ホーカー シーフュリー FB.11 製作記 その3
2018.5.25初出
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キットパーツ。タイヤとホイールのバランスは良い。インジェクションの限界でブロックの再現がいまいち。やや薄いかも。 |
バラクーダのレジン。ぱっと見は最高なんだけど、ホイールがでかすぎ。キットと並べるとバランスの悪さが分かる。 |
そんなときは3Dプリンタがあるじゃないか。つうことで、いらぬ寄り道。泥沼にはまっていく。タイヤのゴム部はレジンパーツをくり抜いてもいいんだけど、過去作1/32シーファイアのタイヤも3Dプリントしたいなと、モデリングを試みる(下左画像)。溝のパターンを1列作り、次のブロック列はそれを左右反転。あとは円周上に並べてタイヤを切り抜く(詳しくは前出IKE氏の本を見てね)。写真を見て、実機のブロックの数を再現(のつもり)。模型にすると、1/48でもちょっと細かすぎるかな。1/72だと適当にデフォルメしないとダメだろう。 さて、問題はプリント方法で、スライサーに置いた時に下側に位置する個々のブロックは、非連続点の出現となってしまい、うまくプリントできない。それを避けるには個々のブロックにサポートをつけるか、非連続とならないようモデルを改変する(溝の切り方等)か。で、いろいろ試行錯誤した結果、タイヤは横置きにして、その状態で溝が水平になるように設計するとよいようだ(下右画像)。 |
実物どおりにブロックを再現するとこんな感じ。溝が広いのは、プリント時にブロックが膨れるから。これ光造形プリンタの宿命。 |
横に置いて出力するなら、こういう形に溝を切ることになる。 |
補足。上左のデータで横置き出力しても、なんとかプリントしてくれる。ただ、非連続点で硬化したレジンがどこにいったのか考えるとねえ・・ 溝の幅、深さは、試しプリントとデータ修正を繰り返して得られた値。ただし露光時間、層厚さ、レジンの質なども影響する。ちなみに私の場合は層0.05mm、時間10秒あたりが基本。 ホイルも写真を見ながら設計する。空気バルブはスポーク上にあるものと、スポークの間にあるものの2種類がある。初めて気づいたよ。データはもっと細部を作り込めるけど、プリントすると潰れてしまうので、このあたりがせいぜい。 |
タイヤとホイールの3Dモデル完成。 |
お試しプリント。モールドが見えやすいように銀を吹いている。キットパーツよりはディテール出来てるでしょ。 |
ホイールも横置き出力がよいみたい。層厚0.05mmだと積層痕が生じる。上画像は0.02mmにしたもの。タイヤとホイールは分けて、パラメータを変えてプリントした方がいいかも。では、データをアップ。反対側のホイールも一応作ってある。 脚柱も3Dプリント中だけど、長くなったのでここまで。
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前期型。脚カバーも異なり、前期型は内側の一部にパネル。表側にブリスターはない。 |
後期型。フォーク上部にオレオがある。このため、前側脚柱が太い。脚カバーの骨組配置も異なる。表側にはブリスター。 |
前期型。いわゆる普通のオレオは、後側脚柱の中に隠れており、前後の脚柱をつなぐリンクがオレオを押し上げる。 |
後期型。前側脚柱のオレオが伸びた状態。 |
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三次元の曲線を描くには、スケッチ→プロジェクト/含める→サーフェスに投影で、曲面に曲線を投影する。パッチ作業にして面として押し出してもいい。 |
左図の紫線に沿って円をスイープ。出来たブレーキパイプを、移動して脚柱にくっつける。 |
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では、お持ち帰りコーナー。ブレーキラインは別ボディにしてるから、不要なら消してSTLデータ出力されたし。また、画面から消してるが、キャッチリングなどの予備パーツもあるよ。
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脚柱、ホイルはスーパーファインシルバーで塗装。ウェザマスで軽くスミ入れ。右はキットパーツ。かなりトホホ。 |
キャッチリングは、このとおりの抜け具合。アップだとモールドが甘いが、このへんがPhotonの限界。 |
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左:バラクーダ、右:拙作3Dを銀塗装。ただし微修正前のもの。 |
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水色がキットのスピナ基部パーツ(加工後)。本来はスピナ側面と面イチだが、削るとこの部分がなくなるわけ。 |
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右、キットオリジナル。左、修正後。ブリスターを削り、上部を2mmかさ上げ。 |
追加工作ほぼ終了。たまぐり#1でリベット。内側の板部分は0.2mmプラバンを接着して増積。 |
