シーファイア F.Mk.XVII(ベンチュラ 1/72)製作記

2016.8.7初出




完成画像





■ はじめに 

 48と並行で72も進める。最近はこのパターンが定着してるな。お題はシーファ17で、スピットシリーズ11機目。全型式コンプリートの野望へまた一歩近づく。フッフッフッ。残りはあと6,7,8,11,12・・・って、まだまだやんか。さて、ベンチュラのキットは北の72名人からの頂き物で、ようやく成仏させてやれる。何度も書くけど、ベンチュラのグリフォン機首の造形はとにかくピカイチ。改めて見直してもやっぱり完璧。原型作者に敬服。


■ 図面

 一応図面を掲載しておく。内容は以前掲載のもの。下面図をver3に改訂しないといけないな。←改訂済み。



■ 製作開始

 まずは機首から。別パーツのカウル上部は、バリを丁寧に取ると合わせも完璧。微量の白フタで仮止めして瞬間を流す。コクピットはどうせ窓を閉めると見えないから、ちゃっちゃと進める。まあ何かあるなって程度で。計器盤、後方フレームと足元はタミヤI。

 尾部まわりは、おそらくベースにしたであろうエア旧I/Vを引きずっていて、垂直安定板が厚く、胴体とラダーとのくびれがないから、削って修正(後部胴体のベースはエレール16かも。どっちにしても垂直尾翼は厚い)。キットのカウル先端はスピナ直径に対してやや大きい。バルジのラインを壊さないように注意して、カウル全体の先をすぼめる。接着面を削って合わせるのが楽だけど、そうするとバルジの左右並行が狂うのだ。←後日訂正。胴体上半分が全体的にやや太めだから、コクピットあたりまで一様に接着面を削るのがベストかも。



キットのパーツ状態。2色モールドがマッチボックスみたい。オイルクーラーは邪魔なので切り離す。

塗色は現存実機に従い上半分を黒(自作タイヤブラック)、下半分はインテリアグリーンにする。



■ 主翼 

 主翼パーツはなんとも怪しげだが、原型の主翼上面と胴体との合わせは良い。ただし、そのままだと僅かに後退角がつくので、接着面を丁寧に摺り合せる。



パーツの合わせ自体は良いので、上面先付け方式とする。溶剤系で翼上面を胴体に接着

コクピットにゴミが入らぬよう、床と前後隔壁を取り付け、さらにテープで遮断。脚庫に天井までつけるが・・・


 下面を取り付けるところで苦戦。パーツが厚くあちこち干渉してうまく収まらない。おまけにプラが異常に硬くて削るのも大変。接着後の整形も大変だろうなと。



で、下面はタミヤIを流用する。キットにねじり下げはなく、思い切りねじって瞬間で接着。隙間をプラバンなどで埋めて、ひたすら削り倒す。

スピナは、全長、直径の寸法は正確。ただ、もうすこし丸みが欲しい。端部に0.5mmプラバンを接着し、その分先端を詰めてラインを丸める。



■ 主翼取付高さの修正

 十の字になってみると、どうも機首から主翼への流れがヘン。ロワーカウルのカーブの延長線が、すんなり主翼下面につながるべきところが段になる。おやっ?とノギスを当てると当該部の胴体高さが1mm過大。がーん。これは主翼と胴体の摺り合せの問題ではなく、フィレットを含めて主翼全体が1mm低いのだ。これはもう荒療治が必要。回転ノコでフィレットごと主翼を胴体から切り離し、切断面を削って再接着。機首側はこれで段差解消だが、逆に後部には段差が生じることになる。切断面を前だけ削って合わせると、主翼取付角が変わっちゃうから、主翼後端のところでフィレットに縦切り込みを入れ、その後方を折り曲げる。うむ、これでお腹スッキリ。ベンチュラもいいのは機首だけか? 



