三菱 零式艦上戦闘機二一型 タミヤ 1/72 製作記 その1
2024.6.19初出
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時は経ち、アルマのP-400を製作。箱絵の零戦に刺激されて並べたくなる→そういや積んどるな。という訳なのだ。塗&マは、緒戦の陸上基地部隊にするつもり。ただし、途中で気が変わるかも。とりあえず保留中の1/48は、まあ気が向いたら着手しようか。 言わずと知れた好キットだから、素組みなら直ぐに出来てしまう。それでは面白くないので、ワンポイント付け足す。それがカウルフラップ。キットは閉じた状態のみ。そこを3DPで開いてやる。どうせ作るなら、人と違うものにしたいのだ。←根っからの天邪鬼 ちなみにキットは、金型の抜きテーパーでわずかに後ろ広がり。実機はカウルから胴体への面の流れで後ろ狭まり。じゃあ、ついでに閉じたパーツも作るか。 |
![]() これがその箱絵。 |
キットをそのまま組むと、フラップ部に0.2mmほど段差ができるので、これから組む人は要注意。段差が出来ないよう合わせ目を削ったつもりだったが、不十分で段差発生。サンディングとスジボリ再生に手間を食う。翼端部は、ヒケが生じているし、合わせ目には隙間。その処理で、繊細なスジボリが消えてしまう。イライラ。 重箱の隅では、主翼などに浮き出しパネル表現がある。機銃パネルや燃料タンク部だけでなく、主翼などは外板にも微小な段差がつけられている。これがサンディング時に邪魔くさい。こういう余計なことは、しなくてよろしい。後々塗装面をラプロスで磨く際に支障になるので、出来る限りフラットに削る。 外形では、主翼フィレットの峰が気になる。実機では後方にいくにしたがって峰が丸くなって胴体に溶け込むのだが、キットでは後端の峰が三角形の面になっている。これ、アカデミーの1/48零戦が同様(というかさらに極端)な表現となっていて、多分タミヤを真似したんだろうね。 美点も述べる。動翼羽布表現はとても良い。実機は凹みはなく真っ平らで、リブ部のみ凸線。これが正しく表現されている。他社も見習ってほしいところだ。それと、余計なリベットがないのもいいね。スジボリの太さも適切。 アウトライン、合わせ、細部の出来の良さは、言うまでもないので省略。この3つが揃ったキットは極少数で数えるほどしかない、とだけ言っておこう。
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![]() コクピットは全くキットのまま。計器盤はキットデカール貼りっぱなし。貼り方はP-400などと同じ。 |
![]() あっという間に「二」の字。接着は流し込み系。シートは後付け。気が向いたら3DP。 |
左舷主翼と胴体に0.2mmほどの隙間ができる。0.14mmプラペーパーを接着しておく。前述のフィレットは丸ヤスリなどで三角面を削ってやる。浮き出しパネルが邪魔なので、同時にこれも削ってしまう。 この段階で、全てのスジボリをエッチングソー、0.1mmラインチゼル、ケガキ針などで彫りなおし、表面のヒケや段差をペーパーで均す。 |
![]() 翼との合わせ目にプラペーパを貼り、整形する。 |
![]() 峰はこんな具合に削る。 |
ついでに栄エンジンも作っちゃう。ダブルワスプの設計資産を使うと、わりと簡単に出来上がる。例により正面から見えない部分はテキトー。シリンダーヘッドやバッフルプレートの複雑な曲面はカロリー高いからパスなのだ。タミヤキットのカウルに丁度納まるサイズにする。プロペラ軸直径もキットに合わせる。 |
![]() 出来上がり。操作ロッドは見える部分のみ。排気管もチラ見えに耐える再現度でよしとする。 |
![]() エンジンと合体。ただし出力はそれぞれ別がよい。ギアケース上の補器(プロペラガバナー)は栄12型にはない模様。 |
![]() 閉じたフラップ。出力は前を下。両側の壁は、主力時の変形を抑える目的(後述)。 |
![]() 32型以降のギアケースのバリエーション。これはボディの表示/非表示で。32型以降のカウルフラップも後日設計(7/29訂正)。 |
