モスキートPR.XVI 製作記その2


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 続、組み立て 1/5追加




■ カウリング

 スピット19にちょいと浮気して、また本妻に戻る。お次はこれまで全く手つかずの主翼まわりの工作だ。まずは2段2速エンジンのカウリング。主翼本体はタミヤを使うので、それとの勘合を考えてカウリング後方はタミヤとし、エンジン部分にエアを移植する。全長や角度はエアのパーツを信じてトレース(これが後でハマるのだけど)。

 ただしエアのカウルは下半分の形状が全然ダメで、とくに断面形が痩せている。ここはパーツを写真のように切って広げるように再接着する。広げた分だけ左右の接着部が開くので、ここに1.2mmプラバンを接着。それだけでは、まだ頬(写真赤丸のあたり)が痩けているので、部分的にパーツを外に広がるように曲げる。

 次にインタークーラー・エアインテイクの整形。エアのパーツはここの形も全然ダメ。写真から寸法取りして、スピナ下端からインテイクリップまでが高さ3mm、インテイクの幅が9mm。瞬間+プラ粉を盛ってモーターツールで削る。形のイメージはP-51マスタングに近い(こっちは過給機インテイクだけど)。とはいえ同じマーリンエンジンながら、サイズが全然違うからマスタングのパーツを移植すれば済むというものではない。(←勘違いをしていた粗忽者が約1名)



パーツをこのように切断。切って広げるように再接着する。エアの過給機インテイクは形も違うし整形の邪魔なので切り取る。

切り離したパーツは前後に2分割、カウル下端のラインが下にふくらむようにするため、プラバンのシムをかます。


 カウル上部も延長する。エアのパーツを使おうとしたところ、タミヤと断面が合わない。エアの方が上方へのふくらみが強いのだ。そこで、タミヤのもう1つのキットから切り取って接着。この部分は前方に向けて細くなっているからピッタリとは合わないので、調整が必要だ。

 脚収容部は、前後の隔壁にパーツ接合線が生じる。パテ埋めして消すかわりに後方は0.5mmプラバンをぺたっと貼る。前方のものは位置が異なり、さらに上下に隙間が生じるので、プラバンで置き換える。



タミヤパーツを2個使い、カウル上部を延長する。ここに限らず全ての接着部は裏から0.5mmプラバンで補強する。

脚収容部の前後隔壁をプラバンで置き換え。脚柱をクリアする凹みは実機と少し異なるが、よく見えない箇所なのでこれでよしとする。


 さて、カウル左右も接着し、主翼に仮り組みして全体形をチェックすると・・・ありゃ?スラストライン(推力線)が違う?!エアのパーツをちゃんとトレースしたつもりだったのにィ〜(ということはエアのキットが間違ってるのか?単なる工作ミスか?)。真相はともかくエンジン部分をエッチング・ソーで切り離して2°くらい下向きに再接着。キャノピ直後の胴体背のラインとスラストライン(=排気管の穴)がほぼ平行となるのが正しい。ちなみにタミヤは正しいのでご心配なく。こっちを基準にすればよかったかな。



仮組みしてチェック。スラストラインが少し上向き。このあと折角作ったカウルを接着部で一旦切り離し、スラストラインを下げる。

カウル下部に挟んだプラバンにも注目。これだけ挟んでいるということは、それだけ外周が長くなり、その分カウルが膨らんでるわけ。


 過給機エアインテイクをスクラッチ。実機写真から寸法を出し、最大幅9.5mm、前端と後端の幅は7.5mm。インテイク下面からカウル上面までの高さ31mm。エアのものとは相当サイズが異なる。完全な積層プラバンから削るのは大変なので、ある程度の形に箱組みする。側面の三角形は高さ5mm。側面と底面は出来上がり外形に合わせてプラバンを少し曲げておくと削りが楽。

 インテイクの中程の断面はほとんど長方形で、また先端は少し絞り込まれて楕円形の開口部となる。これらを念頭に置いて削っていく。時々カウルに取り付けてイメージチェック。なお、最後期型のPR.34となるとインテイク側面にルーバーがある。こいつはエッチングを自作でもしないと再現不可能。PR.XVIになくて良かった〜。



過給機インテイクは、左のような1.2mmプラバン箱組から削っていく。右がほぼ出来上がり。カウルに接着後、微修正の予定。

スラストライン修正後の姿。まだ、カウル下半分の形状に不満があって、これはあとで修正する予定。


 ところで、スピナ直下の開口部はインタークーラー(2段過給機による断熱圧縮で加熱された空気がエンジンに入る前に冷却する)用ラジエータの空気取り入れ口であるが、同じ2段過給機のマーリン60/70系列エンジンを積んだスピットファイアでは、このような空気取り入れ口はない。なぜ?

