零戦五二型 製作記その4
2008.7.14初出
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組み立て(続き) |
塗装作業に入るため、積み残し作業のあれこれ。尾灯はキットパーツをそのまま使用。胴体パーツの方が太く、削り合わせで折角のリベットが消える。このテイルコーンの部分は、ラダーと比べても幅広で(ラダー表面を平らに削ったせいもあるが)、これは胴体左右を接着する際に接着面を十分削り合わせて幅を調整しておくのがベター。作品は泥縄作業で少々スッキリしないのが残念。 風防と後方キャノピを接着するための作業を少々。アンテナ柱は2.0×1.0mm真鍮角棒から削り出す。クリアパーツとの関係をよく調整して、しっかり接着。クルシー帰投方位指示器はキットパーツ。予定マーキング機の写真では、窓の反射で有無が不明だが、空母搭載部隊なので、クルシーと無線機は積んでいるだろうとの推測。 九八式射撃照準器は、ファインモールド(FM)製の真鍮ロストワックス。形やディティールはナカナカのものだが、加工しづらいのが難点。レジンのいいパーツがあるといいのだが、クイックブーストも九八式は1/72のみで諦める。ガラスのリフレクターの基部を薄く削り、その後ろ側にエバーグリーンの0.13mm透明プラバンをクリアー塗料を接着材がわりに接着する。うまくはまらないので、エッチングノコで少し溝を掘る。基部とプラバンがぴったりくっつかないけど、硬くて歯(刃)が立たない。 機体への取り付けにひと工夫。風防接着後に取り付けたいので、イモ付けでは心許ない。真鍮の照準器本体にピンバイスで気長に穴を掘り0.35mm真鍮線を差し込んで接着。胴体側にも穴をあけ、位置と角度はこれで決める。さらに照準器側の接着面にプラバンの小片を瞬間で接着しておく。これで最終組み立て時にはプラ用接着剤が使えるというワケ。 |
アンテナ柱は、持ちやすいようにピンバイスに挟んで削る。取り付け部も挟んだまま細く削り、最後に切り離す。 |
ファインモールドの真鍮パーツ。照準環は後で適当なエッチングを取り付ける予定。 |
オーマイガ――― ッ!!! クリアパーツと胴体との隙間に接着剤が流れて、ガラス面が汚れたじゃないか!! P-35でもP-36でも同じ失敗。学習能力の無いやつだな、全く。ということで、これから作る皆様は十分注意を。通常の粘度の高い接着剤をオススメ。私は、同じ事故を予防するため、胴体側を少し削って隙間を大きくするのだ。 |
流し込み接着剤が流れて、窓が汚れてしまう(赤丸部でグレーに見えるところ)。 |
クリアランスを取るため、胴体側を削る。一歩進んで二歩戻る。 |
WEB検索すると、搭乗員は藤井四方夫一等飛行兵曹で、台湾沖航空戦で戦死されたという記述がある。第2候補はその隣の653-105。この搭乗員は不明。その他の候補としては、サイパンの261空(61-131、61-121など)もあるが、一度1/72で作っている。 653空機については、考証が少々悩ましい。写真の第一印象では-111では機番が白く見えるし-105では黄色に見え、資料により、黄、白の両方の説がある。また、-111のラダー上部の四角い(?)マーキングの詳細も不明。隣の-105はカウルが明るく、暗色のスピナでもあり、なんとなく機首だけ三菱機のイメージ。エンジン関係をそっくりすげ替えたか?? ということで、653空についてご存じの方、教えて頂けると大変有り難い。
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クリアパーツ接着終了。風防は、スライドキャノピを閉じたときに隙間ができないように十分摺り合わせる。 |
風防と胴体をツライチにすり合わせ。あらかじめ、窓枠のスジボリをケガキ針でなぞっておく。 |
