ホーカー ハンター F.6 エアフィックス 1/48 製作記

2020.11.20初出

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完成写真 3Dファイル



■ はじめに

 告知から1年半、ようやくハンタープロジェクトを始める。新発売の勢いで作るつもりが、つなぎのスピットが間延びして、その間に当初の熱も冷めてしまって・・・ まずは気持ちを温めるところからのリスタートじゃ。

 さて、エアの新金型キット、出来は同社1/48シーフュリーによく似た感じ。外形は間違いなく3Dスキャンで、従ってアウトラインは100%完璧。小物の出来はいつものエアで、一部のパーツはちょっと残念。そこは3Dプリンターが活躍してくれるかな。また、エアの新金型は、いつもキャノピがウィークポイントで、Ω断面が再現されないが(グリフォンスピットやシーフュリー)、当機の場合、実機がΩ断面でないので問題なし。


■ 図面

 気持ちのスイッチを入れるため、まず途中で止まっていた図面から始める。製造図は出回ってなく、唯一あるのは公式マニュアル類で、構造補修マニュアルには、リブやフレームが描かれた機体構造図があり有用。残念ながら、ステーションダイヤグラムの数値を始め、機体諸元の数値がほとんど記載されていない。だから普通それだけでは正確な図面は描けないが、キットは実機の3Dスキャン。外形はキットをそのまま2Dに置き換えるだけ。あとは外形とマニュアルの構造図が整合するよう細部を詰める。

 今回の図面の「売り」はリベットラインと、それに整合するパネルラインと機体各部の「穴」。世の中には、リベットを正しく打つとパネルラインが邪魔をするキットが多いよね。ただし、シーフュリーもそうだけど、キットのパネルラインは位置の間違いが多く信用できない。マニュアルの機体構造図と実機クローズアップ写真をニラメッコして、ゼロから自力で描く。作業的には、側面図と上下面図を並行で進め、互いに矛盾しないよう整合を図りつつ細部を詰めているが、掲載は側面図から。図面としての体裁を整えるのに結構手間がかかるのだ。

※ 以下12/3追加分
 胴体上面の「穴」(インテイク、アウトレット)と小アクセスパネルは、エンジンの型式によってバリエーションがある。つまり、エイボン100シリーズのF.4までおよび複座型と、エイボン200シリーズのF.6以降では異なるわけ。サファイアエンジンのF.5はF.4と同じらしい。同じエンジンなら、型式が違っても穴は同じ(ただし、少数のバリエーションがある模様)。

 キットはF.6以降を意図しているが(F.4のキットも同じパーツを使うのだろうけど)、アウトレットは左舷で1つ不足。位置も微妙にズレていて、もしリベット打つなら邪魔をするぞ。また、ノズル付近のパネルラインも結構違いがある。斜めのラインはF.4まで。また、キットは機軸に沿って左右2本ずつのラインがあるが、実機は1本ずつで、位置は左右で異なる。Dの字形の小パネルも、左舷後方にはない。ということで、これらを反映して側面図を訂正。(以上12/3追加)


  • いつもは、アウトラインの徹底検証が拙図の「売り」なんだけど、今回はキット任せ。アウトラインの作図には、キットインストが役に立つ。もちろん、実機写真で検証するが、当然問題なし。

  • 胴体のフレームの配置に関しては、FS数値はないものの、構造補修マニュアルにフレーム入りの胴体側面図があり、それをトレースする。誤差は図面読み取りの精度程度なので、実用上は問題なかろう。

  • リベットラインも、基本的にマニュアルの構造図に従う。ただし、胴体中央部上半分のストリンガーに関しては、マニュアル構造図より1本多く描く。これは、SAM本にある外板を剥いだ実機写真のとおり。機体イン/アウトレットの配置にも整合する。なぜマニュアルが1本少ないのかは不明。マニュアルは基本的にF.1なので、途中で設計変更か???

