F−104C(ハセガワ1/48)製作記

2009.6.21 初出



最終更新日へジャンプ




 はじめに 




■ 通常版

 諸事情により簡略版と通常版の2本立て。こちらのメインは、工作・塗装の詳細となる。簡略版製作記と重複するところもあると思うが、ご容赦いただきたい。



アイリス製レジンパーツ。しめて3,622円ナリ。キットより高価。

その中身。脚収容部はいらないんだけど、揃って売ってるとつい買ってしまう。

ジェットノズル内側の表現が素晴らしい。

付属のエッチング。計器板はエッチングの限界で、どうしても平板な表現となってしまう。




 組み立て 




■ レジンパーツの仕込み

 レジンパーツは、ディティール、精度(合わせ)とも素晴らしい出来具合。もちろん、入念な削り合わせが肝要なのは言うまでもない。まず大きな湯口をカット。ノコギリ、ヤスリより、ニッパーと彫刻刀が早いし、有害な粉が出ない。ザクザクと切っていく。力を入れると割れそうな部分はモーターツールの回転ノコ。あと0.5mmまで迫ったら、#120サンペの出番。両面テープで定規に貼り、水をつけて削る。



前脚収容部は、キットの胴体下面パーツ、レジンパーツとも接合部を45度にカット。接着の際に胴体下面パーツを歪めないよう、細心の注意。

レジンパーツの収縮か、開口部より収容部の方が狭いが、脚ドアを付ければ目立たないかな。

削り過ぎてコクピット床に穴が開いたので、床を全部カット。

コクピット側壁は0.5mm厚まで削り込む。胴体パーツ側もコクピットの縁部をレジンパーツに合わせてカット。

計器板は、キットパーツを薄く削って貼り付ける。


 削り合わせが終了したら、色塗り。レジンパーツの下処理は、クレオスシンナーで洗ったのみ。まだ離型剤が残っているような気がするが・・・。プライマーは塗っていない。経年変化に耐えるか自信ないので、読者の皆さんにおすすめするものではない。

 シート、計器板は、胴体左右接着後でも取り付け可だが、ついでに塗っておく。コクピット内のグレイは適当に調合。ちと暗すぎか。ヘッドレストの赤はそのグレイを半分ほど混ぜて彩度を落とす。



コクピット内部の塗装が概ね終了。側壁は胴体パーツに接着しておく。床板はプラバンで新設。

メーター周囲を黒く塗り、ポンチで丸くくりぬいたデカールを貼る。マイクロ・ゾルでモールドに十分に馴染ませた後、メーターとレーダースコープにフューチャーを垂らす。

接着前に記念撮影。シートは未接着。

主脚収容部は位置固定のため、キットのバルクヘッドパーツを接着する。そのため、レジンパーツは一部を削り取る。



■ 航法灯

 各部の航法灯をクリアー材に置き換える。キットの不要パーツに、そのための部品があり、当初それを使うが、パーツの厚みのせいで裏からアルミ板を当てたときの光り方がイマイチ。結局パーツに付随する円筒部分を使用。接着後裏からクリア塗料で着色。インテイク横と燃料タンクは右青、左赤。後部胴体は上オレンジ、下無色。



航法灯の仕込み。内側からクリアー塗料を塗り、凹ませたアルミ板をマスキングテープで止めるという算段。



■ 胴体接着

 内蔵を詰め込んで、胴体左右を接着。瞬間接着剤を基本的に使用。後方固定キャノピ基部のパーツと胴体との合わせが悪く、瞬着をパテがわりに盛る。



とりあえず「一」の字。



■ 続、胴体 

 次にインテイクを接着する。マッハコーンの途中にある境界層吸い込み(?)のスリット端面を斜めにカット。インテイク内部をSFSで塗装。タービンブレードはパーツ化されてなく壁があるのみ。これは黒く塗って誤魔化す(上写真参照)。どうせ、インテイクの中はよく見えない。

 胴体後部や主翼に打たれた大味なリベット。このキット最大の欠点と言っていい。そのまま残してリベッティングと思ったが、埋めることにする。この日のために買っておいた黒瞬着。いよいよ使おうと開封すると、未使用なのにカチカチに固まっている(怒)。仕方なく、普通の瞬着を使う。スジ彫りを埋めないよう、爪楊枝で塗布。アクセスパネル等のファスナにあるリベットはそのまま残す。



インテイクパーツの合わせは良好。合わせ目近くのデリケートなスジ彫りが、サンディングで消えないように注意して接着&整形。

未使用なのに固まってて使えない黒瞬着。ゴルァ、金返せ!


 主脚カバーの大きい方を胴体に接着。これは、地上状態では僅かに開いているのだが、知らずに胴体とツライチに接着し、わざわざ段差をプラバンで埋めたりして。後ではがして直さないと。初歩的知識の欠如でお恥ずかしい限り。



リベットを瞬着で埋める。スピードブレーキも閉じて瞬着で固め、凸凹モールドともどもサンディング。スジ彫りはエッチングノコでさらう。

脚カバーを間違えて接着。orz



■ 尾翼×2(?)

