メッサーシュミットBf109E-7trop(タミヤ1/48)製作記
<はじめに> ■ キット評 エミールの決定版といってよいだろう。初心者からベテランまで幅広くおすすめできる好キットだ。部品分割のうまさもタミヤならでは。モールドは基本的にはよいが、リブの表現は少々オーバー。 胴体パーツをハセガワのGシリーズと重ねてみると、随分とラインが違うのに気付く。完成品を並べてみてもプロペラの位置がかなり違う。EとGは型式が違うとはいえ基本形は同じだから、両者ぴたっと合うべきなのだが。 <組み立て> ■ コックピット ストレート組み。少々寂しく感じるが、実機もけっこう寂しい。シートベルトのみファインモールドのエッチングを使用。シートの背にベルトの穴を開ける ■ 胴体、主翼接着 風防前方の穴を開口し、断面を裏から薄くする。コックピットを挟み込んで胴体を接着。窓パーツとの合わせをチェックするが、問題ない。垂直安定板は、方向舵に合わせ厚みを増す。胴体と主翼の合わせも脱帽もの。主翼は翼端が垂れないように注意。 ■ 小物パーツ 基本はストレートのつもりが、つい手間をかけてしまう。 機首オイルクーラーの中央の仕切り板は、外されている機体が多い。熱帯用フィルターを前後に切り離し、ずらして接着する。その先端や排気管前方などは、薄板のプレスに見えるように彫り込む。尾部持ち上げ用の穴を小さく。
塗装例に従い、尾輪収容口を塞ぎ、頭部防弾板は上部の湾曲部を切り取る。アンテナ、ピトー管、尾輪柱、エルロンのマスバランスなどは金属化。翼下面に固定用のリング、方向舵操作ロッドを金属線で付け替える。 ■ 窓の接着 窓のはめ合わせは若干きついので、それぞれの接合面を少々削る。パーツの合わせは非常によい。後部風防上部の内側の枠は内側から凹モールドとなっており、面相筆でサッと塗るだけでよい。これはアイディアもの。外から見ても枠の感じがよく出ている。感心した。窓枠のリベットはオーバースケール。これは削ったほうがよい。 <塗装> ■ 塗装の考証 手持ちのエアロマスターデカール(48-127)から、E-7 tropの1/JG27所属ルードヴィッヒ フランチスケト少尉の乗機を選択する。 スピナー先端は、デカールの塗装指示では白だが、資料Dでは本部付きを示すグリーンとされている。確かに写真の印象でもそんな気がする。白縁つきのAも同色のようにも見えるがデカールでは黒。スピナー後半は70ブラックグリーンだろうか。胴体側面のインクスポットは、斑点が明瞭でない。右側面の部隊マークは、後方寄りに記入されているそうである。 機体細部は標準的なE-7 tropで、スピナーは先端に穴がなく、比較的尖ってないもの。熱帯用フィルタ装備、上部の湾曲部のない頭部防弾板。胴体下面のラックは写真では非装着。尾輪収容口が塞がれている。 ■ 調色 下面の76ライトブルーは白を2割ほど加える。当時のカラー写真からは、かなり白っぽい印象を受ける。75グレイバイオレットは白を2割ほど加え、74グレイグリーンとの明度差を強調する。74と70ブラックグリーンはビン生。 ■ 基本塗装 下地はいつもどおり。大まかな部分はフリーハンドで吹き、主尾翼の74/75グレイは、厚紙を塗装面から1cmほど離して塗り分ける。フリーハンドよりはシャープに、しかし通常の型紙マスキングよりは、ぼけ幅が大きく仕上がる。胴体の76との境やモットリングはフリーハンドなので、翼の塗り分けだけがシャープだと違和感がある。 ■ モットリング ドイツ機モデルの最大のポイント。この出来がモデル全体の出来を左右するといっても過言でない。塗料は通常の塗装よりさらに薄く希釈し、ハンドピースのノズルはぎりぎりに絞る。リターダーはあえて加えない。常にノズルから細く吹き出す状態にして、塗装面との距離と1箇所にとどまる時間によって斑点模様を描いていく。ノズルが詰まってくるので、ときどきティッシュに「ぶわっ」と吹く。 フランチスケト機は、胴体側面には明瞭な斑点がないが、これを忠実に再現しつつ模型としてのまとまりを持たすのは、私のセンスでは難しい。ある程度模型的本物らしさを優先し、胴体側面にも74と75の斑点を吹くが、どうも満足いかない。