スピットファイアMk.Vb 製作記 その2

2015.9.17初出

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■ 続々、風防・キャノピ 1/30追加

 薄っぺらい防弾ガラスが、どうにも気になってしかたない。DVDケースの厚さ1mmの透明プラを切り出し、極初期防弾ガラス「なし」風防に取り付けるという、実機と同じプロセスで修正する。精度向上と時間短縮(写真とニラメッコでの試行錯誤が不要)のため、正面図の防弾ガラスの図を縦に拡大して原寸図を作っておく。以下画像で。



「なし」風防の枠を削り落とす。実機は正面の平面部分が長方形。しかし、キットは下広がりの台形となっている。

できあがり、ではなくて原寸図を置いてイメージの確認。

DVDケースを切り出し、両脇に0.4mmプラバンで側板を接着。双方の接着面を斜めに削り、接着線を角にもっていく。

薄いプラバンの縁を斜めに削るため、板切れにテープ止めする。こういう板切れはスジボリやリベット打ちの台にも使え、何かと便利。

風防の正面部を切り取る。上の一点だけでつながるので、工作中の補強のため下辺にプラバンを仮接着しておく。

防弾ガラスを風防に接着。一連の接着には流し込み系を使う。


 防弾ガラス「あり」風防をベースにする手もある。両方作って出来のいい方を採用しよう。つうことでテイク2。実際には両者並行で製作。流し込み系接着材の固着待ち時間にもう一方を進めるのだ。



同様に防弾ガラス部を切り取り縁を斜めに削る。正面形は実機どおりに修正済みである。DVDケースの防弾ガラスも縁を斜めに削る。

斜めの削り具合で、防弾ガラスの突出度合を調整するため、細心の注意で削り合わせ。側板の接着線を、少量の瞬間をパテ代わりに埋める。

そのまま胴体に乗せると防弾ガラスの角度が実機より寝てしまい、イメージが悪い。(←下側を大きく突出させたのだから、あたりまえじゃ)

風防後端を斜めに削り(下側で0.5mmほど)、防弾ガラスの角度を立たせる。これに伴い、胴体との合わせも微調整。これでイメージ改善だ。


 さて、どっちを採用するか。防弾ガラスを通して見える接着跡が気になるところだが、工作法に起因する出来具合については両者差はない。どちらも接合面を斜めにしたことが良かったのか、接着跡は気にならない。外形に関しても、キットの防弾ガラスなし風防は、「あり」風防の防弾ガラスだけを切り取った形をしているので、両者違いはない。だから、どっちを採用してもいいんだけど、「なし」風防ベースは正面くり抜き時にクラックを入れてしまい、必然的にテイク2を採用なのだ。

 さて、キットの防弾ガラス「なし」風防における、正面平面部分が下広がりの台形になっている件。実はこれがキットの外形ミスの元凶。実機では長方形の平面部に対して下広がりの防弾ガラスを後付けしたため、その下方では防弾ガラスと湾曲ガラスとの間が離れ、それを塞ぐために防弾ガラス側板が下広がりになっているのだ。「なし」風防の正面ガラスと、防弾ガラスの傾斜角度は同じ。キットはその関係が見えてないため、防弾ガラス側板は上下同じ幅となってしまってるんだね。

 また、製作中に気付いたのだが、風防上部の側面形も若干不満。実機は頂上部にカーブが入って後端ではほぼ水平になるが、キットはカーブが足りなく後上がりのまま。そのせいか、後端フレーム(=スライドフード前端)上端の高さも僅かに高い。なお、以前の更新で書き忘れてたが、スライドフードはキットの「フード閉」用のパーツから後方固定部を切り落としたものを使用している。

 で、以上を踏まえ、以前掲載のキャノピ比較図を修正して再掲する。なお、エアの図については、あくまで実機との違いをイメージ的に表したものである。






■ 断面図&正面図修正

 断面図&正面図をver.3.0対応に修正し、これまでMk.Vとしていた断面図はMk.IとMk.VIIIに分ける。


  • 胴体断面形はEng本の数値座標データから。風防/キャノピは実機写真をベースに風防正面窓の寸法/形状を見直す。いずれも、模型的には誤差の範囲程度の修正。

  • 断面図のBは、風防後端のフレームの実寸図。スライドフード前端も基本的に同じ形だが(アタリマエ)、下端位置が異なる。

  • VIII型断面図のCは、風防側面ガラスの実寸図。これ、側面ガラスをその前縁後縁下辺からなる三角形に置き換えて、三辺の長さをそれぞれ算出して形を求める。各辺の長さは、(直方体の対角線の長さ)=(縦横高さの二乗の和のルート)という式により、三面図から計算できる。

  • 今回風防を見直した結果、前期型(防弾ガラス外付け)と後期型(一体)とで、前面ガラスの傾斜角度が僅かに異なるようだ。後期型の方が1°弱寝ている。また風防後端フレームは後期型の方が1°立っている。本当にそうなのか、一抹の疑問はあるが、そうしないと各部の辻褄が合わないのだ。なお、これら見直しは、ver.3.0以降の側面図、上面図には反映済み。




