BACライトニング製作記 その2

2005.5.20初出

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 塗装


■ NMF塗装 7/16追加

 少し積み残しの作業もあるが、まとまった時間が取れるところで、一気に塗装作業に入る。まず、キャノピフレーム内側色として、キャノピ周辺に黒を塗装してから、下地のサフを吹く。キャノピのマスキングはセロテープ。いつものクレオス#1000が在庫切れで、#1200を使ってみる。使い心地は上々。キャノピの接着時のサンディングで周辺のリベットが埋まってしまったので、ちまちま彫りなおす。サフの表面を#1500で磨いて次に備える。


キャノピを磨き直したところ。正面ガラスの下方には四角い凸部があるので、プラ板を貼る(白色の部分)。

サフを吹き、ブルーで塗装される垂直尾翼とドーサルスパインをマスク。これは塗膜を厚くしたくないため。

 銀塗装は、P−47Nに引き続き「ハイブリッド」だ。「LIGHTNING STRIKES」などのカラー写真を見ると、ナチュラルメタルの表面はキラキラと輝いている。この輝きとジェット機の重厚さ(レシプロと比べての)を表現するため、銀に少し黒を混ぜたものを標準色とする。

 下塗りは#8銀+#46クリア。ペーパーで磨いてから、スーパークロームシルバー+#2黒+#46クリアを吹く。さらに、スーパークロームシルバー+#2黒でドライブラシ。今回はドライブラシのカラーの色調を変えてパネル毎の変化をつけようという魂胆。


#8銀+#46クリアを吹き、#2000で表面を磨いたところ。

小物はこんなふうに両面テープで固定し、片面ずつ塗装する。

スーパークロームシルバー+#2黒+#46クリアを吹いて、ペーパーで軽く磨いたところ。

ドライブラシはパネルごとにテープで簡単にマスキングする。

■ 細部その1

 ちょっと順番が前後するが、機首ピトー管の工作の続き。管自体の切削は前回紹介済みだが、今度は胴体への取り付け方法に頭を悩ます。結局、完成後の脱着はあきらめ、ピンをはんだ付けして胴体に固定することにする。

 ピトー管の胴体取り付け部のあたりに目立てヤスリで2本の溝を切る。そこに0.5mm真鍮線をはさんでからはんだ付け。セロテープを貼った胴体に仮止めしてから瞬間パテを盛り、外してから基部の形に削る。しかし、パテがぽろぽろ欠けて、上手くいかない。


これからはんだを流す。

胴体に仮止め。この段階で角度や胴体との距離を調整しておく。

■ 細部その2

 機首下部の機銃口について。当初入手したWEB画像では、92sqn.のF.2Aは下部銃口が開いていたが、その後「LIGHTNING STRIKES」に同sqn.で下部銃口が塞がれている写真を発見。これが機体差によるものか、時期によるものかは不明だが、作品のままでよしとする。せっかくなので下部銃口がパッチで塞がれた状態を再現する。

 そこで0.1mmプラペーパーを楕円形に切り抜き、流し込み系で接着。ところが、完全に接着できてなかったため、塗装の段階で気泡のように膨らんでしまう。瞬間を流してみたがダメで、結局はがして、今度は0.2mmプラ板でテンプレートを作りスジ彫り。三歩進んで三歩下がる。楕円2つを切り抜くより、1つくり抜きケガく方が楽だ、というのに早く気づくべきだったね。


自作テンプレート。周囲は銀塗装済みなので、テープで保護しながらの作業。

コクピットは手抜きだが、脚まわりには少々手を入れる。銀にはスーパーチタンを使う。

 脚まわりには、若干のディティールを施す。前後のタイヤにはトレッドをスジ彫り。例によって、雑誌にはさんだエッチングノコの周りに、パーツをあてがう方式。前タイヤの溝は、正しくは5本だが再現は無理。3本でも大変。等間隔に彫るコツは、はさむページを等間隔にする。後タイヤの溝は3本でよい。

 キットの主脚トルクリンクは形がいまいち実感に欠ける。たまたま手元にあるタミヤP−47のパーツを流用する。前脚は、型抜きの都合で正面方向のディティールが省略されている。これは目立つポイントだから、彫刻刀やエッチングソーなどで彫る。

