F8F-2 ベアキャット(モノグラム1/72)製作記
2013.3.7初出
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ついでに、同一スケールでワイルドキャット、ヘルキャットと並べてみよう。胴体長さはワイルドキャットとほぼ同じで、さらに細身。着艦時の前下方視界を確保するため、エンジンカウルとコクピットの位置関係は、三者共通なのが分かる。図面ではベアの前下がり角度が大きいが、主翼迎え角を同じにして並べると、ほぼ同じ角度になる。それにしても、ヘルキャットのでかいこと。
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![]() さすがはモノ、本物よりかっこいい。これぞグラマン猫の鼻筋。なお、キャノピパーツは紛失。悪しからず。 |
![]() 驚愕の左右一体翼。主翼は上下2パーツ、尾翼は1パーツだ。翼平面形、断面形も正確。 |
![]() 胴体平面形もgood。 |
![]() 側面形。主翼と水平尾翼を穴に通して左右胴体を接着する。。 |
で、重箱の隅。昔から言われているが、-1なのか-2なのかよくわからない。垂直尾翼はどっちつかず。主翼は-2または-1Bだね。カウル下面は-1、排気管は-2に近い。キャノピは手元にないが、断面形がイマイチでバブルになってない。細かい形状チェックはいずれまた。 |
![]() -2の図面に重ねてみる。全長もOK。 |
次に胴体断面図。本機の形状把握、模型製作には、こちらがより重要といえよう。
●拡大図面
毎回言ってるが、本図を使って本邦メーカーからぜひ!!正しい形状のキットを出して欲しいな。チューカのウ○コキットはもういらない。次回、平面図掲載予定。
キャノピ土台位置を上げるため赤ラインで切り、クサビ形に下側を0.5mmほど削って再接着。これで胴体上部の拝み勾配の傾斜がきつくなる。こんどは下側ラインが狂うので、紫線で切って、クサビ形のシムを挟む。緑線はカウルフラップと排気管工作のための切断。同時に、左右接着面にシムを入れて横断方向に太らせる際の歪みを逃がす。黄色は主翼を後付けするため。垂直尾翼は水色位置で2.5mm延長する。 |
![]() これら各色のラインで切断。もうバラバラ。歪みなく再接着するために、片側は切らずに残し、それをガイドに小片を組み上げる。 |
(後日追記)主翼下面図に、パイロン&ロケット・ランチャーの図を追加して差し替える。元にした写真はやや斜めなので、形状・大きさ等はやや精度が落ちる。
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![]() 胴体粗削り終了。峰の出来具合はばっちり。テープの断面と、前回掲載の断面図や下画像とを比較されたし。 |
![]() カウルと胴体はこのような噛み合わせにして、切削時にズレないようにする。カウル直後の平らな頂上と、計器板頂上の尖った峰に注意。 |
![]() 実機はこうだ! この微妙な断面形の変化を読むべし。 |
![]() コクピットは手近なパーツ(ちなみにサイドコンソールはタミヤF-84Gだ)を放り込む。 |
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![]() 正しい上反角と、強度確保のため、左右通しの主桁を取り付ける。 |
![]() 後退角修正のため、再度中心線で切り(主桁は切らない)、切断面を削って再接着。NACA23000の翼断面形に粗削り。 |
![]() 脚庫に気休めのディテールを追加。 |
![]() 胴体と合わせてみる。インテイク付近の造形はこれから。 |
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![]() 再掲。個人的にはこれがベアの機首の代表イメージ。造形においてはこの印象を大事にしたい。カウル上側が平らなのがよく分かる。 |
![]() この角度だとカウルから胴体にかけてかなり丸みがある。左画像とほんの少し角度と光線が変わるだけで全然違った印象になる。 |
![]() これも、カウルフラップ付近の丸みやエラの張りが感じられる。同じ角度から見たF6Fとよく似た印象で、血筋を感じる。 |
![]() この角度は貴重。ハイライトの入り方に注目。カウル後端からぎゅっと絞られる。風防と胴体の取り合いライン、キャノピ幅などの情報も貴重。 |
![]() 断面形状の変化が掴みやすい一枚。真円断面の機首から、角丸四角のカウル後端を経て、卵形の防火壁に変化する。 |
