ヘルダイバー製作記 その4

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完成。



 塗装 6/24追加




■ さあ塗装だ

 ダッシュスリーの塗装は、トライカラースキームのみで、部隊による個別マーキングも大差なく、面白味に欠ける。これが、−1だとトライカラーの塗り分けラインに時期的な差異があったり、国籍マークも初期の袖無し、次に赤フチ、そして一般的な青フチと3種のバリエーションがあるし、また−4だとトライカラーと全面グロス・シーブルーの2種があるんだけどね。ということで、固有機の特定は後回しにして、まず基本塗装を作業しよう。

 さて、今回のお題は、潮風と陽光に晒されて退色したトライカラー。まずはEthell本などのオリジナルカラー写真でイメージをつかむ。これとクレオスカラーとを較べてみると結構違いがある。写真では上面2色のブルーはかなり青味が少ない。むしろ、シー「グレイ」、インターミディエイト「グレイ」と呼んだ方がよいくらい。さらに、インターミディエイトブルーは、工場での撮影など塗装直後のものはビン生に近いのだが、退色により相当白っぽくなり、英軍のミディアム・シーグレイに近い色調となる。

 模型に塗られたトライカラーがどうも本物っぽくないという気がするときは、多分青味が強すぎるせい。今までお悩みの方には、青を控えたレシピを推薦する。ま、所詮は好みの問題ではあるけど。


■ 調色

 ということで、青くないブルーを調合する。使うのはクレオスの米海軍3本セット。ノンスペキュラ・シーブルーは、#365グロスシーブルー、#33ツヤ消し黒、#62ツヤ消し白を2:2:3に調合したものを基本色とし、退色が進んだ部分の色としてさらに白を2割ほど加えたものを用意。インシグニア・ブルーは逆に白を減らし、上記3色を2:2:2とする。

 インターミディエイトブルーは、#366同色と#367ブルーグレイと#335ミディアム・シーグレイとを1:1:2で混ぜる。ビン生のインターミディエイトブルーは赤味が強く、逆にビン生ブルーグレイは黄色味が強いので、両者を同量ずつ混ぜるのだ。下面白は、#62ツヤ消し白とフィニッシャーズの白を1:1で半ツヤとする。フィニッシャーズを使うのは、クレオスの#1は隠蔽力が低いから。



またまたエミール君登場。主翼などは退色バージョンに基本バージョンでアクセント。


■ 小物

 並行して小物も進める。カーチス製カフス付きプロペラは、タミヤのP-47がどんぴしゃ。タミヤのパーツは基本形バッチリだ。ペラ全体を薄くシャープに削り、曖昧なカフスとの境をスジ彫りでハッキリさせる。スピナ基部には0.2mmプラ板でディティールを追加。さらにペラを1枚ずつ切り離してカフス付け根側端部のエッジを丸め、ペラのピッチを強める。

 機銃手スライドキャノピはキットパーツを使う。他の自作部分と表現を合わせるため、凸リベットはペーパーで削る。下端のレール保持部の形状が違うので、1.2mmプラ板で置き換える。キットは単純な水滴形で断面形が丸いのだが、実機では頂部が平らで断面形は台形に近い。クリアパーツに接着後、レールの溝をエッチングノコで彫る。



左はキットオリジナル。そのままではちとツライか。

プロペラはタミヤのサンダーボルトから。ピッチを強めるために切り離す。

左はキットオリジナル。プラ板を削るときは、このようにランナーに瞬間で仮接着する。

できあがり。微妙に実機と違う部分もあるが、この程度でよしとする。



■ リベット追加 7/11追加

 さあ色を塗ろうと思ったら、コクピット前方胴体上部のリベットが残っている。ウインドシールドとのすり合わせに備えて残してたのを忘れてた。で、いざ打とうとしたら、リベットのパターンがよく分からない。どうも構造的には胴体下半分のフレーム&リブとは違うようだ。ヘルダイバーは、タートルデッキからキャノピレール部を通ってエンジン取付架に至る縦通材に強度を持たせ、それより上側の部分にはそれほど強度を期待しないという設計のようで、フレームとリブの密度が薄い。リベットに話を戻せば、胴体下半分のように密にはリベットが打たれてないということになる。ということで、写真から読み取れるだけのリベットを再現しておしまい。


■ 基本塗装

 下塗りはサフェーサ。下面は白だが、以前F4U-1aでホワイトサフェーサを使って失敗したので、普通のサフを使う。リベットが埋まっては元も子もないので、極力薄く吹く。下塗りの希釈は、フィニッシャーズのピュアシンナーを使用。若干食い付きがよい気がする。光が透けないようにエッジを中心に銀+黒。その上に基本色をフリーハンドで吹き、ベースとなる塗膜を作り、一旦#1500ペーパーで表面のざらつきを落とす。部分的に下地が露出するが、吹き直すので構わない。

 続いて、本塗り。再度、フリーハンドで基本色を塗り重ねる。この段階では、塗料はかなり薄く希釈する。次に境界の「ぼかし」をキメるが、これが難しい。トライカラースキームは、同じぼかしでも例えばRAFの雲形迷彩のぼけより広い。そこで、当初は0.2mmエアブラシのフリーハンドでぼかしてみるが、それだと私の技術ではぼけ足が広すぎ。逆に「Mrペタリ」などの型紙を使うとぼけ足が狭すぎる(P-40Lなど参照)。結局、「Mrペタリ」を使い、ただしP-40Lなどのように一気に吹くのではなく、境界ぎりぎりのところを細吹きのエアブラシで攻めて、まあ両者の中間のぼけ足にはなったかな。



下塗り終了。暗色立ち上げ法ではないので、パネルライン沿いの暗色には意味はない。

2つの可動キャノピはマスキングテープでマスキング。その他はセロテープ。

基本色で下塗り。シーブルーは用意した2色を用いて退色表現。この後、#1500ペーパー。

ラダーには、小アクセスパネルを0.1mmプラペーパー、尾灯基部を延ばしランナーで追加。

ウインド・シールド周辺。胴体前方のリベットやフレームコーナーの追加パネルに注目。

境界のぼかしがほぼ終了。一部は後で修正するつもり。退色や汚れの表現はこれから。



■ 主脚 7/17追加

 我が家のヘルダ嬢、過剰気味に補強していることもあって、体重過多。しかも彼女の脚は湾曲したフォーク部に体重が集中する構造。これが例えば零戦のような脚であれば、実機はフォークだけが荷重を支えても模型では脚カバーに荷重を分散できるのだが、ヘルダイバーの場合それができない。結果として、プラのフォークが長期的な荷重により変形し、脚がへたる恐れ極めて大なのである。

