リパブリック P-47D レイザーバック 製作記 その3

2023.7.13初出

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最終更新日




■ エンジン 11/9追加

 相変わらず、リアル模型は亀進行。作業は塗装に向けての最終準備。年末の展示会に向け、そろそろ完成品がホスイな。少しリキ入れるか。

 つうことで、プリントしたエンジンを塗装する。シリンダーに#8銀を吹いて、スミイレ。カムロッドとイグニションハーネスは筆塗り。シリンダーから浮いているので、案外塗りやすい。ギアケース+補機は別パーツなのでエアブラシ。



エンジン塗装終了。1/48でも通用するんじゃね? これでストックのレジンパーツはゴミ箱行きだな。

カウルに組み込んでみる。あまりよく見えなくなる(悲)。


 実はカウルも、スジボリ幅をビミョーに変えて再出力。私の環境での最適値なので、お持ち帰りファイルは特に変更しないでおく。ちなみに、ラッチは出来上がりで0.2mm、それ以外のスジボリは0.17mm。


■ 細部あれこれ

 リベットは打たないが、ファスナは打つ。セカンダリーカウル(※)やガンベイなどの大きいのは#2で。フィレットや小アクセスパネルは#1で。

 翼端灯はいつもと同じ工作。0.3mmの穴をあけてクリアー赤もしくは青緑を流し込む。翼側をジンクロに塗って瞬間で接着。キットパーツは、小さすぎて逆に扱いづらいな。左舷は失敗していつものようにクリアランナーで作りなおし。この場合、断面は磨く必要なし。ヘッドパッドを3DPに交換。ちょい厚いか。薄く設計修正して何かのついでに再出力するかな。

※ リパブリック社の製造図ではエンジンカウルをプライマリーカウル、その後方のをセカンダリーカウルと呼んでいる。製造会社によって名前が異なるのね。ちなみに、主翼桁も前からスパー#1、スパー#2、スパー#3となっている。



黒テープはファスナのガイド。彫り忘れの長丸四角スジボリをテンプレート2枚重ねで。

写真撮り忘れで、画像はセロテープでマスクしてサフ吹いてテープ上のサフをこそげ落としたところ。

ヘッドパッドは、オープンのキャノピと組み合わせると位置のズレが気になるのだ。

オイルクーラーフラップと補助排気管も接着。その後方はたまぐり作業中。



■ 照準器とシート

 風防を接着する前に照準器を取り付けておきたい。1/72コルセアで作ったMk.8の基部をP-47対応に作り替える。ついでに座席もコルセアの設計ストックを使って手軽に。ベルトはそのまま流用じゃ。



先端の横バー部分を、キットの防弾ガラス取り付け基部のスリットに入れ込む算段。

フレームや座面のディテールなどを変更。ベルトの裏側に面取り入れたので、塗分けが楽になるハズ。←少しずつ進化するのだ。



■ 側面図

 従前の側面+断面図から側面図を分離、右舷側も描き、さらにリベットラインとファスナを追加する。バブルトップは左舷をN、右舷をMとする。Dバブルもドーサルフィンを除いて基本的に同じ。細部も描き足して、だいぶ図面らしい体裁になってきたぞ。まだ間違いがあるだろうから、お気づきの点はお知らせ願う。でも既存図面(世〇とかカゲ〇とか)には勝ってるな。これらは、ざっと見たところ間違い散見。基本形状も全然似てないしな。


  • 胴体リブの位置は、製造図と実機写真から。アクセスパネル周囲のリベットなど細部は完全に再現されていないが、基本的なリブについてはほぼ網羅したつもり。ファスナも製造図と実機写真とで概ね判明。

  • レイザーバックとバブルトップでは、コクピット前方のフレームの数と位置、さらに尾部のストリンガーの本数が異なる。

  • カウルのリベットラインはちょっと手抜き表示。実際にはもっと疎な部分もある。そもそも無塗装機でもほとんど見えないので、模型でも控えめな表現が望ましい部分だ。

  • 胴体リブのステーションとリベット、パネルラインの位置関係は不明。図もテキトー。

  • Dバブルのフィンなしの胴体形状は断面図に記載の側面図を見てくだされ。



 レイザーバックとバブルトップの胴体前方のリベットラインの違いを見ていただこう。バブルは本数が増えさらにダブルになっている。レイザーは比べるとかなり疎。一方で、尾部はレイザーが密なのにバブルは疎。面白いね。