次にキャノピのマスキング。リスクの少ない細切りマスキングテープ方式の予定だったけど、隅のRが厄介。余りパーツで練習してみると、キットのスジボリモールドがはっきりしてるのでセロテープ方式でもいけそう。ということで、キレ重視でこっちに決定。 隅のRは、これまでは「えいやっ」とデザインナイフ一発勝負だったけど、今回は1.0mmポンチでくり抜いたセロテープを四隅に貼った上からセロテープを重ねて貼る。こうすると小丸テープがいいガイドとなってナイフでの切り抜きが簡単になる。しかし、零戦は窓が多いね。全部で22枚。角や辺の数はその約4倍で約90個、ナイフで切る回数も約90回。疲れるぜ。 |
左側はマスキングが全て終了したところ。右側は作業中で、隅に小丸セロテープを貼ったところまで。 |
続いて、スジボリをナイフで軽くなぞって当たりをつけてから、セロテープを貼ったところ。この後デザインナイフでスジボリにそって切る。 |
セロテープ法の注意点。@ナイフの切れ味が良すぎると逆に脱線しやすくなる。新しい刃の先端を軽くペーパーに当て鈍らせたぐらいが丁度よい。Aセロテープを貼る前にスジボリをナイフでなぞっておく。これも脱線を防ぐ重要な工程。B部分的にスジボリがハッキリしないところがあれば、その部分のみマスキングテープを使うとよい。C3次曲面の場合は、セロテープに切り込みを入れ、窓枠境界部にぴったり貼る。なお、理論的にはカットは1箇所で済む。
とはいえ目立たない部分だし、無視するつもりでいたが、キットのモールドをうまく移植すれば出来るんじゃないかな?と思って試してみる。ベースは0.2mmプラバンで、キットパーツの形を写し取る。周囲の補強材は0.14mmプラバンの細切り。開閉作動アーム取り付け基部や、中央の当て木はキットパーツを切り取って、#240ペーパー上で厚みを削り落としたもの。 |
左はキットパーツ(縁は薄く削ってある)。右は自作パーツ。アーム基部の周囲も0.14mmプラバンにすればよかったかな。 |
後方から見たところ。右のキットパーツの後縁が湾曲している。左は自作パーツ。 |
キットのカバーが折れ曲がる原因は、主翼下面、脚収容部付近の曲面の解釈違いではないかと私は思う。キットはカウリングから続く胴体の円筒形が主翼下面にくっきり浮き上がるような形をしており、その境界の折れ線が、車輪カバーの位置にあるため、カバーが折れ曲がるわけだ。(キット主翼パーツに脚カバーを閉状態となるように置くと、私の言いたいことが分かっていただけると思う) 一方、実機はこれほどくっきりしてなく、折れ線も曖昧で、その結果として車輪カバーは折れ曲がらないのではないか。以前、側方からの見え方をキットと実機写真で比較したとき、キットの車輪収容部付近のラインが下がっていると指摘したが、それが関係してるかも。いずれにせよ、主翼下面パーツは修正していない。目立たない部分だし折角のモールドが消えてしまう。
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オイルクーラーインテイク内部の仕切りを0.2mmプラバンで置き換え。 |
コクピットもマスキングして、塗装準備終了。 |
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塗装 12/24追加 |
何度もくどいが、サフの代わりにグレイなどの塗料を使うのは止めた方がよい。理由は、通常の塗料はクリア分が多く含まれるため、その後の修正でペーパーなどかけてプラが露出すると、次にその上から塗装したときにプラ地と先に塗った塗装の境に段差が生じるのだ。また、同じ発色を得ようとすれば、クリア分だけ塗膜が厚くなる。工作不良箇所の発見には、極く薄く溶いたサフが一番。当然缶スプレーは論外。また、白いサフェーサもお奨めしない。極薄に溶いて重ね塗りするとトラブルが生じる。 |
極薄のサフェーサを吹いたところ。 |
左のクローズアップ。ここまで薄いが、これで十分。これ以上厚いと、修正&確認サフ吹きの繰り返しでリベットが埋まる。 |
ここで、後部キャノピの接着に問題発見。胴体とぴったり合ってなく、左舷側に0.2mmほど寄っている。アンテナ柱の調整不足が原因かな。いまさら接着をやり直すわけにもいかず、胴体、キャノピ双方を削って誤魔化す。消えたリベットを再生し、再度、ダークグレイ、サフを吹き、表面を整える。 |
