F−104C(ハセガワ1/48)製作記
2009.6.21 初出
|
|
はじめに |
|
アイリス製レジンパーツ。しめて3,622円ナリ。キットより高価。 |
その中身。脚収容部はいらないんだけど、揃って売ってるとつい買ってしまう。 |
ジェットノズル内側の表現が素晴らしい。 |
付属のエッチング。計器板はエッチングの限界で、どうしても平板な表現となってしまう。 |
|
組み立て |
|
前脚収容部は、キットの胴体下面パーツ、レジンパーツとも接合部を45度にカット。接着の際に胴体下面パーツを歪めないよう、細心の注意。 |
レジンパーツの収縮か、開口部より収容部の方が狭いが、脚ドアを付ければ目立たないかな。 |
削り過ぎてコクピット床に穴が開いたので、床を全部カット。 |
コクピット側壁は0.5mm厚まで削り込む。胴体パーツ側もコクピットの縁部をレジンパーツに合わせてカット。 |
計器板は、キットパーツを薄く削って貼り付ける。 |
削り合わせが終了したら、色塗り。レジンパーツの下処理は、クレオスシンナーで洗ったのみ。まだ離型剤が残っているような気がするが・・・。プライマーは塗っていない。経年変化に耐えるか自信ないので、読者の皆さんにおすすめするものではない。 シート、計器板は、胴体左右接着後でも取り付け可だが、ついでに塗っておく。コクピット内のグレイは適当に調合。ちと暗すぎか。ヘッドレストの赤はそのグレイを半分ほど混ぜて彩度を落とす。 |
コクピット内部の塗装が概ね終了。側壁は胴体パーツに接着しておく。床板はプラバンで新設。 |
メーター周囲を黒く塗り、ポンチで丸くくりぬいたデカールを貼る。マイクロ・ゾルでモールドに十分に馴染ませた後、メーターとレーダースコープにフューチャーを垂らす。 |
接着前に記念撮影。シートは未接着。 |
主脚収容部は位置固定のため、キットのバルクヘッドパーツを接着する。そのため、レジンパーツは一部を削り取る。 |
|
航法灯の仕込み。内側からクリアー塗料を塗り、凹ませたアルミ板をマスキングテープで止めるという算段。 |
|
とりあえず「一」の字。 |
胴体後部や主翼に打たれた大味なリベット。このキット最大の欠点と言っていい。そのまま残してリベッティングと思ったが、埋めることにする。この日のために買っておいた黒瞬着。いよいよ使おうと開封すると、未使用なのにカチカチに固まっている(怒)。仕方なく、普通の瞬着を使う。スジ彫りを埋めないよう、爪楊枝で塗布。アクセスパネル等のファスナにあるリベットはそのまま残す。 |
インテイクパーツの合わせは良好。合わせ目近くのデリケートなスジ彫りが、サンディングで消えないように注意して接着&整形。 |
未使用なのに固まってて使えない黒瞬着。ゴルァ、金返せ! |
主脚カバーの大きい方を胴体に接着。これは、地上状態では僅かに開いているのだが、知らずに胴体とツライチに接着し、わざわざ段差をプラバンで埋めたりして。後ではがして直さないと。初歩的知識の欠如でお恥ずかしい限り。 |
リベットを瞬着で埋める。スピードブレーキも閉じて瞬着で固め、凸凹モールドともどもサンディング。スジ彫りはエッチングノコでさらう。 |
脚カバーを間違えて接着。orz |
ハセガワのキットは、前縁スラット、後縁エルロン&フラップが別パーツ。これは商品としては納得できるが、アップ状態で組みたい私には面倒でしかない。あえて希望をいえば、動翼一体で単純な上下分割(後縁はモデラー各自が薄くすればいいのだ)になったものと選択式にしてほしいな。ついでに一体型キャノピもね。CADで精度が良くなったが、摺り合わせが難しいパーツなので。逆に出来の悪いフィギュアなどは不要だ。 そんな別パーツの各動翼は主翼本体と段差が生じる。瞬着で埋めてツライチに削るうち、エルロン前方のややこしいスジボリが消えてしまう。これは手彫り再生不可能だ。でも大丈夫。こんなときのために、キットは2つ買ってあるのダ。 今度は上面パーツに各動翼を慎重に接着。特にエルロンが主翼上面より僅かに凸になるように、また翼断面が全体として凸レンズ形になるように注意する。裏から瞬着で固めてから、翼下面パーツを接着。上面優先で、下面側では1mm近い大きな段差が生じる。瞬着塗ってアルテコのプラ粉をふりかける。←これ、ちょっとしたパテがわりに大変便利。 |
