F8F-2 ベアキャット(モノグラム1/72)製作記

2013.3.7初出

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完成画像






■ はじめに 

 ヘルキャット、ワイルドキャットと続けばベアキャットもやらずばなるまい。実は、密かに図面作りや考証は進めているのだ。使用するは、隠れた?名作、モノ1/72。というか、古今東西、唯一まともなベアキャットのキット。喇叭、ホビボ、垢デミ=ホビ蔵等は、作った人には申し訳ないがはっきり言ってダメ。全然似てない。カッコ悪すぎ。1/48、1/32でまともなベアを作るなら、木を削ったほうが早いぞ。


■ -1と-2の違い

 本格的図面は次回のお楽しみとして、まず-1と-2の胴体形状から見ていこう。違いは垂直尾翼の高さと排気管だけではないぞ。既存の図面等では全く無視されてるので知らない人も多いと思うが、-2の風防は前面傾斜角が寝ている。このため-2はぐっとスマートで洗練された外形となる。また、-2の垂直尾翼は根元で継ぎ足してるため、上半分の形は-1、-2とも同じで、-2のラダー後端ラインは屈曲している。図面では分かり辛いかもしれないが、主翼付け根前縁のフェアリングの有無も見落とされがちなポイントだ。下画像をそれぞれ取り込んでスライドショーで見ると相違点が分かりやすいだろう。間違い見落としなど、お気づきの点があれば、ぜひご連絡願う。





 ついでに、同一スケールでワイルドキャット、ヘルキャットと並べてみよう。胴体長さはワイルドキャットとほぼ同じで、さらに細身。着艦時の前下方視界を確保するため、エンジンカウルとコクピットの位置関係は、三者共通なのが分かる。図面ではベアの前下がり角度が大きいが、主翼迎え角を同じにして並べると、ほぼ同じ角度になる。それにしても、ヘルキャットのでかいこと。






■ キットレビュー

 モノグラムのキットは古いが、ベアの特徴を大変よく捉えている。設計者のセンスがいいんだね。ゼロとフォッケを徹底研究し、贅肉を削ぎ落とした、俊敏なる高性能機というイメージばっちりだ。初めて手にしたとき、鼻筋の削ぎ具合に目から鱗の衝撃を受けたのを覚えている。ま、細かいことを言うと色々あるけど。



さすがはモノ、本物よりかっこいい。これぞグラマン猫の鼻筋。なお、キャノピパーツは紛失。悪しからず。

驚愕の左右一体翼。主翼は上下2パーツ、尾翼は1パーツだ。翼平面形、断面形も正確。

胴体平面形もgood。

側面形。主翼と水平尾翼を穴に通して左右胴体を接着する。。


 で、重箱の隅。昔から言われているが、-1なのか-2なのかよくわからない。垂直尾翼はどっちつかず。主翼は-2または-1Bだね。カウル下面は-1、排気管は-2に近い。キャノピは手元にないが、断面形がイマイチでバブルになってない。細かい形状チェックはいずれまた。



-2の図面に重ねてみる。全長もOK。



■ 新キャラクター登場

 やっぱコレがないと寂しくてヒンシュク御免で作画する。天才エアレーサーパイロット、名はベアリー。相変わらずネーミングのセンスねェ。しっかり者の姉ちゃんとの対比で、才媛だけど小生意気というキャラ。片手に拳銃(NY市警捜査官との設定)、金髪翠眼はマロリー・シリーズの読みすぎか? ヒゲが2本なのと、耳がピンと立ってる理由は言わずもがな。脚も長いぞ。




■ 胴体図面 3/20追加

 今回更新と次回とで図面を掲載する。考証には手間と時間をかけ、万全を期したつもりである。図面製作が主で模型はそのオマケみたいな感じだ。ではまず胴体側面図からいこう。使用上の注意は以下のとおり。

