ユンカース Ju 87 B-1 シュトゥーカ(エアフィックス1/72)製作記
2017.7.12初出
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塗装はStab II/StG 77のシャークマウス。ホークH81、スピ8との鮫三姉妹も、またこれ一興。当機、手持ち写真では脚より前しか分からない。 ところで、Stukaは一般にはスツーカと表記され、出版物ではこちらが主流。大昔に習わされた乏しい知識では発音はシュトゥーカに近い。つうことで、当頁ではシュトゥーカと呼ぶことにする。
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![]() 十の字にしてキャノピを乗せる。キットオリジナル状態。 |
![]() 後部胴体の側面と上下面が平たく、四隅が角ばっている。ドーサルフィン下部の胴体も角が立っている。 |
![]() 右舷のみざっと削り込む。国籍マークが描かれる付近はもう少し丸くてもいいかな。 |
![]() ドーサルフィンの下やフィレット付近は、丸刃の平刀を立てて削ると作業しやすい。 |
後部胴体断面形は、文献-20カゲロー本にB型の内部とされる写真があり、それをトレースしたのが下左。多分国籍マークのあたり。右はキットの単なるイメージなので正確ではない。悪しからず。D型も胴体の形状は同じ。 |
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カウル上部の左右非対称な左舷側は、えぐり取られたような形が不十分でさらに削り込む(青)。インテイク前方は、エンジンクランクケースの形に添って機軸平行な面となることに注意。写真はアングルにより後下がりに見えるけど、惑わされてはいけない。右舷側の土手(緑)はプラバンを貼って0.5mm内側に追い込み、倒立Vエンジンらしくカウル上部全体をとび箱形断面に削る(紫)。イメージはメッサーE型。翼型は、付け根付近で前縁カーブが緩く、実際以上に厚翼に見えるから、削り込む(橙)。スピナは気持ち尖り不足(黄)。これは1.5mm真鍮棒の軸を接着、ルータで回して先を少し削る。 |
![]() プチ美容整形ポイント。ベース画像は手術前。オイルクーラー・フラップは閉状態にしている。 |
![]() 胴体下面は、削り込んだ後部胴体につながるように、茶色部分を中心に削る。画像はキット素のまま。 |
![]() カウル上部は、インテイク前方部を切り下げ、開口部を下に1mm広げる。カウル接着後に切るという毎度の泥縄作業。 |
![]() 上記整形手術後。鼻筋のハイライトにも注目。風防は後述。 |
胴体整形で削り落とした小突起をプラ材で再生。消えたパネルラインはタミヤエッチングソー0.15mmで再生。主翼などの太いラインは、一皮むくように削る。世傑を見ながら足りないラインを追加。
再び木型を改修して絞り直す。今度はばっちり。改めてキャノピ全体形をチェックすると、断面形はOK。機銃手席の後上部がやや四角ばっている(下画像赤矢印)。もっと前方から緩やかに下っていくのが正解。パーツが厚ければ削って直せるけど、エア赤箱のクリアパーツって、ガラス窓部は意外と薄い。修正はスルーする。窓枠はダブルけがき針で彫る。一部の窓枠は内側にあり、これは内側からデカールか何かで表現することにしてスジボリなし。これは楽だ。 |
![]() 木型。ただし再改修前の状態。形はキットパーツを真似たんだけど。 |
![]() 操縦手スライドフード以降はキットを使用。枠を削ると下端が薄くなる。内側に0.2mmプラバンを接着して補強する。 |
![]() 改修後の風防はこんな形。スジボリも終了。これ以外の窓枠は内側からデカールで表現。赤矢は本文参照。 |
![]() コンパウンドで磨く。着陸灯はキットパーツ。1ピースだがライトに見える工夫が秀逸。ミラーフィニッシュを丸く切って貼る。 |
