BAe ハリアー GR7A 1/72 エアフィックス 製作記

2022.9.12初出

ハリアーII+製作記




最終更新日 3Dファイル




■ はじめに

 ちょっと前、ハリアーIIプラス製作記で予告したエアハリ、ようやく図面が出来たので記事をアップする。実は、ハセハリ着手前に入手していて(探すのに苦労したけど)、どっちを作ろうか迷った挙句ハセに着手したのだった。いやあ、ハセがこんなに地雷だらけとは気付かなくて。知ってたらエア改造でIIプラスにしてたかも。

 ハセが予想以上に手間取るので、こちらは基本素組みでサクッと作る。脚やノズルなどは折角だから(もとい、その方が楽だから)3Dに置き換えよう。マーキングは、キット指定のOEF(不朽の自由作戦)参加機にする予定。型式については、その製作予定機が7Aなので、本項7Aとする。


■ キットレビュー

 エアのキットは、当然ながら英軍(RAF/RN)バージョンで、米軍型(IIおよびIIプラス)とは機首の形状が異なるだけでなく、細部に多くの違いがある。製造メーカーもブリティッシュ・エアロスペース(BAe)だ。2011年の新金型で(※)、GR7AとGR9Aのコンパチである。といっても両者に外見上の違いはない。アウトラインの雰囲気は、とてもいい。ハセのように機首が上を向いていることはない。主翼下反角も適切。

 とはいえ、発売時期からも分かるとおり3Dスキャンではなく、細かく見るとツッコミどころはある。図面と重ねると、機首は高さ幅とも太い。また、ハセと比べて風防先端が細く見える。これは形そのものが違うのではなく(←後日訂正。風防の円錐形もハセより先細)、胴体と風防の分割線がやや前寄りなため。ハセはやや後寄りで、比べると顕著な差となる。主翼は、前縁が尖りすぎているが、これは削ってやれば解決する。それを除くと翼型はハセより良好。ストレーキ(LERXあるいはウイング・ストレーキとも)は薄いのと厚いのと両方がセットされ、どちらも形状良好。

 ディテール、モールド、合わせはエア標準で、今風のモデルにするには少々苦労するだろう。パネルラインは一部(かなり?)不正確。あるべきものが無いし、無いものがある。あっても形状サイズが違ったり。フラップの上げ下げが両方選べるのはマル。今回は下げで作ろう。また、前脚ドア、主脚ドア、クロスダム、エアブレーキは開閉が選べる。折角だからフルオープンにするか。

※ちなみに第一世代GR.1の新金型赤箱は2013年製。当頁では2014年に製作してるな。


■ GR7/9側面図

 製作中モデルの資料とすべく、図面もちゃんと描く。図面に必要な情報を入れておくと、製作中に資料を探す時間が節約できるのだ。ただし、相変わらず不明点が多いので、そこはそういう目で見ていただきたい。肝心の機首は、真横、真上の条件のいい写真のトレースだから、精度はいい。ストレーキは英軍に多く見られる薄いタイプを図化。作品もこちらを選択するのでね。これも真上、真横の写真でチェック済み。

 ところで、英軍の第二世代ハリアーのサブタイプは、GR5 / 5A / 7 / 7A / 9 / 9A と沢山ある。このうち 5 / 5A は、機首形状が異なるが、よく分からないので図面はパス。←ヲイ! 7 / 7A / 9 / 9A については、エンジンとアビオニクスの違いなので、外見的には見分けがつかない(多分)。一方、外形的な違いとしては、ストレーキ、上面エアインテイク、尾部のセンサーがあるが、これらは型式にリンクしたものではなく、逐次改修されていったとのこと。




  • 米軍型との大きな違いは、機首レドーム形状、後部胴体上下のフレアディスペンサーなし、垂直尾翼前方インテイクが短い、テイルブームが長い、といったところ。

  • 主翼パネルラインや翼端センサーなどの細部における米国版AV-8Bとの違いは、写真で確認出来たものを図化する。

  • ネットで入手した怪しげなマニュアルによるとGR7/9の全長は47.75ftとされている。ただし、これは写真トレースに合わない。拙図は写真に合わせる。当該マニュアルだと、地上時の全長が47.44ftとなっていて、こっちの方が近い。

