Sd.Kfz.184 エレファント重駆逐戦車(タミヤ1/48)製作記

2017.8.22初出




完成画像





■ はじめに 

 隠し玉その2は久しぶりの戦車だ。こんなに出来のいいエレファントが手軽に作れるなんて、夢のような時代だなあ(しみじみ)。欲を言えばナースホルンも早く欲しいなあ。チャーチルはまだかなあ、スチュ・・(←やめなはれ)

 さて、今回は純正コーティングシートの作業性、再現性の確認が一つのお題目。上々ならVI号、IV号がぐっと身近になるぞ。車両自体は素組み。一瞬フェルディナントに改造しようかと思ったけど、履帯が全然違うんだね。


■ 製作開始

 何も考えずにインストどおりに部品を接着していく。コーティングシートは印刷線に沿って切って貼るだけ。線の精度はよく、いちいち現物と合わせる必要はない。これは楽だ。一部に折り曲げる指示があるが、粘着剤の耐久性が不明で、後で浮き上がってくると嫌だから、貼付後に折り線にナイフをいれて切り離す。微小段差部も同様に切り離す。シートの下の凹部はパテで埋めておく(これは不要かも)。一手間かけ、シート端部に現れる微小な段差を、溶きパテ+シンナー拭き取り方式で埋める。

 ディテールアップは最小限。トラベリングクランプは目立つので、資料本のイラストを見て少し手を加える。フェンダーのバネは、ナイロン弦ギターの5弦。少し太いから4弦でもいいかな。密着しているコイルを広げるようにナイフの刃を入れ、同時に中心の糸を切って取り除く。ライターで燃やすというのもアリか?(やったことないけど)。フェンダーの補強材が厚い。実物は薄板一枚。フェンダー上のモールドを薄く削り、別パーツのはプラバンで置き換える。キットに含まれるワイヤー用の糸は、柔らかくて形が決まらない。取り付け前にサフを塗って固めるとイイ感じ。




組み立て終了。足回りは取り外し可能にしておく。支障となるスクレーバー(クリップに挟んだやつ)は塗装の後に付ける。

塗装前のシートは若干凸凹不足に感じる。スプリング(紫)をギター弦に置き換え。フェンダー補強材(青)を薄肉化する。

トラベリングクランプ(赤)は、薄肉化とディテール追加。把手(緑)を真鍮線に置き換え。

こちらの把手も金属化。



■ 考証補足

 少ない手持ち写真を見る限り、バリエーションはあまりないようだ。コーティング範囲がやや広い(側面ピストルポートの上くらい)車両あり。この場合、前面の隅も三角に施され、前部フェンダー補強材は3/4程度に短い(資料本によれば、これは東部戦線方面の特徴だとか)。あとは後部の予備履帯ラックの位置が低いタイプがある程度かな。


■ 塗装開始

 資料本などを見てると、まだDアップの余地はあるけど、このくらいにして塗装に進む。最近、金属部のプライマーには、ガイアのミッチャクロンを愛用している。これ、アルミ貼りのプライマーとしても非常に優れており、アルミの上にミッチャクロンをエアブラシして、その上にクリアを吹くと、爪でこすっても剥がれないほど強固になる。表面の曇りもない。これは良い。絶対お奨め。




小部品には筆塗りで。


 続いて全体にサフを吹く。足回りはサフにレッドブラウンを加えたもの。サフを吹くと、シートの凸凹がハッキリしてくる。端部も、丁寧に溶きパテ処理した部分は「シート貼った感」はなく、自然に仕上がる。コーティングシート、なかなかイイかも。




シートの表現力は、なかなかいいのではないかな。円盤形の部分は、シート貼り付け後に端部を瞬間で固める。

後ろ側は手抜きでシート端部の段差が残る(橙)。


 隼図面修正は鋭意(?)作業中。しばしお待ちを。


■ 塗装 9/4 追加

 写真で見るエレファントは、あまり迷彩色が濃くない。ダークグリーンとレッドブラウンは薄めに吹く。もっと細くて繊細な網状迷彩にしたかったけど、細吹き技術が無くて大味なぼけ具合。ヘタレや。細部塗装は筆塗り。履帯はレッドブラウンとニュートラルグレイ(相当のサフ)が1:1。予備履帯、ワイヤ、ジャッキ等はそれに黒を少々。

 チッピング表現は、最近ハマッているシリコンバリア落とし。ツィメリット・コーティングって素材は何色なんだろう?とか、それが塗られるベースって、金属地肌か、プライマーか、迷彩色か?などと考えだすと手が止まるから、そのあたりはスルー。コーティング部は剥がさない。汚しは水溶きウェザマスと鉛筆粉で。ドライブラシ、エナメル系ウォッシングは一切なし。



シリコンバリア・チッピングの下地としてレッドブラウンを塗装。これ塗るなら、サフは不要だな。

基本塗装はMr.カラーの独戦車色を使用。ダークイエローには艶消し白を3割程加える。このあと細部を筆塗り。

チッピングはピンセットの先などでカリカリする。楽しくて、もっとやりたくなるけど、我慢して控え目にする。

自作インレタ。書体、番号はフィクション。鉄十字は記入されない車両が多い。フラットベースをシンナーで溶いて定着&艶調整。

ウェザマス(スス+サビ)を水で溶いてウォッシング。暗部、凹部には濃く塗って拭き残す。金属地肌には鉛筆粉を擦りつける。

足回りも、水ウェザマス(サビ、サンド)と鉛筆粉のみ。黒鉄色の履帯は博物館の展示品だけ。実物は錆と埃の混ざった灰褐色だ。




■ 完成

 発売直後に購入、即日組立開始。飛行機の合間に作って、日数はかかってるけど作業時間は少ない。それでこの完成度は、さすが世界のタミヤ。出来上がると、まさに象という名がピッタリ。前回書き忘れを補足。ワイヤロープは、インストの指示どおりの長さでプラの溝にぴっちり詰めると若干きつい。あと2mmほど余裕を持たせるとよいかも。













いつものベースに乗せてみる。大きいので枠ギリギリ。



■ 参考文献

 製作に合わせ図書館で借りて自炊する。洋書はないけど、この手の和書は結構充実している。すごいぞ〇〇市図書館。あとはネットで拾った画像など。

1 アハトゥンク・パンツァー第6集 ティーガー戦車編  4-89319-008-3  大日本絵画 








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