ロッキード F-5A ライトニング 1/48 タミヤ その1

2022.2.24初出

NEXT




完成写真 3Dパーツ




■ はじめに

 ほのかに春の気配を感じる今日この頃、新たな1/48プロジェクトを開始する。お題は、偵察型ライトニングのサンテクス搭乗機だ。メッサー製作記のヒント(タミヤ新作、偵察型に改造)で、既にご承知のとおりだよね。リコンファントムを期待した方、お生憎様。

 サン=テグジュペリは、生涯の最後を自由フランス軍II/33部隊のパイロットとして過ごした。1944年7月31日、F-5B 42-68223にてコルシカ島からフランス南部の偵察に向かい、還らぬ人となった。製作はこの最後の機体ではなく(これはアゴつきJ型ベース)、写真が数多く残るF-5A-10-LO 42-13080 機番80にする。こちらはアゴなしで、素直にタミヤP-38Gから改造できるのだ。



42-13080のコクピットに納まるサン=テグジュペリ。画像はwebから拝借。


 F-5ってなんなん?ノースロップのジェット機とちゃうん?という方に簡単に解説。F-5(およびF-4)はP-38の偵察型で、このうち、F-4はP-38E、F-5AはP-38G、F-5B,E,GはP-38JまたはLがそれぞれベースとなる。各型で機首のカメラ窓のデザインが異なるが、F-5AとF-5Bの機首は同じ。ちなみにWW2の米陸偵察機は、F-2がビーチクラフトC-45から、F-3がA-20ハボック、F-6がP-51マスタングから改造された。以降は爆撃機でF-7がB-24、F-9がB-17、F-10がB-25、F-13がB-29である。抜けてる番号は何なんだろう? どなたかご存じ?


■ コクピット

 定石どおりコクピットから組み始める。キットはF型とG型が選択できるが、F-5AはGベースなので、計器盤などG用パーツを選択する。偵察型のコクピットも、基本的に戦闘型と同じ。防弾ガラスと照準器が外され、カメラ操作スイッチ箱が設置される。これはD&Sにマニュアルの写しがあるのだが、正確な取付位置がよく分からない。いずれにせよ、後で3Dで自作して追加する予定。



コクピットは全くのキットストレート。配線関係は面倒くさいので省略。スロットルレバー(赤)は二本が正解(双発機だからね)。

インテリアグリーンはC351ジンク・クロメイトタイプIに自作サフ(明度ニュートラルグレイ相当)を加えて彩度を落とす。

計器盤はデカール。切らずに貼ってフラットクリアを吹いてガラス面にフューチャーを垂らす。

キットのラジエータメッシュはデカール仕様。コストカット策かな? 3Dで作ってもいいけど、どうせよく見えないのでスルー。


 計器盤デカールは、一部がズレてしまう。いくつかの部分に分割して貼るのが正解だな。他米軍機の例だと、ラダーペダルはインテリアグリーンが多数だが、マニュアルの写真を見ると黒が正解のようだ。


■ 図面

 機首の改造には正しい図面が不可欠。巷の図面は信頼できないから、自分で描くしかない。J型の図面は以前に描いており、これをベースにG型にして、あとは偵察型機首を描けば楽勝のはず。

 で、まず拙J図をキットの塗装図と比べると、結構違うな。で、まずタミ図を「参考」にしつつ、同時に前回作図以降にAirCorps Libraryより入手した製造図面を反映し、J図を描きかえてver.2とする。これが想像以上に大変で楽勝ちゃうぞ。なお、製造図はかなり抜けが多く、反映できたのは一部のみ。ようやく出来たJ図ver.2をベースに、G型のアゴなしカウルとキャノピを、これもタミ図を「参考」に描き、機首を偵察型に描きかえてF-5A図の出来上がり。あーしんど。

 J型図ver.2と解説等は、従前のP-38図面のページに掲載する。参考文献もそちらに。




  • 機首の偵察窓は、実機写真のトレース。下面は3枚の窓があり、それぞれ角度が異なるため、側面図では二段の折れ線となる。このうち前方の折れ線の折れ曲がりは小さい。既存図では大きな角度のものが多い。

  • キャノピフレームのsta160とsta154は、それぞれのフレームのほぼ中心。またsta190.31は後方の隔壁。これらはキャノピの製造図に記載されている。これらを基準に作図すると、キャノピ後端の位置がタミヤ図とはビミョーに異るような・・・。まあ、その違いも誤差の範囲といえなくもないかな。ちなみに、拙図は実機写真のトレースとも整合する。

