ボーイング F/A-18F スーパーホーネット アカデミー 1/72 その2

2021.12.17初出

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最終更新日




■ 細部塗装 1/8追加

 孫娘が風邪をひいて、ママパパにうつって、じじばばおじにうつって、全員が順番にダウン。正月は何もできず。ようやく回復して、細部塗装だ。レドーム先端は、インストだとレドーム色だが、写真を見ると迷彩色のものが多数。



レドーム(307)、機銃口(タミ銀+黒)、その後方のセンサー(307+黒)をマスクして塗装。

ジェットノズルもタミ銀+黒の2トーンで。

メッシュ部をマスクして307+黒で塗分け。脚庫はセロテープでマスクして白を吹く。

下面の油汚れを茶系でエアブラシ。




■ デカール

 デカールはキット付属のものをそのまま使う。シルバリングを避けるため、まず全体にクリアを吹く。カルト製のデカールは、フチがほとんどなく、ナイフでカットする手間がかからないのが嬉しい。しかし、ロービジのインシグニアや部隊マークなどのマーキング(注※)は、汚れを強調したモデルに貼ると全く目立たない。嘘でもいいから、少し暗めの色調にして欲しかったところ。いやこれ、ロービジあるあるだよね。忘れてた。

※ インシグニア(上下側面とも)、NAVYのレター、部隊記号は、規定(MIL-STD-2161)ではFS35237グレイッシュブルーとされる。キットデカールは若干明るく、青味が少ないかな。



パネルライト、機番、ウォークウェイなどはデカール。このあたりは目立ってるのだが。

国籍マークは全く目立たず。ヒンジ部の網点もキットデカール。

部隊マークやNAVYのロゴも全く目立たない。

メッシュ部のデカールは秀逸。


 ところで、クレオスのマークセッターって、若干ラッカー塗装を侵す。塗ったまま忘れて放置すると塗料が溶けるよ。気を付けよう。モデル表面に乾いて残ったセッターは、水で拭いても落ちないが、セッターで拭けば落ちる。


■ 回顧展終了 1/15追加

 故後藤会長の回顧展が終了。多数のご来場に感謝申し上げる。リアルな展示会は本当に久しぶり。終了後、氏の作品をクラブのメンバーや親しい人達で分ける。私は唯一の1/72作品であるヴェンジャンス(スペシャルホビー)を拝領。2004年頃の作品だ。家に帰って、洗剤水をつけたティッシュでお掃除すると、本来の艶が戻ってくる。しまい込む前にパチリ。写真では分からないけど、コクピット、エンジン、脚など、しっかり作り込んである。塩ビのキャノピが黄変してるのは仕方ない、20年近く前だもの。











■ 吊るしもの、脚ドア

 吊るしものは全てキットパーツ。外側からAIM-9X、スパロー、Mk.82爆弾、燃タンと吊るすのもキット指定どおり。実際にこういう運用があるのかどうかは知らん。塗装もインストに従い、キットのデカールをそのまま貼る。何も考えないのって、楽でいいなあ。←ヲイ!

 燃タンは消耗品だからと、当初はキレイめにしたところ、機体の汚れ具合とマッチしない。明色タッチアップ跡など嘘かもしれないが、バランスするように汚す。機体では使ってないワザを一つ。ウェザマスなどで強め(暗め)に汚しておいて、その上に生308でドライブラシ。微妙なムラムラ具合がいい感じだ。



サイドワインダーの取り付けホゾだけは、あんまりなので切り取る。あとはほぼ無加工。ウェポンは汚さず、機体と対比させる。

燃タンは、機体本体とトーンを合わせ、強めに汚す。


 脚ドアの赤フチは、面倒くさいが現用米機では避けて通れない。まあロービジで色味の少ない作品には、いいアクセントかも。塗り分け線をシャープにするため、べたデカールの細切りを使う。ちなみにタミ48ファントムのマーキング部分。細く切ったつもりが、いざ貼ってみるとチョイ太い。まいいや、このまま進めよう。タッチアップは、エナメルか水性にしようかと思ったが、奥から出すのが面倒でラッカー系で。



直線部分のみデカール。不足はタッチアップ。最前部の湾曲部分など、上手く貼れない部分も塗装にする。

タッチアップはGX3+サンダーバーズ赤。アレスティングフックのバーはマスクして塗り分け。黄色のみ筆塗り。



■ 映え塗り完了

 デカールの上には、フラットクリアを吹いてある。もう十分乾燥してるので、ラプロス#6000で段差を少し均す。スジボリが埋まってしまうから、完全に段差を消す程には厚吹きしてない。だから、段差消しは気休め程度。塗装面がザラついている箇所も同様にラプロスで。しかる後、再度フラットクリアで艶を整える。ついでに、汚しも少々追加。これまでの汚しは、いわばモノトーンなので、色味に乏しい。「刺し色」として茶系のアクセントを加える。少し明るいのがいいかなと、ダークアースを使う。コクピットのフチなどに、乾いたウェザマスを筆で擦りつける。キャノピ側はマスクして可動感を演出。これにて映え塗り完了。



