BAE シーハリアー FA.2 製作記 その3

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最終更新日 3Dファイル




■ 風防再び 2/17追加

 以前ヒートプレスで自作した風防&キャノピは、どういうわけか磨いても曇りが取れない。ずーーーーっと気になって仕方なかったのだが、その風防を落として踏んづけてしまい、細かいクラックが入る。これはもう新たに作り替えるしかない。かえって踏ん切りがついてヨカッタかも。

 ということで、新たに絞り直す。曇りの原因は不明だが、もしかすると加熱時の火力が強かったのかな。今度は前回より弱めの弱火で。



使用するのは前回同様0.4mm透明プラバン。絞って厚さ1.2mm。回転ノコでざっと切り出す。5、6個絞っていいのを採用。

擦り合わせには、削る部分をマーカーで着色しておく。こうすると削り過ぎることなく、効率的に作業できる。

胴体との合わせを調整し、内外を800番のペーパーで磨き、凸凹を均す。

スジボリは0.8mm間隔のダブル針。左右対称にするには、正面窓の中央にガイドのテープを貼ってから彫る。片方ずつはダメ。

新規パーツ出来上がり。コーナーのスジボリはエッチングテンプレート。奥が旧パーツ。透明度の差は歴然。

計器盤も最終仕上げ。大きなメーターにはデカールを貼り、各メーターにフューチャーをたらす。黒黄縞も同デカール。

グレアシールドと一体の計器盤をコクピットに接着し、風防も胴体に接着する。これは溶剤系を使用。

風防の後端は、フチが薄く見えるように階段状に彫る。


 胴体と風防は、どちらも3Dの木型で、共通のデータを使っている。だから、合わせがよいのは当たり前なわけだが、それでも実際にピッタリ合うと嬉しいもの。手作りの木型ではこうはならない。というのも、同じデータとはいえ、ヒートプレスしたプラの厚さが違うのと、脱型後の「戻り」(プラの弾力で下端が0.3mmほど開く)があったりで、微小な誤差が出る。

 そのため風防は0.2mmピッチで幅の異なる木型を用意し、何種類か絞り、最終的にピッタリ合うのを採用する。こういうことができるのが3Dの強み。ともあれ、最終的にこの1個を得るために絞った風防は20個くらい。歩留まり5%だよ。スライドキャノピも同様に絞ったけど、こちらは接着しないので、切り出し整形は後ほど。

 その他補足。カセットコンロの火力は弱火。20秒で縮み始める程度に、ゆっくり加熱。計器盤のデカールはタミヤのシーハリアーから。プラパーツは使い物にならないが、これで元が取れたよ。グレアシールドは白30%のセミグロス黒。EDSGでドライブラシ。風防のフチは、まず内側のエッジを斜め45度に削る。その斜めの面の中央に三角刀で細い溝を彫ると、それが段差になる。あとはノミなどでフチを薄くしていく。


■ ノズル

 ジェットノズルの3D設計が、ようやく出来上がる。お試しプリントしたら、キットとの合わせとか、サイズの違和感とかいろいろあったのだ。改めて、実機写真からサイズを割り出す。これ、自分の図面が間違ってたのだね。で、図面も修正。ただし後方ノズルはいい写真がなく、精度はやや甘。



前側ノズルの最終形。以前掲載の画像もこれに差し替える。

こちら後ろ側ノズル。


 さらに、72用のパーツも作る。キットによって、取り付け穴の直径や深さが違うので、単純に1/48を縮小するだけでは具合が悪い。クラブ会員に測ってもらい、ハセGR.3とエアGR.1/3については、これら数値が分かったので、それぞれ専用パーツを作る。それ以外のキット、例えばエアのシーハリアーやソード各型などは、数値が不明なので、各自尺度コマンドで調整するか、パーツを削るなどして対応されたし。

 ノズル本体の大きさをそのままに1/72にスケールダウンすると、後方ノズルはハセ、エア両社とも取り付け穴に入らない。仕方ないので、フチを取る。前方ノズルはフチありでちょうど穴に入る。両社の違いは穴の深さ(=下から見た時のノズルの幅)。パーツの基部で延長する。