  • ストレーキは、英軍ハリアーIIの多くが薄くて小さいタイプを装着している。図面にはこちらを描く。厚くて大きいタイプを装着した機体(7/7A/9/9Aいずれの型式も薄/厚の両方あり?)もあるが、図面には表記してない。薄/厚どちらのストレーキも、米軍ハリアーIIのものとそれぞれ同一(細部の違いはあるかも)なので、そこはそれぞれの図面を見ていただきたい。(描くのが面倒なのじゃ)

  • ドロップタンクとパイロン×3は、米軍型と同じ。英軍型は、アウトリガーの位置に1Aおよび7Aパイロンが追加されている。一応これも図化する。パイロン後半、アウトリガーフェアリングの形状は甘い。また、センター(4)パイロンを装着していることが多いようだ。

  • 米軍型では、パネルラインがほとんど見えない。一方、英軍型では米軍型にはないパネルラインが読めたりする。多分パネル分割は基本同じだろう。米型はシーラーで埋めてるのかな?英型は無処理なのかな? これらは、写真で把握できたものについて、細線で示す。

  • 後部胴体のアクセスパネルは、米軍型とビミョーに違うようだ。最後方の小判形は多分左舷のみ。後部胴体下側のフィンのところにあるアウトレットは英軍型にはない。垂直尾翼やブームのアクセスパネルも違う。後部胴体側面の水色のパネルは、米型にはあるが、英型では存在がよく分からない。たぶん「なし」。ただ、なしと確定できる写真がない。

  • 後部胴体下面の三角形の突出部が何なのか不明。情報求む。



■ GR7/9上下面図

 次に、上下面図。翼型や、翼正面形などは、米型と同じなので省略。



  • 翼端のセンサー、パネルライト、パネルラインは米軍型と異なる。背中のアンテナも異なる。背中のアンチコ・ライトはバリエーションがあるみたい。胴体下面はよく分からない部分が多く、不明部は米型をそのまま描き写す。

  • コクピット後方の胴体上面インテイクは終始同じ形で、米軍IIプラスのようなラムエア型はない。

  • その後方の胴体上面インテイクは、後の時期になって見られる。それまではストレーキの後方の翼前縁(変な言い方だが)に穴が開いている。薄型ストレーキでこの胴体上面インテイク装備の場合は、この前縁インテイクはパッチで塞がれる。厚形ストレーキは、当然胴体上面インテイクの一択。

  • 前述したとおり、これらインテイクとストレーキは、型式とは無関係のようだ。

  • エジェクションシートやハーネスも米軍型とは異なる。図面化してないが。

  • 7Aは7のエンジン強化。9は7のアビオニクス強化、9Aは7Aのアビオニクス強化とのこと。



■ 製作開始

 キットをそのまま素直に組んでいく。いくつか注意点。機首は、ストレーキを接着した胴体部の前端に貼り付ける形となるが、ストレーキと翼、胴体の擦り合わせの具合で、機首の角度が違ってしまう可能性がある。図面を参照して、正しい角度にすべし。ダウン状態のフラップの接着位置がやや曖昧。上面に段差はできない。翼上面後端と内側パイロンに接着する。補助インテイクの穴は、エアハリアーの鬼門。GR.1でも苦労した。パネルラインを全部埋めて彫り直すのが吉。



