんな具合で。このトースカン、使ってみると「非常に良い」。作るの簡単だし。オススメ。



■ インレタ

 機番や注意書きは自作インレタ。これは21型のときに作ってある。版下ファイルもそちらにある。



その前に、キャノピのマスキングをはがす。内側を掃除し(幸い、ほとんど汚れてない)、木工ボンドで接着。

機番と銘板がインレタ。書体、配置は実機写真から。9と7の間の広さも実機どおり。

右舷の配置は左舷と違うのだが、インレタ作成時に気づかず同じとなっている。版下はちゃんと修正済み。「足踏」もインレタ。

プロペラも塗装、インレタ、デカールを貼って、気分は完成。シンプルなマーキングもまた良きかな。


 補足。窓のマスキングをはがす際は、境界をナイフで軽く切っておく。それでもやっぱり塗料が持っていかれて、窓枠がガタガタになる。太さのバラつきは、テープ貼り付けが丁寧でなかったからだな。ヘタレやのう。あとでタッチアップしよう。腕がないから、どこまでリカバリーできるか分からんが。

 プロペラはC8銀+クリアで塗装。裏はC131赤褐色に同明度のグレイを2割ほど。赤い警戒線はインレタ。キットデカールは、線が太く間隔が狭い。インレタはカルト製クリアデカールに転写してから貼り付ける。銘板はキットデカール。


■ 今更の考証

 インレタ貼りで、写真を見ていて今頃気づく。32型のアンテナ柱って、21型と同じ長いタイプなんだね。キットの指定が短いアンテナ柱なので、ずっと短いもんだと思い込んでた。もうキャノピを接着したので、そのままいっちゃう。22型は両方あるみたい。作る際は写真を確認されたし。

 それと、翼主桁の端部は、キットや世間一般の図面では21型同様にフランジが広くなっている(下画像赤丸)。しかし、ここは52型と同様にストレートが正解。大刀洗の現存32型がその証拠(情報感謝)。折り畳みを廃止したら、フランジを広くする必要がなく、無駄に重量がかさむだけ。拙作はキットのまま。

 大分空は、陸上基地だけど、訓練部隊だから着艦フックは「あり」と想像。陸上に張ったワイヤで着艦訓練したのではと思うが。実際はどうだろう?



このフランジ拡幅は「なし」が正解。併せて下面の折り畳み関連のパネルラインも「なし」だ。




■ 最後の作業 9/5追加

 主脚を工作。3DPの車輪を取り付けるには、注意が必要。まず、キットの車軸は長いので、少々カットする。自重変形タイヤで接地位置が決まっているので、車輪は接着せずに脚を組み立てる。ブレーキパイプも車輪には接着しない。脚を翼に接着して3点姿勢にしてから車輪を固定し、ブレーキパイプを車輪に接着する。



主脚接着。オレオにはミラーフィニッシュ。ブレーキパイプは0.2mm鉛線。

車輪カバーの引き上げロッドを0.3mm真鍮線に置き換える。


 その他の工作は21型と同じ。写真も撮ってない。ピトー管は0.6mm真鍮パイプに0.3mm洋白線。アンテナ線は0.2号黒色テグス。脚表示棒を取り付け、給油口を赤で塗る。工作中、エルロンヒンジカバーが1つ行方不明。腐海(模型部屋のグレイの絨毯)に飲み込まれたか。52型のキットから持ってくる。

 塗装面は、ラプロス#6000で磨いた8分艶を最終形とする。これも21型と同じ。訓練部隊で、搭乗員が一日の終わりに磨かされたと妄想し、艶ありめで。  


■ 完成

 以上で完成。このところ、単色だが単調でない塗装、暗色スジボリ吹きしないウェザリング、を模索中である。結果は、まあまあ、そこそこ、かな。引き続き精進が必要ではある。今回はスポンジチッピングを濃くして、上から基本色をかけて濃さを調整するという手法。これ、色彩表現としては満足なのだが、最終的な塗装面にチッピングの凸凹が残って、美しくない。次回は何か方法を考えよう。

 落下タンクは、21型のときに製作済み。両面テープで脱着可能だ。タンクありの姿も、零戦らしくていいね。しかし、車輪カバーの後端は、このタンクに干渉するため折り曲げられているのだが、機体に取り付けると、カバーとの間が1mmほどあく。何故?

 ともあれ、取り急ぎスマホに卓上LEDライトで撮影する。今一つ色味が沈んでシャープさに欠けるので、撮影用照明にコンデジで取り直したいが・・・その前にシーハリとハリケンとF-35もちゃんとした写真を撮らなきゃ。
























 箱も作る。F-35の上に床を設けて、そこに格納する。床だけ持ち出すことも可能。



この中に6機入る。H-75の下に隼。1/72ならあと3機はいけそう。

床が動かないように矢印のブロックで押さえる。


 本作、11/3のモデリンクで販売する「商品見本」でもあったりする。次の1/72も商品見本にしようかな。




■ 3Dファイル、参考文献

 零戦21型製作記に記載。


零戦21型製作記



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