F8F-1 拡大図面

F8F-2 拡大図面

  • 側面形は遠方真横からの現存機写真をトレース。条件が良いので外形、パネルラインの精度はかなり良いはず。
  • リベットラインはリペアマニュアルと現存機クローズアップ写真からほぼ全容が解明できる。一部ストリンガーがダブルになるのが、本機の特徴。
  • ファスナも、できるかぎり数を数えて正確に再現。
  • 全長330インチは、写真と胴体St.の照合ではプロペラブレード除きのスピナ先端から胴体後端までと思われる。
  • 胴体基準線に対し、スラストライン:-4.5°、主翼取付角:-1.5°、水平尾翼取付角:+0.5°、垂直尾翼オフセット:左1.5°となる。
  • ちなみにF6Fではスラストライン:-3.0°、主翼取付角0°で、この相互角はF8Fと同じ。
  • 胴体各フレーム、キャノピフレーム、ラダーヒンジは胴体基準線に対し垂直。これはF4F、F6Fも同じ(F4Fのキャノピ除く)。
  • 後部胴体では胴体基準線位置にパネルラインがあり、かつ当該箇所が最大幅となる・・・とはどこにも書いてないが、私の解析ではそうなる。少なくとも本図ではそういった仮定のもとに作図している。
  • 小アクセスパネルは、現存機でバリエーションがあるが、当時の記録写真では不鮮明でよく分からず、本図の確度に自信なし。詳細情報求む。
  • 着艦フックまわりの形状は、現存機では変更が加えられている機体ばかりで、記録写真では形状にバリエーションが見られる(小パネルの脱着か?)。本図の確度に自信なし。詳細情報求む。
  • プロペラ直径は手元資料に151インチというデータがある。現存機はもっと大きい。地上滑走時にケツを上げるとペラが地面を叩く。零戦みたいな離陸はできない。この巨大プロペラに小さな機体では、着艦時のスロットル動作には神経使うだろう。
  • -2Pのカメラ窓とオイル・デフレクタ・フェアリングの位置、大きさ、形状は精度が劣る。右舷には斜めカメラ窓はない。
  • -2のガンサイトは確証なし。情報求む。グレアシールドとの関係も不確か。


 次に胴体断面図。本機の形状把握、模型製作には、こちらがより重要といえよう。

拡大図面

  • 本図における各断面は全て実機写真のトレースがベースで、遠近法の歪みを矯正し、側面図、平面図に高さと幅を合わせたものである。
  • ここでいう平面図は、実機の真上、真下からの写真をトレースしたもの。
  • A、Bは真円。Aの内側は開口部差し渡し、外側はリップ最前部を表す。
  • Cはカウルを外した実機写真のトレース。2時10時方向に意外と膨らんでおりホントかよ?と思いたくなるが、トレースするとこうなるのだ。頂部はわずかに平らになっている。
  • この平らな部分は、本来ふっくらと丸みのあるカウル先端から防火壁までのライン(2時10時方向はこうなってる)を、頂部だけ一直線になるように削ったと考えると理解できる。
  • D(防火壁)も機首を外した写真から。条件がよい写真なので、精度は高い。
  • E、F、Gは、パーツ状態の胴体中央部のほぼ真後ろから(Gは前方からもあり)の写真による。
  • 風防フレーム、キャノピ最大幅(水色)は、複数の写真を総合して線を決定。条件がよくないので精度やや甘。
  • H、I、Jは、後部胴体内部を前方から撮影した写真。各フレームの形状が条件よく把握できる。
  • Kは後方からの写真。


 毎回言ってるが、本図を使って本邦メーカーからぜひ!!正しい形状のキットを出して欲しいな。チューカのウ○コキットはもういらない。次回、平面図掲載予定。


■ 胴体製作 

 キットの素性がいいので、外形はキットを活かしてサラリと作るのが本来の姿だと思うが、気合を入れて図面を作ったので、外形にも多少手を加えることにする。ただし100%完璧は目指さない。モノのキットは実機以上にカッコいい。その原因は鼻筋左右の胴体幅を少々削り過ぎてるため。断面で2時10時方向だ。鼻筋自体の鋭さはOK。それとキャノピ取り付け位置がやや低い。よってこの2点を改修する。胴体を太らせる方向の修正だが、パテは使わない主義。粘るプラなら曲げも併用できるが、キットのプラはクリアパーツ並みに硬く脆い。そこで下画像の位置で切り離し、適宜シムを挟む方式で対処。