垂直尾翼の間、上面アウトレット後方、フラップ境に刺し色の茶系汚し。・・・刺し色、うーん新鮮な響きだ。なにしろ、普段はこういう発想で塗ってないからな。


下面の茶系も強めに。


 残るは脚関係。前脚は3D設計ほぼ終了。お試しプリントの結果で微修正したらアップする。この勢いで主脚も3D化しちゃおうかな。


■ 前脚の3D設計 1/21追加

 お試しプリント&修正が終了。まずは、設計についてあれこれ。スパホとレガホで、細部が異なる。レガホが異なる箇所は、1)ホイールのフィンがない(下画像青)、2)3色灯下部の部品(ライト?)がない(赤)、3)右舷側係留リングの位置(緑:レガホは左舷と対称位置)、の大きく3点。また、スパホでも細部にバリエーションがあるが、そこは適当にモデリング。



こちらスパホの前脚。

レガホ。アクチュエータの無塗装部分とか、脚カバーのメッシュの有無なども異なるな。


 では3D設計。脚前方のカタパルトで引っ張るバー(何て名前?)を引き上げる機構が、当機のチャームポイント。後方の円筒が多分モーターで、うぃーんと回るとロッドを後方に引っ張り、その前方の縦棒は下端が固定されてるので、梃子(の逆)の原理でバーを引き上げる。このロッド、プラモだと板状の表現だけど、3Dならちゃんと棒になる。タイヤの溝は5本で、手作業では絶対無理だぞ。



前脚の全景。プリントは、このまま立てた方向で。車輪は別出力となる。

左の拡大。これ以上のディテールはプリンタの能力を超える、というか既に超えてる部分あり?

この脚はオーバーハングが多い。お持ち帰りファイルは、サポートを取り付ける枝をつけてある。右舷係留リングの位置に注意。

お試しプリントしてサフを吹く。これは修正前の状態。車輪はいつもの出力方向で。


 お持ち帰りはページ末尾から。


■ 主脚3D

 勢いで主脚も3D設計する。主脚は複雑な形をしており、fusionで私のスキルだと、ナンチャッテ再現にしかならないな。まあいいや、どうせよく見えないし。キットパーツよりはマシだろ。前脚同様、主脚もレガホとスパホでは異なり、1)オレオの形状(赤)、2)ホイルのディテール(青)、3)係留リングの位置(緑)、4)細いロッドおよびそれにつながるリンク機構のディテール(橙)、5)屈曲ヒンジ付近のディテール(紫)、が大きな違い。



こちらスパホ。画像は左右反転。

これはレガホ。


 3D設計の難しさは、実機の作動メカニズムの複雑さが一因。図面などもちろん無いし、写真も角度が限られていてよく分からん。想像するに、a)「L」字形を形成する脚柱上部と脚柱下部のジョイントのヒンジ軸は、車軸と平行(すなわち機軸垂直)かほぼ平行で、「L」のある平面(注※)に垂直ではない。b)その結果、オレオはねじれながら伸縮する。c)脚引込時には、伸びた「L」が途中まで戻され、後方と内側にひねるように引き込まれる。d)そのままでは車輪が胴体下面からはみ出すので、車軸が曲げられる。

※)正確に言うなら脚柱上および下の2本の中心軸を通る平面(2本の軸は、交差しない「ねじれ」の位置の可能性もあり、そうであればこの表現も厳密には正確ではない)

 この a)「L」ジョイントの軸が車軸平行なのは、そうでないと屈伸したときに車軸が傾き、離着陸時に迷走してしまうからだろう。b)のオレオがねじれるため、オレオ上下の取り付けは軸結合ではなくピン結合(ボールマウント)となる。

 d)の車軸折れ曲がり機構は、次のとおり。折れ曲がった円柱(=車軸)の片側に車輪が付き、もう片側には短いパイプが被さる。このパイプは脚柱と一体で、パイプの中で円柱が回転することにより、車輪の角度が変わる。これは、上画像オレンジのロッドを引き上げると、それにつながるリンクが引っ張られ、車軸についたアームを引っ張り、車軸を回転させる(スパホもレガホも基本の機構は同じ)。

 さらに、脚柱上下の角度、脚引込みヒンジの軸の角度、車軸折れ曲がりの回転面の角度なども不明で、実際に設計して動かしてみて推測する。それが下画像だ。いや、最近「ジョイント」なるワザを覚えたのでね。位置を揃えてるので、取り込んでスライドショーが面白いよ。