■ 続々々、風防 2/8追加

 風防・キャノピの仕上げ。スジボリして磨く。例によりダブル針で、防弾ガラスが0.3mm、縦の窓枠が0.4mm、下辺が0.6mm。他の部分の工作中に破損すると嫌だから、まだ胴体には接着しない。



胴体に乗せてみる。アップで見ると、ラインがコケてるな。

別角度で。DVDケースなので、透明度が高く歪みが少ない。



■ ラジエータ他

 懸案(?)の風防のメドが立ち、一気にその他の細部をやっつける。まず、下面のぶら下げもの3種。基本はキットパーツ。形状、合わせとも問題ない。スジボリしてリベットを打つ。



エンジンエアインテイクは、曲がったパイプの後ろに取って付けたようなフェアリングがあるように彫刻。

ささやかなディテールアップ。



■ ラダー&エレベータ

 次に動翼の羽布張り。今回はヒンジ部の金属部分をサフェーサで表現する。図面のデータを使ってマスキングシートを切る。リブテープは仕込んでおいたインレタ。



手で切ろうとすると、結構手間がかかるけど、マシンだと楽ちん。サフ厚吹きでリベットが埋まらないようマスキング。

もうちょい厚く吹いてもよかったかな。ていうか、ここも一体でインレタにすべきか。



■ その他小物

 実は、前々からアッパーカウルのラインが気になっていて、微修正する。キットは、斜め30度から見たラインがわずかにクランク状になっている。これが一直線になるように、アッパーカウルの小バルジがあるあたりを0.5mmほど削り、最後方シリンダーヘッドの張り出しをなだらかにする。まあ、私の解釈が正しい保証はない。それに伴い、削り落とした小バルジは、プラバンで再生。



平面形だけ合わせてカウルに接着。

接着後にノミやペーパーで整形する。給油口は穴を掘り、プラバンを落とし込む。

アンテナ柱の基部、航法灯基部を接着。

トリムタブ操作ロッドも取り付け。インレタ保護のため、サフを薄く吹く。


 今回はロボ君大活躍で、タブ操作ロッドや航法灯基部の0.14mmプラペーパーも彼に切ってもらう。また、バルジの形にシートを切り、整形時のマスキングにする。


■ 続、小物 2/18追加

 もうすぐ塗装、その前までに仕上げておくべき細部を片付けるのだ。20mmカノンはキットパーツをベースに0.7、0.9、1.1mmの真鍮パイプの組み合わせ。キットパーツは2回りくらい太いから、ルーターで先細に削る。中心には0.7mm真鍮棒を通して強度もばっちり。本当は銃身のギザギザを表現したいんだけど、やってみてハンドルーター程度じゃ無理ってのが分かって諦める。どっかからレジンパーツが出てるような気もするが。もっとも私の場合、レジンじゃ完成までにぶつけて折るのは必至。なお、当時の写真を見ると、ぎざぎざのない銃身もある。作品の機体がどうだかは不明。

 シートを塗装して取り付け。独特の樹脂の色が上手く出せない。シーファ47のときのレシピは書き忘れてるし。今回はレッドブラウン、ブラウン、ダークアース、ダークイエローを1:1:1:1くらいかな。ベルトはセールカラー+タバコライオン。高さ調整レバーは室内が狭すぎて取り付けられない。内壁が分厚いのに、正しいサイズのシートを入れればキツイのは当然だな。だからキットのシートは妙に幅が狭いのか(納得)。防弾板はキットパーツを薄く削り、ヘッドレストをどっか(ハセかタミのスピかな?)のキットからもってくる。

 GM-2照準器はクイックブーストを買ってあるんだけど、反射ガラスの接着が難しそうで却下。レジンにエッチングの取付部を接着し、その薄い縁に透明フィルムを接着なんてできるか!っつうの。エバーグリーンの2mmプラパイプをガラス取付部も一体に切り出し、縁を薄く削る。ガラスは0.2mmプラバンを丸く切り出し、断面を磨いてからクリアー塗料で接着。



図面に合わせてカノンを工作。図面はこういうとき便利。軸の真鍮棒は真鍮パイプの中まで通っている。

主翼に取り付け。後付けにした方が、翼前縁の整形がきれいにできるのだ。

ベルトの穴を0.2mmバイスで開け、シートを塗装。ウォッシングで汚い仕上がりになってガッカリ。

照準器を自作。画像中のキットパーツは大き過ぎ。奥はQB製レジン。照準器の下半分はキット胴体上部と一体になっているから上半分だけ作る。

コクピットに取り付け。手間をかけたシートもベルト以外は目立たず。残念。

アンテナマストは真鍮棒削り出し。窓を閉じる前に取り付けないと、穴の削りカスで窓が汚れてしまうのだ。



■ 風防接着 3/2追加

 風防関係最後の工作、胴体への接着だ。キットパーツはなぜかやや幅広で、0.5mm程狭めながらスライドフードとセロテープで一体化しつつ、胴体へ接着(スライドフードはまだ接着しない)。翌日、完全に固定してから0.14mmプラペーパーで胴体接合部の段差表現。で、改めてスライドフードを乗せてみると・・・あれ合わない。仮組みでは合ってるつもりだったんだけどナ。仕方なく擦り合わせるが、これ以上削ると小さくなり過ぎ。そこで、前端と下端に0.2mmプラバンを緑フタで接着し、翌日擦り合わせ。ううむ、予想以上に手こずるな。←ヘタレなだけじゃ。



