BAe ハリアー GR7A 1/72 エアフィックス 製作記
2022.9.12初出
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ハセが予想以上に手間取るので、こちらは基本素組みでサクッと作る。脚やノズルなどは折角だから(もとい、その方が楽だから)3Dに置き換えよう。マーキングは、キット指定のOEF(不朽の自由作戦)参加機にする予定。型式については、その製作予定機が7Aなので、本項7Aとする。
とはいえ、発売時期からも分かるとおり3Dスキャンではなく、細かく見るとツッコミどころはある。図面と重ねると、機首は高さ幅とも太い。また、ハセと比べて風防先端が細く見える。これは形そのものが違うのではなく(←後日訂正。風防の円錐形もハセより先細)、胴体と風防の分割線がやや前寄りなため。ハセはやや後寄りで、比べると顕著な差となる。主翼は、前縁が尖りすぎているが、これは削ってやれば解決する。それを除くと翼型はハセより良好。ストレーキ(LERXあるいはウイング・ストレーキとも)は薄いのと厚いのと両方がセットされ、どちらも形状良好。 ディテール、モールド、合わせはエア標準で、今風のモデルにするには少々苦労するだろう。パネルラインは一部(かなり?)不正確。あるべきものが無いし、無いものがある。あっても形状サイズが違ったり。フラップの上げ下げが両方選べるのはマル。今回は下げで作ろう。また、前脚ドア、主脚ドア、クロスダム、エアブレーキは開閉が選べる。折角だからフルオープンにするか。 ※ちなみに第一世代GR.1の新金型赤箱は2013年製。当頁では2014年に製作してるな。
ところで、英軍の第二世代ハリアーのサブタイプは、GR5 / 5A / 7 / 7A / 9 / 9A と沢山ある。このうち 5 / 5A は、機首形状が異なるが、よく分からないので図面はパス。←ヲイ! 7 / 7A / 9 / 9A については、エンジンとアビオニクスの違いなので、外見的には見分けがつかない(多分)。一方、外形的な違いとしては、ストレーキ、上面エアインテイク、尾部のセンサーがあるが、これらは型式にリンクしたものではなく、逐次改修されていったとのこと。 |
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![]() 基本パーツをざっと組んだところ。隙間の処理はポリパテ(黄色)かタミヤパテ。コクピットすら未塗装。 |
![]() さらに尾翼、フラップ、パイロンなどを接着。途中、適宜サフを吹きながら組んでいるので、サフが斑模様になっている。 |
![]() 下面。ジェットノズルは3D。前側のはハセと基部の径が違うので、ちょい拡大して出力。クロスダムの天井も3D。 |
![]() ノズルのクローズアップ。前後で色が違うのは出力時期によるレジン違い。 |
![]() ダウンのフラップはこんな具合。これで1パーツ。エルロンも少々下がる。 |
![]() 胴体接着時に、ファンブレードのみ銀色に塗ってマスクしておく。ここだけは後から塗るのは大変。ダクト内側は未塗装。 |
着手は8月初めくらい。ハセの合間に少しずつ触って、現状ここまで。
HUDも3DP。先にグレアシールドに接着してから、0.2mmプラバンのガラスを取り付ける。接着はメタルプライマー。2枚を平行に接着するのが結構難しい。途中でうっかりピンセットを引っ掛けてフレームが破損。新規パーツで最初からやりなおし。補充がいくらでもあるのが救い。 |
![]() 3DPのシートを塗装して取り付ける。1mmほど前に寄せる。HUDも接着。写ってないが、操縦桿も3DP。 |
![]() 2枚のガラスを取り付ける。フチを薄めた黒で塗る。 |