キャノピの合わせを調整。キャノピの穴からの吹き込み防止には、スポンジを使用。 |
灰緑色 これはもう決め手なし。現存する米軍撮影のカラー写真で見ると、雷電は色味のないただのグレイ、彗星は灰緑色。大戦後期の色見本では、下面色は緑味のない明るいライトブルーで、大昔のグンゼ56番明灰白色のようだという話(現物見本を見た人談)もある。桜花のカラー写真が興味深く、胴体は灰緑色、主翼は昔の明灰白色。戦争末期ってこんなものかも。で、中島零戦がどうなのよ、なのだが、現存パーツなど見ると灰緑色系かなあ。ということで、桜花の胴体をイメージしつつ、モノクロ記録写真では暗緑色との対比で暗く感じられるのも念頭に、#128:陸軍機灰緑色、#56:中島製明灰緑色(最近の56番はかなり暗く緑が強い。#128灰緑色より#56「明」灰緑色のほうが暗いとはこれ如何に?)を6:4で混ぜる。しかし、塗ってみると緑が強く感じ、#335:ミディアムシーグレイを半分程足し、結果的に3色が4:3:3程度の割合に微量の黒で明度調整。 カウリング 三菱製は明るめの紺色と言われているが、中島製は単純な黒かな? ということで、#92:半ツヤ黒と白を8:2に混ぜた、いつものダークグレイ。 |
下面色を塗装。これは塗り直し後。本物の零戦がこんな色で塗られていたかどうかについては、はっきりいって自信なし。 |
カウリング。塗ってからラプロス#6000で磨いたところ。 |
暗緑色 米軍撮影カラー写真などを見て、日本軍の暗緑色は市販プラモデル塗料(例えばクレオス15番)の色より青味が強く、また暗いと思っている。残念なことに中島製零戦の鮮明なコダクローム写真は見たことないが、三菱製(と思われる)零戦、雷電、彗星、晴嵐など、総合的に見た印象で中島ゼロもそう遠くなかろうと。なお、これは陸軍機も同じで、陸軍は海軍より茶が強いという説は疑問。陸軍機で青黒い暗緑色に見える機体は多数ある。ガイアカラーの零戦用暗緑色が、まさにその青く暗い緑のイメージそのもの。ただし、模型に塗るとなると別で、ちょっと暗すぎ。かといって白を混ぜると鮮やかになりすぎてイメージから外れる。試行錯誤の結果、#15:中島製海軍機暗緑色、#326:FS15044(サンダーバーズ・ブルー)、ガイア暗緑色を4:3:3で混ぜ、若干の白(5%程度)で明度調整。 |
日の丸、味方識別帯は突き合わせで塗る。日の丸のサイズ、位置は、米軍捕獲機の空撮、空母コパイ上の捕獲機写真などから、慎重に決定。 |
塗装しマスクをはがす。どこの国の飛行機? |
日の丸 赤も難しい色。緑を微量加えることで暗さとくすみを出す。GX3:ハーマンレッド、#114:RLM23、#15:暗緑色を75:20:5で。黄橙色 #58:黄橙色に赤微量を加え、赤味を増す。この色は発色が悪いので、仕上がりイメージより少し赤めに調色する。クレオスの新色GXシリーズをベースに調色すればよかったかも。←いつもの後知恵。 |
まずマスキング。黄色は吹きこぼし必然なので、テープとサランラップで全身マスク。 |
赤と黄色を吹いて基本塗装終了、のはずが・・・ |
そこで、暗緑色は下面の灰緑色を1割程度加えて明度を上げる。カウルは逆に、明度を下げ、色相を青に振る。すなわち#92:半ツヤ黒に#326:サンダーバーズ・ブルーと自家調合暗緑色を適宜(合わせて半分程度か)混ぜたところに白を加え、出来上がりの明度は白1割程度のグレイと同等とし、これで人間の目には真っ黒に見えるはず。 |
最初に塗った暗緑色は日の丸白フチを塗りつぶした暗緑色との想定で残す。 |
カウルと上面を塗り直し。カウルと上面のバランスは改善。画像だと、あまり違いが分からないかも? |
あとは赤の色調かな。なんとなく浮いているようなので。
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主尾翼下面への上面色回り込み、胴体側面の上下色の塗り分けは、Mrペタリで。 |