 F-104は主翼の代わりに尾翼が2つ付いている、と言いたくなる程小さな主翼。模型として手にとって見ると、その小ささは異様だ。旋回性能や安定性が相当犠牲にされているのだろう。逆に水平尾翼はアンバランスに大きい。主翼に起因する安定性不足を尾翼で補う思想か。後に続くジェット戦闘機は、翼が大きくなっているから、F-104は進化の途上の特異点と思える。

 ハセガワのキットは、前縁スラット、後縁エルロン&フラップが別パーツ。これは商品としては納得できるが、アップ状態で組みたい私には面倒でしかない。あえて希望をいえば、動翼一体で単純な上下分割(後縁はモデラー各自が薄くすればいいのだ)になったものと選択式にしてほしいな。ついでに一体型キャノピもね。CADで精度が良くなったが、摺り合わせが難しいパーツなので。逆に出来の悪いフィギュアなどは不要だ。

 そんな別パーツの各動翼は主翼本体と段差が生じる。瞬着で埋めてツライチに削るうち、エルロン前方のややこしいスジボリが消えてしまう。これは手彫り再生不可能だ。でも大丈夫。こんなときのために、キットは2つ買ってあるのダ。

 今度は上面パーツに各動翼を慎重に接着。特にエルロンが主翼上面より僅かに凸になるように、また翼断面が全体として凸レンズ形になるように注意する。裏から瞬着で固めてから、翼下面パーツを接着。上面優先で、下面側では1mm近い大きな段差が生じる。瞬着塗ってアルテコのプラ粉をふりかける。←これ、ちょっとしたパテがわりに大変便利。



主翼上面パーツに、スラット、エルロン、フラップを先に接着。矢印部にある櫛形のスジ彫りが厄介。

次に翼下面パーツを接着する。リベット打ちの圧力に耐えるため、裏の押しピン跡を瞬着パテで埋めておく。


 次に、翼一面のうざいリベットを埋める。胴体リベットはノーマル瞬着で埋めたが、前述の厄介なモールドを確実に残すためには不適。余分な瞬着を削る際に、スジ彫りまで削り落とす危険大だからだ。別の方法を考える必要がある。1回目の失敗主翼パーツでは、溶きパテ2度塗り。しかし、気泡のせいで全ての穴が確実に埋まらない。そこで、2つ目はポリパテをヘラで擦り込む。リベット打ちに耐えるか、打ってみないとわからないが、とりあえず穴は埋まる。

(後日、失敗が判明。パテの上から球ぐりを打つと、パテがポロリと取れてしまう。作品では仕方なく、パテを避けて球ぐりを打つ。やはり、瞬着で埋めるのがベストのようだ。)



左上面、右下面。リベットはポリパテで埋める。物理的に穴に擦り込むのがポイント。これで、確実に埋まる。動翼下面に瞬着+プラ粉を盛る。

翌日サンディング。削りすぎてスジ彫りが消えないように注意する。



■ 再び胴体

 重箱の隅。キャノピ直後のスジ彫りにミスを発見。これ、コクピット後方上部の部品分割ラインとなっているパネルラインである。せっかくなので、直してやろう。胴体下面も現存機と比較すると若干の差異がある。ここは目立たないので、とりあえず無視。



黄色がキット。赤が正しいライン。

修正前の状態。パーツ分割ラインが分かるかな?


 ここまでの作業で消えたスジ彫りを再生。合わせて全体のスジ彫りを深くさらう。当HPで何度も述べているが、こういう場合にはエッチングノコが一番。Pカッターでスジ彫りが上手く出来ないとお嘆きの諸兄も多かろうが、この道具は原理的に上手に彫れないシロモノだから、アタリマエ。Pカッター使う限りウマくなれないよ(一部の達人は神業の持ち主。一般人は真似しちゃいかんのだ)。

 エッチングノコが使えない点検ハッチなどの小さいR部は、ケガキ針を併用する。ここで、コツを紹介しよう。ケガキ針でスジ彫りをなぞる時は、左手の親指を針先に当て、動きをコントロールする。両手で彫る感覚だ。これでフリーハンドでも脱線がかなり防げるぞ。



スジ彫りはエッチングノコ。Pカッターより断然こっちがいいぞ。モデラーズのハイテク・マスキングテープをガイド。

間違えて接着した主脚カバーを撤去。キットが2つあるから撤去したカバーを再利用する必要はなく、バキバキとむしり取る。



■ リベット 6/25追加

 まず、不要胴体パーツに#1と#0の球ぐりを打って実験。細い胴体に#1は過大かと思ったが、いざ打ってみるとオリジナルリベットの大きさのせいか、#1でも違和感を感じない。#0は小さい分だけ単位長さ当たりの個数が増え、打つのが大変。ということで#1に決定。

 一方、ファスナ部には#3を使用。ただし部分的に#3が大きすぎてツライ箇所には#2も使う。後部胴体など、パネル面のリベットはキットのリベットを瞬着で埋めてから、同じ位置に打つ。ファスナ部は、キットのリベットを残したまま上から球ぐり。垂直尾翼は、#2を多用。

 今回、ガイドにはモデラーズのハイテク・マスキングテープを多用する。細い胴体=面の曲率が小さいため、これまでのプラバン定規ではうまく面に追従しないのだ。一方、モデラーズのテープは柔らかく伸縮性があるため面によく馴染む。ところが、モデル表面に付着した手の脂で、テープの粘着力がすぐに低下する。貴重なテープが勿体ないので、まずセロテープを貼ってからハイテク・マスキングテープを貼り、粘着力が低下すればセロテープを取り換える。これは使える。←貧乏性なヤツ。



不要パーツで実験。左#1、右#0。タミヤウェザリングマスターで軽くスミ入れ。パネルライン沿いの巨大な凹穴はキットオリジナルのリベット。



■ ハセガワのアウトライン

 モノグラムやエッシーの完成写真と見比べると、胴体の曲線の捉え方はハセガワが優るという気がする。インテイクから胴体背中、腰に至るラインは、結構色気のある艶っぽい曲線(←参考写真@Aで胴体上面を前後に走るパネルラインに注目)をしてるのだけど、その表現はハセガワが一番かな。意外とモノは素っ気ないライン。


■ 続、リベット 

 胴体リベットが概ね終了。これからリベットを打とうという酔狂なモデラーの参考になるやも知れぬと、図面がわりに掲載する。F-104は基本的に横断方向のフレームを密に配している。前後方向のストリンガーはパネルラインの位置にあり、パネル面には前後方向のリベットがほとんど見られない。フレームの本数、配置は写真を読み取り、ほぼ忠実に再現したつもり。