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工作終了。翼との接着部にペロをつける。重なる部分は0.2mmプラバンで。詳細は実機とは異なる(後で気づいたのじゃ)。 |
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上、バラクーダ。下、キット。三角板の穴を1つ追加してやる。 |
タイヤも含め、バラクーダ。 |
脚カバーにディテールを追加して塗装。完成後見えないところに持ち手のプラバンを仮接着する。 |
主脚とカバーを瞬間でガッチリと接着。ところが・・・ |
主脚柱、引き込みリンクともども、ホーカーイエローが正解。マスクして塗り直す。はあー。 |
前後柱をまたぐブレーキパイプも0.3mm鉛線で追加する。 |
光硬化レジンは非常にモロく折れやすい。ムクのままだと、根元でポッキリ折れるのは時間の問題。そこで、後柱には上から約1cmのところまで0.8mm真鍮線を挿入する。穴は3D設計の時点で開けておく。それより下は、脚カバーに荷重を負担させる。そのため、脚柱とカバーは、前から見えないところでタップリ瞬間をつかってガチガチに接着。タイヤ側面もスペーサをかまして脚フォークに接着する。車輪軸だけでは、ちと不安。
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マスキングして塗装。5色塗り分けなので、結構面倒くさい。赤はGX3+微量のセールカラー。 |
脚&フラップ収容部もホーカーイエロー。セールカラーとジンクロイエローを2:1。 |
脚を接着して、目出度く自立。完成が見えてきたぞ。脚の角度については後述。 |
フラップは案外よく見えないな。残念。 |
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やや斜め方向だが、遠方からの撮影なので、パースの影響が少ない。近いとあまりハの字が感じられない。 |
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Fusion360は、設計した3Dモデルを図面にする機能がある。これを使って訂正版3Dデータを出力し、その画像を拙図に取り込んで表示する。まだ機能を使いこなせてなく、表現イマイチなのはご容赦を。側面図にも取り込んで表示する。脚接着時の参考にしていただければ幸い。 |
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断面図の拡大。後部胴体は上下対称ではなく、ややオムスビ形で上が細い。この断面形はタイフーン、テンペストのそれとは多分違う。カウリングは完全な円筒ではなく、後側がやや太い。 |
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右、キット。左、薄く削り前縁のカーブを整えたもの。ブレード幅はいじっていない。 |
先端の黄色は突き合せで塗装。透け防止に銀で下塗り。ブレード本体は白20%混の黒。 |
ピッチに注意してスピナに接着する。コーションはキットデカール。クリアで研ぎ出し。最後にフラットクリアで艶調整。 |
落下タンクはデカール含めてキットパーツ。ウェザマスで汚す。黒四角はもっと大きいのが正しい。 |
シート、コンパス、防弾板はバラクーダのレジン。ベルト上部はセットに含まれず、鉛板で追加する。 |
パイプをシート後方に追加。実機とは若干異なる。操縦桿はキットパーツ。塗色は現存機に従う。 |
照準器もバラクーダ。ガラスは0.2mmプラバン。縁を薄めたダークグレイで塗ると目立たない。底にプラバンを接着しておき、コクピットには溶剤系で接着する。 |
フックはキットパーツ。断面のくびれがイイ感じ。当時の実機が黄色かどうかはよくわからない。ロッド部は1.0mm真鍮パイプ。 |
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続いてコンター図。上はテンペストII(シーフュリーじゃないよ)、下はテンペストV。それぞれの断面図を描く位置は、シーフュリーとテンペストでは異なるので、見比べる際は注意されたし。 |
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筆塗りタッチアップの白が汚いので、マスクして白だけ薄く吹き付け。乾燥後はクリアを吹かずにラプロスで研ぐ。 |
小突起類を取り付ける。プラバン細工を接着して筆でタッチアップ。ウェザマスで馴染ませる。 |
スライドフードの手掛け穴を開口。ホイップアンテナは0.3mm洋白線。 |
危うく忘れそうになってたけど、こんなところにギア・インディケータがあるのだ。 |
車輪ドアのロッドは洋白線。IFFロッドは真鍮帯金。脚庫内のディテールは、モジュール式で後付けと思ってたけど、この際スルー。 |
伸縮式の足掛けはキットパーツを薄く削る。色は不明で推測。 |