風防を胴体に接着する。曇らないよう溶剤系で。

胴体との接合部に細フチをつける。スライドフードは合わせを調整。



■ サフ吹き

 ともあれ、これでようやくサフを吹ける状態まで漕ぎつけた。スライドフードは、最終的には閉状態で接着する予定だが、塗装中の内側の汚れにも対処できるよう、木工ボンドで胴体に仮止め。最近、これが定番工作になりつつある。で、ガラス面をセロテープでマスクして、内部色を吹いて、ようやくサフ吹き。



内部色は、前面が黒、中ほどがインテリアグリーン、後方は銀とメンドクサ。胴体上部の航法灯はキットパーツを紛失してエデュから持ってくる。

全体にサフ吹き。スピナには、小バルジを0.5mmプラバンで工作。


 サフで現れる表面の細かい不具合を修正したら、いよいよ迷彩塗装だ。おっと、その前にスライドフードに、マーチンベイカーフード投棄ギアを取り付けないと。ま、大袈裟な名前がついてるけど、模型としては延ばしランナーを1本、下辺の窓枠に接着するだけ。文献-88によると、1941年末頃から導入されたらしく、Mk.I、IIや初期のVにはついてないから要注意。レトロフィットはありうる。

 実際の機構は、この細棒についた鉤形の爪(形は十手を想像されたし)が、レールに挟まる駒(消しゴムくらいの大きさ)の突起の穴に刺さり、駒をフード内側に保持している。細棒にはワイヤがついていて、これがフード上部の球形レバーにつながっている。緊急脱出時にはレバーを引くと、棒が前方へ動き、爪が穴から抜けて駒が外れ、スライドフードがレールから外れるというもの。文章で書くと解りづらいけど、機構はとてもプリミティブ。下画像をご覧いただきたい。後期型の風防&フードだけど「ギア」は前期型も同じ。通常時には外れないよう、バネみたいなもので棒を後方に引っ張っているみたい。



「マーチンベイカーフード投棄ギア」。細棒、前後2つずつの突起(銀)と爪(細いピン)、ワイヤ、前方窓枠上部の球状レバー(黒)が見える。



■ 塗装考証 3/10追加

 グレイ系迷彩に旧ラウンデルというのは決まっている。固有機決定にあたり再度資料を検討するが、レターとシリアルが分かり、機体全体の写真でそれらの書体や位置が分かるとなるとほとんどなく、結局イラストのJH-H/BL627に落ち着く。その他の候補としては文献-48 p25の610Sqn DW-X/BL584や文献-67 p43の315Sqn PK-M/AD230がある。前者はレター以外の固有マーキングなし。後者は機首にポーランド空軍(PAF)国籍マークがあり、シリアルはかなり小サイズでスカイ帯上部に描かれる。

 話をJH-H/BL627に戻す。右舷は、同隊他機からH-JH、PAFマークとWONOSOBOの文字は右舷にもありと考えられる。WONOSOBOって何かと思って検索すると、インドネシアの地名。各地の名を記入した機体は他にもあり、これはつまり「報國號」のような献納機。いずれも同じ書体で記入されてるので、当機もこの書体で間違いないだろう。通常は黄色だそうだが知ったのは作業後で・・・

 左舷シリアルは工場記入と思われ、それなら右舷も同位置同書体。となると、かなりの確度で機体全体のマーキングが特定できる。唯一曖昧なのが主翼前縁の黄帯。Mk.IXの頃になると規定どおりきっちり塗られるが、この当時は20mmカノンのすぐ脇から始まるものから、7.7mm機銃近く、その中間と、部隊により記入位置がバラバラ。生憎317SqnのV型で黄帯がはっきり写っているものがない。作品はまあなんとなくそう見える写真に従う。

 ところで、JH-Hは他にCBAF製のMk.Vb AD140が存在する。文献-66-1や-49に写真があり、スライドフードがバブルタイプ(!)、献納地名なし、アンテナ柱直下左舷に部隊マークがある他は、BL627と同様の塗マ。本機はエースでもあるWitorzenc中佐の1942年初め頃の乗機とか。もしかするとBL627も同中佐の機体かも? 文献-88のシリアルリストによれば、AD140は42年3月15日に登録抹消される。BL627は42年2月17日に317Sqnに配備され同年7月31日作戦中の損傷で登録抹消。という経過を考えるとその可能性かなり大か??