 これを防ぐため、脚を金属で作り換える。キットは実機と違う部分もあり、併せて修正すれば一石二鳥。まずは寸法取り。長さはキットを参考にするが、太さは実機写真から割り出し、中央の直線部分で2.8mm、フォークが1.8mm程度。上部の折れ曲がった部分もフォークと同じ程度。

 そこで中央部は2.6mm真鍮パイプを基本とし、上下に3.0mm真鍮パイプを被せる。オレオは2.0mmパイプ。問題はフォーク部。1.8mm真鍮丸棒を探すが、どこにも売ってなく、あるのは1.5mmか2.0mmのみ。1.8mm真鍮パイプなら入手できたが、パイプだとうまく曲げることができない。中に棒を入れても同じ。仕方ないので、2.0mm棒をしこしこ削って1.8mmにする。

 削ったら次はペンチで曲げる。キットはカーブがきついが、実機はもっと緩やか。当初はそのまま中央部へイモ付けしたのだが、それではたとえはんだ付けであっても強度が低く、衝撃でポロッととれてしまう。一瞬、目の前が真っ暗になるが、今度は中央部側の真鍮パイプにピンバイスで穴を開け、フォーク部も接合部をホゾ状に削ってはめ込み、はんだ付け。今度は強度ばっちりだ。

 さーて出来上がり、と思ったら中央部のパーツが上下逆さま。そのままにしようかと思ったが、ヤケクソで直す。中央部は新たにパイプを切り出して新造。今度は3.0mmパイプの外にもう1本重ねる。手元にあるのは3.0mmが最大直径なので、この環を切って「C」の字状にして被せる。環が開くところは後ろ側に持っていけば目立たないだろうという算段。そんなこんなで、片脚で12パーツの真鍮細工。

 次にタイヤ。キットのタイヤは少々薄い。「生きた」実機写真でタイヤ厚さを割り出せる写真がなかなかないのだが、レストア機のものから割り出すと厚さ5mm強。キットのパーツに0.8mmプラ板を挟み、出来上がりで5.2mmとする。


フォーク上部は3.0mm、2.6mm、2.0mmの3本の真鍮パイプを組み合わせ、1.5mmピンバイスで開孔。フォーク部は1.8mm真鍮棒。

できあがり。左はキットパーツ。微妙に角度がずれている部分もあるが、これが限界。



■ 八木アンテナ 7/23追加

 ハンダ付けは続く。まず寸法取り。図面は相変わらずあてに出来ないので、写真から読み取るが、なかなか良いものがなく、捜索範囲をアベンジャー、ドーントレスまで拡大する。それでも十分ではないが、とりあえず以下のとおり決定。
 5本のアンテナは長さ7mm、ただし最後方のものは若干長い。アンテナの取り付く軸は長さ11mmで、アンテナの間隔は前方より3mm、3mm、3mm、2mm。アンテナは機軸から左右30度くらい外を向いた写真が多い。主翼への取り付けステーは長さ14mm、幅2.0mm。ステーは翼型断面で、翼面に垂直でなく、水平線に鉛直に取り付けられる(つまり各アンテナロッドは水平)。ま、水平線の彼方の目標を探知するというレーダーの機能を考えれば当然である。

 使用する材料は、アンテナ部が0.4mm、軸が0.6mmの真鍮線。主翼への取り付けステーは、2.0mm丸棒で、これを翼形断面に削る。アンテナと軸の交点には目立てヤスリで直径の半分くらいまで溝を切る。ステー端部にも軸取付の溝を切る。アンテナと軸を木板の上に並べてテープで止め、ハンダを流す。


アンテナと軸の交点にはヤスリで直径の半分くらいまで溝を切る。

できあがり。右の状態で組み上げ、余分なハンダを落としてから真鍮線を切断。


 ということで、出来上がったのだが、milk32+氏より八木アンテナについての情報を頂いたので、ここで紹介。感謝。フォッケウルフ夜戦のレーダーアンテナに関する考察も興味深いぞ。ちなみに、八木アンテナのエレメント長は波長の1/2前後で、波長は光速/周波数なので、周波数が判ると横幅の見当がつくそうである。

 また、ハンダ付けについても掲示板で各氏からコツなど伝授頂いたので、それもまとめて以下に紹介。ハンダを始め金属加工については、Watanabe氏のblogこのページに詳しい。情報提供諸氏に感謝。


ハンダ付けのコツ

  • 用意するもの
    コテ(アンテナ程度の作業であれば30Wくらいが適当)、台(セラミック煉瓦など。私は木板で代用)、ハンダ(ヤニなしがよい)、フラックス(必須)、水バット(冷却、フラックス洗浄のため)、油粘土orひっつき虫(固定用)、濡れ雑巾(コテ先掃除)
  • 標準工程
    パーツ同士を台の上に固定→フラックス塗布→コテで加熱しハンダを流す→水で冷却&フラックス洗浄→余分なハンダをヤスリ、ナイフ等で除去(キサゲという道具が便利らしい)、余分なパーツを切断
  • ハンダは「付ける」のではなく「流す」ものである。
  • パーツ同士を、正確な位置に動かぬよう固定することが肝要。ズレてハンダ付けしてしまったら、一旦外して最初からやり直すのが早道。
  • 複数箇所をハンダ付けする場合、先に付けたハンダが溶けないように熱を逃がす。ハックルプライヤー(釣りの道具)が便利。濡れティッシュも使える。
  • 少量のハンダをコテに取りたい場合は、ナイフで細かく切ったハンダをコテで拾う。
  • 真鍮線などは、長いままハンダ付けして、後から不要部を切った方が、固定しやすく、また平行、直角を出しやすい。
  • くれぐれも、ヤケドに注意。模型も溶かさぬように作業台から遠ざけておこう。