本文に関係ないけど、風防&キャノピ下端フレームの細線は、谷折り線を表示したもので、パネルラインではない。念のため。

バブルは密。アクセスパネルの形は、フレームに合わせてあるのだ。


 次回は塗装作業に入っているかな? その前に塗&マを決めないと。1/48レイザーが欧州なので、こっちは太平洋戦線にすっかな。


■ 主翼下面の違い 11/17追加

 P-47初期の主翼下面は、後に一般的に見られるものと比べて大きな違いが3つある。1つは右翼の三色航法灯がなく近傍のアクセスパネルが異なる。2つ目は、フラップ前方のパネルラインが異なる。3つ目はフラップ前方の小四角アクセスパネルが少ない。この現存主翼のオリジナル度は高いので、こういうタイプの主翼が存在したことは間違いない。



こちらはD型中期(レイザーバックを含む)以降の主翼下面。いわゆる「一般的な」D型の主翼だ。青線が初期との相違点。

初期の主翼下面。前述の現存実機を再現したもの。B型から少なくともD-5まではこのタイプの主翼だと思われる。


 いつから一般的なタイプになるかが問題。手持ちの文献や製造図では記載なし。参照した現存機の胴体にはD-5と記入されているという薄い根拠で、D-5はこの初期タイプであったと推測する(胴体のステンシルはオリジナルかどうか怪しいし、翼を別の機体と交換した可能性も無くはない)。それがいつ一般的なものになるかは不明。

 当時の記録写真で、このあたりが検証できるといいのだが、下面ゆえなかなかハッキリしない。3色灯に関しては、D-15では既に存在している(世傑p98)。C型では「なし」が確認できる。フラップ前方部分に関しては、写真では陰になって分からない。世傑p68の製造中の翼は、この初期タイプのフラップ前方パネルラインである。この機体のブロックナンバーが分かるといいのだが・・ 

※この件、追加情報があり後述する


■ 平面図更新

 上下面図にリベットとファスナを追加する。主翼下面には前述の差異があるので、D初期とD中後期の2枚を作図する。




  • 胴体上面のファスナは、よく分かる写真がなく推測(水色で表示)。カウルとセカンダリカウルの上面のリベットラインも推測。

  • 下面図では主車輪が脚収容部の穴からはみ出しているが、これは脚が斜めに格納されるため。したがって車輪はちゃんと穴に入る。スピットファイアの脚と同じ。

  • 脚柱は外側に3°傾く(製造図の読み取り)。タイヤは地面に垂直。

  • 主脚トレッドは、オレオが伸びた状態で187インチ。脚柱はハの字なので、地上でのトレッドはそれより狭い。車輪は地面に垂直。

  • B/C型の主翼下面も、D初期と同じと思われる。三色灯、フラップ前方パネルラインとアクセスパネルの導入時期は、いまひとつハッキリしない。これらが同時かどうかも分からない。

  • パイロンはD-15から装備される。製造図のトレースなので、サイズ等は合ってるはず。吊り下げる増槽等は機軸に対して-2°ほどの角度がつく。

  • ロケットランチャーは翼下面に対して直角。



 Dバブルトップの上面図のリベットとファスナは作成中。


■ 続、主翼下面の違い 11/27追加

 このところ、P-47に集中なのだ。展示会、間に合うか?? ←ちょっとキビシイか・・

 さて、主翼下面のバリエーションの話を続ける。その後さらに調べると、フラップ前方部分は3つのバリエーションがあることが判明。まず画像を見ていただこう。



D-5とされる現存機。3つのバリエーションのうち最初に出現するので、当頁ではこれを便宜上「 当初型フラップ(※)」と呼ぶ。

左のクローズアップ。フラップの支持ステイが可動ドアで覆われるようになっている。

フラップが下がった状態では、フラップ前方のパネルが、コルセアのように上に跳ね上がる。ステイを覆うドアにも注意。

フラップが上がった状態ではパネルが下がり、奥のリブが丸見えになる。

これが今回発見した第三のタイプ。これを「前期型フラップ」と呼ぶことにする。跳ね上げパネルとドアが廃止されたが、パネルラインは 当初型と同じくフラップ前縁に対して斜め。