 つぎにグレイ系温帯陸上迷彩について。悩ましいのが、茶系迷彩機を現地塗り替えなのか、工場塗装なのか。前者の場合はミクストグレイと呼ばれる白とナイトを現地で混ぜた塗料(色調は部隊によりばらつきあり)、後者だとダークシーグレイになるのかな。グレイ系迷彩の指示は1941年8月、BL627は1942年1月の生産なので、工場での多少の対応遅れはあったとしてもまあ工場塗装と考えてよいか。

 で、その色調は如何に。これは文献-81などにグレイ迷彩旧ラウンデル機のオリジナルカラー写真があり、これを参考にする。コーションステンシルがしっかり記入されているから工場塗装の可能性大。そのイメージは大戦後半のオーシャングレイのように青味が強くなく、わりとニュートラルで明るすぎず暗すぎず(←何が言いたい?)。迷彩パターンも時期により微妙に変化するので、CBAF製Mk.Vの写真をいっぱい並べてパターンを読んでいく。その結果が下画像だ。もちろん、個体により多少のばらつきはあり、左舷胴体はBL627に特化、他は最大公約数として図化する。







■ 調色メモ

 ダークグリーンは#330ビン生。ダークシーグレイは、完全な無彩色だと緑の隣で赤く見えるので、やや青味を加えたいが、その塩梅が難しい。さらに、ダークグリーンや下面ミディアムシーグレイとの明度バランスも慎重に決めたいところ。ダークシーグレイ(ビン生はちょい赤味がある)、エアスペリオリティブルー、白を適当に(←やってるうちに比率が分からなくなったのじゃ)混色。結果として#13ニュートラルグレイ(やや青味あり)を白少量で明度調整、青微量くらいかな。ミディアムシーグレイはスピットXIVで使用したもので、ビン生より明度が高くやや青い(レシピ不明)。スカイはFR.47のもの。トレイナーイエロー、ダルブルー、ダルレッドもいつもの自作色。長谷川寿比人君に試し塗りしてバランスを確認する。


■ 塗装

 今回は、たまぐりリベットが埋まらぬよう、塗膜を極力薄くすることに重点を置く。胴体ラウンデルの黄色は、下地の白も省きサフの上に直接黄色を塗る。薄いと赤味が発色しないので、例によりまず赤味を増した黄を極薄く吹いてから本番の黄色を吹く。完全な発色は目指さず少々濁りが残るところで止める。あとはいつもどおりの手順で。以下画像。



まず、黄色を突き合わせで塗装。

黄色をマスクして下面のミディアムシーグレイ。上面に備えてマスク。

おっと機銃穴を開け忘れてるぞ。 毎度の泥縄作業。このあとサフを吹いておく(←これ大事)。

下面をマスクしてダークシーグレイ。軽くシャドウ吹きしてグラデーションをつける。

ダークグリーンはMrペタリで塗り分け。これもマスクしたまま軽くシャドウ吹き。

一部の塗り分けを失敗してやりなおし。

マスクを剥がす。まずまずの色味バランスでほっとする。

青を吹いてマスクし、白を吹く。青と黄、青と白は突き合わせ。主翼にも薄く吹き赤の下地とする。ダルレッドは隠蔽力が強いのでこの程度。

赤のマスク。胴体ラウンデルは3mmポンチで着色セロテープを切る。胴体の赤は白の上、主翼と尾翼の赤は突き合わせ。

下面もこのとおり。なお、マーキングでも塗膜を厚くしたくないので、にじみ出し防止のクリアや下地色は吹かない。

レターは実は白、ではなくてマスクシートの位置決め。シートはロボに切ってもらう。

マスキング。黒のカッティングシートはよく伸びて粘着力が強いので、胴体帯のマスクに便利。

基本塗装終了。PAFマークはP-40で使用した赤。ウォークウェイの黒帯は自作ナイト。主翼ラウンデル、あと0.5mm前が正解だな。

下面。脚庫の暗銀のマスクはセロテープを貼ってナイフで切るのが簡単。


 マスクを剥がすと、心配されたにじみ出しはほとんどなく一安心。塗膜境の段差はまだ消さず、インレタを貼って、クリアをかけてから。7.7mm機銃のパッチはデカールを塗装して貼り付ける予定。


■ 眼の話

 近頃、乱視が進行しているようである。困るのは物が二重に見えること。窓枠のマスクのセロテープを切るとき、どの線を切ったらいいか分かんない〜みたいな。もひとつ困るのは同心円が歪むこと。ラウンデルなんかは、見る方向によって中心がブレる。だからマスキングの時はモデルをぐるぐる回して調整・確認しないと、出来上がったとき寄り目になってしまう(←見る方向によっては真ん中にある訳だが)。


■ インレタ 3/22追加

 シリアル、機首のPAFマーク、地名、コーションステンシルはマックスラボ。黒の版は以前に作ってあって(B-17の頁参照。翼の下に・・)、今回は白版のみ新規作成。ついでにシュトちゃんその他将来予定も一緒に。10年程前に作ったコーションは、糊が劣化していてうまく貼れない(シリアル程度のサイズならまだ大丈夫)。3年ほど前にも作っておいたので、そちらを使用。貼り付け後、フラットクリアを全体に吹き、翌日塗装のマスク境の段差を#6000ラプロスで均す。これで基本塗装&マーキングは終了。小物をつけたら最終の艶調整にフラットクリアを吹く予定。



