三菱 零式艦上戦闘機二一型 ファインモールド 1/48 製作記

2026.8.17初出




最終更新日 




■ はじめに

 ファインモールドから、1/48の零戦52型に続いて21型が発売された。待ち望んでいた模型ファンも多いだろう。私もその一人だ。で、ニューキットが出れば、それに合わせた3DPをリリースするのは当然の流れ。秋のモデリンクの目玉商品にする。昨年の52型エンジンの反省を踏まえ、完璧な勘合を目指し、キットも入手。

 で、キットとの合わせを確認しつつ、3D設計などするわけだが、キットを触っていると、だんだん作りたくなってくる。モデリンクの商品見本としてディスプレイすれば、パーツの売り上げもアップするぞ。などど邪な考えも頭をよぎる。てなわけで、いざ製作開始じゃ。

 製作コンセプトは、弊社3Dパーツを組み込む以外は完全素組みとする。なにせ時間もないし。前の1/72タミ21型は陸上基地隊とした。同じは芸がない。上面暗緑の21型にもそそられるが、キットが三菱製前期型ということで、ここは素直に空母航空隊にしようかな。


■ キットレビュー

 基本的にとてもよいキットである。キットは52型の流れをくみ、胴体や主翼のラインには、同社の主張が込められている。これはヨシ。全面に打たれたリベットは好みはあるだろうが(私はいらない派)、令和の時代はスタンダードなのかな。

 パーツの合わせは、素晴らしい。エンジン、コクピット、後部胴体、足回りなどは52型と共通である。主翼は、バリエーション展開のため、いくつかのパネルが別パーツとなっている。その合わせも良好。

 残念ながら、モデリンクのページに書いたとおり、カウリングのイメージが、私の中の21型とちょっと違う。違和感は機首に集中していて、スピナとプロペラブレードの形もやや違う。とはいえ、この辺は好みの問題。気にならない人はそのまま作ればよし。私はといえば、自分のイメージに合わせた3Dパーツを作って置き換えるだけ。


■ カウルの設計

 モデリンクのページは、私の中では「公の場」。だから表現は控えめ。そこで書けないことは、こちらの裏庭ページに書く。では、カウルのイメージの違いについて。下の画像をご覧いただこう。実機写真はあえて載せない。気になる人はお手持ちの本と比べてくだされ。



モデリンクの再掲。キットのカウル。

私のイメージ(を3Dとして具現化したもの)。ちなみに後端の棒は事後変形の歪み防止のため。


 違うところは、カウル下側のライン。キットは前上がり。一方でカウル上側のラインは前下がり感が足りず、緩い曲線を描く。正面形では、開口部がやや大きいかな。ただしここに関しては私もあまり自信がない。



左ファイン、右エデュアルド。ファインは開口部やや広め、エデュはやや狭め(だと私は思うが正解は知らない)。

私のイメージ。画像はパースありで。でも視点位置が違うので、単純に比較はできない。実寸法としてはファインとエデュの中間。

キットのクランク状リベットラインはどうかな?。上画像の弊社3Dと比較されたし。

実機はシリンダーヘッドに合わせてクランク状になった部材が取り付けられている(はず)。画像は52型だが21型も同じと考えられる。


 3Dパーツの設計はこのあたりの再現が主となる。開口部のサイズは、拙作タミ1/72(キットを少し広げた)に合わせる。それでもファインよりはやや小さめ。カウル平面形はキットも問題ない。以下、カウルの作り方。



パネルラインより前はサーフェスの回転。後方は、カウルフラップ前縁ラインまでロフト。ガイドはシンプルに3本。シンプルに出来るときはなるべくシンプルにする。その方が歪みが出にくい。

サーフェスで作った半身カウルを、ミラー、パッチ、ステッチしてソリッドボディに変換し、中を回転でくり抜き半身に戻す。カウルフラップ部の上部後方は、カウルフラップ前端断面をスイープ。

過給機インテイクは下から見て前すぼまり。この設計法が悩ましく、あれこれ試行錯誤。結果がこれ。まず、前端断面をスイープする。このままでは幅が一定。

適当な2か所で切って、外にずらす。ずらした断面(青線)でロフトする。後端はエッジの曲率が小さい。そのための別ボディを作る(押し出し、面の除去、再度フィレット)。

パネルラインは、適当な平面にスケッチしてから、「サーフェスに投影」でパス(紫色)を作る。そのパスに沿ってパイプを作り差分する。

リベットは、円柱を作って「パス上のパターン」で並べる。そのパスはパネルラインと同様に「サーフェスに投影」で。ところが、後々これがものすごく大変なことになる。


 「パス上のパターン」は、便利だけど厄介なコマンド。タイムラインを遡って前のフューチャーを修正したりすると、指定したパスを正しくトレースしてくれなくなるのだ。上右画像は、下から上に並べたものだが、上の円柱はパスから逸れてカウルへの食い込みが浅くなっている(画像じゃ分かりにくいけど)。

