P−40L製作記 その2

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ちまちま作業の連続。




 続、組み立て 10/16追加



■ 主翼 

 まず、不満を。キットは下面の機銃パネルが別パーツとなっている。これは一体として欲しかった。なぜかというと、別パーツになっているパネルのヒケが激しくて、完全には修正できないから。プラの材質も翼パーツと異なり柔らかく、それも厄介。そもそもアリソン・ウォーホークの主要な型式ではパネルの形は同じだから、別パーツにする必要性は低い。今後のキット開発に当たっては、メーカーに一考をお願いしたいところだ。

 次にキットのミス。脚収容部が別パーツになっているのは大変ありがたいが、リブのパターンにミスがある。キットでは機軸に直角となっているが、正しくは主翼の桁に沿っているため前進角がつき、さらに翼端側にいくほど間隔が狭い。と、エラソーに言ってるが、実はある所で指摘されて気づいた次第。

 それはともかく、作業開始。機首下面とのつながりを修正する。詳細はよく分らないが、側面形を写真に合わせて削ったり盛ったり。機銃パネルは、接着後ペーパーでヒケをならす。脚収容部はプラ板で新造しようかとも思ったが、キットのパーツをちょっと斜めに接着すると何となくそれらしい。うん、いいカナ?これで。Gさん、すんませーん。



機首から続く部分は、このようにプラ板を芯に瞬間やら瞬間パテを盛る。下面なので適当な所で妥協。

キットの主脚収容部。リブの角度が違う。厳密にはリブの本数も異なるし、それぞれは平行でない。


 翼の上下パーツを接着する前に、上反角を修正。P−40の上反角は6°である。これは桁の中心だから下面では約7°となる。正しい角度を保持したまま、左右の脚収容部パーツを1.2mmプラ板でがっちりと連結する。また、翼端にかけての垂れ下がりも1.2mmプラ板を接着して修正する。

 機銃パーツの合わせが悪い。幸か不幸かプラが軟らかいので上下に広げるとピッタリとなる。また、別パーツとなっている主脚付け根のふくらみも、実機では滑らかに翼につながっている形状が無視されている。これも手間を食う部分だ。



プラ板で左右を引っ張り、上反角を修正する。

ポリパテをはさんで上下パーツを接着。着陸灯にはアルミ板を仕込む。


■ P−40は本当に駄作機か?

 ここらで、実機のお話し。P−40が一流機でなかったことは確かだが、本当に全くの駄作機だったのだろうか。オスプレイのMTOのP−40エースを読むと、味方の戦果が誇大になるのを割り引いても、Bf109に対して結構いい勝負をしているように思える。特にパッカード・マーリンに換装したF/L型なら性能も向上しているはず。そこでライバル機とのスペックを比較しながら、この命題について考察してみたい。なお、データは条件などが異なるからあくまで参考程度に見ていただきたい。出典は世傑。誤り等をご指摘いただければ幸甚である。

P-40FP-40EP-51AP-51BZero21Bf109G-6Spitfire VP-47D-25
自重(kg)
Empty Wt
2,8082,6862,9182,9711,7452,2682,2304,536
全備重量(kg)
Gross Wt
3,6793,6073,901----2,421----3,0106,623
翼面積(m2)
Wing Area
21.9221.9221.6521.6522.4416.2022.4827.87
エンジン(hp)
Engine
V-1650-1
1,300
V-1710-39
1,150
V-1710-81
1,200
V-1650-3
1,450
栄12
950
DB605A-1
1,475
Merlin45
1,470
P&W R2800
2,000
最大速度(km/h,m)
High Speed
586
6,100
570
4,570
628
6,100
708
9,100
533
4,550
630
6,600
594
5,944
690
9,140
上昇時間(m/min)
Time to Climb
4,570/7.6
=601
4,570/7.6
=601
6,000/9.1
=659
6,100/6.9
=884
6,000/7.5
=805
*5,000/5.2
=962
6,096/5.6
=1,089
6,100/8.5
=718
航続距離(標準)(km)
Range(Nornal)
6035631,2072,092?* 705756949
航続距離(最大)(km)
Range(Max)
2,6551,5302,0113,3473,000以上---1,8261,658
*を付したBf109の上昇時間はF-2、航続距離(標準)はF-4のデータである。
上昇時間の下段は、上段の高度を時間で除した値で単位はm/minである。
P−40EとFの上昇時間が同じなのは、おそらくどちらかが誤り。

重量過大?

