メッサーシュミット Me262 A-1a エアフィックス1/72 製作記

2019.5.2初出


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■ はじめに 

 令和初日の更新とはならず、一日遅れ。隠し玉その2はコレ。幽霊と海怒の箸休めにいじってたのだ。製作途中で3Dプリンタを購入し、キャノピを3D木型のヒートプレスに置き換える。あとはキットのスジボリを細めたり、機銃口をシャープにしたり。

 外形に関しては、厳密にチェックしてないけど、キャノピ回り以外は気になるところはない。キャノピは例によって窓枠を削り落としたら2回りくらい小さくなり、風防正面窓の傾斜が立ちすぎ。スジボリは過不足があるので、セケツなど参考にすべし。



基本パーツ組み立て終了。ナセルと翼の合わせは悪い。瞬間+プラ粉を盛る。機銃口はテンプレート作ってスジボリ。

キットのキャノピの枠を削り落としたところ。風防のイメージがちょっと・・



■ 図面作成

 3D設計の前に、2Dの図面を描く。アウトラインイメージに直結するパーツなら、この手順は不可欠だ。実機写真を何枚かトレースして、胴体とキャノピの線を引く。胴体とキャノピのバランスが重要。




 ちなみに、実機写真と重ねるとこんな感じ。なお、フライアブルなレストア機(レプリカ??)は、キャノピラインが違っているものがあるので注意。これはないだろ、ってな違い具合だぞ。



側面形ではこの写真がベストではないかな。やや後方からの撮影。






■ 3Dデータ作成

 これ実は、プリンタ購入直後くらいに作成したもの。ロフトの扱いがよく分からなくて相当苦労。試行錯誤の繰り返しで、タイムラインの途中経過もぐちゃぐちゃ。結局、風防は、後端の断面を押し出して余分をカット。以降は機軸直交の断面をいくつか描いてロフトでつなぐ。途中で凹みが入るので、適宜レールを加える。これ、当初は窓枠の位置で断面図を描いてロフトしたけど、そんなの上手くいくわけない。出来上がり寸法で描いて、絞りパーツの厚み分だけ縮小する。



できあがり。

スケッチを表示。


 そして、3Dプリンタ出力までが、去年の秋頃の話。そこからしばらく熟成。


■ ヒートプレス

 静岡のお題の目途がついたところで、キャノピに取り掛かる。ヒートプレスに置き換える場合は、後方の金属部分も一体で抜いた方が、遠回りそうで実は楽。窓枠下辺の台形をキットの胴体に合わせて成形するのは、かなり難易度が高い。やってみれば、分かる。出来上がって実機写真と見比べると、正面窓の幅が少々狭い悪寒が・・・



0.3mm透明プラバンを絞る。レジンの色を見れば出力時期が分かる。この緑色は一番最初のやつ。

切り出してざっと整形。イメージ確認のため窓枠を鉛筆描き。キットのキャノピ後方金属部は切り飛ばす。

テープをガイドにエッチングソーでスジボリ。木型にはめて作業する。細い窓枠は、0.3mm間隔のダブル針で。

スジボリ終了。頂部の窓枠のスジボリは、隼II型と同じ手法。風防のイメージがちょい違うんだけど、このまま進める。


 補足。木型は厚さ1mm程度に出力。中にエポパテを詰める。キットのキャノピと胴体の分割ラインは、実機より1mmほど下にある。プラバンを貼って嵩上げ。あとは磨いて接着。機体を塗装してキットの小物をつけたら完成。マーキングは決めてある。インレタも作ってある。静岡に間に合うか??


■ お持ち帰りコーナー

 一応、データファイルをアップしておく。正面窓の幅が気になる向きは、センターで割って少し広げてくだされ。

Me262キャノピ木型 ファイルダウンロード


■ キャノピ接着 5/5追加

 静岡に間に合わせるべく、どんどん進める。コクピット内部をやっつけ、キャノピ接着。シートベルトにJu87の残りのナノアビを使おうと思ったら、引っ越しに紛れて行方不明。買いに行く時間が惜しいから鉛板で作る。



キャノピ後方金属部を切り飛ばした都合上、間仕切りをプラバンで追加する。形状は現物合わせ。

翼端灯をクリアー化。薄すぎて、ピンバイスによる電球表現ができない。

キャノピ接着。なお、シートはキットパーツ。ベルトは鉛板。照準器、T形フレームを追加。以上。

胴体との隙間をタミヤパテで埋める。セロテープでマスキング。燃料注入口をスジボリ。



■ 塗装考証

 塗&マは、ノヴォトニー隊の白4番機(W.Nr.110400)に決めてある。当機はRLM81/82/76の迷彩とされ、尾翼は型紙による特徴的な斑模様。この81/82の色調が問題。いろいろ悩んだ結果(考証協力うずまき氏)、初期のMe262における81は、後期とは色調が異なり青味がかなり強く、また82も後期よりやや青味が強い(82に関しては、もしかすると同じかも)、と考えるとスッキリする。その色調は、世傑115号の3~5ページにあるV303、V167と同じ。このカラー写真の上面色はかなり青く、茶色味は全く感じられないよね。尾翼塗装からみて白4番はこれらと製造時期が近く、同じ塗料と考える方が自然だ。