  • 胴体の最大高さ(基準線からの距離)、最大幅はマニュアルに記載されている。拙図はこれに従う。タミ図はやや低いか。

  • 胴体、ブームと主翼との関係は、黒実線がフィレットの境界、赤細線は機体中心またはブーム取付位置における仮想翼断面。

  • 中央胴体のsta62は、マニュアルには記載がないが、製造図では脚庫前端の斜めパネルラインの上端(つまり機銃アクセスドアの折れ曲がり点)の位置。

  • ラジエータのリベットラインは、外板の凹み具合とJ型との類推による推測。

  • 機首のアンテナ柱はバリエーションがある。当初は下部の平行区間が長い。F-5B(と一部のF-5Aも?)になると短くなる。ちなみにサンテクス#80は前者。作品は間違い。

  • タミヤキットは右ブームのラジエータ後方に小穴があるが、実機写真では確認できず。なしが正解と思われる。

  • 側面カメラ窓のうち、下方のもの(両サイド)は、完全な平面ガラスでなく、裾の部分が胴体カーブに沿ってわずかに湾曲している。ちなみに他のガラスは全て平面。




  • 外翼前縁のリベットラインは、H型までとJ型以降では異なる。前者はターボチャージャーのインタークーラーが外翼前縁にある。これは外板の内側に前縁と平行にパイプを何本も沿わせ、そこに圧縮され高温となった空気を通して冷却する。このシステムは冷却能力に問題があり、J型ではインタークーラーがアゴに新設され、外翼前縁は燃料タンクとなった。そのリブは前縁に直角となる。これも製造図に記載があり、また現存実機写真でも確認できる。

  • H型以前の外翼前縁リベットラインについては、一応製造図にそれらしき桁配置図があるのでそれを図化する。縦のリベットラインはマニュアルの図に従う。が、はたして拙図のとおりかは確証ない。実機写真では判別不能。レストア(または新造?)中の翼写真のパイプ配置と微妙に異なるのだが・・・

  • インタークーラーはsta254まで。内端がよくわからず、一応sta118-3/4としておく。もしかするとsta134かもしれない。

  • 製造図を基に主翼外翼(sta182と218の間)上下面のリベットラインを従前のver1から修正。ただし製造図も全て揃ってるわけでなく、あとはマニュアルや現存機写真から推測。したがって、今回のが正解かどうかは自信なし。

  • 翼端灯の位置は2種類ある。後期(J以降か?)はタミヤ図と同じ位置。現存機や記録写真で確認できる。一方、前期(Hまで?)はそれよりやや前方。記録写真でもF/G型でこの位置が確認できる。製造図にもこの2種があり、内側のリブの配置も異なる。従前の拙図は2種あることを知らずこの前期タイプを記載(今般のJ型図は後期タイプに変更)。タミヤのF/G型は多分間違い。

  • 主翼のステーションは、翼基準面ではなく、水平面に沿った寸法になっている。まあ、ブーム中心線を表記するのには、その方が都合がよいだろう。

  • 主翼およびエルロンのリブは地面に垂直。

  • 主翼および水平尾翼の後縁のフリンジは、コードの寸法に含めずその外側に押し出す。水平尾翼に関しては、製造図よりこのことが確認できる。なお、垂直尾翼はフリンジ後端で全長を表すだろうからそのまま。




  • 機首下面のカメラ窓は、実機写真の読み取り。一段目の折れ曲がりはパネルラインではなく、最前方のカメラ窓の直後だと思われる。

  • 外翼前縁のインタークーラーは下面側にもある。リベットラインは詳細不明なため上面と同じにしてある。

  • その他、F/G型に関する部分は、タミ図を「参考」にする。

  • 外翼のストリンガー配置は、上面と下面では異なるようだ。ただし詳細不明。

  • 前脚扉のリベットラインは、内側のディテールからの推測。



 参考まで、外翼前縁インタークーラー関連の画像を載せる。まあしかし、そもそもリベット自体があるかどうかも不明なわけで。



ストラクチュラル・リペア・インストラクションの図。いまいち製造図と整合してないような・・・

レストア中の機体。当時の機体に忠実なレストアかどうか。画像はwebから拝借。



■ ブーム、外翼の組み立て 3/9追加

 コクピットに引き続き、組める部分をどんどん組んでいく。ブームとは「双胴」の胴部分。マニュアルでもboomと表記されている。ちなみに、中央胴体は普通にfuselageだ。胴体下部と一体の内翼下面は、カメラ窓の工作が終わらないと翼上面と接着できないが、外翼下面は先に上面に接着して、翼端およびエルロンの接着・整形を進めたい。しかし、思わぬ落とし穴が・・・(後述)。