次は、3DPのキャノピ破砕コード。使用するのは直径0.2mmバージョン。パーツのライトグレイがいい感じで、塗装せずそのまま。接着剤はフューチャー(※)。コードを仮止めして面相筆でフューチャーを流す。すると、フューチャーの表面張力で、コードがキャノピ面に吸い付き、まるでデカール貼りのような感覚で位置決めができる。フューチャー塗布範囲は、大体コードの周囲1mm程度、真ん中は全て塗布だが、塗ってない部分との差はほとんど分からない。 ※ アメリカの床ワックス。詳細は、F-104、P-36製作記などに記載。リンレイの床ワックスにも良さそうなのがあるね(スーパーグロスとか)。 |
![]() 3パーツを、接着。エッチングソーでスジボリ。#800ペーパーで段差や窓枠を整形したところ。 |
![]() 内外を#1200ペーパー、#6000ラプロス、セラミックコンパウンドで磨いて、内側に3Dの破砕コードを接着。 |
![]() 表側から見たところ。クリアパーツのレンズ効果、あるいはコード周囲のフューチャーのレンズ効果か、実際より太く見える。 |
![]() 出来上がったキャノピを、胴体に溶剤系で接着。すき間を黒サフで埋める。 |
![]() 風防前方に段差が出来る。その他の隙間も含め、シアノンDXを盛って削る。 |
![]() 改めてスジボリして磨く。前端フレームの位置を0.5mmほど後ろに下げる。 |
スライドキャノピと胴体との間にも段差ができる。コクピットのアンコのせいで胴体がちょっと広がったのかも。胴体側を盛大に削る。コクピット後方の胴体上面は迷彩色、というのに接着後に気づく。ダークグレイで塗っちまったが、もう直せない。諦めよう。ともあれ、破砕コードの再現は、現状この方法がベスト。1/72でもこのスッキリ感、カッチリ感なので、1/48以上ならなおさらだろう。 ところで以前に、ハセと比べて風防の先端が細く見えるのは、フレームの位置の前後の問題で、基本の円錐形状は同じ、と書いたけど、やっぱエアの円錐はちょと細いかも。一方ハセの円錐は太く、フレームの前後位置と相まって、風防ガラス先端の幅が大きく違っているようだ。正解は、円錐形状、フレーム位置とも両者の中間。
GR7/9各機の写真を見ると、グレイの明度や塗り分けパターンは様々。グレイ単色もあり。その中で選んだのは、インスト塗装図Cの上面ダークシーグレイ BS361C 638、側面と下面がカモフラージュグレイ BS361C 629、エルロン、フラップ、スタビレータなどがミディアムシーグレイ BS361C 637という、3色のグレイによる迷彩だ。 当該機そのものズバリの写真は残念ながら発見できず。一方、同じく上記3色が指定されている塗装図Aの実機写真では、全体にかなり明るい色調で、各色の明度差が小さい。また、英軍ハリアーは米軍と比べて青味が少ない。これらのイメージで調色する。ダークシーグレイ(以下DSG)にはC13ニュートラルグレイ(NG)のビン生。カモフラージュグレイはC335ミディアムシーグレイ(MSG)のビン生・・と言いたいところだが、最近買ったやつは妙な緑味が入っていて、赤を数滴加えて緑味を消す。動翼等の一番明るいグレイは、前述MSGに白を3割程度加える。 その他の調色は、翼前縁のコルゲート塗装がダークイエロー+MSG、インテイクのコルゲート塗装は8銀+DSG、機首センサー先端はレドーム+MSG。ノズルは前が8銀+MSG、後ろは自作焼鉄色+8銀、インテイク内部、脚庫は黒10%の白。ちなみに、前側ノズルから出るのはファンで圧縮された空気なので、ノズルは焼けない。米型は迷彩色。一方の英型は無塗装(←多分)のシルバー。翼前縁のコルゲート塗装も英型のみの特徴。 また、インストによれば、作品の機体は、2006年時点では普通に上下2色(DSGとカモフラージュグレイ)の迷彩。それが2009年時点では動翼等がMSGになる。塗装規定の変更ではなく、単純にパーツの交換ではないかと推測するが、どうだろう。他にもアクセスパネルの一部のみ色が違っている機体が見られる。では、以下画像で。 |
