ホーカー シーフュリー FB.11 エアフィックス1/48 製作記

2018.5.25初出

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■ はじめに 

 静岡HSが終わり、気分も新たにニュープロジェクトを開始する。お題は予告どおりエアの新作シーフュリーだ。同社HPで紹介されているように、本キットは実機の3Dスキャンで、仮組みしてみると胴体&翼の基本形状は完璧。修正の必要全くなし。ただし、キャノピは確信犯でΩ断面がスルーされてる。製作コンセプトは、キットなりにサラリと作る。切った貼ったしない分、各部を「キレ」よく仕上げたい。キャノピ(場合により風防も含む)だけ自作。翼は展開で固定。リベットは打つ。マーキングは朝鮮戦争参加機の予定。

 今回も製作のお供に図面を描く。ただし、本機は胴体・翼のステーション値が不明で、いつもの手法が使えない。そもそも3Dスキャンならばインストにある図面の基本形状は正確だと考えてよいだろう。したがってこれをベースにしたリベット図とする。


■ コクピット

 飛行機モデルの定石に従い、まず最初にコクピットを製作、ってヨンパチでこういう作り方は久しぶりじゃのう。当初はキット素組みでいくつもりで、壁とコンソールを黒く塗るも、フライトマニュアルなどを見ると追加/修正の余地がある。つうことで、なんちゃってディテールアップで、7割程度の再現度。100%目指そうにも、機器の配置や塗色が不明(資料により異なる)だからしょうがない。



キットパーツにキットデカール(余白はトリム)を貼り、フューチャーをたらす。

側壁のディテールは、同社通例でかなり甘い。

フレームをプラバン、機器類はキットを加工または自作。ペダルはキットパーツにプラペーパーの輪っか。キットより手前に接着。

レバーは真鍮線の先に瞬間をつけてプラ粉に突っ込む。配線はガネットで買った0.3mm鉛線。

レバーの配色はフィクション。キットは操縦桿の位置がやや後ろだがスルーする。

操縦桿前方の床上にコンパスが置かれる。後で付けられるものは後回し。



■ 一の字 6/6追加

 コクピットが概成したら早々に胴体接着。過去に溶剤系を使い接着線がヒケた経験(1〜2年後に現れる)があり、今回は瞬間のみ使用する。割れないように内側からプラバンで補強。排気管後方無塗装金属部分にアルミ板を仕込む。まず、プラをアルミ板の厚み分だけ掘り下げる。カウルは、中央部分が前後より細い。上下接着部にプラバンを挟んで直径を拡大する。そのままでは、カウル先端からのカーブがつながらない。



一の字になる。翼桁パーツは未接着。

金型の不具合なのか、右舷のみ排気管後方のスリット部がめくれた状態になっている。

端部を切り取ってプラバンに置き換える。

左舷にある小丸窓をクリアランナーで透明化する。

排気管後方無塗装部を一段下げる。

カウル中央部分の接着部には0.5mmプラバンを挟み、直径を一回り大きくする。



■ 主翼

 主翼折り畳み再現のため、内外翼で部品が分割される。ところが接合部直近に機銃ブリスターがあるので整形が厄介。ブリスターを基部ごと切り取り、プラ材でツライチに整形、その後にブリスターを接着する算段。



オリジナルの右舷内翼パーツ。

ブリスター部をプラ材(キットの不要脚カバーを流用)で置き換える。



■ 続、主翼 6/19追加

 このところ、「自炊」が忙しくて模型が捗らない。なにしろ西の方面より大量の「食材」を提供いただいたのだ。しかも「調理器具」が安物で1頁あたり1分もかかってもう大変(←え、何?頁って?)。

 さておき、脚庫パーツを取り付ける。現存機を見る限り、内部には複雑なパイピングがあるが、内臓には凝らない主義なのでスルー。また、プラの厚みのため全体に深さ不足だが、これもスルー。前から見えるフチを薄く削るのみ。外翼下面には航法灯のための透明窓がある。DVDケースを使って透明化。ふと気が向いて、フラップを下げることにする。ま、姑息な見せ場づくりだな。