  • リベットのシングル/ダブルなどは実機写真で読めたものを記載。ただし実機のハンターはリベットがあまりよく見えないので、一部は推測。

  • F.6ベースのF.6A、FGA.9、F.58なども、基本的に同じ。ただ、F.6の写真が少ないので、全く同じか一部異なるかは不明な部分もあり。

  • 水色の線は、存在が不確かなもの。その他の図面のお約束も、いつものとおり。

  • 胴体上面のインテイクやアウトレット、および小アクセスパネルの違いは、マニュアルの構造図に基づき図化し、可能な限り、実機写真で確認する。

  • ドロップタンクとパイロンは真横、真下からの写真による。キットの内側パイロンは高さが若干不足かも(作品未対応)。図面の横位置は胴体側面図と合わせてある。

  • 脚およびエジェクションシートは、Fusion360による3D設計を図面化し、それを画像として読み込む。主脚の角度など、やや甘し。


 図面で見ても、ハンターって優美な機体だなあ。スピットに通じる部分がある。私もそうだけど、スピット熱愛の人はハンターも大好きだろうね。


■ コクピット

 少し暖まったところで模型にも着手。ヒコーキの組み立ては、まずコクピットから。アイリスのレジンセットを買ったんだけど、よく見たら出来がまるでダメ。そもそも元はアカデミー用。アカの不正確さに合わせた訳でもあるまいし。ともかく、パイロットマニュアルからF.6のコクピットを見ていただく。



主計器盤。ガンサイトは、ジャイロ式で、後期のスピットやシーフュリーなどが装備したものと基本外形は同じ。

左コンソール。画面中央やや右の大きいレバーがスロットル。キットは再現されない。

右コンソール。この時代のジェット機はシンプル。

コクピット全体。これもマニュアルから。

キットパーツ。若干、寂しいなあ。

アイリスのレジン。コンソールやバルクヘッドの基本形状が違うかな。余計な部分の肉厚もあり、キットパーツの方が全然まし。



■ 3D設計

 私としては、コンソールはキットのままでもそれほど不満はないけど、折角なので3Dパーツに置き換えることにする。基本形状はキットに合わせるが、キットのコンソール部分は幅が狭く、計器類が入りきらない。そこで0.5mmほど拡幅してデザインする。お試しプリントして、細部を微修正。今回はSK本舗の水洗いレジン使用を前提とした細部寸法。メーター類のフチは0.1mm幅、突起類の最小離隔は0.3mm(←設計上はこの制約がきつい)。



設計できあがり。一部確信犯で省略&デフォルメ。レバーや小スイッチは、設計より細く成形される。

出力。解像度はこれが限界。積層跡をなくすため、前方の傾斜部分も水平に出力する。中央の壁は反りを防止するもの。

コクピットに接着。計器盤はキットを使用。あれ、レバーが折れてる(泣)。仕方ない、あとで付けよう。

塗装。メーターはデカール。色はフィクション。コンソールのメータはテキトーなデカールの流用なので、実感イマイチ。


 補足。キットの計器盤と3Dのコンソールは、モールドのニュアンスが異なるが、黒く塗ってしまえば、さほど違和感ない。コンソールの側面には0.5mmプラバンを接着して幅を稼ぐ。後々レジンが曲がったりしないように、裏からプラバン+瞬間でがっちり補強。計器盤は白20%混の黒、その他は30%混。肉眼だと画像ほど明度の差がない。実機のコクピットは、もっと色味が少なく黒一色。作品はデフォルメで。

 では、お持ち帰り。レバーは折れにくいように根元を太く改修済み。なお、そもそも胴体パーツのプラの厚みのため、コクピットの造形は寸法的に不正確にならざるを得ない。そのためキットのコクピット内壁のリブとは整合してない。作品はスルー。

 お持ち帰りは3Dファイル一覧から。


■ 胴体組み立て 12/3追加

 コクピットと前脚収納部、ダクト、ノズルを組み込んで、胴体を接着する。合わせは「悪くない」、つまりタミヤのパチピタではなく、それなりに接合部の整形処理は必要だが、大きな段差、隙間は発生しない。キットなりに素直に組んで問題ない。主翼上下パーツの間に、インテイクダクトを挟み込むようになっている。インテイクを覗いたとき段差が見えるのが心配なので、ダクトと主翼との接着部分を少し削っておく。



