P-47D バブルトップ 製作記(1/32ハセガワ)
レイザーバック

2007.6.20 初出

●前ページ ●次ページ




最新更新は次ページへ。



 組み立て(続) 9/3追加




■ 主翼リベット

 前回更新でお見せできなかった主翼のリベットが、概ね打ち終わる。できるだけ実機を再現したつもりだが、キットのパネルラインに引きずられて、多少辻褄の合っていない所もある。完全再現するなら、パネルラインから彫り直すべきだが、逆に「キットを活かしつつ可能な限りの再現度でリベットを打つとこうなる」という例として見てもらえれば有り難い。



翼端部を除いて、概ね終了。丸メカの骨組み図面どおりほぼ忠実に再現し、その他にも実機写真から読み取れるリベットラインは可能な限り再現したつもり。しかし、機銃スリーブ取り付け部のパネル位置と翼上面機銃アクセスパネルとの位置関係が不整合。

上面優先としたため、下面は若干の不整合がある。考証も、ちょいと甘いかな。フラップの上側に白いプラバンを貼っているのは、パーツの縁が薄過ぎてリベット打ちに耐えられないため。



■ まだまだリベット

 今度は胴体まわり。次作の参考に、気付いた点のメモ。←まだ作るんかい。←だって1/24のキットまで出るんだもん。
  • 胴体のフレーム、ストリンガーの配置は、丸メカの骨組み図面、実機クローズアップ写真、N型のスケルトン写真から概ね判明。丸メカの胴体フレームナンバーとキットのスジボリを比較すると、若干のズレがある。埋めて彫り直しがベストだが、作品はそのまま。

  • 主翼同様、小アクセスパネルはリベットラインとケンカする。これは予想の範囲内で、埋めて彫り直す。

  • 角丸四角は、2枚のテンプレートを重ねてセロテープで止めると、任意のサイズ、縦横比のテンプレートが作れる。←何でもっと早く気付かなかったの。

  • 手かけの細長四角も同じテンプレート2枚重ね手法。

  • 垂直尾翼は、Bodie本のスケルトン写真から、リブのピッチも含めてほぼ完全再現。垂直安定板のリブとラダーのリブ位置は一致しないのが正。水平尾翼も同様。作品の水平尾翼は通しで打っていて、これは間違い。なお、ラダーのヒンジ凸部、トリムタブの位置は、ビミョーにずれている。作品は修正せず。

  • ラダー下部は、胴体とのつながりでふくらんでいるが、キットはエッジが立ちすぎ。丸めるとともに、後端の厚みを薄く削る。また、ラダーのヒンジラインが浅いから、深く彫り直す。本当はラダーを切り離すとベストなんだけど。

  • リベットラインは、シングル、ダブル、トリプルと、判る範囲でなるべく実機どおりに再現する。シングルの場合、一列直線と千鳥配置とあるが、そこまでは再現せず。

  • 小アクセスパネルのファスナは、たまぐり#6。

  • レイザーバックとバブルトップのリベットラインは基本的に同じ。ただし、胴体前方部(防火壁からコクピット前方までの間)については、アクセスパネルの配置だけでなく、胴体フレームのピッチも異なるので要注意。

  • 防火壁前方の縦スリットは、レイザーバックはバブルと比べ、右舷側が1本多い。彫刻刀などで彫る。




角丸長方形は、こんなふうにテンプレート2枚重ねでスジボリ。



■ 落ち穂拾いその2

 これまでの説明の裏付けとなる画像を掲載。ご参考まで。出典はほとんど下記参考文献-1および-2。文献-2のWarbird Historyは、写真が大判で印刷も美しいため、リベットラインの詳細の把握に極めて有用。なにしろ「生きた」機体の写真だからね。



後期レイザーバックのコクピット内部の塗色がダル・ダーク・グリーンであると思わせる一枚。ヘッドパッドの黒とのコントラストに注目。防弾ガラスのフレームと黒い照準機のコントラストにも着目。