修正前。お腹ぽっこり。

ギュイーンとコクピットも上下に真っ二つじゃ。相変わらずの泥縄劇場だなあ。

ライザップ後。お腹スッキリ。画像は左舷を反転。

これでようやく一の字。コクピットを覗き込んでも、意外と切断面は目立たない。



■ ハイパースケール

 FM-2の図面改訂を機に投稿した製作記事がハイパーに掲載される。チューカトーヲーあたりのメーカーに図面を見てもらうのが一番の目的で、模型はその手段。無知蒙昧な連中に図面の精度の高さをアピールするため、寸法やstaのハタアゲで飾り立てる。本来、こんなものが無くても図面が正確でさえあれば模型製作に十分なのは承知の上。


■ スピナ他 8/21追加

 暑さと五輪で停滞中。

 さて、キットのスピナは、パーツが悪いのか組み方が悪いのか後端面が軸に垂直でない。形も若干不満なことだし、ケミウッドで自作する。



自作図面を型紙にケミウッドを削る。図面があるとホント楽である。

オイルクーラーも工作。基本は切り離しておいたキットパーツ。リップにプラバンを貼って整形する。

水平尾翼も接着して士の字。キットのバQキャノピものせてみる。が、なんかMk.17らしくないんだよなあ。

図面と比べると、機首が1mm長い(主翼前縁を基準とする)。そのため、初期グリフォン独特の猪首感がないのだ。


 補足。水平尾翼はイモ付けなので、0.8mm真鍮線を打つ。フィレットもないから、瞬間+プラ粉で。平面的に斜めに取り付けてしまい、前後縁に瞬間盛ったり削ったり。ヘタレや。


■ 機首修正

 主翼を切り離した時に気付いていれば、1mm前進させて接着してたんだけどね。仕方ない二度目の整形手術じゃ。毎度お馴染み泥縄劇場。



どこで切ると一番いいか考えてオイルクーラー先端のちょい後ろにする。回転ノコでギュイーンと切断。

切断面を1mm削って瞬間で再接着。切断線はほとんど目えない。上画像と機首長さを比較されたし。

切って貼るだけなので、意外と簡単。これで猪首感もばっちり。並行してスジボリも進める。

ラジエータ、着艦フックフェアリングも接着。両者ともキットパーツ。


 この結果、胴体長がやや短くなるが、気にしないことにしよう。辻褄はキャノピ取り付け位置で取り繕う予定。


■ スジボリ 9/20追加

 概ね全体形が出来たところでスジボリ。切った貼ったでキットのスジボリはほとんど消えている。中途半端に残ったものはかえって煩わしいから、瞬間で埋める。例によりロボ大活躍。シートを2枚重ねにしてみる。これは具合よい。端だけ台紙をはがしてから徐々に貼っていくと大面積でもシワなく貼れるぞ。

 キットの胴体は、主翼位置が低いため胴体が高い。また、コクピット開口部が広く上端が低い。その結果、胴体のスジボリが全体的に下がり気味。主翼位置を上げて開口部を狭めたため、必然的にスジボリも直す必要が生じる。



こんな感じでテンプレート大活躍。

確認のため、ウェザマスでウォッシング。コクピット開口部はプラバンを貼って狭める。

車輪バルジは0.5mmプラバン。テンプレートを貼って切り抜き、翼に接着してからマスク用テンプレートを貼って整形。

キットのスジボリ位置を直す。瞬間で埋めて彫り直し。



■ キャノピ木型

 キット付属のバQキャノピ、雰囲気は悪くないが、バブルの膨らみ具合が違うし高さもやや過大。そもそもバQは好きじゃないし。で、ケミウッドで木型を作って絞る。通常は胴体に乗せてバランスを確認しながら削っていくが、図面はあるし、シーファ47でイメージは出来ているから省略。



窓枠を描いてイメージ確認。実機は風防側面窓から滑らかに膨らんでいく。キットはここが折れ線になっている。

ロボでテンプレートを切って、合わせながら削っていく。鉛筆でコンターを描いてチェック。



■ サフ吹き

 小インテイクやタブロッドなどのディテールはまだだが、ここらで一旦サフを吹いて様子を見る。



車輪バルジもまずまずの出来かな。

エルロンの面倒な形のスジボリもテンプレートで楽勝。



■ キャノピ絞り 10/3追加

 ちょいと停滞中。前回掲載の木型を一回り小さく削り、0.4mmプラバンを絞る。スライドキャノピ中央部はΩ断面になっている。ハカマは後付けすることにして、その部分の裾を絞り込む。後半は裾が絞られず、木型はバナナ(あるいは曲がったソーセージ)のような形状になるわけ。この断面変化と胴体の合わせが難しく、木型を微修正して絞り直すこと3回。シーファ47のときはそこまで苦労した記憶ないんだけどなあ。