地上状態を真横から見たところ。


空中で荷重がゼロになった状態。「L」が「I」に近くなる。

「I」が途中まで戻った状態。脚収容時はこの角度になる。


引き込み途中。実機は引き込みながら、オレオが縮められるのかも。

上まで引き込まれた状態。車輪がはみ出している。


車軸を折り曲げ、タイヤがほぼ水平になる。これも実機は引き上げながら途中で曲がっていくのかも。

真後ろから。地上状態。


途中2コマ省略して引き込み途中。

上まで引き込まれた状態。


最終状態。


 これらの軸の角度や、各部材の寸法を解明するのに、試行錯誤すること何十回。これとて正解には程遠いが、大体の雰囲気はつかめたかな。細部は鋭意設計中。


■ 主脚 1/28追加

 当地もマンボウ発令で、久しぶりにテレワーク。いやあ、模型が進むなあ・・って、いいのか? さておき、主脚は細部を設計し、お試しプリント&修正も終了。以下、設計のあれこれ。

 機体接着部の形状、角度は、お試しと修正を繰り返して詰める。キットに合わせているので、実機とは軸角度を含めて違う。車輪内側ホイルのディテールは、詳細分からずかなりテキトー。この内側ホイルは、脚柱と一体出力することにして、見えにくい所でがっちりと補強する。タイヤと外側ホイルは別に出力する。脚柱下部には、中心に0.6mm真鍮線を通す設計。

 脚柱上部に斜めに取り付くロッド(脚出時に脚が内側にコケないようにつっぱる)は、一応一体でも出力できるが、別出力にした方がいいかな。脚柱上部前方の細いロッド(引込時に車軸を回転させる)は、非表示にて出力し、伸ばしランナーかなんかで再現すべし。「L」のジョイントは、画像では隙間が抜けているが、強度的に不安なので、間を埋める部材も設計してある。これも一体で出力することを推奨。濃くスミイレすればOKだろう。



細部設計終了。キットでは抜きの都合で再現されないヒンジ正面の造形がポイントだ。

後ろ側。この角度だと、内側ホイルと脚柱の間の補強が見える。なにしろ光硬化レジンはモロいので、実機通りだと不安。

出力して接着。コイル状部材も一応再現される。コイルの太さは0.2mm。ウォッシングが拭き取り不足。このあと拭き取る。

斜めのロッドは、脚ドアを取り付けると見えなくなるので、その前に撮影。

前脚も出力して塗装。着陸灯は、アルミ板をポンチで抜いて、100均の光硬化レジンを盛るが、クリアを塗ったら濁ってしまう。

1/72でここまで再現できれば十分でしょ。脚とアクチュエータのストラットにミラーフィニッシュを貼る。


 お持ち帰りファイルは、まとめて頁末尾に。


■ ハセガワ用脚パーツ

 私は安直にアカを素組みしたが、ハセが作りたいという方もおられるだろう。私としても、読者諸兄には是非ハセベースにしっかり作り込んだ作品をモノにしていただきたい。ということで、前脚および主脚をハセ適合型に改修する。ハセの脚庫は、前後ともアカより若干深い。そこを継ぎ足して、ハセの取り付け穴に適合させる。一応、お試しプリントして取り付け穴との勘合は確認してある。



前脚は付け根を延ばす。

主脚は基部が複雑なので、取付穴に合わせた基部を上に乗せる形。斜めロッドは若干延長し、角度をハセ穴に合わせる。



■ 最後の作業

 最後に、残る小物を取り付け、細部を塗装、汚しを追加。アウトレットの前方にある平行四辺形のパネルはスポイラーということを知り、可動に見えるような汚しを加える。垂直尾翼のライト、いわゆる翼端灯と同じと思い込んで左赤、右青で塗る。これ、アンチコリジョンライトだから両舷赤なのだね。後で気付いて塗り直し。←現用機無知をさらけ出す。



アンテナ、センサーはキットパーツ。ちょい厚めだが、こういうのはランナーにつけたままで薄く削る。

脚ドアを接着。スナップキットのための大げさな取付穴は切り取ってある。

平行四辺形のスポイラーを明示するため、マスクして周囲にウェザマスをこすりつける。

できあがり。ま、実機はこんな風には汚れてないけど。






■ 完成

 以上で完成。取り急ぎスマホで撮影。そのうちコンデジできちんと撮ろう。



F/A-18F Super Hornet (VFA-2 / CVW-2) embarked on USS Carl Vinson (CVN 70)





■ 映え塗り総括

 今作の主題は映え塗り。最後に総括しよう。まず「映え」てるかどうか。客観的評価は読者諸兄に任せるとして、自分的にはまずまず。「なんだ、やればできるじゃん」てなもんで。とにかく塗っていて楽しい。メリハリついて映えるからテンション上がるし、「実機縛り」がなく自由でお気楽なのも楽しい。新しい技法を試すこともできた。これらは将来きっと役に立ってくれるだろう。