基本パーツをざっと組んだところ。隙間の処理はポリパテ(黄色)かタミヤパテ。コクピットすら未塗装。

さらに尾翼、フラップ、パイロンなどを接着。途中、適宜サフを吹きながら組んでいるので、サフが斑模様になっている。

下面。ジェットノズルは3D。前側のはハセと基部の径が違うので、ちょい拡大して出力。クロスダムの天井も3D。

ノズルのクローズアップ。前後で色が違うのは出力時期によるレジン違い。

ダウンのフラップはこんな具合。これで1パーツ。エルロンも少々下がる。

胴体接着時に、ファンブレードのみ銀色に塗ってマスクしておく。ここだけは後から塗るのは大変。ダクト内側は未塗装。


 着手は8月初めくらい。ハセの合間に少しずつ触って、現状ここまで。


■ コクピット 9/22追加

 機体が概ね組み上がったので、コクピットを仕上げてキャノピを接着する。コクピット内は、塗れる範囲で筆塗り。シートは米型用の3DPをそのまま使う。GR7/9では細部が異なるが、どうせキャノピ閉めるとよく見えない。ハーネス改修前に既に塗装済みで、そのまま使う。クッションはダークアース+ダークイエロー、ハーネスはC330ダークグリーン+RLM75。

 HUDも3DP。先にグレアシールドに接着してから、0.2mmプラバンのガラスを取り付ける。接着はメタルプライマー。2枚を平行に接着するのが結構難しい。途中でうっかりピンセットを引っ掛けてフレームが破損。新規パーツで最初からやりなおし。補充がいくらでもあるのが救い。



3DPのシートを塗装して取り付ける。1mmほど前に寄せる。HUDも接着。写ってないが、操縦桿も3DP。

2枚のガラスを取り付ける。フチを薄めた黒で塗る。



■ キャノピ

 キットのキャノピは、太い湯口がフレームとガラスにまたがってあるし、窓枠モールドがぬるく、後方部は別パーツだし、胴体との合わせもいまいち。初心者泣かせだね。ベテランモデラーたるもの、ここは持てる技術を総動員して、スッキリと仕上げたいところだ。まず、風防、キャノピガラス部、後方部を接着、スジボリして段差を削り落として内外を磨く。

 次は、3DPのキャノピ破砕コード。使用するのは直径0.2mmバージョン。パーツのライトグレイがいい感じで、塗装せずそのまま。接着剤はフューチャー(※)。コードを仮止めして面相筆でフューチャーを流す。すると、フューチャーの表面張力で、コードがキャノピ面に吸い付き、まるでデカール貼りのような感覚で位置決めができる。フューチャー塗布範囲は、大体コードの周囲1mm程度、真ん中は全て塗布だが、塗ってない部分との差はほとんど分からない。

※ アメリカの床ワックス。詳細は、F-104、P-36製作記などに記載。リンレイの床ワックスにも良さそうなのがあるね(スーパーグロスとか)。



3パーツを、接着。エッチングソーでスジボリ。#800ペーパーで段差や窓枠を整形したところ。

内外を#1200ペーパー、#6000ラプロス、セラミックコンパウンドで磨いて、内側に3Dの破砕コードを接着。

表側から見たところ。クリアパーツのレンズ効果、あるいはコード周囲のフューチャーのレンズ効果か、実際より太く見える。

出来上がったキャノピを、胴体に溶剤系で接着。すき間を黒サフで埋める。

風防前方に段差が出来る。その他の隙間も含め、シアノンDXを盛って削る。

改めてスジボリして磨く。前端フレームの位置を0.5mmほど後ろに下げる。


 スライドキャノピと胴体との間にも段差ができる。コクピットのアンコのせいで胴体がちょっと広がったのかも。胴体側を盛大に削る。コクピット後方の胴体上面は迷彩色、というのに接着後に気づく。ダークグレイで塗っちまったが、もう直せない。諦めよう。ともあれ、破砕コードの再現は、現状この方法がベスト。1/72でもこのスッキリ感、カッチリ感なので、1/48以上ならなおさらだろう。

 ところで以前に、ハセと比べて風防の先端が細く見えるのは、フレームの位置の前後の問題で、基本の円錐形状は同じ、と書いたけど、やっぱエアの円錐はちょと細いかも。一方ハセの円錐は太く、フレームの前後位置と相まって、風防ガラス先端の幅が大きく違っているようだ。正解は、円錐形状、フレーム位置とも両者の中間。


■ 塗装 10/7追加

 ハセより後に着手だが、先に塗装開始。ハセの予行演習ってことで。

 GR7/9各機の写真を見ると、グレイの明度や塗り分けパターンは様々。グレイ単色もあり。その中で選んだのは、インスト塗装図Cの上面ダークシーグレイ BS361C 638、側面と下面がカモフラージュグレイ BS361C 629、エルロン、フラップ、スタビレータなどがミディアムシーグレイ BS361C 637という、3色のグレイによる迷彩だ。