 P−40の欠点として重量過大が挙げられることが多いが、実はP−51マスタングの方が重いのである。ただし基本的に同じエンジンを装備したP−40EとP−51Aを比較すると最高速度はP−51が60km/h近く優速である。これは、機体設計の差、特に主翼の層流翼の効果と考えられる。そうはいってもスピットやメッサーとの比較では(零戦は別格としても)、やはりP−40は少々重いといえる。

 こうして見ると、零戦の軽さは驚異的である。旋回半径は機体重量に正比例し、軽いほど小さく回れるから、巴戦においてはP−40は全く不利である。大戦初期に零戦がP−40をカモとしたのは、戦法に未熟なP−40パイロットが巴戦に巻き込まれて撃墜されたのである。ただし最高速度ではP−40が優れるので、一撃離脱戦法に徹したP−40は零戦にとって侮り難い敵であっただろう。アリソンエンジンは高空での性能が劣るが、日本軍のエンジンも同じようなものだ。

 ところで本筋からそれるが、零戦のエンジン出力の小ささに改めて驚かされる。この非力なエンジンで高性能を出すための軽量化であり、それは防弾や強度を犠牲にせざるを得なかったわけだ。

マーリンvsアリソン

 次に、マーリンエンジンへの換装による性能向上について。これについては、オスプレイ本にK型とF型についての記述があるので引用しよう。
「2つのモデルの性能は、大雑把に言えば類似している。P−40Kは低高度ではわずかに速かった。しかしそのエンジンがフルパワーを出せるのは約15000フィートまでであるが、マーリンパワードP−40Fの作戦上の限界高度(operational ceiling)はさらに5000フィート上であった。」(注:K型のアリソンV-1710-73エンジンは1,350hpである。)

 P−51では、マーリンへの換装が劇的な性能向上をもたらしたのだが、P−40では「大雑把に言えば類似している」という結果。意外だがよく調べると、P−51Bが装備したパッカード・マーリンV-1730-3エンジンは、スピットファイアIXから搭載されたマーリン60シリーズ系のライセンスで、2段2速のスーパーチャージャーにより高空での性能が良い。P−51Bの最大速度は高度9,100mなのである。
 一方P−40F/Lが装備したパッカード・マーリンV-1730-1は、それ以前の1段2速のマーリンXXシリーズのライセンス。1段1速のアリソンよりは高空性能が良いとはいえ所詮1段。このあたりに性能向上が少なかった理由がありそうだ。

 そうであれば、P−40の機体に2段2速のV-1730-3を載せれば、おそらくP−51Bとはいかないまでも、かなりの性能向上になったであろう。もともと重武装で被弾に強く頑丈な機体である。実現していれば決して「駄作機」とは呼ばれなかったはずだ。しかし虎の子のパッカードマーリン。搭載するならより機体性能の優れたP−51が優先されたのは当然の理で、P−40はM型以降アリソンに戻されたのであった。なお、エンジンとスーパーチャージャーについては世傑スピットファイアの鳥飼氏の記事が参考になる。

スピットファイアとの比較

 それではP−40FとスピットVを比較しよう。スピットVは1段1速のマーリン45で、P−40Fのエンジンのライセンス元であるマーリンXX(これはスピットには搭載されずハリケーンIIに搭載された)の1段2速とは異なるものの、比較すると面白い。

 速度ではスピットがわずかに優れ、上昇力もスピットが上。機体も軽いので、マニューバビリティでもスピットが上であることは想像がつく。オスプレイ本では、ファイターボマーP−40Fのトップカバーをスピット(時期からみてV型の可能性が高い)が務めたという記述があり、2機の役割分担が興味深い。

Bf109との比較

 アフリカ・地中海戦域でのライバル、メッサーとはどうか。P−40F/Lが実戦参加した時点で、すでにメッサーはG型が出現していた。エンジン出力はメッサーが上。主翼が小さいから(つまり空気抵抗小)、最高速度、ダッシュ力に優れ、優位な態勢からメッサーに襲われたら、P−40に勝ち目は無いように思える。ところがオスプレイ本では結構メッサーを墜としているのである。

 この理由はよく分らないが、機体の性能差以外の部分があるのではないか。P−40F/Lの登場は、独軍が北アフリカで敗走し始めた時期と重なる。負け戦の中で、機体の数の不足、熟練パイロットの損失、受身の迎撃戦で不利な態勢での戦闘などである。また、翼面荷重はメッサーの方が高く、マニューバビリティではP−40が優れるので、これも善戦した1つの要因であろう。