機銃口が塞がっている。目立つ場所だけに何とかしたいところ。

胴体パーツ接着前にバイス、針ヤスリなどを駆使して開孔する。裏打ちは必要ない。

オモリは20gの指示。適当なボルトをコクピット後方に入れる。しっかり接着したつもりが・・・

インテイクダクトを先に胴体に接着する設計。

胴体後部がF.9とのコンパチで別パーツだが、合わせは悪くない。前後を先に接着してから左右を接着するのは鉄則。

さらに、主翼と一体の胴体上面パーツを接着。この合わせも悪くない。



■ 主翼組み立て

 主翼下面の合わせはやや問題。胴体とホゾ組みする設計だが、ホゾはきついし、胴体と隙間ができる。ホゾを切り取り、切断面を整形。外翼の合わせ優先で接着してから、隙間を塞ぐように翼付け根を押さえ、瞬間で強引に接着。話は前後するが、エルロンは先に主翼上面に接着しておく。



このホゾが厄介。点線のところで切り取って、それを胴体の穴に差し込んでおく。

主翼の裏側はこんな状態。ダクトとインテイクリップとの隙間をタミヤパテで埋め(青矢)、ダクト接着部(赤丸)を少々削る。

接着終了。この方法が一番きれいに仕上がるのではないかな。主翼の凹み防止にランナーのつっかえ棒を入れる(グレー)。

翼端灯はキットパーツ。0.6mmバイスで電球表現。



■ 気になるところ

 十の字になったら、サンディング。例によりスジボリが太いので、一皮むくように削って、ラインチゼル(0.1mm)やケガキ針で再生する。作業中、胴体の中から「カラコロ」と異音が。う、嫌な予感・・・

 気になる箇所がいくつか。コクピット左舷には、緊急脱出レバーの小窓があるが、キットのモールドは位置がかなり違う。F6以降の主翼ドッグトゥースは、それ以前のプレーンな主翼前縁に後付けされている。だからドッグトゥースの範囲外は平滑な面となるのだが、キットは段差がここまで及んでいる。こういう機体構造のロジックを無視した間違いって、すごく気になるのだよね。



異音は、オモリが外れたのだ。ヘタレやのう。修復は胴体に穴を開けるしかない。エッチングソーとカッターで切り取る。

小窓を透明ランナーで再現。内側を銀に塗っておく。右側の埋めた跡がキットのモールド位置。

赤丸部分に、本来あるべきでない段差が。

段差が消えるまで、表面を少し削る。アクセスパネルのスジボリは、ケガキ針でさらっておく。

主翼端の形状が異なる。実機:青、キット:赤。

この微妙な曲線がハンターらしさ。ぜひ再現したポイントだ。ちと丸め過ぎたか。


 そのほか、胴体後部の水平のパネルラインは、本来は後部胴体の円錐の中心軸(機軸ではない)に沿って後上がりになるが、キットは機軸平行。主翼上面のフラップヒンジ部分のラインは、翼後縁に平行であるべきところ、キットは外にいくほど広がっている。上記2か所はどうしても気になるので、瞬間で埋めて彫り直す。画像ないけど。それ以外は少々の違いには目をつぶる。


■ 上面図 12/10追加

 引き続き、上面図。主翼や主翼付け根部分(マニュアルではスタブ・ウイングと呼称)のリベットラインは、マニュアルの構造図を反映したもの。ただし微妙な位置・角度関係はややアバウト。リベットラインのシングル/ダブルは、一部(かなり?)推測

  • 翼や胴体の平面形は、キットインストを参考にしつつ実機写真で確認。エルロンのコードも写真から。

  • スタブウイングと胴体の境界線はキットに従う。まあ3Dスキャンだから大丈夫だろう。

  • エルロンのリブはかなり「密」だが、これもリペアマニュアルの図に従う。写真の見え方とも矛盾しない。世傑によると、落下タンクによってエルロンにバフェッティングが生じたとあり、対策の補強なのだろう。

  • 主桁と後桁は、結合金具を介してそれぞれ胴体フレーム25と32に結合される。これを出発点にリブ、ストリンガーの位置を決める。

  • 後桁より前方の各リブは平行(脚部は異なる)かつ主桁に直交(たぶん。いずれにせよ拙図はこのとおりに作図)。後桁より後方のリブとは角度が異なる。

  • スタブ・ウイングのリベットラインは、マニュアルの複数の図にあるが、図によって微妙に位置が異なって見える。基本的に参考文献-3のリペアマニュアルの図に従う。実機のリベットラインはなかなか読めない。