前期型を前方から見る。フラップ作動ロッドの位置も 当初型と異なり、ステイより離れる。第3翼桁のリベットラインとパネルラインが斜め。

後の一般的なタイプ。これを「中後期型フラップ」と呼ぶことにする。前方のパネルラインと円形パネルの位置関係に注意(後述)。

同じく中後期型フラップを別角度で。こちらもフラップ内側が整流パネル(固定)で覆われる。


※ 「当初」型って変な呼称だけど、「初期」型にすると機械翻訳したときに前期型と同じ「early」に翻訳される場合があって、海外の読者の混乱を招くのだ。

 補足説明。 当初型フラップのレストア中の機体は、もしかして同じD-5なのかも。最初の画像がレストア前なのかな? 前期型フラップの現存機はカーチス製P-47G-15-CUである。左舷の写真では最内側のステイにドアがないが、右舷にはあるように見えるので、「あり」と判断する。ちなみに中後期型フラップの機体は、ダイブフラップがあるのでD-30あたり。

 次に、3タイプを図面で見比べよう。



当初型フラップ(再掲)。跳ね上げパネルの後端は、フラップにオーバーラップする。ピンクのパネルラインを延長すると、丸いアクセスパネルの中心を通るのが識別ポイント。このタイプで3色灯ありの機体も存在する模様(後述)。

前期型フラップ。パネルラインは 当初型タイプと同じ位置。3色灯の近傍の小アクセスパネルは推測。最も内側のステイを覆うドアは、いい写真がなく詳細不明。 当初型と同じかも?との推測で図面は描く。

中後期型フラップ(再掲)。青いパネルラインの延長線は丸パネルの上を通る。前掲写真をこの識別ポイントで見直してほしい。


 この3タイプが、どのブロックナンバーに対応するかが悩ましいところ。ざっと手持ちの記録写真をチェックしたところ、参考になりそうなのは次の2枚。



当初型フラップと思われる機体。フラップ前方はパネルが跳ね上がっているように見える。3色灯「あり」。

これはたぶん前期型。旧版世傑のカラー写真で、シリアル(42-23297)からD-15-RAである。3色灯あり。


 上左画像の出典は、Squadron Signal社「Checkertails The 325th Fighter Group in the Second World War」。別写真のシリアル(42-75?21))から、D-10-REからD-16-REのどれかである。肝心のところが泥でよく読めない?の数字は、3、6、8、9のどれかかな。でもブロックナンバーは特定できない。

 上右画像は、よく見るとステイのドアが「なし」に見えるので、だとすれば 当初型ではない。前期と中後期の違いであるパネルラインはよく見えない。カーチス製G型とリパブリック製D型の同じブロックが同じ仕様だとすれば、前期型となる。画像は明度を上げてある。

 さらに、記事掲載後に情報を頂く(毎度感謝)。当初型フラップは、パーツリストではD-REからD-10-REまでとのこと。そうなるとB/C型はどうなの?という疑問が湧くが(※)。

 以上から整理すると、D(ブロックナンバーなし)型から少なくともD-5までは「 当初」型フラップで3色灯「なし」。その後、D-6からD-10のいずれかの時点で3色灯が追加され、さらにD-11で「前期」型フラップになったと考えられる。その後、いつの時点で中後期型に移行するかは不明。ただし、もしかすると前期型はカーチス社だけの仕様、という説も否定できない。その場合は、D-11の時点では中後期型フラップになっているわけだ。

※ B/C型のフラップについて。以下の3説が考えられる。私の予想は@。
@当初型。パーツカタログではB/C型の記載は略されたと予想。
A中期型と同じ。D-11以降はまた同じものに戻された。
B別の第四のタイプ。