■ 細部ちまちま 2/26追加

 塗装開始まで、残る作業はあとわずか。機体表面のディテールを追加していく。



翼端灯はクリアランナー。ややこしい形なので、揃えるために0.2mmプラバンでテンプレートを作る。

ダブル針でスジボリすれば出来上がり。ちなみに、ランナーはライターで炙って大きくしてから削る。

ワイパーのフェアリングもややこしい形だ。プラバンを炙って曲げてから削り出す。エッジを明確にするのがポイント。

その他の突起類もプラバン工作。

補強板の浮き出しモールドは、これまたややこしい形だ。こういうのは、カッティングマシンしか勝たん。

ボーテックスジェネレータを整形してサフを吹く。うむ、まずまずの出来じゃな。



■ ガンポッド

 ガンポッドを付けるかどうかで思案。「なし」の姿もスッキリして好きなのだよね。「あり」も勇ましくて模型的には映える。とりあえず3D設計してみて、上手くいったら「あり」にしよう。

 キットパーツは、悪くないが、5つあるバルジが3つしか再現されず、偏芯しているべき下面バルジはセンターにある。また、4つ並んだマズルの排熱穴は抜きの都合で再現されないが、これ手作業ではきれいに揃わない。省略されている4時8時方向のバルジは、峰にパネルラインがあって、「こんなの彫れるかバーロー」。だから3Dなのだ。

 まず図面を作る。手持ちのAV-8A製造図に、このガンポッドの側面図、断面図があるので、これをトレースする。胴体との位置関係も示されており、銃口の中心が、胴体基準線から下に39.145"、横に19.38"離れている。ガンポッドの基本形状は前半3/4まで左右対称で、その対称面は垂直から15°傾いている。

 これらを図化したら、Fusionに取り込んで設計する。別途、胴体断面図(これもベースは製造図だ)から胴体を作り、ガンポッドと胴体との位置を正しく合わせてから、ガンポッドを切り取る。キットの胴体形状は図面的に正確だから、これでキットとの合わせもバッチリなはずだ。



フォームモードで基本形を作る。最初のうちは左右対称で、最後の最後に後ろ1/4をカーブさせる。内部のくり抜きも別途フォームで。

大まかなディテールを加え、胴体(赤部分)で切り取る。この段階で、お試しプリントして形状を修正していく。

出来上がり完成形。形が決まったら、パネルラインやリベット、ファスナを追加する。

マズル後方の排熱穴は、左右対称でなく、左右同形である。これ要注意。ちなみにこの図は、15°傾いた状態で真下から見たもの。

プリントして胴体に接着する。フチは伸ばしランナー。ジェットノズルもプリントして仮組み。

リベットや補強板など、ちょっとオーバー気味に造形する。バルジ上のパネルラインもばっちりだ(写真ではよく分からんが)。


 3D設計ができたら、そのレンダー画像をInkscapeに取り込んでガンポッドの図面を描き、従前の図面に追加する。胴体側面図には、15°傾いたガンポッドの座標空間で描いたガンポッドの側面、平面、正面図を加える。胴体左舷および下面図には、傾いた状態の図(つまり機体に取り付けられたもの真横、真下から見た状態)を加える。


 その他補足。フォームで作ったボディーにソリッドのバルジを結合して、おまけにフィレットまで入れるのは、フュージョン君的にはかなり無理筋。だから、その表面にスケッチを投影してパスを作り、そのパスでパイプを作ったり、リベットを並べたりすると、彼の機嫌を損ねて履歴管理機能が上手く働かない。タイムラインを遡って修正すると、以後のパイプやパターンでエラーが出る。面倒くさいが、その都度修正・新規やり直しが必要となる。

 リベットラインは、参照した現存機によってバリエーションがある。3Dモデルはそれらを適当に複合させたもの。ま、雰囲気ってことで。胴体との合わせは、バッチリな「はず」だが、やはり削り合わせは必要となる。モデルは接合面に0.1mmのマージンを設けてある。ガンポッドはFRS.1のみならず、他の第一世代ハリアーに共通。ご利用されたし。