■ ダイブブレーキ 8/3追加

 フラップ兼用となる下側ダイブブレーキをスクラッチ。外板は0.5mmプラ板。本当は0.2mmを使いたいところだが、ある程度厚みがないと「たまぐり」で変形するので、これが限界。これでも、カッターマットなど柔らかいものの上で打ってはダメで、スチール定規を下敷きにして、力を加減して打つ。

 内部の穴あき板は0.3mmプラ板。内側ダイブブレーキの穴の数は、正しくはもう1列多く、それに伴いリブの配置も一部異なる。これは製作中に分かっていたが、以前に作業した上側ダイブブレーキの穴の位置がズレてしまっており、これに合わせた結果で仕方なし。穴の位置を揃えるために、まず定規できっちりと下描きし、中心をケガキ針で打ってから、少し小さめにピンバイスで開け、リーマー(のかわりの角棒ヤスリ)で位置を微修正しながら所定の径に穴を広げる。




製作中および完成後の変形防止のため、面倒くさいが内側にプラ材でリブを接着しておく。

上側フラップの内側。下側と穴やリブの位置を揃える。

後端部で表裏を0.5mmほどずらして接着することで、端部に見える厚さを抑える。塗色はRLM23。



■ 主脚

 ディティールを追加する。脚後方にはゴツくて重量のかさみそうな支持部材がある。カーチス社が何を考えてこんな設計をしたのか理解できないけど(注)、それはさておき、キットパーツの形は厳密には実機と異なるが、ここは凸リベットの雰囲気を買ってキットパーツを使用する。押しピンの跡を隠すため、表裏をひっくり返す。
 トルクリンクは、またもやタミヤP-47から流用。実機とは形状が異なるが、まあ雰囲気優先で。その基部は1.2mmプラ板。トルクリンクが下を向くように。ブレーキパイプや、ロック機構は後ほど。タイヤのトレッドはどうしようか。また網タイツか、すっきりストライプか。
(注)
 構造的には、脚の主柱の翼取り付け部を、曲げがフリーなピン結合(その部分だけ見れば軽くなる)にして、前後左右の力は後方の支持部材で受け持つと考えられる。強度上は有利だろうけど、重量的には支持部材の分だけ不利なはず。ちなみに、この部材の形状は−1と−3以降で異なり、−1はトラス構造が明示的である。
 もう1つヘルダイバーの脚で不思議なのは、オレオ。駐機状態ではほとんどメッキ部分が見えない、つまりストロークがほとんど無い。これで滑走中など不都合ないのだろうか。なお、空中で荷重のかかってない状態だとストロークは十分にあるので、着艦には支障なさそうではある。



牽引用のリングは、0.5mm真鍮線をU字形に曲げ脚柱側にピンバイスで穴を開けて瞬間で接着。

脚長さはキットに合わせる。折角の金属細工だが、よく見るとガタガタ。反省。



■ マーキング 8/14追加

 国籍マークは手描きする。手順はいつもと同じなので、特筆しない。興味ある方はP-40やP-47レイザーバックの頁あたりを参照願う。いつもは、デカールを下敷きにマスキングテープを切り出すが、実機写真と照合するとサイズが違う。手持ちの3キット(ハセモノ版カルトグラフ、プロモデラー版、アキュレイト版)とも国籍マークの大きさはほとんど共通だが、胴体のものは大きすぎ、主翼は逆に小さい。
 正しくは、胴体が全幅38mm、翼が51mm。わざわざローソンまで出かけてデカールを縮小/拡大コピーして下敷きとする。主翼はマークの左端が翼端から24mmの位置で、中央の円部分がスラットとエルロンぎりぎりとなるのが正しい。なお、不明瞭な写真からの寸法出しであり、±1mm程度の誤差を含むので悪しからず。

 主翼付け根のウォークウェイは、新品の機体では黒いが、退色した機体ではシーブルーより明るく見える。そこでダークシーグレイで塗装。表面のざらつきを表現するため、試しにアルテコ瞬着パテのプラ粉を塗料に混ぜてエアブラシしてみる。細く吹いたのでは当然詰まるから、ノズルを広げてぶわっと吹く。結果は、まあ、そこそこざらざら感はあるかな、てなところ。配合比は各自研究されたし。

 ヘルダイバーに限らずトライカラースキームの機体では、スピナはインターミディエイトブルーで塗装される例がある。そう思って実機写真(白黒)を見ると、やはり無塗装銀ではなく見える。


インシグニアブルーとシーブルーのコントラストをもうちょっとつけても良かったかな。



■ 夏休みの読書感想文

 ロアルド・ダール作「単独飛行」(ハヤカワ・ミステリ文庫)を読む。ハリケーンに乗り地中海戦域で戦った作者の自伝である。前半はシェル社員としてのアフリカ駐在、後半はRAFパイロットとして戦い傷病兵として帰還するまで。大戦機に関心がある者なら後半は文句無く面白いが、前半もまた面白く、途上国で仕事をした人間独特の感覚がうまく描かれていて共感を覚える。解説は宮崎駿で、これもお見逃し無く。


■ タイヤ 8/24追加

 タイヤのトレッド・パターンは、記録写真で何種類か確認できる。ダイヤモンド・パターン、または縦ストライプが一般的であるが、両者の使い分けは不明。-1ではパターンなしつるつるタイヤもあるようだ。予定しているマーキングの機体がどのパターンかは不明なので、ここは好みでダイヤモンドパターンにする。

 このスジ彫りの方法は、前作P-40Lと基本的に同じ。プラ板でジグを作り、ガイドに沿ってエッチングノコを動かす。前回P-40と異なり、タイヤパーツのホイル部分がタイヤより出っ張っており、また自重変形で底面が凹んでいるため、これらがパーツの固定に支障となる。そこで、写真のように0.5mmプラ板でホルダーを作る。ホルダーがタイヤのサイズとぴったり合っているところがミソで、これによりタイヤ中心位置がずれない。