■ 小物

 塗装開始に向け、小物を進める。以下画像で。



3DPの照準器に0.2mmプラバンのガラスをメタルプライマーで接着。断面を薄めた黒で塗ると目立たない。

キットの防弾ガラス(左)は幅が狭すぎる。0.4mmプラバンで置き換える。本当は下辺が円弧状だけど、面倒なのでスルー。

コクピットに接着する。防弾ガラスの位置、角度も重要。防弾ガラス前方のディテールは省略。←ヲイ

風防を乗せたところ。風防の後端断面は薄くけずってある。

3DPのシートを出力して塗装、ウオッシュ。

エンジンは、プロペラガバナを再設計してギアケース部分のパーツを交換する。以前のレンダー画像も訂正しておく。

パイロンを接着。これはキットパーツそのまま。よく出来ている。

タンク振れ止めもキットパーツ。振れ止めだけ切り取って後付け。削るのが大変。ピンセットで持つと「ピン」と飛んでいくし。

工作中にインタークーラードアのエッジが削れて丸くなったので3DPに置き換える。「胴体細部パーツ」のファイルに入れておく。

風防ガラスをセロテープでマスクしてサフを吹く。窓枠の下地にはインテリアグリーン。


 以上で塗装準備完了。


■ 主脚柱、タイヤ

 主脚柱はキットパーツを使い、トルクリンクのみ3DP置き換えようと思ってたが、脚ドアとのリンクの再現とかブレーキパイプの再現とか考えると、いっそ脚全体を3DPにした方が楽かなと。脚カバーはキットを使う。



主脚できあがり。キットパーツとは互換性あり。軸には上から下まで通して0.6mm金属線を差し込んで補強する。

クローズアップ。脚カバーとのリンクはそのままキットのパーツに接着する。パイプは太さ二段階。

一般的なダイヤモンドパターン。6本スポークホイルは次回で。

バリエーションの十字ブロックパターン。これはF-5(P-38)で作ったものを加工する。

ホイルは、塗装の便を考えて内側、外側それぞれ別パーツにする。

お試しプリント、サフ吹いてウェザマスウォッシュ。このあと、少しいじる。


 タイヤ、ホイルは、一応キットパーツと互換性ありに作ってある。出力環境によっては、キットのホイルと3DPのタイヤがキツいかもしれない。そこはプリント時に1、2%の縮尺変更で対応されたし。

 記録写真を見ていると、タイヤの太さにバリエーションがあるように見える。好みで太く見える方の寸法にしてある。キットのタイヤは、この細く見える方(←あくまで私の主観で)。これにサイズを合わせるなら、幅だけ5%ほど縮小するとよい。

 タイヤのダイヤモンドパターンは、ライトニングやコルセアのときよりシンプルな方法を思いついたので、それで作ってみる。この方が、後で溝の幅や深さの寸法やタイヤの断面形状を変更するのが簡単。以下画像で。



半身を作ってミラー複製する算段。ドーナツ(の半分)に斜めの板を刺す。

ドーナツの表面を溝の深さ分だけインセットした「細ドーナツ」で板を切り取る。薄く見えているのはインセット前のドーナツ。

板をミラー複製して「く」の字を作る。

円形上のパターンで「く」の字をぐるっと26個並べ、ドーナツから切り取るとタイヤの半身が出来上がる。


 補足。2枚目画像の三角形は、鋭角の角度が1ブロック分の回転角の2倍。今回の場合全周で26ブロックなので(26/360*2)となる。2倍というのは、ブロックが横に2つ並ぶから。この角度で板を切り取ると端部がきれいに処理される。板が垂直面となす角度でブロックの幅が決まる。このあたりは試行錯誤で角度を決める。


■ 塗装考証 12/4追加

 塗装&マーキングは、考証が悩ましい部分があるけど、製作当初から選択肢の筆頭であった機体、19FS/318FG所属のP-47D-20-RE「Miss Mary Lou」s/n 43-254291とする。カウルと尾翼の無塗装銀がカッコイイのだ。当機は、19FS司令マカフィー少佐(Maj. Harry E. McAfee)機といわれている(所説あり)。同隊所属では他に「BIG SQUAW」や「Smokepole」も選択肢としてあるが、旧版の世傑のころから刷り込まれているメリールー嬢で決まり。