 キャノピ土台位置を上げるため赤ラインで切り、クサビ形に下側を0.5mmほど削って再接着。これで胴体上部の拝み勾配の傾斜がきつくなる。こんどは下側ラインが狂うので、紫線で切って、クサビ形のシムを挟む。緑線はカウルフラップと排気管工作のための切断。同時に、左右接着面にシムを入れて横断方向に太らせる際の歪みを逃がす。黄色は主翼を後付けするため。垂直尾翼は水色位置で2.5mm延長する。



これら各色のラインで切断。もうバラバラ。歪みなく再接着するために、片側は切らずに残し、それをガイドに小片を組み上げる。



■ 平面図 4/4追加

 予告どおり、平面図を掲載する。胴体平面形では、F8Fはどうも防火壁のところに微かな屈曲点があるように思える。例えると、零戦やF4U-5みたいな感じで、カウルから防火壁までが1つの曲線で、防火壁で折れ曲がって後部胴体の曲線に至る。図面もそのように描く。F6FやF4Fでは、カウル後端に屈曲点があり、異なっている。

 (後日追記)主翼下面図に、パイロン&ロケット・ランチャーの図を追加して差し替える。元にした写真はやや斜めなので、形状・大きさ等はやや精度が落ちる。

F8F-2上面 拡大図面

F8F-2下面 拡大図面



  • 例により作図と模型製作の便利から、パネルライン(PL)、リベットライン(RL)は主翼基準面に投影されたものとして作図。
  • つまりこの図面を何も考えずにそのまま立体化すると実機どおりにならない。チューカ系のモケーではよくあることだが。
  • こういう作図をすると、当然ながら胴体接合部に矛盾が生じるが、図ではテキトーに処理してある。
  • 図中水色線は、実機写真ではこういうラインも読める、というものを表示。
  • 例えば、下面、ダイブ・リカバリー・フラップ外側から下がるPLは、リペアマニュアルの外板図では「なし」だが、現存機では「あり」。
  • -2になると、機銃ベイが大型化するが、リペアマニュアルの主翼骨組図は-1のもので、機銃ベイ周りのリブ、ストリンガーの配置がかなり異なる。
  • これは、レストア中の翼写真、実機クローズアップ写真からほぼ解明できたと思う。銃身位置は-2でも変わらず、-2ではsta90が主桁後方のみ約2.5インチ内側にずれる。主桁前方は脚庫があるため内側には移動できない。
  • 一部のストリンガーのRLはダブルになるが、これも写真等からほぼ解明。
  • 下面のPL、RLは一部不明。とくに機銃ベイ周辺。情報求む。
  • -1は、下からも給弾可能のようで、そのように見える写真があり、またマニュアルの外板図もそれを裏付ける。
  • 垂直尾翼、水平尾翼の断面図は、確証ないがF6Fと同じ断面形と推測して図示する。
  • 胴体幅は上から、下からの実機写真で検証済み。
  • 上の小図面は最新の訂正を反映してなく一部に差異あり。なるべく拡大図を参照されたし。
  • 主翼上反角:5.5°(翼前縁)、取付角:-1.5°、スパン:426"、コード:115.97"(胴体中心、バルジなし)、51.5"(翼端、後端のカーブ無視)、前縁後退角:5.05°。
  • ねじり下げなし。これはF4F、F6Fも同じ。角型翼端と相まって、大迎え角時の失速特性が気になるところだが、他機よりスパンの長いフラップが効いてるのか?
  • 翼型:NACA23018(胴体中心、バルジなし)、NACA23009(翼端、カーブ無視)。翼厚比18%は、かなりの厚翼である。
  • 水平尾翼コード:55.5"(胴体中心)、エレベータコード:15.5"(ピボットライン〜後端)、水平尾翼スパン:190"。
  • -2は垂直尾翼基部が厚いため、エレベータ内端が-1より短いようだ。
  • なぜか、F8Fは下面の3色灯がない。後のジェット機にもないし、この頃には不要になったか?
  • sta43は、写真と主翼後半のリブ位置が異なる。主翼前半斜めリブが主桁ラインに接する点が43"なのかも。図は写真のとおりに描く。