  • 主翼の小アクセスパネルは、本来リベットラインとはケンカしない位置にある。キットは一部異なるが・・

  • 翼端付近にある8つの小丸は、ロケットランチャー関連と思われる。したがって、前後の小丸は機軸平行線上にあるべきと考える。マニュアルの図では一部がこの平行線からズレているが、たぶんマニュアルの図の転記ミスだろう。

  • 主翼データは以下のとおり。
    スパン:33ft8in=404in"、翼型:Hawker High Speed 8.5% symm(ルート、チップとも同じ翼型。最大翼厚37.5%コード)、取付角:1.5°、上反角:-1°、25%後退角:39.9°
    symmとあるとおり、ドッグトゥースを除けば上下対称翼型。

  • 水平尾翼データは以下のとおり。
    スパン:11ft10in=142in、翼型:Hawker symmetrical 8.0% symm(最大翼厚34%コード)、上反角:0°、25%後退角:41.9°

  • 主翼翼型は、翼にストライプが入った機体の写真からカーブを描き、最大翼厚が37.5%となるよう調整する。F.6のドッグトゥース部分は翼端を別色に塗装した機体の写真から起こして描くが、この断面形はかなり精度が甘い。

  • なお、側面図における主翼の図形は、フィレット端部を側面から見た形を描いているので、翼型とは違うことに注意(平面形が大きく湾曲しているため翼型図とは一致しない)。



■ 胴体の穴

 キットのアウトレットは1つ足りない。こういうスリットって、手作りで再現するのが難しいよね。しかし、神の手を持たなくとも3Dプリンタという強い味方があるのだ。ついでだから、全部の穴を3Dプリントでデザインしよう。



胴体接着後の工作でも陥落しないように爪をつけておく。お試しプリントしたら、ファイルを掲載する。お楽しみに。

参考まで、こちらキットオリジナルの状態。図面と比較されたし。



■ 続、穴 1/12追加

 II号戦車にかまけて一か月ぶりの更新。まず、前回の続きのインテイク、アウトレットから。お試しプリントの結果、水洗いレジンの解像度に合わせて設計を微調整。プリントしたら胴体に穴を開けて仕込む。NACAインテイクはキットの位置が違うので要注意。削りシロを見込んでフィンは奥に設計してある。若干浮き気味に接着して削ってツライチにする。 



インテイク、アウトレットのレジンパーツを仕込んだ状態。3D設計したパーツの全ては使わず、キットで十分な箇所はそのまま。

ここで一旦捨てサフを吹き、全体の表面仕上げの様子をみる。


 お持ち帰りはページ末尾で。


■ リベット&ファスナ

 これは悩ましいところ。リベット入りの図面も作ったし、模型的には全面に打った方が映える。しかし現実のハンターは全くといっていいほどリベットが見えない。ここは実物優先主義ということで、全面リベットは止めよう。一方、現存機では動翼には薄っすらとリベットが見える。おそらく実機では、空気抵抗減のため動翼以外はシーラー塗って下地を磨いてるんじゃないかな。一方動翼は、なるべく軽く作りたいし、表面の凸凹が空気抵抗にさほど影響しない場所だから(ドーントレスのフラップを見よ)シーラーなしではないかな。

 ということで、作品は動翼(エルロン、ラダー、エレベーター)のみ#1たまぐりでリベットを打つ。ただし、エルロンは実機では相当「密」なリブ配置。平滑な翼面とのギャップがありすぎるかな?と心配で、とりあえず適当に間引いて打ってみる。違和感なければ残りも打とうか。アクセスパネルなどのファスナは実機でも見えるから(アタリマエ)、これは#3または#4で打つ。



エルロンはリブを間引いて打ってみる。これでも結構「密」だけどな。

エレベーター、ラダーは間引かずフルで。あ、エレベーターにストリンガーが一本足りないな。



■ サフ

 たまぐり作業と並行で、スジボリを修正する。毎回これがかったるい作業。でも、作品の見栄えに直結する部分だから、手を抜くわけにはいかない。最後に#600ペーパーを全体にかけて、歯ブラシで水洗いして、それでも落ちないスジボリの中のカスをケガキ針でさらって、サフを吹く。



