F-86Fセイバー(ハセガワ1/48)製作記

2010.1.9初出

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 はじめに 




■ 再開 

 昨夏から身辺バタバタして模型どころでなかったのが、ようやく落ち着く。逆に近ごろ腹立つことばかりで、模型でも作ってないとやってらんねーって気分。ということで目出度く?「仮」再開。ただしこの先は不透明で、再び休止状態になるかも。ま、将来のことは分からないから、とりあえず行けるトコまで行ってみよ。

 で、何を作るかで悩む。休止中に(休止中がゆえ?)妄想が暴走。あれもこれも作りたい。アルミ貼りなら、本命P-47筆頭に米陸双発のアレとかアレとか、'50sジェットのアレとかアレとか・・。1/72にアルミなんて無謀なことを考えたり。非アルミならスピットかな。1/48本命は最終型FR.47だけど、1/32も発売されたし、手軽に1/72でお祭り参加もいいかな〜♪ 米海猫族も気になるし〜、などなど。

 とまあ、悩んでるうちが一番楽しいのだが、日本機の「艶消し」アルミ肌の次は、「キンキラキン」をやりたいところ。本命の前にもう少しアルミの練習をしたい。それにはシンプルな形状がいい。以前から朝鮮戦争の米軍セイバーは予定機リストの上位にある。ということで、まさに今が作り時かな。とりあえずF型の予定だけど、気分でE型にするかも。

 製作コンセプトは、ワン・モア・プラクティス。前作での空洞によるリベットの凹みの克服が課題で、板厚と接着を工夫したい。細部工作はテキトー・ホドホドに。実は、2009静岡ホビーショーでソリッドの超絶1/20セイバーに打ちのめされ、内心気がひけてるんだけど・・・


■ キットレビュー

 では恒例のキットレビュー。エアライナーズ・ネットなどの実機写真と比べると、外形イメージ、寸法ともバッチリ正確。胴体は側面形だけでなく、断面形、平面形も忠実に実機を再現している。各社セイバーの鬼門である主翼後退角も、手持ち資料の数字とピッタリ一致。外形で部分的に気になる点はあるが、基本寸法が正確なので少々の削りで対応可能(←製作中に詳述)。キャノピはスライド金型で、Ω形断面が再現されている上、パーツが薄く歪みが抑えられている。初期ロットでは、胴体中程のエア・インテイクがアウトレットになってたが、現行製品では改修されている。

 いやこれ、本当にすごくいいキット。1/48キットの外形正確度は、知る限りタミヤ零戦が最高点だが、これと同等とはいわないまでも、かなりの高水準。今まであまり誉めた記事を見たことないけど、どうして? メディアは、こういう「いい」キットと「そうでない」のと、ちゃんと分けて伝えるべきだと思うけど。ライター/編集者にそれを見分ける目がないのかな?

 ただし、細部パーツについてはいつものハセガワで、素っ気無いというか淡白というか。例えばサイドコンソールが途中で切れてるとか、前輪ホイルが1種類しかないとか。こういう所が一般的モデラーの印象を悪くしているのかも。

 でも、基本形が悪いくせに妙にディテールに凝ったり、レジンやエッチングてんこ盛りで、いざ作るとドツボにはまるキットより、基本しっかり細部はモデラーの腕の見せ所って方が断然いいに決まってる。皆さん、そろそろチューカ・トーオー系ドツボキットに金を捨てるのを見直しては如何?


■ キット評その2

 関連して、他キットについて。アカデミー1/48は入手してないが、おそらくハセガワのコピー。エンジンや機銃の再現、一部パーツ割りなどで一見ハセガワより良くみえるが、所詮はコピーで、外形に関してはハセガワに劣ることはあっても超えることはないだろう。
 これは、スピットMk.14、ハンター、P-40B、P-47Nなどこれまでの同社製品の出来(の悪さ)から断言できる。ハセガワより良いという雑誌記事を見たことがあるが、私は否定的。形が悪くても安価でギミックを好むという方にのみお奨めする。

 ハセガワ1/32は、完成品の写真で見ると、外形がイマイチ。胴体平面形、断面形がスマート過ぎかな。キネティック1/32は、逆に中太りでカッチョワルー。外板凸凹表現もハチロクにはないだろ。
 モノグラム(プロモデラー)F-86Dは、秀作キットだが、主翼後退角が過大なので要注意。実機は25%コードで35度。また、レドームが尖りすぎという意見がある。私は検証していないので悪しからず。  