左のクローズアップ。陰で潰れているのではないことが分かる。

D-1の防弾板。お好み焼きのコテ。塗色の明るさと周囲とのコントラストにも注目。明らかにインテリアグリーン。別写真では、初期レイザーバックでは窓枠内側も同じ色だ。

当時のオリジナルカラー写真。チェッカーテイルのレイザーバック製作記で言及したもの。防弾板はインテリアグリーン。脚カバー内側のジンクロイエローとは明らかに色調が異なる。ヘッドパッドは黒。茶色は見たこと無い。脚柱は暗緑色。

これも初期型レイザーバック。内部の塗色はオリーブドラブと比較しても明るい。防弾ガラスフレーム、窓枠内側も明るく写っている。照準機は英軍GM-2。英国に基地を置いた初期の第8空軍所属機に見られるタイプ。

オリーブドラブ塗装機なのに、防弾ガラスフレームが暗い例。しかし、頭部防弾板は明るいような、ガラスの反射のせいのような・・・。機銃スリーブ先端は、通常このようにシールされている。

同じくOD塗装機で、防弾ガラスフレームが暗い例。防弾板は陰ではっきりしない。ガンカメラの位置、イレギュラーな胴体増槽振れ止めに注意。

レイザーバックのコクピット。照準機の支持方式、風防左側の三角小窓から、かなり初期の型と思われる。

N型のコクピット。椅子に肘掛けが無いので、N-10以前の型と思われる。D&Sの現存M型もほとんど同じ。スロットル上方のスイッチ盤を除くと、D中期〜後期もほぼ同じと思われる。棒状のスロットルレバーに注意。

N型の計器板。D後期と比べてもかなりの違いがある。D&Sの現存機M型の計器板はD-30のものに近い。

N型のスケルトン。サービスカット。D型とは胴体だけでなく、主翼の「共通部分」(←意味の分からない方はP-47N製作記を参照願う)も同じと考えてよいだろう。フラップとエルロンも、共通部分はほとんど同じだろう。


主翼前縁のリブは、D型とは配置が異なる。




■ キャノピ自作 9/20追加

 トラペのキャノピは、他のパーツとは違って、そこそこ使えるのだが、細かく見るといくつか問題点がある。まず、可動部の天井部分。丸い断面になるべきが、頂部がつぶれて扁平になっている。また、風防の側面形は、前縁の傾斜が緩い(寝ている)。これはタミヤのミスをそのままコピーした結果。キャノピ下端のめくれ具合ももう一息。また、オーバーなリベットも私にはNGだ。ということで、木型を作ってプラバンを絞る。

 木型の工作は、ヘルダイバーのときと同じ。胴体に載せて、形状、寸法を確認しながら削っていく。とくにレイザーバックの背中との線のつながりに注意する。また、スライドキャノピの横3枚の窓は、すべて平面ガラスである。これも重要なポイント。上から見たキャノピの形は、中央部付近が一番太く、前後は絞られている。風防は先端の角度が重要。平面形での先端の角度、カーブの曲がり具合は、透明なガラスゆえ把握が難しい。いろいろな角度からの写真での胴体との境界線の見え方から追っていく。



木型を作る。まず側面形をきちんと出す。手前は60番のサンドペーパー。彫刻刀で荒削りしてからサンペで削る。

途中省略して出来上がり。均一な厚みで絞るために、斜めにカットされた後端部を延長する。絞ったプラバンを後から磨くから、型をつるつるに磨く必要はない。



■ ヒートプレス

 透明プラバンのヒートプレスは、サイズが大きくなると、とたんに難しくなる。バキュームフォーマー(桃象)や、ヒートガンなど購入して試してみるものの上手くいかない。じっくり加熱するのが1つのポイントだが、持つ手がかなり熱くなる。東急ハンズでケプラー製耐熱軍手というのを発見、3千円以上と少し高価だが購入。しか〜し、家に帰って箱を開けたら片方しか入っていない。片手でサンゼンエンかよ〜。もう片手は軍手2枚重ね。最初からこれでよかったかも。

 プラバンを加熱すると、柔らかくなった部分が中央に集まってくる。この柔らかい部分が型より小さくなるのが難しくなる原因だが、これを型に引っかけるように伸ばしてから下に押しつけると、うまくいく。プラバンは0.4mm厚。大きいとやりやすくなる訳でもなく、B4を4つに切ったぐらいが適当。