サフはラピッドシンナーで極薄に希釈して、表面がやっと覆われる程度に薄く吹く。

穴関係の出来上がりはこんな具合。サイドのフィンの奥まり具合がいい感じ。上面のは、もっと奥でもよかったか。



■ 下面図

 引き続き、下面図。現存機写真でもあまり写ってなく、推測部分は多い。胴体下面も、オリジナルのF.6がどうだか不明。情報求む。落下タンクの図面は次回以降で。

  • エレベーターのストリンガーは上面より一本少ない?? 一方で機体によっては上面と同じストリンガーで、かつリブがもっと密なものもあり、型式or時期によって異なるのか??

  • 主翼の小パネルは、マニュアルの構造図と現存実機写真による。青線は写真で見えるが構造図には記載がないもの。



■ 風防 1/20追加

 次は、塗装前の最後の関門、風防だ。キットパーツはエアの常でぬるい凸窓枠。削り落としてスジボリする。テンプレートはクラフトロボで切る。データソースは上面図を上下方向に拡大したもの。これ自体、実機の正面写真をトレースしたものだから、正確度はばっちり。側面窓の上端はテンプレートに沿って間隔0.8mmのダブル針で彫る。後端と下端も同様に0.6mmダブル針をエッジに引っかけて彫る。エアのキットは窓枠表面が実機の外寸と同じ。窓枠を削った分だけサイズが小さくなるから、接着部に0.2mmプラバンを貼って嵩上げする。



キットの基本形状は正確なので、キットを実機ベースのテンプレートに合わせて修正する必要はない。

ルーターに綿棒を取り付け、コンパウンドで磨く。スライドフードも枠を削り落としてスジボリ&磨き。

胴体に接着、隙間を黒サフとタミヤパテで埋めて整形。

胴体に接着。さらに、胴体側のフチを0.14mmプラペーパーで再現。接着剤を枯らしてから整形する。


 スライドフードはオープンデフォルトとするので、胴体には接着せずに塗装する。


■ エジェクションシート

 一応アイリスのレジンパーツもあるけど、折角なので3D設計してみる。



キットパーツはちょっとツライ出来かな。

設計中。ハーネスは設計難易度マックスなので省略。アイリスのエッチングを使う。



■ F.4側面、上面図

 こちらはかなり推測が多い。実機写真とマニュアルから違いとして認識できたものを図化しているので、図面でF.6と同じでも本当に同じかどうかは怪しい部分もある。お気づきの点があればお知らせ願う。下面図は、F.6との違いがよく分からないので作成の予定なし。悪しからず。


  • 胴体上面のインテイク、アウトレットは現存F.4の写真がベースなので、精度はまずまず。下側のアクセスパネルは写真不鮮明なので確度低い。

  • 主翼の基本形状およびパネルライン、リベットラインはマニュアルに従う。主翼の小パネルは、よくわからないのでF.6を踏襲。

  • 上述F.4現存機では、エルロンのリブ本数が少ない。全てのF.4がそうなのかは知らない。


■ 祝!タミヤ ファントム 1/26追加

 タミヤから1/48ファントムB型リリースが発表された(歓喜!)。見本写真を見ると外形完璧。もし形状をどうのこうの言う人がいたら、それは従前の不正確なキットの刷り込みで目が曇っているのだ。耳を貸してはいけない。後席キャノピの幅もばっちりだ。きっと私の頁も読んで頂けたことと思う。拙図が少しでもお役に立っていれば嬉しいな。インテイクベーンの裏がどんな設計になっているか楽しみ。抑えたモールド表現も適切。フラップなど無駄に分割してない(たぶん)のも熱烈支持。下げたい奴は自分で切れ。文句言うな。B型から開始だが、C、J、Eまでは是非とも展開して欲しい(タミヤのことだから安心はできないが)。私はベト迷で作りたいのでCを待つ。あと1/72も是非是非!!


