リパブリック P-47M 1/72 タミヤ 製作記
2024.1.22初出
|
計器盤は、D-25とはやや異なる。スロットルレバーは棒状。照準器はK-14だ。プリントが厄介なレバーやロッドは確信犯で省略。 |
右舷。無線機関係と酸素レギュレータがキットとの大きな違い。 |
スムーズな床は、D-25以降の全てのバブルトップに共通なので、普通にキットを組む方もぜひ交換されたし。左右側壁も、キットは初期のレイザーバックを模したものなので、3DPの方が実機に近いぞ。一応、キットパーツと互換するようにしてある。計器盤はキットを使うといいだろう。Fusion360ができる方は、タイムラインを遡って設計変更するもよし。 お試しプリントしたら、組んでみたくなる。この頃のコクピット内部はダルダークグリーン。これはレイザーバックの後期から導入された(←私は無塗装導入の頃と考えている)。調色は、以前1/32レイザーバックD-21で作ったもの(C15濃緑色、C65インディブルー、C62白を2:3:1)にC13ニュートラルグレイを3割程度加える。 |
計器盤のメーターには、いつものようにフューチャーを垂らす。ガンサイトの支持架のみ計器盤と一体出力。 |
ダルダークグリーンはスケールを考慮して明るめに調色。赤、白などの色味はかなりの部分がフィクション。悪しからず。 |
ドーサルフィンは、ロフトでちゃちゃっと作る。垂直尾翼前縁より前方と後方の2つに分けるが、分けた部分の境目にクビレが出来てしまう。解消しようとロフトの断面を増やそうにも、ロフト君が言うことをきいてくれない。結局シンプルに作ったやつがベスト。クビレはあとでパテか何かで埋める算段。どうせ垂直尾翼付近の合わせにはパテが必要だし。 |
前方側は3断面でシンプルにロフト。先端のフィン部分の断面はほとんど点に近い。最先端は回転で作る。 |
後方側もロフト。最前方の断面は共通(あたりまえ)。以降の断面は、尾翼前縁のカーブに沿うように形状を試行錯誤で詰める。 |
できあがり。キットの垂直尾翼(実機より厚い)に合わせたものと、実機どおりの厚さと2種類作る。 |
キットの胴体に合わせる。分割の都合上、キットのフィレット部との境にはパテが必要となる。 |
補足。もっと単純にするなら、垂直尾翼前縁より前方の部分だけとして、あとはパテで処理するという手もある。その方が、胴体の合わせが楽かも。ロフトのガイドレールは、ロフトで作った胴体とフィンの平面形の交差。
主翼は、M型と違う部分のみ改造し、あとはキットなりにストレートに組む。改造箇所は、脚庫後方の着陸灯を埋め、左翼端に新たに新設。これはウェーブの2.5mmレンズ(F4U-5Nの照準器で使ったやつ)を使う。ダイブフラップは後で付ける。 |
ドーサルフィン接着。垂直尾翼との境のくびれにタミヤパテを盛る。 |
D-28以前の着陸灯(赤)を埋め、新たに設置(青)。内側にアルミを仕込んだが、瞬間が流れて曇ってしまう。残念。 |
翼端灯はキットパーツ。0.4mmの穴を開け、クリアーレッドを流し込む。翼側の断面をジンクロに塗っておく。 |
オイルクーラーアウトレットは3DP。タンク振れ止めはキット。パーツ接着部は面倒なので整形せず、タンクで隠す算段。 |
キットは、独特のねじり下げが再現されず、後ろから見た後縁のカーブがちょっと違う(実機がどうだかは図面を見てね)。 |
またキットは、矢印付近の凹み感が無い。今回はあえて修正せず。 |
続いて機首まわり。カウルはキットパーツ。内部のダクトの仕切りは3DPに置き換える。エンジンとプロペラはD型とは異なる。当然3DPに交換。 |
3DPのR-2800 Cシリーズエンジン。丁寧に塗り分ける。ピンボケ失礼。 |
カウル内部のダクト部分を3DPに置き換える。 |
カウル内側を8銀で塗装し、エンジンを組み込む。このギアケースがCシリーズエンジンの特徴。 |
プロペラも出力。しかしペラを組み込むとエンジンはほとんど見えない。 |
余計な修正工作をしないし、3DPはすでに設計済みなので、組み立ては早い。もう塗装直前。風防も接着する。後縁が厚いので斜めに削って薄くする。 |
風防接着。後のマスキングのため、窓枠をスジボリしておく。 |
士の字。実機より、ちょっとおデブ。 |