脚庫のフチを階段状に削り、正面から薄く見えるようにする。

防火壁と一体となった脚庫側壁パーツは、インストと組む順番を変えて、先に翼下面に接着する。

フラップを切り離す。フィレットの一部も一体にカットすると楽。脚庫の押しピン跡はパテ埋め。

航法灯の窓をDVDケースの透明プラに置き換える。このあと、フラップをカット。



■ アルミ細工 6/26追加

 主翼パーツを接着するためには、下面の航法灯を作らないといけない。いつものとおり、「ぐりぐり」したアルミ板と透明塩ビを3mmポンチで抜いて作る。詳しい工作法はセイバー製作記あたりを参照。さて、シーフュリーの機体内部全般は、ホーカーイエローと呼ばれる独自の内部色で塗られている。写真の印象は、ジンクロイエローのようなセールカラーのような。ということで、両色を1:2で混ぜる。



左舷がアンバー、右舷の赤青の並びは諸説あり。左舷の取付フレームは実物と違うけど雰囲気で。

ついでに胴体窓の中にも壁を設置。本当はリング状のハンドルがあるけど無視。


 3色航法灯、現存機では赤青の前後が逆のパターンもあるらしい。真実は不明。情報求む。続いて、アルミ板を出したついでに、排気管後方部も工作。久しぶりのアルミ職人だ。



0.2mm板を使う。キットパーツに合わせて成形。上下に折れ線が入り、中間部は強い凸曲面なので、難易度は高い。

いつもならエポキシを使うが、この1枚きりなので瞬間で。板を仮止めして周囲から瞬間を流す。

プラには小穴を開けておき、裏側から瞬間を充填する。

整形し、ざっと磨いたところ。


 補足。アルミ板の上下端は、プラパーツを凹ませてあり、表面がツライチになる。中間部の後端はアルミ板の厚み分の段差。中間部前端は、アルミ板貼り付け時は段差ありで、瞬間を盛ってツライチに。


■ 続々、主翼

 航法灯が出来たので、主翼上下内外を接着する。上反角が悩ましいところ。手元のマニュアルでは、内翼0°、外翼5.5°となっている。一方、実機写真を解析すると6°強。ただしこれは飛行中なので、揚力がかかっている。キットを測ってみると概ね5.5°で正確なのだが、主観的には上反角不足気味に感じてしまう。空撮写真を見慣れているせいかな。

 モケイ的にはすこし「辛め」の方が締まって見えて好きなので、あえてパーツを折れ曲がり部で少し曲げて6°弱くらいにしてやる。なお、キットは胴体と主翼のはめ合わせがきつく、そのままだと内翼に下反角がつき、その影響で上反角も甘くなるので要注意。



フラップを切り離したので、断面にプラバンを接着する。脚収容部の追加工作として穴を開ける。

まず、前々回更新時に一体化した上側パーツを接着。当機、ねじり下げはない。

次に外側下面を接着する。凹み防止にランナーのつっかい棒を入れる(黄色)。

上反角の変化点は、谷折り線となって、サンディングが難しい。「ぴしっ」とした折れ線にするため、テープでマスキングする。


 主翼形状、緒元等の詳細は、平面図掲載時に解説する予定。実は、キットも手放しではないのだ。


■ 側面図

 お待ちかね?の図面は、まず側面図から。最終目標はリベット図なんだけど、とりあえずベースのリベットなし図を見ていただく。当キット、3Dスキャンと謳っていながら、スピナやキャノピなど実機と違う箇所がちらほら。詳しくは以下の解説で。黒は実機、赤はキット(インストの三面図のトレース)。お気づきの点は連絡願う。平面図も作成中。



  • 当機のステーション値が不明なため、キットの胴体長(カウル後端〜垂直安定板後端)を基準として写真を合わせる。結果として、フック除きの全長は34'7.5"=415.5"程度となる。文献では34'7"、34'8"といった記述がある。

  • キットのスピナは丸過ぎる。また、風防は後端フレームが後傾し側面窓下端のラインが変。スライドフードの形状も全般的に違う。これは3Dスキャンした機体のレストアミスを忠実にキット化したため。ちゃんと補正しろよ!