 と思って調べてみると、スピットでは主翼下のいわゆるラジエータの箱には、エンジン冷却液ラジエータとオイルクーラーとインタークーラー・ラジエータ(マーリンではこれが液冷なのだ)の3つが収められており、1段過給機型から2段過給機型になると「箱」の容量が増やされた。一方モスキートでは、内翼前縁は既にエンジン冷却液ラジエータとオイルクーラーで占められ、新たにインタークーラー・ラジエータを置くスペースがなかったってことかな? 外翼前縁に置く手もあると思うけど、主翼の性能低下を嫌ったのだろうか。 


■ 主翼の蘊蓄 1/18追加

 手を動かす前に、まず頭の整理から。モスキートの翼に関するデータは、下の参考サイトで紹介したページによれば以下のとおりである。

翼スパン 54ft 2in (16.51m)
翼型 RAF.34 with modified camber
迎え角 1.5°
アスペクト比 6.7
上反角(前桁上端) 1°24′
翼弦(ルート) 12ft 3in (3.733m)
翼弦(翼端) 3ft 10 in (3.658m)
フラップ下げ角 45°
エルロン動作角 上26.5°下11.5°


 「キャンバー(翼の湾曲)が修正されたRAF34」という翼型が、どういう形状で翼厚比がいくらかというのが全く不明。ここはタミヤキットを信じるしかない。写真と見比べた感じでは、キットは下面の湾曲が若干弱くて平板な感があり、翼前縁が尖りすぎている点を除けば良く実機を再現しているように見える。この下面の湾曲はエアの方が感じが出ている。

 ねじり下げのデータが無いが、実機写真でもねじり下げはないように見える。そもそもねじり下げは、翼端から失速しやすい単発機などで失速特性を改善する目的で採用されるのだが、双発機の場合、失速は翼端よりはナセル部分から発生することが多く、その場合にはねじり下げはあまり意味が無いとのこと。なるほど。

 翼端は、米軍機などに見られる下面が削ぎ上がった形状をしており、同じ英国製でもホーカー社のデザインとは異なる。翼端パーツ接着の際は注意したい。翼端削ぎ上がりだけでなく、デハヴィランド社のデザインは、テーパーの強い先の尖った主翼、優美な曲線の尾翼、鼻先の曲線など、むしろロッキード社との類似性を感じる。単なる偶然だと思うけど。

 モスキートの翼桁の部分には補強板が帯状に貼り付けられているのだが、タミヤは前桁だけしか再現されていない。実機は後桁にも同様な凸部がある。模型にどう反映するかは悩ましいところ。エアは後桁のもちゃんとあるが、表現がかなりオーバーでエアを使えば万事解決とはならない。
 PR.XVIの後期生産型は右翼前縁に着陸燈が新設されたが、製作予定の680スコードロン所属機での有無が不明。


■ 主翼の組み立て

 翼の補強に新素材を使ってみる。頂き物のカーボン素材で、本物のレーシングカー(F-3)に使われているもの(の切れ端)。軽く、曲げに強いのが特徴。適当な太さのやつを瞬間で翼上面パーツに接着。軽いし強度抜群だ。この炭素棒を削ってプロペラやアンテナ柱を作る人もいて、プラ並みの切削性で高強度だから納得。ただし削り粉は人体に有害そうだなあ。