主翼上面パーツに、スラット、エルロン、フラップを先に接着。矢印部にある櫛形のスジ彫りが厄介。 |
次に翼下面パーツを接着する。リベット打ちの圧力に耐えるため、裏の押しピン跡を瞬着パテで埋めておく。 |
次に、翼一面のうざいリベットを埋める。胴体リベットはノーマル瞬着で埋めたが、前述の厄介なモールドを確実に残すためには不適。余分な瞬着を削る際に、スジ彫りまで削り落とす危険大だからだ。別の方法を考える必要がある。1回目の失敗主翼パーツでは、溶きパテ2度塗り。しかし、気泡のせいで全ての穴が確実に埋まらない。そこで、2つ目はポリパテをヘラで擦り込む。リベット打ちに耐えるか、打ってみないとわからないが、とりあえず穴は埋まる。 (後日、失敗が判明。パテの上から球ぐりを打つと、パテがポロリと取れてしまう。作品では仕方なく、パテを避けて球ぐりを打つ。やはり、瞬着で埋めるのがベストのようだ。) |
左上面、右下面。リベットはポリパテで埋める。物理的に穴に擦り込むのがポイント。これで、確実に埋まる。動翼下面に瞬着+プラ粉を盛る。 |
翌日サンディング。削りすぎてスジ彫りが消えないように注意する。 |
|
黄色がキット。赤が正しいライン。 |
修正前の状態。パーツ分割ラインが分かるかな? |
ここまでの作業で消えたスジ彫りを再生。合わせて全体のスジ彫りを深くさらう。当HPで何度も述べているが、こういう場合にはエッチングノコが一番。Pカッターでスジ彫りが上手く出来ないとお嘆きの諸兄も多かろうが、この道具は原理的に上手に彫れないシロモノだから、アタリマエ。Pカッター使う限りウマくなれないよ(一部の達人は神業の持ち主。一般人は真似しちゃいかんのだ)。 エッチングノコが使えない点検ハッチなどの小さいR部は、ケガキ針を併用する。ここで、コツを紹介しよう。ケガキ針でスジ彫りをなぞる時は、左手の親指を針先に当て、動きをコントロールする。両手で彫る感覚だ。これでフリーハンドでも脱線がかなり防げるぞ。 |
スジ彫りはエッチングノコ。Pカッターより断然こっちがいいぞ。モデラーズのハイテク・マスキングテープをガイド。 |
間違えて接着した主脚カバーを撤去。キットが2つあるから撤去したカバーを再利用する必要はなく、バキバキとむしり取る。 |
一方、ファスナ部には#3を使用。ただし部分的に#3が大きすぎてツライ箇所には#2も使う。後部胴体など、パネル面のリベットはキットのリベットを瞬着で埋めてから、同じ位置に打つ。ファスナ部は、キットのリベットを残したまま上から球ぐり。垂直尾翼は、#2を多用。 今回、ガイドにはモデラーズのハイテク・マスキングテープを多用する。細い胴体=面の曲率が小さいため、これまでのプラバン定規ではうまく面に追従しないのだ。一方、モデラーズのテープは柔らかく伸縮性があるため面によく馴染む。ところが、モデル表面に付着した手の脂で、テープの粘着力がすぐに低下する。貴重なテープが勿体ないので、まずセロテープを貼ってからハイテク・マスキングテープを貼り、粘着力が低下すればセロテープを取り換える。これは使える。←貧乏性なヤツ。 |
不要パーツで実験。左#1、右#0。タミヤウェザリングマスターで軽くスミ入れ。パネルライン沿いの巨大な凹穴はキットオリジナルのリベット。 |
|