ペラ先端のマッハ数は1を超えているのだね。このときの先端での気流の角度(下図θ1)を計算してみると、F8Fでは38°、P51Hでは40°となる。それに適当な迎え角を加えると、ペラ先端の角度となる。25%スパンでの角度差はは34°となる。 |
再掲。vが飛行速度、wはプロペラ先端の回転方向の速度。 |
次に、F8Fの離陸時について考える。離陸速度は不明なので、P-47の着陸速度程度の160km/hでフルパワーの1260rpmで計算するとθ=10°となり、最高速度時との角度差は32°となる。 また、別情報に、P-47のプロペラブレードの「ピッチレンジ」が示されており、例えばトゥースピックでは28.0-58.0、パドルブレードでは18.5-53.5となっている。このピッチレンジが何を指すのかは記述がなく、想像するに、離陸時と最大速度(あるいは巡行時、あるいはフェザリング時)でのピッチの可変範囲ではなかろうか。 これは、上述の10°から38°とは少々ズレがあるが、ネットで失速時の迎え角(失速角)を調べると、20°あたりのようなので、これに20を足してやると、ピッチレンジの数字に合ってくる。以上あくまで推測。情報求む。 さらに、スピットIXのジャブロロートルブレードの製造図を頂き、ペラのねじれ角度が判明。先端と根元(95%および21%スパン)では34.0°のねじれがついている。今回私が設計したブレードで、同じスパンでのねじれを計算すると34.4°。いい線いっているのでは? ちなみに、ロートル社は、ロールスロイスとブリストルの共同で設立された会社で、ロートルは両社の名前の先頭と末尾から取ったものとか。
しかし、いざ塗装となると考証が悩ましい。というのは、塗装図によって迷彩パターンが違うのだ。実機写真から判明するのは、左舷胴体、左水平尾翼と左翼付け根の一部のみ。そこで、同隊機の写真を可能な限り集め、そこから当機のパターンを類推する。 ダークブルーとライトブルーの迷彩は、機体によって多少のバラツキはあるものの、概ね一定のパターンに従っている。だから、他機から類推してよいかと。で、右舷胴体は、ほぼ左舷と対称。右翼上面は、ライトブルーのパートが2つ。ただし右翼端にダークブルーがあるかどうかは不明。水平尾翼は、左右とも中央にライトブルーの帯が入る。 左翼上面のインシグニアは、やたらでかい。本機は無塗装で工場を出て、部隊で迷彩塗装された。上面インシグニアは新たに描かれ、その際に巨大化したわけだ。問題はその寸法で、55"サイズなのか60"サイズなのか悩ましい。他FSの写真も見比べて、60"の方が可能性が高いかな。 レターに黒フチがつくかどうかも、悩ましいところ。別売りデカールは「あり」が多数。写真では、他機を含めライトブルーとの境には細線があるようにも見えるから、フチありとしておく。 |
ボストウィック少佐機の全体像。左翼端の上面は、光ってインシグニアも見えないから、迷彩パターンも分からない。 |
同機とボストウィック少佐本人。左翼付け根の迷彩パターンや、「U」とパネルラインの位置関係が分かる。黒フチはようわからん。 |
右翼上面のパターンは、この写真を参考にする。右水平尾翼も分かる。胴体迷彩パターンは左舷と同じ傾向。 |
上面インシグニアの円が主翼前縁直後まで迫っている。主翼前縁は塗り残しの無塗装。機首の無塗装範囲も分かる。 |
その他の考証について。右翼下面のインシグニアは、工場記入の40"サイズ。左翼下面には「なし」が写真で確認できる。主翼と水平尾翼前縁上面は無塗装の塗り残し。レターUN-Zも塗り残しの銀色。Zの書体は後方に向かってテーパーしている。56FGの迷彩M型は、コクピットのフチがフレームの形に塗り残されている場合が多いが、当機はしっかり塗られている。 ちなみに63FSにした理由は、63FSのグリーン/グレイ迷彩はハセ1/48で似たのをやってるし、61FSの黒一色は、模型的にオモチャっぽく見えがちで、逆に塗装表現の難易度が高いから。結果的に、今作っているコルセア5Nと色味がカブってるんだけど、狙ったわけではなく全くの偶然。