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塗りなおしついでにウォークウェイ、燃料タンク蓋、脚カバーの荷重表示等も塗る。蓋のマスクはセロテープ。 |
できあがり。塗りなおしといってもほとんど差がないくらい。それでもバランスは改善されて、自分では満足。 |
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左から新ハセ52丙、新ハセ52、タミヤ52(形状修正後)、タミヤ52、タミヤ52甲(基部なし)。大きさ、形状ともバラバラ。 |
実機はともかく模型では、上画像のようにタミヤと新ハセだけで4種のスピナがある。ノーマル52型のイメージに一番近いのはタミヤ52。ただし、米軍撮影の真横写真などと比べて、まだ先端の尖りが足りない気がして、少々削って尖らせたのが画像の真ん中のやつ。隣の修正前と比較されたい。 MG誌(2001年4月号)の渡辺利久氏の実測図面とキットを比較してみよう。タミヤの52型用(2種類あるうち先の尖った方)は後端の直径はぴったり。しかし、全長はキットが1mmほど長い。キットの52甲用(画像右端)のは、先端のRが大きくずんぐりしているが、実機写真と見比べて、Rが大きすぎる気がする。というか、こんな形のスピナって本当にあったのかなあ?これを丙などと同じとするなら、MG図面と比べて後端の直径が小さいのでペケ。 52丙などに用いられた大型のスピナは、MG図面の寸法と比較すると、後端の直径では画像左端のハセ大がジャストサイズ。ただし、長さについてはあまりに過大で、ハセ小(左から2つめ)が全長でちょうど。また側面形のイメージもこれが近いかな。ハセ大の基部にハセ小の前側を継ぎ足すとイメージは近いが、もちろん、うまくつながるわけがなく段差が生じる。もし作るなら、前側パーツの後半に縦に切り込みをいれて広げるとよいだろう。 さて、画像真ん中が作品のスピナ。先端は尖らせるが全長は修正せず。だってその方がカッコイイんだもん。で前後パーツを接着して整形してからペラを接着する。この順番でないと、スピナの整形がうまくいかない。スジ彫りは、例によって本にはさんだエッチングノコ。ペラがあったら邪魔になる。小穴の径が大きすぎて残念。
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プロペラの位置とピッチを保つジグ。タミヤのプロペラに合わせる。数字はプロペラの番号。6本削っていいの3本採用なのだ。 |
接着養生中。このあとペラの形を微修正。 |
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角丸四角パネルは縁のみを0.14mmプラペーパーで。 |
ディティールアップ終了。 |
スピナはプロペラ製造メーカーである住友製で、したがって、三菱/中島や型式でなく、時期によって形が異なる。また、22型と52型ではカウル寄りのパネルラインに違いがあり、また後期の大型スピナは19年中頃からの登場で、一部の中島製52型や甲型でも見られるとのこと。とすれば、三菱製32型と同時期に生産された中島製21型が同じ形状と考えるのは、きわめて自然。タミヤの甲型スピナはそういうことだったワケだ。←サイズNGだけど。 また、脚庫に関連してこちらのページを教えていただく。たいへん緻密に考証されていて、素晴らしい資料である。残念ながら知ったのが遅く、作品での再現は難しいかな。側壁の軽め穴も間違ってるし。 完成後にスピナについて追加(2009.4)。52丙などの後期大型スピナって、彩雲のスピナと同じではないだろうか。実機写真から寸法を検証してないので確証はないのだが、ハセガワ彩雲のスピナは零戦丙のスピナの実測値(の1/48)に近い。上記製造者を考えると、零戦と彩雲でスピナを変えたと考えるよりは、同じものが使われたと考えるほうが自然。 実物はさておき、模型的には、ハセ彩雲からのトレードで決まりかな。全長、直径の寸法はこれが最も近く、形状的にも問題なし。気持ち先端を丸めるといいかも。既にタミヤ甲型用スピナで完成しちゃった人も、取り替えては如何かな(形が全然ブーだからねえ)。