 写真を見ると、ダイヤモンドが横に4つ並ぶ。不要パーツで試してピッチは1.0mm、角度は53°とする。実はヘルダイバーのパターンは、米陸軍機で一般的なものとは少々異なり、サイドウォール部にも放射方向の短い溝があるのだが、この再現は私のテクでは困難。無理にやってもきれいに出来ない。よって却下。あとはホイルキャップを0.2mmプラ板で作って、ヘルダ嬢の網タイツの出来上がり。レジンパーツは多分出てないだろうから、網タイツのヘルダイバーの模型は世界中で1機だけかも、などと自己満足。


自作のジグでトレッドをスジ彫り。中心に穴のあいたプラ板により、ジグの中でタイヤが動かないようにする。



■ 後部銃座

 キットのブローニング0.30キャリパー連装機銃の出来は素晴らしい。他キットへの流用にも重宝しそう。細かいディティールのみ追加工作する。銃身のパーティングラインの部分は、型抜きの都合で放熱穴のモールドがないから、0.3mmピンバイスで追加する。ケガキ針で穴の位置に点を打ってからバイスを使うと、そこそこ揃う。ついでにモールド済みの穴もバイスで深くする。あとは防弾板を薄く削り、小パーツを追加したくらい。

 機銃支持架の正確な塗色が不明で、D&Sのレストア機では黒だが、戦時中のドーントレスのカラー写真では、白かライトグレイ(あるいは銀?)で塗られている。それに倣ってミディアム・シーグレイで塗る。防弾板はジンクログリーン、グリップは茶色で間違いない。

 銃座の巧い工作法が思いつかない。仕方なく、銃手の背もたれ部はキットを使い、あとは真鍮材やプラ材で工作。プラと金属は瞬間で接着しているのみで、強度も不安。強度優先で組み立て、ディティールはでっちあげ。シートはキットの縁を薄く削る。シートがぶら下がる「コ」の字型の部材のみ0.8mm真鍮線のハンダ付け。


あとはシートベルトを追加する程度。



■ 脚カバー

 ヘルダイバーの脚カバーは、独特なフチの形状。とりあえずフチの段差を彫刻刀やノミで削って再現する。下側のカバー(車輪カバー)は裏側の補強材の配置が間違っており、またフチの厚さが部分的に不足している。上側(脚柱カバー)については正しいのだけどね。現存機では上側カバーしか残ってないのが原因かな。ともかく、リベットは補強材の位置に打つ。写真で確認すると、ここはダブル。

 ついでに主脚トルクリンク基部に脚ロック用と思われる部品を追加。これはタミヤP-47のフラップ取り付け部品を加工したもの。そして、脚カバーを塗装し取り付けてみたところ・・・

あ、合わない・・(汗)

 理由は、脚カバーがオーバーサイズで形状も違ってたり、翼下面の断面形が正しくないため、カバーと翼の関係が違うことだが、そもそも仮り組みをしてりゃ気づいたハズ。無理矢理取り付けてみたものの、足元が野暮ったい。う〜ん、どうしよう。




とりあえず、仮に取り付けた状態。写真だとそれほど違和感ないかもしれない。



■ 同窓会

 模型とは全く関係ない話。先日、四半世紀ぶりの高校の同窓会に出席してきた(おっと歳がばれてしまう)。卒業以来転々としていて連絡も取ってなかったのだが、このページでも紹介しているおおいし氏の航空関係の知人が私の同級生だったという縁で案内状が届いたという次第。

 同窓会は楽しかったのだが、いろんなことがあまりに変わっていてショック。母校の女子生徒のスカートが短い(私の頭の中では想像だに出来なかった)。駅にエスカレーターがある(当時は地続きで電車が見えてから走って間に合ったのに)。駅前にマクドナルド(当時あったらなあ)。思い出の校舎が取り壊されてる(シンボル天体ドームがあ)。元カノもいまや子持ち(あたりまえだろ、しかも今更ダンナに嫉妬すんなって)。クラスメート10人の訃報(合掌)。


思い出の校舎


 月並みな表現だけど、再会は甘くほろ苦かった。25年の時間旅行で精神力を使い果たし、戻ってからしばらくは無気力状態。


■ 脚カバー再び 9/1追加

 ファイト一発肩にシールで(←意味不明)作り直す。まずは見た目がカッコ悪い原因の分析。キットパーツはオーバーサイズで、高さを脚に合わせて少々カットしたこともあって実機より幅広。そのため短足、鈍重に見えることが判明。次に寸法の割り出し。真横からの写真数枚から、脚の長さを基準に各辺の長さ角度を割り出す。その結果、上下カバーとも幅を1mm程度詰め、タイヤを覆う部分も一回り小さくする。

 上カバーの上端は、翼との接合部の後方に隙間が生じるので、くさび形のプラ材を接着して増積する。実機と形状が異なるが、キットの翼断面が悪いためで仕方ない。逆に、下端は1mmカット。下を切除、上を増積で無駄なようだが、裏側の補強リブの配置のためで仕方ない。

 脚に仮止めしてバランスチェック。こんどはスッキリして、道産子馬がサラブレッドになったよう。目の錯覚とは面白いもので、カバーの幅を詰めるだけで脚が長く見える。下カバー前縁の湾曲が弱いのに気付き、パーツをしごいて曲げる。

 下カバーは裏側の補強リブの配置が全く違う。直しついでにこいつも修正。実機写真から位置決め。よく分かる写真がないが、つなぎ合わせて8割方合ってるかな。リベット打ちがなければ薄手のプラ板で新造したいが、そうもいかずプラ材を接着して形を直し、裏のリブを削ってから、リベット打ち、裏返してプラ板細切りでリブを接着、一日置いて外周のエッジを薄く削る。


両端キット。赤い部分をカット。中央修正済み。判りづらいが鉛筆で塗りつぶしているのが増積した部分。

左キット。実はこんなに違うけど、こんなの気にするのは世界中で私だけだろな。



■ パイロットシート

 丸く凹んだ座面の再現がポイント。しかし手元に流用できるパーツがなく、仕方ないので割り箸で木型を作り、0.5mmプラ板をヒートプレス。5cm角に切ったプラ板をペンチ2本で持ち、極弱火のガスコンロで焙って、フニャフニャになったらペンチで持ったまま型に被せる。透明プラ板と違って簡単々々。背もたれはキットパーツを使用し、作ってからD&Sの写真をよく見ると背もたれは湾曲していないのが正しい。木型から作り直し、結局全部スクラッチ。-3以前の型は、ヘッドレストがシートから伸びたパイプに固定されている。