ラダーはGX5スージーブルーとC13が1:2程度。グレイの方が多い。機首の赤は、1/32のP-47Dの機首に塗った赤(フィニッシャーズのピュアレッドとC327が半々にC113少量だが、出来上がりはGX3赤に近いかな)とC113 RLM23を半々にC333を微量。出来上がりは、やや暗く渋い赤である。 無塗装銀は、レイザーバックの無塗装部分と同じ。ベースにSM206クロームシルバーを吹いた上からC8銀のドライブラシ。そのあとクリアでコート。部分的にパネルのドライブラシの方向や密度を変えて、トーンを変化させる。プロペラブレードは白20%の黒、ハブはタミヤのフラットシルバー、スピナは機体と同じ、黄色は自作オレンジイエロー。
|
レイザーバック製作記の再掲。この出っ張りを手切りするのが面倒で、つい機械に頼ってしまう。←腕が落ちるぞ。 |
プロペラを出力して組み立て。ブレード軸には真鍮線を刺して強度確保。表面をサンディング。 |
|
SM206を吹いて8銀をドライブラシ。翼は前後方向、胴体は上下方向に。銃弾倉下のパネルは、マスクして横方向にドライブラシ。 |
脚庫のジンクロを塗る。補助排気管後方のパネルは8銀+黒でエアブラシ。フラップ後半は、極薄のクリア+黒を吹く。 |
脚カバーも塗装。8銀ドライブラシはまだなので、ギラギラしている。ジンクロはC351にC526茶色を少量加える。 |
キャノピとドロップタンクも同様に。こちらはドライブラシしてクリアを吹いた状態。 |
レターは無塗装銀なので、シートでマスクする。インシグニアのマスクは、迷彩の位置の目安が主目的。 |
下面との境界をMrペタリでマスクして、ライトブルーをエアブラシ。パネルラインに軽くシェーディング。 |
ダークブルーとの境界もペタリ。 |
ダークブルーを吹き、ボケ足を両色のエアブラシ細吹きで仕上げる。マスクはがしてクリア吹いてラプロスで磨く。 |
インシグニアブルーとラダーのミディアムブルーのためのマスク。 |
ラダー、インシグニアブルー、機首の赤と黒(C92+白20%)を塗装。プロペラも塗装。 |
で、いざ塗り終わってみると、主翼の迷彩パターンが自分的にしっくりこないのだな。塗り直しは、さほど大変ではないから、塗り直そうか、どうしようか。ま、所詮実機がどうだか分からないので、気分の問題といえばそれまで。
|
うむ、この方が「らしい」気がする。でも、改めて既存塗装図や作例など見ると、このパターンもあったな。←早く気づけよ。 |
上の画像は、迷彩とインシグニアが完全に同じ色。しかし、微妙に色調が違って見える。これ、インシグニア周囲のライトブルーや白星による目の錯覚。嘘だと思うなら、インシグニア左上の迷彩に重なる部分を拡大されたし。人間の目って面白いね。だから実機カラー写真も違って見えたのかな? |
では、作業。ライトブルーを吹いて、マスキング。今回は平面なので紙で。Mrペタリで浮かせる。 |
ダークブルーを吹き、インシグニアの白のためのマスキング。 |
修正含め、基本塗装終了。フラップの赤は機首と同じもの。胴体インシグニアの白部分はインレタの予定。 |
下面の白は上面同様にマスクして塗装。ちょっとコケたけど、下面なのでそのまま。 |
ここまできたら、インシグニアも迷彩色と同じにしたかったけど、やっぱ面倒なのでスルー。いやしかし、最初から塗装図を描いていれば、事前に違和感に気付いてたのになあ・・
|
今回の図面の売りは、プロペラ正面図(赤)と展開図(青)かな。ペラ正面図は、3dpの正面投影。展開図は、3dpのブレードを輪切りにして、それぞれの部分が正面を向くよう回転させて外形をトレースしたもの。展開図を切り抜いて、模型のペラに貼り付け、修正作業の目安にでもしてくだされ。正面図と同様に、3dpからブレード側面形も描けるので、これまでの側面図、平面図に描き加える。 |
3dのカーチスパドルブレード。背景のグリッドの青線が正面方向(左下が前)。この方向から見た画像が正面図となる。 |
輪切りパーツを正面向きに回転させた図。この正面形が展開図となる。正面から見ると、ギザギザもほとんどスムーズ。 |
|
まず、インタークーラーアウトレットのドアとダクト内の白をマスクして塗装。 |
インレタの星と袖を貼る。データ作成ミスで、ダクトとの隙間があるので、このあとタッチアップする。 |
シリアルもインレタ。正しくはラダーと同色なのだが・・ まあ気にしないことにしよう。 |