  • 実機写真のトレースは、条件(遠方真横鮮明)の良いレストア機をベースにするが、スピナやキャノピなどは、オリジナルの記録写真でも検証している。

  • 胴体側面形はほとんどピッタリ。ラダー後端のラインが違うような気がするが、写真の歪みその他の要因による可能性もあり確証なし。

  • パネルラインもあちこち違う。カウル中央部の上下分割位置は大きな違い。

  • 主翼取付角:2.5°。水平安定板取付角:1.5°。垂直尾翼オフセット:0°。ルートコード:2.72m(フランス軍向けマニュアルのためメートル表記)。プロペラ直径:12'9"。


 とにかく、本キット攻略のキモは風防&キャノピだね。Ω断面も再現されてないし。


■ 細部あれこれ 7/9追加

 胴体&主翼の基本形ができたところで、細部を詰めていく。



太いスジボリをサフェーサで埋める。

フラップの内部にプラバン(白:0.3mm、グレー:1.0mm)を接着しツライチにサンディング。

航法灯の窓枠はテンプレートを作ってダブル針でけがく。

翼端灯はクリアランナー。ライターで炙って、大きなカタマリにしてから削る。断面はホーカーイエローで塗装。

ラダー、エレベータは別パーツになってるので、真鍮線を刺す。ラダー表面が、妙な凸曲面になってるので、平らに削る。

垂直尾翼前端のくびれが表現不足。鉛筆ハッチング部分を削ってシャープにするが・・・


 補足。実機のフラップ内部の天井部分は、パネルで覆われてリブが隠されている。実際はもうちょい複雑な形状で、機銃後方部分に凹みがある(ここだけは、上面パネルの裏側がむき出し)が、面倒なので、スルー。裏側の白いプラバンは、過度な削りでエッジが尖るのを防ぎ、後上方から見た厚さをエルロンと揃えるため。一方、フラップ本体の内部はリブむき出し。

 垂直尾翼先端のクビレ、水平尾翼基部が邪魔で作業がめちゃくちゃ難しい割りに、効果が薄いのであまりお奨めしない。


■ 平面図

 とりあえずリベットなしの平面図が出来上がる。リベット図も概ね出来てるけど精査中。次回更新で。→後日リベットを追加して差し替え。


  • 主翼取付角:2.5°、ねじり下げなし。ルートコード:2.72m、翼端コード:1.082m(ただし、どこが翼端なのかは不明)。

  •  内翼(上反角屈曲部まで)のリブは内翼基準面に垂直(=地面に垂直)。一方、外翼(屈曲部より外側)のリブは外翼基準面に対して垂直で、拙平面図では翼基準面に投影した形を真上から見た図として表示する(要するにいつもと同じルール)。

  • 主翼を前から見ると、楕円翼にもかかわらず、上下のラインは直線。このあたりスピットファイアの楕円翼とは異なる。また、上反角屈曲部は、内翼を地面に垂直にスパッと切ってそこに外翼を付けたような形状となる。

  • 翼型は、ホーカー社マニュアルによると、Hawker High-speed Sectrion H/1414/37-5(ルート)、同 H/1410/37-5(翼端)、翼厚比は、それぞれ14.5%、10%とされる。翼型の座標データは手元になく、写真の折畳分割部をトレースする。

  • エルロンヒンジ部上面3箇所(内端、中央、外端)に水滴型ブリスターがある。エルロン及びエレベータの各タブの操作ロッドは下面のみ。翼端後方の航法灯は後期の一部の機体に見られる。朝鮮戦争当時はなし。

  • 胴体燃料タンク部にある2つの四角いアクセスパネルの位置、形状は、レストア中の写真に従う。記録写真でも、その存在は何となく見て取れる。その前方のパネルにあるアクセスパネルは、実機写真では存在が不明。

  • レストア機では風防下方に可動式小エアインテイクがあるが、オリジナルかどうか不明。当時の記録写真では存在が見えない。情報求む。


■ キットとの比較

 キットと比べると、あちこち違うな。たぶん、3Dスキャンといいながら、主翼はキッチリとスキャンしてないんだと思う。これ、ブリファンでも感じるところ。キットは赤、実機は黒。面倒くさくて下面は省略。また、実機(黒)の図は少々バージョンが古いので、参考程度に。

  • 主翼端の形状、外端リブの位置(パネルライン)が違う。関連してエルロンの位置も違う。なお、実機の翼端形状は、下面からの写真トレースなので、信頼度は高い。

  • 実機の機銃ブリスターは内側の方がやや小さい。キットは同じだけど。また、位置もやや違うようだ。さらに、内翼上側の四角い凹みや四角いアクセスパネルは実機になく、かわりに水滴型のブリスターがある。