■ NMF塗装その2 7/26追加

 ハイブリッドのドライブラシは、クロームシルバービン生と、それに#2黒を若干混ぜたものを用意し、パネルで使い分ける。当初、塗料皿で混ぜて適宜フィニッシャーズのピュアシンナーを足したのだが、それだとビン生のドライブラシとは感触が異なり、刷毛目が汚くなりがち。これは溶剤の種類が違うのかも。

 そこでクロームシルバーのビンに直接#2黒を入れたところ、こんどは問題なし。よって、この方式を採用。色を変えるには、色数だけビンが必要で、作品ではビン生と黒混との2種類だけとする。黒以外の色を混ぜても、それぞれの効果がある。どなたかが何色も使った素晴らしい作品を作られるのを期待したい。

 ブラッシングの方向は、リベットラインと平行にする。胴体は上下、翼は前縁から後縁方向へ。おそらく、これが見た目に一番違和感がない筈だ。


基本は黒混でドライブラシ。翼前縁、動翼、背部の一部などにはビン生。一部パネルにはさらに暗い銀を吹き付け。

■ 機首アンチグレア塗装

 機首上面(キャノピ周辺含む)の黒塗装時に手痛いミスが発覚。キットは、ノーズ部分の塗り分けラインとなる、銃口パネル上縁のパネルライン位置が間違い。正しくは黒塗装部分の左右幅は一定なのだが、キットのままでは前広がりで、印象が悪い。今更スジ彫りやり直しは大作業だし、どうしよう。塗装前にちょっとチェックすれば済んだことだが、毎度同じミスを繰り返す自分がナサケナイね。

 なお、黒については、普段私は白を2割程度加えたチャコールグレイを使うのだが、背部の青との取り合いで白1割の黒とする。


キットのパネルラインどおりに黒を塗装すると、このとおりトホホだ。

■ Blue Diamonds

 92sqn.の垂直尾翼は、ハンター時代のアクロチーム「Blue Diamonds」の伝統を受け継ぎブルーで塗装されている。この青はラウンデルブルーとする資料があり、真実はともかく(カラー写真では微妙に違って見えたりして判断が難しい)模型ではラウンデルと垂直尾翼を同じブルーで塗装する。このラウンデルの色調について、掲示板で情報を頂いたので、以下それに基づいて記述する。情報提供に感謝。

 現用のRAFカラーは BS381C と 4800 に規定されており、ラウンデルの青色は BS381C:110 Roundel Blue である。
 実機カラー写真を見ると、このブルーは紺と青の中間ぐらいのすっきりした色味。模型には赤味のない青を塗りたいな。ということで、使用塗料の検討。まずブルー各色をテスト。Mr.カラー#328のブルーエンジェルス青は、濁りがあってペケ。同#326サンダーバーズ青は暗く、同インディーブルーは明るく、同コバルトブルーは赤い。色味、明度ともかなり近いのは、ブルーインパルス使用色である#322フタロシアニン・ブルー。これは使える。

 またフィニッシャーズカラーのピュアブルーは若干明度が高いが色味の鮮やかさが抜群だ。明度の問題はサンダーバーズ青を混ぜれば調整可能。比較するとブルーインパルス青が濁って見える程鮮やかだ。どちらを使うかは、ちょっと悩ましい問題。展示会なんかで人目を引くには鮮やかな青がいいかも。一方、ウェザリングを施しリアルな仕上がりを目指すなら、多少彩度が低い方がいいかな。ということでブルーインパルス青に決定。

 次に赤。Roundel Red という色名は BS381C には無い。ラウンデルの赤と考えられるのは BS381C:538 Post Office Red で、赤系統の中では一番暗い赤である。ラズベリーリップルやRAFのトレーナー機の赤は BS381C:537 Signal Red で、こちらはいくぶん朱の入った金赤である。

 Mr.#327のサンダーバーズ赤は少し暗調で、上記 Post Office Red に符合する。フィニッシャーズのブライトレッドも購入してみたが、こちらは鮮やかで明るい赤、すなわち金赤系。実機写真(印刷、WEB含め)の印象は、青の明るさに見合った明るい赤で、となると模型に塗るにはブライトレッドで決まり。この赤の発色は抜群だから、アクロ機なんかに塗ると映えるだろうね。