割り箸の木型。表面は特に磨かず。これ実は修正前の木型。

スクラッチしたシート。右はキットパーツ。



■ シートベルト 9/10追加

 銃座のベルトがよく分からない。D&Sの写真、イラストにはベルトがないのだ。そこで同系列のアベンジャー、ドーントレスを参考にする。アベンジャーのD&Sでは、ラジオオペレータ席には、後期の米戦闘機、攻撃機の操縦席と同じタイプのシートベルト(ショルダーハーネスなし)、動力銃座にはそれと似ているが幅の狭い(2インチ?)タイプ。ドーントレスのD&Sでは、銃座には初期の米軍機に見られる幅広のシートベルトで、これも操縦席と共通。ここから、銃座にはその時点での一般的なシートベルトが装着されたと、少々強引に推測する。

 ドーントレスの銃座には、布もしくは皮製の背もたれ(中央部を紐で編んだようになっている)と、左右分割の防弾板があり、ヘルダイバーにも装備されている可能性があるが、作品では省略。←うまく作れる自信がないので。ヘルダイバーのD&Sでは、ベルト取り付け金具が座面内側にあるようにも見えるが、詳細不明のため一般的な取り付け方とする。


ベルト金具はファインモールドエッチング。ベルト本体は鉛板。端部を薄く伸ばして金具の溝にはめる。



■ 主脚他

 主脚にブレーキパイプを追加。当初0.3mm糸ハンダで再現を試みるも、実感に欠ける。そこで実機写真どおり、細い金属パイプ部は伸ばしランナー、中央の太いゴムパイプは焼き鈍した0.5mm真鍮線、接続部は綿棒の軸を熱して伸ばしたプラパイプを使う。結局、脚柱、脚カバー、タイヤと、ほぼ全面的に手を入れている。これで立派な脚フェチか。

 銃手前方のレーダースコープなどの機器類を工作。これはキットのパーツを流用、加工するが、左舷側の2本のレバーとその基部だけはスクラッチ。上手くいかず、何度もやりなおし。


赤いロッドは0.35mm真鍮線。端部をペンチでつぶす。ホイルはカラー写真よりインテリアグリーンと判断。

ブレーキパイプは0.5mm真鍮線(中央グレイの部分)と伸ばしランナー。

もう1枚。ブレーキパイプの取り回しが面倒くさい。写真は影が写ったため分りづらくて申し訳なし。

レーダー関係機器は、基本的にキットパーツを使用。パイピングなど適当にでっち上げ。



■ インレタ

 マーキングと注意書きは自作インレタ。いつものマックスラボでなくクロマテックを発注する。白、黒、赤の3枚を作るが、それぞれ別の版にするとリスフィルム(ネガ)代が余計にかかるので、1枚にまとめて同じ版で3色刷る。普通のインレタは、発色をよくするため下地に白を印刷し(オペークという)、その上に本来の色が印刷されるため、出来上がりが厚くなる。そこで、オペーク無し、表面はツヤ消しを指定。黒は正確にはチャコールグレイ。これはサービスカラーにはピッタリの色がなく、「基本色」を使う。赤は「サービスカラーS31」。こちらは意図したより少々暗い出来上がり。

 値段は、12×11cmサイズ3枚でしめて7,350円。郵送で発注する場合は、必ず色見本を添付しよう。今回怠ったため色の仕上がりでトラブルとなる。業者側の対応も不親切で、後味が悪い。


ついでに将来の分も作成。←いつ作るか未定だけど。ネタが分かる人は相当ビョーキが進んでいるぞ。

注意書きはどうしても太い仕上がりになるので、モデルに貼ってみるとちょっとウルサイ感じ。



■ モチベーションの維持

 昨年12月の製作開始から9ヶ月が過ぎ、途中引っ越しの1ヶ月のブランクもありで、よくモチベーションが維持できたと自分でも驚いている。こんな長い製作期間は初めてのこと。作っても作ってもゴールの見えない状態は、正直つらい。気分転換に他のキットを作るのも、時と場合によってはあり得るが、今回それをやると戻ってこれなくなりそうで、怖くてできない。

 そこで私を支えてくれたのは、インターネット。アクセスカウンタの回転が一番の応援。感謝。あとは不明箇所を掲示板で騒いでみたり、面倒な工作を宣言して自分を追い込んでみたりと、ある程度は計算ずくで気持ちにハリをつける。

 最近ブログを公開している人が増えたが、そういう面で製作のプラスになるし、ネットを通じた人との交流は模型趣味の大きな楽しみ。ただ、逆にネット依存症状態になると、製作そのものに身が入らなくなるというマイナスもあるので気を付けよう。それをうまく自分の中で管理していくのが、正しいオトナの楽しみ方かな。私の場合、工作机の横にパソコンがあり、ネット画像を参照しながら作業できる便利さの反面、机に座ってもつい掲示板覗いたりして作業が停滞しがち。←コドモですから〜。


■ 退色表現 9/25追加

 ポイントは潮焼け退色トライカラーの表現法。エアブラシのグラデーション塗装、つまりパネルラインを残して明度を上げた塗料を吹く方法は、最近広く普及してきているが、これのキツーイやつ(外人の作風に多い、いわゆる”ガイジン塗り”ってやつネ)は私好みじゃない。つうか、実機はこんな汚れ方してないぞ。かといって薄〜いグラデーションだけでは面白味に欠ける。などと考え、いつもの面相筆チッピング作戦。