絞って、ざっと切り出したところ。切断部の厚さは1mm弱。中央部をΩ断面に絞るため、木型の裾を削り込む。靴の木型みたいな形。

内外も削り、胴体に合わせイメージの確認。出来上がり厚さは大体0.5mmくらい。

下端に0.2mmプラバンのハカマを緑フタで接着。風防先端部は鋭角で断面が窓から見える。胴体側を彫り込むことで断面を前に追い出す。

正面から。一応Ω断面になってるので、これでよしとしよう。鉛筆描き正面窓はもっと下幅が広いのが正解


 形状はいまいち不満で修正の余地ありなんだけど、嫌になってきたのでこの辺で妥協して先に進む。残る細部をやっつけたら塗装だ。


■ キャノピ再び 2/21追加

 気が付けば4か月半の放置。停滞の元凶キャノピをやっつける。疾風のキャノピ絞りのついでに、再び木型を修正して絞り直す。



絞って削り出したところ。以前のは、スライドフード下辺がわずかに外に湾曲していたのだ。今度はちゃんと直線になる。

スジボリして、下辺フレームの折り返しは0.2mmプラバンで、流し込み系で接着後、瞬間をパテ代わりに盛って整形。

前方部の接着部を削りすぎていて、プラペーパーで隙間を埋める。頭部防弾板はエデュIXのカットダウン用パーツ。

風防を切り離し、テープで仮止めしてから、風防を胴体に接着する。こうすれば閉じたときもピッタリ合う。

テープをはがせばこうなる。完成形も両面テープ固定で開閉可にしようかな。

接着部を整形、ヘッドパッドも取り付ける。



■ お絵かき

 スピット全型式お絵かき計画進行中。グリフォン・カットダウンを二題なのだ。上はFR.Mk.XIVe、下はF.Mk.24。解説はシーファイアMk.47の頁で。











■ 細部〜サフ 3/2追加

 キャノピが出来て勢いがつき、このまま製作を続ける。



プロペラはベンチュラ。形は悪くない。とにかく厚いのでピッチに気をつけて徹底的に削る。ブレード幅がギリで、瞬間盛って補正。

翼端灯はクリアランナー。

リブテープは以前作成のインレタ。タブ操作ロッドも取り付け。エレベータは金属(←多分)なのでリブ表現なし。

一旦サフを吹いてインレタを定着させてから、ヒンジ部の段差表現にハセのデカールを貼る。

再度サフ。まずまずの出来上がり具合。一部の欠けには、サフを面相筆で盛る。

スジボリ補修、小突起追加、ファスナ&リベット打刻などチマチマ作業して、全体にサフ。機銃はエデュスピ9の余りパーツ。


 備忘メモ。カウルファスナはたまぐり#4、機銃アクセスパネル、フィレットは#1。キャノピマスクはいつものセロテープ。内側はマスキングテープ。このまま本塗装に突入だ。


■ 塗装 3/13追加

 まず塗&マの選定。1/72シーファの温帯海上迷彩は過去2作あり、目先を変えてペンギン塗装の予定だったけど、Mk.XVIIの現役バリバリは温帯海上の時代。ペンギンは第一線から退きリザーブ部隊か訓練部隊しかない。戦闘機だから実戦部隊がいいなと、1946年夏の地中海における空母トライアンフ800sqn F.Mk.VII P-173/SX345とする。主翼上面ラウンデルは56インチのCタイプ。下面は推測でシリアルなしの32インチCタイプとする。






 エクストラダークシーグレイは#333にGX5青微量と白少量。1/72なので1/32シーファ47より明るくする。須比人君に試し塗りして、ダークスレートグレイの隣でほんのり青く感じる程度の色味に調整。単色だとかなり青く感じる。ダークスレートグレイは以前シーファIbに使ったもの。レシピは#340フィールドグリーン、#333EDSG、#26ダックエッググリーン、白が40:45:5:10くらいかな。スカイはシーファ47と同じで、レシピは#26と#128灰緑色が3:1。

 スピットの場合、カットダウン胴体のキャノピ内側部分は、私の知る限り迷彩色。キャノピを両面テープで仮り止めして塗り分け、キャノピを外して内側を塗る。今回黄色と白には秘密兵器投入なのだ(←大袈裟な)。以下画像で。