フラップ角度変更は、タイムラインを遡り、フューチャー編集で「移動14」の角度を変更する(数字は順番に並んでいないので注意)。さらにタイムラインを遡り、「回転1」で隙間を塞ぐ三角板の角度を変更、最後に操作ロッドをフラップに合わせる「移動10」で位置を調整する。また、タイムラインを最後まで行くと、排気管とロッドを別出力できる仕様になる。 歪み防止の板について。フラップを前を下にして出力すると、排気管がある層とない層の境界で、表面に段差が発生する。これは、成型品とフィルムとの剥離具合が異なること(硬化面積の急変→付着力の変化→付着による歪みの変化)で生じると考えられる。壁を作ると付着力の変化が抑えられ、段差が出来難くなると考える。メカニズムの真偽はともかく、壁は明らかに効果がある。 これらパーツは1.5倍すれば1/48にも使えるだろう(キットとの合わせは未確認)。エンジンプラグコードの直径変更は、コンポーネント「harness」のスケッチ「ignition front」中にある円の直径(デフォは0.7mm←スケッチは1/32なので1/72だと0.3mm、1/48だと4.7mm)を変更する。プロペラ軸の直径はスケッチ「rear」の円の直径を変える(デフォは2.05mm←このスケッチは1/72)。 |
![]() お試し出力して、キットのカウルに合わせてみる。 |
![]() 前から。エンジンはほとんど見えないな。 |
![]() ロッドは結構目立つね。排気管は暗くてよく分からない。 |
![]() キットのエンジン。悪くはない。プラグコードの自作が面倒なだけ。 |
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![]() 左翼上面。翼燃料タンク部のダブルラインがポイント。これは0.3mm間隔の自作ダブル針で打つ。 |
![]() 右翼下面。リベット打ちと並行して、全てのスジボリを、ラインチゼル0.1mm、エッチングソーやケガキ針などでさらっておく。 |
毎度同じだが、リベットの打ち方をご紹介。ガイドはカッティングマシン用のシート。「中長期用屋外耐候カッティング用シート」で出てくる。貼るときは、始点と終点に点を打ってそれに合わせる。点の間隔は目見当で。列が揃っていれば、間隔の乱れはさほど目立たない(ハズ)。 打った後の「めくれ」は、先がカーブした平刀でさらってからペーパーをかける。こうすると穴が詰まりにくい。下画像で見えている平らな面を下側にするとやりやすいよ。手元を目に近づけたいので、適当な箱を台にする。これで猫背が多少改善。 |
![]() 疾風製作記の再掲。ガイドのテープ(カッターで細く切る)とケガキ針(トライツール)、平刀。 |
![]() 高さ10cmの台(せいべいの缶)の上で作業する。参照する図面は1/72サイズに合わせてコピーする。 |
今回、リベットラインの参照に世傑零戦スペシャルの鈴木幸雄氏の図面を使う。しかーし、キットのパネルラインと違うのは何故? 一体何を信じたらいいの? これが正解!っていう図面ってあるの? どなたかご存じ? モケイとしては、パネルラインはそのままにして、リベットラインのみ図面を参照する。合わないところはテキトーに処理する。 |
![]() こちら世傑零戦スペシャルの鈴木幸雄氏の図面(部分)。ナニがアレは許してくだされ。 |
![]() こちらタミヤのインスト。翼桁の結合部のあたりとか翼端とか違うでしょ。小アクセスパネルの有無や位置も違う。 |
厳密にいえば、カットすることで一番上のパネルのみ高さが低くなるので、そのうちフラップ高さを見直した32/22型用パーツも設計しようかな。というのも、実機写真を見ると、32/22型のカウルフラップは4枚とも同じ高さであって、上の1枚だけが低いようには見えないので。 ではこのあたり、実機はどうなんだろうか。32型になって、ダクトの分だけカウルが上に拡大した。このとき考えられる可能性は3つ。@ カウルフラップの部品はそのまま設計変更なしで流用され(←軍用機の型式変更ではよくある話)、上端位置も実機は変更なしで、キットはこの点が違う。A カウリング後端の形状は21型、32型以降とで異なり、それに伴いカウルフラップは改設計された。だから正面形も違う(キットの解釈は間違い)。B フラップ取り付け基部は変更なしで正面形は同じだが、フラップ高さのみ改設計した(つまりキットと同じ)。 私の予想は@かAで、Bはないと思うのだが・・・ 引き続き、胴体リベットに進む。
