メッサーシュミットBf109F 製作記
2004.3.5初出、 6.17完成
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はじめに |
■ 製作コンセプト 今、自分の中では本流回帰が一つのブーム。で、スピットファイア、マスタングと続けばメッサーは自然な流れ。その中で、最も流麗な姿態のF型。乗り手はマルセイユを置いて他にない。イーグル・ストライクからは、デカールも発売された。今作らずしていつ作る!! 気合を入れて、自分にとっての現時点でのベスト・モデルにするつもり。一方、ドイツ機は、敗戦国ゆえの情報不足から新資料発見のたびに通説が覆され、考証面での難しさがある。私の頭は古いモデルアートの別冊から進歩なく、この点甚だ心配。そこで、オーソリティーの教えを受けながら製作する「他力本願」モデリングを実行。「がらんどう」氏の掲示板にて助けを借りる。 メッサーの図面は数多く出回っているが、スケビ通算7号の阿部氏の図面と記事が最も信頼性が高いと言われている。細部の考証はこれに基本を置くこととする。ただし、プロポーションに関しては、あくまで実機写真を基準としたい。 |
![]() イーグル・ストライク、アイリス、モスキットと、三種の神器。 |
■ マルセイユのF 彼は4機のFに搭乗した。いずれもF−4tropで、1機目(以下使用順に#1・・と表記)はW.Nr8693、胴体塗り分けは中央部、本機のみラダーが赤。#2がW.Nr10059で、胴体塗り分けは同じ。スコアマークはバーのみで10本が6段+α。#3はW.Nr10137で#2と良く似た塗装。スコアマークは70機の紋章+バー。#4はW.Nr8673、塗り分けが下方。機首にアフリカのマーク。スコアは100機+バー。各機は、翼端の白、機首下面の黄、14の書体などに差異が見られる。後述するが、W.Nr8000番台と10000番台では機体細部に違いがある。 イーグルストライク48144はいくつか考証ミスがあるので要注意。詳しくは、いずれ塗装考証の段階でじっくり述べることとして、ざっと指摘する。 まず全機とも右側にスコアマークはない。#1(デカールの番号とは異なる)は翼端の白塗装がない。#3では、機首の黄色は下2/3程度しか塗られていない。14の書体が異なり、これは#2も同じ。タイヤの白塗装なし。#4では右側のアフリカマークが、正しくはあと4〜5mm後方。14のサイズ過大。 ■ ベース・キット選定 シャープなモールドのハセガワと、古くから名キットの誉れ高いエアフィックスがある。さらにハセガワFとその後のG/Kとでは、胴体の基本設計が異なっている。どれを選ぶかは、好みの問題もあり難しいところ。では、個々にキットをレビューしよう。■ ハセガワ かっちりしたモールドや小物は、メッサー=メスの名そのもの。素組みならこっちだ。欠点は、スピナが団子っ鼻。胴体が低く、機首が垂れ下がっている。後部胴体の断面形は、下面の「くびれ」がなく、後半で頂部が扁平。コクピット付近の断面形もいまいち。垂直尾翼は低く、扁平な形状。キャノピはモールド、薄さ、透明度など最高だが、若干背が高く、低い胴体と相まってバランスが悪い。主翼は、薄く、翼端の平面形が尖っている。これがG/Kになると、機首が短く、垂れ下がりが修正され、後部胴体下面のくびれも表現された一方で、後部胴体はさらに低くなっている。主翼はF〜Kまで基本的に同一パーツ。 F〜Gシリーズの全長は9,020mmとされている。これにはエアが忠実で、ハセGになると3mm短く、約1/49スケールとなる。 ■ エアフィックス 実機写真と照合すると、胴体側面形は完璧ともいえるライン。スピナもバッチリ。お手軽に組むなら、ハセガワGにエアのスピナを使うだけで、随分印象が良くなる。翼形は良い。プロポーション上の問題点はキャノピで、長さ、高さ、天井部の幅とも不正確。防弾ガラス一体成型もマルセイユ機にはNG。後部胴体の断面形はハセガワFと全く同じ形状。それ以上に問題は、ぬる〜い、ねむ〜いモールド。全面にわたってエッジを立て、スジ彫りするのは、結構大変。フィレットの形もいまいち。小物は全く使い物にならないので、ハセガワからトレードするしかない。 |