![]() 斜めからは丸く見える機首も、真横から見れば鼻筋は直線。鼻筋の延長線上にパイロットの目がある。 |
![]() ほぼ真上から。平面形ではカウル後端でそれほど幅が広がってない。つまり斜めから見たときだけ、ラインが丸く膨らんで見えるわけだ。 |
![]() カウル後端断面の2時10時が張っているのが分かる(4時8時も)。風防正面窓の形状、バブルのキャノピ断面形にも注意。 |
![]() この角度からは頭でっかち。防火壁より前がマッチ棒の頭のように丸く膨らんでいるように見える。 |
![]() これも、防火壁前後で面が不連続なように見える。垂直尾翼の厚さ、胴体後端部の断面形も分かる。 |
どれほど微妙なのか、ご理解いただけたと思う。上の各画像は、別の機種と思えるほど互いに矛盾して見える。これを解く鍵が、カウル上側のつぶれと、2時10時の張り、防火壁での面不連続。付け加えれば、私の図面はこの微妙なラインと矛盾しない。だから図面(とくに断面図)どおり忠実に立体化すれば、この微妙な曲面が再現できるハズ。
まず、カウルの修正。カウルから風防への傾斜角度を大きくした影響で、カウル正面がやや下を向く。ま、最初から分かっていて無視するつもりだったが、気になってきて修正。パネルライン位置で切り離し、シムをかませて再接着。さらに、-2から導入されたカウル下面のエア・アウトレットを工作。これもカウルを切り離して再接着し、あとは削って仕上げる。この部分は複雑な曲面をしており、横から見たとき、胴体中心線上においては、前方のパネルラインから直線状に後ろの排出口に至るが(下図赤線)、アウトレットの両側端では前後のパネルラインの中央付近に屈曲点があり、そこから下がっていく(黄線)。 |
![]() カウルに追加工作。併せて、胴体下部も工作。主翼と隙間があくので、プラバンで埋める。 |
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![]() 脚収容部をテキトー工作。全く正確でないので、参考にしないように。胴体部分はどうせよく見「え」ないし、暗色で塗ってよく見「せ」ない。 |
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![]() 機首がないので、まだ「エ」の字。 |
![]() 脚収容部の塗装が不明。とりあえずネイビーで塗っておく。 |
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![]() 木片に図面のコピーを貼って、側面形を決め、次に平面形、断面形と削っていく。 |
![]() 概ね出来上がり。ノギスで寸法チェック。キャノピ部における胴体全体(胴体+キャノピ)の高さも要チェックポイント。 |
![]() 引いて、全体バランス。チェック箇所の寸法が合ってるのにイメージが合わなければ、何かが違っているのだ。 |
![]() いろんな角度からチェック。 |
このあと、アクリル板の厚み分だけ全体を削り、足をつければ木型出来上がり。細部は絞りながら詰めていく。風防とキャノピの接合部にくびれがあり、上手く絞れるか心配。一発で無理なら、前後に分割して絞るか。
主翼がやや後退しているミスに気付く。無視しようかと思ったが、カウルと主翼の取り合いのスジボリに破綻が生じるので、やり直すことにする。主翼をねじると割りと簡単に外れて、いいんだか悪いんだか。約1mm前進させ再接着。後方の隙間はプラバンで埋める。前縁のフィレットは、プラバン細切りを貼って削る。その他、スジボリの続きを少々。目に見える進捗がなく、かったるい作業が続く。 |
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ベアキャットが搭載しているP&W R-2800 ダブルワスプ・Cシリーズは、Bシリーズ(大戦中多く使用されたタイプ)では鋳造だったシリンダーを鍛造に変更し、このため高ブースト圧が可能となって出力が向上した。搭載機種はF4U-4以降、P-47M、N型など。P-47に搭載されたタイプはなんと2,800馬力とか。ベアキャットは、-1がR-2800-34W(1段2速? 2,100hp、Wは水噴射を表す)、-2が-30W(無段変速 2,250hp)を搭載した。以上ウィキあたりの受け売り。 Cシリーズ、模型的にはギアハウジングの形状が大きな変更点である。1/72スケールではまともなキットがなく、タミヤP-47あたりからナンチャッテ改造しようかと思ってたところ、クイックブーストのF7F用を入手(もう1個はコルセア-5でも作るか?)。出来は非常によい。ここだけ精密でも他とレベルが合わないなあと思いつつ、ついプラグコードなど追加してしまう。プロペラ軸の穴は開いてないので、自分で掘る。軸を垂直にするため、後側から軸より太い径のバイスで迎えに行き、後端に軸と同じ径の穴を開けたプラバンを接着する。 |