PAFマークもまずまずズレずに貼れて、一安心。

文字は違っているので参考にせぬように。インレタのリブテープがいまいち目立たないんだよなあ。


 ところで、キットのコーションのデカールは、塗装別に2パターン。もしかしてスーパーマリン製とCBAF製の違いをも再現してたりして?。このあたり、私自身は正確なところを知らない。また、キットのCBAF製の右舷ウォークウェイは、作品のような一直線でなく左舷と同じL字状になっているが、実機写真によりCBAF製VCtrop型で一直線が確認できる。右舷もLになるのはもう少し時期が後。もう1つ。キット指定塗装のJH-Cって、右舷もJH-Cなんだよね。と、書いたところで後日訂正。キット指定塗装のJH-Hって、よくインストを読むと2013年とあってレストア機なんだね。なーんだ。


■ プロペラ

 キットのブレードは、根元がしっかり厚いところなど、これまでのキットより雰囲気に優れている。ただし、レストアV型に装着されているものをそのまま模型化しているため、ブレード平面形(というのか?)が違っており、先端がグリフォン型みたいだし、真横から見たとき出刃包丁形に見えるという独特の形状が再現されない。そこで、キットの前後縁にプラバンを接着し、プラ粉を盛って削る。ブレード形状図を側面図に追加してver.3.5とするので参考にされたし。赤線で切り取ってパーツに貼り付ければ型紙となるよ。



左キットパーツ。右、形状を修正中。このあと、全体にもうちょい幅を狭め、さらに先端も尖らせる。

真横から見比べる。左キット、右修正中。根元の幅と先の尖り具合、前縁のビミョーなカーブがポイント。


 重箱の隅。V型のジャブロロートルの直径は、資料によると10'3"とされる。しかし、写真でスピナ直径との比率を計算すると10'5"くらいあってよさそう。キットもそんな感じ。作品もそんなところで。←そんなわけで、私は写真イメージ第一優先主義なのだ。ちなみに、グリスピXIV、XVのジャブロは10'5"とされる。だからVももしかして・・・


■ 脚まわり

 キットのタイヤは、断面が角ばっているのは削れば済むとしても、若干薄い。エデュアルドのレジンパーツを買ってみたが、直径が1mm不足で使えない(怒)。ジャンク箱のハセガワV(たぶん)のタイヤのホイルのモールドをルーターで削り落とし、悔しいからエデュレジンのホイルをはめる。なお、ハセのホイルもそんなに悪くないし、エアのホイルはエデュと遜色ないから、エデュを買う必要は全くない。

 脚柱と脚カバーはキットパーツ。脚柱とカバーがぴったりくっつかず、接合部の摺り合せが必要。翼への取り付け法も含め、このあたりは初心者に不親切な設計。尾脚はハセV(たぶん)。補強のため柱に0.5mm真鍮線を通し、上部にエアの柱を継ぐ。写真なし、悪しからず。



ハセのタイヤに2mm真鍮棒を接着し、ルータで回してノミで削り、別売りレジンパーツのホイルをはめる。上はエアのパーツ。

オレオは1.2mmメッキパイプ。がたつき防止に1.0mmパイプを入れて0.8mm真鍮線を通す。カバーはリベットを打ってフチを薄く削る程度。



■ ♪春一番が〜

 掃除したてのサッシの窓に〜・・・ということで、引っ越しの”予感”(←意味は察してね)。しばらくバタバタしそう。


■ 製作再開 4/22追加

 ようやく引越しの後始末が終わり、製作再開。脚、プロペラを塗装しようとして、ふと疑問。カバー内側と脚柱って何色?  インストの指示は両方とも銀。オリジナルのカラー写真では銀か下面色かの判別が難しい。で、教えて頂く。規定により機体内部はコクピット内部を除き全て銀塗装、カバー内側と脚柱は機体内部なので銀とのこと。毎度情報感謝。ただし、必ずしも全てかそうとは限らず、少なくともMk.47では下面色。また、WONOSOBO等の献上機(Presentation Aircraftという)の文字は黄色が標準とか。インレタ貼ってしまったし、知らなかったことにしよう。

 気を取りなおして、タイヤにはDUNLOPのインレタを貼る。これ、Mk.Iの一部に見られ、Vの頃は見かけないけど、まあ模型的フィクションということで。もうちょい書体を細くした方がスッキリしてよかったか。あと残る小物は排気管だ。



銀に塗るとオレオのメッキが効果あり。脚ロック用のリングは主翼接着後に。

翼付け根にチッピング。あとは脚出表示棒だな。


 チッピングは面相筆でミディアムシーグレイを翼付け根付近にちょんちょんと。面積の広いところにはさらにMSG+銀を重ねる。生の銀を使わないのがミソ。次に、ウェザマスでウォッシング。拭き取りの際に染み付いて落ちない顔料はラプロスで磨き落とす。


■ 文字化け

 iPhone6のOSアップデートをずっと放置してたんだけど、先日iOS9に更新したら自分のHPが文字化け。調べるとHTML文で文字コードが指定されてないと正しく読めなくなったとか(これ改悪だよね)。こんなん知らんかったぞ。市販のHP作成ソフトでは自動的に指定されるから問題ないけど、なにしろ当頁は手打ちHTML文書。そこでMETAタグでShift_JISを指定する1行を各ページに書き加える。数が多いから大変。順次対応していくのでしばらくお待ちいただきたい。なお、アンドロイド、ガラケーでの確認はしていないので、不具合等あれば連絡いただきたい。