■ 続、胴体製作 

 続、というか、前回更新では手を動かしてなかったわけで、ようやく製作開始。前回提示のラインで切った貼った大会。断面2時10時を太らせるため、胴体上側にはプラバンのシムを挟む。カウル後方は瞬間+プラ粉を盛る。それだけでは鼻筋が太るから、峰近傍の両脇(1時11時)は削って尖らせる。シムのため、胴体の絶対幅が過大となり、両脇(3時9時)は削る。ところがプラが異様に硬くて難儀する。#240ペーパーでは歯が立たず、#80番から。これがまた、つい力が入って削りすぎ、瞬間盛ってやり直したり・・



胴体粗削り終了。峰の出来具合はばっちり。テープの断面と、前回掲載の断面図や下画像とを比較されたし。

カウルと胴体はこのような噛み合わせにして、切削時にズレないようにする。カウル直後の平らな頂上と、計器板頂上の尖った峰に注意。

実機はこうだ! この微妙な断面形の変化を読むべし。

コクピットは手近なパーツ(ちなみにサイドコンソールはタミヤF-84Gだ)を放り込む。



■ 主翼組み立て 4/19追加

 キットの主翼は、上反角がやや不足。そのため左右で切り離し、プラバンの桁を入れて再接着する。作業途中で、実機よりやや前進角がついているのに気づき、再度中心線で切り、切断面を楔形に削って再接着。キットの翼断面形は、前縁がやや厚ぼったく、NACA23000シリーズの甘鯛の頭のような形状になるよう、20%コード付近の上下面を中心に先端が尖るように削る。



正しい上反角と、強度確保のため、左右通しの主桁を取り付ける。

後退角修正のため、再度中心線で切り(主桁は切らない)、切断面を削って再接着。NACA23000の翼断面形に粗削り。

脚庫に気休めのディテールを追加。

胴体と合わせてみる。インテイク付近の造形はこれから。



■ 機首ラインの認識

 ベアキャットの機首ラインは、三面図で見ると単純だが、3Dでは非常に微妙な曲線から成る。言葉では説明不可能なので、画像を見ていただこう。



再掲。個人的にはこれがベアの機首の代表イメージ。造形においてはこの印象を大事にしたい。カウル上側が平らなのがよく分かる。

この角度だとカウルから胴体にかけてかなり丸みがある。左画像とほんの少し角度と光線が変わるだけで全然違った印象になる。

これも、カウルフラップ付近の丸みやエラの張りが感じられる。同じ角度から見たF6Fとよく似た印象で、血筋を感じる。

この角度は貴重。ハイライトの入り方に注目。カウル後端からぎゅっと絞られる。風防と胴体の取り合いライン、キャノピ幅などの情報も貴重。

断面形状の変化が掴みやすい一枚。真円断面の機首から、角丸四角のカウル後端を経て、卵形の防火壁に変化する。

斜めからは丸く見える機首も、真横から見れば鼻筋は直線。鼻筋の延長線上にパイロットの目がある。

ほぼ真上から。平面形ではカウル後端でそれほど幅が広がってない。つまり斜めから見たときだけ、ラインが丸く膨らんで見えるわけだ。

カウル後端断面の2時10時が張っているのが分かる(4時8時も)。風防正面窓の形状、バブルのキャノピ断面形にも注意。

この角度からは頭でっかち。防火壁より前がマッチ棒の頭のように丸く膨らんでいるように見える。

これも、防火壁前後で面が不連続なように見える。垂直尾翼の厚さ、胴体後端部の断面形も分かる。


 どれほど微妙なのか、ご理解いただけたと思う。上の各画像は、別の機種と思えるほど互いに矛盾して見える。これを解く鍵が、カウル上側のつぶれと、2時10時の張り、防火壁での面不連続。付け加えれば、私の図面はこの微妙なラインと矛盾しない。だから図面(とくに断面図)どおり忠実に立体化すれば、この微妙な曲面が再現できるハズ。


■ 続々胴体 5/11追加

 馬、陸物の裏でまったり進行中。

 まず、カウルの修正。カウルから風防への傾斜角度を大きくした影響で、カウル正面がやや下を向く。ま、最初から分かっていて無視するつもりだったが、気になってきて修正。パネルライン位置で切り離し、シムをかませて再接着。さらに、-2から導入されたカウル下面のエア・アウトレットを工作。これもカウルを切り離して再接着し、あとは削って仕上げる。この部分は複雑な曲面をしており、横から見たとき、胴体中心線上においては、前方のパネルラインから直線状に後ろの排出口に至るが(下図赤線)、アウトレットの両側端では前後のパネルラインの中央付近に屈曲点があり、そこから下がっていく(黄線)。