スコアマークもインレタ。コクピット後方の色は不明。思い込みでODに塗っておく。 |
コクピット後方について。もし、キャノピをつけたまま迷彩塗装したのであれば、工場出荷時のODが残るはず。キャノピを外して迷彩塗装したのであれば、迷彩色の可能性。前者であれば、62FSのM型のようにコクピットのフチに三日月形の無塗装部が残るが、そこは、後から刷毛か何かでタッチアップしたと妄想。
|
これにて、予定のP-47図面は終了・・かな。図面プロジェクトは次の機体に着手済み。日本機だ。近日アップ予定。
|
カルトグラフ製透明デカールに転写。余白は切る。貼り付け翌日、セミグロスクリア。 |
|
タイヤは十字ブロックパターンにする。実機がどうかは知らん。ホイルが浮いてるな(未接着)。 |
ドロップタンクはキットパーツ。取り付け角度に注意する。 |
機銃スリーブは、さかつうの0.8mmステンレスパイプ。 |
アンテナ柱は真鍮棒削り出し。キャノピのフチを黒で塗る。コクピットのフチに、延しランナーでレールを表現。 |
|
これにて、P-47図面シリーズは本当に終了。新規図面プロジェクトに本腰入れるか。
K-14ジャイロガンサイトは3DP。コクピットと一緒に設計・出力済み。投影ガラス、遮光フィルタ、バイザーは、インレタのネガフィルム。別売りエッチング計器盤によくあるメーターのフィルムと同じ素材(←たぶん)。これらは、横から見ると直角三角形をしている。3枚のフィルムをメタルプライマーを使って接着。バイザーはフィルムの黒い部分を使うが、さらに艶消し黒を塗っておく。両サイドの三角形部分にも塗っておく。 コクピットへの取り付け方法は、ちゃんと考えておかないと後で苦労するのが分かっているから、対策済み。計器盤と一体の支持架には穴をあけてある。そこに照準器の底のピンを刺す方式。素材はともにレジンなので、木工ボンドで接着。強度は不要だからこれでいいのだ。乾くと透明になるし。 |
プロペラブレードに手持ちストックのデカールを貼る。カーチスマークは省略。←ヲイ |
3DPのガンサイト本体に、3枚のフィルムを接着。接着剤はメタルプライマー。サイズがサイズなので、大変。 |
支持架の穴に照準器の底のピン(右上画像でピンセットでつまんでいる部分)を刺す算段。画像は再掲。 |
難なく取り付け終了。苦労したガラス関係はよく見えないなあ。 |
ウェザリングはスミイレ程度。迷彩が暗色なので、ウェザマスの木甲板+サビ+ススで明るめに調合する。普段こういう仕上げはあまりしないが、たまにはいい。あとは主翼付け根に面相筆のチッピング。パネルラインのシェーディングはほとんどなし。乾いた筆でウェザマスのススやサビをこすりつけるだけ。 最後に、アンテナ線を取り付ける。画像ないけど。手順はいつもどおり。0.08mmのナイロンテグスをマッキーで黒く塗り、尾翼と胴体に穴をあけ、伸ばしランナーを斜めに切って瞬間つけて穴に押し込む。尾脚は3DPを用意したけど、面倒なのでキットパーツ。気が向いたら交換しよう。
スジボリも基本的にキットのまま。ただし、一旦全てのラインをエッチングソーやケガキ貼りでさらって深くしている。迷彩とマーキングを塗装し、セミグロスクリアを吹いた段階で、ラプロス#6000で全体を磨き、柚子肌を均す。インレタ後のフラットクリアは吹きっぱなし。ただし、柚子肌にならぬよう、極薄に希釈する。無塗装銀部分はクリアを吹いて艶ありにして、迷彩部分と対比させる。 |
完成! ブルー2色の迷彩は、新鮮味があって割と気に入っている。各色の色味は思いどおりで満足。インシグニアと迷彩の紺は同じ色かもしれない。が、違っていてもそれはそれでよし。 |
基本形状には手を加えず、徹底改修のレイザーバックと対比させる、というコンセプトなのだが、そのおかげでサクッとキレよく仕上がってくれる。 |
エンジンはほとんど見えない。残念。3DPの脚は、さすがの情報量で、作品を締めてくれる。ドロップタンクの角度、高さに注意。 |
3DPのコクピットを見せたいから、キャノピはオープン。内部はダルダークグリーン。風防、キャノピのエッジは、斜めに削って黒く塗っておくと目立たない。コクピットのフチは延ばしランナーで厚みを誤魔化す。 |
|