熱したプラバンを型に押しつけたところ。ご覧のとおり、端が収縮してくるので、このサイズになると全体を一発で絞るのが難しくなる。

分かりづらい写真だが、これは透明アクリル板(0.5mm厚)を絞ったもの。


 いや〜しかし、サイズが大きくなると、指数関数的に難易度が高くなる。コツをつかむまで、失敗の連続。プラバン20枚は無駄にしたかな。

 また、試しに東急ハンズで購入した0.5mm透明アクリル板でもやってみる。これは収縮しないので、絞るだけなら全然簡単。もう少し大きいサイズ、例えば、1/32や1/48現用機の大きなキャノピでもいけるかも。加熱で表面が曇るが、ペーパー、コンパウンドで磨けば復活する。ただし、その後の窓枠やハカマの加工を考えるとプラがよいかな(アクリルとスチロールって、接着できるんだっけ?)と考え、今回はプラでもなんとか絞れたので、最終的にはプラを使用する。それと、アクリル板は1枚400円程度と高価。まあ、プラバンを何枚も無駄遣いするなら同じか。



絞ったら、モーターツールの回転ノコで切り出し、表裏面の凹凸を#800ペーパーで削る。特に裏面にはピンホールが生じるので、完全に消えるまで丁寧に削る。

切り出して、削って、#1200ペーパーまで磨き、軽くコンパウンドがけした後、下端のハカマを作るため、1.2mmプラバンを接着。裏から白いプラが見えないように黒く塗っておく。

ハカマを荒削りしたところ。ハカマのエッジは、途中まで左右平行なのだが、プレキシガラス部(つまり透明プラバンの部分)は中央が太く湾曲しているのが、このアングルでよく分かる。

全体のイメージをつかむため、マスキングテープの窓枠を貼り、胴体に乗せてみる。ハカマの形がイマイチだな。



■ カウル 9/23追加

 ちょっと前の作業だが、カウルのスジボリの写真をここで掲載しておく。同じ形のものが何個もある場合は、テンプレートを自作するのが一番。隣接するファスナ位置を揃えるためには、2つの孔をあけてやれば解決。このファスナ、端部が「凸」字形をしていて、これがやっかい。ここだけは、別にエッチング・テンプレートで。

 スジボリ、リベットが終了したら、エンジンをしっかりカウリングに接着する。胴体から、エンジンを介して、カウルが固定されるので、しっかり確実に。エンジンとカウルに隙間があるので、1.2mmプラバンの接着ベロを取り付ける。



ファスナのスジボリは、0.3mmプラバンの自作テンプレート。位置決めはエンピツの下描きが頼り。セロテープでしっかり固定する。



■ カウルフラップ

 カウリング改修に伴い、キットのカウルフラップパーツは使えない。閉じた状態の再現なら、プラバンを接着してスジボリすればよいが、開いた状態で重なった部分の段差を表現しようとすると、難しい。ディティール、強度ともに満足する工作法に頭を悩ます。結局、フラップ本体は0.5mmプラバンとし、お湯で曲げくせをつけて、ばらばらに切り離す。それをアーチ状に切り出した0.3mmプラバンの上に貼っていき、隙間を楔形に切った0.3mmプラバンで埋める。



0.3mmプラバンの上に、0.5mmプラバンを1枚ずつ貼っていく。接着は流し込み系なので、十分に枯らせてから削りだす。

カウルフラップの隙間にはくさび形のプラバン。計算では0.5-0.3=0.2mmの段差になるコトになっている。


 これで、当初の目論見どおり、かなりの強度となる。数日置いて、表面を均し、カウルフラップにリベットを打つ。過去2作、きれいに揃えるのに苦労したので、今回はテンプレート作戦。結果的にこちらの方が楽。