 白は最近あちこちで名前を聞くフィニッシャーズのファウンデーション・ホワイト。確かに良い。


青はブルーインパルス使用色であるフタロシアニン・ブルーのビン生。

■ ラウンデル塗装

 ラウンデルとフィンフラッシュは塗装する。ラウンデル3色の直径比は1:2:3で、写真からサイズを割り出すと、機首と下面は12:24:36インチ、上面は18:36:54インチである。フィンフラッシュは、高さ24、底辺24インチの3色帯を1インチの白縁が取り囲んでいる、とすると写真と符合する。

 ラウンデルの青と白は、塗り重ねるのでなく突き合わせで塗装する。同心円程度なら作業的に難しいものではなく、塗膜の段差がなくなり、それなりの効果はある。ちょっと「寄り目」になった所もあるのはご愛嬌ってことで。塗ってみると、目の錯覚で背部の青と色味が違って見え、実機写真で違って見えるのも納得できるかな。

 マスキングは、オルファのサークルカッターでマスキングテープを切り出す。コツは、カッターマットを使い、中心の針をグッと奥まで刺し、刃は軽く当て何回も円を描いて切る。カッターには、ちょっと手を加えて、最小直径6mmの円まで切れるようにしてある。これ以下の円は、エッチングテンプレートとデザインナイフの出番。


まず青のためのマスク。塗膜の重なりを避けるため、白で塗装される部分もマスクしておく。

青を吹き、白のためのマスキング。このテープの位置決めは意外と簡単。

白を吹き、赤のマスキングの位置決めのため、中心に同径のテープを貼ったところ。

できあがり。段差を#2000ペーパーで均したところ。赤は発色も考え白の上に重ねて塗装している。

 フィンフラッシュのマスキングは結構面倒で、デカールを使いたいところだが、赤の色調をラウンデルと合わせたいので、地道に作業する。出来上がりはデカールの「キレ」には敵わないが、まあそこそこ見られるレベルかな。ま、所詮は手作業だから多少の失敗はあってもいいんだよ、と自分を慰める。


まず白のためのマスク。前縁はちょうどパネルラインとする。

できあがり。ちょっと3色の幅が違っちゃったね。

尾翼の白丸は、デカールの発色をよくするため。あとは機首の赤黄チェックとウォークウェイ。

黒い可動部分の一部を削り、小さな円が切れるようにしてある。

■ 細部

 主脚に少々手を加える。ブレーキパイプにはトルクリンクのような部材が追加されており、目立つポイントである。延ばしランナーで加工。ランディングライトはクリアパーツが用意されているが、ライトの存在感を出したいので1/43カーモデル用のライトを使う。正しくはカバーがつくが、再現は難しくてパス。ライトニングの主脚は、前方から見てメイン脚柱が垂直、タイヤが微かに「ハ」の字形になる。


ブレーキパイプ周辺のディティールを追加。以前の写真と見比べられたし。

■ 重箱の隅

 インテイクリップは実機では上側と下側で幅が異なる。したがって作品のようなスジ彫り方法だと幅が均等になってダメだってこと。あ〜あ。水平尾翼付け根後方にある小楕円バルジは航法燈。夜間飛行で、この部分が光っている写真がある。主翼上面中央部付近に小突起がある。航法燈か、位置的に翼上面追加タンクの取り付け関係か。
 ファイアストリーク。写真では弾頭と中帯が黒、赤、白(つまり全体が白)の3種類があるが、このうち赤は先端のキャップと帯のカバーの色であり、本来の色は黒。ちなみにキャップは独特の多面体ではなく円錐形。白はおそらく訓練弾とのこと。

■ マーキング塗装 8/9追加

 機首のチェッカーは機軸に平行でなく、すぐ近くのパネルラインに平行なので注意すべし。危なく間違えるところであった。チェッカー1マスは一辺8インチ。ラウンデルとの隙間は2インチ。キャノピ周囲ともども黄橙色ビン生。ちと赤が強かったかな。キャノピ周囲のマスキングは、マスキングテープを貼って窓枠の形をナイフを軽く当ててトレース。一旦はがしてからトレースした形のとおりに切る。赤はもちろんラウンデルと同じブライトレッド。