■ 重箱の隅 10/24追加

 D&Sにも書かれてるが、片側3丁の機銃は厳密には横1直線に並んでいない。正しくは、真ん中のが少し上になる。フェアリングの形も相互に異なる。キットは1直線だが、あまりにマニアックだし修正するほどではない。
 P−40LはF型の重量軽減型で、外側の機銃を外して4丁に減らされている。ただし写真を見るとL型で6丁のもあり、これはおそらく現地改修。アクセスパネルは6丁と同じ形で薬莢排出口も片側3個開いている。作品の機体は4丁なので、外側の機銃を切り取る。基部はパッチで塞がれている。

 胴体側面の丸いライトは、当時のカラー写真から右舷側は青色というのは確認できたが、左舷は不明。レストア機では赤のものがあり、翼端灯と同じく左右で赤青なのかも。 このライト、E型にはあるが、F型以降にはないので埋める。



片側2丁に減らされた機銃。主脚付け根のふくらみは、翼と滑らかにつながるようにする。

車輪収容部には姑息なディティールアップ。


■ 士の字の前に

 いつもなら、さっさと士の字にしてしまうのだが、今回はなかなかその工程に進めず、モチベーションが上がらない。士の字になれないのは、後方窓があるため。窓の内側のパーツを接着してしまうと、中にゴミが入っても取れない。だから削りの工程はできるだけそれまでに済ませておきたいのだ。胴体と主翼を接合する前にそれぞれ単体で、削り、スジ彫り、リブ再生などをする。

 最近、主翼や尾翼の翼端部の厚みがすごく気になる。実機のクローズアップ写真などを見ると、こういう部分はたいてい薄く鋭い。いかにも「大気を切って」飛ぶという感じがするのだ。プラモデルではぽってり厚みがあるから、すっきり削ってやりたい。



微妙なカーブのスジ彫りは、2枚重ねのマスキングテープをガイドに、エッチングノコで。


■ 動翼リブ

 キットのリブは、飛行状態ならともかく、静止状態とするには少々オーバー。いつものように削り落としてサフェーサで再現する。削りついでに後縁を薄く削る。特にラダーの下部が厚いが、ここの削りは意外と難しい。ラダー側面は完全な平面でなく「ねじり」が入っているからだ。一度は失敗。ニコイチだから、余りパーツでやりなおし。

 いつものとおり、リブを面相筆で描くのだが、腕が落ちたか上手く細い線が描けない。そこでラダーはマスクして筆塗り。十分に乾燥させ、翌日テープをはがし、ペーパーで軽く表面を整える。
 キットのエルロンのリブのうち、最も外側の1本は間違い。正しくはこれが無くかわりに斜めになる。



まず鉛筆で下描き。この精度が仕上がりを左右するので丁寧に。(←なってねえよ)

テープでマスキング。

できあがり。小アクセスパネルは0.1mmプラペーパー。

エルロンのリブの最も外側の1本は、鉛筆書きのとおり斜めになる。


■ コクピット組み込み〜士の字

 コクピットフロア、バルクヘッド、後方窓の内側を、胴体下側からはめこむ。その前に窓内側をミドルストーンで塗装する。このために調色も済ませなければならないが、詳細は塗装編で。アンテナ柱は、後付けすると瞬間接着剤で窓が汚れそうなので、内側から瞬間パテで接着。

 苦労した後方窓だが、いざ内側パーツを塗装して取り付けてみると、内側パーツの上端とクリアパーツとの間の隙間が結構目立ってガッカリ。この理由を文章で説明するのは難しいが、クリアパーツ上部の湾曲しているところまでが窓のエリアであるがためである。この湾曲が曲者。これは構造上不可避な問題。P−40はこの部分が鬼門だね。

 コクピットを組み込んだら、いよいよ胴体と主翼を接着。合わせは非常によく、感動ものである。



後方窓を取り付けたところ。直接クリアパーツに接着剤をつけないように注意する。

コクピットフロアと後方バルクヘッドも接着。シートはまだ仮りどめ。

削りカスや塗料がコクピット内部に入り込まないように、テープで完全に隙間を塞ぐ。

ようやく士の字。コクピット部にはゴミが入らないようテープでカバー。


■ 喉 11/1追加

 顎から腹(主翼下面)につながる部分だから、ここでは喉と呼ぶことにしよう。士の字になってようやくここの作業ができる。マーリンホークの喉は詳細不明だが、手元の写真からの想像で形にするしかない。アリソン型と異なりラジエーターフラップは左右で分かれ、その間には箱状のものがあって、側面から見ると顎から腹にラインがつながっている。この箱状の部分が何であるか不明だが、サンドフィルターではないかと推測する。この部分、側面からみると非常にビミョーな形、しかも実機写真をよく見ると、バリエーションがあるようで、ますます厄介だ。

