中島 四式戦闘機 疾風 (ハセガワ1/72)製作記
2017.1.1初出
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ハセ72胴体。コクピットの真横で距離50cmから撮影。104戦隊迷彩乙型とほぼ同じ撮影位置ではないかな。 |
比較で拙図。図面と写真は、たとえ同じアウトラインであっても印象が違う。私の目にはキットも図面もほとんど同じ太さ(高さ)に見える。実際には違うのだけど。 |
そこで重ねてみる。カウル下面に高さ、主翼前縁に前後を合わせる。キットは風防前で2mm弱高い。また風防からカウルへの下り勾配が強い。主翼からカウルの間もちょい長いかな。アンテナ柱の位置は拙図とほぼ同じ。キットは既存図をベースにしてないことが分かる。 |
再掲。104戦隊の迷彩乙型。 |
カウル開口部が小さく位置が低い。そのため「おでこ」が妙に盛り上がっている。映画「エイリアン」を思い浮かべるのは私だけ? |
後から見たところ。鼻筋(風防からカウル)が細いところなど実機写真の印象にかなり近い。胴体の基本的断面形が正確だからだ。 |
以上の検証結果より、製作方針を決める。胴体高を下げ、機首を詰め、カウル正面を直せば大体図面に合うかな。キャノピは高さや幅の寸法は合っているが、胴体接合位置が高い(その分キャノピパーツ自体の高さは低い)。また直線であるべき側面がぬるっと丸いし正面窓の形も違う。ケミウッド削ってヒートプレスしよう。主翼フィレットの凹みが若干強い気もするが、ここはスルーの予定。
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まずカウルをエッチングソーで切断。中央の排気管を切り離して取っておく。次に胴体中央を上下に真っ二つ。これはカッターが楽。 |
これだけでは鼻筋の下り勾配が直らないから、さらに#5フレーム付近でカットし、1mm程ずらして再接着、黒いマーカー部分を削る。 |
左舷胴体を接着。バルクヘッドは断面図プリントアウトどおりに切ったプラバン。右舷は修正前で、断面(黒着色)が見える。 |
上:修正前右舷(カッターのスジ目だけ入っている。左右反転)、下:修正後左舷。比べると相当スリム。 |
大昔に買ったトゥルーディテールのレジン製コクピット。やっと使う時がきた。まだ売ってるかは不明。 |
前後切断部の補強(白プラバン)があるため上手く納まらない。一部をカットして組み込む。どうせ前の方は計器盤で見えない。 |
カウル先端は口を広げてシムをかます。インテイクの高さ位置に注意して接着、整形。断面形確認のため鉛筆でコンターを描く。 |
カウル側面パーツは、側面形、断面形に合わせるように上下に押しつぶす。カウル内側は瞬間+プラ粉で補強。 |
カウルのラインは図面を切り出した型紙で確認しながら削る。イメージ確認のため鉛筆でパネルラインを描き、主尾翼と仮組み。 |
キットのキャノピパーツを乗せてみる。これはプラバン絞りで自作する予定。 |
補足。キット写真と図面の重ね合わせでは胴体高さが2mmも違わないように見えるが、キットは主翼取付高さがやや低い。そのため修正量としては2mm弱になる。また、キットはラダー下部の幅が狭い。胴体下側の接着部に0.5mmプラバンを挟む。ラダー上部は増厚の必要がないから(むしろ厚すぎ)、下が広がるように中程でパーツを折り曲げる。カウルのおでこは、さらにパーツを切り刻んでラインを合わせる。インテイク両脇は裏打ちが透けて見えるほど削っている。 さて、こうして出現した3D現物は、従前プラモで見慣れた印象と大きく違い、後部胴体が細く、頭でっかち。一瞬修正の寸法を間違えたかと思うくらい。でもノギスを当てると図面どおりだし、手に取って記録写真と同じ角度で眺めると、ちゃんと写真と同じ形に見えるから、今までのイメージが間違っていて、今度のが正解であることは間違いない。昔のプラモの刷り込みのせいかな。だから、もし拙図を忠実に再現したキットができたら、たぶん一部のマニアからは「実機と違う」とブーイングだろうね。 もうひとつ。図面と立体でも認識の違いがある。図面を描く作業をしていると、その「絵」が頭の中にイメージとして定着してくる。その状態で立体を見ると、同じ寸法なのに胴体が細く感じるのだ。いや、実物より図面が太く見えるという方が正確か。実はこれ、前々から感じていて、例えば、スピットの側面図は私のイメージする実物より後部胴体が太く、鈍重に見える。理由はよく分からないけど、平面と曲面の差なのか、フィレットの影響なのか(フィレットの下側は影となって見た目の胴体太さに認識されない?)。 そんなこんなで、最初はなんか違って見えたわけ。時間が経つと、新しい方のイメージが脳内に定着し、違和感がなくなっていく。今では、「これ以外に考えられない!」というくらい。作品完成の暁には、ぜひ展示会等で実物を見て、その認識ギャップを味わっていただきたい。