 ウォークウェイ、ジェットノズル付近の二重点線、ベリータンクの縦縞は全てマスクして塗装。これだけでも結構面倒臭くて、マスクだけで2時間。ウォークウェイのような細い直線は、デカールを真っ直ぐ貼る方が難しいから、これでいいのだが、ベリータンクの帯は幅が不揃いになってしまって、これはデカールの方が良かったかな。なお胴体際のウォークウェイのみデカールを使う。

 ジェットノズルは#33つや消し黒+クロームシルバーを吹いてからスーパーステンレスをドライブラシ。ここだけツヤを変えて、焼けた感じを演出。


チェッカーとキャノピの黄色を吹き、赤のためのマスキングをしたところ。

黒の点線は、こんなふうにチマチマと。

■ 鼻筋の整形手術

 一大決心で修正することに。やっぱ飛行機の顔だからね。周囲をテープで保護してから瞬間で間違ったスジ彫りを埋める。新たなパネルラインは1mm程度しかズレてないんだけど。古いラインと重なるので慎重にスジ彫り。こういう時はエッチングノコの直進性の良さに助けられる。


瞬間でスジ彫りを埋める。

新たにスジ彫り。黒く見えるのは埋めたスジ彫り。

隣接する銀のパネルも吹きなおして、修正作業終了。以前の写真と見比べていただきたい。

チェッカー、キャノピの色味が加わったところ。完成が待ち遠しい。

■ 再び細部

 塗装と平行して細部も。主脚のリンクはそのままでは正しい向きにならない。そこで、脚に接続する部分を一旦切り取り、45°くらい回転させて再接着する。アンテナ類は最後の真鍮細工。前脚カバーは接着面が少なく真鍮線を仕込む。前脚の角度を間違って取り付けてしまい、直そうとしたら脚が途中でポッキリ。真鍮線でつなぐ。この段階のこういうミスは正直言って精神的ダメージが大きいなあ。


赤矢印でカットする。リンク中央部のU字形が真横に向くように角度を変えて再接着。

写真再掲。もともとのパーツ(前列右側)はこんな角度。両者比較されたい。

ドーサルスパインのL字形突起は半田細工。キャノピ頂部の三角形のアンテナは真鍮棒を叩いて削る。

機首下面にもブレードアンテナに三角アンテナと、ライトニングって突起物が多くて大変。

■ デカール&クリア研ぎ 8/22追加

 キットのデカールは、フィルムが厚く印刷も不鮮明で使う気になれない。92sqnの部隊マーク、機番「A」、主翼下面のシリアルNoはカッティングエッジCED48075のシートから。胴体のシリアルは、カッティングエッジのデカールも使えるが、自作インレタを使用する。

 キャノピ下方の赤い逆三角形は、手元にRAF用データデカールがなく、よく似たファントムC/D用を流用。ところが、ライトニングは「危険キャノピ」の三角と「危険射出座席」の三角の、2枚の三角でワンセットなのが通常だが、米空軍は1枚に「キャノピ、射出座席」がまとめられている。したがって、同じ物を2枚貼るというのはおかしい訳で、知っている人には笑われちまうんだけどね。

 デカール貼りに先立ち、全体に#46クリアを吹いておく。クリア吹きによって銀塗装面は僅かに輝きが低下する。デカールの上からのみクリアを吹くと、デカールのニス部分で輝きが異なる恐れがあるからだ。デカールを貼った後、再度#46クリア。今回はある程度厚めにクリアを吹き、ペーパー&コンパウンドで磨く。
 特にラウンデルなどマーキングの塗装部分は、境界の段差をこの時点でならす。尾翼の部隊マークは、完全にデカールの段差を消そうとすると、クリアでリベットやスジ彫りが埋まるので、デカール表面を平滑にするに留める。