![]() 左、タミヤP-47のBシリーズ。右、クイックブーストのCシリーズ。 |
![]() 追加工作。Cシリーズではプラグコードの取り回しが違っており、注意が必要。カムシャフトは延しランナー。コードは0.3mm糸ハンダ。 |
ベアキャットが、あえて1段エンジンを搭載しているのは、理由があるのか? 確かにエレクション・マニュアルを見てもインタークーラーは見当たらない。
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![]() テンプレート自作。ズレないようにセロテープで固定。後知恵だが、2連にしとけば位置揃えが簡単だったな。 |
![]() テーパーしたハッチもテンプレート自作が早くてキレイ。主翼フィレットはエポパテ。 |
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![]() エッチングソーで深さ0.5mmの溝を切る。溝が消えるまで削れば出来上がりというわけ。この写真、なんか虫ちっく。 |
![]() 風防側面ガラスはこんな曲面である(本文参照)。これは実機写真のハイライトを追っていくと分かる。 |
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![]() 絞ってペーパーでざっと整形。イメージをつかむため窓枠を鉛筆で描く。全体形の雰囲気は良好。風防前方の合わせがイマイチ。 |
![]() ちゃんとバブル形になってる。正面図との印象もピッタリだ。 |
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![]() エンジンを塗装。一部の配色はフィクション。どうせカウルに組み込むとよく見えない。 |
-1のプラグコードの配線は、Bシリーズと同様のようだ。お詫びして訂正。
●拡大図面 |
キャノピは木型の微修正に結構手間取り、木型修正→ヒートプレスを4、5回繰り返す。やってるうち形を見失って、同じ所を盛って削って振り子運動。ヘタレだな。まだ形状は不十分だが、胴体との合わせは許容範囲となり、この辺で妥協する。 |
![]() ざっとペーパーをかけてスジボリ。 |
![]() 瞬間の接着部が製作中にポロリと折れる。キットのプラは固いがもろい。今度は真鍮線を入れて再接着。 |
コクピットの塗色がよく分からない。計器板、コンソール、ロールバーを含むキャノピ後方は黒で間違いないだろう。それ以外の床板、側壁等はインテリアグリーンかな(グラマンだとブロンズグリーンか)。防弾板とシートが不明。資料により違って見える。 |
![]() とりあえずこのような塗り分けにしてみる。真偽のほどは不明。 |
![]() 計器板もプラバン細工。アップで見せるほどのものでなし。残るはシートベルトとガンサイト。←実はこれもよく分からない。 |
つうことで、コクピット内部を終わらせる。シートベルトはファインモールドで問題なし。操縦桿はコンソールをパチったF-84の余り。ガンサイトが悩ましい。F8F-1はおそらくWW2米海戦闘機に一般的なMK-8と思われ、ヘルキャットと同様リフレクターガラスを外して風防ガラスに直接投影する。ガンサイト自体は、グレアシールドに隠れるように装備され、外からはあまり見えない。 -2がよく分からない。文献-8の計器板配置図にはジャイロ式MK-18の絵が描かれ、実機記録写真でも不鮮明だがMK-18に見えなくもないものがある。一方、-2Pや-2NになるとMK-18ではない。いずれにせよ確かなところは不明で、また手持ちに1/72のMK-18がないこともあり、F8F-1と同じことにして手持ちクイックブーストのレジンパーツを使う。 |
![]() シートは文献-8によればこんな形状。シートベルトはファインモールド。瞬間で固定。 |
![]() コクピット内部終了。計器板やコンソールにも色を差す。 |
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参考までに、-2も掲載するので、違いを見比べていただきたい。図面自体は前回掲載と変更なし。
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