■ (ほぼ)最後の小物 4/30追加

 静岡HSまであと2週間。GWに入り製作ペースも上がる。完成目指し最後のスパート、残る小物関係の製作、取り付けだ。以下画像で。



プロペラの形を整え塗装。先端の黄色はインレタ。貼付け後、ラプロスで磨いてフラットクリア。左、中は表、右は裏面。

機銃口のテープはAMDあたりのデカールを使う予定が、古くて割れて使えず、塗装する。最初からそうしとけばよかったな。

排気管はストックのクイックブーストの出番だ、と思ったら、形状はキットパーツの方が断然よい。とくに内側の丸み、ボリューム感が全然違う。

キットパーツに足りないディテールを、延ばしランナーとプラバンで追加。排気口のスリットも開ける。延ばしランナーがちとゴツすぎて後で削る。

バックミラーの工作に頭を悩ます。3つのパーツをハンダ付けは困難。で、ミラーと底板を一体化して後で切り離す算段。左が前方。

左の方式は切り離し時に無理な力が加わってハンダ付けが外れてペケ。そこで一体化の向きを変更。画像はハンダ付け後で右が前方。

今度はばっちり。不要部をニッパーで切って、ヤスリ、ノミ等で整形&余りハンダを除去。2つ作っていい方(右)を採用。ピトー管もハンダ付け。

風防上部に接着。底板があるので強度は十分。風防側には段差があるので、プラバンを接着&整形してフラットなベースを作っておく。

主翼下面にある外側機銃の小バルジを削り飛ばしており、プラバンで再生。足を付けて整形してナイフで切り取ってモデルに接着。

IFFアンテナ線は0.09mmテグスを油性ペンで着色。固定は延ばしランナー突っ込み方式。

排気管を塗装、ウェザマス各色で汚して接着。プロペラも接着。奥の脚出表示棒は0.4mm真鍮棒をペンチで平たくつぶしたもの。

後方から。延ばしランナーの溶接跡を削って表現を弱めたんだけど、今度はちょい弱めすぎかな。

ピトー管、小バルジを取り付け。バルジは少々オーバースケールだな。

主脚ロックリングを0.3mmプラバンで。少し斜め後ろに取り付く。後方の落下タンク用フックはキットパーツ。なかなかよい出来。

最近、細部工作にはこんな台(煎餅の空き缶)を使っている。姿勢が楽になる。おすすめ。これ、テレビで見たスイスの時計職人を真似たもの。

つうことで、スピも自立。残る作業はあとわずか。キャノピのノックアウトパネルをどうしようか。


 バックミラー補足。コツは、各パーツの相互角度、間隔を丁寧に合わせること。自作図面のプリントアウトが大いに役立つ。それでもパーツのど真ん中にハンダ付けするのは難しいので、少し大きめに作っておいて後で削って調整する。


■ 最後の小物 5/17追加

 キャノピのノックアウトパネルを取り付ける。スジボリ方式はコケたときのリスクが大きくて却下。エバーグリーン0.13mm透明プラシートをドーナツ型に切る。いつも書くけど中の穴を開けて整形してから外周を切って整形する。フチめくれを削り落としてコンパウンドで磨き、フューチャーで接着。工作中に薄いシートが折れ曲がったりで4、5回作り直し。

 機首に接着した排気管をよく見ると何か変。前広がりなのだ。外して基部の前側を0.5mmほど削って平行になるように修正。素組みの人もここは直してやろう。

 IFFのアンテナ線は極細テグス。先に尾翼側に打った真鍮線に接着し、胴体の穴に通して瞬間をつけた延ばしランナーで接着。このとき、押し込むランナーがテグスを引っ張ってテンションがかかるのだ。失敗したら、ドライヤーでテグスを暖めればよろし。


■ 完成

 以上で完成。キャノピ閉が最終形だけど、静岡HS限定で開にて展示するため両面テープで仮止め。ちょい浮き気味だけどまあ割り切り。きちんとした完成写真は後程ゆっくり撮影するつもり。

 本キットは、外形再現度が素晴らしく、作っていて気持ちいい。全スケールを通じた初期マーリン型のベストキットとしてお奨めする。マニア向けにキャノピ修正などの余地を残してくれるあたりも絶妙な加減?? もちろん、普通のモデラーはそのまま組んで問題なく、それでも既存キットより上。次はBOBの I 型でつくりたいな。そのときはキャノピオール自作で。


■ 改変

 文献-88のヒストリ本から、製造工程における改変の記録を整理して引用する。カッコ書きは私の注釈、※は関連する事項(他文献からの引用もあり)である。本に記載されていても、実機写真と整合しないものもあるし、同じ改変でも工場により時期が異なることも考えられる。また、オリジナル記録の記載ミス、出版時の記載ミス、当頁での私の記載ミス、解釈間違いもあろうから、鵜呑みにしないことが肝要(←人の書いたものは疑え)。お気づきの点はご指摘願う。