  • 垂直尾翼前下端のフェアリング下辺のパネルラインが異なる。前狭まりではなく、胴体ストリンガーに沿って前広がりが正解。

  • キットの風防はやや幅が狭い。凸モールドの枠を削るとさらに狭くなってしまうな。スライドフード後端の平面形も違う。

  • 主桁、後桁まわりのパネルラインもビミョーに違う。これ、素組みなら直す必要もないけど、リベット打つと辻褄が合わなくなるのだ。


■ 主翼厚さに関するマニアックな話

 分割部の翼厚比は、写真をトレースして13.8%程度。ここから上反角屈曲部での翼厚比を図上で算出する(=写真の正面形に合わせる)と14.6%となる(内翼側での値)。さらにここから内翼での翼厚が一定と仮定してルートの翼厚比を算出すると14.2%となる。あれ? マニュアル記載値と整合しないぞ。で、改めて正面からの写真を見直すと、内翼下面は僅かに胴体中央部が下がっているように見えなくもない。

 ということで、一応マニュアル記載値どおり胴体中心部で翼厚比14.5%としておく。結果、内翼の翼厚は中心部で僅かに厚くなる(1/48で0.2mm)。真偽は不明だが、主桁の高さを一定とすると、胴体中央部はコードが長い分だけ内翼端よりこの程度厚くなる。下図は、上記解釈で翼の正面形を描き、横50%に圧縮したもの。参考までに防火壁での胴体断面も描く。実機の写真の印象もこんな感じ・・・かな?



翼正面形のイメージを右画像と比較されたし。なお、折畳分割線は翼基準面に垂直(上図は圧縮のため垂直に見えない)。

レストア実機(T20型)の空撮を横にぐぐっと圧縮したもの。



■ リベット 7/17追加

 夏はリベット。いや、静岡が終わって新作に着手すると、ちょうどリベットが夏になるんだよね。で、暑くて嫌になって停滞というパターン。ともあれ、リベットに着手。例により#1たまぐりをメイン。ファスナは#4。打つときの力加減を忘れている。前回のH-81は、ちょい強すぎ。その反省で弱くしたら、今度は弱すぎ。



まず、主翼下面で小手試し。こちらはテイク2で、まずまずの力加減。

胴体スジボリがリベットラインと整合しない。瞬間で埋めて彫り直す。完璧には修正せず、テキトーに誤魔化す。

キットを信じて透明化した窓もリベットラインに整合しない。位置を修正。上の小四角もしかり。

ともあれ、胴体が9割方終了。



■ キャノピ

 キットのΩ断面になってないスライドフードは、ヒートプレスで自作する。シーフュリーのキャノピは、一部分を除き、基本的にタイフーン、テンペストと同じなので(多分)、エアのパーツが気に入らない人は、ハセのタイフーンあたりから持ってくる手が使えるかも。ただし、ハセのパーツ、外形がどこまで正確か、エアの胴体に合うのか、シーフュリーとの違いを修正可能か、など不明。悪しからず。

 その違いとは、スライドフードの取付角度がシーフュリーの方が後ろ下がりなため、前端窓枠(これは両者とも機軸垂直)と下辺窓枠との相対角度が異なる。スライドフードの下辺窓枠の形状は同じ。風防も同じ。



型はケミウッド。まず、図面に合わせて、側面形、平面形を正確に削り出し、次に断面を丸めていく。

ジャストサイズに削って形を検証する。画像は大体削りあがったところ。キットと比べるとかなり断面積が違う。



■ シーフュリー側面図

 側面図にリベット&ファスナを追加。実は以前のver.0はスラストラインを取り違えてて、今回それも修正。いやこれ、キットインストにある側面図を鵜呑みにしたのが敗因(スラストラインは明示されてないが、画面の水平線をそれとみなす)。メンテナンス・マニュアルにスラストライン入りの側面図があり間違いに気付く。見落としてたよ。角度にして0.4°程なので、まあ模型製作的には誤差の範囲かも。従前のキット比較図も併せて修正。