部隊マークはほんの僅かサイズが小さいが、まあ許容範囲。また邪魔なところにパネルラインが・・。

赤三角は米空軍用を流用。RAFとは細部が異なるが、雰囲気重視ということで。

シリアルは、自作インレタ。デカールでは不可避のニス部分が全くないのは大きな利点。

クリア&研ぎ出し&コンパウンドの状態。この質感はデカールでは得られない。

■ キャノピの縁取り

 ジェット機モデルにおいて、この表現は1つの課題。ライトニングの場合、実機写真をよく見ると、この縁取りがハッキリ見える機体と、ほとんど見えない機体がある。ということで、表現してもしなくても良いのだが、練習も兼ねてやってみる。

 その場合、マスキングして吹き付けというのが多分最良の方式だろう。デカールは真っ直ぐに貼るのが意外と難しいし、面相筆の手描きなんて私には絶対ムリ。まず、黒色部分にフラットクリアを吹いておく。縁取りはマスキングテープの細切りでチマチマと。色も機体により差異があるのだが、銀に黄色を少量混ぜたものとする。はみ出しは厳禁なので、用心のためまずクリアを吹いてから銀を吹く。

 結果はご覧のとおりで、自分では出来る限り細くしたつもりだが、まだ太いなあ。何となくライトニングらしくなくなった感もあり、手間対効果の程はイマイチかな。


このように細切りマスキングテープを貼っていく。

できあがり。苦労の割には・・。ま、めげずに次は後半可動部も縁取りだ。

■ 細部塗装

 翼端燈は写真ではほとんど黒く見える。そこで、クリアー塗料に#2黒を混ぜたもので塗装。ノーズコーンは、RAFダークグリーンにニュートラルグレイを混ぜたもの。ピトー管と給油プローブはスーパークロームシルバー吹きっぱなし。最後にインテイクリップをメッキシルバーで塗るつもりだが、これは最後の工程にする予定。

■ トラブル頻発

 脚カバーを接着してたら、プラ用接着剤が銀塗装面に「ぴとっ」←しかも目立つ機首。翼端燈のマスキングが不十分で、銀塗装面にクリアレッドが「はみ出し〜」。とどめはピトー管を引っ掛けて基部から「バキッ」。泣きながら修復。


面倒くさいので筆塗り。これが失敗の原因か。よく見りゃテープの下に赤い塗料の滲みが見えるでしょ。

はんだ付けも虚しく、根元から外れたピトー管。

■ 最後の仕上げ 9/8追加

 インテイクリップは、クレオスのメッキシルバー。湿度が高かったせいか、輝きを得るために厚吹きとなってしまい、一部のリベットが埋まったのが残念。メッキシルバーの塗膜は、吹き付け直後は弱いので、翌日まで触らない。
 背部のアンテナは0.2mm洋白線。基部パネルの色が不明。銀に見えるものもあれば黄色に見えるものもある。迷ったときは両方、というのは割とよく使う手。銀とタンを混ぜて塗る。

 最後にウェザリング。ピカピカ仕上げなので、スミ入れだけに留める。いつものようにガンダムウェザリングカラーを石鹸水で溶く。グロス面だと、ふき取りは乾いたティッシュか綿棒で。


可動部キャノピの窓もこのように縁取り。



 完成


■ RAF第92スコードロンの歴史

 作品は西独ギュータスロー基地における92スコードロン飛行隊長ミッチェル中佐の乗機である。以下92Sqnの歴史を紹介する。


1917年訓練部隊として開隊。SE5Aを装備し、1918年7月からフランスで戦闘、対地攻撃を行った。1919年解散。

1939年10月タングミアでブレニム戦闘機隊として再編。1940年3月スピットファイアに転換、5月より作戦開始。ペンブレイから作戦し、バトル・オブ・ブリテンの早い時期、サウスウェールズ防空に活躍した。「QJ」のコードレターを記入したスピットファイアIの写真は有名。
1942年4月エジプトへ。スピットファイアでエルアラメインの戦闘掃討や爆撃機護衛などを行い、枢軸軍撤退まで第8軍と行動した。
1943年6月マルタへ。その後シシリー、イタリアと転戦、終戦までイタリアで戦闘爆撃隊として戦い、戦後はオーストリアの占領軍として駐留。1946年12月解散。

