メッサーシュミット Bf109G-6 タミヤ 1/48 その1

2021.3.25初出

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完成写真



■ はじめに

 エアフィックスの次はタミヤがいいかな。チョイスしたのはメッサーG-6。発売時から気になってて、ようやく順番が回ってきたわけ。1/48のドイツ機は久しぶりだ。キットは実機を十分にリサーチしており、決定版は間違いない。一方で機首のイメージが合ってるような合ってないような・・ このあたりも検証しつつ製作しよう。

 製作コンセプトは、キットの良さを活かしてサクッと素組み。プラモ本来のお手軽製作を楽しむ。リベット打ちもなくていいかな。キットはカウルが交換式で、エンジンを見せるようになっているが、じつは風防とその前方の機銃パネル+胴体側面パネルや、スピナ直後のオイルタンクカウルも脱着する設計。これを脱着可能なまま接合部の隙間ピッタリなんて私にゃ無理。ここは潔くカウル閉固定で製作する。マーキングは、いつものミーハー路線で超エースの予定。

 ところで、バリエーションはどこまで展開されるだろうか? 発売から早3年、エルラハウベと大型尾翼を首を長くして待ってるファンも多いだろうなあ。ほんとタミヤのバリエーション展開は、遅くて少ないのが悪い癖だな。待ってるのに一向に出ないのもあるし(零戦二一とか)。エンジン内蔵とか変な所に力を入れなくていいから(サードパーティーに任せればよし)、間断ない網羅的な展開を望みたい。スピVも待ってるぞ・・(以下略) メッサーに話を戻そう。胴体のモールドからG-14は間違いないだろう。G-5はどうかな? ボイレのないG-4以前は、機銃が違うから難しいかなあ? エンジン見せを止めて、シンプルに外形の変更のみにすれば簡単だと思うが。G-10系は・・出す気ないだろうな。


■ コクピット

 機首の検証は次回に回し、まずコクピットの製作から。カウル固定で作るので、キットのインストとは組み方を変える。風防前方の、ボイレと機銃パネルと胴体側面とが一体になったパーツは、胴体の基本パーツに接着してしまう。また風防のクリアパーツは、その前半部が機銃パネルを内側から補強するようになっている。この部分をエッチングソーで切り離し、切り取ったものは胴体側に接着する。



コクピットはキットストレートでディテールアップの必要を感じない。唯一の追加工作は、ファインのナノアビのシートベルト。

コクピットの左右側壁もキットのままで十分。インストどおりに塗り分ける。この画像では胴体側面パーツは未接着。

風防パーツ前方を切り離す。左:キットオリジナル。右:切り離し後。

切り離したクリアパーツは、このように機銃パネルの裏側に接着する。

計器板は補強のクリアパーツの内側に接着する。これで普通のキットのように風防を後から胴体に接着できる。

キットは、胴体の左半部からプロペラ軸まで一体となったパーツにエンジンを乗せ、そこにカウルを被せるという設計。


 補足。計器板のデカールは、いつもは個々のメーターをポンチで切り抜いて貼るんだけど、今回は一体で貼ってみる。それでもモールドの凸凹で位置決めが難しいし、ニス部分が目立って上からブラックグレイでタッチアップしたりして、手間は変わらず。ブラックグレイはエクストラダークシーグレイで代用。ドイツ機ファンから殺されそうだな・・ コクピットフロアは胴体左右接着後でも取り付け可能。


■ G-6側面図、断面図 4/5追加

 機首を検証するためG-6の図面を作成する。あいにく製造図などの一次データは手元にない。しかし、これらに基づく図面が飛行機夜話というサイトにある。作者は私と同じ寸法マニアで、このF型図面(以下夜話図とする)は機首・胴体コンター図などの製造図面をベースにしている。そこでまず寸法関係と側面形、断面形のアウトラインは、こちらに準拠することとする。

 一方、夜話図はキャノピ回りなど細部の寸法がなく、またF型なのでG-6と異なる箇所もある。そこで、これら細部は、おそらく実機を取材したであろうタミヤキット(のインストの図)に従うこととする。さらに、モデラーズアイ3およびスケビvol.7の故阿部氏のF、G型図面も参考にする。ま、早い話、人様の苦労の結果をいいとこ取りしたわけ。