 イメージソースはEthell本のカウル外して整備中のSBDのカラー写真他数点の「生きた」トライカラー。SBDのカウルをよく見ると、全体に白っぽく退色しているが、エッジ部などには退色してない塗料が残っている。これは、以前マルセイユのメッサーFでも再現を試みた「チョーキング」。すなわち塗装面が粉状に白化する現象で、布などで擦ると下の新鮮な塗料が現れる。これを表現するため、基本色に白を混ぜて明度を上げた塗料を吹き付けた上に、パネルのエッジ、翼の端部、翼付け根、コクピット周囲など擦れそうな部分に、基本色で新鮮な塗膜の露出を描き込む。

 要するに、退色表現で全体の明度を上げるのだが、そのままでは単に明るくぼやけた印象なので、要所に暗色を配して「締める」わけである。暗色の締めとしては、上記のチョーキングだけでなく、パネルライン沿いにたまった汚れやオイルの流れなども意識する。ポイントは、筆を使うこと。エアブラシだけでは、結局ガイジン塗りと同じになってしまうからね。エッジには平筆でドライブラシ気味にこすりつけ、パネルラインやリベットラインには面相筆でチョボチョボと点描。ただし全部筆ではなく、エアブラシのぼかしも部分的に併用する。


まず、エアブラシでグラデーションをつけ、面相筆で描き込む。全てのパネルライン沿いには暗色を吹かない。

左の拡大。


 とまあゴタク並べても、センスの問題かなかなかイメージソースのようにはなってくれない。ある段階からは手を入れれば入れる程、ただ汚くなっていくだけ。当初の想定とは大分異なるが、この辺で妥協。それと、最後にツヤを整えるため極薄のフラットベースを吹いて、とりあえず塗装工程終了。窓のマスキングをはがす。

 ところが、ツヤ消しが過ぎたようで全体の明度が上がり、ぼやけた印象となってガッカリ。そこで今度は極薄に溶いたフラットブラックを、胴体側面と翼前縁や翼中央部付近を中心にオーバースプレーする。再度、窓のマスキングが必要。ただし今度はそれほど精度が要求されない。0.5mm程度の誤差を許してどんどん作業する。


■ ウォッシング

 ウォッシングは、いつもの石鹸水溶きパステル粉。世間ではエナメルウォッシングが相変わらず主流で、しつこいようだが改めて声を大にしていいたい。

エナメル汚しは危険。

 なぜなら、エナメル溶剤はプラスチックを劣化させるのだ。特に脚にはてきめんで、プラが脆くなり、すぐ折れる。それだけでなく、クリアパーツは曇るし、拭き取り時にエアブラシのグラデーションが剥げ落ちるし、翼や胴体といった主要パーツの接着面に浸透すれば割れやすくもなろう。

 これらのリスクを避けるなら水系に限る。これなら脚柱や脚収容部、クリアパーツにじゃぶじゃぶ使っても心配無用だ。もちろんエナメル汚しも、その危険を認識した上で、効果も踏まえて限定的に使うならアリだ。つまり、塗料が剥げたり、ツヤが出たりするのを逆手にとって表面に表情をつけるなど。


■ その他小物

 以下、だらだらと個人的メモ。

航法燈

 翼端上面の水滴形航法燈は、基部を0.1mmプラペーパー、透明部はハセガワP-40のパーツ。プラペーパーを貼るには流し込み接着剤(タミヤの緑フタ)を使うが、これまで付け過ぎで汚くなったり、うまく接着しなかったりと加減が難しかった。そこで、緑フタに筆洗用シンナーを半分位混ぜて使ってみると、接着力がマイルドになって非常に具合がよろしい。オススメ。同様に白フタと緑フタを混ぜたりと、いろいろ使える発想である。

 翼端燈は、実機もカバーがつかなく電球むき出し。決して手抜きではないので。クリアランナーで置き換えるが、あまりクリア感がないのが残念。また、垂直尾翼直前にも無色の翼端燈があり、これもハセP-40のパーツを接着する。これは左にオフセットされた垂直尾翼の関係で、中心より右舷側に位置する。

プロペラ

 プロペラカフスにはデカール(AMDのヘルダイバーデータ)を貼ってクリア研ぎ出し。


翼端燈にはガラスカバーがつかない。

退色と汚れ、はがれを表現。ちと汚すぎか。


尾脚

 キットパーツは、タイヤ直径が若干小さいがそのまま使用。あたかもフォークが門型になっているように見せるため、フォークの断面方向を少し削って凹ませる。

アンテナ線

 尾翼側基部は0.2mm真鍮線をよじったもの。胴体側面の基部は0.5mm真鍮パイプと0.3mm真鍮線の組み合わせ。アンテナ線は渓流釣り用の黒色テグス0.08号。碍子は伸ばし綿棒の軸。実機写真を見るとキャノピ中央部頂上からホイップアンテナが立っているように見える。

20mm機関砲

 外形0.7mm、0.9mm、1.1mmの真鍮パイプの組み合わせ。

ピトー管

 0.6mm真鍮線に三角形の突起をハンダ細工。P-40のときに製作済み。世傑の写真がほぼ原寸で、これに合わせて曲げる。

タブ操作ロッド

 エルロンのバランスタブ・ロッドは独特の形状。エッチングパーツにも入っているが、実感に欠けるので0.35mm真鍮線などの半田細工。ラダー、エレベータのトリムタブは0.3mm洋白線(同径の真鍮線の在庫が無くて)。これらは左右(上下)両面にロッドがあることに注意。エルロンのトリムタブは0.2mm真鍮線。いずれもタブに取り付く部分はペンチで平らにつぶすと実感が出る。

排気管

 モスキットを使う予定であったが、オーバーサイズで泣く泣く諦めキットパーツを使用(高かったのに〜)。縁を薄く削れば結構いける。


■ マーキング

 まず、固有機の選定。いろいろ悩ましいが、マーキングの意匠、実機写真の良否、戦歴など勘案し、空母イントレピッド(Intrepid)CV-11、VB-18所属、機番61号機に決定する。VB-18はレイテ沖海戦に先立つフィリピン本土攻撃を実施(Crowood社本に記述あり。本項の抄訳参照)した他、戦艦武蔵を発見し、最初に爆撃を行い、武蔵の撃沈に鍵となる役割を果たした(オスプレイ社本に記述あり)。