■ FRS.1図面 

 シーハリアーFRS.1の図面が出来上がる。FA.2の図面をベースに、機首を尖らせ、胴体延長を元に戻す。その他にFA.2との違いで認識できたもの(下記)を図面に反映する。FA.2はFRS.1を改修したものなので、ほとんどの部分は共通である。リンクは頁末の図面一覧で。
  • FRS.1の全長は、PSL本によるとピトー管を含んで571.68"。しかし、写真を読み込んで描いた図面とは微妙に合わない。合わない原因は不明。図面は、写真を正として描き、寸法の数字だけ資料の数字に合わせてある。

  • FA.2との違いは以下に列記。主翼前縁にはドッグトゥースがあり、ボーテックスジェネレータが1つ多い。

  • 機首右舷のエアスクープはただの穴。FA.2で左右にあるピトー管は、集約されて中央に。

  • キャノピ後方のブレードアンテナは左右に2枚。胴体後部上方のブレードアンテナがない。

  • 胴体後部左右のアビオニクスベイ・アクセスパネルの小パネルがない。

  • 胴体後方の卵形のアウトレットはない。また、垂直尾翼のセンサーがない。


 このほかに違いがあれば、ぜひ連絡願う。


■ キャノピ 3/9追加

 風防と一緒に絞っておいたキャノピを、切り出して整形する。キャノピや脚カバーのフチを段差状に薄く削る画期的な方法を思いつく。ノミにプラバンを端から0.5mmほど離して接着。このプラバンをガイドに、刃を立ててこそげるように削る。気付いてみればすごく簡単なことだけど、何で今まで思いつかなかったのか。



切り出して、スジボリして、磨いて、ディテールを加え、セロテープでマスクしたところ。

フチは段差上に削る。実機は分厚いのだが、模型的に手抜きに見えるので。

ノミにプラバンを瞬間で接着する。

こんな具合に削る。脱線もなく、簡単に手早く彫れる。おすすめ。



■ 細部 

 塗装前最後の作業。



補助インテイクの突起を伸ばしランナーで工作。こういうのは、長めに切って、貼ってから余分をカットする。

インテイクの前のガードを0.2mm真鍮線で。


 その他、ラダートリムタブの操作ロッドとか、アウトリガー前方のフェンスとか、ちまちまと追加。もう一度、スジボリの脱線やキズなどを修正し、サフを吹き、いよいよ機体塗装だ。


■ P.1127、ケストレル、ハリアー 

 ハリアーの原型であるP.1127、およびその発展型のケストレルと、のちの量産型ハリアーGR.1、これらの違いが急に気になる。写真や文献の記述および、P.1127とハリアーの胴体フレーム図(マニュアルの写し。ケストレルのは残念ながらなし)を元に検証してみよう。以下長文だが、お付き合いのほどを。

 まずは、寸法。文献(ウォーペイント本)によると3者の諸元はこうなっている。確かにケストレルはハリアーより小さい。全体に一回り小さいのかな?



 次に写真。例によりナニがアレはご容赦を。位置を揃えてあるので、スライドショーが面白いよ。



P.1127。鮮明なので、細部がよく分かる。GIMPで遠近法補正済み。

同じくP.1127。真横なので、位置関係がよく分かる。遠近法補正はしていない。

ケストレル。これもほぼ真横なので、歪みが少ない。遠近法補正はしていない。



■ ケストレルの考察 

 結論から言えば、ハリアーとケストレルの基本構造/形状は、ほぼ同じだ。ハリアーの図面にKestrelの寸法を落とし込んでみる。ハリアーのピトー管、アウトリガーより外側の翼を取り除くと、ちょうどケストレルのサイズになる。

 機首の基本形状は同じ。風防正面窓の幅が広くなりガラスが湾曲、機首先端の形状が異なるのみ。主翼後端より後方の胴体もハリアーと同じだ。垂直尾翼は、前方インテイクを除けば同じ。スタビレータも同じ。主翼や胴体背中のパネルラインもハリアーと同じ。これらは、写真をよく見ればすぐ分かる。大きく違うのは、インテイク、ジェットノズルとそのフェアリングだ。主翼は、基本形状は同じで、違いはアウトリガーより外側の翼がないこと。


外形、寸法はそれなりに考証してある。前縁の赤点線はバリエーション。細部は描き足りない部分、考証の甘い部分もある。また、時期や機体によるバリエーションも反映してない。悪しからず。