![]() エア、ハセF、ハセKを並べたところ。ハセのFとG/Kもかなり違うことが分る。カメラが近く、歪みがあるので注意。 |
![]() 上は、ハセKにエアのスピナ。これだけでも結構良くなる。エアのキットは安いから、別売りパーツと思えばよし。下はハセF。 |
■ キット修正方針 プロポーション、モールドともに、ある程度のレベルの作品にしようとすれば、思いつく方法は以下の3案。 |
@案 | モールドのシャープなハセFをベースに、スピナはエア、胴体高さ、主翼厚を増す。機首も高さを増し、垂れ下がりを直す。 |
A案 | プロポーションの良いエアをベースに、キャノピ、小物などをハセから移植。 |
B案 | 両者のいいとこ取り。エアの胴体に、フィレットを含めた翼関係、キャノピ、小物をハセから移植。 |
@案は、垂直尾翼、胴体断面形、翼端、翼形、キャノピ、その他のプロポーション修正が大変。苦労して作っても全長が不足。 A案は、ハセガワと同水準のシャープなエッジ、スジ彫りにするのは不可能に近い。苦労して作っても、素組みのハセと並べると、シロート目にはそっちが良く見えては悔しい。 B案はどっちつかずで、まあA案の労力軽減策な訳だが、中途半端。 結局、作者が何に重きを置くか、ということ。私の場合、「形」としてのプロポーションは最も重要なところで、似てるか似てないか、似てない模型は模型じゃない、というくらい。次に、モールドや小物の「キレ」。ぱっと見、上手いか下手かはここで決まる。一方で、全長、全幅などのカタログデータは、数ミリ違っても見た目には分からず気にならない。 と考えた結果、@案、つまりハセFをベースに、いつもの切った貼ったとすることに決定。(実は、これがベストでないことが後に判明するが、それはまた後述する。) ■ Fのシート F−4の途中までの初期のF型のシートは、EでもGでもない特殊な形状をしている。#1の写真を良くご覧いただきたい。シートの背がコクピットからはみ出している。また、機関砲を外して整備中の写真では、傍らに取り外されたシートが転がっている。この写真では、シートの色は02グレイを連想させる明色である。他機では暗色のものもある。シートベルトの取り付けも、上端のスリットを通じてシートの内部に固定されているように見える。これが−4後期(1万番台以降か?)では、Gと同様の形状である。 ■ マルセイユF−4注意点 では、ハセガワFキットの留意点をまとめよう。特に注記なきものは4機とも共通の特徴。胴体後部の補強板は、#1、#4で「あり」、他の2機は「なし」。#4はG型と同じ幅広プロペラ。オイルクーラーは、G型と同じ大型のもの。機首左側のエアインテイクも同様に大型で、サンドフィルタ装備。後部胴体上部の小判型モールドは、G−2のためのもので「なし」。 機首右側に突出した小インテイクは「なし」。コクピット左側胴体の小バルジ2個「なし」。頭部防弾板は上部を切り取る。キャノピ右前下方の三角部分は、金属板で塞がれ信号弾用の穴。胴体下部にはFuG25アンテナのロッド。コクピット右側部に四角い小アクセスパネルのスジ彫りを追加。 以上により、ハセ素組みの場合も、より正確なモデルとなろう。なお、その際には、スピナをエアに換装し、機首を先端で1〜2mmほど上向きにするだけで、ぐっと印象が良くなるハズである。 |