76で斑点が透けるくらいにオーバースプレー、再度74と75を吹いたところ、今度はかなりいい雰囲気になる。 ■ ウェザリング パステルはペーパー上で粉にする。墨入れには少量の水をつけて凹部に置いていく。乾燥後湿らせたティッシュや綿棒で拭き取る。エナメルのように、きれいに凹部に残らないが、まあがまん。ススやパネルラインに沿った汚れは、乾いたパステルの粉を筆で置いていく。 面相筆による描き込みは、パネルラインのエッジを少し明るい色でなぞり、リベットを要所に描き込む。失敗したら基本色で上から押さえる。胴体モットリングの部分はライトグレーをかぶせ、かすれた感じを出す。いずれにしても、あまりやりすぎないように。主翼の付け根には銀はがしを少々施す。 ■ デカール エアロマスターの48-127にはE型用のステンシルが入っていないので、適宜他から流用する。 ■ 完成 フラットクリアでつやを整え、以上で完成となる。総製作時間30時間強は、私にしては早い方。これもキットが優れているため。 ■ 参考資料
側面形を比較すると、ハセガワGは胴体中央部が高さ不足で、上面ラインは正しいが、その分全体の印象としてプロペラ軸線が低く見える。タミヤは胴体高さは良いが、プロペラ軸線位置が少々高い。カウリングのラインが、スピナ後端からグッと立ち上がる感じが不足している。また後部胴体長さが短い。垂直尾翼の形は、EとF以降では実機も微妙に異なるが、タミヤは正確、ハセガワは高さ不足で全体に扁平な形。
キャノピーを閉めると中はあまり見えない
コクピット前方の穴を開口
できあがったリブ
少々ブレているが、ラダーはこのとおり
プロペラは全体的な印象がいまいち。これは断面形状とねじれの問題。幅も細いが、付け根の妙な「くびれ」をパテ盛りで修正し、ブレード面を少し削って妥協する。ポリキャップがきついときは、環を切ってO→Cにするとよい。
3点姿勢をチェックしたところ、どうも機首が上を向くので、オレオのところで主脚を1.5mm短縮する。主脚取り付け角度は、EとF以降では異なる。側面から見てEの方が立っている。脚周りは定番Dアップ。
プロペラの形状を修正
主脚カバーを薄肉化、ブレーキパイプを追加
脚、車輪の取り付け角度はBf109の重要なポイント
金属の外板の薄さを表現する
熱帯用フィルタ操作ワイヤは、細すぎて目立たず
ガンサイトはガラスを透明プラ板にする
フレームのリベットはオーバースケール
壊れやすいパーツ、固定用のリングを金属化
翼端燈はクリアーランナー
水平尾翼の支柱は十分に摺り合わせる
方向舵操作ロッドは0.2mm真鍮線
資料Dに飛行中の実機写真数枚と塗装図がある。写真では機首と他の部分の地色に差がなく、一見ライトブルーのように見える。しかし、西部戦線から転戦した機体なら黄色の可能性は高く、JG27の中には明らかに黄色と判断できる機体があるので、白黒写真で黄色とライトブルーの明度差が現れなかったと解釈する。
西部戦線そのままのRLM74/75スキーム
胴体には一重くさびと白帯
機首とラダーは黄色の上にモットリング
黄色は黄橙色をベースに、くすみを出すため少量の青を加える。できあがってみると、もう少し鮮やかでも良かったか。グリーンは青、黄、ライトブルーを適当に混ぜ、青味の強く、いくらか明るめの緑とする。
フランチスケト機は、機首上面も暗色。カウリングを外した状態で塗り、不連続感を強調する。
主翼のぼかし具合はこの程度
モットリングは、一度ライトブルーをオーバースプレー
北アフリカの砂漠で使われた雰囲気を出したくて、足回りにベージュ系のパステルをまぶす。機体全面の退色は、グレーやライトグレーのパステル。
排気汚れはパステル
主翼付け根には銀はがし
手描きリベットはうっすらと見える程度に留める
翼のウォークウェイの赤線に神経を使う。余白のニスをカットすると1mm足らずで、曲げずに貼るのに難儀する。固定するまでデカール軟化剤は使わないほうがよい。ステンシル類は最小限とした。国籍マークのトーンを落とすため、乾燥後に極薄の白をオーバースプレーする。
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