 比較のため、ハリアーGR.1の図面も掲載。

シーハリアーの図面に、写真と製造図から機首と尾翼の外形を描き加えたもの。したがって、外形はばっちりだ。細部の考証は甘いので悪しからず。


 細かく見れば、ケストレルにはエアブレーキはなく、主脚カバーの大きさと開き方が違う(前脚カバーも?)。主翼の燃料ベントがなく、フラップとエルロンは接する。


ペガサスエンジンの考察 

 よくよく写真を見ると、ケストレルまでのペガサス1〜5エンジンと、ハリアーのペガサス6シリーズ(型式名だと101)以降とでは、前後ノズル間の距離が異なり、前者のほうが4〜5インチ程度長いように見える。少なくとも、コクピットと前ノズルとの距離は、ケストレルとハリアーで異なり、前者は4〜5インチ近い。ケストレルとP.1127は同じ。これは写真から明らか。

 で、ケストレルとハリアーでは、後ろノズルの穴の位置が同じ(かほぼ同じ)に見える。ということは、エンジン前後ノズル間の距離が異なるのだろう、というわけ。ただし後ろノズルは写真にハッキリと写ってないので確証はない。


■ P.1127の考察 

 次にケストレルとP.1127の違いを見ていこう。参考文献-17および-19-2(頁末にリンク)によれば、P.1127の最終号機より、胴体は9インチ延長され、主翼後退角が増した、とのこと。スパンが異なるのは、主翼は改設計されているからなのだね。

 機首の基本形は同じ。後部胴体と垂直尾翼も同じ。胴体が短くなり、主脚と後方ノズルの位置関係が異なる。前脚位置も少し前かな。インテイクの形が異なり、境界層板がある。胴体中央部では、ノズルとそのフェアリングはケストレルとよく似ている。初期の機体は後方ノズルの遮熱板のところが全く異なる。主翼部分の胴体背中の盛り上がりがない。スタブは小さく、下反角がない。

 主翼の形はまったく違う。後退角は小さくなり、後縁の後退角がゼロ(かほぼゼロ。真下の写真がないので厳密なところは不明)。主翼前縁は機体により、翼端が前方に折れ曲がるのと、ハリアーのように後方に湾曲するものとある。アウトリガーの先端が突出しているものもある。スパン(=アウトリガーの位置)はケストレルよりやや広い。結果として翼面積も大きい。下反角は同じかな。

主翼、スタブは、写真の見た目で「えいやっ」と作図。前縁の赤点線はバリエーション。主翼の60%コード付近に桁があるように見える写真がある。で、この桁位置はハリアーも共通のような気が・・



胴体の考察 

 問題は、どこで胴体が延長されたのか、だ。文献に記述はなく、写真と胴体フレーム図の分析が頼りだ。結論は・・・ 機首、エンジン、主翼(取り付け部)の相互位置関係は同じようだ。一方で、後部胴体は後ろに移動し、主脚収容庫も後部胴体と一体で動く。となると、エンジン後方で延長されたと思いたくなる。一方、ハリアーの胴体ステーションは19フレーム(前方ノズルの穴の直後)と20フレームの間に19Aというのがあり、ここで延長されたとも考えられる。



P.1127のフレーム図。先頭が#8で最後が#33。19の次は20だ。

ハリアーGR.1のフレーム図。同じく先頭が#8で最後が#33。19の次は19Aだ。


 むむむ、正解はどこに? ということで、p.1127、ケストレル、ハリアーの写真を並べて比べ、フレーム図ともニラメッコ。私の結論は、確証はないが、ケストレルでは、後方ノズルの後方の27フレームの後ろにフレームを追加して9インチ延長。単純にプラグを挟むと、FA2のようなクビレが生じるが、なんか上手く処理したのだろう。

 ハリアーでは、インテイクの断面拡大に伴い、コクピット後方バルクヘッドから33フレームの間で全面的に胴体が改設計されたと思われる。フレーム配置も異なる。しかし、フレームの数は同じなので、19Aという番号を新たにあてはめたのではないか(なぜ19という疑問は残る)。<この段落3/13訂正>


■ 模型的考察 

 ややこしいので、模型的視点で整理しよう。ハリアーからケストレルに改造するには、機首、尾部、主翼の基本形はいじらない。インテイクを小さくし、ノズルのフェアリングを改修。その際、前方ノズルの軸穴は1/72で1.5mmほど前方に移動する。機首先端、風防、キャノピ、ノズル、翼端、アウトリガー、テイルなど細部を変更。