主脚庫はストレート。配管は省略。スーパーファインシルバーで塗装。

脚庫とオモリを仕込んでブーム内外を接着。エンジンカウル下面パーツは若干隙間が生じる。瞬間で埋めてサンディング。

ファスナをたまぐりで打つ。エンジンカウルは#5、ラジエーターカウルは#3、フィレットは#1。

外翼下面を上面パーツに接着し、別パーツとなっている翼端とエレベータも接着。

外翼下面を先に接着したもんだから、脚庫と一体の内部桁が入らない。仕方なく先をカット。

そのかわりに1mm真鍮線を仕込んで内翼と外翼をがっちり連結する。内翼側は、内翼下面の接着時に接着する。


 リベットを打つかどうかは悩ましいところ。本機は、主翼とブーム後方のリベットが密で、作業がかなり大変そう。機首の改造だけでお腹一杯になりそうだし。ということで、ファスナだけ打ってリベットは「なし」にしようかな。


■ タミヤへの改善要望

 タミヤキットのクォリティはダントツで世界一。それは十分に評価した上で、ささやかな不満を述べたい。それは主翼パーツの部品分割方法。Bf109G製作時もファントム製作時も思ったが、主翼はシンプルな上下分割にしてもらいたい。P-38の場合、翼端とエルロンは主翼上面および下面に一体化して、接着線が翼表面に現れないようにして欲しいのだ。

 理由は、タミヤの部品精度をもってしても、主翼とエルロンの接合部には段差が出来てしまう。また、別パーツにすることで若干のヒケが出来ている。これらをペーパーをかけて整形すると、ピアノヒンジの繊細なモールドが消えるか薄くなってしまう。均さないで放置すると塗装と磨きの工程で磨きムラが出来てしまうから、放置はできない。

 ファントムも、ピアノヒンジのモールドが接着部分にあって、ここがキレイに工作出来なかったし、フラップのペーパー掛けとスジボリ再生が大変だった。メッサーにはピアノヒンジはないけど、羽布のリブがある。私はモールド削ってインレタ再生だからいいのだけど、エルロン、フラップ、翼端がバラバラだから、接着整形がえらい手間でストレス溜まった。

 私と同じ不満を感じているモデラーは多いはず。次回からは是非とも改善してもらえると嬉しい。


■ カメラ窓の工作

 いよいよ本丸、偵察型機首への改造だ。左舷の大きい窓の前後の断面は直角でなくやや斜めになっている。実際に工作してみて写真と見比べて初めて気づく。斜めになっていることで、三日月形の断面の幅が広く見えるわけ。拙図もこのように直しておく。既存の図面では表現されてない。



図面データを使って、切り抜きのテンプレートをマシンカット。左辺と下辺をパネルラインの位置にすることで位置も決まる。

カッティングシートを貼ったまま穴あけ、整形する。機銃口はプラ丸棒と瞬間で埋める。仮組みしてイメージチェック。

下面と右舷側もカット。下面は窓をケがいたクリアプラバンを3枚貼る算段。切り取った右舷機銃パネル下部は胴体下側パーツに接着。

窓ガラスは0.4mmプラバン。カッティングシートを貼って、切り出しの目安にする。

内側はこんな具合。窓ガラスと接する断面は斜めに削るのがポイント(後述)。

窓を整形、スジボリしてコンパウンドで磨く。スジボリは0.4mm間隔のダブル針で。

緑フタで接着。

窓の断面のイメージ図。左が外側。グレイはフチを貼ったカウルのプラパーツ。水色がガラス。赤は脱落防止のプラバン。


 補足。窓と窓枠をピッタリ工作するため、それぞれの断面は直角でなく斜めにして、内側からはめ込むようにする。こうすると擦り合わせがやりやすい。流し込み系で接着し、プラの溶け具合に応じて徐々に押し出すことで、表面からの段差の具合をコントロールする。位置が決まったら、内側に脱落防止に0.2mm透明プラバンの内枠を接着する。


■ カメラの3D設計

 カメラは3Dで作るのが一番楽かな。どうせよく見えない部分だから、写真を見ながらちょいちょいと設計。カメラの配置はバリエーションがある。需要はないだろうから、ダウンロードリンクは省略。