 ここで、F型とG-6のカウルの基本アウトラインは同じか否か? が問題。機首上部機銃は、Fが7.92mmでG-6は13mmのMG131。それに伴い機銃取付位置が上に20mm、横に30mm移動した(モデラーズアイより)。F型の正確なカウル断面形は、製造図のコンター図から機銃位置を含めて分かっている。これに13mm機銃の位置を落とし込むと、Fのカウルは狭くて機銃は収まりそうもない。ということで、FとG-6のカウル形状は異なるというのが私の結論。

 では、どれだけ広がって、その形状はどうなのか。側面形のアウトラインは不変だろう。理由は、風防前方の機銃アクセスパネル、スピナ直後のオイルタンクカウルの基本形状は同じで(←変える理由がない)、そうであればその間のラインも同じとしか考えられない。あとは横方向にどれだけ膨らんだか。数値的なデータはない。実機写真の弾道溝の見え方を拠り所として「えいやっ」と断面形を決める。こうして出来上がったのが下図だ。


  • 側面図は、初期生産型G-6として作図。

  • 上図の断面A、B、D、F、Gおよび後部胴体#2から#9フレームはF型製造図のコンターがある。このうちD、Fは上述の変更を加え、他は全くそのまま使用。これ以外のC、E、H、J、K、#1は、前後が合理的につながるように補間したもの。ボイレ断面形はキットのトレース。

  • 後部胴体のフレーム位置はパネルラインの位置とは異なることに注意。あえて言えばリベットラインとフレーム位置がほぼ同じ。#1から#9までのフレーム間隔は453mmで全て同じ。

  • スラストラインの角度は諸説あり、本図は夜話図に従い0°40’とする。寸法の取り方(ラダー長にタブを含めるか、スピナ長に機銃を含めるかなど)もまたしかり。

  • 防火壁より前方は、正しくは座標系が異なりエンジンスラストライン沿いとなるが、面倒くさいので図では区別しない。スラストラインの角度による全長の差はスピナ先端から防火壁で0.2mmなので誤差の範囲。実機の個体差はそれ以上だぞ。

  • スピナ長550mmも夜話図に従う。スピナ後端とカウル先端の間は8mm。したがって、カウル長は2,008mmとなる。

  • その他、垂直尾翼の高さ、前縁ラインの位置なども夜話図のとおり。数字が気になる人は当該ページをご覧くだされ。

  • 断面形を印刷して切り抜いてキットに当ててみる。エンジンカウルの断面形を含め、誤差の範囲内で一致。さらに、実機写真と側面図を重ね合わせてみても、誤差の範囲内に収まる。めでたしめでたし。

  • 結果として、タミヤインストの図とほとんど一緒。一部の寸法がビミョーに違うくらいで、これも模型製作上は全く問題ないレベル。そういう意味では、本図を新たに描いて掲載する意味はあまりないけど、まあ、検証が第一の目的ということで。あと本図の売りは断面図があることくらいかな。



■ G-2側面図、断面図

 比較のため、G-2の側面図、断面図も描く。エンジンカウルの基本形状はF型と全く同じと想定。写真でも、FとG-2のカウルの形は同じに見える



■ 断面形の比較

 上記断面図の右隅にあるコンター図を拡大するとこうなる。左がG-2(Fと同じ)、右がG-6である。なお、同図は防火壁以降は胴体基準線(青)で揃え、機首はスラストライン(ピンク)で揃えて描いている。


 G-2とG-6のカウルがどれだけ違うか、断面図を重ねてみる。機銃の移動量ほどは断面が広がってないが、機銃口が後退しているため、その分だけ側方の余裕幅も広がるためと考える。




■ カウル 5/1追加

 ハンターの頁に書いたとおり、急な頼まれ仕事でメッサーは休止中。前回更新より作業は進んでおり、その分を記事にする。

 さて、コクピットの次はカウル。メッサーの外形のキモだね。キットの機銃溝は、G-6に一般的なタイプ。塗装の選択の都合で、エルラ社製G-6に多く見られるG-5タイプのカウルに小改造する(塗&マがバレたかな?)。これは、溝周囲のパネルの面積が小さく、そのパネルラインが異なるほか、機銃の突出穴付近の形状が異なる。溝の形状も若干異なるかな?