 19FSのレイザーバックは、多くの機体の写真があるが、ノーズアート、シリアル、コードレターの3点セットが判明するものは少ない。その中で当機は、左右両側の写真があり、3点セットは問題ない。悩ましいのは胴体背中の青(ANA501トゥルーブルー)帯の有無。既存の塗装図では、ありなし両方の説がある。

 まず「あり」説の根拠は、同じ318FGの73FSでは背中に白帯があり、19FSにあってもおかしくないこと。当機の右後方からの写真では、その部分に何か塗られているように見えること、この青とオリーブドラブは、モノクロ写真では同明度で区別がつかない。

 一方「なし」説は、「MIDGE」42-75791のカラー写真で、インタークーラードアの部分に青が見えないこと、メリールー機の何か塗られているような部分は、オリーブドラブのタッチアップとも考えられること(たとえば、73FSから移管した機体とか)。他の19FSのモノクロ写真でも、帯なしに見える機体があること。

 さて、どちらの説を採用するか。同隊で帯なしの機体が存在するからといって、帯ありの機体があってもいいじゃないか。模型的にはありの方がカッコイイじゃないか。ということで、ありにする。自分の模型だから自分の好きなように作るのだ。



アンテナ柱の後方の変色部分に注目。私には青帯に見えるのだ。インシグニアは濃くて艶あり。

ブルーのカウルフラップもODにしか見えないでしょ。ノーズアートの書体、ペラの黄色の細線に注意。バズーカがまたイイのだ。

書体は左右でビミョーに異なる。コクピット脇のマークは何だろう(後述)。


 その他の考証について。カウルの上はODとする塗装図もあるが、ここは青だろう。エッジをシャープに残してODを剥がすのは多分困難。まるっと全部剥がしてから、防眩に青を塗ったと考えるのが自然だ。スピナ、ホイルの青もありで間違いなし。水平尾翼の青帯は、機体により位置が様々。メリールー機はヒンジのすぐ外側にあるみたい。ちなみにこれらの帯は、幅12インチ。

 胴体のインシグニアは、塗りなおされたのか退色してないし、艶があって光っている。これは模型的には難しいところ。カウル正面下にシリアルの末尾「29」が記入されている。写真の明度からは青かなあ。あと、プロペラ先端の黄色は、フチに黄色の細線がある。

 コクピット左前方には、何かのマークが4つ並んでいる。写真が不明瞭なので、よく分からない。撃墜マークの旭日旗という考証もある。一方ネットでみた「BIG SQUAW」の完成作品では、同じ位置にパイナップルのマーク。同隊は対地攻撃が主任務なので、ミッションマークなのかなという気もする。

 胴体タンク/爆弾ラックの振れ止めの形も、実はイレギュラー。模型はスルーするけどな。タイヤのトレッドは、一般的なダイヤモンド(少なくとも左舷は)。


■ インレタ作成

 デカールは持っていない。よってインレタを作る。写真は斜めからの撮影なので、かなり歪んでいるから、そのままではトレースできない。



元画像を「回転」「せん断変形」して、パネルラインを描き込む。この文字部分を上下に4分割、左右に2分割する。

分割した画像をさらに「上下に拡大(上の方ほど拡大率が大きい」「せん断変形(パネルラインを垂直に)」する。


 これをトレースして、さらに修正を加えたのが下画像。オリジナルの雰囲気を再現しつつ、文字の高さの不揃いなどレタリングとして不出来な部分を美しく修正する。この辺は私の好み。シャドーは、青版をコピーして右上45°にズラす。それだけでは絵としてうまくない部分(yの下など)があって、手こきで直す。一旦紙に出力して、モデルに合わせてみる。さらにサイズを微調整。結構大変。



左舷。下図は側面図。Mの左足がカウルからはみ出しているのは、この部分は曲率があるので、平面に展開するとはみ出るのだ。

ouの書体・高さ、yの下側のカーブなど、左右で異なる。左舷同様、Louの右端とカウル先端の間には隙間がある。


 これでも完璧ではないが、自分では合格点。既存塗装図など、呆れるほどいい加減。市販デカールも推して知るべし。

 でもって、いつものアドマに発注。青、黄の他、レター「C」とインシグニアの白、シリアルの黒の4版×\1,200で、キットより高額。BIG SQUAWなら半額で済むけど、このノーズアートにしたかったのじゃ。ま、普段デカール買わないから、その分だけ財布に余裕があるしな。