設計終了。左が前。中央の斜めのカメラが、左舷の大きな窓から見えることになる。出力方向は下が上。

お試し出力してモデルに仮り組み。窓との位置関係を調整して再出力。



■ 米陸偵察機の抜け番

 抜けてる番号の答え。F-1はフェアチャイルド71がベースの高翼単葉偵察機、F-8はPR型モスキート、XF-11はハワード・ヒューズの双発高速偵察機、XF-12レインボーはリパブリックの四発偵察機。XF-14はP-80Aベース。F-15リポーターはP-61ブラックウィドウがベース(後にRP-61と改称)。情報感謝。そういや、XF-11はレオ様主演のヒューズ伝記映画に出てきたな。


■ 続、カメラ窓 3/23追加

 アラドにかまけて亀進行。遅いのは、一日一枚ずつ亀、もといカメラ窓を作るから。なにしろ1枚終わると集中力が底をついてしまう。全部で7枚もあるから、7日かかるのだ。だから前回更新から2週間・・・あれ? ←サボりすぎやぞ。



下方側面の窓は、前回記事と同じ手法。下面窓は0.4mmプラバンに窓枠をけがいて切り出して流し込みで接着。

下面も一日一枚ずつ。ちなみに窓枠は0.3mm間隔のダブル針とエッチングテンプレート。

内側にはクリアプラバンで補強。

鉛板を機首上側パーツの裏に詰め込む。なるべく前に寄せてモーメントを稼ぐ。外れないよう瞬間を「これでもか」と流し込む。


 前にも書いたけど、角丸長方形のスジボリ法。トライツールのエッチングテンプレートを2枚用意し、ちょっとズラして重ね、セロテープで固定。任意の縦横比にできる。画像ないけど、最前方の窓も工作済み。これは台形なので、一辺ずつエッチングテンプレートで彫る。プラバンか何かでテンプレートを作るのがベストなんだけどね。


■ 機首上下の接着

 これでようやく機首(および一体の内翼)を接着できる。カメラが少しでも目立つよう、黒ではなくブラックグレイ相当の自作グレイで塗り、ライトグレイでエッジをドライブラシ。



窓の内側をコンパウンドできれいに磨き、脚庫を接着。カメラも接着。鉛板は隙間にティッシュを詰めて瞬間を流す。

機首上下を接着。アクセスドアも接着。いずれも瞬間だが、窓が近いので汚さないよう神経を使う。

以前に書いた主桁補強の真鍮線を瞬間でがっちり接着。これもティッシュ+瞬間で補強。

先端はまだ接着しない。機首上下の接着跡にペーパーかけて、スジボリ再生して、カメラベイ内部を水洗してから接着する算段。



■ ブーム前下部カウルの形状について

 実は、オイルクーラーカウルの形状が気になっている。下画像矢印付近、オイルクーラーの少し前方だ。横への張り出しの凸カーブがきつい気がする。実機では、カウル先端からオイルクーラーにかけて、もっと滑らかな曲線でつながっているのではなかろうか。ここは内側に何もないはずで、そうであればここまで張り出す必然性がない。

 と、気づいたのは接着後。普通のキットならちょいと削ってやれば済むが、タミヤはプラが薄いからヤバそう。つうことで、そのままスルーする。



ちょい写真ピンボケだけど。矢印部の張り出しがきつい感あり。側面形のアウトラインとしては問題なし。



■ ブーム接着 4/4追加

 まず、ブーム接着の前作業。上下を接着した機首のスジボリを再生して、たまぐりのファスナ。ペーパーがけしてから水洗い。翌日、水が乾いたところでカメラを仕込んで機首先端を接着&整形。しかる後、ブームを接着。基本的に合わせは良いが、一部に段差・隙間が生じる。合わせの良い部分は流し込み系、段差隙間箇所は瞬間で。

 カウル側面のインテイクは、先に上面パーツに接着しておくが、ブーム側との間に若干隙間が生じ(下画像赤矢印)、あとの整形作業が大変。下辺にプラバンを接着して十分にすり合わせをしておくべきだったな。また、先に主翼上面に接着しておいたターボチャージャー基部とブームとの合わせも若干の段差が生じる。ここはブームと主翼を先に接着してからターボ基部を取り付けた方がいいのかも。



ブーム接着。水平尾翼、ラダーも接着。これらは基本流し込み系で。あれ、プロペラ軸が片方折れているぞ。

矢印部の隙間は瞬間で埋める。ブーム内側は機首が邪魔で、整形、スジボリ、ファスナ打ちが難儀。2つのインテイクが邪魔だし。

このあたりの段差発生個所は、瞬間で接着してゴリゴリと削る。画像は、整形後にサフを薄く塗ってみたところ。

峰のところにスジボリしたいので、マシンでテンプレートを切る。左右対称×2はマシンが早い。

カメラ窓周辺の下面と側面の峰部分も整形が厄介なところだ。

チラ見えのカメラ。いいんでないかい?