組み立て |
■ 胴体修正 さて、ハセガワの胴体中央部は高さが低く、キャノピとその下方の胴体部分との比率のバランスが悪い。後ろ斜めからの実機写真とよく見比べて欲しい。ハセガワの胴体改修は、この改善が主眼。ただし、厳密を期すなら、胴体の改修だけでなくキャノピも低くすべきだが、これまた単純にはいかず、悩ましい。 |
![]() 全く素組みのハセガワG。 塗装は当時の通説。間違いあればご教示願う。 |
![]() こちらも全く素組みのタミヤE。キャノピ下部の胴体高さを比較されたい。 |
結局キャノピはいじらず、胴体のみ修正。コクピット付近だけでは低い尾部がますます低く見えるから、後部胴体は全体に渡り嵩上げ。実は、この胴体高さのバランスは、タミヤEがベスト。エアもいまいち。ただしタミヤは後部胴体が短い。 |
![]() 繊細なモールドが消えてしまっては、ハセガワを選択する意味がないと考え、それを避け写真のようエッチング・ソーとカッターで切断。 |
![]() 間にエバーグリーンの0.75mmプラ板を挟んで接着。裏からも補強。削りシロを考慮すると0.5mm強の増嵩となる。 |
![]() 左タミヤE、右ハセガワF。大きさが全然違う。タミヤは、大きさ形状ともに完璧。 |
■ 後部胴体下面 ハセFは、胴体下面の「くびれ」が全くない。エアも同様。くびれ方は、ハセG/Kが大変良く再現しており、参考になる。これを越すと、やり過ぎだ。コクピット直後から数えて3つ目のパネルラインに屈曲点が位置するように意識して削る。 |
![]() 向かって右側半分のみ削った状態。左右のパネルラインを比較されたい。 |
![]() 右から3つ目のパネルラインが屈曲点。 |
当初気づかなかったが、コクピット部の断面形もFとG/Kで異なり、後者が正確。作品は、既にフィレットを接着しており、大いに悩むが、結局、再度削り込むことに。フィレット後部付近で0.5mmほど。完全に自分のイメージどおりにはならないが、この辺で妥協。最初から、後部胴体はハセGのパーツを使うべきであった。すごく悔しい。 |
![]() フィレット後部の段差分だけ追加で削っている。フィレットは削らず胴体のみ削り、ラインが自然につながるようにするため、相当神経を使う。 |
![]() フィレットも削ったところ。ハセGを使っていれば、せずに済んだ苦労。 |
■ コクピット 側壁はアイリスのレジン製パーツを使用して手抜き。キットの上縁を薄くする。塗色は現存機を参考に適当にでっちあげ。黄色の燃料パイプには、途中に透明部分があるので、塗装でそれらしく再現すると良い。床はレジンを使わずキットパーツ。シートを後付けできるように削っておく。計器板もキット。エッチングは凹凸のメリハリに欠ける。 |
![]() こういうところでは、別売りパーツの威力絶大。自作してたら、それだけで完成した気分になって未完成病へ一直線。 |
![]() 計器板はハセガワのパーツ。計器はデカールを切り抜く。ラダーペダルはエッチング。キットの床にそのまま取り付けたので、少々奥すぎ。 |
■ 機首 機首は、下面が痩せているのが欠点。ここを改善しつつ、増嵩した後部胴体からスピナに向け、徐々に収束させていく。カウル前部と下部を切り離し、排気管スリット部に0.5mmプラ板を貼って高さをかせぐ。機首を先端で1mm強、角度にして1〜2°程度持ち上げる。そのため、別パーツになっているカウル側面の後端部を楔形に削る。削り幅は、上部で0.3mm程。 機首上面のラインは、メッサーの命とも言える。写真を見ながら、納得いくまで調整する。レストア機の空撮写真集が役に立つ。地上での写真だけでは見落としがちなラインを発見できる。 |