■ ホワイトメタル注型

 本番前に準備体操。前述名人セイバーのインテイク・リップは、メタル注型で製作されている。自分も試してみようと東急ハンズで道具を買ってくる。型のシリコンは信越化学のKE-14という一般的なタイプ。流し込むメタルはクラフトアロイというもの。その他、型取りに使う油粘土、メタルを溶かすアルミのお玉。

 練習として、某米陸機のスピナと顎のインテイク、前後脚柱を型取り&メタル注型する。まずシリコン型。これは以前、やったことがあったので、大体は分かっているつもり。やり方はハウツー本に出ているが、私の手順を紹介する。

 まず、油粘土に原型(キットパーツ)を据える。スピナとインテイクは片面型とし、粘土の台に乗せるだけ。脚柱は両面型なので半分粘土に埋め込む。シリコンと硬化剤を混ぜ、流し込む。本当は重量比できちんと計量すべきだが、秤がないので量換算の目分量。翌日雌型を流し込む。離型剤は#8シルバーを筆塗り。シリコンが固まったら、注ぎ口や空気抜きを切り取る。

 さて、いよいよ初体験のメタル注入。お玉にメタルを入れてガスコンロの直火で加熱すると、融点150°なので見る間に溶けて液状になる。まさにターミネーター。これを一気にシリコン型へと流し込む。冷却後、型から出すと、表面が「あばた」状になっていてガッカリ。ネットで調べると、金属粉を型にまぶすとあり、クラフトアロイ付属の粉を筆でまぶすと、今度はあばたができず、なんとか出来上がる。

 しかしよく見ると、表面には微小な凸凹があり(金属粉に由来?)、モールドのキレが甘い。おまけにクランプ時のシリコン型の歪みで、脚柱断面が真円にならない。ネット情報では、注入口を高くすると圧力でメタルがうまく流れるらしいが、まあ程度問題だろう。スピナなどは削りだす素材と思えば、それはそれでよし。脚柱は、素人がこの程度の設備と技術でやったのでは、精度の点で実用にはちょっと厳しいかな。



ホワイトメタル。1,800円と結構高価。下のほうに写ってるのがメタル。手で簡単に折れる。中央のは型にまぶす金属粉。

粘土板に原型を埋め込む。何故P-38かは聞かないでね。

シリコン型とメタル注型品。

クローズアップ。



■ アルミ接着法

 これも本番前の試行錯誤。まず、接着剤。静岡で話を伺った名人はゴム系(ボンドGクリアーなど)をシンナーで溶いて筆塗りするとのこと。しかし、クレオスのラッカー塗料用シンナーには溶けない。仕方なく、流し込み接着剤(タミヤ緑フタ)に溶かし、プラとアルミの両方に薄く塗布、少し乾かし貼り合わせる。ところが溶剤がプラを溶かし、極めて具合悪く、却下。(後日追記:Gクリアはエナメルシンナーで溶かすことができ、クリアパーツを白化させにくいため、キャノピやカーモデルのルームミラーの接着などに有用とのこと。情報感謝。)

 次は化学反応系(セメダインスーパーXなど)。これはクレオスのシンナーにも溶ける。これを薄く塗布し、少し乾かし貼り合わせる。しかし、接着剤が硬化後にも弾力があり、これも却下。どうやら接着剤の問題ではなく接着法の問題のようで、結局、現時点では黒瞬間がベスト。エポキシでもいいかな。

 前作は、アルミとプラとの隙間(絞りの精度に起因するため不可避)を接着剤で充填するという発想で、黒瞬間をたっぷり塗布し、アルミ板を乗せ、不要な接着剤を押し出しながらセロテープで固定した。このとき入り込む空気が空洞の原因となったのだ。それなら、接着剤を極力薄く塗り、アルミ板の上から押さえつければいいかな。問題は圧着の方法。手で押さえたのでは疲れて力が緩んだとき隙間が生じてペケ(←前作で体験済み)。

 そこで、東急ハンズで発泡ウレタンやらゴム板やらクランプやらを購入。胴体部は1cm厚の発泡ウレタンを適当な大きさに切って、アルミ板の上に乗せ、セロテープや紐などで圧着するのがいいようだ。主翼なら適当な板をかませてクランプがいいかも。念のため、余分な接着剤や空気を逃がす小穴をプラに開けておく。これが原因で凹みが出来ないよう、リベットラインを避ける。

 もう一つの改善は板厚。今回は0.3mmをメインに使う。厚みで凹みに対抗しようという魂胆。0.2mmと比べると厚い分だけ曲げづらく、絞りに余計時間がかかるが、曲率の大きい箇所でも切れずに延びてくれる。