まず、胴体前方。コクピット付近の一部の小アクセスパネルとリベットラインが喧嘩するが、フレームのピッチを優先したため、本来フレームの間にあるべきハッチがフレーム位置に重なってしまう。 |
胴体中央付近の3つ並んだ角丸四角のアクセスパネルが、1つのアクセントだが、このパネル前後のフレームは、主翼の桁が剛結される構造的に重要なもので、ここはリベットがダブルとなっている。実物の内部構造を、模型として読み取れる部分であるので、忠実に再現したい。 |
胴体後方。スジボリ忘れ(オレンジの航法灯の前方など数カ所)があり、このあと追加作業。 |
バルカン砲口周囲のパネルは外板が応力外皮構造部材となっている。したがって、胴体フレーム位置にリベットがある。その後方は点検パネルで、パネル全体が取り外せるようになっている。したがってパネルは構造応力を受け持たず、パネル周囲にあるのはファスナであってリベットではない。点検パネルそのものが風圧に耐えるように内部には骨組みがあり、パネルにリベット止めされているはずだが、リベットの直径が小さいのか、写真ではその存在がわからない。操縦席下面のパネルは、下方射出座席の名残で構造的に点検パネルと同様かな?と考え、リベットなしとする。 |
機首下面。バルカン砲周囲の浮き出しパネルも削ってツライチに。 |
胴体中央部分のアップ。胴体頂上部分のリベットラインが手持ち資料からは判別できず。 |
実機写真を見ると、垂直尾翼では胴体リベットと較べて大きく目立つリベットが多用されている。ダブルのところをダブルにするのも含め、自己満足気味に忠実再現する。 |
私はこの形の垂直尾翼が好き。一部の小アクセスハッチなどが残っており、この後作業。 |
クローズアップ。赤は目立つリベットで#2、青は点検パネルのファスナで#3、黄色は目立たないリベットで#1。 |
しかし、リベット打ち終わって思うのだが、マルヨンってエンジン周囲を除くとリベット感の少ない機体なんだよね。だから、全身びっしりリベットって、なんか少々違和感。←苦労したのに・・・。
|
キットの浮き出しモールドは、塗装時の磨きの都合で大部分を削り落としたが、ここだけは実機でも段差があり、0.14mmプラペーパーを貼る。 |
主脚後方のリベットはこんな感じ。斜めのラインがポイントか。 |
エンジン周辺は、キットオリジナルのリベットラインが正確なので、それをトレース。排気口直後の天井部分の凹みも瞬着パテで埋める。 |
忘れていたスジボリを追加。 |
|
下面にできる隙間を瞬着パテで埋める。 |
ようやく「十」の字。 |
一方、胴体はリベットの項で記述したリベットがダブルとなっている5個のフレームにそれぞれ主翼取り付け基部が結合されている。その5つの基部に翼の5本の桁が結合されるという構造。文章だとややこしいが、製作中のモデルのリベットラインを見ればすぐお分かり頂けると思う。キットのリベットラインは、この胴体=主翼の結合構造を反映していないので、この部分だけは正しく直す。 後フラップのリベットラインは、キットが正しいことが確認できる。前フラップは写真では不明。ここはキットに従う。エルロンも写真から読み取れず、ここだけはフラップを参考に私のフィクション(←新版世傑の空自マルヨンにエルロンのリベットラインがよくわかる写真があるが、気付いたのは完成後)。 |
右舷主翼のリベット。画像は右上が機首方向になる。胴体付近のリベットラインを修正している。それ以外のラインはキットのとおりでよい。 |
|
で、作品では、このようにリベットを打つ。 |
|
塗装 6/30追加 |
|
クレオス「クロームシルバー」を吹いたもの。左は吹きっぱなし、右はさらにクリアをコート。ベースはハセガワ1/32サンダーボルト。 |