![]() 機首上面のラインは、メッサーの命。キャノピ前方部は、前下がりになるように頂部を削る。キットでは、カウリング境でのラインの折れ曲がりが強すぎ。 |
![]() 機首上部は、スピナ直後のパネルラインの2mm程後方に屈曲点がある。白く見えるのが増嵩したプラ板部分。 |
カウリングの断面形は、中に入っているアンコ、即ちDB601(と支持架、補器)の形状・寸法から合理的に導かれるハズである。即ち正面から見て1時と11時は細く、4時と8時に出っ張ったオムスビ形。エアはこのあたりの断面形の捉え方が上手い。ただし、さすがのエアも機首下面はもう一歩かな。 |
![]() プラ板で裏打ちして、1時と11時方向を削る。下端は直線になるように曲げる。機銃口は裏からプラ板を貼り、穴を小さくする。 |
![]() 曲げたり、切り込みにプラ板のくさびを挟んだりして、断面をおむすび形にする。 |
こうやって実機写真と見比べるうち、それまで見えてなかったラインを次々と発見し、泥沼状態へ。別パーツになっているカウル側面の下端は、キットでは前すぼまりになっているが、ここは先端まで一直線が正しい。 カウル下面パネルも同様で、ここは下にパカッと開くが、このヒンジラインも一直線。でないと、この手のタイプは開閉できない。このカウル下面部分は、モスキットの排気管を取り付けるため、まだ接着しない。 |
![]() ハセのカウル断面は小判形。これをオムスビ形に削り込む。 |
![]() 下面は、接着面にプラ板をはさみ、先端の幅を広げる。実はこの部分、側面形に気を取られてスマートに削りすぎ、キットを追加購入し、やりなおし。 |
メッサーの美しさは、直線と曲線の融合にあると感じる。各直線は、それぞれに意味なり合理性があって、それを理解することが、形態の把握に役立つ。 ■ 主翼 スケビ阿部氏の解説から、製作上ポイントとなる数値を記す。翼厚は、付け根14.2%、翼端10.86%、上反角7°29’(下面)、迎え角1°42’。メッサーにはねじり下げがなく、かわりに前縁スラットで翼端失速を防ぐ設計思想。主車輪収容部の側壁は、実機ではキャンバスらしきもので覆われている。当時の記録写真をよく見ると、この部分が暗色に写っている。この翼端側での取り付け方が不明。E、G型では、上側は円形のリブ、下側は角型の開口縁に沿って張られている。Fでも同じである可能性は否定できないが、工作が大変なので、下側も円形の開口縁に張られていると解釈。これなら側面の凹みを埋めるだけで再現できる。 |
![]() 前縁の接着面には0.5mmプラ板を貼り、翼厚をかせぐ。翼端ではこの厚みがゼロになる。翼端はエアとそっくり交換。スラット部の段差には0.3mmプラ板を接着。 |
![]() キットの車輪収容部側壁は、前方に向かって高さが不足しているので、プラ板で嵩上げしてポリパテを盛る。 |
キットの上反角は緩いので、上面パーツは付け根を削り、下面パーツは強引に曲げる。上面パーツを先に胴体に接着。左右の主翼をがっちり結合。 ラジエータは2機分のパーツを使い、両面ディティール。ほとんど見えないが、どうせ余ってる。入り口のロッドを0.3mm金属線で取り付け、色を塗ってマスキングしておく。テープの端を外側に出しておき、吹き付け終了後にはがす算段。脚収容部の天井には0.3mmプラ板でフタ。これの前端が上面パーツに干渉してメンドクサイ。 |
![]() コクピットは、ゴミ、塗料の霧が入り込まないようにテープで完全防御。 |
![]() 側壁部の布カバーは、0.1mmプラペーパー。エアロディティールの現存機では紐で編んだ状態だが、これはレストア機のみの特徴。天井にはリブを追加。 |