プロペラを接着、若干の微修正を加えてサフ。


下面にスカイを吹いてマスク、上面にEDSG。

ダークスレートグレイのマスクはMr.ペタリ君。

マスクを剥がす。表面に残るペタリ君をきれいに除去するのを忘れずに。スピナにGX1クールホワイト。

マスクして自作ダルブルーを吹く。白とブルー(あるいはダルレッド)は突合せ。

下面ラウンデルのうち、青と白は塗装する。

途中省略してマーキングの塗装部分が終了。胴体ラウンデルはBタイプ、ではなくて・・

黄と白の輪は秘密兵器のインレタ。曲面で位置決めが難しそうな黄を先に貼ると、白の仮止めがチト苦しい。

下面のダルレッドは手持ちのAMD72-050のシート。ダルブルーはデカールの色味が好きでないので塗装なのだ。

機番173Pのインレタも貼る。ペラ先端の黄色もインレタ。


 あとは、シリアルのインレタ、ウォークライン塗装、ウェザリングで塗装終了。古今東西、鳴り物入りの秘密兵器がスカタンだった例は枚挙にいとまがないけど、今回の秘密兵器は割と有効。境界が塗装よりシャープに仕上がる。汎用ラウンデルを何機分か作っておこう。主翼の白輪は塗装したけど、これも秘密兵器にすればよかったな。


■ 小物 3/30追加

 小物を進める。シートはスクラッチ。シーファ17の頃のシートベルトは、穴がなく丸いロックがあるタイプ。以前作ったシーファ47を資料がわりに鉛板ででっち上げる。防弾板は黒。戦塗本だと背当てクッションが茶色いな。脚柱とカバーはエデュIXの余りパーツを活用。表側に0.2mmプラバンを貼る。タイヤは3本スポークと思い込んでて(←現存機のせいだな)、ちょうどエデュが使えるなと作り始めたけど、よく調べたら3本の例もあるにはあるが主流は4本。これはハセIXを使う(エデュの4本は予定ありで・・)。当機4本の確証はない。

 グリフォンの排気管はSBSモデルのレジン。他にクイックブーストからもグリフォン用が出てるが小振り。SBSは、以前考証に協力した縁で拙サイトを知っており、拙図に基づき製品化している模様。重ねるとピッタリだ。自作焼鉄色にタバコライオンを混ぜて筆塗り、ウェザマスで汚すと昔あったモスキットみたい(最近見ないな)。

 葉巻形コンバットタンクは、当機の実機写真で携行しており、是非とも再現したいアイテム。ジャンクパーツに適当なのがなくて、ケミウッドを削る。機体取付部のステーはいい写真がなく100%の確信まではないが、前後の3本で吊り下げ、中央のは燃料管のフェアリングで左舷のみと推定する。前側はスリッパ形タンクを吊り下げるフックに位置がピッタリ。後側は四角アクセスパネルか? 中央ステーもちょうど下面給油口付近に位置する。