翼の補強にカーボン素材の棒(非売品)を接着。瞬間との相性は○。

翼下面の着陸燈はキットのクリアパーツを使う。裏に凹ませたアルミ板を当てるといい感じ。


 前からチラリと見えるラジエータにエッチング・メッシュを貼ろうとして、ふと疑問。「キットのラジエータ形状は、翼に合わせてテーパーしているけど、実物はこんな凝った造りなのだろうか?単純な長方形ではないか?」「開口部も翼端側が狭いけど、上下縁は平行ではないのか?」

 そこで、実機写真を仔細に眺めると、確証はないが平行説が濃厚。正面から見て上縁と外翼前縁の角度が一致しているように見え、真偽はともかく、そのように修正する。なお、内翼と外翼の前縁は、平面的には平行でない(内翼前縁の後退角=0°)ので、正面から見たとき仰角によっては折れ曲がって見えるので注意。キットは、事後変形なのかラジエータの前縁と外翼前縁が不揃いで、外翼が下にたれてガル翼のように見える。パーツを指でしごいて曲げて修正。キットのラジエータ下側前縁が尖っており、0.3mmプラバンを貼って厚くする。

 翼下面パーツにも1.2mmの補強を接着し、ようやく翼上下接着の準備完了。上下補強桁間にポリパテを点々とはさみ、上下を接着。カーボン棒のおかげで、相当な剛性感。主翼前縁は先端を少し削って丸め、プロペラ機として自然な翼形状にする。前縁接着面に0.3mmプラバンを挟んでも良かったかも。



ラジエータを長方形に修正して、ハセガワのエッチング・メッシュを貼る。メッシュのパターンが違うけど、雰囲気重視で。

上下縁が平行となるように修正したラジエータ開口部。下側をちょいと曲げて端部を小加工すれば簡単に直せる。インテイクの修正中(後述)。


 重箱の隅を1つ。ラジエータが設置される内翼部は、翼上面のカーブが微かに不連続となっている。これはつまり、ラジエータ部の前方突出が無いものとして翼を設計し、そこにラジエータを付け加えたために生じたもの。ただし不連続点はラジエータ部の金属製パネル部分ではなく、それより後方の翼弦の中央付近にあり、これはラジエータと翼とをつなぐ一種の整流フェアリングのようなもの(木製)があるため。

 この不連続線はタミヤ、エアとも再現されていない。修正はカウル後方覆いに影響するので簡単でなく、効果の程も疑問。作品も未修正。新版世傑の67ページ中段の写真がよくわかる。


■ カウル再び

 どうもカウリングの形がしっくりこない。頬のふくらみ不足と唇(インテイク・リップ)の厚み不足が原因。瞬間+プラ粉を盛っては削る。左右のカウルの形を揃えるのにひと苦労。口(インテイク)の表情には、口元のくびれ(赤矢印)が重要な要素。写真を見ながら盛りと削りを繰り返し、じっくりと修正。とくに、カウルの前端1mmほどは、スピナから面が連続しており、その後方の面とは折れ線が生じているのだが、この折れ線をちゃんと再現してやると、口元が締まる。

 また、実機は排気管開口部の上下幅が狭く、コーナーが丸い。プラバンを貼って、ちまちまと修正。さらに開口部の内側にも整流覆いのようなものがある。1.2mmプラバンを「コ」の字に組んで削り出す。結構面倒くさいが、これを作業しておかないとカウルと主翼を接着できない。しかる後、カウルを翼パーツに接着する。接着前にナセル後半にはリベットを打とうかとも考えたが、「ええいめんどくさい!」どうせ翼の陰でよう見えんのじゃ。パネルラインの疑問箇所(後述)もそのままじゃ。



排気管開口部の整流板をプラバンから削り出す。インテイク・リップ周辺の整形はこれから。赤丸内の縁取りモールドも削る。

カウルの形状は、なかなかイメージがつかめず苦労する。まだ完全に実機を再現してないが、この辺が限界点。


 重箱の隅をまた1つ2つ。タミヤキットでは、脚収容部の前側の縁には、幅1mm位の縁取りモールドがある(上写真の赤丸部)。エアロディティールなどを見ると、原型機ではこの縁取りがあるのだが、少なくとも後期型カウルの各型にはない。前期型カウルでも量産型では縁取りがなく見える。B.IVやFB.VIを作る場合も要チェックである。

 また、タミヤのパネルラインは一部疑問。ナセル後方の一部のパネルライン、カウル真上の中心線上のパネルラインは、「なし」に見える写真がある。また、内翼側の主翼とカウルの取り合い部も部分的に間違っている。ここはエアロディティールの図面がほぼ正確。パネルラインこだわり派の方はチェックしてみては?