■ 垂直尾翼 タミヤのラダーは、側面形は完璧だが、ハセの垂直安定板と比べて厚みが足りず、エアから切り出す。ラダーを右に少し振った状態が中立となるように。垂直安定板も翼型断面(右側が平ら)に削る。垂直尾翼を真後ろから見た断面形は、正しくは水平尾翼の位置に屈曲点があるのだが、そこまでは再現していない。 |
![]() プラ板のクサビを挿入して、前縁角度を立たせる。ラダーはエア。プラ板で増積、側面形を微修正し、上部を薄く削る。胴体の小バルジはプラ板と溶きパテ。 |
![]() 削る前に、真鍮線を介して垂直安定板と一体化する。アンテナ基部は、真鍮帯板に縫い針と金槌で穴を開け、穴の周囲を細く削る。 |
![]() サフェーサでリブを描く。まず鉛筆で下描き。 |
![]() 鉛筆の線に沿って、面相筆で細線を描く。 |
■ 水平尾翼 水平尾翼は、モールドのキレがあるハセガワを使用。少し薄い気がしなくもないが、手元に資料なく、真実は不明。 |
![]() エレベータの翼端部を薄く削る。エアを参考に、プラ板で増積。 |
![]() 面相筆で描いた後、#800ペーパーで整形する。最終出来上がり状態。 |
■ プロペラ エアのスピナの外形は、完璧。プロペラの切り欠きは、後部がすぼまった馬蹄形をしている。プラ板を貼って修正。後部パーツはハセガワを使用。先端の機銃口に金属パイプを仕込む。軸も真鍮パイプなので、よく回るぞ。ブレードは、マルセイユ機ではF−4標準装備のVDM9−12010Aであるが、どのキットも、正しい形状をしていない。ハセGベースに修正するのが一番簡単。根元に瞬間+アルテコのプラ粉を盛り、削っていく。 |
![]() 先端は2.0mmと1.5mmのメッキパイプの組み合わせ。 |
![]() 左からエア、ハセG、ハセG修正済み、ハセF。 |
■ 主翼まわり ラジエータフラップは、上側パーツの表面が湾曲しているので、平面になっている裏側を表にする。F型は、後端に境界層排出スリットがある。これはG型では効果が少ないとして廃止されているもの。ハセFの下側パーツは、ディティールが省略されており、G/Kのパーツを使用する。側壁の形状が異なるので、不要部を削る。 スラット作動部のスリットを、カッター等で掘り込む。取り付け部の詳細が不明だが、真鍮線を介してスラットを固定。 翼端燈は、F−2初期までは、くびれた翼端に小さい電球が付くが、F−4では、Gと同じ透明カバーで整形される。 |
![]() 境界層排出スリットは、0.5mmプラ板の端部を楔形に削って接着。 |
![]() 勿論スラットはこんなに開かない。 |
■ 機首まわり 機銃口の後方にある同径の銃身スリーブは、開孔したランナーで再現。後で考えると、外側から金属棒でも突っ込んでポリパテを充填すれば簡単。スーパーチャージャー・インテイク本体もGと同じ大型である。基部が流体力学を無視した形状なので削る。これで最高速度3km/h向上かな。 サンド・フィルタは何種類かあるが、マルセイユ機はキットのタイプでよい。側面のメッシュはオーバースケールだから、削って塗装で再現する。48倍すれば、砂ならぬ岩石フィルタだ。正面のシャッターは、実際はもっと丸みがあるが、修正はパス。薄い金属板がイメージできるように、縁を薄く削る。メッシュ部の面積も若干異なるが、パス。 |
![]() ヒンジのモールドは、定規の裏に両面テープを貼って、スジ彫り。 |
![]() サンド・フィルタ取り付けステーは位置が誤り。伸ばしランナーを削って付け替え。 |
排気管は、モスキット。少々オーバースケールだが、エッジの薄さは捨てがたい。取り付けは、上側の排気カバーにがっちり接着。 その排気カバーの上方は、エンジン・アクセス・パネルの下縁が左右に張り出し、カバーの上に被さる構造になっている。これを再現したキットって今まであった? オイルクーラーは、マルセイユのF−4ではGと同型。カバー内部の天井部をプラ板で置き換え。入り口のロッドは0.3mm金属線。ラジエータ同様に色を塗ってマスクしておく。カバーの形状も気になって修正。 |