シートは0.3mmプラバン。ベルトの金具は鉛板を折り曲げてピンセットでチョイとつまむ。

シートの色は、前回の4色混合が面倒で、いいレシピがないかとしばし黙考。ダルレッド+ダークアースとする。

表側は図面を基に0.2mmプラバンをカット。内貼りはエデュを加工。脚柱の厚みを半分に削って接着。

左ハセIX、右エデュIX。エデュはちょっと小さい。ホイールのみ使い別のタイヤに合体がいいかも。

トルクリンク、ロックリングを0.3mmプラバンで追加、塗装して接着。シーファ47に倣ってカバー内側と脚柱はスカイとする。

尾脚はエデュIX、カバーはハセIX。ワイヤガード、ホールドバックは真鍮細工、フックはプラ材を彫刻。塗装がヘタレ、後で直そ。

SBSのパーツ。上はクイックブーストのマーリン用。

タバコライオンでガサガサの艶消し。うーん、どっからどう見てもモスキットだな。

真鍮棒は本体の手前まで。先端から削っていき、最後に根元を切る。逆は回転でブレてしまう。

ステーはご覧の4本とする。プラバン削ってイモづけ。4つもあれば接着後には強度それなりかと。



■ 続、お絵かき

 スピット全型式計画進行中。ファストバックのスーパースピット、Mk.21とMk.45だ。解説はシーファイアMk.47の頁で。







■ 続、小物 4/14追加

 もうすぐ完成。小物、デカール、ウェザリングと、仕上げの作業を進める。



デカール3種。プロペラにはどっかのコーションとポンチで抜いた赤ベタ。スピナにはエデュIXから。フラットクリアで研ぎ出す。

脚表示棒は真鍮線。各所のコーションステンシルを面相筆で描く。翼付け根のハガレも面相筆。給油口の赤塗装の真偽は不明。

右翼下面にIFFアンテナを2本取り付ける。背中のホイップアンテナは歯ブラシの毛(先細のやつ)。

シートも取り付ける。ジャイロ照準器はクイックブースト。スライドフードは両面テープで仮止め。黄点線を筆塗り。



■ ほぼ完成

 ピトー管、尾灯を取り付け(画像ないけど)、フラットクリア+フラットベースで全体の艶を整えたら、一応「ほぼ」完成。温帯海上迷彩のシーファイアって、どれもドロデロに汚れている。ススや埃をエアブラシしたり、水ウェザマスを拭き残したりでドロデロを狙うも、センス不足でちょっと汚らしいかな。反省。出来たと思って改めて資料本を眺めていたら、右翼ウォークウェイラインが違うみたい。初期のスピットみたいに付け根側が真っ直ぐ胴体まで伸びているようだ。そのうち直しておこう。とりあえず「ほぼ」完成写真。ちゃんとしたのは後ほど。



ホイップアンテナ、ギアインディケーター、尾灯、スピナのデカールが加わる。ウォークウェイのミスもこの角度からは分からないってか。各所の赤が賑やかで見栄えがいいね。


こっちから見るとウォークウェイの間違いはバレてしまう。アップだと手描きコーションがツライなあ。



■ XVIIの主翼ブリスター(4/20訂正)

 主翼上面の車輪をクリアするブリスターは、XVII初期生産型に「あり」か「なし」か、が今回のお題。手持ち資料では「不明」と書いたところで情報頂く。毎度感謝。以下その要約+私の補足。

 『ウェストランド製第5ロット(SX271〜316)の2機(SX311、314)が長ストローク主脚のテストに供され、トーイン(車輪内向角)変更により脚庫が変更になった』との記述がSpitfire The Historyにあり、そこからカンリッフ・オーエン製20機(SP323-327、341-355)およびウェストランド製第1〜5ロットはブリスター「なし」。「あり」は第6、7ロットの42機(SX332-370、387-389)のみと推理できる。実機写真では、SX334があり、SX137(現存機)、272、277はなしが認められる。なお、XV型は全機「なし」。


■ 続、お絵かき

 スピット全型式イラスト計画、今回のMk.22、Mk.XVIII、MK.IVでグリフォンは完了だ。解説はシーファイアMk.47の頁で。マーリンのイラストは、マーリンの製作といっしょにやろうかな。←やるのか。








■ 一応完成 4/28追加

 ウォークウェイを修正して一応完成。ちゃんとした写真はそのうち。



間違ったラインをペーパーで削り落とす。削り過ぎは筆でタッチアップ。



■ スピットトリビア

 リベットラインについて情報を頂く。感謝。胴体燃料タンク下側の水平方向の小リブ配置は左右で異なり、左舷はリブ1本分低い。スロットル操作索を避けるためと考えられ、おそらく全型式でこうなってると思われる。製造図では表現されていない。また、1943年1月以前の生産機(IX初期まで)の後部胴体は凸リベットが使われているが、全てが凸ではなく、パネルライン沿い、フレームおよびロンジロンが凸で横方向のリブは平リベット。またリベットのピッチも異なり、前者は密、後者は疎。それ以降の生産機は基本的に全てが平リベットだが、疎密は同様。

 また、XVIIの外翼上面の主桁より前方部分には、小四角アクセスパネルがある。機体あるいは生産時期により有無があるのかも。下面ロケットランチャー関連なのか、ドロップタンク関連なのか。

 以上、とりあえずV型とXVII型の側面図を直して差し替え。扉のイラストは凸と平のリベットが分かるよう、いつもより大サイズで出力。なお、リベットのピッチはあくまで雰囲気。inkscapeでは点線の間隔はプリセットの中から選ぶしかないので。他の図面とイラストはいつかそのうち。(これが結構面倒くさいのじゃ)



V型右舷。


同左舷。

外翼上面のアクセスパネル。位置、サイズはかなり甘い。

下面にはランチャーがあるが・・・。少なくともMk.22ではランチャーの上に四角パネルがある。



■ キャノピ図面 5/24追加

 シーファ17のキャノピ(47前期生産型も同じ)のコンター図が出来上がる。この図面の中では、側面、平面、正面、断面各図の辻褄を合わせており、いわゆる「作れない図面」にはなっていないハズ。47後期生産型も基本的な面の流れは同じで、こちらも作成中。しばしお待ちを。