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暗褐色迷彩とするので、内壁、床を同色で塗る。レシピは#12オリーブドラブ(1)と自作ダークアースを2:1に黒少量で明度調整。 |
丸メカのイラストを見ながら、適当に色を差す。側壁は接着後の塗装だけど、ほとんど見えないからいいのだ。 |
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スジボリの位置決めに、図面のプリントアウトをパーツの上に置いて、ラインの端点を針で打つ。図面があると便利だ。 |
接着、整形、スジボリ概成。翼端がぽってり厚いので薄く削る。これ大事。 |
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下段は、昭和19年末フィリピンで捕獲された飛行第11戦隊所属、製造番号1146。本機が唯一現存する疾風となる。左舷の写真はなく、ハゲチョロは右舷を真似る。熱帯で退色が進んだとの想定で、上より迷彩色を明るくしてみる。 |
黄緑七号の色調は、疾風のオリジナルカラー写真に従い、褐色味を強くする。一部のB-17などで見られるほとんど緑味のないオリーブドラブあたりをイメージ。上の2機、色相は同じだけど、明るい方が赤く見える気がする。チッピングが相変わらず下手くそ。なにせ、ベジェ曲線で描くわけだからねえ。といっても全てのノードをいちいちクリックして描いているわけではなく、10ノードくらいの図形をいくつか描いて、コピーして大きさや向きを変えて重ね、ある程度まとまったらパス統合して・・という作業をくりかえす。もっと上手く描ける方法がないかなあ。 47戦隊機は、写真では迷彩色が暗く、暗緑色では?との疑念がよぎる。そこでモノクロ変換し明度とコントラストをいじってみると、案外写真の雰囲気に近くなる。塗装後間もない黄緑七号とみて間違いないだろう。11戦隊機は対比で明るめに調整。こんな感じに見える写真もあるよね。 |
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カウルと尾翼は仮り止め。 |
エンジンやインテイクの仕切りを接着。開口部を広げて、顔も似てくる。 |
胴体フレームの位置に関しては、渡部氏の実測値を考慮する。これ、取説の数値と違うし、主翼前縁からラダーヒンジまでの合計が7090mmに合わなかったりで、当初は無視してたのだ。改めて実測値どおりにプロットし、それを7090mmに合うように縮小すると、ver.1のリベットラインとほとんど一致するのだね。気付かなかったヨ。ビミョーな差は、@ステーションとリベットラインは通常一致しないこと(FM-2の項に詳述、実測値はリベットラインと推測できる)、A合計値は5mm単位に丸めた誤差の集積と胴体側面の湾曲のせい、と考えられる。ということで、実測値、取説の記述、米軍の測定の3つの数字が矛盾なく整合するわけだ。 あとは、パース誤差を補正した記録写真(捕獲302号)や現存機の鮮明な写真などをトレースして、キャノピフレームの細部を詰める。カウルフラップ、防火壁、主翼などの前後位置は実測寸法に従う。併せて、カウルや後部胴体の形状も微修正。記録写真との整合がちょっと苦しい気がするが、まあパースのついた写真の読み取り誤差範囲内と考えることにしよう。
そう思って写真を見直すと、大戦中と里帰り機では別機のような印象を受ける。クローズアップ写真ではその痕跡は認められないけど、尾灯や機銃穴の補修跡はオリジナルみたいにきれいな仕上がりだし・・・ まあ、答えは知覧まで行って現存機のコクピットに潜り込まない限り分からないだろう(←許されないって)。気持ち的には記録写真の雰囲気に近いver.1を正としたいんだけど、風防移動説はちょっとトリッキーかな。 ということで、とりあえずver.2を正として図面イラスト等はこちらに揃える。図面のページの諸図もver.2に直す。いずれにせよ、1/48で0.5mm程度だから、どうでもいいっちゃあ、どうでもいい話である。現存機の鮮明な写真はこちらなどで見ることができる。改めて資料提供諸兄に感謝。引き続き鮮明な写真絶賛募集中。 http://geta-o.jp/WB/P&F/HAYATE/WB-HAYATE.html
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図面を切り出したものをゲージにしてケミウッドを削る。写真で見ると、やや太めだな。 |
風防正面窓の上隅の張り出しが造形上のポイント。ここをしっかり角ばらせると「らしく」なる。 |