 本機の写真は10月25日に攻撃からラダー下部を損傷して空母に帰還した際に撮影されたものがある。同隊の-3としては他に機番18の写真がある。これは部隊マークの「+」が小振りである。全面グロスシーブルーのSB2C-4の時代になると、垂直尾翼と右翼端に白の太い縦棒の部隊マークに変更になった。

 では作業。当初インレタを貼ったところ、パネルラインには馴染むのだがリベットに馴染まない。しかも爪でこするだけではがれてしまうから、長期的な保存に不安がある。やはり大きなサイズにはインレタは向かないようだ。そこで一旦貼り付けたものを全部はがして塗装する。マスキングテープの切り出しには、このインレタが役に立ったけど。つまりテープの上にインレタを貼ってから、これを目安に切り出すわけ。

 他部隊では、脚カバー、カウル先端、主翼前端にも機番が記入されている例があるが、VB-18では後方からの写真しかないため、これらの有無は不明。ということで記入しないが、インレタの準備だけはしてあって、事実が判明したときは対応可能だ。


部隊マーク、機番はマスクして塗り分け。シリアルはインレタだけど番号はでっち上げ。



■ どーでもいいけど

 ふと思い立って、主翼折り畳み位置やダイブブレーキの長さを検証してみる。D&Sにある真上からの写真から計算すると、キットは主翼折り畳み位置が外すぎ。←やっぱ思ったとおり。このため、折り畳み位置で分割されるダイブブレーキの内外の比率に狂いが出て、その結果-4の小穴の数が違ってるわけだ。折り畳み位置のズレは、多分脚間隔にも影響しているハズ。機銃アクセスパネルの位置のズレや、リベットラインが正しく描けない(作品は仕方なくリブが1本多くなっている)のも、すべてはこれに起因していると思われる。

 落穂拾い。-1では、ウインドシールド右下方に、コクピット空気取り入れ口と思われる、小さいエアインテイクがある。これは-3以降では除去された。

 古いスケビの記事を読み返していたら、Fw190とヘルダイバーの翼形が同じNACA23000シリーズということに気付く。翼厚比は異なるが。フォッケって案外・・(以下略)



 完成 



■ とりあえずの完成

 作業中に引っかけることが目に見えている八木アンテナを取り付け、とりあえずの完成。あとは主翼のパイロンと照準器を取り付ける予定だが、実機ではこれらは取り外し式なので無くてもおかしくはないから、「完成」としちゃう。特に照準器は離着艦の際は取り外してコクピット内に収納したそう(なにしろ広いからね)だから、爆装で「これから出撃」という状態のモデルでは外してないと本来は変だ。←私はそんなこと気にしないけど。

 「とりあえず」という本当の意味は、カウリングのアウトラインが気に入らず、ホントは余ったカウルで新たに作り直したいのだ。それと、爆弾倉内部とオープン状態のハッチも残ってるっちゃあ残ってる。

 ここで、使用キット、パーツ類を整理してみよう。(値段はほとんどうろ覚えで不確か)

1/48ヘルダイバーキット×3 15000円(3機分を有効に活用)
同ハセモノ版クリアパーツ0円(去病氏より拝領)
AMDヘルダイバーデータデカール800円(プロペラカフスとキャノピ注意書きのみ)
自作インレタ8450円(追加発注分含む)
モスキット排気管2000円(不使用)
トゥルーディティールレジンパーツ1100円(不使用、8.96US$)
タミヤ1/48サンダーボルト0円(プロペラ等使用、二個イチの残り)
ハセガワ1/48P−400円(インテリア、航法燈等使用、二個イチの残り)

 しめて3万円弱。1日100円か。お布施が足りない=模型業界には貢献してないなあ。

 それはともかく、製作期間9ヶ月(途中引っ越しの1ヶ月を除く)というのは長すぎ。1日1時間平均とすれば270時間。2時間の日もあれば作らない日もあるけど、均せばこんなもんか。実際はもうちょっと多いかってなところ。私の通常ペースで単発機3機分の時間の割には出来映えがいまいち(つまり時間と出来が比例してない)というのが一寸口惜しくもあるが、透明プラバン絞りや半田付けの新技術も覚えたし、機体内部などスクラッチしたりで、これで大抵のものは作れるという自信はついた。

 で、「とりあえず」の御披露目が「翔バナイカイ」さんの展示会(2006年9月23日)。意気揚々とテーブル上に置いたんだけど、いつも作業している自分の机上と違って、会場の照明が暗いため、ウェザリングの効果が全く目に見えない。これは結構ショック。フラットブラックの一吹きがマズかったか。まあでも諦めるしかないネ。


■ 最後の小物 11/8追加

 ギャラリーページの撮影に時間がかかり、更新が延びてしまった。  製作記の続き。まず、照準器。作品では、防弾ガラスとの位置関係で、本来の位置に取り付けられないことが判明。無理して付けるよりは、「格納してある」状態とすることにあっさり決定。

 最後に残るは翼下パイロンの真鍮細工。三角形のフレームは幅1mmの真鍮帯金と0.4mm真鍮線。キットパーツを参考にペンチで曲げ、帯金にはピンバイスで爆弾押さえが通る穴を開けておく。爆弾押さえは、0.1mm厚の真鍮板に穴を開け、これをポンチでくり抜き、それに0.3mm真鍮線を通す。これらパーツをMrペタリに固定して半田を流す。4個作って一番出来のいいのを左前側、次にいいのを右前にする。前後のフレームの間は0.8mmプラバン。



パイロン。手間がかかった割には精度がいまいちで残念。でも下面でどうせ目立たない。

アンテナのテグス。右が本作に使用した渓流釣り用。左はシーファイアIbで使用した一般的なテグス。



■ 落ち穂拾い

 先日、大阪なんばの某模型店で、ハセモノ版キットを発見。中を確認すると、金型損傷前の完全キャノピが入っていてビックリ。私のハセモノはダメキャノピだったけど、中にまともなのもあるようだ。

 作品の機番「61」は、搭乗者氏名が不明であるが、どうも艦爆隊は特定機を割り当てていないようで、WEB上のSB2C-3パイロットの飛行ログを見ると、毎回異なる機に搭乗している。ただし、ヘルキャットなどではスコアマークやパーソナルマークを描いた機体があるから、戦闘機隊では搭乗機が固定されていると思われる。