見づらい写真だが、0.2mmプラバンでテンプレートを作る。



■ ダブルワスプの後ろ姿

 今回は、フラップダウン、キャノピオープンにするつもり。ならば、カウルフラップもちょい開けにしてやろう。そうすると、カウルフラップの隙間から、エンジンが見えるかも。ということで、トラペのエンジンパーツを使って、ダブルワスプの後ろ姿を再現。ハセガワのエンジンの後ろに「ぺたっ」とくっつけるだけ。カウルフラップの内側にもはったりでリブなど再現。このあと、フラップ操作ロッドも取り付けたが、カウルフラップの開度がわずかで、ほとんど見えず。



トラペのエンジンパーツは、それなりによく出来ている。しかし、結果的に完成後はほとんど見えない。ハセガワのエンジン裏は上写真をご覧いただきたい。



■ 機首脱着機構

 引っ越しのことを考えると、完成品を日通の標準段ボール箱のサイズ内に収めたいが、全長が機首分だけオーバーする。完成後も機首を取り外しできれば問題解決だが、ポリキャップをうまく使えば出来るのではないかと、あれこれ考える・・・。

 カウル側(オス)は、1.2mmプラバンに2.0mm真鍮棒のピンを4本植える。胴体側(メス)は、1.2mmプラバンに真鍮棒の通る穴を4つ開け、その後ろ側にポリキャップを取り付ける。これはタミヤ1/48モスキートのプロペラハブを流用。前作で2キット買って沢山余ってる。

 試作したところ、4本全てにポリキャップを仕込むと、きつすぎて脱着が困難。ピンは4本残して、ポリキャップは2つだけにしたところ、これでも取り付け強度は十分。カウル側と胴体側の1.2mmプラバンは、重ねておいてピンバイスで開孔すれば、位置がズレない。

 カウリングにエンジンをしっかり固定し、エンジンには後方からエバーグリーンのプラパイプを差し込み、そのプラパイプをカウル側1.2mmプラバンに接着すれば、カウルが固定されるというわけ。パイプとプラバンの接着強度と精度がポイント。そのため、イモ付けでなく、パイプの直径にくり抜いた1.2mmプラバン(下写真で四角形)を介し両者を溶剤系接着剤でじっくり位置決めしながら接着する。←最初イモ付けで失敗した奴は誰だ?




カウルと胴体の「脱着機構」。グレイの円筒は、タミヤモスキートのプロペラハブ。この中にポリキャップが入る。

エバーグリーンの丸パイプをエンジンに突き刺さして接着するわけだ。パイプのグレイの帯は、ハセガワのエンジンパーツの内径に合うように巻いた0.14mmプラペーパー。



■ カウルフラップの位置

 表にも書いたが、カウルフラップ下端とオイルクーラーアウトレットとの位置関係が不正確。作品は、キットオリジナルと位置関係を変えていないから、キットを素組みした場合にも、こうなる。フラップ下端を2mmほど切り詰めれば、位置関係は正しくなるが、今度はカウルのパネルラインとの位置関係がおかしくなる。ということで、悔しいが修正しない。チェックしなかった私のミスだが、こんなとこまで手間を取らせるなよ!(怒)と言いたい。


■ 士の字 10/19追加

 ようやく、主翼を胴体に接着。ハセガワキットは、翼桁に相当するパーツで強度と上反角を保持するようになっているのだが、これがユルユルでそのままでは使い物にならない。このパーツに1.2mmプラバンなどを接着し、主翼内部に設けたプラバンの桁と密着するように調整し、溶剤系接着剤でがっちりと接着する。胴体高さの修正などで翼と胴体の位置関係が変わっており、微調整を余儀なくされる。

 上反角は翼上面で4度とする。上面側の隙間を調整するのが精一杯で、下面側には段差、隙間が残り、これを埋めたり、削ったりに手間を食う。その後、この部分にスジボリとリベット。これも結構手間を食う。士の字になると、モノがでかいだけに、取り回しも要注意だ。

 さらに、右翼付け根の操縦席空気取り入れ口とガンカメラ窓を仕上げる。右エルロンの固定タブは、これまで作業の都合で切りとばしていたので、プラバンで追加する。強度が出るよう、エルロン下面側を削り、そこにはめ込むように0.3mmプラバンを接着。上面側は、タブの形に0.2mmプラバンを接着し、段差モールド状とする。