さらに幅を狭め、プラバンの厚み分を削って絞り型のできあがり。 |
切り出して胴体との馴染みをチェック。まあまあかな。 |
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曲線のスジボリはロボでテンプレートを切る。データは有効活用しないと。シートは2枚重ね。 |
排気管工作。中段4本は切り取っておいたキットパーツ。上下はプラ材(キットの増槽)を加工。クリアランスを慎重に調整する。 |
キャノピ後方の合わせが不満で、型を修正し絞り直す。1度目修正で上手く収束せず2度目の修正。ヘタレや。 |
後方固定部も同じ型で済ませる。キットパーツも使えるかも。 |
スピナはムクのプラ材の削り出し。ちなみに使うはベンチュラ版グリスピのスピナ。図面を切り出して形状を合わせる。 |
1.5mm棒をそのまま軸にする。後ろの軸受けで角度を調整する。クランクケースのパーツがごつくて、ナイフで彫刻。 |
機銃ガス抜き穴を開口。キャノピ接着後に塗装するので貫通穴を塞ぐ。胴体前端の穴からボトルシップみたいにプラバンを接着。 |
全体形が見えてきたぞ。 |
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続いては昭和20年春から夏の満州における第104戦隊の乙型、製造番号不詳。オイルクーラーは大型。スピナ、翼端の赤は通説に従う。後期生産型の無塗装機は、本来黄緑七号で迷彩されるところ、前線から至急の要請で迷彩前に引き渡された。とのことでアンテナ柱は黄緑七号、胴体給油口は黄色(部品段階で黄色に塗られたと妄想)、本来は迷彩後に記入と考えられる警戒塗装は赤としてみる。アンチグレアの黒塗装範囲が狭いのもこの時期の特徴。上記経緯から、コクピット内は黄緑七号となる。本機は胴体に「肇」の字が記入されていたとか。本機の写真は終戦後内地に帰還した後のもの。 |
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シートは0.3mmプラバン細工。もっともTDのレジンパーツのように背当てがつくのが正解かもしれない。 |
無塗装のシート、キャンバスのベルトは推測。正解ご存知の方はぜひお知らせ願う。操縦桿のグリップは木製のようだ。 |
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着陸灯は、ランナーの裏にポンチで抜いたアルミ板をクリアー塗料で接着し、断面をグレイで塗って翼に接着。 |
この方式、ヒートプレスなしでもキラリと光るライトを再現できる。1/72の小さなライトにはいいかも。 |
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ここらで一旦サフを吹き様子を見る。案の定、不具合が見つかり、ちまちま補修していく。 |
スリットは、1つずつナイフで彫ったらガタガタ。一旦プラバンで埋め、エッチングソーで連続した溝を掘り、間仕切りを入れる。 |
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前々回より型をさらに2回ほど微修正して最終形。スジボリは例によりダブル針&エッチングソーで。 |
エッチングソーで慎重に切り離す。先にスジボリを深く入れておくと脱線しない。風防、後方固定窓を接着し黒サフ、パテ盛り。 |
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ルータで綿棒回してコンパウンド磨き。内側は接着前に磨いてある。スライドフード下辺の折り返しも彫刻。よく見えないが。 |
コクピットの縁にはプラバンでガイドを取り付ける。 |
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各所の突起類も接着。 |
タブは接着面を斜めに削って強度確保。 |
塗装前の工作はほぼ完了。残すは、たまぐりファスナとインレタのリブテープのみ。このまま一気に塗装へなだれ込む。
暗緑色迷彩機は全てが初期生産型であり、胴体中央の増槽ラックが特徴。無塗装銀で工場完成して軍納入後に塗装(おそらく現地部隊にて)された。色調は、オリジナルカラー写真から判断して、茶色がかった「いわゆる陸軍機濃緑色」ではなく、海軍と同じ青味が強い暗緑色。前にも書いたけど、陸軍機濃緑色とか川崎系濃緑色って、暗緑色と黄緑七号の印象が記憶の中で混ざっているのだと思う。 |