■ まだまだカウルと主翼 1/29追加

 インタークーラーのエア・アウトレットはプラバンのヒートプレス。出来上がりサイズは前後5mm上下6mmで、割り箸の木型はそれより1mm弱小さく作る。表面の曲率をカウルに合わせるのがポイント。ヒートプレスは0.5mm厚プラバンがやり易い。勿体無いので5cm角に切り両端をペンチではさみ弱火のガスコンロで加熱、そのまま型に押しつける。

 開口部には2枚のベーンがあるが、これがまた一苦労。というのもアウトレット自体が湾曲しており、ベーンも湾曲しているからだ。1枚ずつ取り付けたのでは曲線が揃わない。曲げておいた2枚のベーンを接着してから所定の長さに切り出し、合わせを調整して取り付ける。

 主翼も、キットで忘れられている主翼後桁の補強板の再現が残っている。サフェーサ厚塗りか、ベタデカール貼付けかとあれこれ悩むが、とりあえずタミヤの0.1mmプラペーパー(現在生産中止)を貼ってみようか。



木型と絞ったプラバン。先に切り出すと持ちづらいから、この状態で穴開け、ペーパーがけなど十分に整形しておく。

整形し切り出したアウトレット。円弧状のものはアウトレットのベーンで2枚を一体に接着してある。カウルにも凹みを彫っておく。

できあがり。カウル側面の小インテイク(発電機冷却空気取入口)は2mm角プラ棒から削り出す。サイズは太さ2mm、長さ7.5mm。

主翼の補強板は、0.1mmプラペーパーで再現。前後の表現が異なると変だから、前側のモールドも削って作り換える。


 また重箱の隅。タミヤの主翼補強板は翼端が狭くテーパーしているが、エアロディティールの写真を見ているとテーパーしてないように見える。手持ちの写真ではっきりと分かるものが無いのだが、エアのパーツを改めて見てみると、タミヤのようには先細でない。ということで、ここはエアを信じよう。自国の機体だしね。


■ 機首再び 2/17追加

 実は12/17更新の最後の写真で、機首のイメージが大いに不満であった。実機と較べ、@風防正面ガラスが立ちすぎ(後傾不足)、かつ上下幅が狭い、A風防前方の胴体上面(車に例えるとボンネット)が湾曲不足で平板、Bボンネットが長い(つまり風防位置が後退)、という気配濃厚。あいにく、真横からの写真ではエンジンが邪魔で検証できない。悩んでいてもしょうがないし、そのままでは製作意欲が萎えるばかり。そこで、私の脳内イメージを信じ、斜め前方や横上方からの写真を補足材料として、2度目の整形手術だ。

 改めてエアの機首を見てみると、このあたりの雰囲気は断然エアが優っている。キャノピパーツとの相性であえてタミヤの機首を選んだというのにィ。こんなことなら最初から機首をそっくりエアにすげ替えればよかったョ。でもってタミヤの機首、よ〜く見れば実機に似てないんだね。しかも、キャノピ幅や正面ガラスの湾曲などの容易に目に付く細部のミスを修正すると、全体としての雰囲気が似てない方向に行くという罠。

 愚痴はこのぐらいにして手を動かす。ボンネット部には細切りにした0.5mmプラバンを貼り、上面に丸みを持たせる。キャノピはタミヤに部品請求して新たに作り直す。今度は前面窓の傾斜角度に細心の注意を払う。側面ブリスターも新たにヒートプレスする。木型は出来てるし手順も慣れてるので、前回ほど大変でないが、再度胴体との合わせを調整したりして、そいつが二度手間。