39/ 2    ロートル定速ペラ導入(実機写真で該当するもの見当たらず、何のことか不明。デハヴィランドの誤記か??)
39/ 7/11 防弾ガラス導入
39/ 9/ 5 国籍マーク&シリアルをライン記入、翼下シリアル廃止
39/10/19 後方防弾板装備
39/11/10 IFF導入
40/ 6 ※ CBAFでMk.II 生産開始(8月配備) 胴体右側に信号弾発射口
40/ 7/ 3 デハヴィランド定速ペラ導入 (不明。ロートルの誤記か??)
41/ 3 ※ ス社最初のMk.V 完成
41/ 3/24 ユニバーサルウイング導入
41/ 6 ※ CBAF最初のMk.V 完成
41/ 7/14 迷彩塗料をDTD183に変更
41/ 6/22 無線機をTR1133からTR1143に変更(以後アンテナ線なしになるのか??)
41/ 8/ 9 VBのみ排気機銃暖房導入 (排気管前後のパイプのことか?)
41/ 8/29 30galドロップタンク装着 (これに伴い、胴体下面フックと燃料パイプ接続口が設置される)
41/ 9/10 フード透明パネル撤去 (ノックアウトパネルのことか?)
41/10/10 車輪収容部トップスキン強化 (41/11/19という記述もあり。実機写真より、翼上面の平行する2本の凸リブのことではない。K字型リベットラインと関係???)
41/10/21 バルーンフード導入 (少なくともCBAF製では以後もフラットタイプが多数見られる)
41/11/ 4 デハヴィランド 油圧プロペラ導入 (41/12/30という記述もある)
41/11/10 迷彩スキーム変更 (グレイ系迷彩工場塗装開始の意味か??)
41/11/18 マーチンベイカー・フード・ジェティソン・ギア導入 (フード下窓枠の細棒。レトロフィットあり)
41/12/ 2 ネガティブGキャブレター導入
41/12/16 パイロットシート下側防弾板装着
41/12/30 デハヴィランド油圧プロペラ装備
42/1 ※ ス社最初のMk.V熱帯型完成
42/ 4/14 ホイルフェアリング強化
42/ 5/ 5 着陸灯廃止
42/ 5 ※ CBAF最初のMk.V熱帯型、後期型風防
42/ 6 ※ Mk.IX ス社で生産開始、同月配備
42/ 6/16 ヘッドレスト廃止
42/ 8 ※ Mk.VII 完成。ス社最後のMk.V完成
42/ 8/11 信号弾発射口廃止
42/10/20 ウエストランド・コンヴェックス・エレベータ導入 (水平安定板との切り分けラインの変化したやつか?)
42/10 ※ Mk.XII 生産開始
42/11 ※ Mk.VIII 完成
42/11/17 クリップト・ウイング導入 (これ以前にも切断翼は見られる。以前のは木製で平面形の異なるタイプで、ここから金属製でいわゆる普通の切断翼か??)
43/ 1/12 R3067型無線機、MKIII型IFF導入 (胴体または翼下面に装着される棒状アンテナ)
43/ 1/12 平リベット胴体導入
43/ 1/26 リアビュー胴体導入 (カットダウン胴体のことか?)
43/ 3/ 9 ホイップ・エアリアル導入 (ホイップアンテナのことか?)
43/ 3/ 9 塗装をDTD517タイプSに変更
43/ 3/17 照準器の遮光スクリーン廃止
43/ 5/ 4 主脚インディケータ・ロッド廃止 (43/11/2という記述もあり
43/ 5/ 4 オレオ・フェアリング (オレオのトルクリンクのことか??)
43/ 5/18 赤&緑の下方識別灯2つ追加 (左右主翼下面の航法灯のことか? ただしこれはVII〜XIV系列のみでIX系列は適用外と思われる)
43/ 6/29 ラダーペダルのストラップ廃止
43/ 7 ※ CBAF最後のMk.V 完成
43/ 9/13 胴体内部塗装廃止 (もちろんコクピット内部は塗装される) 43/11/ 2 ネガティブGキャブレター廃止
43/12 ※ Mk.XIV 完成
44/ 8/22 Mk.IIDジャイロガンサイト
45/ 7/10 ラウンデル記入位置変更、翼下シリアル復活


■ 完成写真 8/3追加

 ようやく写真を撮影。最終完成形のキャノピ閉状態にする。固定は木工ボンドだから、取り外しも可能だ。閉めるとノックアウトパネルがいいアクセント。開状態の写真はその前に撮ったもの。さて、こうして完成写真を眺めると、改めて、エアのスピットはかっちょええなあ。2枚目写真、カウル〜タンクのラインに注目!





