 さて、いざこの部分の工作を始めると、顎から腹につながるライン相互の関係を読み間違っているのに気付き、余計な手戻り。顎の後半部に瞬間+プラ粉を盛ってやりなおし。100点満点ではないが、このへんで妥協。
 カウルフラップは、丁度いい具合に湾曲したパーツ(P−40の顎の内側、写真ではグレーの部分)を切り取ってきて、そこに台形に切った0.3mmプラバンを接着する。



「喉」の部分をプラ材やら瞬間パテやらで作っていく。

側方からみた顎から喉のラインが気に入らず、プラ板を貼るなどして、この部分のボリュームを増やす。

修正後の側面形。顎〜喉〜腹のラインに注目。なお、写真は腹を上にして撮って、天地逆にしている。

カウルフラップのパーツ。整形しやすいように持ち手をつける。


■ コクピット再び

 キャノピ接着前の最終工程。シートは写真のとおり、アフターマーケット・パーツを利用して手抜き。シートの塗色で少々悩む。F型でシートがコクピットグリーンとおぼしき暗色で塗られた写真があるのだ。しかし、米軍機で銀色のシートは珍しく、面白さもあってE型とおなじく銀色で塗ってしまう。

 P−40のガンサイトは要注意だ。写真では2種類ある。1つはガラスを両側から三角形の板で支えるタイプ。もう1つはそれが無いタイプ。概して前者は時期的に早く、後者は遅いようである。例えばE型には前者が見られ、またMTOで使われたF/L型には後者が多い。一方F/L型でも他の地域では前者のタイプもある。

 D&SによればP−40のガンサイトの名称はN−3となっている。これが両者のうちどちらかを指すのか、両方N−3でそのサブタイプ違いなのかは不勉強にてよくわからない。他にP−39やP−38でもN−3は使われているようだ。

 さて、キットのパーツはどちらにも似ていない。WEB検索するとカッティングエッジからレジンパーツが出ているが、手元にはない。ジャンクパーツを捜すが、似ているものがない。P−40のガンサイトは、独特の支持架で計器盤に取り付けられているのだ。ということで、仕方なくプラ材から自作。資料はD&Sなど。



シートはウルトラキャスト。秀逸。ベルトはファインモールド。後ろのフレームはキット。

N−3(?)ガンサイトはプラ材からスクラッチ。これでも合計9つのパーツから成るのだ。(そうは見えないけど)


 この後期型(と勝手に呼ぶ)N−3ガンサイトは、フィルターが本体前下方にスライドするタイプもあって、例えば資料−2のカラー写真集にバッチリの写真があるが、これは1/48では再現困難なのであっさりパス。
 また、さらによく調べると、英軍GM−2を装着しているL型の写真もあり(ウォークアラウンドp.62)、なかなか奥が深いぞ。

■ キャノピ接着〜サフ吹き 11/7追加

 細かいパーツ類や、削り飛ばした小突起類がまだだが、モチベーションを上げるためにもキャノピを接着してしまう。キットの可動部キャノピは、胴体パーツに合わせて前下方が三角に切り欠かれている。実機ではもちろん直角で、胴体につけられた三角形(正確には五角形)の板の内側に入り込むようになっている。だから、キャノピ開状態とする場合にはプラ板でも接着して修正する必要がある。この胴体側の小片は、外されている機体もあるので、要注意。

 実機の可動部キャノピの後端と下端にはわずかなRがつけられている。キットでは再現されていないから、ペーパーで角を落とす。前方固定部左側には後期になって小窓が取り付けられるようになった。これまた、有無の法則が不明。F/L型でも小窓なしの機体がある。正確を期すなら写真で確認するしかない。
 この小窓は、実機では開閉できるようになっており、そこにも金属の窓枠が取り付けられているのだが、キットではこれが表現されていないのが残念。正しく修正するなら、キットの窓枠の中にもう一本スジ彫りすることになるので、キットの表現に甘んじる。