  • マニュアルの側面図も、それほどカッチリした図面ではないので、これをトレースすれば側面図になるわけではない。

  • リベット、ファスナは、レストア中の写真などを読んで、概ね解明。ただしレストアがどこまで正確かは定かでない。

  • フック基部は不詳。マニュアルを読むとフック下方にホールドバックがあるようだが、写真で確認できない。

  • 垂直安定板上部のアクセスパネルは、ホイップアンテナ装備の場合にのみある模様。その場合左右両舷にありかな。

  • ちなみに、アンテナは、FB.11就役当初は垂直尾翼上端のみ、まもなく後部胴体に移動(朝鮮戦争時代はこれ)、後期になると尾翼と胴体の両方になるみたい。

  • 引き込み式ステップは、フラップと連動ではない。


■ キャノピの考察 7/24追加

 本キットのウィークポイントであるキャノピ、目立つ場所だけに何とかしたいところだ。手を動かす前に、形状を考察する。

 まず風防。本機にしか見られない特異な形状をしている。一見、普通の窓枠がある風防のようだが、よく見るとガラス同士が突き合せとなっていて、さらによ〜く見ると、ガラスの間に板状の窓枠が挟まっている。言葉では分かりづらいので写真を見ていただこう。



側面窓の前端窓枠のようにに見える部分は、風防内部にある板状の窓枠がガラス越しに見えているのである。照明の反射で、エッジまでガラスなのが分かる。

風防のフレームを後ろ側から見たところ。正面窓両サイドの板状窓枠に注意。やや後狭まりになっており、ここにサイドを斜めにカットした防弾ガラスがはまり込む。


 この風防の形状は、タイフーン、テンペストも同じ。ゆえに、タイフーンの風防前枠は塗ってはいけないのだ。

 次に、スライドフード。この下側フレームの形状も特徴的。スピットと比べると、後半部分のラインが全然違う。なお、イメージの分かりやすさで画像は全て現存機であるが、オリジナルの写真を見比べても、バブルの膨らみ具合を含め形状は同一である。



バブル断面は、正面から見るとあたかも完全な球体のように見える。キットはこの横への膨らみが全然足りない。

下辺フレームは、前半は左右平行に直線。赤矢印で「かくっ」と折れ曲って、後半も直線的。

フレームの折り返しも単純でなく、前半は上1/3くらいで折れ曲る(赤)。後半は下1/3くらい(青)。

フレームの形状、プレキシガラスのバブル状の膨らみ等に注目。



■ キャノピ絞り

 リベットは粛々と進行中で、特記することなし。キャノピと胴体とのバランス、合わせの様子を見るため、普通のプラバンでサンプル品を絞ってみる。前述の考察を踏まえ、木型を若干改修し、後半の平面形を直線的にする。木型はフレームの折り返しがないから、サンプルの裾をピンセットでつまんで折り曲げる。



木型を小改修して、0.5mmプラバンで絞る。型はジャストサイズなので、プラ板の厚み分だけオーバーサイズ。

後半の雰囲気もまずまずかな。

木型を削るにあたっては、キャノピの断面図を描いてある。下辺フレームからは90°を越えてオーバーハング状に立ち上がる

キットはフレームからの立ち上がりが90°より小さいのでバブル感が足りないのだ。スライド型を使ってほしかったところ。



■ シーフュリー平面図

 平面図にリベット&ファスナを追加。主翼の前後桁とリベットライン、パネルラインの関係に注目。桁フランジの幅を感じてほしい。キットはこのあたりが不正確で、リベットを打つと、桁の配置と矛盾が生じる。作品では、一部のみ彫り直してナンチャッテ再現。


  • フード後半の平面形状を修正。今回は当該部の胴体断面図を描き、側面図と平面図との整合性もチェック。

  • 主翼、尾翼のリブの配置、リベットライン(シングルorダブルなど)は実機写真より概ね判明。ただし各リブのステーション値は不明で、それゆえリブの正確な位置関係は精度甘い。

  • 翼前縁ラジエータ、エンジンエアインテイクのパネルのファスナの数、配置は一部推測。

  • 胴体燃料タンク上側のパネルは、スピットファイアと同様に、厚みのある防弾板となっている。したがってリベットはない。

  • 主脚カバーのリベットラインは、前期生産型のものを図示。朝鮮戦争時はこのタイプ。

  • 水平尾翼は、一見するとテンペストに似ているが、スパン、コード、前後縁後退角、胴体取付位置、翼厚さ、断面形などが異なり、全くの別物。

  • 主翼付け根付近、主桁後方にある小丸は、脚出表示棒。また、折畳部にある小丸は翼展開表示棒である。



 元気があれば、正面図と断面図を描くつもり。さらに、テンペストII、テンペストV、タイフーンと先祖帰りするかも??