 このタイプは結構数も多く有名エース機も複数あるので、タミヤにはパーツ化してほしかったところ。エンジン再現よりこっちが大事だと思うけど。まあしかし、他の作品と差別化して自慢できる格好のポイントではある。そうか、そういう改造マニア向けにわざと残してあるのだな。  



こちらキットオリジナル状態。パーツ分割ラインがそのまま溝周囲パネルのパネルラインになっている。

こちらG-5タイプ(とここでは呼ぶ)の機銃溝。画像はネットから拝借。

キットの垂直の穴を0.5mmプラバンで斜めに塞ぐ。

開孔して穴周囲を整形する。パネルラインはまだ彫ってない。


 機銃溝付近が大体工作できたら、カウル全体の形状を自分好みに仕上げる。メッサーF、Gの鼻筋ラインは、スピナ直後から風防にかけて折れ曲がった3本の直線で形成される。個人的に、キットはこのカクカク感が足りない。全体に柔らかい流線形のよう。とくに2番目の直線の両端が曲線っぽいのだよね。定規を当てて一直線になるように削ってやる。ピアノヒンジのモールドや左舷機銃口直後の小さい凸部が邪魔だけど、後で再生することにして潔く削り落とす。うーん、キモチイー。

 スピナ直後のオイルタンクカウル(というのか知らんけど)は、正面形状が円でなく12時が平らで1時11時がやや膨らんでいる。これではスピナとうまくラインがつながらないので、1時11時方向を少し削ってやる。また側面形の頂上ラインも直線感が出るように少々削る。防火壁以降とボイレは触らない。



矢印部分の角を意識して頂上ラインを削る。角といってもエッジがあるわけではないけど。

スピナ直後は赤三角部分を削るイメージ。緑丸はエンジンクランクケースの角があって出っ張っているから削ってはいけない。

下からあおり気味に見上げる(記録写真で一般的なアングル)と、前述緑丸の角が強調されてカクカク感が強まる。

オイルクーラーカウルはとくにいじらず。段差を均す程度。スピナも接着してスジボリ。


 削るのは寸法にして最大でもせいぜい0.3mm程度だと思う。自己満足の世界だね。


■ 主翼

 主翼は形状、寸法とも正確。剛性が高いのが好きなので、主桁部分を1mmプラバンで補強する。主翼と胴体のはめ合わせが若干きつい。そのまま組むと胴体に主翼の上側が押されて上反角が不足するぞ。接着剤が固まるまでテープで引っ張る、なんてのはオススメしない。慎重に接着部分を削り合わせる。

 キットの翼端は上下一体で別パーツとなっている。こういう部品分割はヒケの処理が大変だから単純な上下割りにしてほしいところ。ただ、キットはヒケまで考えて設計してるのか、それほど大きな盛り削りは発生しない。エルロン、フラップは別パーツで動きが出せるようになっている。これも私の好みからすると余計なお世話なのだが、幸い合わせはよいので、そんなに工作の手間はかからない・・・でもないか。

 キットの前縁スラットの内側(展開したとき現れる部分)は、翼面との境に段差がある。切り取ってツライチになるように再接着。キットのままでも段差は大きくないから、これも自己満足の世界だね。



キットは矢印部分に段差がある。画像は修正後。エルロンはリブを削り落とし、いつものインレタ表現の予定。

十の字。胴体と主翼は仮り組み。左右一体の水平尾翼は切断して後はめ可にする(オーソドックスな組み方が好きなのじゃ)。


 ということで、現在熟成中。G-5カウル小改造は続きがあるけど、まだ手付かず。


■ 再開 7/4追加

 二か月ぶりの再開。その間何してたかというと、某誌作例の製作。そう、もうじき発売のヨンパチ双発ジェットだ。浮気もせず、ひたすら作り続け、ようやく完成間近。最後の作業にインレタを発注して、その到着までの間、久しぶりに109をいじる。



翼端灯をクリア化。スジボリはエッチングテンプレートの角丸四角。

主翼下面のネジ(ファスナ?)はたまぐり。外側のパネルが#3で内側が#2。

水平尾翼のネジも。これは#3だったかな?