機首上面が丸みを帯びるように細切りプラバンを貼って修正。

キャノピも作り直す。手順は前に記述のとおり。前面窓を高くするため、写真赤丸部に0.4mmプラバンを接着してかさ上げ。

再掲。12/17更新時、1回目の整形手術。

こちらも再掲。だいぶ雰囲気ちがうでしょ。



■ プロペラ 

 デハヴィランド製パドルブレードは、タミヤの形状イメージがよい。ところが、エアロディティールの図面をよく見ると、先細ブレードの直径12ft0inに対し、パドルブレードは直径12ft6in(=3.81m)であるとの記述。エアもタミヤも先細ブレードと同じ直径で、他資料での記述なし、WEB検索もヒットせずで半信半疑だが、こういうときは実機写真。スピナとの比率で長さを検証すると記述は正しい。エアのパーツは根本が太いので削るとちょうど良い具合。

 スピナもエアを使う。タミヤでも問題ないのだが、比べれば先端の尖り具合などの形状に勝る。さすがは自国機だ。



ブレードは、エアをベースとする。左エアオリジナル、中エアを削ったもの。右タミヤ。形はよいが長さが2mm不足。

スピナはエアのパーツを使用。プロペラの切り欠き部にタミヤのスピナを切って貼り付け、形状を修正する(写真中央)。左タミヤ、右エア。


 液冷エンジン機の場合、プロペラ軸の工作に工夫が必要。中心と垂直を正確に出さないと、スピナとカウルがズレてみっともないからね。面倒臭いときは軸など作らず、削り合わせて両面テープで固定するのが簡単で、私はよく使う手だけど、今回は手間をかけてみよう。

 まず、カウル側の中心に0.8mmの穴をあけ、同径の真鍮線を差し込み、外径1.0mm内径0.8mmの真鍮パイプを被せ、これをカウル側の軸とする。中心位置を正確に測るのが第1のポイント。そして端面に垂直になるように0.8mm真鍮線を慎重に曲げて調整する。これが第2のポイント。これにカウル側の受けとなる内径1.03mmの真鍮パイプを被せ、大きめに中心穴をあけておいたスピナパーツを瞬間パテで接着する。このときスピナとカウルとを正しい位置に合わせておくのが第3のポイントだ。



カウルの軸は外径1.0mm真鍮パイプ。それに内径1.03mm真鍮パイプを被せる。鉛筆粉の潤滑材で、よく回るぞ。

真鍮パイプをスピナ端部パーツに瞬間パテで固定したところ。プロペラブレードを後付けするため、穴を開けたプラバンを接着しておく。


 軸ができたらスピナを接着し、カウルとの段差を慎重に摺り合せる。


■ 水平尾翼

 ベースはタミヤ。後端と両側端を薄く削る。操作ロッドが邪魔なので削り落として再生。 エレベータのリベットはたまぐり2番。面倒臭いのでキットのリベットは埋めずにそのまま打つ。



左オリジナル、右加工済。写真では分りづらいが、キットは後端エッジが丸い。いくつかのモールドが犠牲になるが、平らに削る。

左右端部も薄く削る。前半部は丸みがあり後半から薄く尖っている。



■ まだまだカウル 3/7追加

 カウリングのファスナは独特の形状をしており、この再現に頭を悩ます。試しに0.1mmのプラペーパーを短冊状に切って貼ってみると、ナカナカいい感じだが、あいにく実物は先端が丸い「笏(しゃく)」のような形で、1機分で100枚以上を切るのも大変だ。そこで翔バナイカイのK社長に「業務用カッティングマシーンでマスキングシートを切ってもらえんじゃろか〜」と厚かましくお願いすると、快くOKの返事。感謝感激。早速版下を作って送る。

 しかし、後日「うまくいかんかった〜」との連絡。形はちゃんと切れているのだが、モノが小さすぎてシートの粘着力では固着に難があり、かといってプラ用接着剤は効かないのだ。またプラペーパーでは、切ったそばから飛んでしまってダメとのこと。いや無理なお願いで手間を取らせてしまって恐縮至極。

 ということで、ふりだしに戻る。今度は、ファスナの形の断面に削ったプラバンを薄くスライスしてみる。フリーハンドだと厚さが不揃いとなるので、食パンをスライスする機械をヒントに治具を考案する。塗装用シンナーを半分ほど混ぜた流し込み系接着剤でカウルに仮接着し、流し込み系(混ぜもの無し)で本接着。1日乾燥させてから、ペーパーで削って厚さを調整し、たまぐり6番を打つ。