 当該機そのものズバリの写真は残念ながら発見できず。一方、同じく上記3色が指定されている塗装図Aの実機写真では、全体にかなり明るい色調で、各色の明度差が小さい。また、英軍ハリアーは米軍と比べて青味が少ない。これらのイメージで調色する。ダークシーグレイ(以下DSG)にはC13ニュートラルグレイ(NG)のビン生。カモフラージュグレイはC335ミディアムシーグレイ(MSG)のビン生・・と言いたいところだが、最近買ったやつは妙な緑味が入っていて、赤を数滴加えて緑味を消す。動翼等の一番明るいグレイは、前述MSGに白を3割程度加える。

 その他の調色は、翼前縁のコルゲート塗装がダークイエロー+MSG、インテイクのコルゲート塗装は8銀+DSG、機首センサー先端はレドーム+MSG。ノズルは前が8銀+MSG、後ろは自作焼鉄色+8銀、インテイク内部、脚庫は黒10%の白。ちなみに、前側ノズルから出るのはファンで圧縮された空気なので、ノズルは焼けない。米型は迷彩色。一方の英型は無塗装(←多分)のシルバー。翼前縁のコルゲート塗装も英型のみの特徴。

 また、インストによれば、作品の機体は、2006年時点では普通に上下2色(DSGとカモフラージュグレイ)の迷彩。それが2009年時点では動翼等がMSGになる。塗装規定の変更ではなく、単純にパーツの交換ではないかと推測するが、どうだろう。他にもアクセスパネルの一部のみ色が違っている機体が見られる。では、以下画像で。



全体にサフ。キャノピ部分は下地が黒サフ。インテイクに白を吹いてマスクする(画像では見えないが)。

動翼に明るいグレイ(MSG+白)を吹いてマスクして、中間のグレイ(MSG)を吹く。この段階で軽くシェーディングしておく。

白を塗装。マスキングしてないように見えるところはセロテープ。べたっと貼ってナイフで切る。複雑な形状はこれが一番。

上面の暗いグレイ(NG)のためのマスキング。境界はぼかさない。

NGを吹き、さらに「のの字」塗り(後述)で、もやもや感を加味する。マスクを剥がし、グレイ3色塗装終了。

下面はこんな具合。白部分の塗装指示は、キットインストに従う。

ノズルを塗装。前側はマスクして吹き付け。後ろノズルと耐熱板は筆塗り(+エアブラシで薄く黒)。

翼前縁コルゲート塗装はマステでマスクして吹き付け。パネルのマスキングは、セロテープ+ナイフ切り抜き法。

インテイク前縁もマステでマスクして吹き付け。ピトー管はガンメタの筆塗り。風防窓枠に黒(白20%)。

つうことで、基本塗装終了。各部の明るいグレイがいいアクセントだ(主翼の小四角はフィクション。あとはインスト指示)。

下面。ドロップタンクはキットパーツ。形が少々違うが目をつぶる。英米どちらも形は同じ。

上面「のの字塗装」のクローズアップ。


 のの字塗装解説。例えば上面なら、NGで基本塗装後、黒を混ぜたNGでパネルライン等にシェーディング(気持ち強め。ただしやり過ぎは生NGで補正)。全体がやや暗調になったところで、白を混ぜたNGを、ノズルを極限に絞り、塗装面ギリギリに近づけて、細く「ののののののの・・・」と描いていく。「の」の直径は目標5mm。すると、線が重なったところは明るく、線がないところは暗く、いい感じの斑模様になる。網目のテンプレートで下地に明暗の斑をつけるのと、結果的に似たような風合い。