発泡ウレタンをハンズで購入。これは安価でよろし。

こんな具合にセロテープで押さえつける。直にアルミに乗せるとくっついちゃうから、セロテープを貼った上にウレタンを置く。



■ キット評追加 1/19追加

 前回の訂正。アカデミーはハセガワのコピーと書いたが、業界事情通のA氏よりコピーはコピーでもハセガワではない、という指摘をいただく。以下引用する。


『アカの86ですが、ハセコピーではありません。多くの方がそう思っているようですが、アカのコピー元は多岐にわたるので奥が深いです。

コピーでないのなら完全新規では?とも思ったんですが、あそこにはそういうアイテムはほとんどありません。では何が元?
未検証ですがエッシーあたりではないかと思います。あるいはハセ32の縮小?エンジン入ってますから。
で、キネ32はアカ48の拡大劣化コピーです。 ピット道の144はもちろんトラでして、これもアカに似てるかな。これを大きくした感じなのがホビボの72ですね。

アカ48を評価する人は海外に多いようですが、値段の関係では?』



■ 作業開始

 さて、作業。まずは一丁目一番地、インテイクの銀貼り。今回ここが技術的に最大のハードルとの予感で、これをクリアしないと先に進めない。ダメなら別の機体に逃げるのだ。ということで、焼き鈍した0.3mmアルミ板を絞るが・・・

うまくいかない!

 どうしよう。ホワイトメタル注型するか? でも、金属の質感が違うので、最終手段にしたい。アルミ丸棒から削り出すか? しかし、プラでも大変なのにアルミなど削れるものでなく、ちょっとやってみて直ぐに却下。初心に戻り「ナセバナル」とアルミ板と格闘半日。何とか絞れる目途がつく。これ、自転車や逆上がりと一緒で、出来るまではいくらやってもダメだけど、一度コツが分かると後はOK。



インテイクリップは、出来上がりの先端曲率が緩くならないように内側を削り尖らせる。向かって右:作業後、左:作業前。

後端にはプラバンを接着。これはエッジの欠けや胴体側との接合誤差を考慮した「マージン」。パーツ内側には補強と重りを兼ね、はんだを詰めて瞬着で固めてある。

実機どおり、上、左、右に分けて絞る。まずリップの峰の凹カーブに合わせて成形。これがコツ。

そこから内と外に押さえ込んでいく。接着剤のビンが手ごろな台。内側は相当延ばすので慎重にやらないと切れる。筆の柄など手近な丸棒を総動員する。

絞り終了。あとは正しいサイズに調整。右に転がっているのは右舷側パーツ。

インテイクダクトにも0.3mmアルミ板を接着。奥の方はどうせ見えないから途中まで。上下接着後、接着部を削ってツライチにする。



■ 胴体の下ごしらえ

 インテイクの目途が立ち、本腰が入る。胴体銀貼りの準備。キットの外形は本当によく実機を再現しているが、主翼付け根の胴体断面形だけがちょいと気になる。キットは主翼上側で胴体側面が膨らんで、Ω形断面をしているが、実機は膨らんでいなく∩形断面。エアライナーズ・ネットの画像を参照いただきたい。

 ここは裏打ちして、ラインがスムーズにつながるよう周囲からなだらかに削る。影響範囲はかなり広いぞ。一方、主翼付け根先端部分の「くびれ」には、瞬間+プラ粉を盛る。これも変な凹カーブが生じないよう、広い範囲に薄く盛る。



キットオリジナル。分かりづらいがパネルラインが外に膨らんでいる。また矢印付近も異なり、実機はこのパネルラインが一直線。

胴体アウトラインの微修正。テープで断面が分かるかな。だからどうだ?てな修正で、自己満足以外何物でもなし。



■ コクピット

 アイリスのレジンパーツを購入。しかし、フロア&コンソールはキットのコピーに一部ディテールが追加されている程度なので、削り出しの手間を考え、キットパーツを選択。足りない部分を追加する。これは銀貼りのストレスに耐える補強部材となるので、ぴったり胴体に密着するよう、丁寧に削り合わせる。さらにコンソールを延長。



コクピットはバルクヘッドとコンソールを追加。前脚収納部は、ダクトとの接着面を削り深さを増す。

アイリスのコクピットセット。他にエッチングの計器板、シートベルト等が付属。コンソールのベースは、そのまんまハセガワ。


 コクピット内部の塗色は、空自機の刷り込みでライトグレイと思い込んでいたが、よくよく実機写真を見ると、A、E、F型の一部までは黒一色である。既存の塗装図でも間違えてるものがあり要注意。シートやヘッドレストも黒だが、ヘッドレストが淡褐色(タン)の機体も少数あり。