現存機。一部オリジナルと異なる部分はあるが、ファスナの形状はオリジナルである。

このような治具で厚みを一定にスライスする。左の細い棒がファスナ断面のプラバン。真鍮角棒とストッパーのプラバンの間隔は0.2mm。

できあがり。凸凹がオーバーな表現で、いまいちな出来だけど、これが精一杯。

左のクローズアップ。←アップで見せるほどではないけど・・・まあ、苦労の成果を見てチョーダイ。



■ 小物

 排気管はモスキット製。このフチの薄さは素晴らしくリアルで、他に代え難い。前にも書いたとおり、PR.XVIは6本排気管なのでニコイチとなるのだが、手持ちに1セットしかなく、さんざん探してもう1セット確保。ところが、買ったときは気づかなかったが、いざ作業してみると前方から見た湾曲具合が新旧で違うではないか(泣)。やってくれるぜ、モスキット。もう1セット探してみるけど、入手不可ならこれで我慢するしかない。



再掲、オリジナルのモスキット製排気管。前期型なので片側5本。もちろんエンジンは6気筒だけど。ちなみにこれは最近買ったもの。

ニコイチで6本にする。購入時期の新旧で形が異なり、左から新旧新旧と並んでいる。


 タイヤのブロック状トレッドパターンは、キットでは階段状の表現で、インジェクションの宿命ではあるが、実機とは異なる。そこでエッチングソーでカリカリと手彫りする。元のモールドをガイドにすれば治具は不要。こういう作業は、集中力は必要だが頭がカラッポになり、それなりのストレス解消効果があって、私は嫌いではない。作業しながら、かみさんの愚痴など聞いてやれば(これはストレスたまる)家庭も円満??

 翼端灯はキットのパーツでも良いのだが、電球表現の凹穴が大きすぎるのが気に入らず、クリアーランナーで自作。ランナーそのままでは太さが足りず、端をライターで炙ってある程度の大きさの塊に加工してから削る。穴は0.6mmピンバイス。



タイヤは例によって手彫り。左はキットオリジナル。トライツールの厚い方のエッチングソーを使う。

翼端灯。電球の位置が違うけど、模型的見栄え優先で。


 胴体下部の3色灯について、気になる情報。作品ではエアロディティールの記述に基づき前から赤青アンバーとしているが、スピットファイアのそれは前後逆なのだそうな。ちなみに米軍では前から赤青アンバー。まあ、どちらが正しくとも今さら修正は無理だけど。


■ キャノピ細部 3/21追加

 厄介なことに、モシーのキャノピフレームの一部は内側だけにある。キットではクリアパーツ内側にフレームのケガキ線があって、塗装かデカールで仕上げるようになっているが、実物はパイプ状フレームにプレキシグラスの穴を通して外側からリベット止めされる。ここは是非再現したいポイントだ。

 フレームは真鍮線はんだ付けも考えられるが、内側なので強度は必要なく、むしろクリアパーツへの接着を考慮すれば延ばしランナーを使うのがベター。キャノピの形に沿ってうまく曲げるのがポイント。なお、B.IVとPR.XVIでは後方のフレームが異なるので注意が必要。XVIでは後方が途切れている。  



プラバン現物合わせで治具を作り、これに延ばしランナーをテープで仮止めし、カップの熱湯に浸ける。カゴ状に組むのも治具の上だと簡単。

フレームのできあがり。当初は実機どおり全部のフレームを再現したが、外からの見え方が煩雑になるため必要最小限にとどめる。


 タミヤのクリアパーツは、内側にケガキ線と外側にリベットの穴がモールドされているので、あらかじめ削って消しておく。外側の穴は、クリアパーツの厚みゆえ、見る角度によって内側フレームと位置がズレるため、残しておくと見苦しいのだ。その他、天井部に追加のスジ彫り。天測窓のための穴開けなどチマチマと。

 フレームを接着する前に、クリアパーツの内外をコンパウンドで丹念に磨く。これまで手作業でやってたけど、今回からはモーターツールをフル活用。こりゃえーわい。使ってる綿棒の軸がモーターツールにピッタリ。ホントわざわざ合わせてるのではないかと思うくらい。需要あるんだろか。ここで一言、「綿棒は軸で選ぼう」。




