P-51D マスタング(タミヤ1/32)製作記その1
2012.6.22初出
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野馬か駿馬か
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はじめに |
製作コンセプトは、ずばり「アルミ」。これだけ出来のいいキットだと、誰が作っても同じで、そこを差別化するならばアルミしかない。というか、このキットにアルミを貼った姿を、単純に見てみたいのだ。仕上がりは、F-86よりさらにピカピカにするつもり。大戦中の前線基地にある機体を忠実に再現するのではなく、ノースアメリカンの工場出たて、あるいは戦後のエアショーのような実機感を狙う。 あとは、よく出来たキットなので、手を加える必要もないだろう。キットの「売り」はカウリングの脱着式パネル。とりあえずキットどおりの脱着を目指すが、アルミを貼って段差隙間なくできるか、やってみないと分からない。だめなら外形重視で固定とするかも。 もう1つ。私は毎回技術的な課題を設定することにしている。前作は可動、その前はアルミ。今回も新たなネタを考えている。お楽しみに。
私の個人的好みでは、「こうしてくれると、もっといいのに」という箇所はある。当ページでも今後指摘すると思うが、あくまで好みの問題だし、多分私の好みはモデラーの平均値から外れてるので、メーカーに対するクレームではないから誤解なきよう。 造形村のP-51については、コンセプトが若干違うので、そこはモデラーが選べばいいのだが、外形についていえば、あえて造形村を選ぶメリットはないと思う。とにかく勿体ないの一言。1/32の穴ってまだまだ沢山あるのにね。ヘルキャットとか。とはいえ、一部の別売りディテール・アップ・パーツには密かに期待・・・ |
組み立て |
シリコン型はいつもの信越化学のKE-14を使用。注型する樹脂には、今回クリスタル・レジンなるものを使ってみる。透明エポキシ樹脂だ。硬化後にも弾力があるのが難点だが、工作のための台として使う分には問題ない。 |
日新レジンのクリスタルレジン。東急ハンズで2850円。 |
できあがり。絞りには外形のコピー、接着〜表面仕上げにはキットパーツの内側にはまる台と、2種類の複製品を作る。 |
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左右2分割で成形。マーリンのシリンダーヘッドをクリアする微妙なカーブもタミヤ任せなので、ある意味すごく「楽」。 |
下側も成形。コツを思い出してきたぞ。手前は成形に使うレジン型。 |
ともかく、形が絞れたら接着。レジン型に接着剤がつかないようにラップでくるみ、キットのカウルパーツを被せ、エポキシ接着剤を塗ってアルミ板を乗せる。セロテープで固定してウレタンフォームを乗せてセロテープで縛り付ける。硬化後はがしてみると・・・見事にアルミ板がズレている。硬化するまでの間にキットパーツが動いたようだ。アルミ板の成形が不完全だったか。ということで、パーツ請求してやり直し。先は長い。 機首は塗装するので、スピナと直後のインテイクリップのパーツにはアルミを貼らないつもり。となると、アルミを貼ったカウルパネルと段差が生じるが、それは想定内。接着後の曲げと摺り合わせで何とかなるかな?と見切り発車するが、いざ貼ってみると下側カウルは曲げではインテイクとの段差が解消せず、キットパーツ自体をひと周り小さくしておく必要があることが分かる。どっちにしたってパーツ請求だわ。 |
接着終了。左の2つは表面をざっとサンディング。しかし・・・ |
上側カウル前端に隙間がががが。下側カウルとリップのパーツには段差。 |
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ガイドとして0.3mmプラバンの小片を接着しておく。これでズレなし。 |
下側カウルもやりなおし。接着剤が固まるまでウレタンで圧着中。 |
並行して、胴体。F-86では左右パーツ接着後に貼ったが、P-51の場合、コクピットの開口部が大きく、圧着で歪む。そこで、歪みそうな場所は左右接着前に貼っておき、コクピットを組み込んでパーツ接合後に残りを貼るという作戦。 |
こんな具合に表裏から挟んでクランプ。下は接着前の状況。 |
現在の進捗状況。ここまで貼れば、胴体左右を接着できる。風防前などは接着後でないと貼れない。 |