 P.1127に改造するには、上記の他、後方ノズルの直後で胴体を1/72で3mm切り詰める。ただし、主脚庫は、後部胴体と一体。インテイクの形状はケストレルとも異なる。主翼取り付け位置は変わらないが、主翼は後退角が小さくなるように大改造。背中の盛り上がりもなくす。スタビレータを小さくしてなおかつ下反角をゼロにする。

 P.1127、ケストレルにおいては、機首、インテイク、ノズルフェアリング後端の形、遮熱板、アンテナ・センサー類、ラダー上端、テイル、主翼前縁、ボーテックスジェネレータの有無、フラップ、アウトリガー、パイロンの有無は、バリエーションがある。



ハリアーGR.1。赤線は、ノズル回転軸の位置を示す(以下同じ)。

ケストレル。前方ノズルが少し前に移動。ノズルの形が違うので、比較が難しいが。コクピット、主翼、尾翼は同じ。

P.1127。胴体が短縮。なお、これらは、最初の側面写真を含めて位置を揃えてあるので、スライドショーで比較できる。


 P.1127は6機生産された。それぞれの機体は、各部に違いがある。文献や写真からこれを整理する。それが下表だ。





この表は、写真や文献で確認できたものを記載しているので、時期によってはこれと違う外形をしている可能性がある。とくにインテイクリップは各種の形をテストしていたので、時期によっても違いがあるはず。

もう一つ。シーハリアーの図面で、製造図面での仮想主翼前縁と実際の前縁の位置が違う、と書いた。おそらく、ケストレル(それも当初のドッグトゥースなし)の主翼前縁ラインがこのラインではないだろうか。


■ 塗装開始 3/13追加

 製作着手から9ヶ月、ようやく塗装開始だ。ま、途中モデリンクとアルマの隼に集中で3ヶ月ほど放置だが。

 さて、スキームはミディアムシーグレイ単色と決めてある(他に選択の余地はないよね)。実機写真でイメージを固める。本機の場合、上面はクリーン。ロービジのF-14みたいにドロデロには汚れない。だから、クドめキツめのあざとい汚しにはしない。パネルライン沿いのシェーディングもしない。だって、実機がそうだもの。

 とはいえ、使い込まれてくると、それなりに薄汚れてヤレた感じになってくる。この感じを狙ってみよう。あくまでパネルラインのシェーディングは「なし」でね。それと、英軍ハリアーは、補修によるのか、一部のパネルの色味が違う機体を見かける。これは採用しよう。上面に比べ、下面はかなり汚れている。この対比も面白い。

 次に調色。写真のイメージで、ビン生より明るくする。C335ミディアムシーグレイ(少量の赤を加え、妙な緑味を消す)と、C35明灰白色を半々。これが基本迷彩色となる。レドームはC333エキストラダークシーグレイのビン生だ。

 ヤレ感の表現として、零戦21型でやった下地残しのムラムラ塗装法を今回も踏襲する。サフ(黒サフ混で暗め)の上に、C35ビン生をムラを残しつつ薄く吹く。基本色程度の明度になったところで、基本色のMSGを「の」の字吹き(※)していく。下地が残り、90%くらいの発色で終了。

※ 針先を絞り、限界まで表面に近づけ、細く手早く「のののののの・・・」と螺旋を描いていく。「の」の大きさは目標5mm。



基本の迷彩色を吹いたところ。ムラムラ感が分かるかな?

スポンジチッピングを追加する。使用色はC335ビン生。もう少し、色味の差があってもよかったかな。

スポンジチッピングの上に再度基本色を軽くのの字。ラプロスで極軽く磨く。その後、一部パネルを明度を変えて塗装。

レドームも塗装。本体はC333のEDSG。後端のフチはタミヤのLP84。先端はLP84とC330ダークグリーンを半々。




基本塗装終了。このあとウォッシングやチッピングを加える。尾翼のセンサーはC318レドーム+LP77ライトブラウン、先端は白30%の半艶黒。引っ掛けて破損せぬよう、ボーテックスジェネレータはマステで養生。