プロペラは、いつもは#131:赤褐色に同明度のグレイを3割程度混ぜたものを使っているが(例えば彩雲)、今回の零戦はいつもより彩度高めなので、いつものやつと赤褐色ビン生を半々程度に混ぜる(つまりグレイ1.5割程度)。どうもビン生って「ビギナーと同じ」という抵抗感があって、少しでも色を変えたくなるのだよね。 スピナはスーパーファインシルバーのビン生(あれ?)。スポンジヤスリ#800でスクラッチ後、さらにラプロス#6000で磨き、光り過ぎを抑える(ここでビギナーと差をつける)。車輪ホイルも同色。 脚収容部はちょっと悩んだが、インペリアルの実機にならって青竹。まずSFSを吹いてから、クリアーブルーを吹く。青竹の色調は諸説あり、塗りたてでは青く経年変化で緑になるという説や、最初から青や緑のものがあるとの説もある。私は両方正しいと思ってるけど。我が家にあるクリアーブルーは、翼端灯を塗るだけに使うので、クリアーイエローを少量混ぜて青緑にしているのだが、そのまま使用。マスクはがしてみると、ちょっと明るく、黒でも混ぜてトーンを落とせばよかったかな。 主脚カバーの荷重表示は、実機写真により2色であることがわかる。青はGX5:ウィノーブルーと#335:ミディアムシーグレイを半々に混ぜる。調色段階ではかなり明るくしたつもりだったが、塗ってみるとそれほどでもなく、もっと明るくてもよかったな。 |
脚収容部は青竹。マスキングはセロテープが便利。ぺたっと貼ってナイフで切る。燃料タンク部のリベットにも注目。リブは11本で内側2本はリブ間隔が広い。 |
小物の塗装。右端はブレーキライン。なお、ここからは撮影環境も変わり、これまでの写真用電球から卓上蛍光灯に変えているので、画像の色調も微妙に変わっている。 |
これで吹き付け塗装は全て終了。
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ハセ零戦で練習。シルク版(青灰色)をテープ止めし、インクを乗せて画像のヘラ(スキージという。これも無償貸与品)で一撫で。 |
できあがりはこのとおり。足踏、ノルナがシルク印刷したもの。後部胴体の銘板もシルク。 |
結果はご覧のとおりで、上手くできればインレタよりもさらに細かい文字が印字可能。画像の「足踏」の文字が潰れ気味なのは版下のせいで、シルク印刷の特性によるものではない。また、インレタで注意書きなど転写すると、一部の文字が転写不良となることが不可避だが、シルクだとそれがない。ただし、私のようなヘタレがやると、滲んだりカスレたりのリスクが若干あり。あとは溶剤の臭いが強烈で、ちゃぶ台での作業は難しいなあ。
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ブレーキラインを取り付けて、脚とカバーを接着し、脚組み立て終了。 |
一部の零戦の主脚には銘板がつけられている。だじゃれん坊氏製作の零戦では、キッチンアルミテープとデカールで再現してあって、いい感じ。真似したいんだけど、中島製52型で存在が確認できず、見送りか。
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機番の下側にあるテープにあわせて、インレタの位置決め。このあとパラフィン紙を抜き取り、転写する。 |
不要のインレタをマスキングテープに貼って、文字の切れ目とラダー分割線を合わせる。 |
次に、653空の機番が黄か白かについて。653-111の写真では、どちらにも見え悩ましいところだが、 文献-20などにある653空の他機(三菱製52乙型)の写真では、日の丸白縁と比較すると白でなく黄色に見える。改めて653-111を見返すと、プロペラ警戒線との比較では黄色もおかしくない。そうなると機番の上の小四角形は赤が順当で、日の丸との明度差も穏当。 黄色の色調もこだわれば悩ましく、モノクロ写真の印象ではレモンイエローのような明るい黄色かも。ただ、現存するオリジナルカラー写真では機番はみな黄橙色に見え、また部隊のストック塗料として黄橙色が支給され、機番にも使ったと考えるのは自然。ということで、作品では黄橙色とする。まあ、半分以上は自分の好み。
