スピットファイア Mk.Ia タミヤ1/48 製作記 その2
2019.6.9初出
|
コードレターQJは616スコードロンの他に92スコードロンも使用していて、ややこしい。しかも書体やサイズ、記入位置まで似てるのだ。ちなみに616sqnは1939年4月から41年7月までQJ、その後YQに変更。92sqnは1939年4月からGRで40年5月から戦後までQJ。バトルオブブリテン時は両者QJである。 |
|
ところで、以前にも書いたが(1/72 Mk.I製作記参照)、バトルオブブリテンにおけるMk.Iの下面色は難解。スカイのようで実はスカイじゃない機体は数多い。というか真正スカイは少数派かも? キット指定塗装のDW-Kも、スカイでなくスカイブルー、その色調はスカイと比べ緑味がなく暗いブルーグレイとのこと。その他、オードニル(スカイより暗く緑味の強い灰緑色)、スカイグレイ(FAA使用の明るい灰白色)などがあった。こんなの、モノクロ写真で分かるかっつうの。下面ラウンデルの位置、サイズも不規則だし、BOB機の考証は意外と困難なのだ。以上出典はオンターゲットSP9(文献-62)など。 |
イラストではスカイブルーの色を想像して塗っている。QJ-Gの絵と比べるともっと暗くてもいいかな。 |
では塗装作業。たまぐりリベットが埋まるのを防ぐため、出来るだけ重ね塗りを避けたい。迷彩塗装の上からマーキング塗装では何層にも重なってしまう。胴体ラウンデルはサフの上に直に塗る。しかも赤を除いて各色突き合せ。主翼は隠ぺい力の強いダルブルー、ダルレッドなのでダークアースの上に塗る。ただし、ラウンデルの下に迷彩の段差が出来ないよう、そこはマスクしておく。以上により、概ね2層以下になる(DGの上のレターなど一部は3層)。 |
まず、下面を塗装してマスク。次にDEを吹く。胴体ラウンデルは突き合せで塗るためマスクしておく。 |
ちなみに下面マスクはこんな具合。 |
迷彩はMr.ペタリでマスク。DEとDGの迷彩境の段差を避けるため、主翼ラウンデルとフィンフラッシュをマスク。 |
Mr.ペタリをはがす。ボケ味はまずまず満足。迷彩の不具合をタッチアップし、ラプロス#6000で柚子肌を磨き落とす。 |
マーキングは黄→青→白→赤の順番。これは黄色を吹いた後、青のためのマスクをしているところ。 |
青を吹いて、マスクして、白を吹いたところ。主翼の白は赤の下地。エッジに白が出ないように極薄く粉吹き。 |
赤も吹いてレターのマスキング。なお、マーキング塗装では、にじみ出し防止のため、あらかじめ薄いフラットクリアを吹いておく。 |
基本塗装終了。右舷レターは確かこの配置だったかと・・・ |
補足。今回は、胴体ラウンデルの赤(直径2.6mm)もサークルカッターでタミヤテープを切り抜いてマスキング。コードレターはクラフトロボでマスキングシートを切る。データはイラストのがそのまま使える。これは楽だ。主翼上面のダルレッドはレシピより赤を少なく、赤、黄、グレイが1:1:1ぐらい。実は、最近の作(1/48スピVb、1/72スピXVII、Iaなど)はこの退色強めのダルレッドを使用。単体で見るとほとんど茶色だが、ダルブルーの隣に置くとダルレッドに見えるから不思議。 マーキング塗装終了後、各色の境界を中心にフラットクリアを吹き、ラプロスで段差と柚子肌を磨き落とす。私の塗装法においては、この磨きの工程が非常に大事。磨くことで本物っぽいしっとりとした塗装の質感が得られる。一方で、磨く前にグラデーション吹きは不可。柚子肌の上にグラデーションかけて磨くと、網点になってしまう。だからここまでは、単色の平板な塗り。色調変化は次のウェザリングの工程で。
まず、定番のウェザマス黒+茶のウォッシング。これだけではパンチ不足。エナメルの黒をぺトロールで極薄に希釈してパネルライン、リベットライン中心にエアブラシ。やり過ぎ箇所はぺトロールで吹き落とし、定着のためラッカー系のシンナーを上吹き。次にエナメルのバフも同様に希釈して全体的に吹き、退色と埃汚れの表現。と、気付いたら調子に乗ってやり過ぎ。ぺトロールをティッシュにつけて拭き落とす。一部の拭き残しは、まあ汚れ表現ということにしておこう。 再度バフを吹いて退色表現。今度は控えめに。一旦ここでシンナー上吹きで定着。この頃には表面はテカテカ。そこでフラットベース(フラットクリアではない)を極薄に希釈して吹き、半艶ぐらいに表面を整える。艶が変わると汚しのトーンも変わる。改めて眺めると、もう少し暗色の締めが欲しいかな。乾いたウェザマスをリベットライン、パネルラインなどを中心に筆などで擦りつける。 |
エナメルのバフを吹いて拭き取った状態。一部のバフは、塗装面に染み込んで拭いても取れない。 |