 F型の途中から、内壁やシートがライトグレイで、ヘッドレストが赤になる。この変更時期がはっきりしない。6-3ウイング機でも両方があり、個別に写真で確認するのが望ましい。例えばドラゴンのノーズアート"THE HUFF"は、6-3ウイングがレトロフィットされたF-86F-1で黒。後の宇宙飛行士ジョン・グレン少佐の"Mig Mad Marine"は、F-30(Fの生産途中(-25?)より6-3ウイング工場装着)でライトグレイ。

 計器板は、空自機F-40ではライトグレイの板に黒い計器だが、米軍では板自体が黒い機体がある。これは塗装が楽でいいね。計器のレイアウトやガンサイトは型式によって変化があり注意が必要。このあたり現在勉強中。米軍F型はキットの計器板とレイアウトが異なるような・・・(汗)

 計器板は後回しにして、床パーツと側壁を塗装。とりあえずミディアム・シー・グレイのビン生を吹き、スイッチパネルを黒で塗装。もしあとで黒一色の機体にするにしても、塗りつぶせばいい。逆よりは簡単かな。また、コクピット開口部側面を一直線にする。キャノピ・スライド・レールは湾曲してないって。


■ 機銃口パネル

 次なるハードルがこれ。機銃口をシャープに仕上げたいところで、穴あけ&整形工作の手順を考え、胴体左右接着前にアルミを貼る。このとき、貼ってから穴を開けるのではなく、先に開けた方がスッキリ工作できる。穴はパネルに対して斜めだが、アルミ板に垂直にあけた方がよい結果。←実際にやってみて分かった事実。

 3つの機銃口は同じ直径でなく、一番上のものは細いので要注意。位置、サイズを実機写真から慎重に割り出す。平面では、3本の穴は平行でない。曲げて曲面にセットして初めて3本が平行となる。キットは微妙に穴の位置が違い、またパネル形状にミスがある。下辺を1mmほど前上がりにする。



0.3mmアルミ板にピンバイスや針ヤスリを駆使して穴を開け、切り出して絞ったところ。機銃口のパネルラインは鉛筆線のように修正。

黒瞬間を塗布。アルミ板を乗せ、セロテープで位置を固定。

ウレタンで圧着する。

接着終了。このあとピンバイスや針ヤスリで、接着剤とプラの部分を開口する。



■ 胴体接着

 垂直尾翼とドーサルフィンは接着面を0.5mm程削る。垂直尾翼に桁を入れ、ラダーを切り離す。エアブレーキ内壁を切り取り0.5mmプラバンで置き換え。胴体右側面に突き出したエア・インテイクは、空自機F-40などのみで、朝鮮戦争の米機にはなく撤去。その他の凸凹もアルミ貼りに邪魔なので、削ったり埋めたり。

 胴体内部にもバルクヘッドを3枚入れ、がっちり接着。その他、ジェットノズルの側面や尾翼付近などにも「つっぱり板」を追加。  キットのインストにはオモリの指定はないが、アルミ板で重心が変わる心配があり、機首に4mm鉄球を15個ほど詰め込む。あとで外れてカラカラしないようにプラバンに並べて瞬間で固め、コクピットパーツの前方にしっかり接着。

 臓物を詰め込み、ガチガチに補強して、溶剤系で左右胴体を接着。インテイクダクトは、前後に切り離し、前側はあとでインテイクリップに接着する算段。ついでに絞り型用の胴体も接着。凹みを黒瞬間+プラ粉で埋める。




補強した胴体と中に入る臓物類。ウレタン圧着で、相当なストレスがかかるので、補強は十分に。

こんなふうに納まる。胴体前方はぎちぎち。

切り離したダクトがずれないようにガイドをつけておく。

胴体を接着し、2枚ほどパネルを貼ったところ。機銃口は貫通済み。




■ 胴体アルミ貼り 2/2追加

 ひたすらアルミ板を貼っていく。手順おさらい。

 @ 0.3mmアルミ板をガスレンジ弱火で焼き鈍す。
 A 適当な大きさに切り出し、接着強度確保のため裏面を#120ペーパーで荒す。
 B アルミ板を型に押し付け、ヘラなどで絞っていく。
   仕上がり曲面より少しきつい曲面に押し付けると「戻り」でちょうどよい曲面になる。
 C 同時に、はさみやヤスリでパネルの形も少しずつ整えていく。
 D BとCを繰り返し、プラ表面に「吸い付く」ようになるまで形を整える。
 E プラ側には、接着剤逃がしの小穴を開ける。
 F 黒瞬間をプラ表面に薄く塗布。
 G アルミ板を乗せ、セロテープで位置固定。
 H その上に発泡ウレタンを乗せ、指で強く押さえながらセロテープで固定。
 I 何枚か貼ったら、表面を金属ヤスリ、板に貼ったペーパーなどで均す。
 J スジボリ、リベットなど細部工作し、表面を磨く。