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![]() 胴体前半はこんな具合。スケールを考え、一部は省略やデフォルメ。主翼境は残しておく。 |
![]() 後半。ラダーのリブはインレタを作成済み。 |
前回記事のパネルライン違い問題。知人によると、調べた限りではタミヤが正しいようだ、とのこと。世傑図面の細かい分割のパネルラインは、試作機のものらしい。情報感謝。追加でスジボリしなくてヨカッタよ。 ところで、今でも時々「図面と比べてキットは〇〇が違っている。図面に合わせて修正・・・」なんて記述を目にするが、不思議と図面は正しくてキットは間違っていると信じているんだよね。何を根拠に信じてるの? 図面って、間違っているものも多いよ。
併せて、栄エンジンも修正してファイルを差し替える。プロペラガバナーは、栄21型(零戦32型以降)から装備されたようだ。ファイルの修正箇所は、プロペラガバナー、カウルフラップとの合わせ改善、あとプラグコードとギアカバーも微修正。従前記事のレンダー画像も、訂正版に差し替える。 |
![]() 32/22型用「閉」状態。キットは抜きの都合で21型同様に後広がり。3DPは後狭まり。 |
![]() 32/22型用「開」状態。角度は20°。排気管とフラップ作動ロッドは21型用パーツと同様。 |
![]() 52型以降用「閉」状態。これも3DPは後狭まりで、カウルから胴体へのラインがスムーズ。 |
![]() 52型以降用「開」状態。そのままではキットの単排気管パーツが入らないので、そこは各自工夫されたし(対処案は後述)。 |
補足。52型の排気管は、キットではカウルフラップパーツの後面に接着するようになっている。しかし、3DPでは操作ロッドが邪魔で、そのままでは後面に接着できない。何とかならんかと、いろいろ考えたものの、やはりこうするしかないとの結論。対処方法は、@ 作動ロッドを切り取り、排気管接着後に伸ばしランナーで置き換える、A ロッドの半円型基部のサポートの一部を切り取り、そこから排気管を差し込む、B 排気管パーツを1本ずつに分け、胴体側に接着、C排気管を1本ずつに分けるのはBと同じで、それぞれをフラップパーツ後面に接着、の4案。私は@を推奨。 なお、Bを除く各案では排気管のプラパーツを3DPに接着する。このとき薄いプラバンを3DPの接着部に瞬間で貼っておけば、排気管は溶剤系の接着材が使え、時間をかけて位置の調整ができる。3DP設計はプラバンの厚みを考慮していないから、その分だけプラパーツを削っておくとなおよい。 これらの3Dファイルは、いつものようにお持ち帰り・・ではなく、当分の間は非公開とし、下記イベントで販売するのみとさせて頂く。
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私は、3Dデータは公開しており、使いたい人は3Dプリンターで出力してね、というスタンスなのだが、プリンターを持っていない人は事実上クローズ。だから、このイベントに参加する意義はあるかな。手持ちデータから、需要のありそうなもの10アイテム程度を考えている。例えば、零戦21型カウルフラップ開および閉と栄エンジンがセットで1アイテム、てなイメージで。AFVはアイテムを絞って1つ2つかな。 で、プリンターをお持ちの方もぜひ会場に来てほしいので、会場限定アイテムを考えたわけ。零戦カウルフラップの他にも検討中だ。1/72を1/48にして細部をスケールに合わせて調整、みたいな他スケール展開もあるかな。 データは無料公開でも、出力品は無料とはならない。プリントするだけでも、結構大変なのだ。イベントの趣旨にそぐわないし。販売価格は検討中。あまり安いと他の出展者を圧迫するだろうし、経費と手間賃ぐらいは回収したいから、まあ相場程度で。ただ、その相場がよく分からなかったりして。 通販は考えていない。遠方の人には申し訳ないが、ぜひ直接イベントに来て購入してほしい。イベント前日には北千住で「激作展」があるので、あわせて如何かな? 私も作品持参で参加する予定だ。