作品はもう少し進んでるけど、記事が追い付かず、今回はここまで。
脚柱部は、D型のイメージが染み付いているせいか、最初にキットを見たときは、随分太いなあと。でも、BとDの脚スパッツって、共通部分は全く無い。脚柱部の太さが正確に分かる写真はないけど、Dより太いのは間違いない。ということで作品はそのまま。 プロペラはかなりプア。B-1のブレードは確かに細いけど、これはないでしょ。プロペラは飛行機モデルの命。ここだけは是非とも修正したい。手近なところで、1/48のP-40Bのブレードをベースに削る。 |
![]() 左:上部を切り離し1mm前に移動。段差を瞬間+プラ粉で埋める。右:改修前。 |
![]() B-1独特の垢抜けない感じが出てくる。 |
![]() 特徴的なフラップ&エルロンは、強度とスケール感を向上させるため、接着部に0.4mm真鍮線をクランク状に曲げて埋め込む。 |
![]() ついでにフラップの境に切り込みを入れてフラップダウンに。これは取付精度の甘さを誤魔化す効果もある。 |
![]() 操作ロッドは0.5mm真鍮線。端部をペンチで平たくつぶす。マスバランスは0.4mm真鍮線に瞬間+プラ粉を盛る。 |
![]() キットパーツにファインのシートベルトをつける。後席はパーツをくり抜いて網目を再現(一部は延ばしランナー)。 |
![]() ベルトは秀逸。パイロットの腰ベルトは取付位置を座席内側にしたけど、間違い。一般的な外側が正解。勿体ないからそのまま。 |
![]() 計器盤はキットデカール。ダークグレイでドライブラシしてトーンを落とし、計器部にクリアを塗る。 |
![]() 左:キット。右:エア1/48のP-40B。これはこれで本来用途には使えない。中:右を削ったもの。 |
![]() このブレードは根元が結構太い。スピナの穴も広げる。 |
![]() タブ&ラダー操作ロッドはプラバンと延ばしランナーで。右舷側の穴は埋める。 |
![]() 後席キャノピにウルトラマンのトサカ。0.2mmプラバン細切りを流し込み系で接着。 |
![]() 以上で塗装直前。 |
![]() 後ろから。L字形の乗降ステップは真鍮線とプラバン。取付穴を開けたら、プラの厚みが0.5mm。ギリである。 |
翌年のBOB時の部隊マーキングは、機番号は無く、胴体に部隊コードS2+△〇(〇はStab II.がC、 4.がM、5.がN、6.がP、△の固有機レターは部隊色)、スパッツ前にも同じく部隊色で固有機レター、エンブレムがエンジンカウル後方横に描かれていた。 撮影時期のマーキングは、NG Decalsから1/48デカールが発売されており、鮫口機の製造登録コードはVK+ER (WNr.5076)となっている。その解説によれば、Eは確定、VKも同隊機と同じ(No8:VK+ES、No9:VK+EK)でかなり確か。一方でRは推測の域を出ないとのこと。上面は全面RLM70単色にリペイントとされる。なお、ポーランド侵攻時の部隊コードS2+ACも入っており、考証は、スピナはRLM70、スパッツに機番10、Aはフチなしの緑とされるが、鮫口の有無を含めて確証はなく、デカールの説明にも「貴方次第」と書かれている。 ということで、BOB時に鮫口がある可能性は極めて低い(ないという証拠もないけど)。ポーランド時も、希望観測的には「あり」としたいが、確度は低い。ということで、作品は写真撮影時の状態にする。製造コードRはデカールに従う。鉄壁の考証でないが仕方ない。もし違ってたら描き直せばよし。上面迷彩に関しては、通常の70/71と判断する。当機は他のB-1と比べて下面色との境界が下がっており、この部分のみ70もしくは70/71をスプレーしたように見える。2色が単色に見える例は枚挙に暇なく、デカールはこの箇所を見て全面リペイントと解釈したのでは?
