九七式中戦車 チハ(旧砲塔) 1/48 オリジナル3Dモデル その2
2021.11.4初出
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砲塔は、10°の傾斜と内側の溝のおかげで、上端の膨れはほとんどない。 |
サスとフェンダー、排気管を1回で。 |
履帯は、センターガイドの積層痕を抑えるため、層厚0.015mmで出力。全高が低いから、さほど時間はかからない。 |
転輪も低くて時間がかからないから層厚0.015mmとする(この2枚以外は0.025mm)。 |
車台前後の下向き面は、どうしてもキレイに出力できない。今回ここが出力上の弱点。あまり目立たない場所なので汚しで誤魔化す。 |
組み立て。前述マージンを定規に貼った#320ペーパーで落とす。積層痕を#600ペーパーで均し、サスと車台を接着する。 |
次にフェンダー、転輪と上部転輪を接着。起動輪内側と誘導輪を車台にはめ、履帯を引っ掛ける。 |
その他のパーツも取り付け、組み立てほぼ終了。あとはライトの反射板とガラスを追加する。ワイヤロープは塗装後に。 |
補足。車台前後下向き面をきれいに出力しようとするなら、別パーツ以外に考えられない。しかし、それはそれで接合面が汚くなるから、総合的に見て今回の方式がベストかなあ。なお、自動でサポートを付けると、下向きリベットにサポートが付いちゃうから、手コキで削除してリベットの無い場所に付け替えるべし。
設計にあたっては、「資料」としてファインモールドのキットを「参考」にする(資料提供感謝)。タミヤとファインでは砲塔のサイズが違い、タミヤが2mmほど小さいらしい。繰り返すが、私の設計はファインを「参考」。レンダー画像と実車写真を見比べると、このくらいで丁度いいかな? タミヤは未所有にて詳細不明。旧砲塔ではそのようなサイズ違いはない。 また、タミヤを「参考」にした旧車台と、ファインを「参考」の新車台では、排気管の位置が不整合。旧の方が後寄り。実車がどうかは不明。写真を見比べた印象では同じ位置に感じる。よって、3D設計では、両者同じとして妥協する位置にする。前方のフェンスの位置は違えている。 |
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使用上の注意
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時系列的には、最初は旧車台+旧砲塔。次に新車台が登場する。したがって新車台+旧砲塔となる。次に新砲塔が登場し、新車台+新砲塔となるが、車台の回転リングが合わないから、この部分は改設計となる。では、なぜ旧車台+新砲塔があるのか? 勝手に想像する。私の説はこうだ。前線では新砲塔が熱望されたが、車台の生産が追い付かない。そのため、旧砲塔の旧車台を流用し新砲塔を搭載した。改造箇所は車台上面装甲板のみで、ボルト止めなので改造は比較的簡単であった。←この説の根拠は全くない。真相ご存じの方、連絡求む。
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前照灯はアルミ板と百均の光硬化レジン。 |
底が抜けてるのも何なので、プラバンで蓋をする。一応、そういう想定の設計をしてある。 |
茶色はC526と自作サフ(黒サフを混ぜたもので、明度はC13ニュートラルグレイ相当)を2:1で、緑色はC525と自作サフを3:1、土地色はC522と自作サフを4:1で混ぜる。黄色はプレーンでソリッドな黄色がいいかな(実際はどうだか知らない)と、自作オレンジイエロー(やや赤味)とRLM04(やや青味)を半々程度で。 |
適当な空き箱に試し塗り。手前側が彩度を低めた自家調合色。奥の方はビン生。 |
迷彩パターンが悩ましい。日本戦車の迷彩は決まったパターンはなく、各車両ごとに違っていた。記録写真を見ると、パターンの傾向にも差があって、蛇行の曲率や色斑の大きさなどに個性がある。黄色帯についてもしかり。だから自由に塗ればいいのだけど、全く自由だと逆にどう塗るか決まらない(典型的指示待ち人間だな)。 そこで、各社インストの塗装図などを参考に、全体の迷彩パターンはプラッツ(ドラゴン)をベースに自己流アレンジ、黄色帯はタミヤをベースにする。 細部に関しては、主砲は防盾を含め陸軍カーキ、プラッツのインストだと、ジャッキとアンテナ鉢巻部分も同色。また車載機銃のマウントは黒。銃身カバーも写真だと同色かなあ。
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まず、黄色を吹いてゾルでマスク。原液は粘度が高すぎるから、水で薄める。 |
パターンを決定するため、一旦3色をざっとエアブラシしてみる。作業中にアンテナを引っ掛けて破損。ストックで補修する。 |