 単色なので、単調にならないように、あれこれ色味やテクスチャーを追加する。「手数は正義」なのだ。ただし「やり過ぎは下品」。


■ 雨と塗装 

 実は、塗装の日は雨降り。でも気にしない。私の塗装法では、雨でも全く問題ないのだ。秘訣は3点。
  1. 極薄く希釈し、表面がうっすら濡れる程度に薄吹きする。
  2. すぐにドライヤーで強制乾燥。これを何層か繰り返す。
  3. 常にノズルからエアを出しっぱなしにする。これは専用のエアバルブ(ホースとの結合金具)を使う。
 1と2は何度も書いてるけど、3は初めてかも。

 詳しく解説する。まず、かぶりの原因。これは、シンナーの蒸発による気化熱で塗装面の温度が下がり、それにより空気中の水分が結露することによる。薄く希釈すると早く乾燥するので、原理に逆行するが、濃いのを薄く吹くと砂吹きになってしまうから仕方ない。薄く吹けば、乾燥時間は短く、気化熱も小さい。濃いのを厚吹きすると、単位面積当たりのシンナー量は前者より多くなり、より気化熱が大きくなると考えられる。

 ドライヤーは、熱により湿度を下げる。空気中の水分量が同じなら、気温が高いほど湿度が低い(理科の授業を思い出そう)。模型が温まると、その表面の微小空間では湿度が下がる。だから、事前に模型を温めておくのも効果的だろう(私はそこまでしない。塗装中のドライヤー乾燥で十分温まってくる)。ただし、熱でプラが変形しないよう注意のこと。模型を持つ手で温度を感じながら、温風を当てる。

 それでも、普通のエアブラシでは、ホースの中に溜まった水が「ぷしゅっ」と吹き出すことがある。常にエアが出てれば、水が溜まらない。塗装は、針を引くことで行う。ダブルアクションでも、実質は針を引くだけのシングルアクションというわけ。エア出っぱなしでも、塗らないときは針を戻せば塗料は出ないので、実用上全く問題ない。私はウン十年これでやってる。

 このエアバルブ、「静か御免」付属のハンドピースに通常装備だったもの。以前はネットで別売り品を見かけた気がするが、今回探したら見つからない。入手できなければ、普通のエアバルブの空気を止める弁を取るといいかも。
こちらの記事を参考に、空気漏れを「直す」のではなく「わざと漏らす」ようにすればいいのでは?


■ 細部塗装 3/18追加

 塗装に入って、俄然テンションが上がる。この勢いで、引き続き塗装を進める。



補助インテイクの中は白。フチにMSGが残るというややこしい塗り分け。ちまちまとマスクする。

吹き付けてタッチアップ、ウォッシングまで。多少の不具合は目をつぶろう。

排気管回りを塗装。まず、自作焼鉄色をエアブラシ。前ノズルにはグレイを少し混ぜる(あまり変わらんな)。

ウェザマス(スス、サンド)で濃いめにウォッシュ、銀をドライブラシなどなどで表情をつける。

3DPの脚回りを塗装。脚柱はC332ライトエアクラフトグレイ。ホイルは半艶白。ウェザマスで軽くスミイレ。

主脚。画像は後方から見たところ。あれ、ホイルのフチが欠けてるぞ。でも、スルーしようか。よく見えない場所だし。

下面の汚れをエアブラシ。C522土地色、C526茶色など。日本戦車色は、ウェザリングに最適なのだよ。

横から。ノズル付近が排気で汚れるのだ。脚ドアは、実機写真でもこんな感じに汚れが少ない。


 その他、垂直尾翼上端トリムの黒、尾部センサーの黒なども塗装。後者は筆塗り。前ノズルは、ハリアーIIの場合は迷彩色で塗装されているが、シーハリアーだと無塗装が大多数で、その場合は茶色い。


■ マーキング

 当機のマーキングは、3つの部隊に限られて、選択肢が少ない。その中から、自分的に部隊マークが一番かっこいい英海軍第899NAS所属機にする。さらにその中で、FRS.1時代にフォークランド戦に参加した古強者、ZA175を選ぶ。