続いて、明野教導飛行師団の増加試作機。集合排気管用のカウルが残っている。増槽ラックはない模様。左舷胴体前半の写真しかなく後半はマーキングを含めて空想の世界。機番が記入されてるかも。こういう確度の低い塗装は、模型にするには躊躇があるけど、イラストなら気楽に楽しめるね。描画テク的にはスプレーガンによる斑迷彩が難関。いも、きゅうり、ひょうたん、カモメ、ヘビ、などの描画オブジェクトを幾つか用意し、向き大きさを変えて配置。ぼかして不透明度を下げて重ねると、まあなんとかそれらしくなる・・かなあ。 |
最後は紺色の第102戦隊第3中隊機。考証は学研本を参考にする。いつだったか、静岡HSで「九州で紺色の疾風を見た」と年配の方から聞いたのを思い出す(鐘馗製作記その3参照)。紺色の羽布が現存しており、色調はそれを参考とする。暗褐色の上からわざわざ紺を塗るよりは、無塗装機に塗る方が自然かなと考え、初期生産型と妄想。もっとも同隊に初期生産型が配備された可能性があるかどうかは知らない。 |
ところで、今月号のスケビにある飛燕復元のインタビュー記事は大変興味深い。当時は、現在のような鮮やかな赤や白の顔料がなく、くすんだ色だったらしい、とのこと。なるほど。
インレタは、今回の予定マーキングの都合で白に統一したいところ、白は下地なしでリブテープには薄くて不向き。プロペラ端なども含めて別に黄色を作成し、そこにリブテープを入れる。貧乏性なので、製作中および今後製作予定(願望含む)を10機分ほど作っておく。 |
ファスナ終了。キャノピのスジボリはまず中央に位置決め用テープ。次に両脇にガイド用テープを貼り、中央をはがしてダブル針。 |
サフを吹いて軽く研ぐ。直したつもりの不良個所がまたぞろ・・・ |
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インレタを貼る。今回のリブテープは、マーキングの都合で黄色(T108)なのだ。 |
リブの幅は0.2mmとする。スピットVの経験を踏まえ、ヒンジ付近の金属部分もインレタにする。 |
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図面を切り出して、ブレードに貼り、そのまま外形線を削り出す。これで形状ばっちり、形も揃う。さらにピッチと厚みを整える。 |
右、整形終了。左、キットパーツ。パッと見は悪くない。厚いのは削ればいいけど、前縁の湾曲を削って直すとますます細くなる。 |
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イラスト描いて塗りのイメージは出来上がっている。あとはそのとおりに出来るかどうか。暗褐色はコクピットに使用した自作色に白を加えて明度を上げる。灰緑色は#128ビン生、日の丸は以前作った自作色(たぶん鐘馗)、黄橙色はガイア025橙黄色に赤微量、アンチグレアは白30%混の黒でかなり明るめ、下地の銀はリニューアル前の#8銀ビン生。 今回はシリコンバリアの上塗りにラッカー塗料を使う。本番前に長谷川須比人君で確認。ラッカーだから剥がれにくい、ということは全くない。また、シリコン層はかなり薄くても大丈夫。マスキングテープはやはり危険。ラッカーの塗膜厚さで落ち味が微妙に異なり、薄い方が細かいタッチが可能。厚いと「べろっ」とむける感じ。いずれにしても、水性塗料よりラッカーの方が、仕上がり、落ち味、塗膜薄さとも優れる。 シリコンの上にマスキングは不可だから、塗装の手順を工夫する。マーキング先塗りにしてマスクして銀→黒→マスクしてシリコン→灰緑色→暗褐色。アンチグレアと下面にはシリコン層なし。だって暗褐色にはテープ貼れないからねえ。尾翼の稲妻マークはロボで切りたいところだが、リブのインレタの上に糊の強いカッティングシートを貼りたくない。仕方なくタミヤのマスキングテープを手切りする。 |
須比人君で色調の確認は、毎作欠かせない工程。シーファ17と同時進行で、あしゅら男爵。 |
イラストデータのプリントアウトを下絵にしてマスキングテープを切る。紙の上にセロテープを貼っておくときれいに剥がせるよ。 |
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サフの上にGX1クールホワイトを吹き、赤のためのマスクをした状態。 |
赤を吹いてマスクをはがす。これはこれで松本零士の漫画にありそうな。ビルマの白騎士、なんちて。 |
日の丸をマスク。寄り目にならないよう、先に白縁をマスク。 |
シリコンが不要な羽布部もマスクして黄橙色。デリケートなインレタ部には塗膜を重ねたくないので、この段階でマスクなのだ。 |
味方識別帯と歩行禁止ラインをマスク。こういう細線は難しいね。黄色はどうしても厚塗りになるので、突合せ塗装にしない。 |
下面含め全体に#8銀。クリアはなし。銀色の疾風も美しい。 |
アンチグレアとステップの暗灰色を吹いてマスク。このあとシリコンバリアを上側面のみ薄く吹き、さらに下面に灰緑色。 |
