II号戦車F型 タミヤ 1/48 製作記 その2

2020.6.30初出



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最終更新日



■ 最終組み立て 1/8追加

 予想外に長くなったので、新ページ。残る工作を片づける。キットのままの砲塔正面曲面部が厚いのが気になり、削って薄くする。ついでに溶接跡も表現。キューポラのハッチを接着。ステーは弱いので見えないところでしっかり補強。キューポラ前の跳弾板を追加。消火器も新たに3D設計。同じファイルにジャッキの端板(というのか知らんが)の設計も追加。ただし作品は未使用。



正面装甲板の溶接跡を延ばしランナーで追加。緑フタで柔らかくしてから、ピンセットで押さえて凸凹をつける。

雑具箱の後方には工具箱(たぶん)があるようだ。ついでなので3D設計。雑具箱のファイルに追加して差し替えておく。

消火器はPhoton+水洗いレジンだとディテールがもっさりしてるな。ジャッキ取付金具をプラバンで追加工作。

雑具箱新設に伴い削り落としたバールは延ばしランナーで。OVMのクランプを前回IV号の残りパーツで追加。


 補足。前回疑問だった右後部フェンダーの滑り止めは、「なし」が基本で「あり」も見られるが理由は不明、とのこと。情報感謝。ということで、作品は削り落とす。右フェンダーの工具箱の後方には何かのOVMがあるみたい(S字フックとクランク棒??)だが、詳細不明で省略。

 予備履帯の取付は、現地改修なのかバリエーションがあり、転輪ガイドの上下を二枚の止め板で挟むタイプと、中央に一枚のタイプがある。後者の場合、IV号のようにラックに上から差し込む訳にはいかない。実際は履帯を仮止めして止め板をネジ止めするのだろうが、これが両端の側面装甲板の端部に止めるタイプと、前面装甲板から生えた棒にネジ止めするタイプとあるようで、作品は後者を再現する。ただしネジは省略。

 ついでにいうと、雑具箱やOVMの配置もバリエーションがある。左フェンダー後方にも雑具箱を置いた車両では、右前フェンダーにジャッキが搭載される。作品のようにバールが置かれる場合は、フェンダー補強板の当該部分は切り欠かれる。


■ サフ吹き

 以上で、組み立ては同軸機銃を残して終了。再度サフを吹く。



4Kプリンタの表現力のおかげで、1/35のディテールを1/48にぎゅっと濃縮した感じ。



■ 最後の3D設計

 II号戦車としてはたぶん最後の3D設計。IV号E型はもう少し続くかも。



消火器の考証は甘い。悪しからず。

C型排気管も、細かい穴のバージョンを設計する。ピッチはF型のときと同じで、実車はもっと細かい。以前の設計も残しておく。

C初期型の曲面装甲板。考証は甘い。タミヤ1/35が「参考」になる。キットは持ってなく、同社HPの写真で。

IV号E型前上部装甲板。追加装甲板(およびその取付部品)は、一体でも別々でも出力可能なように設計しておく。


ダウンロードファイル一覧




■ C初期型の製作

 お試しで、丸い前下部装甲板をプリントしたら、なんだか作りたくなる。もっとも、モノが小さく部品も少ないから、あっというまに形になる。なおC初期型という名称は当頁における便宜的なもの。



基本的には、キットを切り取って3Dプリントに置き換える。ギアケース端部も設計しているが、出力せずキットパーツを使う。

装甲板下部は無駄に出力時間がかかるから、出力せずにプラバンを使う。履帯は頂き物の2Kサンプル品。

排気管も2Kサンプル品。穴のピッチは従前のタイプ。ルーバーを細く削ってみる。

砲塔前面装甲板はキットの追加装甲板部分を取り去る。車体の吊り下げフックの位置が違ってるな。後で直そう。


 補足。初期生産型は、キットの前期生産型(名称は便宜的)と比べて車体上部および砲塔の追加装甲板がない。正しく再現するならその厚みを削り取るべきだが、作品は砲塔の曲面部と車体正面のみ薄くして、あとはボルトを削ってナンチャッテ表現。排気管に発煙弾を付けたいのだけど、ポーランド戦当時にあったか不明で止めておく。

 お試し品の前下部装甲板にキットのギアケースを取り付けると、若干隙間ができる。曲面部の直径を設計修正して再出力すればいいのだけど、面倒くさいからそのまま行っちゃう。お持ち帰りファイルは修正済み。牽引フック上部は非常に折れやすいので、パーツの切り出し、積層跡の整形には注意されたし。別ボディにしてるので、ここだけタフレジンで出力するのがベストかも。