言葉だけでな何なので、画像を拝借。V303(W.Nr.170303)。


 一方、世傑折り込みカラー図白3番(W.Nr.500071)などの81/82は後期のもので、オリジナルカラー写真を見ても、81は茶色味が強い。82も前期よりやや明るく黄色味が強いかな。



某歩回本より画像を拝借。W.Nr.500071は後期の81/82。


 白4番のモノクロ写真では上面は一色のようにも見える。これはたぶん前期の81/82は明度差が小さいからだと思う。V303では、垂直尾翼の暗緑色は、胴体の81より暗く青い。明灰色も胴体の76より白っぽい。垂直尾翼は下請けで製造・塗装され、手近なペンキで塗ったのだろう。これが83なのか81のバリエーションなのか、別の何かなのか(70とか?)は分からないが、模型ではカラー写真を再現するだけ。



ええいっ、ついでじゃ。ノボトニー隊白4(W.Nr.110400)。



■ 調色

 ま、要するに、V303のカラー写真の色でモケイを塗るという単純な話。で、そのイメージで調色する。81は、クレオスC121RLM81とC15暗緑色(中島系)と同明度のグレイが2:1:1くらい。82はC122RLM82とC15が2:1に黒で明度調整。両色は試し塗りで少々暗く感じて、白少量追加。下面はC117RLM76のビン生。尾翼の暗緑色は自作81に黒を追加。尾翼の明灰はC117に白を混ぜる。左舷エンジンナセルには、正体不明の中間色がある。パネルごと交換した感じ。既存塗装図はグレイにしてる。これはC13ニュートラルグレイのビン生。



いつもの須比人君で試し塗り。右舷はビン生のクレオス81/82。機首は左舷ナセルのイメージで。



■ 塗装

 色が決まれば、あとは塗るだけ。いまいち写真のイメージに合致してないが、気にしないことにしよう。



サフ吹く。

迷彩色終了。翼上面は推測で公式パターンにする。ぼかしは全てフリーハンド。

黄帯は塗装。単身先にRLM04がなくて、自作オレンジイエローとジンクロイエローを1:1。

尾翼は面相筆手描き。銀(タミヤラッカー)とグレイも筆塗り。国籍マークと機番はインレタ。尾翼のアレは黒白の重ね貼り。


 コーションを貼ろうと思ったら、キットのデカールが行方不明。いくら探しても出てこない。たぶん掃除のときにゴミに紛れて捨てたんだろな。もしコーションが余ってる方がいたら、提供頂けると嬉しい。


■ ほぼ完成

 脚を取り付け、ウェザマスウオッシュして90%完成。もう少し汚しを追及したいし、小物もやっつけ仕事でやり直したいが、時間がない。この状態で静岡かなあ。途中の製作記事は後程。参考文献も後程。





 モノクロ変換してみる。う~ん、どうだか。81/82は模型に塗るにはもっとスケールエフェクト効かせて明るくすべきか。






■ 細部 5/19追加

 今回更新は、前回記事を端折った静岡前の作業。キットの前脚は、折れそうだしディテールもなんだしで自作する。脚柱本体は1.0mmアルミパイプ。アルミである必要はなく、たまたま直径が合うから。そこに0.5mm真鍮線を通し、オレオ部は0.8mm真鍮パイプを通す。フォークとタイヤはキットパーツで、真鍮線はタイヤまで串刺しにする。キットのタイヤにモールドはないが、当機もこのタイプ。脚柱の一段太い部分はマスキングテープ。瞬間で端を止める。鼻先が上がったMe262独特の駐機姿勢になるように、脚柱長さを慎重に決める。

 主脚は全てキットパーツ。正確度、モールドとも甘いけど、よく見えない箇所なのでスルー。当機のタイヤはたぶん亀甲形のトレッドあり。キットも一応モールドがあるが、パーティングラインを消す段階で消えるので、いっそツルツルにしてしまう。脚カバーは2枚が一体になってるけど、よく見えない場所なのでスルー。タイヤは、キットのままでは前から見て逆ハの字になる。平行になるように調整。

