シーファイア F.Mk.XVII(ベンチュラ 1/72)製作記
2016.8.7初出
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尾部まわりは、おそらくベースにしたであろうエア旧I/Vを引きずっていて、垂直安定板が厚く、胴体とラダーとのくびれがないから、削って修正(後部胴体のベースはエレール16かも。どっちにしても垂直尾翼は厚い)。キットのカウル先端はスピナ直径に対してやや大きい。バルジのラインを壊さないように注意して、カウル全体の先をすぼめる。接着面を削って合わせるのが楽だけど、そうするとバルジの左右並行が狂うのだ。←後日訂正。胴体上半分が全体的にやや太めだから、コクピットあたりまで一様に接着面を削るのがベストかも。 |
![]() キットのパーツ状態。2色モールドがマッチボックスみたい。オイルクーラーは邪魔なので切り離す。 |
![]() 塗色は現存実機に従い上半分を黒(自作タイヤブラック)、下半分はインテリアグリーンにする。 |
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![]() パーツの合わせ自体は良いので、上面先付け方式とする。溶剤系で翼上面を胴体に接着 |
![]() コクピットにゴミが入らぬよう、床と前後隔壁を取り付け、さらにテープで遮断。脚庫に天井までつけるが・・・ |
下面を取り付けるところで苦戦。パーツが厚くあちこち干渉してうまく収まらない。おまけにプラが異常に硬くて削るのも大変。接着後の整形も大変だろうなと。 |
![]() で、下面はタミヤIを流用する。キットにねじり下げはなく、思い切りねじって瞬間で接着。隙間をプラバンなどで埋めて、ひたすら削り倒す。 |
![]() スピナは、全長、直径の寸法は正確。ただ、もうすこし丸みが欲しい。端部に0.5mmプラバンを接着し、その分先端を詰めてラインを丸める。 |
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![]() 修正前。お腹ぽっこり。 |
![]() ギュイーンとコクピットも上下に真っ二つじゃ。相変わらずの泥縄劇場だなあ。 |
![]() ライザップ後。お腹スッキリ。画像は左舷を反転。 |
![]() これでようやく一の字。コクピットを覗き込んでも、意外と切断面は目立たない。 |
さて、キットのスピナは、パーツが悪いのか組み方が悪いのか後端面が軸に垂直でない。形も若干不満なことだし、ケミウッドで自作する。 |
![]() 自作図面を型紙にケミウッドを削る。図面があるとホント楽である。 |
![]() オイルクーラーも工作。基本は切り離しておいたキットパーツ。リップにプラバンを貼って整形する。 |
![]() 水平尾翼も接着して士の字。キットのバQキャノピものせてみる。が、なんかMk.17らしくないんだよなあ。 |
![]() 図面と比べると、機首が1mm長い(主翼前縁を基準とする)。そのため、初期グリフォン独特の猪首感がないのだ。 |
補足。水平尾翼はイモ付けなので、0.8mm真鍮線を打つ。フィレットもないから、瞬間+プラ粉で。平面的に斜めに取り付けてしまい、前後縁に瞬間盛ったり削ったり。ヘタレや。
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![]() どこで切ると一番いいか考えてオイルクーラー先端のちょい後ろにする。回転ノコでギュイーンと切断。 |
![]() 切断面を1mm削って瞬間で再接着。切断線はほとんど目えない。上画像と機首長さを比較されたし。 |
![]() 切って貼るだけなので、意外と簡単。これで猪首感もばっちり。並行してスジボリも進める。 |
![]() ラジエータ、着艦フックフェアリングも接着。両者ともキットパーツ。 |
この結果、胴体長がやや短くなるが、気にしないことにしよう。辻褄はキャノピ取り付け位置で取り繕う予定。
キットの胴体は、主翼位置が低いため胴体が高い。また、コクピット開口部が広く上端が低い。その結果、胴体のスジボリが全体的に下がり気味。主翼位置を上げて開口部を狭めたため、必然的にスジボリも直す必要が生じる。 |
![]() こんな感じでテンプレート大活躍。 |
![]() 確認のため、ウェザマスでウォッシング。コクピット開口部はプラバンを貼って狭める。 |
![]() 車輪バルジは0.5mmプラバン。テンプレートを貼って切り抜き、翼に接着してからマスク用テンプレートを貼って整形。 |
![]() キットのスジボリ位置を直す。瞬間で埋めて彫り直し。 |
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![]() 窓枠を描いてイメージ確認。実機は風防側面窓から滑らかに膨らんでいく。キットはここが折れ線になっている。 |
![]() ロボでテンプレートを切って、合わせながら削っていく。鉛筆でコンターを描いてチェック。 |
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![]() 車輪バルジもまずまずの出来かな。 |