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車輪カバー開閉リンクは焼き鈍した0.35mm真鍮線に置き換え。カバー側の取り付け部には溝を切っておくと、接着部がきれいになる。 |
中島製52型では、この位置に脚の銘板(注意書きかも)が取り付けられている機体が見られる。 |
記録写真をよく見ると、52丙型あたりから、もう1本のアンテナ線が垂直尾翼前端からキャノピ後方の開口部に張られている機体が多くある。ある時期から各部隊に共通して実施されたのだろうか。ノーマル52型では不明。いずれにしろ、作品ではキャノピ接着済みで再現不可。 |
零戦のアンテナ線取り付け方法は、垂直安定板上部の穴に線を通している。インレタの出来上がりはこのとおり。 |
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パステルをペーパーで粉にして、石鹸水(ビジネスホテルの固形石鹸)で溶いてウォッシング。 |
エルロン操作ロッドはキットパーツを加工。前方のロッドを0.3mm真鍮線に置き換え、後方のロッドは薄く削る。主翼上面計4個の編隊灯はハセガワ1/48P-40のパーツ。若干オーバースケールだがこの際無視。照準器には照準環をエッチングで取り付けたところ、風防と干渉。無理に押し込んだら、風防内側にキズが付く。やむなく照準環なしとする。 |
シートベルトはファインモールドのエッチング。薄くて実感に欠けるので何とかしたいところだが・・・ |
シートは接着せず、乗せているだけ。気が向いたら、シートを作り直す。 |
航法灯と、エルロン操作ロッドを追加。サフェーサによるエルロンの羽布表現は、自分では気に入っている。 |
翼端灯は色つきアクリル。ピトー管はタミヤ純正ディティールアップパーツ。先端は無塗装。 |
機銃もタミヤ純正パーツを無塗装で使用。脚位置表示棒は純正パーツを紛失してしまい、真鍮帯金を薄く削ったものとする。 |
排気管周囲のアップ。ちょいピントが甘いけど。 |
これまたピント甘いけど、九八式照準器。 |
脚まわり。トルクリンクの追加工作がブレーキパイプでよく見えず、ガッカリ。 |
プロペラとスピナ。スピナは、カメラの角度、距離によって見え方が変わってくる。 |
中島52型の白線はこの位置が多い。スピナは、この画像だと丙型の大サイズのようにも見える。 |
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完成 |
自分にとって今回一番の売りは動翼羽布表現。今やリベットは珍しくないけど、ここまでの羽布表現はあまりないでしょ。実機らしさを増すには、もう少しウェザリングなども追求したいが、いずれそのうち(←いつも言うだけ)。 今回の作品でも、多くの方のご支援、ご協力を頂いた。完成まで切れず続けられたのも、ひとえに皆様の後押しのお陰である。改めて深く御礼申し上げる次第。
3.4.は著者本人による手記ゆえに、言葉に重みがある。この2冊もおすすめ。手記を読むといつも感じるのだが、戦争を生き残った人は、運だけでなく生き残る資質−単なる強さでない合理性、賢さ−が共通してあるように思えてならない。 6.は、大昔に読んだときは贔屓目が強いと思ったが、前よりは少し世の中が分かって読み返すと、当時の状況下でよくこれだけの仕事をしたと率直に驚く(烈風でダメダメだったのはさておき)。7.は米軍パイロットから見た零戦。日本側記述と併せて読むと理解が深まる。日本軍とアメリカ軍とはなぜこうも違うのか。