 インレタを貼る場所は、カウルのカーブがきつい。一方で青と黄の位置決めがシビア。したがって、一旦クリアデカールに転写してから貼る方式にする予定。


■ 調色

 外堀は埋まった。いよいよ、塗装開始。オリーブドラブには、今回RAFダークグリーンのC361をベース使う。これ英軍用3色セットに入っているやつで、通常のC330より茶色味が強い。これに白を2割ほど加え、退色風味をプラス。下面はC13ニュートラルグレイのビン生。

 ミディアムブルーはGX5スージーブルーとC37 RLM75を1:2程度。グレイの方が多い。RLM75なのは、少し赤味が欲しかったからだが、あまり意味なかったかも。インシグニアブルーは、退色のODに合わせて実機より退色風味にする。自作シーブルーにC13を少々。

 無塗装銀は、試行錯誤で決める。カウルにデカールを貼る都合上、銀の上にクリアを吹くから、クリアで曇らない銀塗装にしたい。かといって旧作P-47Nのようなキラキラも避けたい。お試しの結果、下地にSM206スーパークロームシルバー2を吹いた上にC8銀をドライブラシする組み合わせが良好。穂先で銀粒子を寝かし付けるからなのか、上にクリアを吹いても粒子が立って曇ることが少ない。

 スーパークロームの銀粒子は非常に細かいため、よく光る。しかし、薄く希釈されているため、これでドライブラシすると下地を引っかけやすく、表面が荒れる。一方、8銀は、クリア成分の特性なのか、ドライブラシがとてもやりやすい。しかもスーパークロームの上からドライブラシすると、たぶんその細かい粒子を拾ってくれるのだろう、よく光るのだ。


■ 基本塗装

 塗装開始。以下画像で。



下面にニュートラルグレイを吹いてから、上面にオリーブドラブ。カウルは仮止め。

黒を混ぜてシェーディング。

下面もシェーディング。

迷彩塗装部分をマスクして前述方法で銀塗装。クリアを吹いた後、前縁のトーンの違いを出すため、8銀で軽くドライブラシ。

青と赤のためのマスキング。銀塗装部にはセミグロスクリアを吹いてある。

青、赤終了。赤はC114 RLM23ビン生。

インシグニアブルーを塗装。マスキングは、マシンでシートを切る。インレタと同じデータだからぴったり合うはず。

下面はこんな具合。


 基本塗装終了後、全体にセミグロスクリアを吹いて、塗装境の段差を削り落とす。このあとウェザリングをもう少し追加したら、インレタ貼りだ。


■ Dバブルトップ上面図

 前回更新で掲載忘れ。




  • 主翼インシグニアは、40インチサイズで中心が翼端から60in、円の上端が翼前縁から14in。ちなみに下面は、サイズと翼端からの距離は同じで、円の上端が翼前縁から9in。

  • 後部胴体上面のストリンガーの1本は、sta215で折れ曲がる。キャノピが邪魔でよく分からないが、そのままコクピットサイド上端につながるのかな(製造図では、このあたり不明瞭)。

  • 風防前方左舷のアクセスパネルは、前端にはファスナがない。セカンダリカウルの下に潜って一緒に止められるのかな。



■ 3Dプリンタ購入

 以前から気になっていたサターン2 8Kが、ブラックフライデーで5万円を切ってたので思わず購入。レビューは次回で。


■ 胴体帯再考 12/5追加

 一旦「あり」で塗った胴体帯だが、資料を見直し、新たな情報提供(感謝)もあり、どうも「なし」の可能性大。画像をご覧いただこう。



前述「MIDGE」のカラー画像。帯「あり」ならわずかに見えるドアの前方は青。

別のカラー写真。ODで塗りつぶしている。下地は73FSの白かな?