フレームを接着。窓枠部など、外から見えない部分にのみ、少量の接着剤(緑フタ)を付ける。

キャノピの全工程が終了。天測窓の接着はクリア塗料(クレオス#46)。二重の小判型スジ彫りが決まってくれて嬉しい。



■ エルロン&ラダー

 エレベータにリベットを打っているので、エルロンにも打たないとアンバランスかな? 実機では同じく金属外皮だからね。ただ、手持ちの写真ではリブの配置がいまひとつ不明。かろうじて判明している翼端の一部から推察すると、エアロディティールの図面は大きな違いはなさそう。ということで、図面を参考としつつ、細部は模型の見た目優先で打つ。こちらはたまぐり#1を使用。

 重箱の隅をまた一つ。エアロディティールの図面ではタブの分割ライン(下写真赤丸)が後縁に斜め(機軸に平行)になっている。キットは直角だ。写真を仔細に眺めると原型機では図面のとおり、後期生産機ではキットのとおりのようである。その中間(初期生産機)については不明。エルロンのリブも、原型機では斜め、後期生産機では直角で、つまりはリブのラインとタブの分割ラインとは平行となる(図面は間違い)。

 主翼の下面には、水抜き穴が多数ある(下写真青矢印)。木製機ならではの特徴であり、つるんとした表面の良いアクセントになりそう。たまぐりの一番大きいサイズ(#16)と0.3mmピンバイスで再現。



分り図らい写真で申し訳なし。エルロンのリブとタブの分割線(赤丸)は、生産時期により向きに違いがあるようだ。

ラダー。リブテープはいつものサフェーサ。テープでマスキングして置くように塗っていく。今回は細さの限界に挑戦だ。タブ操作ロッドはキットから切り取ったものを再接着。


 エルロンにリベットを打ち、満足して眺めていると、「ナセルにも打たなくてよいの?実機は同じく金属製だよ。」と悪魔の囁きが聞こえてくる。ええいここまできたら、とヤケクソで打つ。ところが、ナセルを主翼に接着してるため、打ちづらいこと甚だしい。手順悪いな〜。

 エアロディティールの図面は現存実機とは一部異なる部分がある。ただし正しく打とうとするとスジ彫りやら、脚収容口を修正する必要が生じる。面倒くさいのでリベットラインは適当。あくまで雰囲気優先。なにはともあれ、これで主翼と胴体接着の前にやるべき作業は全て終了、もうすぐ士の字だ。


■ 増加燃料タンク 3/31追加

 主翼下面の増加燃料タンク、これが左右共通かどうかが今回のお題。戦場における装備品は、出来るだけ共通の方が補給が限られる状況下では望ましいだろう。「隊長、使用可能なタンクは全て左翼用しか残っておりません」ではねえ。

 そう考えればモシーのタンクも左右共通というのが正解のような気がするが、その場合にはテーパーしている主翼との合わせに微妙な隙間が生じることとなる。写真を見てもこのあたりはよく分からず、不明。ただし、模型的には隙間なくぴったり作るのが正解で、タミヤのパーツも左右別となっている。



記録写真を見ると、680スコードロンのPR.XVIは50ガロン型を装備。これはタミヤにセットされる。エアは一回り大きな100ガロン型。

燃料注入口は0.14mmプラペーパーを丸くくり抜く。小さい方はポンチ、大きい方はエッチング・テンプレート+ケガキ針。


 ひょっとして、実機では前縁に直角となる(左右のタンクが少し前開きになる)ように装備しているかも。写真によっては、そのように見えなくもない。


■ 最後のコクピット

 機首上面ラインを盛り上げたため、計器板上部の胴体の縁が厚くなってしまった。既に計器板を接着しており削り込むにも限度がある。現存機の写真を改めてよく見ると、一部の機体で三角形の防眩板が取り付けられており、これがオリジナルかどうかは不明だが、縁の厚さを誤魔化すのにちょうど良い。それでも隠しきれないところは追加の機器類をでっちあげ。