キャノピはセロテープでマスクして木工ボンドで胴体に仮り止め。窓枠内側色に02を吹き(←正解かどうか知らんが)、サフを吹いて軽く研いで準備完了。下面から先に塗り、次に71、これをマスクして70。最後に70/71をマスクして上下塗り分け線を65で決める。 世傑No152の塗装図は、機首の塗り分けパターンが実機と異なるので注意。というか、上面と側面で辻褄が合っていない。また胴体の一部が主翼の陰で不明。主翼を略して胴体側面図としてくれた方がモデラーには嬉しいな。不詳箇所は、文献-11にある塗装規定図とB型実機写真(迷彩パターンが読めるもの)から確定する。その結果は下画像で。 |
![]() サフを吹いて表面を研いでから、RLM65ビン生を吹く。 |
![]() 水平尾翼とそのステーのみマスクしてRLM71。 |
![]() RLM70のためのマスク。メンドクサー。 |
![]() 70を吹いてから、上下の境界を65で決める。主翼下面を吹くと、エルロンフラップ上面に下面色が漏れるのでマスクする。 |
![]() カウル付近は赤矢印で示す頂点位置に注意。主翼付け根付近はこんな具合。 |
![]() スピナ直後の70の頂点はインテイクの縁あたりになる。その後方の頂点も既存塗装図は位置が違う。 |
迷彩終了後、段差と柚子肌をラプロスで軽く磨いてマーキング塗装に備える。窓のマスキングはまだ剥がしていない。セロテープだと塗料だけ剥がれるのだ(一部残ってるけど)。窓が透明になると気分のノリが違う。これもセロテープを愛用する理由。
補足。下面十字は135cm程度がB-1で多く見られるサイズ。上面はB-1の多数派はもう少し内側寄りのようだが、飛行中の鮫口機の写真ではちょっと違うような・・ B-2の頃は上面十字はさらに外寄り(十字内端がフラップ外端より約10cm?外側)、下面は大きくなり(150cm?)前寄りに。胴体の部隊コードは50cmが一般的。
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![]() R付近の塗り分けも要注意。左右上の辻褄が合ってない。実機写真からこんなもんか。 |
![]() ちょっとイレギュラーだけど私の目にはこの位置/サイズに見えるのだ。ちなみにシートはオラマスク810。 |
![]() 翼下面は、写真のEの位置と隣の十字(一部のみ写っている)との間隔からするとこんな感じか。Rの位置は同隊他機から推測。 |
![]() 尾翼のアレはラダーにかける。傾かないように周囲の正方形を正しい角度でマシンカットし、それを目安に貼る。 |
![]() 鮫口は、曲面追従性のよいカッティングフィルムを使う。マスキングテープを貼って、サインペンで鮫口を描いてトレースする。 |
![]() 翼下は下地が明色なのでGX1白を先に吹く。鮫口にも白。各色は、まず滲み防止にクリアを先に吹く。 |
![]() 歯をマスク。カットデータは、商品にするならもうちょい修正が必要かな。面倒なのでこのまま。 |
![]() 赤はRLM23のビン生。やっぱドイツ機なんで。黒は白20%混。迷彩がスケールエフェクト入りだから、生の黒だと浮いてしまう。 |
![]() どや!この落ち着いた配色。鉄十字の白もオラマスクでマスク&塗装。背後に隠し玉その2が・・近日アップ予定。ぱおーん。 |
![]() 下面はこのとおり。なお、ビン生のRLM65が少々暗く感じ、マーキング塗装前に白を混ぜてオーバースプレーしている。 |
ここで全体にフラットクリアを吹いてラプロス#6000で磨き、水溶きウェザマスでウォッシング。サテングロスの塗装面にウェザマスがいい具合に拭き残ってくれ、深みのある塗装面になる。白部分の汚れがやや目立つ。こういう所はラプロスで軽く擦って汚れを削り落とす。クリア層があるので、白塗料は削れない。これでようやくお楽しみインレタ貼り。以下画像で。 |
![]() 鮫の目、鼻の穴(?)、機番10、逆卍に白インレタを貼る。目は下地に黒を塗っておき、白部分のみインレタ。 |
![]() ちょいと白線が太かったなあ。データ作成時(黒)は感じなかったけど、白は膨張色だからかも。 |
![]() 右舷の10は貼り付けを失敗。いつもは予備を作っておくのだが、今回忘れて、仕方なくシートを切って塗装(データは同じ)。 |
![]() インレタ定着のため、フラットクリアを吹き、ラプロスで軽く磨く。 |
目が入ると、獰猛な鮫が急にオマヌケ顔になるね。ドイツ人のセンスって不思議。
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![]() 機銃の後半はタミヤ1/48AFVから。1.5倍オーバースケールだけど、何か? Revi12はプラ細工。 |
![]() キャノピ内側のフレームはグレイのカッティングシートの細切り。さらにロッドを延ばしランナーで追加。 |
![]() キャノピを接着。見づらいけど後席小窓の枠はデカール。塗装して切って貼る。面相筆のチッピングとエアブラシの排気汚れを少々。 |
![]() リベットラインを意識してチッピング。最後にフラットクリアで艶を整える。 |
![]() エアブレーキはキットパーツを薄く削り、キットのデカールを貼る。爆弾アームは延ばしランナー細工。色が不明。 |
![]() 沢山のラダーとタブの操作ロッドはプラ細工。水平尾翼ステーの下面は、下面色が多数。ただし暗色に見える機体もある。 |
エアB-2も近々発売される。ぜひ一作どうぞ。風防木型は、こんなんでよければ貸出可。希望の方はメールで。ただし表面は磨いてないので塩ビ、PETには使えない。 |