 これを移動コマンドで戻してやるわけだが、この作業をしているころにはファイルが重くなって、Fusionがまともに動かない。原因はPCのスペック不足なわけだが、1つのコマンドを処理するのに10分以上かかってしまう。このバグ修正を朝から始めて終わったのは夕方。もう、うんざり。

 ともあれ、苦労の末になんとか満足できるものが出来あがる。プリントしてキットに合わせる。



サフを吹いてスミ入れし、キットに仮組みしたところ。いいんでないかい? スピナも3Dだがこれは後程。

真横から。やっぱ21型のラインはこれだよな、と自画自賛。


 お持ち帰りファイルはアップしない。気になる方は、モデリンクでご覧いただきたい。


■ 組み立て開始

 実作業の順番としては、エンジンの設計改修とスピナが先だが、後で語ることにして組み立てに話を進める。初手は定石どおりコクピット。エンジン設計の段階で、合わせを確認するため無塗装で組んである。というのも、コクピットフレームのパーツがエンジンマウントになってるのだ。

 で、組み立て済みのコクピットを塗装する。座席以外は完全にキット素組み。機体内部色はいつものC340。ぶわーっと吹いて、C333でドライブラシ。塗れない所は見えない所。細部は筆塗り。



組み立て済みのコクピット。フレームと床とは未接着。シートは弊社3D。

細部を塗り分け、ウェザマス黒でウォッシング。シートベルトはヘタレな私でも塗りやすいよう、モールドの段差を大きくしてある。

計器盤はキットデカール。フラットクリアを吹いて、ガラスにフューチャーを垂らす。

胴体に組み込むと、あまり見えない。お約束である。コクピットの前後は、見えない。だから塗らない。


 ファインのインストは、レバーなど細部の塗装指示がなく、そのままだと寂しい仕上がりになる。ネット画像など参考に色味を足す。正しい保証はないので悪しからず。

 スロットルレバーは、確かレバーが木で、そこに自転車のブレーキのような20mm砲のトリガーがついているハズ。それらしく塗り分ける。


■ 主翼、尾部

 主翼は、カウル設計の際に合わせを確認するために工作済み。



特に問題なく組みあがる。翼端は折り畳み状態にしようかな。

機銃口とコクピットエアインテイクは別パーツ。若干隙間ができるので、サフで処理する。もうあとチョットだけパーツを大きくしてくれたら嬉しかったが・・

尾部も組む。

胴体上面のリベットが浅いので、ケガキ針で彫りなおす。


 重箱の隅。垂直尾翼はやや薄い。キットは翼厚比に換算すると7%。これは当時の飛行機としては小さ過ぎると思われる。手持ち資料の垂直安定板リブ断面図と比べても薄い。1/48寸法だとその差は0.5mmほど。そういやファントムの尾翼も薄かったな。偶然か?? 今回は素組みなので直さない。


■ エンジン設計 8/24追加

 昨年のモデリンクでは、当時新発売のファイン52型に寸法を合わせた。ただ、キットは入手せず(タミを作ったので、もう52型はいいかなと)、クラブのメンバーの協力で各部を採寸。そのため、キットのカウルフラップ基部パーツの接着が面倒との指摘をいただく。また、吸気マニホールドや排気管の接着も、調整はモデラー任せ。

 その反省を踏まえ、今年はキットを入手し、実際に合わせを確認しながら設計する。それだけのことなんだけど、意外に手こずる。というのは、キットへの勘合を合わせつつ、自作3Dカウルとの勘合も同時に合わせると、「彼方立てれば此方が立たぬ」状態になってしまうわけ。



ともあれ、苦労の末に設計終了。

このとおり、キットのパーツがぴたっとはまる。

キットのカウルの2か所のピンが邪魔になるので、切り落とす。上下4か所の凸はエンジンの位置決めになるので残す。

ついでにいうと、3DDPカウルを使う場合は、胴体側パーツの矢印の凸部を削り落とすと合わせがスムーズ。



■ 二次硬化後の収縮の進行

 3Dのカウルとエンジンをプリントしていて気付く。紫外線を当てて二次硬化させた後も、収縮はじわじわと進むのだね。カウルとエンジンを同時にプリント、二次硬化させるとピッタリはまる。ところが、数日前にプリントしたカウルだとキツくてはまらない。