■ デカール 10/11追加

 この勢いで一気に進める。勢いは大事なのじゃ。基本塗装に続き、デカール貼り。まず、全体にクリアを吹く。貼り付け面にはしっかり目に。それ以外は軽く。デカールは全て、キットのを使う。面倒なので余白も切らず。クレオスのセッターで貼り、貼り付け後に、上からタミヤマークフィット(スーパーハード)を塗布。一日乾燥させ、セミグロスクリアを厚めに吹いて研ぐ。目立つ主翼上面は、もう一層吹いて段差が消えるまで研ぎ出し。ついでに、デカール以外の塗装面の柚子肌もざっと削り落とす。



デカール終了の図。細かいコーションは省略。ラウンデルの色味が若干不満。

このあたりは、コーションが密集している。英軍の「踏むな」は靴の絵でカワイイ。パネルライトは米軍と違い、黒い部分がない。

実戦機の証、ミッションマークがカッコいい。


このくらいに段差が消えるまで#1200ペーパーで研ぐ。

研ぎ出し中、デカールの一部が剥がれる。クリアが薄かったな。チェッカーが傾いているのはインスト指示。貼り付けミスではない。

別機の不要機番(45A)で補修。3の上の欠けには5の下を使う。ZD404の4も欠けて、これも不要シリアルを流用。



■ 脚まわり&ウェポン

 前脚(脚柱+タイヤ+ホイル)、AIM-9Lは3D。それ以外の脚まわりとウェポンはキットパーツ。ハセ用に設計した3D脚を取り付けるため、キットの脚柱上部を切り取って脚庫に接着する(下画像の前脚柱の上)。AIM-9Lは、F-4Eで作ったAIM-9Bをベースにちょちょいと設計変更。9Lになると全長、翼幅が拡大されているんだね(寸法はwikiに従う)。写真を見ると、帯は黄と茶が正解だと思う。デカールが硬くて巻き付かない。濡らした状態でタミヤのスーパーハードを塗布し、数分後柔らかくなったところで巻き付ける。



脚回り一式。主車輪は整形、塗装のため、ランナーの持ち手を瞬間で接着しておく。

脚、アウトリガーを接着。4点接地するように、アウトリガーの接着位置を微調整する。

ウェポン類は、インスト指示で塗装し、キットデカールを貼る。塗装の持ち手に、パイロン接着部にプラバンを仮接着しておく。

サイドワインダー、CRV-7ロケットポッドをキット指示どおりにパイロンに接着。赤帯の上からレッドブラウンを筆塗り。

スナイパーATPポッド(手前)、DJRPポッド(奥)も接着。クロスダム、ベントラルエアブレーキ、脚ドアも取り付け。

小アンテナをプラバンで追加。機首上面にも。機首下面の姿勢制御エア排出口は塗装。本当はパネルラインも違うが確信犯で。


 ロービジあるある、一部のデカールが地の色に紛れてほとんど見えない。確信犯で目立つ色のデカールに変えている箇所あり。悪しからず。


■ ウェザリング

 ウェザリングの構想を練るため、実機写真を見ながら、しばし思案。「映える」汚しをしたいが、ハリアーの上面は、トムキャットのようなドロデロ状態にはなってない。パネルライン沿いの明色の補修跡もなし。さすがに嘘をついてまで映えるのもどうかと、上面はクリーンな実機のイメージを尊重する。一方、下面は、使い込まれてくるとそれなりに汚れる。とくに排気の汚れは特徴的だ。機体の中ほどにジェット排出口がある機体って、そうないもんね。このあたりを再現しよう。

 今回、初めて色鉛筆を使ってみる。画材屋で、バラ売りのダークブラウン、ダークグレイ、ライトグレイ、銀を購入。色んな種類の色鉛筆があるので、慣れてきたら試してみるのもいいかな。とりあえず普通のやつを買う。試し描きしてみると、艶あり面でも描けなくはないが、艶消しの方が描きやすい。そこで、下準備としてモデル全体にフラットクリア+フラットベースを薄く吹き付ける。

 リベットライン沿いの排気汚れは、ダークブラウンの色鉛筆。失敗したら指で拭き取る。ちょっとボカシが難しいけど、鉛筆画のグラデーションの気持ちで。排気の灰、煤汚れは、タミヤエナメルのサンド、黒のエアブラシも併用(後から思えば、エナメルである必要はなかったが)。主翼上面の気流で流れた汚れもダークブラウンの色鉛筆。これは筆で描くより描きやすい。色鉛筆、いいかも。