![]() エルロンの面倒な形のスジボリもテンプレートで楽勝。 |
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![]() 絞って、ざっと切り出したところ。切断部の厚さは1mm弱。中央部をΩ断面に絞るため、木型の裾を削り込む。靴の木型みたいな形。 |
![]() 内外も削り、胴体に合わせイメージの確認。出来上がり厚さは大体0.5mmくらい。 |
![]() 下端に0.2mmプラバンのハカマを緑フタで接着。風防先端部は鋭角で断面が窓から見える。胴体側を彫り込むことで断面を前に追い出す。 |
![]() 正面から。一応Ω断面になってるので、これでよしとしよう。鉛筆描き正面窓はもっと下幅が広いのが正解 |
形状はいまいち不満で修正の余地ありなんだけど、嫌になってきたのでこの辺で妥協して先に進む。残る細部をやっつけたら塗装だ。
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![]() 絞って削り出したところ。以前のは、スライドフード下辺がわずかに外に湾曲していたのだ。今度はちゃんと直線になる。 |
![]() スジボリして、下辺フレームの折り返しは0.2mmプラバンで、流し込み系で接着後、瞬間をパテ代わりに盛って整形。 |
![]() 前方部の接着部を削りすぎていて、プラペーパーで隙間を埋める。頭部防弾板はエデュIXのカットダウン用パーツ。 |
![]() 風防を切り離し、テープで仮止めしてから、風防を胴体に接着する。こうすれば閉じたときもピッタリ合う。 |
![]() テープをはがせばこうなる。完成形も両面テープ固定で開閉可にしようかな。 |
![]() 接着部を整形、ヘッドパッドも取り付ける。 |
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![]() プロペラはベンチュラ。形は悪くない。とにかく厚いのでピッチに気をつけて徹底的に削る。ブレード幅がギリで、瞬間盛って補正。 |
![]() 翼端灯はクリアランナー。 |
![]() リブテープは以前作成のインレタ。タブ操作ロッドも取り付け。エレベータは金属(←多分)なのでリブ表現なし。 |
![]() 一旦サフを吹いてインレタを定着させてから、ヒンジ部の段差表現にハセのデカールを貼る。 |
![]() 再度サフ。まずまずの出来上がり具合。一部の欠けには、サフを面相筆で盛る。 |
![]() スジボリ補修、小突起追加、ファスナ&リベット打刻などチマチマ作業して、全体にサフ。機銃はエデュスピ9の余りパーツ。 |
備忘メモ。カウルファスナはたまぐり#4、機銃アクセスパネル、フィレットは#1。キャノピマスクはいつものセロテープ。内側はマスキングテープ。このまま本塗装に突入だ。
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エクストラダークシーグレイは#333にGX5青微量と白少量。1/72なので1/32シーファ47より明るくする。須比人君に試し塗りして、ダークスレートグレイの隣でほんのり青く感じる程度の色味に調整。単色だとかなり青く感じる。ダークスレートグレイは以前シーファIbに使ったもの。レシピは#340フィールドグリーン、#333EDSG、#26ダックエッググリーン、白が40:45:5:10くらいかな。スカイはシーファ47と同じで、レシピは#26と#128灰緑色が3:1。 スピットの場合、カットダウン胴体のキャノピ内側部分は、私の知る限り迷彩色。キャノピを両面テープで仮り止めして塗り分け、キャノピを外して内側を塗る。今回黄色と白には秘密兵器投入なのだ(←大袈裟な)。以下画像で。 |
![]() プロペラを接着、若干の微修正を加えてサフ。 |
![]() 下面にスカイを吹いてマスク、上面にEDSG。 |
![]() ダークスレートグレイのマスクはMr.ペタリ君。 |
![]() マスクを剥がす。表面に残るペタリ君をきれいに除去するのを忘れずに。スピナにGX1クールホワイト。 |
![]() マスクして自作ダルブルーを吹く。白とブルー(あるいはダルレッド)は突合せ。 |
![]() 下面ラウンデルのうち、青と白は塗装する。 |
![]() 途中省略してマーキングの塗装部分が終了。胴体ラウンデルはBタイプ、ではなくて・・ |
![]() 黄と白の輪は秘密兵器のインレタ。曲面で位置決めが難しそうな黄を先に貼ると、白の仮止めがチト苦しい。 |
![]() 下面のダルレッドは手持ちのAMD72-050のシート。ダルブルーはデカールの色味が好きでないので塗装なのだ。 |
![]() 機番173Pのインレタも貼る。ペラ先端の黄色もインレタ。 |
あとは、シリアルのインレタ、ウォークライン塗装、ウェザリングで塗装終了。古今東西、鳴り物入りの秘密兵器がスカタンだった例は枚挙にいとまがないけど、今回の秘密兵器は割と有効。境界が塗装よりシャープに仕上がる。汎用ラウンデルを何機分か作っておこう。主翼の白輪は塗装したけど、これも秘密兵器にすればよかったな。