クリアコートしないでモデルを仕上げればよいのだが、それだとデカールも貼りっぱなしで、ニス部分が目立つし、デカール表面の凸凹はそのまま、さらに経年変化による劣化も心配。また、一部の銀塗料(クレオス#8銀も該当)は触ると銀粉がはがれてしまうので、これも問題。 これまで、開発された「ハイブリッド銀塗装」「スクラッチ銀塗装」の技法は、このクリアコートでも比較的輝きの低下が少なく、金属っぽさを維持するものである。ただ、若干はクリアに影響されるし、鏡面仕上げのような表現には向かない。 一方、以前作った1/72のF-86Dでは、クレオスのメタルカラー(塗って磨くやつ)でキンキラキンの銀表現を狙ったわけが、クリアコートに水で希釈したタミヤ水性クリアーを使ったため、結果にいまひとつ満足できなかった(詳しくはこちら)。 ということで、メタルカラーで磨いてフューチャーしたらどうか? となったわけである。
|
Mr.ホビーPS-268をジョーシンで購入。今回、これでフューチャーを吹く。 |
無水エタノールとアンモニア水。 |
|
Mr.メタルカラーの#MC211クロームシルバー。 |
上澄みを捨て、乾燥させたもの。これをティッシュにつけて磨く。 |
この状態では、本当にキンキラキンである。そしていよいよフューチャーをエアブラシ。とりあえず希釈せず、カップに直接注ぐ。海外文献では空気圧にも言及されているが、圧力調節バルブは持ってないので愛機「静か御免」に直結して吹くだけだ。ブラシを離して吹くと梨肌状(海外文献の「オレンジ・ピール」か?)となるが、吹き重ねることにより表面は平滑になる。ただし油断すると隅部などに液が溜まってくる。 フューチャーを吹くことにより、メタルカラーのキンキラキンは若干曇る。筆を使うと、穂先でメタルカラーの粒子を乱し、輝きの低下が著しいので、筆は不可。 輝きが不十分だと感じたなら、フューチャー処理後十分に乾燥させ、さらにメタルカラーでキンキンに磨き、再度フューチャー吹き付けも効果あり。というか、メタルカラーは下地の光沢度の影響を受けるので、フューチャー後だとそれなりの効果があるということか。逆に、部分的にスクラッチ銀塗装(下地銀塗装に#800スポンジヤスリでキズを付けてメタルカラーで磨いたもの)の効果を試すが、これもマル。 |
Mr.メタルカラーのクロームシルバーでキンキラキンに磨いた状態。見よ、この金属感。 |
その上からフューチャーをエアブラシしたもの。若干、輝きが低下するが、まだ妖しく輝いている。 |
無水エタノールで希釈した場合の作業性をテストすると、多少平滑性が増すような気もするが、原液のままでも、特段の問題は感じない。 海外文献でも言及していない注意点。フューチャーは、一部のデカール軟化剤に弱い。クレオスのマークセッター、マイクロのゾル(赤)は、フューチャー表面を侵し、表面が曇ったようになる。ただ、軽微な曇りはフューチャー上塗りでリカバリーできる。マイクロのセット(青)は、フューチャーを全く侵さない。これは臭いからして酢酸のようなので、入手困難な方はお酢を使ってみては?(←試してないので責任は持てず。あしからず) もう1つ注意点。銀塗装+フューチャー処理の上からラッカー系塗装をすると、フューチャーが侵されて、細かいヒビが入る。これはフューチャーの乾燥時間が短かったことが原因かも。なお、塗装の厚塗りである程度ヒビを抑え込むことは可能。 タミヤ・ウェザリング・マスターによるウォッシング&スミ入れは、完全に拭き取れないので×。パステル粉+石鹸水が無難。エナメル系は試してないので不明。 用具の掃除は、塗装直後なら水で十分。エタノールもフューチャーを溶かすようで、これも洗浄剤に使える。アンモニアはやはり臭いが・・・ |
スーパーメタリック・シリーズの#SM06クロームシルバーの上にフューチャー処理したもの。 |