排気汚れの表現。色鉛筆でリベットライン沿いの汚れのアタリをつける。

さらにエアブラシのサンド、黒を重ねる。色鉛筆も重ねる。

流れた汚れの表現も色鉛筆。細い線を描くのは色鉛筆がやり易い。

全体のツヤ調整が終わったので、キャノピのマスキングを剥がす。若干ゴミがついてしまったが(残念)、破砕コードはいい感じだ。


 以上で、95%完成。あと、塗り残し、付け残しが少しある。ウェザリングをもう少し追求してもいいな。



気分は完成。




1、7パイロンが空席だがどうしようか。


 次はハセハリの塗装だ。マーキング決めないと。


■ ドロップタンク補足

 書き忘れを追記。ドロップタンクは、キットパーツを使うが、形状はやや不正確。キットは中央部分が平行(太さ一定)だが、実機は滑らかな紡錘形。タンクの形状は英米同じ。それより問題は、ダウン状態のフラップに当たること(ウェザリング画像参照)。そのままだと、タンクの先が下を向く。

 これから作る人は、フラップ下端がもう1mmくらい上になるように調整して接着するべし。パイロンとフラップ側フェアリングの間にスペーサをかますといいだろう。作品は、今更フラップをいじれないので、タンクとパイロンの間にプラバンを挟んで接着する。タンクが上を向くよりはマシ。


■ 最後の作業 10/17追加

 ネットでZD404の実機写真を発見。フラップ、エルロンは明色だが、尾翼先端のチェッカーとノズル前方の部隊章は未記入の状態。インストに指示はないが、後部胴体横の四角いアクセスパネルも明色。逆にフィクションの主翼四角パネルは明色ではない。ま、差し引きゼロってことで(←どこがやねん)。ドロップタンクも明るい。これらは、もう修正しない。テイルコーンの後端がDGなので、ここは塗り直す。

 風見鶏は、ハリアーのチャームポイント。これは外せない。0.35mm真鍮線を曲げ、後端をペンチでつぶしてハンダ付け。AOAセンサーは虫ピンの先。ウッカリ触ると血を見るぞ。あとは、塗り忘れを少々。最後に、ダークアースをノズル後方などに薄く吹く。前回書き忘れを一つ。英軍ハリアーは、左舷翼端灯も緑色に見える。光ると赤なんだろうけど、カバーが緑なのかな。


■ 完成写真

 以上で完成。カミさんの新しいスマホを借りて撮影。手持ちで引いて撮っても粒子が荒れないのがイイ。エアのキットは、やや機首が大きかったり、パイロンが薄かったりするが、完成するとなかなかカッコヨロシ。太いスジボリは、逆にスミイレのインパクトあって、映え塗りにはいいかも。青味を抑えたRAF迷彩色も、狙いどおりで満足じゃ。

 キャノピ内部の座席後方胴体上面は、英軍型の場合は黒でいいみたい。結果オーライだ。反省点は、お気楽モデリングだからと、合わせ目の段差埋めにポリパテを使ったこと。後のスジボリでポロポロ崩れて、結局手間が増えるだけ。最初から瞬間を使うのが正解。



前回更新とどこが違うか、間違い探し。画面には4つ。




フラップダウンなので、このアングルがフォトジェニック。ドロップタンクのフィンの「踏むな」がお気に入り。




段差消して、スジボリして、磨いたキャノピがスッキリ仕上がって、一手間かけた甲斐あり。3DPのキャノピ破砕コードは、ご覧の出来。エジェクションシートはクリアパーツの歪みでよく見えないな。




一部のパネルエッジ(LERXの段差部とか)に、ライトグレイの色鉛筆。分かるかな?





 サクッと組んで、ちゃらっと映え塗り。これが本来ハリアーでやりたかったことなんだよ。さて、ハセハリ頑張るか。




■ 図面、参考文献、3Dパーツ

 これらはハリアーIIプラス製作記に記載。




ハリアーIIプラス製作記


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