キャノピパーツは、まず前後を接着する。断面をグレイやインテリアグリーンで塗装しておく。

接着後、溶きパテで隙間を埋める。ちょっと擦り合わせが甘かったか。反省。


 キットのクリアパーツの透明度は抜群だが、さらにコンパウンドで内外から磨く。手間をかけるだけの効果はある。前方固定部の下端は、接着線がそのまま実機でのガラスと胴体部との境界となっている。あらかじめクリアパーツの断面をダークグレイで塗り、完成後に接着面が目立つのを防ぐ。接着後の隙間は溶きパテで埋め、乾いてからシンナーをつけた綿棒で余分なパテを落とす。

 マスキングは、いつものセロテープ。スジ彫りもハッキリしているので、カットしやすい。ヨンパチなら枠が立体的になっている必要はなく、むしろ境界がダルになるので、私はハセガワのような処理が好みである。で、マスキング終了と思ったら、バックミラー取り付け忘れ。そのバックミラー、キットのはサイズ過大。後部を切り詰め、キャノピに接着してからもペーパーで形を整える。

 ここまで済んだら、いよいよサフ吹きだ。表面の不具合を発見するのが目的なので、極力薄く吹く。



バックミラーはこのくらいの大きさにカットする。

まず一発目のサフを吹く。このあと修正〜サフ吹きを繰り返し表面を仕上げていくのだ。


■ タイヤ

 作品は325FGのオースティン中佐機とする予定であるが、本機のタイヤはダイヤモンドの中に・が入るパターン。ウルトラキャストのレジンパーツはダイヤモンドのみで、それだけで見るには十分なのだが、その中に・を入れようとするとパターンの乱れが気になる。それなら自分で彫ってやろうとエッチングノコ片手にゴリゴリやるものの、ウルトラキャストといい勝負。ここはウルトラキャストのレンガパターンに逃げるかとも一瞬思ったが、ジグを工夫すればなんとかなるのでは?と思いついて試してみる。



トレッドをスジ彫りするため、このようなジグを作る。

ウルトラキャストと比べてみる。


 現物あわせで1.2mmプラ板を組み上げる。上部に斜めに渡したプラ板がノコのガイドとなる。この角度がポイント。当初45度とするが、それだとダイヤモンドが正方形になってしまう。実機は縦長の菱形で、それには55度位がちょうどいい。X字形に彫るには、鏡対称の2個のジグが必要。両者の角度を厳密に合わせるのが第二のコツで、ずれるとダイヤモンドパターンがいびつになるのだが、それに気付いたのは彫り終わった後。

 タイヤを両脇から支えるプラ板はガタつきなくキツイくらいにしてある。で、タイヤが動かないように指で押さえながらエッチングノコで彫っていく。隣の溝との間隔は試行錯誤の末、1.0mmピッチとするが、もっと広くてもよかったかな。ゲージ(といってもただのプラ板だけど)を当てると正確になる。クロスの溝を彫る際は、クロスの交点とタイヤ中心のパーティングラインを一致させるように位置決めする。

 さてその出来栄えだが、簡単なジグとはいえフリーハンドとは格段の差。もうダイヤモンドパターンは怖くないぞ。まあ誰でも思いつきそうなアイディアだから、既に実行してる方もいるだろうが、自分としては久々のヒット発明。ウルトラキャストのおやじ(かどうか知らないけど)にも教えてあげようかな。

■ 細部 11/14追加

 カーチスとハミルトンのブレードは似ているが、よく見ればそれぞれ特徴的な形をしている。キットのプロペラはそう悪くはないがそのへんがちょっと曖昧で、根元が若干細いこともあって、カーチスの「匂い」があまりしない。カーチスのペラは、最大幅がハミルトンより付け根に近いところにあって、前縁はゆるやかなカーブを描き、先端に向かって細くなっていく。プラ板など貼って修正する手もあるが、タミヤのP−47のペラをベースにすれば、削りだけで済む。同じカーチスだしね。

 航法燈の基部は0.1mmプラペーパー。大まかな形に切り出してから、ピンセットにはさんでサンドペーバーで仕上げる。接着は流し込み系だが、つけ過ぎてはダメ。キットの機銃は、これも悪くないのだが、シャープさをアピールするポイントなので、金属に置き換える。その他、塗装前に済ませねばならない箇所をちまちまと仕上げたら、いよいよ塗装だ。



ペラはタミヤのP−47をベースに削る。これぞ「カーチス」ペラの形だと自己満足。

翼の整形で削り飛ばした航法燈の基部は、プラペーパーで再現。

トリムタブのロッドをちまちま工作。本当は下面にもあるのだけれど・・・

機銃は0.9mm真鍮パイプ。L型は4丁だから楽だね。
   



次ページ塗装編へ続く。



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