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![]() 士の字(エの字というべきか)。フィレット境に若干段差が生じる。丁寧に擦り合わせる。 |
![]() 上面優先にしたので下面にしわ寄せが生じる。段差隙間は瞬間で埋める。 |
キットは下面の左右フラップ間の主翼と胴体の融合部にクッキリとしたクビレ(谷折り線)がある。上右画像でグレイの線状の部分だ。これ、サフを塗ってサンディングして、凹部にサフが削り残った状態。ここは実機も凹曲面であるが、ここまでクッキリとはしてないと思う。あまりいいのがないのだが、実機写真を見ていただこう。 |
![]() NASMの中島製52型。これなど、凹線は感じない。 |
![]() 21型。胴体下端より翼後縁の方が上にあるから凹曲面ではある。一部のキットは平らだけどね。キットと比べてどうかな? |
機首(カウル)下面から翼下面への融合部も、キットは割と明確な折れ線があって、三日月形の車輪カバーが折れ曲がっている。ここはキットが正しいのかどうか、よく分からない。 |
![]() 同じ52型。このラインはキットとよく似ている。車輪カバーの折れ線が分かる。 |
![]() 同じ21型。これだと折れ線が明瞭でないように見える。アングルと光線のせい? |
作品は、後方のものについては、段差修正のついでに削って谷線を目立たなくする。前方はそのまま。
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![]() 打ち残していたリベットを済ませる。 |
![]() フィレットと水平尾翼との境界部にたまぐりを打つ。キットは抜きの都合で再現されていない。 |
![]() 尾灯をクリア化する。 |
![]() アンテナ柱は真鍮線削り出し。 |
![]() リブテープはインレタ。コルセア-5Nのついでに作っておいたもの。 |
![]() 下面エルロンは、版の余白の都合で赤。 |
![]() インレタ部分にサフ。 |
![]() キャノピ内側に、自作ジェット機用タイヤブラック(大戦機タイヤブラックより暗い)。 |
できた面に厚みを付けてソリッド化し、側面形でカットする。フチは、先ほどの面に側面形を投影してできるエッジをパスとしてパイプを作成する。厚みをつける際に両側を指定すると、板の中心にパスがくる。これがミソ。一発ではパイプができないので、部分に分けて作り、間をロフト(ソリッドモード)でつなぐ。多少スムーズでなくてもプリントすると分からない。この方式、いいかも。しかしこの文章、フュージョンをやらない人には意味不明だろうね。 ベルトは、ファインのナノアビを「参考」にする。本当は下面からもう一本ベルトがあるが、面倒なのと煩雑なのとで省略。ま、床に落ちてるので見えない、ってことで。 スピナも3DPだ。キットのスピナは中島製に見られる先のとがったタイプ。三菱製のスピナはもっとずんぐりと丸い。タミヤも塗装指定が三菱製ばかりなのだから、丸いスピナも付けるべきだよな。タミヤがやらないので、私がやる。モデリンクでも販売するよ。 ちなみに、ハセ1/72の21型は、中島タイプと三菱タイプと両方がセットされるとのこと。ハセ、やるな。 |
![]() ベルト付きシート。モデリンクで先行販売。データ公開はしばらくお待ちを。 |
![]() 三菱製21型の特徴である「ずんぐり」スピナ。モデリンクで先行販売。データ公開はしばらくお待ちを。 |
スピナの後端にはフチに0.3mm程度のマージンがある。後端がツライチになるまで削ると本来のサイズになる。軸穴がきつい場合、無理にねじ込むと軸が折損するので、軸を削るか穴を広げるかしてくだされ。
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![]() 画像では見えないが、エンジンも入っている。ずんぐりスピナがいい感じだ。 |
![]() やはり排気管はあまりよく見えないな。 |
残るは、風防&キャノピの接着・整形とマスキング。
※ 追記、九州地区でも同様に事前予約&受け取り方式で販売。 |
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