 つまり数日の間にカウルが縮んだわけ。ところがさらに数日経つと、エンジンも縮み、今度ははまる。寸法的には0.1〜0.2mm程度。今まで気にしてなかったけど、シビアな設計だと効いてくる。これからは気にすることにしよう。


■ プロペラ&スピナ

 レビューの項に書いたとおり、キットのプロペラとスピナは、私のイメージと違う。まずプロペラ。



再掲。三菱製21型。前縁はふっくらとしたカーブを描く。

再掲。中島製21型。ブレードの形状は三菱と同じだと思われる。撮影角度のせいで、スパン方向に圧縮されている。

キット。削って出来る範囲で先端をカーブさせている。が、まだ直線的でふっくら感が不足に見える。

前縁に伸ばしランナーを瞬間で接着して削る。後縁はいじらず。ブレード中央で0.5mmくらい拡幅。


 スピナもなんか違うんだな。ここは3DPに置き換え。



左3DP、右キット。

根元の直径も違う。


 ま、あくまで個人の感想ってことで。なお、これらの3Dパーツは、モデリンク2026で絶賛予約受付中。気になる方は是非!


■ 胴体と主翼の接着

 まず前後胴体を接合する。段差ゼロには出来なかったのは腕のせいかな。次に主翼と胴体を接着。組み方のせいか、ロットによるのか、フィレットと主翼の間にわずかな隙間がある。そこで、内側にプラペーパーをはさんで胴体を広げる。これで隙間解消。もし隙間ができたら、この方式をお奨めする。



胴体前後の合わせはこんな具合。段差は写真だと分からない。指先で触るとわずかに感じられる程度。接着は全て流し込み系。

こんな具合にプラペーパーを挟む。画像ないけど、前方側にもプラバンのクサビをはさんで広げる。

これで隙間なく接着できる。このため、アンコ(コクピット)はあえて胴体パーツには接着しないでおく。

胴体前下方の小パーツには隙間ができる。ここはタミヤパテで処理。



■ エンジン塗装

 カウルを胴体に組みたいので、エンジンを塗装する。色はフィクション。ちなみに、ギアケースはC13ニュートラルグレイ、シリンダーはダークシルバーにウェザマス黒で強めのウォッシュ。プラグコードは銀+金、マニホールドはSM206スーパークロームシルバーの筆塗り。



エンジン塗装完。シリンダーとギアケースはエアブラシであとは筆塗り。

後ろからはこんな具合。


 ここまで快調。胴体主尾翼で面倒な工作がないのが、ホント素晴らしくいい。もうすぐ塗装に入れるぞ。マーキングの準備しよう。


■ 塗装前の残作業 9/7追加

 トバナイカイ展示会に間に合わせるべく集中作業。おかげでだいぶ進む。しかし、並行で3DPの生産も佳境。ページ更新の時間がない。ともあれ、塗装前に済ませるべき作業を片付ける。

 主翼の機銃口と空気取り入れ口のパネルは、バリエーション展開のため別パーツとなっている。ここの合わせ目に若干の隙間ができる。



周囲にリベットがあるため、サフで隙間を埋める。しかし、これが間違い。

ガイドのテープを貼って、エッチングソーでスジボリ。脚出表示棒は邪魔なので切り飛ばす。


 サフの上からスジボリって、無理筋なんだよね。結局、上手く出来ずに何度かやり直し。周囲のリベットは埋まり、ケガキ針で打ち直す。それなら、最初から瞬間で隙間を埋めるのが正解だったな。

 気を取り直して、キャノピのマスキング。いつものようにセロテープを貼り、デザインナイフで切る。キットの窓枠モールドはシンプルな凹スジで、これは切りやすいので大歓迎。タミヤのような浮き出し凸モールドは、難易度が高いのだ。

 マスクしたら、エッジにあるパーティングラインの「めくれ」をペーパーで落とす。画像で窓にキズがあるのはそのため。クリアパーツにキズがあるのではない。



マスキング終了。窓の数が多いから、やり忘れがないよう、終わったところに油性マーカーで印をつける。

キットは、キャノピの胴体分割部分のスジボリが忘れられている。エッチングソーでスジボリ。


 アンテナ柱はキットパーツを使いたいところだが、粗忽者なので製作中に折るのは必至。なので、真鍮棒を削る。なに、30分も格闘すれば何とかなる。

 照準器は、3DPが欲しくなり、急遽設計する。モデリンクの商品にも追加する。



アンテナ柱は2×1mm真鍮角棒を削る。画像にはないが、空母搭載機なので、クルシーアンテナも取り付ける(でいいよね?)。

投影ガラスは、0.2mmプラバン。プライマーで接着する。


 動翼は、真っ平でリブのみ盛り上がる表現。これは実機もそうだから、極めて適切。後縁がシャープなのもマル。リブテープを、いつものようにインレタで再現する。予定マーキングとともに発注済み。