![]() 全体にサフ。キャノピ部分は下地が黒サフ。インテイクに白を吹いてマスクする(画像では見えないが)。 |
![]() 動翼に明るいグレイ(MSG+白)を吹いてマスクして、中間のグレイ(MSG)を吹く。この段階で軽くシェーディングしておく。 |
![]() 白を塗装。マスキングしてないように見えるところはセロテープ。べたっと貼ってナイフで切る。複雑な形状はこれが一番。 |
![]() 上面の暗いグレイ(NG)のためのマスキング。境界はぼかさない。 |
![]() NGを吹き、さらに「のの字」塗り(後述)で、もやもや感を加味する。マスクを剥がし、グレイ3色塗装終了。 |
![]() 下面はこんな具合。白部分の塗装指示は、キットインストに従う。 |
![]() ノズルを塗装。前側はマスクして吹き付け。後ろノズルと耐熱板は筆塗り(+エアブラシで薄く黒)。 |
![]() 翼前縁コルゲート塗装はマステでマスクして吹き付け。パネルのマスキングは、セロテープ+ナイフ切り抜き法。 |
![]() インテイク前縁もマステでマスクして吹き付け。ピトー管はガンメタの筆塗り。風防窓枠に黒(白20%)。 |
![]() つうことで、基本塗装終了。各部の明るいグレイがいいアクセントだ(主翼の小四角はフィクション。あとはインスト指示)。 |
![]() 下面。ドロップタンクはキットパーツ。形が少々違うが目をつぶる。英米どちらも形は同じ。 |
![]() 上面「のの字塗装」のクローズアップ。 |
のの字塗装解説。例えば上面なら、NGで基本塗装後、黒を混ぜたNGでパネルライン等にシェーディング(気持ち強め。ただしやり過ぎは生NGで補正)。全体がやや暗調になったところで、白を混ぜたNGを、ノズルを極限に絞り、塗装面ギリギリに近づけて、細く「ののののののの・・・」と描いていく。「の」の直径は目標5mm。すると、線が重なったところは明るく、線がないところは暗く、いい感じの斑模様になる。網目のテンプレートで下地に明暗の斑をつけるのと、結果的に似たような風合い。
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![]() デカール終了の図。細かいコーションは省略。ラウンデルの色味が若干不満。 |
![]() このあたりは、コーションが密集している。英軍の「踏むな」は靴の絵でカワイイ。パネルライトは米軍と違い、黒い部分がない。 |
![]() 実戦機の証、ミッションマークがカッコいい。 |
![]() このくらいに段差が消えるまで#1200ペーパーで研ぐ。 |
![]() 研ぎ出し中、デカールの一部が剥がれる。クリアが薄かったな。チェッカーが傾いているのはインスト指示。貼り付けミスではない。 |
![]() 別機の不要機番(45A)で補修。3の上の欠けには5の下を使う。ZD404の4も欠けて、これも不要シリアルを流用。 |
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![]() 脚回り一式。主車輪は整形、塗装のため、ランナーの持ち手を瞬間で接着しておく。 |
![]() 脚、アウトリガーを接着。4点接地するように、アウトリガーの接着位置を微調整する。 |
![]() ウェポン類は、インスト指示で塗装し、キットデカールを貼る。塗装の持ち手に、パイロン接着部にプラバンを仮接着しておく。 |
![]() サイドワインダー、CRV-7ロケットポッドをキット指示どおりにパイロンに接着。赤帯の上からレッドブラウンを筆塗り。 |