  • 頂き物製造図に17キャノピのコンター図があり(AirCorps Libraryには無い模様)、水平にスライスした線(=等高線)はこれをトレース。ただし、製造図とレストア実機写真との寸法が合わず、そこは写真に合わせて若干前後方向に拡大するなど必要な調整をしている。なぜ両者が一致しないのか理由は不明だけど、そこは現物優先主義者なので。

  • WL28の意味するところは、胴体基準線から28インチ(WL=water line)。BL10は中心線から10インチ(BL=buttock line )。

  • 垂直かつ機軸直角にスライスしたいわゆる横断図は、この等高線を基に各座標位置を図学的に算出して作成。各断面位置は風防後端フレームの上端(c断面)とスライドフードのガラス後端部(l断面)を基準に均等分割したもので、胴体staとは一致しない。ピッチが1/48で2.8mmと中途半端なのはそのため。

  • 右上記載の機軸平行に垂直スライスした図は、製造図のトレースに最小限の辻褄を合わせたものなので、精度はやや甘。雰囲気として見ていただきたい。

  • 展開図に示したAの部分は数学的には正円錐となる(正確にはガラス部分が円錐で横窓枠の途中から外は平面)。円錐の中心軸を黒細線で示している。これらは製造図に明確に記載されている。断面Dは軸に垂直な面。ただし 展開図ではCとDを重ねて描いているけど、断面Cは円錐軸とは厳密には垂直でない。

  • 展開図A、Bの形状は、三面図から図学を駆使して求めたもの。図学の試験ではコンパスと定規しか使えなかったけど、試験じゃないから電卓も使う。円弧の長さはradiansで。不正確な部分があれば、私の図学の能力の限界ということでご容赦願う。Cは風防の後端フレームの実形状。つまりこの図を切り抜けば木型作成のゲージとなる。これは二等辺三角形の頂角を円に置き換えた形。底角は図からATANで計算して約64.4゚。円の直径も図から読み取り1/48で約5.1mm(製造図記載の半径の数値は不鮮明で読めない)。

  • スライドフードの下辺フレームは、ガラスがバブル状に膨らむため上半分が外側に折れ曲がる。この折れ曲がりが実に微妙なカーブで、風防と接する部分は折れ曲がらず、コーナーの三角が終わる付近から徐々に外側に折れ曲がっていく。後半でガラスのオーバーハングがなくなると折れ曲がり角度が小さくなり、さらにフード終端近くのガラスの無い部分に入ると、折れ線が徐々に無くなって終端に至る。1/48だと再現は難しいかも。



 断面図の拡大も掲載。鼻筋が細なっていき、それが突然広がって、後半はほとんど円断面というあたりを感じ取ってほしい。



■ 47キャノピ図面 5/24追加

 引き続き47後期生産型。従前より47製作記に掲載のキャノピコンター図はアップデートしてないので、モデル作成等にはこの新版を使用されたし。

  • 風防正面の曲面ガラスは17と全く同じ。側面窓も前端、下端位置や面の角度は変わらず、後方に広がったものとして作図。

  • バブル状のガラスは上側のカーブが17と異なり上側に広がるとして作図しているが、確証はない。







■ 完成写真 6/5追加

 ようやく撮影。相変わらず新鮮味のない写真で恐縮。とはいえ、フォトジェニックなアングルって限定されるから仕方ない。キャノピ閉がデフォルトのはずだったんだけど面倒臭いから開のままで。さて、ヴェンチュラのXVII型は、途中泥縄劇場の一幕はあったものの、出来上がれば個性的なフォルムが雰囲気よく再現され満足度は高い。短鼻グリフォン、前に突き出た風防、細長い後部胴体にコンバットタンクが相まって、重心前がかり度はファミリー中で最高点。←いやあくまで絵的に。1枚目画像、このシャキッとした機首カウルの造形はベンチュラだけ。苦労の甲斐はある。ストックはまだある。次のグリスピは24かな?12かな?

 ところで、エア1/48のXVIIは同時期発売のXIIと違って胴体形状は悪くないとのこと(XIIは胴体高さがあまりに過大)。作ってみては如何だろうか。ただしキャノピは独特なバブル形状が再現されてない。
























■ 参考文献

 参考文献リストは
シーファイアMk.47の頁に掲載。いつのまに100冊越えている・・(自分でもコワイ)







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