カウルに追加工作。併せて、胴体下部も工作。主翼と隙間があくので、プラバンで埋める。



■ 脚収容部

 デッチアップ工作。主翼インテイクからのダクトはミリプット細工。手こね風味炸裂だが気にしない。内側インテイクからは、脚収容部前方に位置する円筒状のオイルクーラーにつながる。外側インテイクからは、主桁と一体となった防火壁近くまで伸び、そこから上に向かってエンジン後方の過給器に至る。胴体部に天井はなく、配管がごちゃごちゃしている。防火壁の下部にはエンジンフレームの鋼管が左右2本ずつV字状に取り付く。



脚収容部をテキトー工作。全く正確でないので、参考にしないように。胴体部分はどうせよく見「え」ないし、暗色で塗ってよく見「せ」ない。



■ スジボリ〜エの字

 並行して、スジボリと主翼インテイクまわりの整形。インテイクの膨らみは、パネルラインのところにクッキリと屈曲線がある。キットは曖昧。ここをキレイに決めるには細心の工作が必要。屈曲線を先にスジボリし、ナイフ、ヤスリで丁寧に削っていく。インテイクの開口部はやや下向き加減。これらが済んだら、主尾翼を接着。主翼は-1°の取付角に注意する。切れ上がった翼後端は、F8Fの外形のキモだ。キットの胴体穴の上側に合わせると概ね正しい取付角になる。ただしその時下側には盛大に隙間が開く。水平尾翼は特に問題ない。前縁をやや尖らせ、リブ表現の凹みを埋め、翼端の平面形を微修正、胴体との隙間をプラバンで埋めるくらい。厚さは、薄く感じるかもしれないが、翼厚比を計算すれば正確であることが分かる。



機首がないので、まだ「エ」の字。

脚収容部の塗装が不明。とりあえずネイビーで塗っておく。



■ キャノピ木型

 ヒートプレスの型を作る。まず、イメージを確認するため、出来上がりの外形に削る。



木片に図面のコピーを貼って、側面形を決め、次に平面形、断面形と削っていく。

概ね出来上がり。ノギスで寸法チェック。キャノピ部における胴体全体(胴体+キャノピ)の高さも要チェックポイント。

引いて、全体バランス。チェック箇所の寸法が合ってるのにイメージが合わなければ、何かが違っているのだ。

いろんな角度からチェック。


 このあと、アクリル板の厚み分だけ全体を削り、足をつければ木型出来上がり。細部は絞りながら詰めていく。風防とキャノピの接合部にくびれがあり、上手く絞れるか心配。一発で無理なら、前後に分割して絞るか。


■ 続「エ」の字 6/8追加

 マスタングの写真を撮ったり、ヘルキャットの図面を直したり、スピットの図面を描き始めたりで、模型の方は停滞中。

 主翼がやや後退しているミスに気付く。無視しようかと思ったが、カウルと主翼の取り合いのスジボリに破綻が生じるので、やり直すことにする。主翼をねじると割りと簡単に外れて、いいんだか悪いんだか。約1mm前進させ再接着。後方の隙間はプラバンで埋める。前縁のフィレットは、プラバン細切りを貼って削る。その他、スジボリの続きを少々。目に見える進捗がなく、かったるい作業が続く。







■ ホビクラ、ホビボのベア

 静岡HSで、両1/48キットの完成作品を拝見する。作られた方と現在製作中の方には本当に申し訳なく、けなす意図は全くないが、キットの出来があんまりなので、コメントしたい。どちらも外形が全然ダメ。カウリング先端が角張り過ぎ。鼻筋を含めた胴体断面形もイマイチ。キャノピは全体的に変な形。主翼は上半角不足に翼型もダメで、とくに前縁が丸すぎ。以上は両社共通で違うけどよく似た(真似した)キットなのだ。2社比べると、ホビクラの方がまだましで、ホビボは後部胴体がイルカの背中のような変なカーブになっている。まともな形にするなら、木を削った方が断然早い。テスター(ホーク)のベアは後述。