まずタミヤインストでは、側壁はタミヤ指定の変な黄緑、床は黒。参考文献-14ウォークアラウンドでは、側壁も床もインテリア・グリーン611(FS34151)との記述。一方で-6のエアロディテールや-14の実機カラー写真では側壁はインテリア・グリーンらしき黄緑の上に乱雑に黒を塗ってあり、床は黒で一部に下の木部が出ている。このコクピットは当時の状態との記述(-6)。聞きかじりだが、WW2当時第8空軍ではコクピット内部を黒に塗装する通達が出され(←時期など詳細情報求む)、現地で側壁や床を黒に塗ったとか(代用でODもあり?)。上記カラー写真はそんな感じ。 別のモノクロ写真は、当時のマニュアル類からの転載と思われるが、側壁等はインテリア・グリーン相当の明度、床は黒相当の明度だ。文献-17のD&S part-2では、「後期D型のファクトリー・スタンダードに忠実にレストアされた」として、側壁はグリーン、床は無塗装の茶色。 いやはや、これだけ資料によって差があると、どれを信じるべきか悩ましいところだ。 IPMSストックホルムに米軍機の機体内部塗装について解説したページがある。ここから関連する部分を引用する。なお、私は他人の書いたものは信用しない主義。真偽の判断は読者にお任せする。 『当初は英国のスペックに従い、マスタングMk.IはRAF公式塗料の代用品で塗装された。B型になり、コクピットはダル・ダーク・グリーンで塗装されたようである。1944年6月のリペア・マニュアルではコクピットはインテリア・グリーンとの指示。同マニュアルでは、パイロット・シートとアンチグレア(風防内側)がダル・ダーク・グリーンとなっているが、その色は使われていないようだ。ブロンズ・グリーンで塗られたP-51のシートがあったという調査もある。 P-51D組立・メンテナンス・インストラクションでは、床の合板部分はは珪砂と黒塗料を混ぜた滑り止め塗装となった。1944年12月のP-51D組立・メンテナンス・マニュアルでは、アンチグレアは黒となった。P-51の脚庫は、迷彩機ではニュートラル・グレイ、後期の無塗装機ではインテリア・グリーンの可能性が高い。 【インテリア・グリーン ANA 611】 1943年9月、ジンク・クロメートと黒の混合をANA611インテリア・グリーンと規定したが、これは各製造メーカーがコクピットに使った様々な緑色を標準化しようとする追認規定だった。なお、これにはアルミ粉は含まれない。FS34151が近似色とされる。 【ブロンズ・グリーン】 1930年代の陸軍機コクピット色に規定されている。P-51の座席に使われたことが確認されているが、おそらく下請業者からの納入と思われる。ボーイング製爆撃機のパイロットシートや他の機器類の多くも同色。FS24050または24052が近似色とされる。 【ダル・ダーク・グリーン】 ブロンズ・グリーンの代用品として使われ始めた。2つの色調はよく似ており、ブロンズ・グリーンはやや暗く半艶。F4U、アヴェンジャーの後期、P-51、P-47、B-17、B-24、B-29にも使われたことが確認できる。FS34092をやや暗くしたものが近い。』 ということで、結論として側壁等はインテリア・グリーン、床木部は艶消し黒が無難なところか。8AFなら全部黒もありか(イスは緑か?)。このあたりの議論は、おなじみ去病氏のBBSで展開されているので、興味のある方はご覧あれ。脚庫とエンジン部の塗装考証は、また後ほど。
まず結論を述べる。マスタングの内部塗装は様々で、時期によって異なる。B/C型の全てとD/K型の途中までは、無塗装銀の天井にジンクロ・イエローの主桁。このとき、リブやストリンガー、左右脚庫間の隔壁もジンクロ・イエロー(隔壁のみインテリア・グリーンまたはブロンズ・グリーンのバリエーションもありか?)。D型のある時点(D-20か-25あたりか?)から全面ジンクロ・イエロー。パイプ類は銀色。また、主桁を含め銀ラッカー塗装の脚庫も存在する。インテリア・グリーンの脚庫は、おそらく「なし」。 次に結論に至る証拠、傍証。無塗装銀の天井にジンクロ・イエローの主桁&リブ類という脚庫の存在は、B型カラー写真やD型製造中のカラームービーなど動かぬ証拠があり、間違いなし。当時の製造マニュアル類には、機体内部(コクピット除く)は基本的に無塗装で主桁など一部部材がジンクロ・イエロー、と記載されているが、それとも完全に合致する。なお、機体内部の無塗装は、破損したD型のカラー写真で確認できる。 全面ジンクロ・イエローの脚庫については、ダラス工場製D-20-NTから機体内部を全て(当然コクピットは例外)ジンクロ・イエローで塗装するという変更指示MCR-359-1が出されたことが分かっており(イングルウッド製は不明。