タダで見せるのもナンなので、「資料はOK。そのかわり、PRしてあげるから零戦のシート送ってちょ」とメールしたところ、先方から商品が届いたという次第。 そのシート、出来は非常に良い。パーツが薄く、縁が非常にシャープ。値段も手頃で、お奨めである。シートベルトがモールドされているのでエッチングパーツも不要だ。エッチングを使いたい人は削ってやればよい。他にもBf109E用のシートなどあるので、サイトをチェックしてみては如何だろう。 |
ご覧のとおり出来はよい。 |
参考資料 |
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1 | 世界の傑作機 No.5 零式艦上戦闘機11-21型 | 文林堂 |
2 | 世界の傑作機 No.9 零式艦上戦闘機22-63型 | 文林堂 |
3 | 世界の傑作機 No.55 零式艦上戦闘機11-21型 | 文林堂 |
4 | 世界の傑作機 No.56 零式艦上戦闘機22-63型 | 文林堂 |
5 | 旧版世界の傑作機1974年6月号 零式艦上戦闘機一一型〜二二型 | 文林堂 |
6 | 旧版世界の傑作機1974年10月号 零式艦上戦闘機五二型〜六三型 | 文林堂 |
7 | 航空ファンイラストレイテッド No.42 日本陸海軍機カラー&マーキング | 文林堂 |
8 | 航空ファンイラストレイテッド No.53 零式艦上戦闘機 | 文林堂 |
9 | 航空ファンイラストレイテッド No.93 Veterans | 文林堂 |
10 | 航空ファンイラストレイテッド No.96 写真史三〇二空 第三〇二海軍航空隊写真史 | 文林堂 |
11 | 航空ファンイラストレイテッド No.109 海鷲とともに | 文林堂 |
12 | 航空ファン2008年8月号 | 文林堂 |
13 | モデルアート別冊 No.272 日本海軍機の塗装とマーキング戦闘機編 | モデルアート |
14 | モデルアート別冊 No.323 零式艦上戦闘機一一型/二一型 | モデルアート |
15 | モデルアート別冊 No.378 真珠湾攻撃隊 | モデルアート |
16 | モデルアート別冊 No.510 日本海軍機の塗装とマーキング戦闘機編 新版 | モデルアート |
17 | モデルアート別冊 No.518 零式艦上戦闘機モデリングガイド | モデルアート |
18 | エアロ・ディティール7 三菱零式艦上戦闘機 | 大日本絵画 |
19 | 日本海軍航空隊戦場写真集 | 大日本絵画 |
20 | 闘う零戦 隊員達の写真集 | 文芸春秋 |
21 | 日本軍用機写真総集 | 光人社 |
22 | 軍用機メカ・シリーズ5 零戦 | 光人社 |
23 | 太平洋戦争日本海軍機写真集U | デルタ出版 |
24 | A6M ZERO in action Aircraft Number 59 | Squadron/Signal Publications |
25 | WARBIRD Legends | MBI Publishing Company |
26 | U.S.NAVY FIGHTERS OF WWII | MBI Publishing Company |
27 | 現存零戦図鑑U | (えい)出版社 |
28 | 零戦52新撮ハイビジョン・マスター版 | ワック |
29 | 不滅の零戦 生きつづける名戦闘機 | 光人社 |
模型製作の資料としては、文献-4、-16、-18、-22が役に立つ。-10はパイロット(とともに機体も)のクローズアップ写真などあり意外に参考度が高い。-11は著者によるイラストの零戦の色調(灰緑色)が興味深い。-19、-20は模型の資料的価値だけでなく、読み物として優れており、とくに-20は渡辺洋二氏編著でおすすめ(-10も同著者)。 -9、-25はレストア52型の空撮があり、他資料では見られないアングルの写真多数で、形状の把握に絶対。-12も同様に空撮写真で思わず購入(←空撮好き)。-26には米軍撮影の不時着し遺棄された32型のカラー写真があり、色調を考察する上で貴重。
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