 これで基本形状の出来上がり。このあとしばらく、表面整形、スジボリ再生、ファスナ打ちなど地味な作業が続く。それが済んだら、キャノピを接着して塗装だ。そろそろ、マーキングのインレタ版下や、足回りの3D設計も始めようかな。


■ 表面処理 4/22追加

 接着跡、傷、凸凹の処理、パネルラインやファスナなど表面ディテールの追加/修正をしていく。毎度これがかったるい作業で、進捗が遅くなる。前回更新から3週間かあ。



機首のパネルはロボでテンプレートを切る。マステを貼って下描き、Inkscapeに取り込んでデータを作る。

テンプレートを貼る。ちなみに、戦闘機型とは形状が異なる。

ターボチャージャーと周囲のパネルを接着。排気口はフチを薄く削る。消えたスジボリを再生。

エンジンカウル内側は、機首が邪魔でたまぐりが入らない。先を尖らせた0.6mm真鍮パイプをランナーに刺して、専用工具を作る。

右舷内側カウルにファスナを打ったところ。上段は#5たまぐり(ここは機首が邪魔にならない)、下段は自作工具。

機首側面にもファスナ。こちらは#3たまぐりで。ブーム接着前だと辛うじてたまぐりが使える。

サフ吹き中。過給機インテイク、マスバランスも接着。

サフ吹きほぼ終了。主翼付け根は銀はがしをする予定で、#8銀を吹いておく。



■ コクピットまわり

 機体の表面処理が終わったので、風防と後方固定キャノピを接着したら、本番塗装だ。したがって、その前に必要なコクピットの作業を進める。本機は、キットのようなグレアシールドを装着していない。計器盤前方中央のごく狭い部分のみに覆いがある。戦闘機型でもこのタイプは多いので(むしろ多数派?)、注意が必要。 



キットのグレアシールド。

中央部分のみ残して周囲を切り取った状態。

カメラ操作箱を3D設計。座席前方の足元に置かれる。

インレタの準備も進める。機番のサイズ形状を確認するため、シートを切って貼ってみて、修正を加えていく。


 機首の「80」は、形状が特殊。真横からの実機写真でも文字が歪んでいて0より8が小さい。また8の左上側は少々湾曲している。文字はスクエアで機首の湾曲によってそう見えるのかというと、そうではない。試しに切って貼ってみると分かる。0の縦棒はパネルラインに平行で、つまり平面にすれば右に凸な曲線だ。また、平面でも8の方が小さい。世の中のデカールはそこまで考えてないだろうから、実際に貼ると実機とは違ったものになるはずだ。


■ キャノピ接着 4/29追加

 計器盤、操縦桿を取り付け、いよいよキャノピの接着だ。計器盤の手前、中央やや左寄りにあるレバーは、機首機関砲を装填するものなので、偵察型にはない。そのかわりに何がどうなってるかは不明。とりあえず、レバーを切り取り、基部を四角く整形しておく。



グレアシールドを塗装してキットデカールを貼り、フラットクリアを吹く。手持ち写真だとキットデカールはFACEの文字が逆。

カメラ操作箱を取り付ける。位置は推測。工作中にスロットルレバーが折れたので再生(赤)。折角なので実機どおり2本にする。

当機は防弾板と無線機が装備されていない。補強ロッドのみを後方バルクヘッドに接着する(この存在は確認できる)。無線機取付穴は埋める。

風防および後方固定キャノピを流し込みで接着。中央可動部はオープン状態にする予定。シートはあとで。


 操縦席後方部分の塗色が悩ましい。というのは、P-47レザーバックやP-40の後方固定窓の内側は、通常迷彩色で塗られており(タミやハセのインテリアグリーン指定は間違い)、その例でいけば迷彩色となるからだ。しかし、当機の場合、迷彩色って何?というそもそもの疑問があって(これは後で詳述する)よく分からない。防眩塗装の黒という可能性もある。実機写真では、無線機(これは黒)が邪魔で分からない。斜めの補強ロッドがインテリアグリーンっぽく見えるので、一応同色としておく。なお、風防、キャノピのフレーム内側はインテリアグリーン。手持ちのカラー写真(G型)では防弾板とヘッドパッドが黒。