■ 十の字 7/31追加

 主翼上下面のリベットが、胴体接合部付近を除いて概ね終了し、主翼と胴体を接着する。前後部分は瞬間で、フィレットと翼上面との境は流し込み系。



胴体下面との合わせは若干の隙間段差が発生。プラバンや瞬間で埋めてゴリゴリ削る。

翼面をマスクしてフィレットをサンディング。



■ テンペストII

 シーフュリーの正面図、断面図の前に、裏で進めていたテンペストII側面図が出来上がる。重ねると、シーフュリーの形状についても新たな発見があったりする(これら発見は、既に修正版に織り込み済み。例えば、スラストラインの角度は、テンペストを描いてて気づいたのだ)。


  • マニュアル記載値ではテンペストIIの全長は34'5"、全幅は41'である。

  • 主翼ルートコード:9'0.5"、取付角1.0°、上反角:0°、5.5°、尾翼取付角:-0.5°、水平尾翼コード:4'8"、尾翼スパン13'9"

  • 写真と重ね合わせると、カウリングはシーフュリーと部品が共通だと推察できる。防火壁の前後位置も同じとなる。また、後部胴体下面のラインもほとんど一致する。

  • ただし、主翼取付位置は高く、取付角度も異なる。また水平位置もやや後方。これはシーフュリーでは防火壁と一体となった主桁であるのに対し、テンペストは鋼管フレームに主桁取付金具が結合されるため、防火壁と主桁と位置がズレるのではないだろうか。

  • 主翼取付角度に関しては、艦上化にあたって、離着艦時の安定性・操縦性を増すため、主翼に対するダウンスラストを強めた結果なのだろう。コクピット位置も、着艦時の視界確保が理由だろうね。

  • 風防は取付位置が異なるが、角度は同じ(後方フレームはスラストラインに垂直)。スライドフードは取付角度が異なる。ただし、両者とも胴体との取り合いは同じで、これは同じになるようにシーフュリーの胴体断面形を設計したものと推測する。

  • テンペストの水平尾翼はかなり厚い。これはタイフーンの水平尾翼から基本的設計を引きずっているから。




■ 士の字 8/6追加

 酷暑にめげず?地道に進行中。水平尾翼にリベットを打って、胴体に接着。



リベット作業は95%終了。次はキャノピに本腰入れるか。


 そろそろファントムも再開しようか。


■ テンペスト平面図

 テンペストIIの上面図が出来上がる。側面図には右舷側を追加。

  • 初期生産型は、アクセサリカウル上部にあるエアフィルタ吸気口のルーバーがない。そのルーバーのサイズなどは精度甘い。

  • 水平尾翼や後部胴体の平面形は実機写真から。ただし、真下でなく若干斜めからの写真を補正したものなので、やや精度甘し。

  • プロトタイプのフィンなし垂直尾翼は、タイフーンと同じではない。一部の文献の記述は間違い。

  • テンペストとシーフュリーを比較すると、以下のとおり。まず主翼については、共通部分が多い。外翼はほとんど共通部品。テンペストでは、胴体側面に金具を介して主翼が取り付けられる。シーフュリーは胴体を抜いて左右主翼を一体化して、その上に胴体が乗る形となる。したがって、胴体幅分だけ全幅が狭くなる。

  • 翼前縁オイルクーラーの配置が逆になるのは何故だろう? (私の予想:テンペストは前縁タンク満タン状態(=攻撃・迎撃時)でのパフォーマンス重視、シーフュリはタンク空(着艦時)の操縦性重視ではないか? ←エンジントルクを打ち消す側に重量物を置く)

  • 胴体平面形も微妙に異なる(下図参照)。テンペストの方が防火壁の幅が狭い。コクピット部では両者同じくらい。コクピットの後方では逆にシーフュリーの方が狭い。

  • この理由は、テンペストでは防火壁が液冷エンジンの幅に抑えられ、結果として防火壁からコクピットまでは平行に近く、コクピット後方から緩やかに絞られる。シーフュリは空冷エンジンありきで、エンジンから尾翼まで割りと直線的に絞っているからと考えられる。



左:シーフュリー、右:テンペストII。胴体幅、胴体平面形も微妙に異なる。例えれば、鍾馗(あるいはFW190)と五式戦かな。また、水平尾翼の位置、平面形も相当異なることがわかる。