![]() 排気管基部には、左右が筒抜けにならぬようにプラ板の目隠し板を貼る。奥に機銃パイプ。 |
![]() オイルクーラー後方にプラ板を貼り付け、さらに最下点が機首寄りになるよう削る。 |
■ コクピット シートが2種類あることは先に述べた。作品は、どちらのタイプにも対応できるようシート無しで組んである。ここでどちらかに決めないといけないが、マルセイユらしいのは、やはり製造番号1万番台の#2、#3だろう。この場合、G型と同じタイプ。ハセガワのパーツをそのまま組んでればよかったが、仕方なく自作する。シート下部はハセのパーツから切り取る。背当てはプラ板。「コ」の字型に接着し、R部をパテ埋め。嗚呼、面倒臭い。 防弾板は上方の湾曲部が撤去され、頭当てが上方に突き出ている。機体にセットしたところ、少々高さ不足。1mmほど嵩上げ。正しくは頭当てのパッドは縦長で、下方まで伸びている。パーツを薄く削り、余りエッチングのステーを付ける。 #1機には、その後方に雑具入れ(?)がある。#2、3では確認できないが、同様と想定して取り付ける。材質、色が不明だが、淡黄色の革製と考え、それらしく塗装する。 |
![]() シートベルトはアイリス付属のエッチング。腹当て部のみファインモールドを使用。レジン製の操縦桿は良い出来。 |
![]() REVI照準器はアイリスのレジン。オーバースケールで、モールドもキレに欠ける。フィルタはネガフィルムを使用。実際の色は定かでない。防弾板は修正前。 |
■ キャノピ ハセガワのパーツは、薄く、歪みなく、透明度が良い。形状もタミヤEと比べてこちらが上。タミヤは前面ガラスの幅が狭い。ハセガワも高さに問題があり、前面ガラス下方のRが若干緩いが、修正していない。細かい追加作業が結構あるが、気合を入れて取り組む。まず、キャノピ幅が、胴体より若干狭い。パーツ下端にプラ板を挟んで、カップに入れた熱湯に浸す。前々作マスタングD型のキャノピもこの方式で修正すればよかったカナ。 熱帯型−Fには、第1キャノピ上方に空気取入扉がある。マルセイユ機の写真をよく見よう。大きさは2.5×1.5mm程度。スジ彫りを試みるも二重線がコケ、0.1mmプラペーパーを貼る。右前下方の三角部分は、F−4では金属板で塞がれ、信号弾発射用の穴が空いている。ピンバイスで開口し、裏をプラ板で塞ぐ。フレームはそのまま残っているので、スジ彫りを埋める必要はない。左前方ガラスには、分割線をスジ彫り。 第2キャノピ側面には、急降下の目安の斜め赤線が記入されている。パーツ内側をスジ彫り、RLM23でスミ入れ後、スジ彫り周囲のめくれをコンパウンドで整形。逆の手順ではスジにコンパウンドが詰まる。単純な作業だが、上手くいかずパーツ2個目。嗚呼、無駄遣い。 第3キャノピ上方のフレームはガラス内側にあるので、表面の凹モールドを削り、フレームは、AMDの66グレーのベタデカールを内側に貼る。アンテナ柱を真鍮棒から削り出し、キャノピパーツに接着しておく。瞬間でガラスの内側を汚したくないため。 仕上げに、マルセイユ機付き整備兵になった気持ちで、コンパウンドで入念に磨く。透明度の高いキャノピは、それだけで作品のクォリティが向上する。最後に第1キャノピの内側コーナー部に、伸ばしランナーで斜め部材を取り付ける。 |
![]() この状態でお湯に漬ける。 |
![]() いつもの「儀式」を行って、接着。内側にコーティング・ポリマー塗布で、透明度がさらに向上。 |
次は、塗装。 次ページへ。