![]() スナイパーATPポッド(手前)、DJRPポッド(奥)も接着。クロスダム、ベントラルエアブレーキ、脚ドアも取り付け。 |
![]() 小アンテナをプラバンで追加。機首上面にも。機首下面の姿勢制御エア排出口は塗装。本当はパネルラインも違うが確信犯で。 |
ロービジあるある、一部のデカールが地の色に紛れてほとんど見えない。確信犯で目立つ色のデカールに変えている箇所あり。悪しからず。
今回、初めて色鉛筆を使ってみる。画材屋で、バラ売りのダークブラウン、ダークグレイ、ライトグレイ、銀を購入。色んな種類の色鉛筆があるので、慣れてきたら試してみるのもいいかな。とりあえず普通のやつを買う。試し描きしてみると、艶あり面でも描けなくはないが、艶消しの方が描きやすい。そこで、下準備としてモデル全体にフラットクリア+フラットベースを薄く吹き付ける。 リベットライン沿いの排気汚れは、ダークブラウンの色鉛筆。失敗したら指で拭き取る。ちょっとボカシが難しいけど、鉛筆画のグラデーションの気持ちで。排気の灰、煤汚れは、タミヤエナメルのサンド、黒のエアブラシも併用(後から思えば、エナメルである必要はなかったが)。主翼上面の気流で流れた汚れもダークブラウンの色鉛筆。これは筆で描くより描きやすい。色鉛筆、いいかも。 |
![]() 排気汚れの表現。色鉛筆でリベットライン沿いの汚れのアタリをつける。 |
![]() さらにエアブラシのサンド、黒を重ねる。色鉛筆も重ねる。 |
![]() 流れた汚れの表現も色鉛筆。細い線を描くのは色鉛筆がやり易い。 |
![]() 全体のツヤ調整が終わったので、キャノピのマスキングを剥がす。若干ゴミがついてしまったが(残念)、破砕コードはいい感じだ。 |
以上で、95%完成。あと、塗り残し、付け残しが少しある。ウェザリングをもう少し追求してもいいな。 |
![]() 気分は完成。 |
![]() 1、7パイロンが空席だがどうしようか。 |
次はハセハリの塗装だ。マーキング決めないと。
これから作る人は、フラップ下端がもう1mmくらい上になるように調整して接着するべし。パイロンとフラップ側フェアリングの間にスペーサをかますといいだろう。作品は、今更フラップをいじれないので、タンクとパイロンの間にプラバンを挟んで接着する。タンクが上を向くよりはマシ。
風見鶏は、ハリアーのチャームポイント。これは外せない。0.35mm真鍮線を曲げ、後端をペンチでつぶしてハンダ付け。AOAセンサーは虫ピンの先。ウッカリ触ると血を見るぞ。あとは、塗り忘れを少々。最後に、ダークアースをノズル後方などに薄く吹く。前回書き忘れを一つ。英軍ハリアーは、左舷翼端灯も緑色に見える。光ると赤なんだろうけど、カバーが緑なのかな。
キャノピ内部の座席後方胴体上面は、英軍型の場合は黒でいいみたい。結果オーライだ。反省点は、お気楽モデリングだからと、合わせ目の段差埋めにポリパテを使ったこと。後のスジボリでポロポロ崩れて、結局手間が増えるだけ。最初から瞬間を使うのが正解。 |
![]() 前回更新とどこが違うか、間違い探し。画面には4つ。 |
![]() フラップダウンなので、このアングルがフォトジェニック。ドロップタンクのフィンの「踏むな」がお気に入り。 |
![]() 段差消して、スジボリして、磨いたキャノピがスッキリ仕上がって、一手間かけた甲斐あり。3DPのキャノピ破砕コードは、ご覧の出来。エジェクションシートはクリアパーツの歪みでよく見えないな。 |
![]() 一部のパネルエッジ(LERXの段差部とか)に、ライトグレイの色鉛筆。分かるかな? |
サクッと組んで、ちゃらっと映え塗り。これが本来ハリアーでやりたかったことなんだよ。さて、ハセハリ頑張るか。
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