1947年ミーティアF3(コードレターDL)装備で再編。英国本土防空。その後、ミーティアF8、セイバーF4に転換。1956年4月ハンターF4、57年2月ハンターF6に改変。その後全面青色のハンターにより「ブルーダイアモンズ」というアクロバットチームを編成した。

ライトニングF.2への転換は1963年4月。ブルーダイアモンズは、少なくとも1シーズンは同機で活動した。1965年12月、19スコードロンとともにドイツ駐留。当初はガイレンキルヘン基地、68年1月からギュータスロー基地に移動した。68年8月からF.2A運用開始。F.2は71年7月まで運用された。1977年3月までドイツに駐留し、そこで解散した。
一方、1977年1月に訓練開始した英本土防空ファントム部隊が同年4月に92スコードロンとなる。1991年7月までファントムを運用し解散した。

■ とりあえず完成

 コーションデータ類、ウインドシールドのクリアブルー塗装もまだだし、もう少し実感のあるウェザリングも追及したいところだが、以上でとりあえずの完成。縁あってスケールアビエーション誌(2005年10月13日号)に掲載していただいた。帰ってきたとき、主脚が根元から折れてたけど。(←幸い修復可能で大事に至らず)



■ 喇叭の鯉のぼり 2009年3月30日追加

 駄文追加。トランペッター、モノクローム(両者は基本的に一緒)から1/32と1/72が発売された。雑誌などの完成作を見るにつけ、我慢できずに一言。作者には本当に申し訳ないのだが、キットの出来があまりに悪い。とくに1/32がひどい。キャノピの形が全くダメ。これは少々の削りで直るレベルでなく、絞らないとダメ。胴体断面形も締まりがなく「ぶよん」としている。他にもヘンな箇所はあるけど、ヒコーキの顔たる機首だけ指摘すれば十分でしょ。

 1/72の方は、1/32ほど悪くはないけど(つまりCADは使ってないってことかな?)、1/32の遺伝子は受け継いでおり、同じ箇所で形がおかしい。また、ジェットインテイク付近も違う印象。ただ、胴体かキャノピのせいで相対的に違って見えるだけか、実寸として違うのか不明。マスターモデラーズ誌(2009年4月号)では、1/48エアフィクスの写真もあるから、見比べてみるとよい。

 ということで、結論としてどちらのキットもオススメしない。なまじ作ると審美眼が曇るぞ。ライトニング作るなら迷わず1/48エアフィクスを作るべき。今ならアイリスからコクピット、ジェットノズル、脚庫などのレジンパーツも発売されているし。(こいつら仕込んで銀貼りってか?)

 しかし、トランペッターという会社は、相変わらず進歩がないね。1/48エアフィクスという、よい「お手本」があるのだから、それを忠実にコピーするだけで(商道徳or法律的にも?許されない行為だけど)まともなキットになるのに、コピーすら出来ない。いい加減に劣悪キットの乱開発は止めてほしいのだが、何とかならんもんか。






 参考資料


■ 参考文献

 手持ちの資料はこれだけ。とほほ。まあ、世傑とウォーペイントだけでも模型作りには十分有効。AEROGUIDEは随分昔に買った薄っぺらい本だが、細部写真が結構使える。F.6なのが残念だけど。他に未所有だがSAM Publications 社刊「No.7 BAE Lightning」は細部写真が豊富。
 去病氏から、素晴らしい本を2冊拝借。Airlife 社刊の「LIGHTNING STRIKES」と Sutton 社刊の「THE LAST OF LIGHTNINGS」。両者ともフルカラーで、前者は無塗装銀、後者は迷彩がメイン。RAF好きならどちらも買って損は無し。


1 旧・新版世界の傑作機 文林堂
2 WARPAINT SERIES No.14 BAC LIGHTNING Hall Park Books
3 AEROGUIDE 8 BAC Lightning F Mk 3/Mk 6 Linewrights
4 スケールアヴィエーション Vol.2 大日本絵画


■ 参考サイト 6/29追加

  1. The Ejection Site エジェクションシート専門
  2. The Lightning Association ライトニング専門のサイト
  3. 文献紹介






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