 本機は、当時NAS801に所属、空母インヴィンシブルに搭載され、1981年5月1日ブロードウォーター少佐(Lt Cdr Broadwater)の操縦でアルゼンチン空軍のキャンベラ1機を撃破、また同月21日にはワード少佐(Lt Cdr Ward)の操縦により、ダガー1機(?)を撃墜し、戦後(1994年7月)FA.2に改修され、NAS899に移管された。(文献-33等による)





部隊マークと機番、シリアル等はインレタを作る。図面に重ねて作るとサイズのミスが防げる。ついでに色塗りして塗装図にしちゃう。


 ラウンデルはブルー12インチ、ピンク6インチ。機番は9インチかな。ROYAL NAVYは7インチ、シリアルは4.5インチ。歩行禁止線は1インチ幅。


■ マーキング塗装

 ラウンデルと、胴体上面の歩行禁止線は塗装する。BS381C-454 ラウンデルピンクは、C35明灰白色とGX3赤を3:1くらい、 BS381C-172 ペールブルーは、C35にGX5青を少量、白少量で明度調整。ブルーは迷彩色のMSGより明るい。ピンクはブルーより暗く濁っている。そのバランスに注意して調色する。



ラウンデルのブルーをマスキング。胴体は補助インテイクにかかるので、ややこしい。手前はピンク用の円で直径3.2mm。

オルファのサークルカッターを改造して小さい円を切れるようにしている。うまく調整すれば直径2.5mmまで切れる。

ラウンデル塗装終了。

赤線を先に塗装し、×をマスキング中の図。まず位置決め(右、上)、次に四隅を決め(下)、四角をはがして十字(左)。

マスキング終了。×の線は先に細切りテープ(赤矢印)を貼ってこれをガイドとする。

塗装終了。塗ってみると、意図したより色味が近くて目立たない。残念。


 改造サークルカッター補足。本来刃を止める金具の外面にデザインナイフの刃を瞬間で接着するのがミソ。針の方は邪魔になるプラ部分を削り、刃と針をギリギリまで近づける。極小の円を切るサークルカッターは安いの高いの各種あるが、結局これが一番。刃と針が互いに平行で面に垂直なのが決め手だ。バンチコンパスとして売られているやつは、これが斜め。だからブレて上手く切れない。

 ただしこの方式は刃先の位置決めがシビア。最適位置からズレるとうまく切れない。何度も試し切りして、最適位置を探るべし。針の真横がよい。あと、私の場合は刃先より針先を0.5〜1mm程度出し、その分マットに針を「ぐぐっ」と深く差し、刃先は軽く当たるようにして軽〜く回す。あくまで軸は垂直。そうするとブレずに安定して回る。このあたりは好みがあるかも。


■ エアブレーキ 3/24追加

 このところ、浮気もせずにシーハリだけに集中している。なにせ3月、4月の週末とGWは諸事予定が詰まっていて、静岡HSまで実質的にはあまり日がない。パイロンと吊るしモノは後回しにして、何とかクリーンな状態での完成まで行きたいところだが・・・

 さて、エアブレーキ。キットパーツも形はよい(AV-8Aのは大きいので、後端をカットする必要がある)。しかし、内側の凸リベットを再現するなら3DPがラクだ。胴体断面図、側面図、平面図が出来ているから、それをfusion360に取り込み、そのとおりに再現すれば、正確なものが出来る。  



完成形。細部はデフォルメ。割れ、欠けを防ぐため、エッジはあえて厚くする(設計上は0.4mmで削って0.3mmにする)。

内面、外面それぞれフォームモードのロフトで作る。まずスケッチ。内面は複雑な断面形をしている。

内面、外面それぞれをロフトし、側端部をブリッジでつなぐ。前後はサーフェスモードのパッチで塞ぐ。

出来たボディを、平面形を押し出したボディと交差させると、基本形が出来上がる。


 補足。フォームモードのブリッジでは、つなぐ辺の数を揃える必要がある。あらかじめそれを考慮してロフトの際に面の数を指定するべし。つなげた直後はエッジが丸いので、「修正→折り目」でエッジを立てる。前後端は辺の数が違うのでフォームでは塞げない。そこはサーフェスモードで塞げばよい。

 ロフトした形状は完璧に正確でなくともよい。そこは各点(辺、面)の位置を微調整して整える。一方で厳密に正確にしたい箇所(今回でいえば、外面の断面形と側面形)は、スケッチどおりドンピシャに再現させることも可能。これがフォームのロフトの最大のメリットだ。

 平面形で交差する際、平面図をトレースしたスケッチを垂直方向に押し出すと、アーム部分の断面形が平行四辺形になってしまう。それを避けたいので、斜めに押し出したい。でも図面は水平面に描かれている。こういうときは、平面図のスケッチをサーフェスに投影し、その図形を斜めの面に再度投影。それを押し出せばよい。上画像で青いボディが斜めに押し出されているのがわかるかな?