補足。画像にないけどハの字の車輪は、根元から切り取って真鍮線を打って角度を修正。こんどはハの字がキツすぎか。いつも修正するとやり過ぎちまうんだよな。作業中に脚をぶつけて、中心の真鍮線の先でヒビが入る。もっと先まで入れておけばよかったか。脚カバーに荷重を持たせる設計なんだけど、ヒビの場所が悪くて若干不安。そこで、目立たない後ろ側に、脚柱に沿って0.5mm真鍮線を瞬間で接着。骨折時の添え木みたいな感じ。塗装すると目立たない。 足掛けの前上方にあるドア式ステップは、実機では脚下げと連動して開く。これ、前から気づいてたんだけど、胴体左右を接着した後だったので、止む無くスルー。穴を開けるとコクピットまで抜けちゃうからねえ。なお、伸縮ステップは脚やフラップとは連動してない。機銃は0.7mm真鍮パイプ。ピトー管は0.7mm真鍮パイプ+0.5mm洋白線。真鍮パイプは、ミッチャクロンの上にガイアのプレミアムミラークロームをエアブラシ。よく光る。 ラプロス#6000で表面を軽く研磨。サテングロスの艶にする。最後に、上面にウェザマスのグレイ(日本艦船用)+サビのウオッシュ。これでリベットが目立ってくれる。グレイだけではちょい明る過ぎ。それでも目立ちすぎる箇所はススでトーンを落とす。以上で平成最後の日に滑り込みで完成(一応)。いや実は3Dプリントのロケットランチャーも付けたくて、データも作ってあるのだが、これは令和の作業ってことで。あ、ちなみにチャーチルも完成してるので(写真はまだ)、未完で元号跨ぎは隠し玉のアレのみだ。
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あまりに上手すぎるので、老婆心ながら一言。オヤジになるといくらでも模型は作れるので、若いうちは模型より大事なこと(勉強、仕事、彼女、妻子、etc)を優先してね。というか、やっとかないと、オヤジになって楽しく模型が作れなくなるよ。
LCDプリンタはレジンが割れやすく強度が低いのが難点であったが、タフレジンという弾力性があり割れにくいレジンがあるとのこと。買ってみよう。詳細は下記から。 https://3dprinteronline.shop/product-category/tough-resin また、出力中にある層がズレて出力される現象は、私だけではないとのこと。ChiTuBoxというスライサーを使うとよいらしい。当フリーソフトは、Photonスライサーよりも使い勝手なども良いらしい。使ってみよう。詳細は下記から。 https://www.chitubox.com/
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3Dプリント済なので、あとは色塗って取り付けるだけなんだけど、静岡後しばらく放心状態。次回更新で。
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プリントアウト。出力方向はこれしかないよね。積層跡は、無処理。塗装すると目立たない。 |
翼に取り付け、ウェザマスでウォッシング。同じ形に揃うのは3Dプリンターの強み。 |
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-4~6、10~12も塗装と戦歴。細部ディテールは-7~9だが、これらは現存機なので信憑性はやや疑問。-13~16の朝鮮戦争本は本機の記述も少なく、わざわざ買うほどではないだろう。-15はミグキラーのカーマイケル大尉本人と機体の一部の写真がある。ただし機体塗装は不明(既存塗装図は単なる想像図じゃないかな?)。 文献-18以降にタイフーン、テンペスト関連資料を追加。-20はクロステルマンの伝記。-21~23はマニュアル類。テンペストの組立・補修マニュアルがない。-24の大著は内容充実で参考度高い。-25~30は定番。-28にある飛行中のV型の側面写真は遠方真横鮮明で、拙図面の外形のベースとなっている。-35の4+本、および-36~39の2TAF本も参考度高い。 |
0 | 航空ファン別冊 エアコンバット No.15 | - | 文林堂 |
1 | Pilot's Notes for Sea Fury 10 & 11 | - | Minister of Supply |
2 | Sea Fury FB Mk.11 Aircraft Servicing And Descriptive Handbook | - | |
3 | From The Cockpit No.12 Sea Fury | 978-0-946958-73-3 | Ad Hoc Publications |
4 | Hawker Sea Fury in Action Aircraft Number 117 | 0-89747-267-5 | Squadron/Signal Publications |
5 | Warpaint Series No.16 Hawker Sea Fury | - | Hall Park Books |
6 | Hawker Sea Fury In British, Australian, Canadian & Dutch Service | 978-1-905414-11-6 | Dalrymple & Verdun Publishing |
7 | The Hawker Sea Fury A Detailed Guide To The Fleet Air Arm's Lase Piston-engine Fighter | 978-0-9567198-6-7 | Valiant Wings Publishing |
8 | MDF 4 The Hawker Sea Fury Royal Navy & Export Versions | 978-1-906959-40-1 | SAM Publications |