■ 塗装考証 

 ハンターに戻ろう。作品は、オーソドックスなRAFの迷彩で19スコードロン機にする。インストでは下面は銀だけど、世傑の写真では銀に見えないなあ。ということで、ちょっと調べる。以下SAM本などの引用。

 ハンターF.1は1954年7月から部隊配備された。F.4は55年3月、F.6は56年10月(19Sqnが最初!)、FGA.9は1960年の配備。当初のRAFにおける迷彩は、上面がダークグリーン641とダークシーグレイ638、下面アルミニウム(ハイスピードシルバーとも呼ばれる)。翼前縁の上面色の回り込み(ラップアラウンド)はない。ホーカー社はゴムのマスキングマットを使ったため、FGA.9までの工場生産機の塗装境はボカシがない(ハードエッジ)。ただし改修機ではボカシあり(ソフトエッジまたはフェザーエッジ)も見られる。

 当初ハイグロスの塗料面は、1954年遅くまでにサテンフィニッシュに変更され、F.4、6の多くはこの仕上げだった。ラウンデルはタイプD(赤白青の直径が1:2:3)で、ポストオフィスレッド538とラウンデルブルー110と白、主翼上面が48インチ、胴体と下面が36インチ。フィンマーキングは幅18インチ(各色6インチずつ)、高さ21.5インチ(何故ここだけ半端?)。

 1966年から下面はライトエアクラフトグレイ627になり、前縁回り込みが導入された。1970年から全体塗装がサテンからマットに変更、同時期にトーンダウンマーキングが導入され、ラウンデルとフィンの白が廃止されたが、全体サイズは変わらず赤青の直径が1:2となった。シリアルは8インチのナイト(≒黒)、のちに白も見られる。翼下のシリアルは高さ24インチ。

 海軍のGA.11、PR.11は、1961年よりグロスのエクストラダークシーグレイ640に下面白。1984年、FRADU(Fleet Requirements and Air Direction Unit) では全面グロスのダークシーグレイ638。なお、色名の数字はBS381Cカラーチャートの番号。


 そうか、カラー写真の多数派はFGA.9だからライトグレイなんだね。当時の19SqnのF.6は銀が正解。前縁回り込みなしは、当時の写真で確認できる。インスト塗装図は間違い。


■ 塗装図

 迷彩パターンを確認するため塗装図を作る。これを1/48に出力して切り抜いたら型紙になるのではないかと。上面図は翼端の白を明示したいのでグレイ背景で。いやホントは翼端色塗りなしの「ザ・RAF迷彩」にするつもりが、マーキング選定時に気付かなくて。エクストラ・デカールも買っちゃったし(スコードロンバッジはインレタでは無理)、インレタも作ったしで、これで行くのだ。







 パターンはF.4、F.6の実機写真の最大公約数を再現。機体により微妙に差があるので、ゴムマットは型紙状(←例えばカーチスP-40)ではなくフレキシブルなのかも。下面が銀に見えないのは実機写真も見えないからで・・(以下略


■ 19スコードロン略歴

 1915年開隊の由緒ある部隊。第一次大戦はスパッドS.VIIなどを使用し、1938年、RAFで最初にスピットファイアを受領する(1/72 Mk.I製作記参照)。大戦中はスピットI、II、V、IX型を乗り継ぎ、最後はマスタング。コードレターはQV。戦後は、スピットXVI、ホーネット、ミーティアの後、1956年10月から1963年2月までハンターF.6を使用した。その後ライトニング、ファントム、BAEホークに転換し、2011年に解隊した。


■ 追加作業

 前回記載漏れ。機銃ガス排出パイプを追加。コクピットのフチって、いかにもプラモ然としてしまう。多少フィクションでもレールなど表現すると効果的。



1.3mmと1.5mmの真鍮パイプ。一応直径変えてあるけど・・

キャノピのスライドレールを彫る。こういうのもダブル針が活躍。



■ 調色

 戦後のRAF迷彩は大戦時の温帯迷彩より2色の明度差が少ない印象。とはいえMr.のビン生では明度が近すぎ。ダークグリーンはC330ビン生。ダークシーグレイC331のビン生は赤味があり、青を数%混ぜてほんのり青味、白少量(1割?)で明度調整。下面は一代前の8番銀+クリアを塗ってみるも、金属感があり過ぎ。そこで白を2割程度混ぜる。赤はジェット・プロボストで使ったGX3とC327サンダーバーズカラーが半々のやつ、青はいつものC322フタロシアニンブルー。




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