垂直尾翼周囲は#2。アンテナ線基部は真鍮板を仕込む。



■ インレタ

 動翼リブのインレタは、例のジェットと一緒に仕込む。貼り付け前に、動翼部分にサフを吹いて傷等のチェック。修正後、再度サフを吹いて準備完了。



エルロン上側。形がこれでいいのか?は悩ましいところ。後縁の隙間はサフを筆塗りするので問題ない。

エルロン下側。こちらは前縁の金属部分も表現

エレベータ。製造図のとおりにインレタ作ったら、ちょっとコードが過大。うーん、どっちが正解か?

ラダー。こちらのコードは問題なし。

定着と保護のため、サフを上吹きする。

うむ、いい感じ。足らずは後でサフを筆塗り。


 今回のリブ表現は、後縁のフチも一緒にプリントする。エルロン上側は、現存実機写真を見ると下面にある三角部分がなく、その終端からリブテープがあるように見える。ということで、画像のような形にしたわけ。キットもそんな表現になってたはず(たしか・・)。


■ カウル造形 7/8追加

 ファントム(あ、言っちゃった。ってバレバレだし)は昨日発送。さあ、グスタフに全力投球だ。G-5タイプのカウルへの改造を続ける。以下画像で。



ブリスターは0.14mmと0.5mmのプラバン。インテイクは0.8mm。不足部分はタミヤパテとサフ。

0.5mmプラバンの上にもタミヤパテを盛り、削って整形。

機銃溝周囲のスチール部分も後期のタイプとは形状が異なるのでスジボリ。ガイドのテープは左右一度に貼ると形が揃う。

小さなブリスターもタミヤパテ。外周の凹曲面の整形は丸棒ヤスリが便利。このあとサフを塗って整形。

ピアノヒンジは延ばしランナー。スジボリのためテープで養生。テープには溝の目印の切り込みを入れる。

ヒンジのスジボリはエッチングソーで1mmピッチに彫る。

機銃溝は、棒ヤスリで前方に延長し、エッジをペーパーで丸める。確認にスミイレ。カウルの造形はほぼ終了。

エンジンインテイクも取り付ける。水平尾翼と主翼も接着。早くも士の字。


 主翼の接着は、後端の胴体との接合部のみ瞬間を使い、フレットや前端は流し込み。隙間はサフで埋める。キットの出来がいいので、もうちょっとで塗装だ。同じスケールでも双発ジェットとはえらい違い。


■ G-6側面図、上面図 7/26追加

 全力投球といいながら、半月ぶりの更新。しかも模型はあまり進んでない。いやあ、作例が終わって、だらけてしまって・・・ でも、図面は着々と進行。側面図と上面図をアップする。一般的なG-6図面は巷に溢れてるから、私が製作するエルラ製初期生産型として作図する。間違いなどあれば、是非ご連絡願う。側面図のリベットは 途中段階なので、薄く表示 最終形。併せて、断面図も寸法を少し加えて再掲。


  • 一般的なG-6との主な違いは、カウル機銃溝の形状&パネルライン、カウル右舷にブリスターと小インテイク、風防直前左舷小フェアリングが短い、風防直下左舷のインテイクなし、風防直下右舷にインテイクあり、パイロット頭部後方防弾板はガラスなしタイプ、長いアンテナ柱、後部胴体のFuG16Zループアンテナなし。

  • 胴体下面のFuG25aアンテナは、私の製作予定機の写真では「なし」のように見える。

  • 紫色で表示している主翼リブ間隔は、翼基準面沿いの長さ。数値は飛行機夜話に従う。阿部氏の図にある数値とは一部異なる。結果として、エルロン外端の位置に違いがある。タミヤキットは阿部氏図に近い。

  • 一方、青色で表示している数値は水平面に投影した長さ。したがって青と紫の合計値は合わない(上反角のコサインで割れば合うけど)。1mm未満は四捨五入。

  • 主翼のコード長さは、胴体基準点(防火壁)を基準として表記。L.E.は翼前縁、T.E.は翼後縁、CLは胴体中心線。

  • 主翼のパネルライン等は、翼基準面に投影されたものを真上から見たものとして作図(当頁のいつものお約束)。ただし、フィレットと主翼の接合ラインについては、フレットを真上から見たものとして作図。そのため線がカーブしている。