翼と胴体下面の取り合いは、実機と少々異なるのが残念。

空気取り入れ口(右)とガンカメラ(左)。前者には0.14mmプラペーパーで枠をつける。

右エルロンの固定タブ。工作中の破損を防ぐため、タブの前後長は余分にとってある。最終工程で正しい長さに切りつめる。

機銃穴付近にも小判形のスジボリ。機銃穴の位置、キットのパーツ分割とスジ彫りの違いも見ていただきたい。


 実機写真と見比べると、下面側の主翼と胴体の取り合いは、キットと実機とで相当の差がある。具体的に言うと、正しくはもっと外側(翼端寄り)から、胴体へのすりつけカーブが始まっている。1つ例示すれば、実機はフラップの内側端部のちょい手前からカーブが始まって、フラップ端がめくれた形になっているが、キットはそうでなく真っ平ら(タミヤはこの点に関しては正確)。しかし、目立たないところでもあり、修正せずそのまま。

 ついでに言うと、腹の部分のスジボリ関係も今ひとつ不正確。その影響で、カウルフラップ下端とオイルクーラーフラップとの位置関係が違っているともいえる。詰めが甘いな。


■ 続、キャノピ

 窓枠を追加する。エバーグリーンの1.3mm厚透明プラバンを、塗装用シンナーで薄めたタミヤの緑フタで接着していく。窓枠の太さは、場所によって異なる。上部の湾曲部は、先にプラバンをしごいて曲げておくと接着時に割れない。接着剤を枯らした後、機体内部色を塗ってからサフェーサを厚塗りして、表面の凸凹を均す。



エバーグリーンの透明プラバンにて、窓枠を1本ずつ接着していく。

トラペのパーツ(左)と自作パーツ(右)。頂部のカーブを正しく再現したことで、よしとしよう。

計器板前方部は、完成後も風防越しによく見える。円弧状のものは胴体フレーム。その前方には斜めになった防弾板がある。

風防を仮に載せてみた状態。まだ若干の調整が必要。



■ 小物 11/5追加

 基本形ができあがりつつあるので、並行して小物を仕上げていく。こうやって、1つ1つが出来上がっていくと、それなりに満足感があって気持ちにもハリが出るね。


シート

 1/32を作っていて感じるのは、1/48に比べてアフターマーケット・パーツが充実していないこと。エッチングのシートベルトの入手に苦労する。あちこちの模型店を探して、エデュアルドのF4Uコルセア用コクピット・ディティールアップのセットを辛うじて確保。税込み2,415円ナリ。

 高価だけど、ベルト以外に使い道がない。肝心のベルトはオーバースケールで大味な出来。しかも薄くて実感に欠けるし、折り曲げ部の強度も心配。それでも自作よりはマシと、我慢して使う。エデュさんも、最近はアコギな商売しよるのう。ここらでファイン・モールドあたりから、汎用WW2米軍機シートベルトを出してくれんもんかのう〜。←これが言いたかったのだ。(ついでに独、日、英もよろしくね)

 ベルト幅は、実機写真から割り出すと2.3mm(腰ベルト)と1.6mm(肩ハーネス)なのだが、そのとおりにするとエッチングの金具と幅が合わないので、気持ち太めに作る。エデュのインスト図にあるベルトの取り回しは少々不正確。これも実機写真を参照するが、完全にフォローすると煩雑な感じになる。すっきりさせるため適当にウソをつく。

 シートはハセガワ。縁を薄く削るのみ。シート背面のフレームもハセガワパーツ。上部の横棒を1.2mm真鍮パイプに置き換える。



エデュアルドのエッチング製F4Uコルセア用コクピット・ディティールアップ・セット。

エッチングは金具のみ使用し、ベルト本体は、釣り用の鉛板。シートに取り付けると、ちょっと幅が太いな。ベルトはセールカラーで塗装。



エンジン

 ギアケースのベースはハセガワ。ただし補機類の形状が不正確で、これはトラペのパーツを移植。とはいいつつ、正確なところがいまいちよく分かってないので悪しからず。なにしろダブルワスプR-2800はベストセラーエンジンで、生産期間が長く、サブタイプが多いのだ。現存レストア機に積まれたものなんて、オリジナルかどうか分かりゃしない。