#SM07メッキシルバーの上にフューチャー。メッキらしくないが、メッキシルバーの塗装自体が下手くそなためで、フューチャーのせいではない。 |
ラダーペダルとシートベルトは、アイリス付属のエッチングパーツ。シートベルトはもっと細かいベルトが沢山ついているのだが、全部取り付けると煩雑なので、適当に省略。 |
給油プローブ。上、キット。下、アームを真鍮線に置き換えたもの。 |
ラダーペダルとシートベルト等を追加。ベルト、クッションの色の考証には自信なし。 |
給油プローブを胴体に接着。コクピット後方の航法灯は、透明ランナー。 |
航法灯前方のスジ彫りは、ぴったり合うテンプレートがなく、ハイテク・マスキングテープをガイドにケガキ針で彫る。 |
コクピットに組み込み、記念撮影。キャノピを閉めると、よく見えないから。 |
操縦桿、スロットルレバーもレジンパーツ。 |
キットのクリアパーツと胴体との合わせは非常によい。ただし、パーツ摺り合わせの誤差により若干の隙間が生じ(←ヘタレ)、後端にプラペーパーを挟んで調整。やはり一体パーツが欲しいところで、メーカーには一考をお願いする。胴体への接着は、このように合わせが良い場合には、流し込み接着剤を使う。その後の削り合わせでゴミが入らないよう、隙間は完璧に塞ぐ。風防先端と胴体とのアウトラインがスムーズにつながらない。ここは一手間かけて、段差を丁寧に削る。 窓枠の大雑把なリベットを何とかしたいところだが、瞬着で埋めて、削ってツライチにして、窓枠のスジ彫りを再生し、コンパウンドで磨き、球ぐり打って、その上でクリアパーツにヒビを入れるリスクを負う・・・と考えると手が進まない。従って、そのまま放置。 |
照準機のガラス基部も同様にエッチング。これはなかなか良い出来。ガラス自体は薄い透明フィルムで、クリアボンドで接着。 |
「几」の字形のキャノピ内側フレームを伸ばしランナーで取り付け、キャノピを接着。合わせはとても良く、余計な手間がかからないのが嬉しい。 |
今回、両色にはクレオスから新発売の新塗料「GX」を使用。エアクラフト・グレイは黒と白を1:3〜4程度。他色は加えず。写真を見ながら明度を調整。銀を明るく見せたいので、気持ち暗めに調合。白も同じ理由から黒を微量加える。 銀塗装部分の塗膜を厚くしたくないので、白とグレイはきちんとマスキングして塗り分ける。主翼の塗り分けラインは、キットのパーツ分割ラインとは異なるので注意。 |
クレオスのGXカラー。今回はこの2色を使用。 |
まず、この黒と白を混ぜた自作エアクラフト・グレイを塗装。脚取り付け穴に爪楊枝を差し込んで、仮の脚とする。 |
次に白。隠蔽力が高いので、薄い塗料を3回程度吹き重ねて終了。 |
塗り分けラインに注目。キットのパーツ分割ラインとは異なる。 |
さて、新塗料の使用感だが、「おすすめ」である。白の隠蔽力が強いのが良い。ラベルにも「強い塗膜」と謳われているが、塗装後に#1500ペーパーで表面を均すときの削り具合では、なるほど硬質感あり。 ペーパーで均したところに、シャブシャブに溶いた塗料をひと吹きして、白とグレイの塗装終了。
|
タン色の部分はややこしい形状なので、マスキングはセロテープ。中央の凸があるので、2枚に分けて貼るとよろし。 |
貼ってからスジ彫りに沿ってデザインナイフで切る。 |
できあがり。エアクラフト・グレイ塗装機みたいな感じ。 |
機首下面にもレドーム部あり。 |
垂直尾翼のエアクラフト・グレイ部と、フィンのレドーム部も、きっちり塗り分ける。 |
風防前部との塗り分けラインが、機体によって異なるので注意が必要。自衛隊機はガラスの細縁のみが金属地肌であるが、米軍ではキットのクリアパーツ部分が全て金属地肌。 |
アンチグレアをマスクする。風防先端はセロテープでマスキング。 |
グリーンを塗装し、銀塗装に備えてマスキングした状態。セロテープなので、分かりづらいけど。 |