 以下、画像で。



実戦練習ということで、右側面から貼っていく。圧着中は周囲の作業ができないから、2箇所に分けて貼っていく。

リベットラインを鉛筆描きして、小穴を空ける。もっと沢山空けた方がいいかも。

黒瞬間を塗布。「へら」がわりにエッチングソーを使用。

セロテープで固定。


発泡ウレタンで圧着。

右側面の一列がつながる。


 以下、作業上の留意点をいくつか。こういうのはメモに残しておかないと、次に同じ失敗をしてしまうのだ。←頭が悪いだけ?
  • F-86の胴体は一部を除き3D曲面である。絞る際は、この球面を先に成形しないと、いつまでも端が浮く。このまま無理に接着すると、空洞発生の恐れがあるし、パネルラインで屈曲する仕上がりとなる。中央を浮き気味に絞り、接着で圧着するとよい。

  • 緩い3D凸曲面を絞るには、ゴム板上にアルミ板を乗せ、適当な球面状の物体でしごいてやるとよい。

  • 上手く貼るには、パネルの順番が極めて重要。基本的に右側面をずらっと貼り、次に左側面、次に上面としたが、この順番だと、上面パネルの擦り合わせが大変(=精度が下がる)。右→上→左→下としたほうが簡単(=精度が上がり綺麗に仕上がる)。

  • プラ曲面との合わせと隣接パネルとの合わせが、時にトレードオフになることがある。その場合は曲面合わせを優先すべき。完成後はパネルの隙間よりリベットの凹み(曲面が合わないと隙間ができ、それが凹みに繋がる)のほうが目立つはず。



右側面の一列も概ね終了し、次に上面を貼っていく。

順次上面パネルを貼る。エアブレーキ付近に、キットにないパネルラインがある(画像見づらくて申し訳なし)。

機首上面パネルは、風防周囲が別ピースとなる。素組みの人もコの字形のパネルラインを追加すべし。これ、一枚板だと絞るの結構大変。

キャノピ下部分も前後2つに分かれる。キットはコクピット後端付近のパネルラインがない。1枚じゃ長すぎるでしょ。

胴体を貼り終え、定規に貼った#240ペーパーで表面の凸凹を均す。

尾翼フィレット付近の段差を黒瞬間で埋める。


インテイクリップにアルミを接着。パーツの状態でないと、内側が上手く接着できない。

インテイクダクトを先にリップに接着してから、リップと胴体を接着する。これ以外の手順は考えられない。


 パネルライン、リベットラインをチェックしていて気づいた点。
  • 上述のとおり、キットにないパネルラインがいくつか。いずれもそこで切れてないと実機でもアルミ板がうまく曲げられない。

  • Eまでは、胴体中央左右にエアアウトレットが開口している。

  • コクピット両サイド付近も小パネルのバリエーションあり。

  • 胴体下面、主翼直後の小判型小穴は最後期のみ。現存のA型やF型では長方形のインテイクになっている。
 これらは、後で詳述する。


■ リベット

 尾翼周辺を除き胴体パネルを概ね貼り終わる。パネル約50枚。1枚平均30分で25時間。出来のいいキット素組みなら完成してるぞ。それはさておき、いよいよリベット打ち。ウレタン圧着方式で空洞発生が抑えられているか、期待と不安が交錯するが・・

いきなり凹み発生!

 気持ちも大いに凹む。貼り付け済みパネルの隣に貼るとき、境をきれいに「掃除」しておくが、深く掘りすぎて空洞発生の原因となったようだ。それ以外の部分では、凹みの発生は前回より相当少なくなっている。ウレタン圧着法は、それなりの効果があるようだ。また、接着剤排出の小穴も有効。なるべく密に入れたほうがよいみたい。ただしリベットラインと重ならないように。



右後部胴体から打ち始めるが、いきなり凹む(画像右上付近)。

気を取り直して続行。基本はたまぐり#0番を使用。アクセスパネルなどのファスナは#2などを適宜。幸い他にはさほど目立つ凹みは発生せず。



■ スジボリ

 小アクセスハッチなどはスジボリとなる。脱線は厳禁なので、テンプレートをセロテープでしっかり固定する。うまく合うテンプレートがないときは、極力0.2mmプラバンで自作する。その方が脱線のリスクが減るのだ。





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