エンジンギアカバー付近。塗色は自作エキストラ・ダークシーグレイ(シーファイアで使用)だけど、少々暗すぎか。クリアを吹いて艶を出す。

ハセガワオリジナルパーツはこちら(再掲)。この型式では、馬蹄形のプラグコード基部が平板になっているのは、多分間違い。



プロペラ

 ハセガワを使用。キットはブレード先端部が異様に厚い。モノがでかいので、削るにも時間がかかるが、丁寧に削ればちゃんとした形になる。なお、ブレードはどこで切っても、ちゃんと翼型断面をしている(翼厚比と迎え角は異なるけど)ことを念頭に削るべし。ま、考えようによれば、薄いのを盛るよりは厚いのを削る方がなんぼかマシ、とも言える。



先端を中心に薄く削る。上:削ったもの、下:キット。

スピナ基部も0.2mmプラバンに置き換える。



コクピット背部

 防弾板は0.5mmプラバン。トラペからヘッドパッドの部分のみを切り取って接着する。その後方は1.2mmプラバンの箱組み。頂部はエバーグリーンのプラパイプ。



とりあえず仮り組み。まだ、高さの調節が必要。



小突起類

 タブ操作ロッドカバーなど、整形の都合で切り飛ばした突起類を再生。基本的には、キットモールドをナイフで切り取っておいたもの。



エルロンのヒンジカバーは切り取ったパーツに0.14mmプラバンのベースをつける。ベースはプラバンのテンプレートで切り出す。

ラダーのタブロッドと航法灯基部を接着した状態。



インタークーラー・アウトレット

 1/32が1/48と同じ工作なら、大きい分だけ1/32が大味に見えてしまう。1/32ならではのアピールポイントが欲しいところである。そこで着目したのが胴体側面のアウトレット。この上下端にはスリットがあり、スライドドアの上下端がそこに入り込む構造になっている。これを再現したモデルって見たことないなあ、ということで、再現する。まあ、たいしたアピールポイントではないけど。

 ところで、キットのスライドドアは、同社1/48キットと同じ間違いをしている。タミヤを参考に幅5mm強に切りつめる。



アウトレットの上下端はスライド・ドアのエッジが入るようにスリットがあるので、0.2mmプラバンで再現。ドアは仮り組み。

ドアはもっと前進してから外に開く。左キット、右修正後。



翼端灯

 こいつも1/32ならではのアピールポイント工作と思い、ヒートプレスで薄い透明カバーを再現しようと、木型も作りトライする。ところがサンダーボルトの場合、エッジが尖っていることが災いして、うまい具合にいかない。要するに、抜きの都合で尖らせられないのと、端部の厚みが見えてしまい、これはこれでスケール感を損なうというわけ。ということで、従来どおりのムクの透明ランナーの削り出しに逃げるか。



翼端灯カバーの木型。

結局、ボツ。



尾脚カバー

 どうでもいいことだけど、キットのパーツは形がヘン。胴体の開口部に合わせれば一発で分かるけど。角が鋭角になるわけないでしょ。あちこち詰めが甘いんだよな、このキット。(嘆息)



左キット、右修正後。赤丸部は直角が正しい。右は修正により長さが短くなっているが、胴体に取り付けても目の錯覚で見た目には違和感ない。



続、キャノピ

 風防下端の窓枠の位置がずれていることに気づき、やりなおす。ガラス窓が広がる方向の修正なので、枠を削り取り、ガラス面を磨き、再び枠を接着、と手間がかかることこの上なし。その他、キャノピ窓枠にスジ彫りしたり、縁を薄く削ったり。

 さて、通常の私の製作手順では、風防&キャノピパーツを胴体に接着、整形してから基本塗装に入るのだが、風防接着のためには内側の防弾ガラス、照準機を先に取り付ける必要がある。そこで今回は風防を未接着のまま基本塗装に入る。風防周囲はオリーブドラブ塗装なので、後から風防部のみ塗装しても違和感ないだろう。



分りづらい写真で恐縮だが、風防、キャノピの端部を階段状に薄く削っている。








次は基本塗装。






前ページ 次ページ

HOME