■ 続、エアブレーキ

 設計が出来たらプリントして塗装する。プリント方向は、アームを下にして立てる。



持ち手がないので、胴体への接着面のところにプラバンを仮接着する。

内面もたぶんミディアムシーグレイだと思う。ウェザマスでウォッシュし、グレイでドライブラシ。

モデルにあてがい、汚し具合をチェック。その前方の白い二本線は白ベタデカール。不要デカールの余りを使う。

汚し塗装が済んだところに貼るので、貼る前に汚しておき、切り出して貼る。



■ 遮熱板

 英語ではヒートシールドというらしい。前回更新で記載を忘れてたが、これも3DPだ。技術的には特段難しくない。サーフェスモードでロフトして厚みをつける。この断面形は、AV-8Aの製造図に描かれており、それをそのまま再現。単純な円弧ではなく、上の方のカーブがきつい。プラモではそこまで再現されてないんじゃないかな。



左舷の遮熱板。断面形のカーブは上の方が半径が小さい。これも実機どおりに再現できる。リベットは6本パックを作って並べる。

ロフトするスケッチ。凹みの円弧は、お試しプリントして直径を決める。

ノズルともども胴体に接着する。3DP側にプラペーパーを瞬間で固定し、胴体とは溶剤系でじっくり時間をかけて接着する。

前方ノズルも同様に接着。その上(実機においては下)のフィン(アンテナ?ベント?)も3DP。この付近チッピング多めで。



■ アウトリガー

 小物は基本的に全て3DPなのじゃ。ん?何か?

 さて、サイズをどうやって決めるか。キットパーツは参考になるが、下反角を修正している。翼正面図を描いてあるので、翼基準面の座標系(水平面から1.5°)で必要な部分(翼、主脚、アウトリガー)の正面図を描けば長さが求まる。求めた長さに合わせて写真を取り込み、それをベースに設計する。でも、最後は現物合わせ。←なんやそれ



メインの脚柱と上下のカバーは一体とする。タイヤとアクチュエータは別パーツで、金属線でつなぐ。脚柱にも金属線を通す。

プリントして塗装。オレオは強度と見た目を兼ねメッキパイプにする。



■ Fusion開かない問題

 先日、Fusion360が開かなくなる。これ、私の環境下ではときどき発生するが、そのときは「クライアント・ダウンローダー」を起動して再インストールすると、たいていは問題解決する。しかし今回は、『Fusion のインストール中に問題が発生しました。インストールを妨げている原因は不明です 』というメッセージが出て、再インストールできない。一度アンインストールしてもダメ(通常はしなくてもOK)。ネット検索しても、解決策が見つからず焦る。マンマミーア。かくなる上はPC買い替えるしかないのか。

 諦めきれずにさらに調べると、クライアント・ダウンローダーが新しくなった、との記述を発見。古いバージョンは「Fusion 360 Client Downloader.exe」で新しいのは「Fusion Client Downloader.exe」。360の文字が抜けている。これをAutodeskのサイトから入手し、神に祈る思いで実行したら、メデタク解決。同様の問題でお悩みの方、参考にしてくだされ。

 ところで当該サイト、ときどき中身が改変されるが、最近またさらに個人用無償版の入手先が巧妙に隠されて分かりづらくなっている。日本語版だと、「すべての製品を表示」→有料版の「製品の詳細情報」をクリックしてからずーっと下にスクロールして「個人向け」のタブをクリック、スクロールするとようやく「個人用Fusion」の入り口が出てくる。個人用と無償体験版は異なるので注意。

 なお、クライアント・ダウンローダーに関しては、有償版のところからでも同じものが入手できるようだ。おそらく、インストールされるプログラムとしては同じで、サインインしたときに有償/無償別に機能が制限されるのではないだろうか。



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