■ エンジン 6/14追加

 P-51の次の大物アイテムが決まらず、とりあえずベアに専心する。

 ベアキャットが搭載しているP&W R-2800 ダブルワスプ・Cシリーズは、Bシリーズ(大戦中多く使用されたタイプ)では鋳造だったシリンダーを鍛造に変更し、このため高ブースト圧が可能となって出力が向上した。搭載機種はF4U-4以降、P-47M、N型など。P-47に搭載されたタイプはなんと2,800馬力とか。ベアキャットは、-1がR-2800-34W(1段2速? 2,100hp、Wは水噴射を表す)、-2が-30W(無段変速 2,250hp)を搭載した。以上ウィキあたりの受け売り。

 Cシリーズ、模型的にはギアハウジングの形状が大きな変更点である。1/72スケールではまともなキットがなく、タミヤP-47あたりからナンチャッテ改造しようかと思ってたところ、クイックブーストのF7F用を入手(もう1個はコルセア-5でも作るか?)。出来は非常によい。ここだけ精密でも他とレベルが合わないなあと思いつつ、ついプラグコードなど追加してしまう。プロペラ軸の穴は開いてないので、自分で掘る。軸を垂直にするため、後側から軸より太い径のバイスで迎えに行き、後端に軸と同じ径の穴を開けたプラバンを接着する。



左、タミヤP-47のBシリーズ。右、クイックブーストのCシリーズ。

追加工作。Cシリーズではプラグコードの取り回しが違っており、注意が必要。カムシャフトは延しランナー。コードは0.3mm糸ハンダ。


 ベアキャットが、あえて1段エンジンを搭載しているのは、理由があるのか? 確かにエレクション・マニュアルを見てもインタークーラーは見当たらない。 


■ スジボリ

 ちまちまと。



テンプレート自作。ズレないようにセロテープで固定。後知恵だが、2連にしとけば位置揃えが簡単だったな。

テーパーしたハッチもテンプレート自作が早くてキレイ。主翼フィレットはエポパテ。



■ 続、キャノピ木型

 ヒートプレス型にするため、木型を一回り小さく削り、エポパテで足をつける。風防両脇のガラスは下画像のような曲面構成。後端フレーム近傍の一部を除き水色線は直線で、その部分は二次曲面になっている。また、線の間隔にも注目。前側が狭く、つまり円筒でなく円錐である。また下から2本目の線より下ではほとんど平面に近い 。風防を自作しようという方、ご参考まで。



エッチングソーで深さ0.5mmの溝を切る。溝が消えるまで削れば出来上がりというわけ。この写真、なんか虫ちっく。

風防側面ガラスはこんな曲面である(本文参照)。これは実機写真のハイライトを追っていくと分かる。



■ キャノピ絞り 6/21追加

 キャノピには0.5mm厚アクリル板を使う。@ Ω形が木型からうまく抜けるか、A 風防フレーム部のクビレが絞れるか、やってみないと分からない。まず試し絞り。@は、不要な裾を回転ノコで切り取れば何とか抜ける。Aも、そのままではクビレが曖昧だがアクリル板の厚みの範囲内の削りで何とかなる。胴体との合わせがイマイチなところがあり、木型を微修正。



絞ってペーパーでざっと整形。イメージをつかむため窓枠を鉛筆で描く。全体形の雰囲気は良好。風防前方の合わせがイマイチ。

ちゃんとバブル形になってる。正面図との印象もピッタリだ。



■ 士の字

 エンジンを胴体に取り付け、ようやくエの字から士の字になる。カウルを接着後、胴体との面の流れを削り合わせる。



エンジンを塗装。一部の配色はフィクション。どうせカウルに組み込むとよく見えない。


 -1のプラグコードの配線は、Bシリーズと同様のようだ。お詫びして訂正。


■ 正面図

 正面図が出来上がる。資料により主翼のタンク振れ止めはパイロンに垂直であることが判明。図で黒で示すプロペラブレードは、正面からブレードを見たときの形(先端で取付角0度)で、写真のトレース。赤は黒のブレード幅を取付角のコサインで除したもので、つまりブレードのコードを示す。したがって、これを切り取って捻ると正しいプロペラの形になるわけ。主翼のリブは翼基準面に対し垂直だが、着陸灯のみ地面に垂直。正面図は、機軸に垂直に描いているが、プロペラ直径のみは、模型製作の便を考慮し-4.5°の軸の傾きを表していない。脚カバーは前端のエッジのみ図示。