まず、胴体前方。コクピット付近の一部の小アクセスパネルとリベットラインが喧嘩するが、フレームのピッチを優先したため、本来フレームの間にあるべきハッチがフレーム位置に重なってしまう。


 胴体中央付近の3つ並んだ角丸四角のアクセスパネルが、1つのアクセントだが、このパネル前後のフレームは、主翼の桁が剛結される構造的に重要なもので、ここはリベットがダブルとなっている。実物の内部構造を、模型として読み取れる部分であるので、忠実に再現したい。



胴体後方。スジボリ忘れ(オレンジの航法灯の前方など数カ所)があり、このあと追加作業。


 バルカン砲口周囲のパネルは外板が応力外皮構造部材となっている。したがって、胴体フレーム位置にリベットがある。その後方は点検パネルで、パネル全体が取り外せるようになっている。したがってパネルは構造応力を受け持たず、パネル周囲にあるのはファスナであってリベットではない。点検パネルそのものが風圧に耐えるように内部には骨組みがあり、パネルにリベット止めされているはずだが、リベットの直径が小さいのか、写真ではその存在がわからない。操縦席下面のパネルは、下方射出座席の名残で構造的に点検パネルと同様かな?と考え、リベットなしとする。



機首下面。バルカン砲周囲の浮き出しパネルも削ってツライチに。

胴体中央部分のアップ。胴体頂上部分のリベットラインが手持ち資料からは判別できず。


 実機写真を見ると、垂直尾翼では胴体リベットと較べて大きく目立つリベットが多用されている。ダブルのところをダブルにするのも含め、自己満足気味に忠実再現する。



私はこの形の垂直尾翼が好き。一部の小アクセスハッチなどが残っており、この後作業。

クローズアップ。赤は目立つリベットで#2、青は点検パネルのファスナで#3、黄色は目立たないリベットで#1。


 しかし、リベット打ち終わって思うのだが、マルヨンってエンジン周囲を除くとリベット感の少ない機体なんだよね。だから、全身びっしりリベットって、なんか少々違和感。←苦労したのに・・・。


■ 続、胴体 

 最後に残った胴体下面にリベット。尾部のスジボリ忘れの追加など。これで、ようやく主翼接着が可となる。なお、胴体の前後方向のリベットについては、実機でパネルライン沿いにあるものも、作品ではスッキリ見せるために省略している。



キットの浮き出しモールドは、塗装時の磨きの都合で大部分を削り落としたが、ここだけは実機でも段差があり、0.14mmプラペーパーを貼る。

主脚後方のリベットはこんな感じ。斜めのラインがポイントか。

エンジン周辺は、キットオリジナルのリベットラインが正確なので、それをトレース。排気口直後の天井部分の凹みも瞬着パテで埋める。

忘れていたスジボリを追加。



■ 主翼接着

 キットは、胴体バルクヘッドの溝と主翼接着ベロの溝をかみ合わせることで、下反角が決まる設計となっている。この溝が少々緩いので、プラペーパーを貼って調整。胴体との合わせを上面優先としたことで、下面側に隙間段差が発生。瞬着パテで埋める。  



下面にできる隙間を瞬着パテで埋める。

ようやく「十」の字。



■ 主翼リベット

 写真の都合で話が前後するが、主翼接着の前にリベットを済ませる。キットのリベットラインは、桁の本数を含め、概ね正確なのだが、胴体との接合部分でミスがある。実機では、15本の細い翼桁が密に配されて翼の荷重を受ける。これらの桁は胴体との接合部近く(1/48で5mm程度)にあるリブに結合され、そのリブと胴体との間は5本の太くて短い桁でつながれている。

 一方、胴体はリベットの項で記述したリベットがダブルとなっている5個のフレームにそれぞれ主翼取り付け基部が結合されている。その5つの基部に翼の5本の桁が結合されるという構造。文章だとややこしいが、製作中のモデルのリベットラインを見ればすぐお分かり頂けると思う。キットのリベットラインは、この胴体=主翼の結合構造を反映していないので、この部分だけは正しく直す。

 後フラップのリベットラインは、キットが正しいことが確認できる。前フラップは写真では不明。ここはキットに従う。エルロンも写真から読み取れず、ここだけはフラップを参考に私のフィクション(←新版世傑の空自マルヨンにエルロンのリベットラインがよくわかる写真があるが、気付いたのは完成後)。



右舷主翼のリベット。画像は右上が機首方向になる。胴体付近のリベットラインを修正している。それ以外のラインはキットのとおりでよい。



■ さらに胴体頂部のリベット

 手持ち資料で、ここのリベットラインが不明と書いたが、その後丹念にWEB画像をチェックした結果、ほぼラインが判明。これらの画像は明度とコントラストをいじるとリベットが分かる場合がある。



で、作品では、このようにリベットを打つ。






 塗装 6/30追加




■ なぜ「フューチャー」か

 まず、下の画像をご覧いただきたい。これはサフェーサで下地を作り、クレオスのスーパー・メタリックの#SM06クロームシルバーをエアブラシしたものだが、半分から左は吹きっぱなし、右はその上に通常のラッカー系クリアをコートしている。画像では分かりづらいかも知れないが、クリアを吹くと銀粒子がクリアの中に浮き出し、結果として金属感がかなり低下する。  



クレオス「クロームシルバー」を吹いたもの。左は吹きっぱなし、右はさらにクリアをコート。ベースはハセガワ1/32サンダーボルト。


 クリアコートしないでモデルを仕上げればよいのだが、それだとデカールも貼りっぱなしで、ニス部分が目立つし、デカール表面の凸凹はそのまま、さらに経年変化による劣化も心配。また、一部の銀塗料(クレオス#8銀も該当)は触ると銀粉がはがれてしまうので、これも問題。

 これまで、開発された「ハイブリッド銀塗装」「スクラッチ銀塗装」の技法は、このクリアコートでも比較的輝きの低下が少なく、金属っぽさを維持するものである。ただ、若干はクリアに影響されるし、鏡面仕上げのような表現には向かない。