■ 撮影

 空母上に見立てたセットの上で撮影するため、甲板をでっちあげる。米空母の飛行甲板は、日本空母とは異なり、板目が横方向で、Blue Flight Deck Stainと呼ばれる暗青色に塗装されていた。興味のある方はこちらもどうぞ。そこで、東急ハンズで買った60cm×90cmの合成木板(木チップを固めたもの)にカルコでスジ彫り、ブルーフライトデッキステインに見立てた水性ホビーカラーのネイビーブルーを、水で5倍程度に希釈して塗装する。数メートル毎にある金属製のジョイント部は、再現が困難なので無視。

 背景は厚紙に空と海を描いたもの。空は、絵の具の水色そのままでは撮影した画面に違和感がある。赤を少し多いかな?というぐらい混ぜ、色相を紫に振る。雲は白をエアブラシで吹いただけ。これは楽しい。

 5年程愛用していたニコン・クールピクス4300がトラブルのため、キャノン・パワーショットS3ISに更新。レンズ直径が大きい分だけレンズ性能に勝り、より深く絞れる(=奥までピントが合う)ようになる。シーファイアXV、同Ibも新カメラで撮影。手振れ防止機能も工作中のスナップ撮影に便利。


■ モトタグ

 おまけのモトタグ。タミヤのコルセアかなんかに入ってたやつ。ディティールアップ一切なし。ダークグレイで下塗り。2〜3色のグレイを吹き付け、ダークグレイと赤褐色をドライブラシ気味にこすりつける。エンジンはダークシルバーでドライブラシ。茶色の水溶きパステル粉でウォッシング。エッジに鉛筆をこすりつける。以上。すぐ出来上がる。撮影用小道具なので、きつめに汚す。


■ 雑感

 例によって、つまらぬゴタクなど。

今回の総括

 最近どうも細かい事にこだわり過ぎ。あまり度を超すと模型作りが楽しくなくなっちゃうから、要注意だ。気をつけよう。まあでも、たまにはこんなハードモデリングも悪くないかも。

 理由。超絶ヘルダイバーの村上氏もどこかで書いておられるが、製作時の苦労が大きいほど完成後の喜びは大きい。HP上で苦労の成果を「どーだ、どーだ」と自慢するのは快感。元々工作好きだから、キットを切り刻んだり、パーツを自作してれば脳内麻薬。あとは「手間を惜しまない」「とにかく手を動かす」「失敗は、めげずにやり直す」という行動規範を遵守すれば、自分が満足できる(←これが大事)作品が出来上がるというわけ。

 たかが模型、1ミリ2ミリにこだわるなんてくだらないという考え方もある。ただ、私にとってはとにかく「形」の似ている似てないは大きな問題。似てないと気持ち悪く、製作意欲が大いに萎える。もちろん、気にならない人はそれで結構。自分でも気持ち悪さに気づく前に完成することもあるし、似てれば何ミリ違おうが問題ではない。もっとも胴体太さが2ミリも違えば、私の感覚では文句なく「似てない」けどね。

似ている似てない

 似ている似てないを左右するのは、「距離(長さや幅)の絶対値」ではなく「形」であり、それは「角度」や「比率」が支配的と思っている。私の記事で「何処が何ミリ違う」とか書いているのは、前者の意味でなく、後者、つまり風防の前傾角とか、ノーズの傾斜角とか、スピナとカウルの太さの比率とか、胴体とキャノピの高さの比率とか・・を表すのに、長さで表すのが説明しやすいから。

 何度も言っているがもう1つ気になるのは、飛行機=「流体に作用する力学によって空を飛ぶ機械」としての自然な姿。翼の断面形や厚さ、翼前縁の曲率、各翼の厚さのバランス、翼の両端の尖り具合、プロペラのピッチやねじれ、等々。翼の後縁だけ薄くても翼端がぼってり厚けりゃ片手落ち。
 それと、その時代の構造力学、設計理論との整合性。「この時代の設計でこの主翼は薄すぎるよな」とか「垂直尾翼がぶ厚くて、水平尾翼はぺらぺら」なんてのはNGだ。


■ ということで

 なんか最後の締りがないけど、これでおしまい。1年弱の長きに渡りお付き合いいただき、深く感謝する次第。



 参考資料 1/23追加



■ 参考文献

 ヘルダイバーは手持ち資料が少なく、モノグラフだと以下の1〜6なので、これ以外の資料も丹念にチェックするのが吉。旧版世傑は、他にない写真があったりして、結構貴重だ。文献-6は珍しい写真もあるし、戦歴も詳しい。スケビ17号には、村上氏の超絶なSB2C-5が紹介されていて、見るたびため息。はぁ〜。






 さらにフランス海軍で使用された−5についての仏DTU社の本三色書房より購入。これは同様に仏海軍使用のSBDドーントレスとの合本。フランス語だが、英語の要約が4ページある。写真も多くてお奨めだ。これ見ると、錨ラウンデルにトリコロール・ラダーの−5も作りたくなるね。なお、三色書房は10月をもって閉店となった。



1 旧版世界の傑作機 文林堂
2 新版世界の傑作機 文林堂
3 オスプレイ軍用機シリーズ48 太平洋戦争のSB2Cヘルダイヴァー 大日本絵画
4 SB2C Helldiver in action Aircraft No.54 Squadron/Signal Publications
5 D&S Vol.52 SB2C Helldiver Squadron/Signal Publications
6 Curtiss SB2C Helldiver Crowood Press
7 Dauntless Helldiver DTU
8 スケールアヴィエーション Scale Aviation vol.17 (2001年1月号) 大日本絵画


■ 参考サイト

  1. 現存機細部写真
  2. 同上
  3. 同上動画あり
  4. 博物館の現存機
  5. 同上
  6. 三色書房top
  7. milk32+氏のHP
  8. 同上八木アンテナについて
  9. Watanabe氏のblog
  10. 同上金属加工講座 切る曲げるハンダ付け黒染め応用編@応用編A
  11. リベットツールWEB通販


次は青蚊。



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