 ピトー管は0.5mm真鍮線の先を段差状に削る。機銃カバーの水滴状ブリスターは、初期生産型にはなし。おそらく当機もなし。機銃口は、ピンバイスで貫通、真鍮線を通しつつタミヤパテで補修、針ヤスリで整形。周囲の楕円形パッチは、キットのモールドを削り落とし、透明プラバンのテンプレートでスジボリ。

 前脚カバーの内側、前脚柱は世傑カラー写真よりRLM02グレイと判断。ホイルは黒。主車輪カバー(胴体中央の小さいやつ)の内側はRLM76のように見える。その他の塗色は不明で、既知部分からの類推。脚収容部は銀またはRLM02。歩回本の現存機だと、主脚収容部は、基本無塗装で部分的にRLM02で塗られたような感じ。生産時期によっても違うのだろう。



タイヤから脚取付部まで、0.5mm真鍮線を通す。フォークとタイヤの間の真鍮線は、完成後ほとんど目立たない。

塗装して機体に接着。ブレーキラインは0.3mm鉛線。

主脚部分は全てキットパーツ。台形の車輪カバーだけは交換しようかどうしようか・・・

前脚カバーもキット。こちらも交換したいな・・・


 ところで、キットのエンジンは、上から見てややハの字(後ろ広がり)なんだけど、実機って、どうなの?


■ 塗装、ウェザリング

 塗装して、インレタの国籍マークを貼ったら、81/82と76の境界線が違ってる。この類、気になりだすと気になるのだよ。タッチアップして修正しよう。インレタの上から直接マスキングテープを貼ると、持っていかれる恐れ。そこで、一旦フラットクリアを吹く。たまぐりリベットがあるなら埋まるからNGだが、スジボリだけなので大丈夫。ウェザリングは、ウェザマスのウォッシング。迷彩色より明るいスミイレは、シーフュリーで試して気に入ったので、今回も採用。



画像を拝借。十字の中央は暗色が大部分。

タミヤテープの細切りでマスク。多少誤差があっても、薄く吹くだけなので、大丈夫。

修正後。境界のモヤモヤ感も修正。背中のループアンテナは0.2×0.5mmの洋白帯金。

使うウェザマスはこの木甲板(Deck Tan)。


 以上が静岡前の状態。その後の追加作業は次回で。


■ ETC50ラック

 ETCラックって、オートバックスあたりで売ってそうだね。さて、Ju87用にETCラックを3Dプリントする。記録写真では、主翼の陰で詳細不明だが、幸いネットに現存品の写真がある。併せてマニュアルの図をベースにモデリング。一部は推測。



前方(右側)のアームは90°スイングする。一応両方モデリング。こういうのは簡単。

出力してチャコールグレイで塗る。切れは甘いが、それなりにディテールも再現される。そもそも1cm程度の部品だし。


ETCラック ファイルダウンロード


■ 完成 6/2追加

 静岡後に未完部分をやっつける。以下画像で。



コーションデカールは、未だ行方不明。別の方法に切り替える。白と黄色のベタデカールを、三角に切る。

重ね貼りで三角目玉焼き出来上がり。機銃アクセスドア下の白四角もデカール。

主翼のウォークウェイは作り置きのインレタ。1/48を意図したものなのでオーバーサイズ。面相筆チッピングも加える。

ナセルの小エアインテイクは0.5mmプラバン工作。面相筆で塗装する。ナセルの赤丸はインレタ。

前脚ドアは0.3mmプラバンの2枚重ね。穴を先に開けてから周囲を切り取る。

塗装して取り付ける。

主車輪ドアも、いつもの写真撮影のアングルでは見えるので、キットパーツをベースに作り直す。これは改修前。 。

プラバンや延ばしランナーのリブを追加する

胴体下面のモラーヌアンテナは、0.2mm真鍮板をハサミで切り抜き、0.2mmプラバンを貼る。ちょい太過ぎるな。

アンテナ線が問題。キャノピに穴を貫通させられないから、バイスで凹みを彫ってナイロン糸を瞬間で点止め。


 補足。チッピングはミディアムシーグレイからエクストラダークシーグレイまで3種類くらいのグレイを使い、場所により使い分ける。最も明るい箇所は銀。アンテナ線は、垂直尾翼上端にナイフで機軸方向の切込みを入れ、そこに糸を挟んで瞬間で止める。テンションはかけられず、接着後にドライヤーで糸を収縮させる。

 以上で完成。写真はシーフュリーと併せて後ほど撮影予定。


■ 完成写真 9/10追加

 完成後、早3カ月。夏休みの宿題なのに、学校始まっちゃったよ。ナイロン糸のアンテナは、湿気で弛んできたので0.08mmの極細テグスに張り替える。大昔に買って、あと残り少ないけど、近年このタイプは売ってない。困ったなあ。