フラットベースを吹いて艶を消し。ウェザマス黒を擦りつる。ウォークウェイ・ライン、機銃口のシールも塗装。 |
下面はこんな感じ。拭き残し気味のウェザマス・ウォッシング(黒+茶)とエナメル黒の細吹き程度。 |
キャノピのマスキングもはがして、気分は完成。←オイ、小物がまだだろ。三角ペナント取れてるし。 |
このあと、面相筆チッピング、インレタ(シリアル、コーションステンシル)で、機体本体の塗装&汚しは終了。普段と違う順番なのは、展示会でウェザリング状態をお見せしたかったがため。では、日曜日に翔バナイカイ展示会で。
脚庫とカバー内側の塗装が悩ましい。キット指定ではいずれもスカイ。一方で、銀という説もある。手元カラー写真では、スカイなのか銀なのか全く判別不能。一応、Mk.V作成時にほらぶろ掲示板で教わったとおり、銀にする。以下備忘メモ。スピナとブレードは白20%のセミグロスブラック。銀は黒混の8銀。 |
シリアルは以前作っておいたインレタ。 |
主脚は、このように左右を切り離し、ダボを切ると後はめ出来る。追加工作は、キャッチリングの穴を開けただけ。 |
排気管は、接着部の段差を溶きパテで埋め、後端に穴をあける。ペラは先端を薄く削った程度。 |
つうことで、自立。この画像ですら、カバー内側は銀にもスカイにも見える。 |
設計自体は極めて簡単。問題はプリンターのパラメーターと設計寸法(部品厚さ)との調整。最終的に、設計上の最小厚さ0.35mm、層厚0.03mm、露光時間15秒とする。これで出来上がり厚さは0.25mmくらい。 |
基本形状出来上がり。ミラーの幅は2.6mm。取り付け部の半円状のディテールはプリントすると再現されない。 |
出力は、このように上下逆にする。 |
タフレジンでプリント、サポートを切り取ったところ。 |
積層痕などを整形し、銀色に塗る。アップだと、ちとツライな。キットパーツもこの形状にて欲しかったな。 |
|
試行錯誤の結果、この向きで出力するのがいいみたい。 |
前回のは、天地逆さにしたため、出力時に下側(サポートのつく側)になる底板の上側が厚くなってしまうのだ。そこで、底板を立てた状態で出力する。使用レジン、パラメータなどは前回と同じ。 |
タフレジンで出力。 |
色を塗ってミラーフィニッシュ貼って接着。瞬間接着剤の一発勝負だぞ。 |
いざ接着してみると、ミラーの角度がいまいち。これだと真後ろが映らないぞ。データではちゃんと後傾するように作ってあるんだけどなあ。原因は、出力時の増厚で底板の角度が変わったか、キットの風防頂部の角度が違っているかだろう。面倒くさいのでやり直しはしない。前回のお持ち帰りデータも更新。ミラー角度は修正済みなので、使用にあたっては角度変更不要(のはず。お試しプリントはしてない)。
|
見辛いけど、2枚の紙にナイロン糸が挟まっている。 |
出来上がり。航法灯はキットパーツ。底面にミラーフィニッシュを貼る。基部は0.14mmプラペーパー。 |
胴体側の接着は上述のとおり。コーションは自作インレタ。 |
尾翼側は、真鍮線を埋め込んで結び付けるのが確実。こういうのは急がば回れなのだ。 |
ピトー管は真鍮帯金と真鍮線のはんだ付け。こういうのはまとめて何個か作っておくと後々楽。 |
主翼に接着。このあたりのコーションも自作インレタ。このサイズだと何とか読める。 |
ギアインディケータは0.5×0.2mmの洋白帯金。塗装したウォークウェイラインのダークグレイとの明度差ががが・・・ |
クリアランナーの翼端灯はマスクせずそのまま機体塗装。ライト部のみナイフで塗料をこそげ落としてクリアレッドで塗る。 |
DUNLOPのロゴはインレタ。一部欠けてるなあ。 |
航法灯はキットパーツ。これって何色だったっけ? |
|
大戦期の主翼付け根は、パイロットや整備兵の乗り降りで意外なほどハゲチョロなのだ。 |
|
バトルオブブリテンの厳しさを表現しようと、ウェザリングは強め。機銃のテープを貼り替えた跡の汚れが気に入っている。 |
たまぐりリベットと自作インレタとサフで表現したリブテープは、効果大で苦労が報われる。 |
ダルレッドとダルブルーは手描きマーキングならではの色調。デカールではこの色は無いよね。と自画自賛する。←久しぶりの1/48完成で舞い上がってるな。 |
彫り直したスジボリに水ウェザマスのスミ入れがよく映える。ラウンデルはあと2mm外側が正解。残念。 |
キットの出来がよいので、このくらいのアップにも耐えてくれる。しかしこのサイズだと、チッピングがいかにも「描きましたよ」って感じ。シリコンバリア剥がしの方がいいかな。 |
|
|
|
|
|
|
|
|