同時期なら-20-NAか-25-NAあたり)、それと合わせ考えると合理的に説明できる。 銀ラッカー塗装については、そのものずばり銀色に写っているD型カラー写真がある。ただし、マニュアル類に記載なく詳細不明。現地塗装か? インテリア・グリーンの脚庫の存在を示す証拠は、調べた限りなし。 アリソン型は、『全面ジンクロ・イエローの上に銀ラッカー塗装、ただし後期はB型と同じ』という研究家の記述がある。製造中のA型で、全面ジンクロ・イエローの写真があるが、この後で銀塗装されたのか。 以上、情報提供諸氏に感謝。マスタングの細部塗装考証って、難しいね。エンジン部の塗装(フレーム、エアダクト、オイルタンク、防火壁など)も複雑で一筋縄ではいかないが、また後ほど。
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2回目カウル。ちょいと段差が。 |
左、2回目。右、3回目は左右パネルの段差を抑えるために、プラバンの小片を接合部に乗せて圧着する。 |
3回目ともなると曲面成形も慣れてきて、今度は後端もプラパーツにピッタリくっついてるが、胴体後半と合わせると微妙にラインが合わない。どうやら、キットパーツ自体がプラの弾力を応用するようになっていて、カウルの方の曲面がややきつい。それをそのままレジンで型取りし、それに合わせてアルミを貼っているので、カーブが合わないというワケ。やってくれるぜ。さて、どうしよう。胴体の方をカウルに合わせるか(すぐ後に風防だけど)、カウルを曲げて合わせるか(合うのか?)、四度目のトライをするか。 |
3回目。まだ段差があるけど、この程度ならなんとかなるか?? |
下側カウルの方は、インテイクリップのパーツともうまく合っている。少々の誤差は削りorプラ部品のパテ盛りで何とかなるでしょ。 |
胴体はだいぶ進んだぞ。 |
ざっと表面を削って胴体に合わせてみる。パネルどうしの擦り合わせはこれから。 |
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仕上げはFUTUREワックス。クリアー研ぎ出しと違って、「ぽってり感」がなくシャープに仕上がるのは1つのメリット。 |
前期タイプ(と便宜上呼ぶ)は無塗装部分が多く、カウルパネルを留めるフレームや、インテイクダクトなどが無塗装。エンジン架は暗いグリーンで、カラー写真ではF-86の脚庫などと同色(ブロンズ・グリーンか?)に見えるが、動画ではコクピットと同色(インテリア・グリーンか?)にも見える。オイルタンクとその後方の防火壁はジンクロ・イエロー。なお、動画では前期タイプでカウルを留めるフレームの一部のみジンクロ・イエローという変化形もある。 後期タイプは黄色部分が多く、カウルパネルを留めるフレームや、インテイクダクトなどがジンクロ・イエロー。ただし、なぜかオイルタンクは無塗装だ。エンジン架は前期タイプと同じ暗いグリーン。防火壁もエンジン架と同じグリーンで、これは写真等で明瞭に分かる。 B/C型では、エンジン架とオイルタンクがジンクロ・イエローというカラー写真が文献-17などにある。カウルのフレームは無塗装。防火壁は暗いグリーン。インテイクダクトは不明瞭だが、無塗装かな? ただし、全てのB/C型が同じではなく、不明瞭だがD前期タイプと同じように見える動画もある(オイルタンクは無塗装に見えるが・・)。 ややこしいので表にしてみた。こうやって整理してみると、バラバラで時間的に系統立ってない。時期の他に工場による違いがある可能性も高い。そう考えると、この表以外のパターンが存在した可能性も十分にある。なお、全ての型式を通じて、エンジン本体は黒、エンジン前方の冷却液タンクは無塗装。冷却液のパイプも銀色。カウルパネルの裏側は、D前期では無塗装が確認できる。D後期ではこれまでの考察を踏まえるとジンクロ・イエローが妥当だろう。(7/28一部修正) |
B/C前期 | B/C後期 | D/K前期 | D/K後期 | |
カウルパネルのフレーム | NMF | NMF | NMF(*) | ZCY |
オイルタンク | ZCY | NMF ? | ZCY | NMF |
インテイクダクト | NMF ? | NMF ? | NMF | ZCY |
エンジン架 | ZCY | IG/BG | IG/BG | IG/BG |
防火壁 | IG/BG | ? | ZCY | IG/BG |
カウルパネル裏側 | NMF ? | NMF ? | NMF | ZCY ? |