 一方、以前作った1/72のF-86Dでは、クレオスのメタルカラー(塗って磨くやつ)でキンキラキンの銀表現を狙ったわけが、クリアコートに水で希釈したタミヤ水性クリアーを使ったため、結果にいまひとつ満足できなかった(詳しくはこちら)。

 ということで、メタルカラーで磨いてフューチャーしたらどうか? となったわけである。


■ お買い物

 お試しする前に、お買い物。まずエアブラシ。別段フューチャー専用を買うつもりはないのだが、以前からサブとして口径の大きいブラシを欲しかったので、これを機会に口径0.4mmシングルアクションを購入。フューチャーの希釈用に無水エタノール、洗浄用にアンモニア水を薬局で購入。アンモニア水は昔懐かし虫さされ薬の臭い。



Mr.ホビーPS-268をジョーシンで購入。今回、これでフューチャーを吹く。

無水エタノールとアンモニア水。



■ テスト

 不要パーツでテストする。サフでベースを作り、#SM01スーパーファインシルバーで下地塗装。#2000ペーパーで磨いた後、粉状のメタルカラーをティッシュに付けて磨く。



Mr.メタルカラーの#MC211クロームシルバー。

上澄みを捨て、乾燥させたもの。これをティッシュにつけて磨く。


 この状態では、本当にキンキラキンである。そしていよいよフューチャーをエアブラシ。とりあえず希釈せず、カップに直接注ぐ。海外文献では空気圧にも言及されているが、圧力調節バルブは持ってないので愛機「静か御免」に直結して吹くだけだ。ブラシを離して吹くと梨肌状(海外文献の「オレンジ・ピール」か?)となるが、吹き重ねることにより表面は平滑になる。ただし油断すると隅部などに液が溜まってくる。

 フューチャーを吹くことにより、メタルカラーのキンキラキンは若干曇る。筆を使うと、穂先でメタルカラーの粒子を乱し、輝きの低下が著しいので、筆は不可。

 輝きが不十分だと感じたなら、フューチャー処理後十分に乾燥させ、さらにメタルカラーでキンキンに磨き、再度フューチャー吹き付けも効果あり。というか、メタルカラーは下地の光沢度の影響を受けるので、フューチャー後だとそれなりの効果があるということか。逆に、部分的にスクラッチ銀塗装(下地銀塗装に#800スポンジヤスリでキズを付けてメタルカラーで磨いたもの)の効果を試すが、これもマル。




Mr.メタルカラーのクロームシルバーでキンキラキンに磨いた状態。見よ、この金属感。

その上からフューチャーをエアブラシしたもの。若干、輝きが低下するが、まだ妖しく輝いている。



■ その他あれこれ

 クレオス・スーパーメタリック・シリーズの#SM06クロームシルバー、#SM07メッキシルバーを吹いた上にもフューチャーを吹いてテスト。結果は、オリジナルの輝きを全く低下させることなくクリアコートが可能。また、これらにおけるスクラッチ効果もマル。

 無水エタノールで希釈した場合の作業性をテストすると、多少平滑性が増すような気もするが、原液のままでも、特段の問題は感じない。

 海外文献でも言及していない注意点。フューチャーは、一部のデカール軟化剤に弱い。クレオスのマークセッター、マイクロのゾル(赤)は、フューチャー表面を侵し、表面が曇ったようになる。ただ、軽微な曇りはフューチャー上塗りでリカバリーできる。マイクロのセット(青)は、フューチャーを全く侵さない。これは臭いからして酢酸のようなので、入手困難な方はお酢を使ってみては?(←試してないので責任は持てず。あしからず)

 もう1つ注意点。銀塗装+フューチャー処理の上からラッカー系塗装をすると、フューチャーが侵されて、細かいヒビが入る。これはフューチャーの乾燥時間が短かったことが原因かも。なお、塗装の厚塗りである程度ヒビを抑え込むことは可能。

 タミヤ・ウェザリング・マスターによるウォッシング&スミ入れは、完全に拭き取れないので×。パステル粉+石鹸水が無難。エナメル系は試してないので不明。

 用具の掃除は、塗装直後なら水で十分。エタノールもフューチャーを溶かすようで、これも洗浄剤に使える。アンモニアはやはり臭いが・・・



スーパーメタリック・シリーズの#SM06クロームシルバーの上にフューチャー処理したもの。

#SM07メッキシルバーの上にフューチャー。メッキらしくないが、メッキシルバーの塗装自体が下手くそなためで、フューチャーのせいではない。



■ 結論

 テストの結果、銀塗装にフューチャーは「かなり使える」。我が国でも銀塗装にフューチャー処理が一般的になる日が近いかも?? ただし、フューチャーによって、今まで以上に輝きが増すわけではなく、あくまでクリア上掛けによる輝きの低下がなくなるだけ。言い換えれば銀塗装吹きっぱなしの状態のままフューチャーで封じ込めることが可能になるだけなのでお間違えなく。


■ コクピットまわり 

 まずC型独特の給油プローブ。アームを1.5mm真鍮線に置き換える。基部の厚さが2mmしかなく、1.5mmの穴を開けると薄皮が残るのみで、あまり強度は期待できない。

 ラダーペダルとシートベルトは、アイリス付属のエッチングパーツ。シートベルトはもっと細かいベルトが沢山ついているのだが、全部取り付けると煩雑なので、適当に省略。



給油プローブ。上、キット。下、アームを真鍮線に置き換えたもの。

ラダーペダルとシートベルト等を追加。ベルト、クッションの色の考証には自信なし。

給油プローブを胴体に接着。コクピット後方の航法灯は、透明ランナー。

航法灯前方のスジ彫りは、ぴったり合うテンプレートがなく、ハイテク・マスキングテープをガイドにケガキ針で彫る。

コクピットに組み込み、記念撮影。キャノピを閉めると、よく見えないから。

操縦桿、スロットルレバーもレジンパーツ。



■ キャノピ接着

 クリアパーツは型抜きの制約上、側面の一部のスジ彫りが浅く、まず全部のスジ彫りをエッチングノコでさらう。クリアパーツ同士は先に接着し、段差を調整、スジ彫りしておく。胴体に接着後に削り、スジ彫り作業をすると、内部に切削粉などが入るリスクがあるからだ。そして、クリアパーツ表裏をコンパウンドでよく磨き、コーティングポリマーを塗布。