■ C初期型塗装 2/8追加

 F型の塗装はもう少し熟成。先にC初期型を塗装する。以前作ったC前期型と差別化したいなあ。参考文献にはポーランド戦でグレイ/ブラウンの2色迷彩の塗装図があるなあ。2色迷彩のI号やIV号のカラー写真があるから、II号にあってもいいんじゃない? ということで、私の知識では真偽は定かでないが、カッコイイのでこれにする。モノクロ写真で単色に見えるのは、2色の明度差が無くて単色に見えると考えよう。迷彩パターンは塗装図によって様々。実車写真では2色の区別がつかないから、ここは好きなパターンで塗ることにする。

 では調色。前作は暗めのグレイ。今度はAFV模型で一般的な明るめのグレイを試してみる。退色が進んでこんな感じに見えるカラー写真もある。緒戦のポーランドでこんなに退色してるかはこの際不問。ジャーマングレイは、シーフュリーの自作エクストラダークシーグレイ(EDSG)とハンターの自作ダークシーグレイ(DSG)−どっちもやや青め−を2:1程度。ブラウンはそれとレッドブラウンを半々程度。

 軽くサフを吹いてから本塗装。境界は0.2mmピースのフリーハンド。塗ってみると、明度はいいとしてブラウンの隣だとグレイがかなり青く見える。なんか架空戦隊みたいで嫌なので、ビン生EDSGとビン生DSGの2:1を上吹き。ブラウンも当初のはモノクロ変換したときに2色迷彩に見え、明度を上げて上吹き。

 足回りはダークアース、レッドブラウン、EDSGを適当に混ぜて下塗り。履帯も同色。ホイルは、自作ジャーマングレイにダークアースを混ぜ、ゴムはもう少し暗いグレイを筆塗り。ウェザリングは、まず水溶きウェザマス各色でウォッシング。エッジには、ダークグレイとレッドブラウンのドライブラシと極薄黒のエアブラシ細吹き。足回りと車体後部にサンド系をエアブラシして埃表現。履帯の接地面などに鉛筆粉。

 最後にポーランド戦特有の白十字。実車はフリーハンドの刷毛塗りで形もいびつだが、筆塗りでやると単にヘタクソに見えるだけのような気がして、マスクしてエアブラシする。考証は厳密でなく、車両番号も省略。まあ雰囲気ということで。


■ C初期型完成

 ということで完成。



同軸機銃はナノアビのMG131。ボケ足が広くてヘタレやのう。Mr.ペタリか何かでマスクすればよかったかも。




3Dの履帯が足元を引き締めてくれる。最後の最後に牽引フックのピンが折れる。ヂクショー!




排気管はレッドブラウンにウェザマスのアカサビを混ぜてドライブラシ。ちょっと穴のピッチが粗いけど、48としては十分。





モノクロ変換してみる。こんな感じに見える写真もあるのでは?



■ AusfF 塗装開始 2/19追加

 F型も塗装に着手。イメージは、北アフリカでの米軍捕獲車両のカラー写真。グレイ塗装の上にサンドをオーバーペイントしているようだ。サンドの色調は、これがトローペン1なのか2なのか、はたまた別の塗料(英軍?、現地調合?)なのかは知らないが、とにかくこの写真に合わせ、C45セールカラー、タミヤLP-77ライトブラウン、C39ダークイエローを4:2:1ぐらい。タミヤの新色は赤味が強く、セールカラーと混ぜるとピンクといった方が近い。それを青味のあるダークイエローで戻す感じ。

 グレイにサンド上塗りなので、当初はシリコンバリア剥がしと思ったが、写真のサンドはペリッと剥がれたように見えず、グレイのドライブラシで表現することにしよう。ということで、サフの上に自作サンドを吹いていく。暗色立ち上げ法ほどグレイを残さないが、完全にサンドが発色するまででもない。グレイの上の黄色系は赤味が発色しない(黄色に黒を混ぜると緑になる)ので、最初はセールカラー+ライトブラウンを吹き、赤味が乗ったところでダークイエローを混ぜる。