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塗り分けは、基本的にインストどおりとするが、後日、指摘あり。燃料タンク上部のラジオラックは黒が正解のようだ。 |
緑には、Mrカラーのインテリア・グリーンを使う。黒は場所によって3色ほど使い分けるが、胴体に組み込むとあまり意味はないかな。 |
キャノピ可動のギミックを仕込む。実機のレールは「コ」の字断面をしているが、これを精度と強度を確保して作るのは困難。逆「L」字でも、工作法次第でレールの機能を果たす。これなら金属工作も簡単。真鍮板の縁に真鍮線をハンダ付けして「L」を作る。この真鍮板をコクピット側壁に接着すれば精度、強度も十分だ。キャノピ側の取り付け機構の詳細は後で考えることにする。 実機のレールは溝が機体の内側を向き、そこにキャノピ側の滑車がはまるが、1/32の模型だとキャノピ側の機構が大きくなってしまうのでペケ。逆Lの横棒を外側に向ける。こうすればキャノピフレームから小さい爪を出すだけで済む。 |
0.2mm厚の真鍮板に0.3mmの真鍮線をハンダ付け。キットパーツのレール部分を切り取り、真鍮板をしっかりとエポキシで接着。 |
胴体パーツと合わせるとこうなる。外側はプラの胴体パーツの上縁とで「コ」の字形の溝を形成する。 |
さて、7/27更新後にコクピットフロアの後半は黒でなくインテリアグリーン、逆にラジオラックは緑でなく黒という意見を頂く。生憎手元にそれを示す資料がなく真偽は不明→追加資料を頂き、ラジオラックはどうやら黒。調べてる中で1つ発見がある。防弾板はインストでは上部が黒、下部が緑の塗り分けだが、当時のカラー写真をよ〜く見ると、少なくともインストの塗り分けラインではなく、もっと下まで黒い。(7/29一部訂正)
さらに、各種スイッチなどの注意書きを追加する。上手い人は面相筆の点描だろうが、技術がないので適当なデカール(ちなみにキットの機銃パネル用を利用)を切り貼り。赤い四角はベタデカールに白の点描。よく見ると実機とは大分違うが、にぎやかな雰囲気だけ再現してよしとする。キットはメイン計器板以外のメーター類を知らんぷり。例えば床の丸凹や後部タンクの潜望鏡みたいのは燃料計で、これらには適当なデカールを貼ってフューチャーを垂らす。 |
あちこち手を加える。前の画像と比較されたし。ところで、この牛乳ビンみたいなの何だろう? 本当に白でいいんだろうか? 情報求む。 |
赤もデカールに合わせて白20%混で明るくする。メーターや注意書きなどもデカールで用意して欲しいところ。タミヤならできるはず。 |
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ホワイトメタルの脚柱はモールドが甘く、全体に歪みがある。レジンのタイヤはトレッドが大味。側面の処理や断面形もいまいち。 |
左のクローズアップ。ま、細かいことを気にしなければ、十分使える。 |
コクピットが出来たので胴体を接着し、残るアルミを貼っていく。胴体鞍部は左右にまたがる一枚板で、胴体接着後でないと貼れない。このパネルを残して先に周りのパネルを貼ったため、パネルの合わせに苦労する。 |
鞍部パネル(赤矢印)の周囲は、後に貼った方が精度が高く作業が楽なのだが。黄矢印のパネルは、先に貼ったのを剥がして貼り直す。 |
下面側も終了。キットは尾脚周囲が差し替え式で飛行状態も可能だが、作品は地上状態のみとして固定する。 |
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左三度目、右四度目。写真では違いは分からない。 |
胴体に合わせてみる。まずまずだな。 |
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2つの雌型を使い分けて前縁のカーブを整形する。 |
胴体に合わせてみる。画像は接着前の状態。 |
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銀はスーパーファインシルバー。ジンクロは内部色セットのビン生だが、映像等で見るノースアメリカン社のジンクロに近い。 |
ちなみに「前期タイプ」なら、ファイアーウォールもジンクロ・イエロー。 |
さて、この順番と精度の関係を説明するには「拘束度」という言葉が分かりやすいかも。まっさらな状態でパネルを貼るときの拘束度は「0」。その隣に1枚貼ると、1辺はピッタリ合わせる必要があり、拘束度「1」。2辺が先に貼ってあれば拘束度「2」だ。拘束度が上がるほど、精度確保が難しくなる。楽して精度を上げるには、拘束度を常に2以下にするのが肝心で、そこが頭の使いどころ。どうしても3になるパネルが出てくるが、それを目立たない下面にするのも工夫の一つ。今回、目立つ後部胴体上部で拘束度3にしたのが敗因。 |