キットのモールドを削り落として、インレタを貼る。

下面は手抜きと経費節減でキットのまま。もうちょいリブが細いと私好みなんだけど・・・


 モケイはもう少し進んでいるが、今回更新はここまで。


■ 塗装 9/10追加

 いよいよ塗装編。今回もパネルラインの暗色吹きをしない。零戦はあんな風には汚れないから。とはいえ、実戦機だから、シミ一つない真っさらピカピカではないだろう。その辺のリアリティをどう表現するか。そこは最近の定番、下地にテクスチャーをつけて迷彩色を重ねていく方式で。

 迷彩の灰色はC35明灰白色がベース。最新の零戦の塗装考証は、一周回ってコレだ。下塗りはこれに白を3割ほど混ぜる。途中C325のガルグレイを斑に被せる。上塗りはC35のビン生。カウリングはC365グロスシーブルー、スピナとペラはC8(旧ロット)+クリア。



まず、エッジに透け防止の銀を吹いてから、全体にサフ。エルロンは仮止めして塗装する。

その上に黒を薄く溶いて「の」の字のムラムラに吹き、C35+白をこれまたムラムラに重ねていく。

C35が80%くらい発色したところで、タミヤスミ入れブラウンでスポンジチッピング。

その上に上塗りのC35を重ねる。下地のチッピングは見えるか見えないかのギリギリぐらい。

ラプロス#6000で軽く磨き、水溶きウェザマス(黒+灰+茶で明るめに)でウォッシング。ちょい汚くなりすぎ。

汚すぎるところは、C35を極薄に上掛けして戻す。あくまでキレイな仕上がりを目指す。


 本作は緒戦の空母搭載機。であれば、整備員が毎日心を込めて表面をきれいに磨いているはず。それでも落としきれない汚れが少し残る、というあたりを想定して塗っていく。



ということで、最終形がこれ。ウェザリングと塗装を同時並行でやる感覚。灰色の上には、もうこれ以上のウェザリングはしない・・・多分。


 カウルはまだC325の塗りっぱなし。このあとウォッシングする。斑模様のための穴あきテンプレートを買ってみたけど、あれはエッジが立ちすぎるので私の好みでない。エアブラシ細吹きがよい。


■ マーキング

 マーキングは、二本の白帯が美しい五航戦「瑞鶴」搭載機に決めてある。その中からあれこれ迷い、戦闘機隊分隊長佐藤正夫大尉機EII-137にする。本機は、タミヤ1/72の指定塗装にあり、人と同じが嫌いな私としては、できれば避けたいところだが、尾翼の実機写真があるのが決め手(モデルアート別冊「真珠湾攻撃隊」など。なお手前の人物はご本人ではない)。

 備忘メモ。日の丸の赤は1/72零戦で使ったもの((C365 紅色、C310 FS30219ベト迷タン、黄色が2:2:1)。インレタの機番は暗めの赤T116。プロペラ裏側は、零戦52型で使ったもの(C131赤褐色に同明度のグレイを2割ほど)。



塗装でできる部分は塗装にする。翼の小丸はハイキューパーツの円形マスキングシールS。これ便利だね。

マーキング塗装と機番のインレタが終了。インレタ保護と塗装段差を削り落とすため、セミグロスクリアを吹く。


 日の丸や白帯の位置、サイズは、ファインとタミヤのインストを参考にする。ファインの塗装図の主翼上面日の丸は後ろに寄り過ぎていると思うが如何? 本作はタミヤに従う(つまり前後縁の真ん中)。細部の塗装はファインに従う。風防前の滑油給油口は指示により赤く塗らない。



完成が見えてきたぞ。汚しは極控えめなんだけど、のっぺり単色ではないのでイイ感じ。汚らしい零戦は嫌い。


 次は細部マーキングと小物取り付け。ところで、来年のWINGS展示会のテーマは、「鳥」とか「5」(5周年)とかの案が出されているけど、これでどちらもクリアだ。




■ 参考文献

 零戦21型製作記に記載。




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