9 | Warbird Tech Volume 37 Hawker Sea Fury | 1-58007-063-9 | Specialty Press |
10 | Hawker Sea Fury | 2-85882-630-7 | Ouest France |
11 | Hawker Typhoon, Tempest And Sea Fury | 1-86126-620-0 | Crowood Press |
12 | Sea Fury, Firefly and Sea Venom In Australian Service | 1-875671-05-6 | Aerospace Publications |
13 | Aicraft of the Aces 4 Korean War Aces | 1-85532-501-2 | Osprey Publishing |
14 | Air War Over Korea | 0-89747-137-7 | Squadron/Signal Publications |
15 | Korean Air War | 0-7603-1511-6 | Motorbooks International |
16 | Air War Korea 1950-1953 | 0-7603-0551-X | Motorbooks International |
17 | Aeroplane Monthly August 2001 | - | Key Publishing |
18 | 新版 世界の傑作機 No.63 ホーカー・タイフーン/テンペスト | 978-4-89319-060-4 | 文林堂 |
19 | 旧版 世界の傑作機 No.70 ホーカー タイフーン/テンペスト 1976年2月 | - | 文林堂 |
20 | 航空ファン別冊 エアコンバット No.11 | - | 文林堂 |
21 | Typhoon IA & IB Aeroplane Sabre II Engine | - | Air Ministry |
22 | Pilot's Notes For Typhoon Marks IA and IB | - | Air Council |
23 | Pilot's Notes For Tempest II / V | - | Minister of Supply |
24 | The Typhoon & Tempest Story | 0-85368-878-8 | Arms and Armour Press |
25 | Typhoon / Tempest in action Aircraft Number 102 | 0-89747-232-2 | Squadron/Signal Publication |
26 | Aircraft of the Aces 27 Typhoon and Tempest Aces of World War 2 | 1-85532-779-1 | Osprey |
27 | Combat Aircraft 86 Typhoon Wings of 2nd TAF 1943-45 | 978-1-84603-974-4 | Osprey |
28 | Combat Aircraft 117 Tempest Squadrons of the RAF | 978-1-4728-1454-8 | Osprey |
29 | Warpaint No.5 Hawker Typhoon | - | Hall Park Books |
30 | Warpaint No.55 Hawker Tempest Mks.II to VI | - | Hall Park Books |
31 | Hawker Typhoon The Combat History | 978-1-85310-908-9 | Airlife |
32 | Monografie Lotnicze 94 Hawker Typhoon cz.1 | 83-7237-151-2 | AJ-Press |
33 | Monografie Lotnicze 95 Hawker Typhoon cz.2 | 83-7237-159-8 | AJ-Press |
34 | Wydawnictwo Militaria 126 Hawker Typhoon | 83-7219-103-4 | Wydawnictwo Militaria |
35 | Hawker Tempest Mks.I,V,II,VI,TT Mks.5,6 | 80-902559-2-2 | 4+ Publication |
36 | 2nd Tactical Air Force Volume One | 1-903223-40-7 | Classic |
37 | 2nd Tactical Air Force Volume Two | 978-1-906537-01-2 | Classic |
38 | 2nd Tactical Air Force Volume Three | 1-903223-60-1 | Classic |
39 | 2nd Tactical Air Force Volume Four | 1-903223-41-5 | Classic |