表面の凸凹を#320で均し、#600で軽く磨いたところ。まだ荒いペーパーの磨き傷が多数残っている。 |
脱着パネルの精度はイマイチだけど、諦める。隙間はエッジの摺り合わせで、もう少し何とかなるかな。 |
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まず、キットパーツを組んでセミグロスブラックを塗る。 |
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すぐ裏にエンジンフレームが接するので、縁のプラ部分を斜めに削ってプラの小片を接着。段差の様子を見ながら少しずつ小片を削る。 |
その結果。これ以上は無理。私の技術の限界だ。 |
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垂直安定板、ドーサルフィン、主尾翼のフィレットは、0.2mm板を使う。 |
フィレットは馬の背曲面で、意外と難易度が高い。 |
主翼、尾翼のフィレットを貼る。ただし主翼後下側の一枚は、ラジエータインテイクを取り付けてから。こいつは、主翼を接着してからでないと胴体本体に取り付けられないのだ。これで風防を残して胴体のアルミ貼りがとりあえず終了。ここまで長い道のりだが、まだ第1コーナーを曲がったとこくらいか。 |
全体を#320〜800ペーパーで水研ぎ、仕上げにラプロス#8000(一番細かいやつ)で磨く。 |
エンジン架を塗り分け。 |
アルミ職人、次の仕事は風防&キャノピのアルミ貼り、並行して胴体のリベット。
アルミを貼ってから胴体に接着するが、その前に防弾ガラスを接着する。その方法に一悩み。溶剤系接着剤は風防と防弾ガラスの間に流れ込んで曇るので不可。UVクリアーなる透明接着剤を間に充填すればいいかな、と購入し試してみるが、完全に透明にならず僅かに曇った状態になることが判明。結局、粘度の高い木工ボンドで周辺部のみ接着する。後で考えると、UVクリアのかわりにフューチャーが使えるかも。 |
ガラス部との段差を考えて0.2mmアルミ板を使用し、内側に銀色が見えないよう縁を油性ペンで黒く塗っておく。 |
アルミ板は大きめに貼り、接着部を入念に摺り合わせる。段差が生じないように慎重に位置決めして瞬間を流し込む。 |
キャノピも同様に0.2mmを使用。実機のキャノピ下端はわずかに胴体部と重なるようになっており、アルミ板を貼るならそれも再現したいところ。面の不連続も誤魔化せるし。写真は撮り忘れ。
気を取り直してリベット。ラインはキットをそっくりそのまま写す。一般部は#0たまぐり、フィレットなどは#5。F-86ではリベット後に水研ぎしてめくれを完全に除去して平滑にしたが、今回はそれをせずラプロスで磨き直すだけにする。 |
コンパウンドで磨いた状態。カウルにはスジボリを施す。 |
リベットを打ち、さらに軽く磨く。表面の最終仕上がり状態は、多分こんな感じになるだろう。 |
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赤丸部分に接着したプラ小片で胴体に噛み合わせる。この小さなパーツに合計10枚のアルミ板で、手間がかかる。 |
擦り合わせの精度はいまいちだが、目立たない下面なのでこれで妥協。磨いてリベットまで打つ。主翼フィレットの下側部分も貼り付ける。 |
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片側3枚に集約。パネルの切り出し、成形の難易度が上がるが、結果的に時間短縮になる。使用板材は全て0.2mm。 |
さらに磨く。周囲が映り込むようになってきた。 |
さて、エレベータは、上下別状態でアルミを貼り、裏側から薄く削って瞬間で貼り合わせる。キットは可動だが、アルミの厚みでヒンジ軸がズレるなど、本気で可動させようとするとかなり面倒臭い擦り合わせ調整が必要な上、可動のための微少な金属パーツがアルミ磨きに大いに邪魔になる。ということで、可動は取り止め。トリムタブが可動らしく見えるように、アルミ板を別パーツにするものの、出来上がりはただのスジボリと変わらず、かえって接合面に工作上のアラが出たりで失敗。 |
エッジのアルミが見えるまで裏側を削る。 |
エレベータにはマスバランスの小片を貼り、水平安定板共々スジボリしてリベット打って磨く。文字にするとこれだけだが。 |