 キットのクリアパーツと胴体との合わせは非常によい。ただし、パーツ摺り合わせの誤差により若干の隙間が生じ(←ヘタレ)、後端にプラペーパーを挟んで調整。やはり一体パーツが欲しいところで、メーカーには一考をお願いする。胴体への接着は、このように合わせが良い場合には、流し込み接着剤を使う。その後の削り合わせでゴミが入らないよう、隙間は完璧に塞ぐ。風防先端と胴体とのアウトラインがスムーズにつながらない。ここは一手間かけて、段差を丁寧に削る。

 窓枠の大雑把なリベットを何とかしたいところだが、瞬着で埋めて、削ってツライチにして、窓枠のスジ彫りを再生し、コンパウンドで磨き、球ぐり打って、その上でクリアパーツにヒビを入れるリスクを負う・・・と考えると手が進まない。従って、そのまま放置。



照準機のガラス基部も同様にエッチング。これはなかなか良い出来。ガラス自体は薄い透明フィルムで、クリアボンドで接着。

「几」の字形のキャノピ内側フレームを伸ばしランナーで取り付け、キャノピを接着。合わせはとても良く、余計な手間がかからないのが嬉しい。



■ ピトー管 

 ピトー管は、ファインモールド製の真鍮パーツ。これを取り付けないと、機体塗装が始まらない。破損のリスクがあるので、できれば塗装後に接着したいのだが、段差をなくそうとすれば塗装前しかないのだ。


■ 下地塗装

 キャノピのマスクはいつものセロテープ法。航法灯の小円はセロテープをポンチで切り抜く。下地塗装はいつものとおり。基本は極薄のサフェーサで、各翼の縁やキャノピフレームなどに透過光を防ぐ暗色。この段階で最終チェック。強く打ちすぎたリベットや、埋めたパテが欠けた箇所がいくつかあり、溶きパテで処理後、サフェーサをタッチアップ。毎度言い続けているが、この修正&タッチアップ作業にはサフが最適。


■ 本塗装開始

 塗装の手順をあれこれ考える。銀以外を先に塗装→マスクして銀吹き付け→メタルカラー磨き→マスクはがして全体にフューチャー吹き付け、という手順がよさそう。そこで、主翼上面の白、主翼下面とノーズコーン、垂直尾翼の一部のエアクラフト・グレイをまず塗装する。

 今回、両色にはクレオスから新発売の新塗料「GX」を使用。エアクラフト・グレイは黒と白を1:3〜4程度。他色は加えず。写真を見ながら明度を調整。銀を明るく見せたいので、気持ち暗めに調合。白も同じ理由から黒を微量加える。

 銀塗装部分の塗膜を厚くしたくないので、白とグレイはきちんとマスキングして塗り分ける。主翼の塗り分けラインは、キットのパーツ分割ラインとは異なるので注意。



クレオスのGXカラー。今回はこの2色を使用。

まず、この黒と白を混ぜた自作エアクラフト・グレイを塗装。脚取り付け穴に爪楊枝を差し込んで、仮の脚とする。

次に白。隠蔽力が高いので、薄い塗料を3回程度吹き重ねて終了。

塗り分けラインに注目。キットのパーツ分割ラインとは異なる。


 さて、新塗料の使用感だが、「おすすめ」である。白の隠蔽力が強いのが良い。ラベルにも「強い塗膜」と謳われているが、塗装後に#1500ペーパーで表面を均すときの削り具合では、なるほど硬質感あり。

 ペーパーで均したところに、シャブシャブに溶いた塗料をひと吹きして、白とグレイの塗装終了。


■ レドーム

 ノーズ以外に3箇所あるレーダー部はタン。これって未塗装のFRPなのかな? 大昔に買ったレドーム色のフタを開けたらガビガビに固まっている。仕方なく、セールカラーに微量の赤、黄を混ぜて、似たような色を作る。



タン色の部分はややこしい形状なので、マスキングはセロテープ。中央の凸があるので、2枚に分けて貼るとよろし。

貼ってからスジ彫りに沿ってデザインナイフで切る。

できあがり。エアクラフト・グレイ塗装機みたいな感じ。

機首下面にもレドーム部あり。

垂直尾翼のエアクラフト・グレイ部と、フィンのレドーム部も、きっちり塗り分ける。



■ アンチグレア

 MA別冊によると、自衛隊機のアンチグレアはFS34079(特色#309:ベト迷の暗い方のグリーン)かFS34092(特色#302:米陸ミディアムグリーン)とされている。米軍ではどうか。写真を見ると、グリーン系(上記2色ならFS34079が近いか)と黒とあるような。よく分からないので、写真のイメージから特色#309のビン生とする。

 風防前部との塗り分けラインが、機体によって異なるので注意が必要。自衛隊機はガラスの細縁のみが金属地肌であるが、米軍ではキットのクリアパーツ部分が全て金属地肌。



アンチグレアをマスクする。風防先端はセロテープでマスキング。

グリーンを塗装し、銀塗装に備えてマスキングした状態。セロテープなので、分かりづらいけど。

主翼もマスキングし、銀を吹く直前。



■ 脚カバー

 並行して小物。カバーにリベットを打って、縁を薄く削る。逆の順番は不可(縁のリベットが打てなくなる)。リベットラインは写真でほぼ判明。主脚カバーのセンター寄り(写真で下方)の小アクセスパネルが並んだような部分は、パネル周囲に密にリベット(というかネジ頭)が入っているが、省略。



いずれも左舷側のカバー。実機写真を見て、大体こんな感じ。まあ、裏の構造材のとおりに打っておけば間違いない。



■ 燃料タンク 

 こいつに意外と手間を食う。まず、主翼工作時の誤差が積もり積もって、右のタンクの取り付け角度に無視できない誤差が発生。主翼をお湯に浸けてねじるという荒技もあるが、下手すると取り返しの付かない失敗になる恐れもあり、タンク側で処理。つまり、取り付け穴の角度を変えるわけ。ナイフ、ヤスリで穴を広げ、反対側にはプラバンを接着。

 フィンのリベットは瞬着で埋めて球ぐり。キットのリベットラインは、若干実機と異なるが、そのまま。タンク本体のリベットが手持ち写真でよく分からない。分かる部分のみ再現するが、実物はどうなってんだろう。溶接してるのかな?