■ 塗装考証

 サンテクス機 シリアル42-13080 白80の塗装を考察する。これが非常に悩ましい。従前からの説は、上面がダークグリーンとダークアース、下面がスカイ、スピナは赤と白というものだ。一方、近年では剥離/退色したヘイズという説がある。上面の暗色は、後述する下塗りの暗色が現れたというものだ。第3の説はこれらの折衷案で、全面ヘイズの上に上面だけ暗色(オリーブドラブあるいはRAFダークグリーン)を現地塗装したという説である。では、どれが正解だろう?




有名な42-13080機の写真。画像はネットより拝借(以下同様)。

貴重な側面写真。


 ここでヘイズペイントについて述べておく(※出典は下記サイト)。これは、全面暗色の下塗りの上に、特殊な白い塗料を上面は薄く下面は厚く塗り重ねると、光の反射で青っぽく見えるというもの。ヘイズには2種類あり、当初のヘイズは下塗り黒、上塗りは白で、F-4に適用された。後に出現したのは合成ヘイズ(synthetic haze)と呼ばれ、下塗りはディープスカイ(どんな色だ?)、上塗り白塗料は青系で着色され、F-5A/Bに適用されたとのこと。なお1944年半ば以降はヘイズは適用されず、RAFのPRUブルーで塗られたとか(←ていうか無塗装だよな)。
※ https://ww2aircraft.net/forum/threads/p38-haze-paint-camo-schemes.9108/

 で、私なりの結論を言えば、結局のところ真実は不明。現状入手できる実機写真や事実関係からは確定的答えは出しえない。だから、写真を見た印象でもっともらしい色を塗ればいいのではないかな。ということで、私には最も「らしく」感じる第3の説、ヘイズに上面ODで塗ることにしよう。13080機のクローズアップ写真では、機首上面、エンジンカウル上面は、私にはOD単色っぽく見えるし、下右画像の退色ヘイズのカラー写真と13080機のくっきりした明暗が、私の中では結びつかない。




塗装直後のヘイズ。機体はF-5Bなので後期のヘイズか。当時のオリジナルカラー写真。

退色著しいヘイズの例。これも機体はF-5Bなので後期のヘイズか。上面も明色だ。鼻のあたりがわずかに暗い。

42-13080と同じGR II/33所属機。手前は同じ基地に駐留したトロピカル迷彩のスピットファイア(たぶんMk.VIII)。

クローズアップ。尾翼の塗り分けから別機と分かる。上面は緑系のみ? 側面はヘイズか別のライトグレイか(写真の印象は後者)。



■ 続、塗装考証

 では第3の説だとして、上面は茶系も入った2色でないのか?という意見もあるだろう。同隊のF-4で上面2色の機体があり、その可能性も否定はできない。しかし、13080機の写真を見る限り2色迷彩だと決定づける要素はない。ということで私は緑系1色説を採用。下面および側面はヘイズでなく他の明色塗装でないのか?という意見もあろう(つまり従前説)。しかし、当機のクローズアップでは機首左舷にシリアルが記入されている。ということは工場塗装と考えられ、であればヘイズが妥当かな。

 さらに実機写真をよく見ると、内翼上面とキャノピ周辺は別の暗色で上塗りされているように見える。その明度はかなり低い。これが何色かがまた問題。可能性は、1)その他部分は退色したODで、当該上塗りはフレッシュなOD、2)RAFダルブルー、3)黒、くらいかな。1)は明度差からして無いと思う。2)か3)かは不明。もうこれは勝手に想像するしかないかな。

 最後にスピナ。これも明度から勝手に想像するしかない。ヘイズにOD上塗りという流れであれば、赤でなくてもよさそう。左舷後半の明色部分はカウルのヘイズより明るく、これは白か。暗色部分はODにも見える。



内翼上面の暗色が分かる。機首上面との明度差に注目。塗装の剥がれパターンから42-13080なのは確実。画像はネットより拝借。

須比人君に試し塗り。左舷はODに黒、右舷はRAFDGにダルブルー。背中の茶は排気汚れのつもり。






NEXT


Wings Of Pegasus HOME