■ ちまちま作業 8/14追加

 夏休みの諸事で停滞中。記事も目に見える進捗なし。作業中にアルミ貼り部分に凹みが発生。裏側に瞬間がきちんと充填されてなかったのだ。現役時の実機では塗装されている部分なので、そこだけ切り取ってプラ材に置き換える。



赤矢印部の凹んだアルミを切り取って、プラ板を埋め戻す。カウル側面のラッチをスジボリ。失敗して埋めたスジボリが見える・・

翼接着・整形後に残しておいた胴体下面にリベット。キットは下面のフィレットと胴体境が曖昧。スジボリ、段差表現する。


 ところで、書き忘れてたが、キットのエアフィルター吸気口はルーバーの凸凹が逆。キットは凸になってるけど、実機は凹で開口部は前側。手彫りできれいに再現なんて無理だから、修正しない。どうせ脚庫もスルーしてるし、ここだけやってもねえ・・。



上面側だったら修正しようか悩むところだ。



■ テンペストII下面図

 下面図完成。ただし、不明部分も多く、精度はかなり甘い。

  • テンペストIIは胴体横の排気管が四角断面の8本で(シーフュリは丸断面9本)、残る1本は胴体下面にある。ただし、その位置・サイズ・形状は甘い。

  • 主翼ロケットランチャーは4本。位置は写真からこんなもん。外翼のディティールは一部不明で、シーフュリのまま(でも、ほとんど同じだと思う)。主翼下面のイチジク形ライトは、テンペストでは可倒式着陸灯となる。

  • 胴体下面のディティールは、現存V型あるいはVかIIか不明な写真による。IFFアンテナは左舷にオフセット。II型もたぶんVと同じ(確証はない)。一部のファスナの数も推測。

  • II型の極初期生産型は、V型初期生産型と同様に銃身が突き出たタイプ。この場合、胴体上面の吸気口スリットは「なし」。ただし、スリットなしでも短銃身がある模様(例:MW742、ただし写真不鮮明なので確証なし)。

  • タイフーン〜テンペストまでは右舷側から乗降する。カードアタイプ→英国車は右ハンドル→右から乗降、という流れなのか? シーフュリになって左となる。

  • エレベータ(及び水平安定板もか)は、左右同一部品をひっくり返して使用している可能性大。少なくとも、タブ操作ロッドは右舷は上面、左舷は下面にある。エレベータのアクセスパネルは、現存機にある。オリジナルかどうかは不明。



■ 県立F高校同窓会

 サッカーワールドカップの年は、4年に一度の同窓会なのだ(前回はハリアー製作記)。今回はマドンナが仕事で不参加(残念至極!!)、漫研メンバーも欠席多数(淋し)。元カノの娘が同じF高校に入学してたり(納得)、その親友には孫ができて4世代同居してたり(しかも全て女)、坊主になった悪友のお経を聞いたり(恩師に合掌)、月日の流れは速いもので。しかし、高校時代の美人は、やっぱり今でも美人なんだよね。そこだけ時間が遅いみたいな。


■ 続、ちまちま作業 8/22追加

 主翼下面、燃料タンク部のブリスターを追加。風防基部の胴体を追加。燃料タンクのアクセスパネルをスジボリ。2つの四角を揃えるのが難しく、個々に彫ったら失敗。一旦プラ材で埋めて、画像はテイク2。



0.5mmプラバンをランナーに仮接着して整形。中央部は瞬間+プラ粉を盛る。

翼下面に接着。

1.0mmプラバンを適当に曲げて切って接着。


整形。スライドレールも取り付け。

エッチングテンプレートを並べてセロテープで固定。

できあがり。プラ材での補修跡が見えるな・・・



■ テンペストV側面図

 続いてテンペストV側面図。比較図で分かるように、防火壁以降はII型と全く同じ。また、II型側面図にリベットを追加。参考文献にタイフーン&テンペスト関係を追加。上下面のリベットは次回以降で。


テンペストII側面図

  • テンペストVの全長は33'8"(VIは33'10.5"で、違いはスピナの長さ)。タイフーンは全長31'11"で、テンペストVになって機首が21"前進した。。

  • 側面図のリベットラインは、レストア実機写真を読んで、ほぼ解明。ただし、Vのカウルについては、顎の後方あたりやや怪しげ。

  • ちなみに、尾翼部を除く後部胴体の形状、リベットラインはタイフーンと同一で、それゆえタイフーンの側面写真と重ね合わせて形状の検証が可能となる。

  • タイフーンとテンペストVの機首は、スラストラインに沿って水平移動(←多分。私の予想)。したがって、防火壁の高さは変わらず(前後位置は異なる)、風防前方胴体上面の傾斜は、テンペストVでは緩やか。でも完全に水平ではない。上面ラインは防火壁部ではわずかに折れ曲る。IIも同じ。一方タイフーンの当該部上面ラインは一直線。