![]() II./St.G.77司令 Alfond Orthofer少佐乗機、 1939年、ドイツ、ブレスラウ=シェーンガルテン |
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1 | 新版 世界の傑作機 No.11 ユンカースJu87 スツーカ | 4-89319-008-3 | 文林堂 |
2 | 新版 世界の傑作機 No.152 ユンカース Ju87 スツーカ | 4-89319-212-4 | 文林堂 |
3 | 旧版 世界の傑作機 Ju 87 スツーカ | - | 文林堂 |
4 | エアロ・ディテール 11 ユンカースJu87D/G | 4-499-22634-1 | 大日本絵画 |
5 | Ju 87 Stuka In Action aircraft no.73 | 0-89747-175-X | Squadron/Signal Publications |
6 | Combat Aircraft 1 Junkers Ju 87 Stukageschwader 1937-41 | 1-85532-818-6 | Osprey Publishing |
7 | Combat Aircraft 6 Junkers Ju 87 In North Africa And The Mediterranean | 1-85532-722-8 | Osprey Publishing |
8 | Combat Aircraft 74 Junkers Ju 87 Stukageschwader of the Russian Front | 978-1-84603-308-7 | Osprey Publishing |
9 | Air Vanguard 15 Junkers Ju 87 Stuka | 978-1-4728-0120-3 | Osprey Publishing |
10 | Warpaint 3 Junkers Ju-87 Stuka | - | Hall Park Books |
11 | Ju 87 Stuka Volume One: Luftwaffe Ju 87 Dive-Bomber Units 1939-1941 | 978-1-903223-69-7 | Classic Publications |
12 | Stuka Volume Two: Luftwaffe Ju 87 Dive-Bomber Units 1942-1945 | 978-1-903223-70-3 | Classic Publications |
13 | Junkers Ju 87 Stuka | 1-86126-177-2 | Crowood |
14 | Luftwaffe at War 7 Stuka Spearhead The Lightning War from Poland to Dunkirk, 1939-1940 | 1-85367-329-3 | Greenhill Books |
15 | Luftwaffe at War 9 Stukas Over The Steppe The Blitzkreig in the East, 1941-1945 | 1-85367-355-2 | Greenhill Books |
16 | Luftwaffe at war 11 Stukas over the Mediterranean 1940-45 | 1-85367-376-5 | Greenhill Books |
17 | The Luftwaffe Profile Series No.5 Junkers Ju 87A | 0-88740-920-2 | Schiffer Publishing |
18 | Military History vol.77 Ju 87 Stuka | 0-88740-477-4 | Schiffer Publishing |
19 | Monografie Lotnicze 19 Ju 87 Stuka | 83-86208-22-8 | AJ-Press |
20 | Monografie 25 Junkers Ju 87 vol.1 | 83-60445-08-7 | Kagero Studio |
21 | Flugzeug Profile 8 Junkers Ju 87A Stuka | - | Flugzeug Publikations |
22 | ADC 005 Junkers Ju 87 Part 1 The Early Variants A,B,C and R of the Luftwaffe Dive Bomber | 3-935687-44-3 | AirDOC |
23 | ADC 009 Junkers Ju 87 Part 2 The D-Variant of the Luftwaffe Dive Bomber | 3-935687-48-5 | AirDOC |
24 | Ali Straniere in Italia 2 Gli Stuka Della Regia | - | La Bancarella Aeronautica |
25 | On Target Special 9 The Battle of Britain Comouflage & Markings 1940 | 97-81904-643364 | The aviation Workshop Publications |