 タンクのプラの材質は、胴体や主翼と異なり、ゴム質が多くて柔らかく粘る。これ、修正に曲げを多用するときは都合が良いのだが、スジボリがやりづらい。



上:右舷側、下:左舷側。サフを吹いた後なので分かりづらいが、穴の傾きがビミョーに違う。真鍮線は塗装時の持ち手。



■ 銀塗装 7/9追加

 では、いよいよメインの銀塗装。これで勝負が決まるので、ちょっと緊張。まず、銀磨きの下地となる銀を吹き付ける。これには塗膜の強度からSM01スーパーファインシルバーを選択。さらに#2黒を3割程混ぜ、かなり暗く調合する。理由は、銀磨きでは凹部に磨き残しが避けられないが、そこが明るく浮かないようにするため。銀を吹いたところで、サフ吹きで見落としていた不具合を発見し、タンクのフィンなど一部を手直しし、再度吹き付け。仕上げにコンパウンドで軽く磨いておく。



銀磨きの下地を塗装。スーパーファインシルバー(SFS)に黒を混ぜる。

角度を変えて。

燃料タンクや水平尾翼も。脚回りの小物はSFSのビン生。


 銀磨きの前に、胴体後部エンジン回りの焼けた金属の表現。ここは銀磨きせず、スクラッチ銀塗装とする。周囲をマスキングしてから、#800スポンジヤスリでスクラッチ。その上に銀を吹く。スクラッチが大人しすぎて、金属感が足りないかな。

 なお、一連の写真で青く光っているのは、塗料のせいではなく、主光源である撮影用電球の他に室内灯の蛍光灯が写っているため(白熱灯に合わせたホワイトバランス調整で青くなる)。



マスキングして塗り分け中。

できあがり。一番明るい部分はSM06スーパークロームシルバーのビン生、暗い部分はそれに黒、茶を混ぜたもの。

下面はこんな感じ。


 次に銀磨き。テストではMC211クロームシルバーを使ったが、仕上がりの色調が少々暗く、本番ではMC218アルミを使う。こちらも乾燥したものを端布れやティッシュにつけて擦りつける。凹部には綿棒もいいのだが、うっかり強くこすると軸で塗装面にキズが付くので注意(経験者談←泣)。

 マスキングには、もっぱらセロテープを使う。理由は、@薄いので境目の磨き残しが少ない、A粘着力が強い、Bパネルラインでカットが容易、という利点があるから。SFSの塗膜は強固だが、銀塗装の上にマスクする場合、念のため皮膚などに貼り付け粘着力を落として使う。ただし落としすぎると、磨き作業中にめくれてしまう。




Mr.メタルカラーのアルミで銀磨き後、全てのマスキングをはがした状態。かなりキンキラキン。

近くから。この状態で下手に触ると、不要な部分に銀粒子が付着するので注意が必要。

下地の艶が輝きに影響する。


 燃料タンクは、リベットがほとんどない。そこで、ここはスクラッチした上に銀磨き。これで、3種類の銀塗装が1つのモデルに施されることになる。つまり「つるつる銀磨き(リベットあり)」「スクラッチ銀磨き(リベットなし)」「スクラッチ銀塗装(リベットあり)」の3つ。



手前は銀磨きしたもの。奥は銀磨き前のスクラッチ状態。

クローズアップ。この状態だと本当に金属にしか見えない。もっとも、このままでは触ると銀粉が落ちるしデカールも貼れない。


 銀磨き中、素手で触らないようにと軍手などはめるが、これが大失敗。新しい軍手って、油っぽいんだよね。気付いたときは、すでに一部触っており、そのせいか銀磨きも曇ったような・・。


■ フューチャー

 全てのマスキングをはがし、全面にフューチャーを吹き付ける。アルコールで希釈しようかとも思ったが、もし銀磨きに反応して曇りが強くなると嫌だなあ(未テストなので不明)と考え、原液のまま。キャノピガラス部分も同時に吹き付け。吹き方が下手で、梨肌になったり、溜まったり。デカール後の2回目のフューチャーで回復することに希望をつなぐ。吹きムラは軍手のせいもあるかな。



フューチャー後の状態。

クローズアップ。磨きっぱなしと比べると、若干曇っている。

フューチャー後の燃料タンク。曇ってもなお妖しい金属感がある。


 脚カバーと水平尾翼は輝きの低下が著しく、フューチャー後に再度銀磨き。胴体については、想定の範囲内で、まずまず満足の結果。


■ マーキングの考証

 マーキングは、前からベトナムに展開した479TFW所属機と決めている。各機とも、部隊マークは共通で、コールナンバー(尾翼5桁の数字)の違いだけ。手持ち写真からコールナンバーを拾うと、60883,60886,60892,60908,70911,70921がある。F-104Cの初号機で、フィリップ・スミス大尉搭乗で撃墜された(彼は捕虜となり後に釈放)60883がドラマ性があっていいのだが、手持ちデカールの切り貼りで再現不可("8"が足りない)。そこで再現可能な436TFS所属60892(F-104C-5-LO,s/n56-892)とする。