  • プロペラ直径は、シーフュリーとテンペストIIが12'9"、タイフーンとテンペストVが14'0"。地上クリアランスは両者ほぼ同じ。




■ 続、キャノピ 8/28追加

 キャノピを進める。まず、木型をパーツの厚み分だけ一回り小さく削る。続いて絞り。今回は1.0mm厚アクリル板を使ってみる。10cm四方くらいのサイズに切り、ガスコンロの炎を最弱にして、炎の上5cmくらいで加熱。十分に柔らかくなったところで型に被せる。型は、どうせ何度も形状微修正することになるから、瞬間でツルツルに磨いたりなんてしない。そのかわり、シリコングリス(の代用品のリップクリーム)を厚めに塗る。出来上がり0.8mm位にしたいので、割と強めに引き下げる。

 Ω断面で厚いアクリルだけど、丁寧にトリミングすれば、何とか型から外すことができる。切り出して整形して胴体に乗せてみると、後半が直線的に絞られていく感じが不足。型を削ってテイク2。



こちらテイク2のキャノピ。

下辺フレームとして0.5mmプラバンを瞬間で接着する。

透明なので見えづらいが、0.2mmプラバンを胴体に被せ、セロテープで止め、その上にキャノピを接着。

0.2mmプラバンを整形。後半はもう少し下辺が直線的になった方がいいかも。尾端の尖り方も不足か。


 最終版は、木型を修正してやり直した方がいいかな。でも、その前に風防を自作するつもり。風防との調整でキャノピ木型を修正する必要が生じるかもしれないので。なお、キットの風防は小さいし、正面窓の幅が狭い。


■ シーフュリーキャノピ図

 自分の製作補助用に作成した図面の体裁をちょっとだけ整えて掲載。プリントして型紙として活用していただければ幸い。風防の展開図は、頂部の曲面を省略して、単純な多面体としている。



■ テンペストII平面図

 平面図にリベットを追加。不明箇所は推測で描いている。通常当頁では不確実な箇所は青線で示しているが、青線だらけになるので、特に明示していない。悪しからず。


テンペストII上面図  テンペストII下面図

  • 水平・垂直尾翼の翼断面形はかなり甘い。垂直尾翼前方のフィン部分は逆Rが入る。プロトタイプのフィンなし尾翼に薄いフィンを後付けしたというような断面形になる。

  • 水平尾翼は、タイフーンの水平尾翼の前桁より前の部分を前方に引き伸ばし、エレベータのコードを長くしたような断面だと思われる。

  • 主翼前縁燃料タンクの給油口の位置、形状は不明。図はV型からの類推。


■ 続々、キャノピ 9/12追加

 風防を製作、つうか試作。正面の防弾ガラスはDVDケース。側面窓は0.4mm透明プラバン。展開図のとおりに切り出し、それぞれの接合面を斜めに削り、油性ペンで黒く塗る。接着が難物。そのままでは上手くいかない。そこで、透明プラバン上に各窓の後端を接着する。窓どうしの接合面に瞬間(タミヤ新商品のイージーサンディング)をつまようじにつけて流す。はみ出した瞬間を#1200ペーパーで落として磨く。



パーツを切り出して整形。手前のプラバンには枠の位置をけがいておく。

流し込み系でプラバンの上に接着。

瞬間を削り落として磨いたところ。黒く見えるのは断面。光の反射で分かると思う。

余分なところを切り落として、胴体に乗せてみる。サイズはばっちり。


 あとは、風防上部の曲面部分をどうするか。上画像のパーツを単純に削っただけでは穴があく。


■ テンペストV平面図

 続いてVの上面図。機首のカーブの部分は、途中まで真円断面(=側面図と同じカーブ)と想定して描く(それが正しい保証はない)。


  • 図では明示してないが、初期生産型はピトー管が翼下面にある。

  • 翼前縁タンクのリベットラインとファスナの数は一部推測。

  • 排気管の平面形も甘い。真上、真下から撮った写真がないのじゃ。



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