 操縦桿はキットパーツ。ハンドル中心部にスプーン型のものがあって、これはブレーキレバーなのだが(なんでこんなところにあるの?やっぱ英国人って変?)、型抜きの都合でハンドルと一体化しているから、レバーに見えるように裏を削り込む。



コクピットに追加工作。ハンドル位置も高すぎ、パイロットの腕が疲れそうだから2mmほど下げる。

キャノピを取り付けると歪んでほとんどよく見えないから、これが見納め。



■ キャノピ、風防接着

 後期型の機首風防は、上側の窓枠が無い。タミヤのパーツを削って枠モールドを消す。ところで、爆撃/偵察型の機首風防って、この枠の「ある」「なし」の2種類しかないと、ず〜っと長い間思っていたが、つい先日写真を眺めてて「おおっ!」。一部のPR.34は平面部分のない完全なワンピース型を装備しているのだ。写真はインアクションpart1の30、31ページなどにある。←知らぬは私だけってか? ついでに言うと、現存機では平面ガラス周囲の枠も太さに違いがあるけど、これはレストアの際に生じたものかな?

 さて、キャノピ、機首風防を接着。これには流し込み系を使い、隙間は溶きパテで埋める。その他、各部の小さな出っぱり類を取り付ける。



機首風防の内側には航法灯のコードを0.3mm糸はんだで追加。断面で分るように、クリアパーツが厚すぎ。なんとかならんもんか。

クリアパーツの厚みで、側面から見るとちょっと変。コードもちと太いし。

胴体下面のカメラ窓には、汚れ防止のフチを0.2mmプラバンで追加。

カウル左側面の小インテイク、カウル上面の小アウトレットはプラ細工。左から右の順に加工していく。常に「持ち手」を残すのがミソ。



■ 士の字

 さていよいよ主翼と胴体の接着だ。フラップと胴体の隙間に注意し、慎重に摺り合わせる。ラジエータ開口部をいじったため、胴体にモールドされている開口部側面の凸の位置が合わない。キットの桁パーツにより正しい上反角となるのはさすが。桁パーツに溶剤系接着剤をたっぷり塗って主翼接着・・・

 といきたいところだが、前回ヘルダイバーでたっぷり塗りすぎて表面に影響が出てしまったので「適量」とする。それでは強度が心配なので、主翼上下面の桁パーツの位置にピンバイスで穴を開け、瞬間を流し込み、穴はプラ棒で塞ぐ。これで剛性十分だ。

 ということで、ようやくモッシーがその全体形を現す。見よこの流麗な姿。さあ、次は塗装だぜ。



本当は士の字にしてからクリアパーツやらタンクやら、あれこれ接着してるんだけど・・・。まあ、話の都合上ってことで。



■ 主翼接着やり直し 4/12追加

 主翼接着で手痛いミス。本来左右一直線のはずの主桁に後退角がああああ! 実は、すぐに気づいたんだけど、既に主翼はガッチリと胴体に固定された後。角度にすれば1°に満たず、どうせ誰も気づかないだろうとサフェーサなぞ吹くものの、やっぱり気になって手が止まる。これはモス嬢への愛を試されているのだ。ここで騙したらもう愛は戻らないかも知れない。と気合を入れなおして切り離す。
 胴体側には1.2mmプラバンで桁を新設。これで翼の荷重を受けるので、溶剤系でしっかり接着。主翼接着面にはプラバンを貼り、再度胴体と摺り合わせる。結果的に3日程度の手戻り。これで気分もスッキリ。

 では何故後退角が付いたのか。確認のため、もう一組のキットを素組みすると、これは正しい角度になる。ということで素組派の皆さん、ご安心を。ただ、キットは分割されている機首部と後半胴体部との接合部で面が不連続になるという欠点があり、作品ではこれを修正している。その結果、胴体幅が翼前縁付近で広がり、それによって翼の取付角も狂ったという訳。



主翼取付角の工作ミスを修正するため、エッチングソーで切り離す。思ったより簡単&綺麗に切れて一安心。

プラバンの桁は、主翼内部にピッタリはまり、正しい上反角となるよう、大きさ、位置、角度を慎重に調整する。




次は塗装。






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