 OVMはよく分からないが、サンドでオーバーペイントされたというのは十二分にありうる。少なくとも予備履帯はサンドで塗られている。



オリジナルカラー写真をどこかのサイトから拝借。履帯の色はサビと埃の混ざった茶色。ガンメタルはどこにも見えない。

再掲。黒混の暗めのサフの下塗り。

サンド吹き付け中。足回りの奥まったところは適当な茶系を塗っておく。履帯と転輪ゴムはまだ。

基本塗装とウェザマス暗色のウォッシングまで終了。転輪ゴムはEDSGの筆塗り。履帯はダークアース+グレイの筆塗り。


 筆塗りは、シャブシャブの塗料を何回も薄く重ねていく。このあと、サンドの剥がれと埃系の汚し。


■ IV号E型3D設計

 今回は砲塔ハッチと車体側面の増加装甲板。寸法はキットを採寸して決める。ダウンロードリンクは、IV号E型製作記にある。



ハッチと雨樋は一体出力して、ペタンと砲塔に貼り付ける算段。ヒンジ基部は別ボディで、開状態も可。

裏面は別ボディで設計。積層跡が出るから、立てて表裏一体出力は不可。開のときは表裏薄く削って貼り合わせる。

増加装甲板。折れやすいフックは、タフレジンで別出力するのがいいかな。

排気管も設計中。こんなのキットパーツを加工してプラでも簡単に作れるが。お試しプリントしたらリンクを掲載する。




 E型、だいぶ揃ってきたな。あとは発煙弾格納箱と前照灯、尾灯、ホーンくらいか。


■ ウェザリング 3/1追加

 早3月。当地の宣言も解除され、もうすぐ春だな。

 さて、ウェザリング。サンドがこすれて下地が露出した表現として、EDSGをドライブラシ。サンドを少し混ぜてトーンを弱めるといいみたい。キューポラや予備転輪などは面相筆でチッピング的に描き込む。これらは全てラッカー系。あとはいつもと同じ、すなわち、水溶きウェザマスのウォッシング(サビとサンドと両方)、エッジに暗色ドライブラシ(EDSGとレッドブラウンを使い分ける)、グリルや排気管に暗色エアブラシ、履帯等に鉛筆粉。今回汚しは強め。ちと汚らしいな(反省)。お手本の実車写真はもっとグレイが露出しているが、私のセンスではこのあたりが限界。

 実車の車体前方ハッチの裏側はグレイ。真似してキューポラハッチ裏面をグレイに塗る。同軸機銃は、ファインのナノアビエーション。マーキングは、手持ちのDAK記録写真でターレットナンバーの見本を探すが、いいのがなくナンバーなし、鉄十字のみとする。これはIV号H型のデカール。サンドを軽く吹いて黒のトーンを下げる。最後にセールカラーを全体にふわっとエアブラシして埃感を出す。お荷物類は面倒くさいのでなし。


■ 完成

 以上で完成。写真も撮る。3Dプリンタによるプチ改造は、今回も上手くハマってくれて満足。ファイルを活用いただけると嬉しい。C型後期ならキューポラと雑具箱の追加のみで出来る。素組みでも履帯と排気管は効果アリ。

 4K、2Kのモノクロ印刷による履帯と排気管は、エッジがシャープでクリスピー。作品のクォリティ向上に貢献度大だ(改めてサンプルご提供感謝)。比較のためPhontonにて通常レジンで印刷したところ、やはりエッジがダルい。この差はレジンの違いよりはプリンタの違いの方が大きいかな。真剣に買い替えを検討中。でも在庫切れなんだよね。今注文して、届くころに値段が下がってたらショックだしなあ。



























 さて、次回作はご想像どおりIV号E型の予定。




■ II号戦車ダウンロード一覧


キューポラ  ●DL

雑具箱  ●DL

F型前上部装甲板  ●DL

F型前下部装甲板 ●DL

F型牽引フック  ●DL

F型前下部装甲板両端  ●DL

前下部内壁  ●DL

履帯  ●DL

予備履帯  ●DL

F型誘導輪  ●DL

予備転輪  ●DL

F型後上部スリット  ●DL

F型排気管  ●DL

F型排気管(細ピッチ)  ●DL

C型排気管  ●DL

C型排気管(細ピッチ)  ●DL

F型発煙弾格納箱  ●DL

F型防盾  ●DL

吊り下げフック  ●DL

消火器  ●DL

C初期型前下部装甲板  ●DL



■ 参考文献

 II号戦車とその派生型のモノグラフ、およびIV号戦車参考文献と重ならないものをリストアップ。意外と少ないな。


1 Armor At War 7066 German Leichte Panzer at War Concord
2 New Vanguard 026 German Light Panzers 1932-42 Osprey
3 Duel 66 Panzer II vs 7TP Osprey
4 Wydawnictwo Militaria 109 PzKpfw II Luchs Aufklarungspanzer 38(t) Wydawnictwo Militaria
5 Wydawnictwo Militaria 161 Pzkpfw II vol.1 Wydawnictwo Militaria
6 Wydawnictwo Militaria 182 Pzkpfw II vol.2 Wydawnictwo Militaria
7 Wydawnictwo Militaria 209 Marder II Wydawnictwo Militaria
8 Wydawnictwo Militaria 233 Wespe Wydawnictwo Militaria
9 Wydawnictwo Militaria 333 PzKpfw II Wydawnictwo Militaria
10 Armor in action 2010 Leichte Panzers in action Squadron/signal
11 Waffen-Arsenal 019 Panzer II Squadron/signal
12 Nuts & Bolts 02 Wespe Sd.Kfz.124 Nuts & Bolts







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