曲がらないように板に仮り止めして裏から瞬間を流す。タフレジンも万能ではないな。 |
土地色の部分からマスク。上画像より境界を広めに吹いてゾルを塗る。色味が違うのは、スマホのカメラの気まぐれ。 |
緑色を吹いて、緑色部分をマスクしたところ。ゾルが塗れないルーバーはティッシュでマスク。 |
その上から茶色を吹く。車体下部はゾルも使いつつ、塗れないところは後から面相筆でタッチアップ。 |
ゾルを剥がしたところ。モールドにこびりついたゾルは、水にしばらく浸けておいてから、硬めの筆で擦り落とす。 |
右舷のパターンはこんな具合。転輪のゴムを塗るためにマスク。 |
ゾルとマステを剥がす過程で、前照灯とハッチの取っ手が取れてしまう。ううっ。まあ予備は準備してあるが・・。面相筆境界方式の方がよかったかも。
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細部塗装終了。ウェザリングはまだこれから。 |
前照灯はこんな感じ。少々曇って「ピカリ」が足りないなあ。やっぱ百均の光硬化レジンはイマイチか。 |
ロープは電気コードの銅線を6本よじる。本当はもうひと巻きぐらいあるが、取り付け部に収まらないのでこの程度で。 |
塗装して車体に取り付け。ウェザリングも終了。ナンバープレートのインレタを作らんとあかんな。(忘れそう) |
ウェザリングはいつものとおり。以下メモ。エッジには土地色のスポンジチッピングおよびドライブラシ。土地色部にはもう少し暗いグレイで。泥汚れは、ウェザマスの木甲板のウォッシング。一旦フラットクリアで定着。落ちたトーンを再度ウォッシングで回復させる。要所にスス、サビのウォッシング。履帯のエッジに鉛筆粉。極薄のサンド系をエアブラシして埃感を追加。最後にフラットクリア+フラットベースを吹いたら、艶消しが強くなりすぎて、平板な印象になる。そこで車体などに手脂をすりすり。そこでまた手掛けがポロリ。うーん、軸をもう少し太く設計すればヨカッタな。
設計にあたっては、既存キット(タミ、ファイン、ドラ)を「参考」にして、そこに再現されているディテールはほとんど全て反映し、なおかつ実車写真によりキットの間違いを修正し、さらに履帯や排気管のメッシュなど、インジェクションでは抜けない凹部も再現してるから、全体として1/35を超えるディテールが1/48に凝縮されてるのだ。 3Dプリントの鬼門である積層痕と歪みについては、ゼロではない。もっとも、ちょっとペーパーで削ってやれば、画像で見てのとおり実用十分なレベルになる。お試し出力と設計修正にもたっぷり時間をかけたので、この手のキットでは組みやすくなってると思う。リベットなどの再現性も画像のとおり。2Kモノクロプリンタであれば、インジェクションとほぼ同等レベルだ(←いや、正直に言おう。ここは、ちょい負け)。 つうことで、商品として見てもイイ線いってるんじゃないかな? でも売ることは考えてない。生産する時間が勿体ないからねえ(その時間は模型製作に充てたいのじゃ)。かわりにデータはタダだ。もってけ泥棒。 |
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全体(旧砲塔・旧車台)(閲覧のみ) 全体(新砲塔・新車台)(閲覧のみ) |
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1 | 戦車マガジン 1981増刊 No.6 97式中戦車 | 戦車マガジン |
2 | 日本陸軍写真集1 機械化部隊の主力戦車 | グリーンアロー出版 |
3 | ミリタリーモデリングBOOK 第二次大戦 日本陸軍中戦車 | 新紀元社 |
4 | Osprey Duel 43 M4 Sherman vs Type 97 Chi-Ha | Osprey Publishing |
5 | Osprey New Vanguard 137 Japanese_Tanks_1939-45 | Osprey Publishing |
5-2 | Osprey Vanguard 35 Armour of the pacific war | Osprey Publishing |
6 | Concord 7004 Tank battles of the pacific war 1941-1945 | Concord |
7 | Squadron 6096 Tank Warfare on Iwo Jima | Squadron/signal |
8 | Wydawnictwo Militaria 24 Pacific War Far East 1938-1945 Paint and Marking | Wydawnictwo |
9 | Wydawnictwo Militaria 167 Chalchin-Gol 1939 (Nomonhan Incident) | Wydawnictwo |