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フラップ、エルロンにも貼り付け終了。エレベータの失敗を踏まえ、タブも一体で貼る。 |
アルミ作業の終点が見えてきた。残るは脚カバー、落下タンクなど小物のみ。気合い入れ直して頑張るぞ。
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フラップとエルロンにスジボリ&リベットを彫って磨く。幅を調整する際、ヤスリに引っかかってアルミがぺろっと剥がて焦る。 |
カウルの穴あき板はピンバイスと針やすりで。よく見れば不ぞろいだが、これが手作業の限界。 |
インテイクリップのプラパーツと下部カウル先端に段差があり、瞬間+プラ粉を盛って削り合わせ。カウルのファスナは#6たまぐり。 |
キャノピのフレームにもリベット。 |
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これが、半年間のアルミ作業の全て。ということで、なんとか目標達成。ま、細かいやり残しはあるけど。 |
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型式-シリアル番号対応表
Model | Serial Nos | 備 考 |
D-5-NA | 44-13253 to -14052 | NAはイングルウッド工場 |
D-10-NA | 44-14053 to -14852 | ドーサルフィン:D-10-NA s/n 44-14254から工場装着 (-5-NA 44-13902からという資料(新世傑)あり) |
D-15-NA | 44-14853 to -15752 | |
D-20-NA | 44-63160 to -64159 44-72027 to -72626 |
D-20-NA 44-63560、D-20-NT、K-10-NTより金属外皮エレベータ、水平尾翼迎え角2°から0.5°へ D-20-NA 44-72226よりK-14ガンサイト装備、4.5inバズーカ装備可能 45年生産機では5inHVARとAN/APS-13後方警戒レーダー装備 |
D-25-NA | 44-72627 to -74226 | |
D-30-NA | 44-74227 to -75026 | バッテリーがエンジン部に移動 |
D-5-NT | 44-11153 to -11352 | NTはダラス工場製。最初からドーサルフィン装備、ほぼD-10-NAに相当 |
D-20-NT | 44-12853 to -13252 | 機体内部全体をジンクロ・イエロー塗装、ほぼD-20-NAに相当 金属外皮エレベータ、水平尾翼迎え角2°から0.5°へ |
D-25-NT | 44-84390 to -84989 45-11343 to -11542 | |
D-30-NT | 45-11543 to -11742 | |
K-1-NT | 44-11353 to -11552 | |
K-5-NT | 44-11553 to -11952 | |
K-10-NT | 44-11953 to -12852 | 後方警戒アンテナK-10-NTの途中から工場装着 金属外皮エレベータ、水平尾翼迎え角2°から0.5°へ |
※上記いずれもレトロフィットあり
■ 無線機のアンテナ 以前P-51Cの頁に書いたものを、再掲する。知らずに付けてしまった人は取っておこう。英国の基地から展開した第8軍のマスタングは、アンテナ線が張られていない。アンテナ線を使うSCR-274無線システムに代わって、機体背中のブレードアンテナを使う SCR-522無線システムが 積載されたためである。写真をよく見ると、線ありは垂直尾翼の前方に碍子があるので判別の手がかりになる。また、英軍で使用されたマスタングは英軍仕様の無線機を搭載している。マルコムフード装着機ではホイップアンテナも確認できる。 ただし、初期のB/C型では細い棒状アンテナ柱も見られ、このあたりは不明。また、イタリア、アジア、朝鮮戦争では写真で線ありが確認できる。関連するサイトは、@、Aである。リンク切れの節はご容赦を。 ■ 2012年総括 この1年を振り返ると、飛行機の完成は1/48ヘルキャットと素組みのワイルドキャット(ページはまだ更新してないが)、陸物でシャーマンファイアフライとジープの車両単体。今年後半はひたすらアルミを貼ってばかりのような気がする。あとはカラープロファイルを何枚か。年々ペースが遅くなっているのは気のせいか?さて、本年も拙頁をご支援いただき感謝申し上げる。では皆様よいお年を。 |