 一方で、これが私の目指すスケールモデルかというと、やっぱりちょっと違うかな。何度もいうけど、実機はこんな風には汚れてない。それを横に置いてただ映えても、それはフィクションだよね(フィクションが悪いといっているのではないので念のため。私は目指さないというだけ)。これからも、たとえ映えなくとも、地道に真のリアルの道を追求しよう。




こんな風にちゃんとお掃除するから、基本的にキレイなのだ。


 そうは言いつつ、映え塗りは楽しかったので、またやりたいな。ハリアーII+あたり狙ってるのだが、デカールの入手が条件か。ハセのデカールは、さすがに使う気になれないのでねえ。あるいはトムいくか。


■ 完成写真 6/16追加

 トップガンの公開で世間はスパホ一色。そういや、まだちゃんとした撮影をしてないな。つうことでブームに便乗するのだ。コンデジを引っ張り出し、三脚と撮影用電球を使う。しかし、前回スマホでちゃちゃっと撮った方が「あざとく」て迫力あるんだよな。スマホのカメラって映えるように味付けされてるのかな? 片やコンデジは、被写体がありのままに写るんだね。



F/A-18F Super Hornet (VFA-2 / CVW-2) embarked on USS Carl Vinson (CVN 70)


















■ 3Dパーツファイルリスト

 お持ち帰りはこちらからどうぞ。例により、パーツ名称は閲覧のみ。ダウンロードは右から。閲覧ファイルと基本的には同じだが、タイムライン上の位置や表示の有無が異なり、出力に都合のよい形にしてある。


ヘッドアップディスプレイ  ファイルダウンロード

ヘッドアップディスプレイ(枠のみ)  ダウンロード

前脚柱(アカデミ) ファイルダウンロード

前脚柱(ハセガワ) ファイルダウンロード

前車輪(両社共通) ファイルダウンロード

主脚柱(アカデミ) ファイルダウンロード

主脚柱(ハセガワ) ファイルダウンロード

主車輪(両社共通) ファイルダウンロード




■ カットデータ

キャノピマスクカットデータsvgファイル


■ 参考サイト

 現用機の資料はWEBで十分かも。細部写真なら定番のここら。すまんがコピペしてくだされ。

http://www.primeportal.net/hangar/fa-18_home.htm

 塗装、マーキングについては、こちらが充実。大判で美しい写真が多数。上は拙作VFA-2、下はその上位のページで他飛行隊も見られる。

https://www.seaforces.org/usnair/VFA/Strike-Fighter-Squadron-2.htm
https://www.seaforces.org/usnair/wings.htm


■ 参考文献

 一応書籍も紹介しておく。レガホのみの文献もリストアップ。それでも手持ちは少ないなあ。現用機に対する愛が分かってしまう。このうちスパホがあるのは、文献-6,7,9,12,13,16-19で、あとはレガホのみ。


1 航空ファン イラストレイテッド No.87 マクダネル・ダグラス F/A-18 ホーネット 文林堂
2 航空ファン イラストレイテッド No.81 在日米空母航空団 CVW-5 文林堂
3 航空ファン イラストレイテッド No.102 空母キティホーク&CVW-5 文林堂
4 航空ファン別冊・エアコンバット No.18 湾岸戦争 文林堂
5 F/A-18 Hornet In Action aircraft no.136 Squadron/Signal Publications
6 F/A-18 Hornet In Action aircraft no.214 Squadron/Signal Publications
7 Walk Around F/A-18 Hornet Walk Around Number 18 Squadron/Signal Publications
8 Modern Military Aircraft 5 Hornet Squadron/Signal Publications
9 Combat Aircraft 46 Us Navy Hornet Units Of Operation Iraqi Freedom Part One Osprey
10 Combat Aircraft 56 Us Marine Corps And RAAF Hornet Units Of Operation Iraqi Freedom Osprey
11 Combat Aircraft 58 US Navy Hornet Units of Operation Iraqi Freedom Osprey
12 Desert Warpaint Osprey
13 Verlinden Lock On 15 F/A-18A/C & CF-18 Hornet Verlinden Publications
14 Boeing F/A-18 A/B/C/D Hornet DACO Publications
15 D&S Vol.45 FA-18 Hornet Aero Publishers
16 D&S Vol.69 F/A-18E & F/A-18F Super Hornet Aero Publishers
17 Warbird Tech 31 F/A-18 Hornet Specialty Press
18 Super Hornet Boeing's Multi-Mission Strike Fighter Key Publishing
19 Aeroguide 20 McDonnell Douglas F-18A Hornet Aeolus Publishing Ltd
20 Monografie Lotnicze 6 F/A-18 Hornet AJ-Press






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