主翼もマスキングし、銀を吹く直前。 |
|
いずれも左舷側のカバー。実機写真を見て、大体こんな感じ。まあ、裏の構造材のとおりに打っておけば間違いない。 |
フィンのリベットは瞬着で埋めて球ぐり。キットのリベットラインは、若干実機と異なるが、そのまま。タンク本体のリベットが手持ち写真でよく分からない。分かる部分のみ再現するが、実物はどうなってんだろう。溶接してるのかな? タンクのプラの材質は、胴体や主翼と異なり、ゴム質が多くて柔らかく粘る。これ、修正に曲げを多用するときは都合が良いのだが、スジボリがやりづらい。 |
上:右舷側、下:左舷側。サフを吹いた後なので分かりづらいが、穴の傾きがビミョーに違う。真鍮線は塗装時の持ち手。 |
銀磨きの下地を塗装。スーパーファインシルバー(SFS)に黒を混ぜる。 |
角度を変えて。 |
燃料タンクや水平尾翼も。脚回りの小物はSFSのビン生。 |
銀磨きの前に、胴体後部エンジン回りの焼けた金属の表現。ここは銀磨きせず、スクラッチ銀塗装とする。周囲をマスキングしてから、#800スポンジヤスリでスクラッチ。その上に銀を吹く。スクラッチが大人しすぎて、金属感が足りないかな。 なお、一連の写真で青く光っているのは、塗料のせいではなく、主光源である撮影用電球の他に室内灯の蛍光灯が写っているため(白熱灯に合わせたホワイトバランス調整で青くなる)。 |
マスキングして塗り分け中。 |
できあがり。一番明るい部分はSM06スーパークロームシルバーのビン生、暗い部分はそれに黒、茶を混ぜたもの。 |
下面はこんな感じ。 |
次に銀磨き。テストではMC211クロームシルバーを使ったが、仕上がりの色調が少々暗く、本番ではMC218アルミを使う。こちらも乾燥したものを端布れやティッシュにつけて擦りつける。凹部には綿棒もいいのだが、うっかり強くこすると軸で塗装面にキズが付くので注意(経験者談←泣)。 マスキングには、もっぱらセロテープを使う。理由は、@薄いので境目の磨き残しが少ない、A粘着力が強い、Bパネルラインでカットが容易、という利点があるから。SFSの塗膜は強固だが、銀塗装の上にマスクする場合、念のため皮膚などに貼り付け粘着力を落として使う。ただし落としすぎると、磨き作業中にめくれてしまう。 |
Mr.メタルカラーのアルミで銀磨き後、全てのマスキングをはがした状態。かなりキンキラキン。 |
近くから。この状態で下手に触ると、不要な部分に銀粒子が付着するので注意が必要。 |
下地の艶が輝きに影響する。 |
燃料タンクは、リベットがほとんどない。そこで、ここはスクラッチした上に銀磨き。これで、3種類の銀塗装が1つのモデルに施されることになる。つまり「つるつる銀磨き(リベットあり)」「スクラッチ銀磨き(リベットなし)」「スクラッチ銀塗装(リベットあり)」の3つ。 |
手前は銀磨きしたもの。奥は銀磨き前のスクラッチ状態。 |
クローズアップ。この状態だと本当に金属にしか見えない。もっとも、このままでは触ると銀粉が落ちるしデカールも貼れない。 |
銀磨き中、素手で触らないようにと軍手などはめるが、これが大失敗。新しい軍手って、油っぽいんだよね。気付いたときは、すでに一部触っており、そのせいか銀磨きも曇ったような・・。
|
フューチャー後の状態。 |
クローズアップ。磨きっぱなしと比べると、若干曇っている。 |
フューチャー後の燃料タンク。曇ってもなお妖しい金属感がある。 |
脚カバーと水平尾翼は輝きの低下が著しく、フューチャー後に再度銀磨き。胴体については、想定の範囲内で、まずまず満足の結果。