 60892号機について、写真を読み取っていこう。機体全面無塗装銀で、写真では胴体は結構輝いて見えるが、垂直尾翼はそうでもなく、ここだけ塗装してあるように見えなくもない。アンチグレアは黒ではないようだが、レドーム前後でトーンが変わっているように見える。給油プローブは装備しているが、ハセガワのインストのように黒ではなく銀色。翼端の燃料タンクは、通常は装着しているようだが、同隊機ではミサイルを取り付けた状態の写真もある。

 主翼下面パイロンにナパーム弾を装着しているが、キットにはこれらのパーツが含まれてない。また、胴体下面に爆弾ラックを装着しているが、これも同様。同隊機を見ると、主翼パイロンは装着してないものもあり、時期・任務により着けたり外したりされたものと考えられる。同隊機では、機首左側に愛称のパーソナルマーキングが記入されたものもあり(60886:"funny"、70921:"XAXYZ")、ひょっとすると60892にもあるかも知れない。

 WEBで拾ったUSAFテクニカル・オーダーの写しとおぼしき図面によると、マーキングのスペックは、@尾翼コールナンバー:黒、高さ12インチ(1/48で6.4mm以下同じ)、A機首の"U.S.AIR FORCE":黒、高さ13インチ(6.9mm)、B主翼上下面の"USAF":FS15044インシグニアブルー(※ハセガワキットでは黒となっているのに注意)高さ30インチ(15.9mm)、エルロンヒンジラインより2インチ、胴体境界より1インチあけて記入、C胴体および主翼インシグニア:30インチサイズ(白星の接する円の直径であり、青丸の直径でないことに注意)、エルロンヒンジラインに接して記入、等々とされている。


■ デカール

 今回、私にしては珍しく、マーキングはほとんどデカールを使用する。銀磨き後にマーキング塗装は困難、先に塗装してマスクすると境界の磨き残しが不可避なため、総合的にデカールが良い結果になるだろうと考えた結果である。使用するのは、イーグルストライク48029。このインストによると、アンチグレアはアンチグレア・グリーン(FS34108)とされているが、既にFS34079で塗った後。また、デカールと前述のスペックと比較すると、主翼USAFのサイズが過小。

 この前まともにデカールを貼ったのがいつか思い出せないほど久しぶりで、不安である。木工ボンドをマイクロ・セットで溶いてモデル表面に塗布、デカールを置き、余分なボンド+セット液を押し出す。主翼のUSAFは、貼り付け後、半乾きの時にニス部をデザインナイフで切り取る。スジボリ部はナイフで切り、デカールの上にマイクロ・セットをたっぷり塗って放置。1日後には、表面にそこそこ馴染んでいる。

 ただし、このままでは塗装面とデカール面の艶が違いすぎ、なんらかのコートは必要。そう考えると、メッキシルバーやアルクラッドの吹きっぱなしにデカール貼ってそのまま完成、というのはちょいとツライわけで、フューチャー・コートには、やっぱり意味があるのである。



国籍マークとUSAFのレターのデカールを貼る。USAFは黒でなく紺である。


 機首のU.S.AIR FORCEは、当初そのまま貼るものの、ニスが結構目立つ。貼り付け後にナイフで切ると、切れ目から染みこんだセット液が、長期的に銀粒子と反応して曇ったら嫌だなあなどと考え、剥がして、今度はニス部を事前に切り取ってから(幸い1つ余分にあるのだ)、1文字ずつ貼っていく。漫然と貼ったのでは揃いっこないから、テープをガイドにする。これで、よく見れば多少の不揃いはあっても、ぱっと見は分からない。  



まず、U.S.AIR FORCEの大きさに切り出したテープ(黄色)で位置、角度を確認。

このテープに沿って細テープを貼り、これをガイドにデカールを貼る。



■ 続、デカール 

 イーグルストライクのデカールには、コーションデータ類がほとんど含まれていない。スーパースケールのF-104用が入手できればよかったのだが、何軒も模型屋をハシゴするも見つからず。そこで、プラッツの空自用を購入。1,890円と結構高価なんだけど、米空C型と空自J型のコーションデータって、共通する部分もあるけど違う方が多いのね。それに赤の色調が朱色系で気に入らない。まあしかし、細かいことを気にしていては、いつまでも完成しない。C型の実機写真やハセガワのインストなどを見ながら、テキトーにでっちあげる。

 デカール後、リベットのぎらつきが気になり、ダークグレイのパステルでスミイレ。



燃料タンクはプラッツのデカールででっちあげ。上側の2個の赤丸と"NO STEP"は自作インレタ。

479TFWの部隊マークは、手持ちのハセモノF-102だったかF-106だったかのカルトグラフ製デカールの方が正確かも。この写真はスミイレ後。



■ 細部塗装

 ピトー管は赤白塗り分け。どちらもGXカラーのビン生を使う。ジェットノズルは艶消し黒+クロームシルバーを吹き、スミイレと銀のドライブラシ。キャノピサイドのタン色はレドームと同じ自家調合。マスクして筆塗り。



ピトー管はマスクして塗り分け。

ジェットノズル。アイリスのレジンパーツの表現力は、このとおり素晴らしい。



■ フューチャーコート 

 デカールの表面は、軟化剤の使用で細かい凸凹になっているため、再度フューチャーを全体に吹く。1日おいて十分に乾燥させてから、デカール部分を#1500ペーパーで軽く均し、ハセガワのセラミック・コンパウンドで艶を回復させる。フューチャーは普通のクリアと比べて柔らかいので、磨きすぎに注意。仕上げとしては本来これで十分なのだが、主翼上面の一部で磨き過ぎてラッカー塗装面が出てしまう。そこで、部分的にフューチャーを重ね吹きするが・・・