 その他、こちらのようつべカラー動画でも、一瞬映る胴体に帯はない。ここまで「なし」の例を見せつけられ、「あり」の例がないとなると、心が揺らぐ。

 ちなみに、1944年8月撮影のこの動画の機体もマカフィー少佐の乗機、「Jeanie」s/n 43-25434 レター「I」で、以前のノーズアートは「G NEE」とのこと。出典はTHUNDER CALS

 とにかく、このままではモヤモヤして手が止まる。つうことで塗り潰すことにする。



帯の塗膜の段差を#1000ペーパーで削り落とす。インシグニアはカットしたシートでマスク。

上からODを吹き付け、タッチアップ跡のシェーディング。気分すっきり。でも、帯「あり」の方が、カッコイイなあ。


 パイナップルについては、前述THUNDER CALの考証にある。よく見たら「Smokepole」にも写っている。パイナップルと爆弾と2種類ある。パイナップルは戦果(撃墜もありうる)、爆弾が出撃回数を表すのだろう。このパイナップルは、19FS/318FGが所属する第7空軍の前身がハワイ航空軍で、俗称が「The Pineapple Air Force」だったことが由来、とのこと。





 改めてカラー画像を見ると、ブルーは、ちょい明るかったかな。塗りなおしたい気もするが、インレタの色調との関係もあるので、現物が届いてから考えよう。


■ 続、塗装 12/14追加

 レディーバードの展示会は終わったが、記事はちょい遡り、展示会までのドタバタ劇。さて、完成は間に合ったか?

 インレタが届き、さあ貼るぞ!と思ったら、胴体インシグニアに痛恨のミス。サイズ間違い。追加発注すると、展示会に間に合わない。仕方ない、塗装にするか。胴体が塗装だと、翼上面も塗装の方が仕上がりが揃っていいかな。

 マスキングは、インシグニアブルーを塗装したときと同じデータを使ってカットする。使うのはオラマスク810。塗装後にマスクを剥がす際、エッジをデザインナイフで軽く切っておく。気休めかもしれないが、エッジがシャープになるかと。



まず、位置決めのため、白い部分に相当するシートを貼る。

位置決めシートをガイドに本番シートを貼る。周囲のマステは、フチを折って立てると境目に色がつかない。

セミグロスホワイト(GX1+C62)を塗装し、段差を磨きフラットクリアを吹いたところ。手描きの味は・・仕方ない。

下面の白はインレタ。こっちの方が簡単でキレイなのだが・・・



■ 主脚

 3DPの主脚、タイヤ、キットパーツの脚カバーを塗装して取り付ける。レイザーバックの脚柱の塗色は、オリーブドラブ。これはバブルトップの初期まで続き、以降は銀色になる。と、1/32レイザーバック製作記に書いた。

 しかし、今回改めて写真を見直すと、無塗装銀のレイザーバックで銀色の脚柱の機体がある。一方でODのバブルトップもある。もしかすると、工場により?変更時期が異なったのかも。脚柱はおそらく外部からの納入品で、在庫がハケるまで使われたので、このような時期違いが生じたのかな。また、極初期も銀色。

 いずれにせよ、大多数のレイザーバックはオリーブドラブ。知らない人は多いけどな。タミヤのインストは間違い(←同社、色の間違いが多い)。ODの脚柱の場合、トルクリンクも同色。脚柱カバーとのリンクはジンクロイエロー、固定リングは赤、オレオを引っ張り上げるロッドは銀。  



C型。脚柱はODでカバーのリンクがジンクロなのが明瞭。ホイルは銀色。ホイルキャップはNGに塗装されている例が多い。

無塗装銀のレイザーバック。これも脚柱はODだ。

無塗装銀のレイザーバックで脚柱が銀色の例。リンクも銀かな? 頭部防弾板はダルダークグリーンのように見える。

超有名なガブレスキーのD-25。脚柱は暗色。銀ではない。タイヤはモスキートみたいなブロックパターン。←知ってた?