60892号機について、写真を読み取っていこう。機体全面無塗装銀で、写真では胴体は結構輝いて見えるが、垂直尾翼はそうでもなく、ここだけ塗装してあるように見えなくもない。アンチグレアは黒ではないようだが、レドーム前後でトーンが変わっているように見える。給油プローブは装備しているが、ハセガワのインストのように黒ではなく銀色。翼端の燃料タンクは、通常は装着しているようだが、同隊機ではミサイルを取り付けた状態の写真もある。 主翼下面パイロンにナパーム弾を装着しているが、キットにはこれらのパーツが含まれてない。また、胴体下面に爆弾ラックを装着しているが、これも同様。同隊機を見ると、主翼パイロンは装着してないものもあり、時期・任務により着けたり外したりされたものと考えられる。同隊機では、機首左側に愛称のパーソナルマーキングが記入されたものもあり(60886:"funny"、70921:"XAXYZ")、ひょっとすると60892にもあるかも知れない。 WEBで拾ったUSAFテクニカル・オーダーの写しとおぼしき図面によると、マーキングのスペックは、@尾翼コールナンバー:黒、高さ12インチ(1/48で6.4mm以下同じ)、A機首の"U.S.AIR FORCE":黒、高さ13インチ(6.9mm)、B主翼上下面の"USAF":FS15044インシグニアブルー(※ハセガワキットでは黒となっているのに注意)高さ30インチ(15.9mm)、エルロンヒンジラインより2インチ、胴体境界より1インチあけて記入、C胴体および主翼インシグニア:30インチサイズ(白星の接する円の直径であり、青丸の直径でないことに注意)、エルロンヒンジラインに接して記入、等々とされている。
この前まともにデカールを貼ったのがいつか思い出せないほど久しぶりで、不安である。木工ボンドをマイクロ・セットで溶いてモデル表面に塗布、デカールを置き、余分なボンド+セット液を押し出す。主翼のUSAFは、貼り付け後、半乾きの時にニス部をデザインナイフで切り取る。スジボリ部はナイフで切り、デカールの上にマイクロ・セットをたっぷり塗って放置。1日後には、表面にそこそこ馴染んでいる。 ただし、このままでは塗装面とデカール面の艶が違いすぎ、なんらかのコートは必要。そう考えると、メッキシルバーやアルクラッドの吹きっぱなしにデカール貼ってそのまま完成、というのはちょいとツライわけで、フューチャー・コートには、やっぱり意味があるのである。 |
国籍マークとUSAFのレターのデカールを貼る。USAFは黒でなく紺である。 |
機首のU.S.AIR FORCEは、当初そのまま貼るものの、ニスが結構目立つ。貼り付け後にナイフで切ると、切れ目から染みこんだセット液が、長期的に銀粒子と反応して曇ったら嫌だなあなどと考え、剥がして、今度はニス部を事前に切り取ってから(幸い1つ余分にあるのだ)、1文字ずつ貼っていく。漫然と貼ったのでは揃いっこないから、テープをガイドにする。これで、よく見れば多少の不揃いはあっても、ぱっと見は分からない。 |
まず、U.S.AIR FORCEの大きさに切り出したテープ(黄色)で位置、角度を確認。 |
このテープに沿って細テープを貼り、これをガイドにデカールを貼る。 |
デカール後、リベットのぎらつきが気になり、ダークグレイのパステルでスミイレ。 |
燃料タンクはプラッツのデカールででっちあげ。上側の2個の赤丸と"NO STEP"は自作インレタ。 |
479TFWの部隊マークは、手持ちのハセモノF-102だったかF-106だったかのカルトグラフ製デカールの方が正確かも。この写真はスミイレ後。 |
|
ピトー管はマスクして塗り分け。 |
ジェットノズル。アイリスのレジンパーツの表現力は、このとおり素晴らしい。 |