暗褐色が終了。グラデーションも少しつける。下面との境はペタリ君と紙の併用。フィレットや翼前縁には上面色が回り込む。 |
マスクをはがす。イラストのイメージとビミョーにずれてるな。暗褐色が暗く、赤と黄色が鮮やか過ぎなのかな。黄線が太いし。 |
白縁がないと赤も落ち着いた色調に見えるんだけどねえ。脚庫にはペタリ君を詰める。 |
次は銀はがし。出来上がりのイメージ違いが、ウェザリングで修正できるといいなあ。
続いて銀はがし。まず胴体右舷を写真を見ながらピンセットの先などでカリカリ。垂直尾翼以外はそんなに剥がれていない。主翼は1/72にプリントした図面を手元に置いて、リベットラインを意識しながらカリカリ。アンチグレアとステップはシリコンなしだけど、ノミでカリカリすると剥がれてくれる。主翼を剥がし過ぎて、胴体とのバランスが悪くなる。フィクションで胴体にもう少し追加。全部を銀にするとウザくなる。中間のトーンとして、面相筆でニュートラルグレイの点描。 ウォッシングはいつもの水ウェザマスで。リベットライン沿いに少し暗色を残す。これで日の丸のトーンが落ちることを期待したんだけど、不十分。マスキングして、シンナーしゃぶしゃぶのエクストラダークシーグレイを薄く被せる。尾翼のマークは違和感ないのでそのまま。シリコン上のテープは危険だから、白縁のみテープであとは紙でマスク。吹く方向に注意すれば何とかなる。こんどはトーン落ちすぎで(←よくやる失敗だよ)、ラプロス#6000で注意深く擦ってやると、ナカナカいい感じ(←怪我の功名だよ)。それにしても、この暗褐色の色調、見れば見るほどウ〇コのような・・・ |
プロペラブレードをスピナに接着。先端のフックは延ばしランナー。 |
途中省略して、銀はがし、フラットクリア&ラプロス研ぎ、スミイレ、日の丸色調補正終了。プロペラも塗装。 |
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銀はがしクローズアップ。一部の銀で下の白が出てるな。タッチアップしておこう。右舷胴体は実機写真を概ね忠実に再現する。 |
翼は搭乗員や整備員が歩き回るから、胴体とは別の剥がれ方をするだろう、との想定。 |
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インレタを貼る。ノルナは世傑などの写真に従う。燃料タンクキャップに問題が・・(後述) |
プロペラにもインレタ。位置がビミョーにずれるのはインレタの宿命。気にしないことにしよう。 |
写真の1146号機は、もっと退色風味で、もう少しウェザリングを追及したいところだ。さて、疾風銀はがしのコツ。全体に均等にするのではなく、「ここだっ」という部分を集中的にはがす。それ以外はトーンを合わせる程度。パネルライン沿いだけでなく、パネル中央部もはがすべし。どんな飛行機でも主翼付け根だけは盛大にはがれている。
現存疾風は左右舷でパネルラインの異なる箇所が多い。主翼上面の他に、水平尾翼前縁、ラダー下部にもある。匠によれば、リベットの形の違いなどから、左舷はアメリカでのレストアによる追加で、右舷が一般的な疾風の姿と推測できる、とのこと。拙図ではこのレストア追加ライン(推測)を水色で示す。ラダー下部は73戦隊の初期量産型写真で右舷ラインなしが確認できる(←うわ、見落としてた)。
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写真掲載忘れの機番インレタ。 |
キットの主脚カバーは車輪部がやや小さい。車輪カバーを接着して増積する。左は接着して不要部をカットしたところ。 |
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カバー前端はフチをL字に折っている。増積を兼ねてプラバンを接着し、キットパーツは内側 から薄く削る。 |
車輪カバーは0.2mmプラバン細工。透明なのでちょっと見えづらいな。主脚カバーはサフを吹いて様子を見る。 |
補足。脚カバー前端は2mm幅のプラバン帯を瞬間でしっかり接着し、削って所定の折り返し幅に仕上げる。車輪カバーはジャストサイズ+αの帯を流し込みで接着。翌日ペーパーで微調整。
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主翼前縁タンクの給油口は円形。縦ダブルのリベットラインが味方識別塗装端から後方に向かって伸びている。 |
ご覧のとおり横には3分割。下側には前縁と平行方向のパネルライン、リベットラインがあるが、上面にはない模様。 |
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もいっちょタンク。主桁より後ろのリブラインとタンクのリブラインはズレている。 |