グリフォンの排気管はSBSモデルのレジン。他にクイックブーストからもグリフォン用が出てるが小振り。SBSは、以前考証に協力した縁で拙サイトを知っており、拙図に基づき製品化している模様。重ねるとピッタリだ。自作焼鉄色にタバコライオンを混ぜて筆塗り、ウェザマスで汚すと昔あったモスキットみたい(最近見ないな)。 葉巻形コンバットタンクは、当機の実機写真で携行しており、是非とも再現したいアイテム。ジャンクパーツに適当なのがなくて、ケミウッドを削る。機体取付部のステーはいい写真がなく100%の確信まではないが、前後の3本で吊り下げ、中央のは燃料管のフェアリングで左舷のみと推定する。前側はスリッパ形タンクを吊り下げるフックに位置がピッタリ。後側は四角アクセスパネルか? 中央ステーもちょうど下面給油口付近に位置する。 |
![]() シートは0.3mmプラバン。ベルトの金具は鉛板を折り曲げてピンセットでチョイとつまむ。 |
![]() シートの色は、前回の4色混合が面倒で、いいレシピがないかとしばし黙考。ダルレッド+ダークアースとする。 |
![]() 表側は図面を基に0.2mmプラバンをカット。内貼りはエデュを加工。脚柱の厚みを半分に削って接着。 |
![]() 左ハセIX、右エデュIX。エデュはちょっと小さい。ホイールのみ使い別のタイヤに合体がいいかも。 |
![]() トルクリンク、ロックリングを0.3mmプラバンで追加、塗装して接着。シーファ47に倣ってカバー内側と脚柱はスカイとする。 |
![]() 尾脚はエデュIX、カバーはハセIX。ワイヤガード、ホールドバックは真鍮細工、フックはプラ材を彫刻。塗装がヘタレ、後で直そ。 |
![]() SBSのパーツ。上はクイックブーストのマーリン用。 |
![]() タバコライオンでガサガサの艶消し。うーん、どっからどう見てもモスキットだな。 |
![]() 真鍮棒は本体の手前まで。先端から削っていき、最後に根元を切る。逆は回転でブレてしまう。 |
![]() ステーはご覧の4本とする。プラバン削ってイモづけ。4つもあれば接着後には強度それなりかと。 |
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![]() デカール3種。プロペラにはどっかのコーションとポンチで抜いた赤ベタ。スピナにはエデュIXから。フラットクリアで研ぎ出す。 |
![]() 脚表示棒は真鍮線。各所のコーションステンシルを面相筆で描く。翼付け根のハガレも面相筆。給油口の赤塗装の真偽は不明。 |
![]() 右翼下面にIFFアンテナを2本取り付ける。背中のホイップアンテナは歯ブラシの毛(先細のやつ)。 |
![]() シートも取り付ける。ジャイロ照準器はクイックブースト。スライドフードは両面テープで仮止め。黄点線を筆塗り。 |
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![]() ホイップアンテナ、ギアインディケーター、尾灯、スピナのデカールが加わる。ウォークウェイのミスもこの角度からは分からないってか。各所の赤が賑やかで見栄えがいいね。 |
![]() こっちから見るとウォークウェイの間違いはバレてしまう。アップだと手描きコーションがツライなあ。 |
『ウェストランド製第5ロット(SX271〜316)の2機(SX311、314)が長ストローク主脚のテストに供され、トーイン(車輪内向角)変更により脚庫が変更になった』との記述がSpitfire The Historyにあり、そこからカンリッフ・オーエン製20機(SP323-327、341-355)およびウェストランド製第1〜5ロットはブリスター「なし」。「あり」は第6、7ロットの42機(SX332-370、387-389)のみと推理できる。実機写真では、SX334があり、SX137(現存機)、272、277はなしが認められる。なお、XV型は全機「なし」。
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![]() 間違ったラインをペーパーで削り落とす。削り過ぎは筆でタッチアップ。 |
また、XVIIの外翼上面の主桁より前方部分には、小四角アクセスパネルがある。機体あるいは生産時期により有無があるのかも。下面ロケットランチャー関連なのか、ドロップタンク関連なのか。 以上、とりあえずV型とXVII型の側面図を直して差し替え。扉のイラストは凸と平のリベットが分かるよう、いつもより大サイズで出力。なお、リベットのピッチはあくまで雰囲気。inkscapeでは点線の間隔はプリセットの中から選ぶしかないので。他の図面とイラストはいつかそのうち。(これが結構面倒くさいのじゃ) |
![]() V型右舷。 |
![]() 同左舷。 |
![]() 外翼上面のアクセスパネル。位置、サイズはかなり甘い。 |
![]() 下面にはランチャーがあるが・・・。少なくともMk.22ではランチャーの上に四角パネルがある。 |
ところで、エア1/48のXVIIは同時期発売のXIIと違って胴体形状は悪くないとのこと(XIIは胴体高さがあまりに過大)。作ってみては如何だろうか。ただしキャノピは独特なバブル形状が再現されてない。
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