 完成品の写真と実機写真を比べる。製作中は機首が若干細いかな?と思ってたけど、ほとんどピッタリ。自作のキャノピもアウトラインはばっちり(実機写真を基に3D設計したのだからアタリマエ)。でも、窓枠の位置がズレてるな・・ 反省。また、キットの垂直尾翼は、やや小振り。あと、エンジンナセルがやや細い気がするが、遠近法の影響が出やすい部分なので確証いまいち。

 本作品は通説とは異なる(?)RLM81/82の色調の解釈が一つの売りなんだけど、改めて根拠のオリジナルカラー写真と見比べると、暗い方の緑の色調が違うな。写真はもっと暗い。ただ、もしかすると、この暗い緑はRLM81ではなく別の色(例えば70とか)で、81/82の上から斑点状にオーバースプレーされた可能性もあるのでは? 





























 さて、改めて眺めると、当時の技術水準を超越し現在にも通用する革新的デザインと、旧来の延長線上の保守的デザインとの融合が 極めて興味深い。主尾翼は先進の後退翼。最新のエアライナーと同じ翼下搭載のエンジン(どちらも現代のジェット戦闘機と違い、相対的にエンジンが非力という点は考慮に値する)。一方で、胴体は以前の設計思想の踏襲。つまり、同社Bf109の後方視界を確保し、エンジンに代え機銃装備、燃料と下方視界のためのオムスビ断面に変更しただけ。水平尾翼配置も109と同じだ。




■ 参考文献

 新版世傑115号は、実機の細部や型式の違いなど詳しく解説されている。これが日本語で読めるなんて。必携。一つだけ偵察型のカメラについて重箱の隅。左右のカメラで一部重なるように撮影したのでは、立体的に見えない。カメラは1台でもよいのだが、一部重なるように時間差で撮影する(飛んでいるから撮影位置がズレる)ことで立体視できる。

 文献-8は、ノボトニー隊白4の左右両舷の写真とカラー図がある。文献-11のモノグラム本は、相当古いが、RLM81/82のカラーチップは3パターンが示され、その中には拙作のような緑系もある。モノ本、奥が深い。


1 新版 世界の傑作機 No.115 メッサーシュミットMe262 978-4893191366 文林堂
2 新版 世界の傑作機 No.2 メッサーシュミットMe262 - 文林堂
3 旧版 世界の傑作機 No.17 メッサーシュミットMe262 1971年4月 - 文林堂
4 Messerschmitt Me 262 Walk Around No.42 0-89747-500-3 Squadron/Signal Publications
5 Messerschmitt Me 262 1-86126-078-4 Crowood Press
6 Warbird Tech Volume 6 Messerschmitt Me 262 Sturmvogel 0-933424-69-8 Specialty Press
7-1 Combat Aircraft 83 Me 262 Bomber And Reconnaissance Units 978-1-78096-872-8 Osprey
7-2 Aviation Elite Uunits 29 Jagdgeschwader 7 'Nowotny' 978-1-84603-320-9 Osprey
7-3 Aircraft of the Aces 17 German Jet Aces of World War 2 1-85532-634-5 Osprey
7-4 Aircraft of the Aces 101 Luftwaffe Viermot Aces 1942-45 978-1-84908-438-3 Osprey
8 Jagdwaffe V5 Sec4 Jet Fighters And Rocket Interceptors 1944-1945 978-1-903223-52-9 Classic
9 Yellow Series 6105 Messerschmitt Me 262A Schwalbe 83-916327-3-3 Mushroom
10 Monogram Close-Up 17 Me262 A-1 - Monogram
11 The Official Monogram Painting Guide To German Aircraft 1935-1945 - Monogram
12 Monografie Lotnicze 30 Me 262 Schwalbe cz.1 83-86209-48-1 AJ-Press
13 Monografie Lotnicze 31 Me 262 Schwalbe cz.2 83-86209-60-0 AJ-Press
14-1 Miniatury Lotnicze 3 JG 7 Nowotny 83-89088-01-0 Kagero
14-2 Miriatury Lotnicze 18 Me 262 in combat 83-89088-70-3 Kagero
14-3 Miniatury Lotnicze 33 Me262 Units 83-89088-58-4 Kagero
14-4 Bitwy Lotnicze 03 Me262 978-83-60445-30-3 Kagero
15 Messerschmitt Me 262 Development Testing Production 0-88740-516-9 Schiffer
16 Messerschmitt Me 262 Arrow To The Future 0-88740-665-3 Schiffer
17 The Luftwaffe Profile Series No.1 Messerschmitt Me 262 0-88740-820-6 Schiffer
17 Luftvaffe At War 10 German Jets 1944-1945 1-85367-356-0 Greenhill



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