  • 主桁の位置は、製造図に記載されている。これを基準に線を引くと、タミヤ図とバッティングする。

  • 水平尾翼のリベットラインはEとF以降で異なる。大きくは違わないが。フラップ外端のリベットラインは、外板に平行な機体もある。



■ キャノピまわり

 オリンピックを見ながら、工作もチョットだけ進める。頑張れニッポン!! さて、塗装するにはキャノピを接着せねばならない。別々に塗装して後で接着という手順は、私にはないのだ。そのために必要な工作をやっつける。



アンテナ柱は真鍮棒削り出し。取り付け部を長くする。上端は凸字状に削る。アンテナ線を接着したら余分を切る。

胴体との関係はこんな具合。このため基部の長さが必要。

後方固定キャノピは上側フレームを内側から塗装。

シートベルトはファインのナノシリーズ。両面テープの細切りでシートの背に密着させる。

防弾板は厚みを削る。0.3mmが目安。

アンテナ柱はエポキシで接着。風防&後方キャノピは緑フタ。可動キャノピはまだ接着しない。


 画像ないけど、主翼前縁スラットも接着。左舷風防下のインテイクを削り、キャノピをマスクしたら、基本塗装に入れるな。


■ 塗装開始 8/13追加

 ゆるゆる進行中。いよいよ塗装だ。調色レシピはエアFw109Aと同じ。



その前に、プロペラブレードを整形。形状ばっちりなので、先端を薄くするくらい。

マスキングはキット付属のシール。線の外側ギリギリを切るといいみたい。風防下のインテイクを削り落とす。

クリアパーツにEDSGを吹いてからサフを吹く。

白30%混のRLM76を塗装。



■ 迷彩パターン

 塗&マは、ご賢察のとおりバルクホルン機。上面迷彩パターンが悩ましい。こんな有名機なのに、ネット検索してもよく分からない。主翼左舷付け根付近のみ、パターンが分かる実機写真がある。74/75の境界はギザギザ。下面にはレターのNとIが残る。これを再現した塗装例なら確度が高いだろう、と参考にして塗装図を描く(都合により省略)。

 胴体左舷は実機写真から。右舷のボイレは75のようだ。詳しい人なら、〇〇工場の〇年〇月生産だからパターンはこれだ、と分かるのかな? 機首の黄色も悩ましく、先端まで黄色なのか、オイルクーラーカウルのみなのか。写真だと後者のようにも見える。スラットの内側って、迷彩色でいいんだっけ? ということで、情報お持ちの方は是非お知らせ願う。


■ バルクホルン大尉機 W.Nr.15909の考証  8/18追加

 前回、上面塗装図を掲載したところ、複数の方から情報を頂く(感謝)。以下、その一部を整理して紹介。以前の記述も直しておく。

 II./JG52 ゲルハルト・バルクホルン大尉機 Bf109G-6 W.Nr.15909は、エルラ社により1943年3月から8月の間に製造されたG-5/G-6の第一次製造ブロック794機(W.Nr.15205-16000)の一機である。当時エルラ社ではG-5とG-6を並行して生産しており、当該ブロックの多数機において、カウルと風防はG-5のパーツが流用された。G-5の生産は1944年8月まで続けられ、エルラ製G-6へのG-5パーツの流用はその時期にもあった。さらに、1944年中期以降のエルラ社製G-14にも流用例がある。

 一方、エルラ社G-5/6第一次ブロックで最初に製造されたG-6/Trop(W.Nr.15205-15337)は、G-6に一般的なカウル/風防(左右両方にインテイク)にパラソル取付ブリスタ付きであった。またエルラ社1943年後期以降の製造機にも、同様なG-6タイプのカウルと風防の機体が存在した(III./JG 54のW.Nr.26048など)。なお、G-6を製造した主力三社のうち、メッサーシュミット(Mtt Reg)とWMFではG-5を製造してなく、G-5パーツの流用はなかった。

 次に、エルラ製初期生産型G-6の塗装について。この頃の胴体のモットリングは、02/74/75の3色。これ重要。世の模型でちゃんと再現されてるのは少ない。44年になると74/75だけのものが多くなる。お団子形なのがエルラ社の特徴。主尾翼上面の74/75の境界はギザギザ。パターンは製造番号の近い機体から推測できる。以下画像で。Stab./JG50ヘルマン・グラーフ少佐機 W.Nr.15919もこのグループに含まれ、カウル、風防、迷彩塗装も同様である。