これが大失敗。コンパウンドがフューチャーを弾くのだ(フューチャーは希釈せず使用)。その結果、ものすごいムラ&厚塗りでトホホホホ。仕方なく、また1日おいて#1500ペーパーがけ。まだ十分に凸凹が消えないが、さらにフューチャーを吹き重ね、コンパウンドで磨いて終了とする。このドタバタで、大部分のリベットや一部のスジボリが埋まって、非常に残念。 この最後のフューチャーは、弾かないようにと洗剤数滴を加える。さらに厚吹きを避けるためにアルコール3割程度で希釈。今度は弾かず、うまく吹ける。試しにコンパウンドで磨いたテストピースに吹いても大丈夫。海外文献に「指紋を付けるな」とあるとおり、フューチャーは塗布面の清浄さに敏感で、今回身をもって体験したわけだが、洗剤の添加によって改善されるようだ(ただし、その後P-36では洗剤によると思われる失敗もあり)。どのくらいの濃度が最適かは試してないので不明。各自研究されたい。なお、私の場合は1割程度。 もう1つ、フューチャーとアルコールについての注意。希釈に無水エタノール(100%アルコール)を使用すること自体は、特に問題の発生は経験していないが、乾燥後のフューチャーにアルコールが付くと、白く曇る。100%アルコールって、ラッカー塗料も落とすくらいだから、けっこう強い薬品なんだね。吹き付け作業性の改善のための希釈であれば、水で薄めたアルコール、あるいは単に水(+洗剤)というのもありかも。特にメタルカラー+フューチャーの場合、アルコールが輝きに悪影響を与える懸念あり。
|
水平尾翼をやりなおし。 |
|
脚柱などはSFSビン生、実機のホイルはかなり黒っぽく見えるので、SFS+#2黒。 |
アイリスは素晴らしいディティールだが、ひっくり返さないと見えない。 |
|
完成 |
静岡で達人から伺った話。マルヨンの主翼は、上面はカーブしているが下面は平ら。前端は翼端にいくに従って下にたれていく。一種のねじり下げのようなもの。水平尾翼は、中間部は厚さ均等な板で、前後で薄く尖る。以前、キットの後部胴体、タービンラインのあたりが扁平と書いたが、これはキットが正しいとのこと。お詫びして訂正。 メタルカラー磨き+フューチャーは、輝きの低下があるので、いまひとつキンキラキンにならない。輝きだけならスーパーメタリックのクロームシルバーやメッキシルバーの方が勝ってるかも。 それはさておき、F-104って、本当にこんな形で飛ぶのか?っていうくらい現実離れした格好良さ。アバンギャルドなデザインはロッキードならでは。やはり進化の特異点といえよう。 では、完成写真。 |
|
|
|
|
|
ハセガワキット×2個 | 4,100円 |
アイリス コックピット | 1,522円 |
アイリス エグゾースト | 1,155円 |
アイリス 脚収容部 | 945円 |
ファインモールド ピトー管 | 735円 |
イーグルストライク デカール | 1,400円 |
プラッツ デカール | 1,890円 |
合計 | 11,747円 |
参考資料 |
|
F-104 Starfighter in action Aircraft Number 27 | Squadron/Signal Publications | |
D&S VOL.38, F-104 Starfighter | Squadron/Signal Publications | |
世界の傑作機 No.103 F-104スターファイター | 文林堂 | |
世界の傑作機 No.104 ロッキードF-104J/DJ"栄光" | 文林堂 | |
旧版 世界の傑作機 | 文林堂 | |
航空ファン別冊 No.60 ロッキードF-104スターファイター | 文林堂 | |
航空ファン別冊 No.21 ベトナム航空戦 | 文林堂 | |
モデルアート別冊 NO.259 F-104 Starfighter | モデルアート | |
電撃スケールマガジン別冊 F-104J/DJスターファイター「航空自衛隊」 | メディアワークス |
|