 これが大失敗。コンパウンドがフューチャーを弾くのだ(フューチャーは希釈せず使用)。その結果、ものすごいムラ&厚塗りでトホホホホ。仕方なく、また1日おいて#1500ペーパーがけ。まだ十分に凸凹が消えないが、さらにフューチャーを吹き重ね、コンパウンドで磨いて終了とする。このドタバタで、大部分のリベットや一部のスジボリが埋まって、非常に残念。

 この最後のフューチャーは、弾かないようにと洗剤数滴を加える。さらに厚吹きを避けるためにアルコール3割程度で希釈。今度は弾かず、うまく吹ける。試しにコンパウンドで磨いたテストピースに吹いても大丈夫。海外文献に「指紋を付けるな」とあるとおり、フューチャーは塗布面の清浄さに敏感で、今回身をもって体験したわけだが、洗剤の添加によって改善されるようだ(ただし、その後P-36では洗剤によると思われる失敗もあり)。どのくらいの濃度が最適かは試してないので不明。各自研究されたい。なお、私の場合は1割程度。

 もう1つ、フューチャーとアルコールについての注意。希釈に無水エタノール(100%アルコール)を使用すること自体は、特に問題の発生は経験していないが、乾燥後のフューチャーにアルコールが付くと、白く曇る。100%アルコールって、ラッカー塗料も落とすくらいだから、けっこう強い薬品なんだね。吹き付け作業性の改善のための希釈であれば、水で薄めたアルコール、あるいは単に水(+洗剤)というのもありかも。特にメタルカラー+フューチャーの場合、アルコールが輝きに悪影響を与える懸念あり。


■ 水平尾翼再び

 水平尾翼の輝きに不満。フューチャー後に再びメタルカラー磨き&フューチャーコートするも、今度は輝きの「ムラ」が気になる。そこで、別パーツで最初から作り直す。今度はリベット埋めにアルテコ瞬着パテ用の瞬間接着剤を使用してみる。結果は比較的良好。球ぐりリベット、下地塗装にSFS+黒は前と同じ。今度は#800スポンジヤスリのスクラッチを入れてからメタルカラー磨き。



水平尾翼をやりなおし。







■ 脚まわり

 キットの脚まわりの出来は、大変素晴らしいの一言。ほとんどディティールアップの必要性を感じない。あえて言えば、主脚ドアと主脚をつなぐリンクの基部が少々ゴツイのが気になるくらいだが、主翼のフューチャーでチョンボこいた後なので、スルー。ドアの縁を薄く削るのは定番として、あとは主脚に0.3mm糸ハンダでブレーキラインを追加し、ランディング・ライトに「さかつう」の2.5mmヘッドライトを貼り付けたのみ。

 



脚柱などはSFSビン生、実機のホイルはかなり黒っぽく見えるので、SFS+#2黒。

アイリスは素晴らしいディティールだが、ひっくり返さないと見えない。






 完成 




■ 完成

 2008静岡ホビーショー前に滑り込み完成。じつは、胴体横のセンサーなどが残っているけど、完成としちゃう。今回初めてのフューチャーだが、銀塗装への有効性が実証できたので、当初の目標は達成。反面、使い方の難しさも実感。したがって、銀塗装以外でのフューチャー使用は、私としては否定的。普通のクリアの方がずっと良い。ただ、フューチャーはデカールには優しいというメリットはある。

 静岡で達人から伺った話。マルヨンの主翼は、上面はカーブしているが下面は平ら。前端は翼端にいくに従って下にたれていく。一種のねじり下げのようなもの。水平尾翼は、中間部は厚さ均等な板で、前後で薄く尖る。以前、キットの後部胴体、タービンラインのあたりが扁平と書いたが、これはキットが正しいとのこと。お詫びして訂正。

 メタルカラー磨き+フューチャーは、輝きの低下があるので、いまひとつキンキラキンにならない。輝きだけならスーパーメタリックのクロームシルバーやメッキシルバーの方が勝ってるかも。

 それはさておき、F-104って、本当にこんな形で飛ぶのか?っていうくらい現実離れした格好良さ。アバンギャルドなデザインはロッキードならでは。やはり進化の特異点といえよう。

 では、完成写真。
















 


■ 決算報告

 レジンパーツとデカールで殿様モデリング。まあでも1万円強で3ヶ月遊べれば十分リーズナブル。

ハセガワキット×2個 4,100円 
アイリス コックピット 1,522円 
アイリス エグゾースト 1,155円 
アイリス 脚収容部 945円 
ファインモールド ピトー管 735円 
イーグルストライク デカール 1,400円 
プラッツ デカール 1,890円 
合計 11,747円 












 参考資料 



■ 参考文献

 マルヨンについては、これまであまり意識して集めてなく、手持ちはそれほど多くない。愛情の程度が分かってしまう? MA別冊におおくらとしお氏のイラスト塗装ガイドがあって、細部の色が細かく解説されている。とても重宝。



F-104 Starfighter in action Aircraft Number 27 Squadron/Signal Publications
D&S VOL.38, F-104 Starfighter Squadron/Signal Publications
世界の傑作機 No.103 F-104スターファイター 文林堂
世界の傑作機 No.104 ロッキードF-104J/DJ"栄光" 文林堂
旧版 世界の傑作機 文林堂
航空ファン別冊 No.60 ロッキードF-104スターファイター 文林堂
航空ファン別冊 No.21 ベトナム航空戦 文林堂
モデルアート別冊 NO.259 F-104 Starfighter モデルアート
電撃スケールマガジン別冊 F-104J/DJスターファイター「航空自衛隊」 メディアワークス



■ 参考サイト

 マルヨンはコアなファンがいるようで、マニアックなサイトも多い。
  1. データ、写真、リンクなど多数
  2. クローズアップ写真
  3. 同上
  4. 同上
  5. 同上
  6. 同上
  7. 同上
  8. 同上
  9. 同上
  10. エジェクションシート
  11. Airliners.net(横)
  12. Airliners.net(前)
  13. Airliners.net(後)






簡略版製作記

HOME