カウル先端左舷横内側。写真横倒しだけど。シリンダーヘッドに結合される大リブとその間を補完する小リブ2本が基本構成か。 |
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トルクリンクは0.5mmプラバン細工。彫刻刀で凹部を彫り穴あけ。ブレーキラインは0.3mm鉛線。脚カバー内側にもリブを追加。 |
#8銀で塗装して仮組み。オレオにはハセのミラーフィニッシュ。画像のタイヤは上下逆。キットのダボ穴が間違いだ。 |
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タンク蓋を修正。タミヤパテで埋め、平丸刀で整形。周囲の塗装を残したいのでペーパーは使わない。 |
筆塗りでタッチアップ。シリコンバリアのため、修正作業が難しくなる。これは想定外だ。(←普通しないよ) |
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シートと操縦桿を取り付ける。真鍮線削り出しのアンテナ柱も接着。スライドフードは乗せてるだけ。 |
脚を接着して自立。尾脚はキット。残るは細部。機銃、照準器、ピトー管、燃料冷却器、航法灯・・ 脚カバーの警戒線と汚しも。 |
補足。脚柱とカバー、タイヤの接着も微妙な調整が必要。正面から見て、カバーの前縁の湾曲がタイヤに少しかかるぐらいが正解。タイヤとカバーはわずかに後ろ広がりになるかな。さらに翼前縁カーブと格納時の脚柱前進角の影響で、カバー上部にもねじれが入る(キットは表現されている)。このため翼取付け部ではカバーはかなり後広がりになる。翼の脚収容部の外端が機軸平行でなく後広がりになっているのはこのため。
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ここはいくつかの説が考えられるが、胴体下面部分ではこの「出っ張り」部分が削られて(←模型的表現を使えば)、後部胴体にスムーズにつながるラインにされている、というのが一番素直かな。拙図もそう考えて作図している。しかしそれだけでなく、匠より「フラップ付近の翼後縁は僅かにカーブしている」との指摘をいただく。それが下画像だ。 |
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これについては、ねじり下げの付け方(=翼取付角の変化率)が中心から翼端に一様でなく、中心付近では小さい変化、外側で大きくなる、と考える。
記録写真の11戦隊機は、胴体のリベットライン沿いが、汚れか退色ムラかで格子状の暗部となっている。穂先の短い平筆にウェザマスを少量つけて格子を描く。やり過ぎたら濡れたティッシュで拭けばやり直しOK。調子に乗って翼にも施す。残るは照準器、アンテナ線、増槽ラックくらいか。 |
精密チャックに0.8mm真鍮パイプを咥え、平ヤスリの側面部を使って切削。 |
翼に接着。少し長い。後で直そう。脚出表示棒は0.3mm真鍮線。脚カバーの荷重表示線は細切りデカール。 |
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ピトー管は0.6mm洋白線。これも精密チャックで先を削る。翼端灯はいつもようにクリアランナーを削る。 |
ウェザリングを追加。スライドフードは置いてるだけ。 |
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照準器はプラ細工。1mmプラバンの上に小さな部品を乗せていき、最後に切り落とす。 |
車輪カバーの開閉リンクはプラバンと延ばしランナー。脚カバー分割線を修正。荷重表示線のデカールも貼り換える。 |
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増槽振れ止めは増槽パーツを輪切りにして細く削り、端部に0.2mmの穴をあける。爆弾振れ止めは延ばしランナー細工。 |
端部のパーツは、直径0.2mmの伸ばしランナーに直径0.5mmの伸ばしランナーを薄切りにしたものを白フタで接着。 |
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これにて疾風の図面&製作記は終了。情報提供諸氏に改めて感謝申し上げる。図面はメーカー、出版含め誰でも無償で自由に使って結構である。どこかでピリッとしたキットを出してほしいなあ。1/72もそろそろリニューアルの頃合いだよね。 さて、第二弾は鋭意準備中。あの中島機だ。近日公開、乞うご期待!
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