バルクホルン大尉機 W.Nr.15909。左舷付け根付近のパターンが分かる。左フラップは全体が74。エルロンは75。

JG50 Weiroster中尉機 W.Nr.15912。パターンは似ている。一部の暗色部分は汚れと推測する。胴体の塗り分けも分かる。

同じく W.Nr.15912。右舷付け根付近のパターン、右舷機首の74の範囲、3色のモットルが分かる。

同じく W.Nr.15912。右舷中央から外側が分かる。右舷エルロンは全面75。

JG53 黄6 W.Nr.26037。ちょい製造番号は後。左翼外側部分のパターンが分かる。翼端は74。

同じ機体の右翼側。総じて15000番台に似ている。

W.Nr.15463 黒1。尾翼のパターンにも注意。

ハインリヒ・バルテルス上級曹長機 11/JG27 W.Nr.27169。右翼端は74。水平尾翼はギザギザでない。エルロンは依然として75。

ヘルマン・グラーフ少佐機 W.Nr.15919。

エルラ製初期G-6。よく見るとモットルに02があるのが分かる(画像右端の真ん中とか)。


 最後にバルクホルン機写真4連発いってみよー。当機の胴体は74/75が一部オーバースプレーされている。



手持ちの右舷はこれだけ。機首のパターンが分かるだけでもありがたい。翼下のコードレターNの一部が見える。翼端の黄色はエルロンには塗られてないようだ。重量バランスがシビアなエルロンのマーキングを避けるのは、割とよくある。

主翼前縁の76ギザギザ。翼下のIが見える。機首の黄色はオイルクーラーカウルのみで、先端は76のように見える(下画像も同様)。

胴体側面のパターンが分かる。水平尾翼下まで74が塗られている。垂直尾翼前縁の水平尾翼ちょい上にW.Nr.が記入されていて、そこだけマスクして74がオーバースプレーされている。

左翼端の74が確認できる。境界はギザギザのように見える。胴体シェブロン付近はモットルが濃密で76が全く見えない。


 以上を踏まえ、塗装図を描きなおす。描くのが大変なので、モットルは省略。細部マーキングも同様。主翼上下の十字は100cmサイズとしている。スラット内部の翼上面は、諸説あるが74が妥当、とのこと。下面図自体は未完成。近日掲載。下面レターのサイズは、十字の6/10つまり60cm。太さは高さの1/7。




 参考までに公式迷彩パターン図。エルラ製初期G-6は、割と忠実にこのパターンを守っているように思える。見づらいけど、左右エルロンは全て75。実機写真でよく見えない左翼端前方は、この図のように斜めに75だったりして?



 メッサーシュミット(Mtt Reg)とWMFの迷彩パターンについては、下記サイトが参考になる。

http://theprofilepaintshop.blogspot.com/2013/10/chosing-correct-wingpattern-for-bf109g-6.html


■ スラット  8/30追加

 ファントムのスジボリ修正に手間がかかって、109はご無沙汰。手が進まないもう一つの理由は主翼前縁スラット。バルクホルン機の写真はスラットが閉じられていて、それを見ているうち作品も閉じたくなってきたのだ。とはいえ、苦労して段差をなくした経緯もあり、今更閉じるのにも勿体ない感がある。などと悩んでもしょうがない。過去は切り捨て、今の心に忠実になろう。



再掲。従前の状態。

スラットをむしり取って閉状態に接着。

整形、スジボリしてサフを吹く。フラップも下げてないので、ひと昔前のプラモみたい。

下面のファスナも再生。


 次回こそは塗装。塗装図は、左翼端を公式迷彩パターンに沿うように微修正。


■ G-6下面図

 スラットだけでは更新ネタとして寂しいので、下面図を掲載。


  • 前回掲載の塗装図と基本的に同じ。ファスナ等を追加。

  • エルロンのリブの位置を示す資料(製造図など)は手元にないが、マスバランスやヒンジの位置から類推して、リブ配置を修正する。上面図も同様に修正。

  • エルロンマスバランスは翼基準面に垂直で、真下から見れば斜めに見えるのだと思うが、図は翼基準面に垂直投影したものとして描く。

  • ラジエータも同じ考え方。一方、構造上胴体と一体の部分は、真下から見たものとして作図。したがって胴体と翼の分割ラインは曲線とする(これを翼基準面に投影すれば直線となる)。ラジエータとの辻褄はテキトーに誤魔化す。







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