拡大図面






■ 続、キャノピ 7/15追加

 猫ファンの皆様お待たせ。スピットと並行でこちらもゆるゆる進行中。

   キャノピは木型の微修正に結構手間取り、木型修正→ヒートプレスを4、5回繰り返す。やってるうち形を見失って、同じ所を盛って削って振り子運動。ヘタレだな。まだ形状は不十分だが、胴体との合わせは許容範囲となり、この辺で妥協する。



ざっとペーパーをかけてスジボリ。

瞬間の接着部が製作中にポロリと折れる。キットのプラは固いがもろい。今度は真鍮線を入れて再接着。



■ コクピット周り

 早くキャノピを接着したくて、コクピット内部とロールバーをでっち上げる。特殊な形状をしているシートは、プラバンで。参考文献-8に写真 がある。ロールバーもプラバン細工。逆V字形の支柱は、コクピット後方バルクヘッドと一体で製造されており、横から見るとバルクヘッドの斜めのパネルラインに平行である(側面図参照)。気づかずやり直した粗忽者約一名。

 コクピットの塗色がよく分からない。計器板、コンソール、ロールバーを含むキャノピ後方は黒で間違いないだろう。それ以外の床板、側壁等はインテリアグリーンかな(グラマンだとブロンズグリーンか)。防弾板とシートが不明。資料により違って見える。



とりあえずこのような塗り分けにしてみる。真偽のほどは不明。

計器板もプラバン細工。アップで見せるほどのものでなし。残るはシートベルトとガンサイト。←実はこれもよく分からない。



■ 続、コクピット 9/8追加

 スピットに盛り上がってしまい、およそ2ヶ月の放置。そろそろ戻らねば。

 つうことで、コクピット内部を終わらせる。シートベルトはファインモールドで問題なし。操縦桿はコンソールをパチったF-84の余り。ガンサイトが悩ましい。F8F-1はおそらくWW2米海戦闘機に一般的なMK-8と思われ、ヘルキャットと同様リフレクターガラスを外して風防ガラスに直接投影する。ガンサイト自体は、グレアシールドに隠れるように装備され、外からはあまり見えない。

 -2がよく分からない。文献-8の計器板配置図にはジャイロ式MK-18の絵が描かれ、実機記録写真でも不鮮明だがMK-18に見えなくもないものがある。一方、-2Pや-2NになるとMK-18ではない。いずれにせよ確かなところは不明で、また手持ちに1/72のMK-18がないこともあり、F8F-1と同じことにして手持ちクイックブーストのレジンパーツを使う。



シートは文献-8によればこんな形状。シートベルトはファインモールド。瞬間で固定。

コクピット内部終了。計器板やコンソールにも色を差す。



■ キャノピ接着

 コクピット内部が終了し、ようやくキャノピを磨いて接着。プラ用は使えず、瞬間は曇るし、アクリル用接着剤は強度が不安。エポキシを使おうと思ったら手元にない。そこで試しにUVクリアを使ってみる。とりあえず接着強度はまずまず。このあと接合部の整形処理がうまくいくかどうか。






■ F8F-1平面図

 模型が進まないので、かわりに図面を掲載。

F8F-1上面 拡大図面

F8F-1下面 拡大図面



  • -1のパネルライン、リベットラインは、組み立てマニュアルの骨組み図、外板図、実機クローズアップ写真から、ほぼ完全に把握。機銃付近が-2とは異なる。
  • -1の機銃弾は下側から装填される。
  • 上面側機銃アクセスパネルの幅は-1と-2では異なることに注意。
  • あとの違いは、主翼下面の胴体とのフェアリング、キャノピ、カウリング、一部アクセスパネル程度。胴体下面航法灯の有無は、詳細不明。情報求む。


 参考までに、-2も掲載するので、違いを見比べていただきたい。図面自体は前回掲載と変更なし。

F8F-2上面 拡大図面

F8F-2下面 拡大図面












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