では塗装。オレオはSM06スーパークロームシルバー2の筆塗り。よく光る。上部の帯はマステを8銀で塗って切ったもの。

ロッドは伸ばしランナーを8銀に塗装。実機の後ろ側のリンクは前側と形状が異なるが、見えない場所なのでスルー。悪しからず。


 補足。脚カバーのフチはノミを立てて薄く削る。リパブリック社のジンクロイエローは赤味がかったイメージ。C352クロメイトイエロープライマーに赤を少量加える。脚庫のジンクロは後塗り。複雑な形状で、普通ならマスキングが大変だが、セロテープを貼ってナイフで切ると簡単。テープの糊は少し弱めるといいよ。

 主脚カバーのリンクとカバーの接着の際、カバーのリブが邪魔になるので、削り取る。そのリブはリンクと一体で脚柱パーツに設計してある。ホイルキャップはブルー。ホイル本体は8銀にしたけど、写真を見るとブルーが正解かも。とりあえず、このままで行く。


■ インレタ

 続いてインレタを貼る。



シリアルとレターのインレタを貼る。胴体白星は塗装。

パイナップルは黄版と黒版。ちょいズレ。一応予備はあるが、とりあえずこのまま(こればっか)。


 肝心のノーズアートだが、出来上がったインレタの色のイメージがちょい違う。悩んだ末に再発注することに。


■ ウェザリング

 技法的には、前作バードケージコルセアとほぼ同じ。エアブラシのシェーディング、ODに黒を混ぜてスポンジでチッピング。ウェザマスのウォッシュは残し気味に。翼付け根には面相筆ではがれの描き込み。これはジンクロとミディアムシーグレイと。パネルエッジなどは色鉛筆。最後にフラットクリアを吹く。いつもは窓のセロテープは最後まで剥がさないが、展示会があるので、この段階ではがす。



ウェザリングは、完成までにはもう少し追及したいところ。機銃は間に合わず。

つうことで、この状態で展示会。完成は間に合わず。残念。



■ サターン2 ラフト問題

 展示会がひと段落したので、新しい8Kマシンをレビューしよう。スライサは最新のChitubox1.9.5を使う。プリンタ一覧にサターン2 8Kがないので、サターン8Kを選択(後日訂正:素直に「サターン2」を選択すればよい)。パラメータはデフォルトからレイヤーの高さを0.025mm、露光時間を2.4秒に変更。他は変更なし。レジンは同じくSiraya fastネイビーとエニキュ黒を6:4。



サターン2 8K。画像はアマゾンから拝借。


 結果、プリントされたパーツは、問題なくきれいに仕上がる。ブレーキパイプやプラグコードのような細い部分も問題なく、これらの仕上がり太さはマーズ2と同等。全体的な印象は、マーズの2Kよりさらにかっちりシャープになる。ただし私の設計したパーツ程度であれば、差は特に顕著という程ではなく、それはすなわち2Kの実力が十分高いわけ。ま、でも有意な差はあるし、一度に沢山印刷できるのは大きなメリット。

 と、ここまではいいのだが、1つ問題がある。それはラフトがやたら厚くなるのだ。ラフトとは印刷物がビルドプレートに接する板状の部分で、設計上は0.3mmにしてある。これはFusionでサポートを設計してスライサに直置きする場合と、スライサの自動生成のラフトのどちらも同じ。ところが、出来上がりはなんと1.5mm。これだけ厚いと、出来上がってからサポートを切るため、パーツ毎に小割りするのに支障が出る。下手をすると、予期せぬ割れ方をしてパーツそのものが破損する。

 とりあえず、周囲の知ってそうな人に聞いてみるが、今のところ根本的な解決に至らない。Chituとの相性が悪いかと思ってLychee Slicerを使ってみる。これ自動ラフトはデフォの0.5mmから変えられないようで(まだよく分かってない)、それだと出来上がり1mm程度。

 Chituの設定をマーズと比べると、「遷移レイヤー数」という項目が追加されており、デフォは8。試しにこれを0にすると、出来上がり0.7mmまで下がる。まあだいぶマシにはなるが、もっと薄くしたいし、そもそも設定値にならないのが気に入らない。原因も特定できてない。この機種特有の問題なのか、スライサの相性か。もしかすると、ハズレ品を引いたのかもしれないし。Elegooのサポートに質問送ったけど、まだ返事なし。

 ということで、解決策をご存じの方、ぜひともご教示お願い申し上げる。また、同機種をお持ちの方、同じ症状があったか、なかったかだけでも貴重な情報なので、お知らせくださると嬉しい。

※本件続編はジャンボ製作記その2に記載。




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