■ お絵かき

 完成写真だけでは更新ネタとして寂しくて、後期ラウンデル温帯迷彩のイラストを追加する。この塗りのVBではたぶん一番派手な、1942年秋のKirton-in-Lindsey基地における303スコードロン司令ヤン・ズンバッハ(Jan Zumbach)少佐乗機、CBAF製 EN951 RF-Dである。ポーリッシュ・スピットファイアエース本p54およびスピットV型エース本p28にマーク真横の写真(同一だが前者が鮮明)、Schiffer社ポーランド空軍本vol1に左舷排気管〜レターまで。その他、ネットで拾ったカラー写真では左舷機首からスカイの帯まで。コードレター、機首のPAFマーク、シリアルの位置サイズ書体は前述写真によりほぼ確か。機首下面のDは不明で既存塗装図に従う。右舷レターは同隊他機よりD-RFで間違いない。オンターゲット本によれば、PAFと部隊マークは右舷にもあり。LIFEのカラー写真ではアヒルの足元には卵らしきものが描かれているように見える。ただし他の写真でははっきりしないものもある。





 イラスト解説。パーソナルマーキングは真横からの写真をベースにする。ド〇ルドダックは胴体上方にまで及んでいて、顔のあたりはかなり歪んでいる。イラストにするならそのままトレースが正解だが、当頁はモデラーによるモデラーのためのサイト。デカールやインレタの版下に使用できるよう、あえて歪みを補正したものとして描き、そのままイラストに貼り付ける(縦横サイズを補正、下端位置で揃える)。余白のは200%拡大したもので、こちらのドナ〇ドダックは本来の縦横比で、隣のマーキングとの相対位置関係も実機どおり。既存文献のイラストは写真そのままで顔が上下につぶれているぞ。svgデータ欲しい方はメールで。

 その補正の方法は、まず写真を水平に何分割かして、各々の縦の長さを面傾斜角のサインの逆数で補正して再度合体するというもの。顔のあたりは約30゚の面だから1/sin30゚=2で縦2倍に拡大だ。部隊マーク、撃墜マークも歪みなく、円は真円に、鉄十字も縦横同サイズで描く。14番目の鉄十字の中には1/3と描かれている(共同撃墜)。なお、当頁の他のイラストではあまり深く考えずに大体写真で見えたとおりに描いている場合が多い。ま、作図の誤差もあるからそのまま版下にしてよかろう。そのほか、特徴的なバックミラー、部隊マーク、撃墜マーク等も写真のトレースなので、位置サイズ等の精度は既存文献よりは勝ってるぞ。

 ところで、この手のロイヤルティって法的にどうなんだろうね。デカール作って売ると、某出銭プロから高額の請求が来たりするのかな? もっとも当機の場合、チューゴクの出来の悪いパクリよりさらに似てないから、これはただのアヒルの絵だと主張すれば銭を出さずに済むかも。でもランカスターのネズミは似てるわ大きいわでヤバイか? ガーラントのメッサーは・・・全然似てないから余裕でセーフ??

 そのアヒルが描かれたズンバッハの乗機は、他に2機あり、一つは1942年5月頃のCBAF製Vb BM144 RF-D。上述Schiffer本に左舷全身、右舷遠景(かなり小サイズ)の写真、ポーランドエース本p51に左舷前方の写真、裏表紙にマーキングのカラー写真。アヒルはやや小ぶりでポーズが違い、3機の中で一番ドナル〇に似ている。時期により?棒の向きが違うみたい。鉄十字は11個、タイプAラウンデルとタイプCラウンデルの両方が存在する。主翼付け根の塗装はかなり剥離している。背高バックミラー、バブルキャノピは他の機体と共通の特徴。コクピット左舷小インテイクなし。通常サイズのシリアルはステンシル、レターDはRFよりやや位置が下がる(1/48で1mm程)。ただしEN951はRFと同じ高さのように見える(人物が邪魔で確証はないが)。

 もう一つはCBAF製Vb EP594/RF-Dで1942年8月の撮影。ポーランドエース本p82にマークの写真。鉄十字は13+5個。背高ミラー、キャノピはバブル、小インテイクなし。アヒルのポーズと似てなさ加減はEN951に近いが、やや小振りで足の形などが異なる。ラウンデルは時期からしてタイプC。レター、シリアルの詳細は不明。

 ヤン・ズンバッハ(Jan Zumbach、資料によりJana Zumbacha、Jean -の表記あり)は、1915年生まれ、1936年ポーランド空軍入隊、ECD I/55にてフランス戦、イギリスに渡り303Sqnに所属する。大戦での最終スコアは、撃墜が単独12機共同1機不確実5機、撃破が1機で全て303Sqn時代のもの。1943年から44年には、第3ポーランドウイングの司令、44年から45年までは第133ウイングの司令を務めた。最終階級中佐。戦後はスイスの実業家となる。1960年代初め、アフリカのカタンガ共和国(コンゴから独立するも短命におわる)の要請で同国空軍を率いた。後にフランスに戻り1986年死去した。(出典オスプレイほか)






 ついでに以前ちらと表紙に掲載した317Sqn司令Witorzenc中佐の1942年初め頃の乗機も掲載。スコードロンマークはオスプレイ本のイラストを「参考」にする。他機でもう少しハッキリわかる写真を見ると細部は違うかも。同マークは右舷同位置にも記入されている模様。スピナ後半はおそらく汚れだろうが、写真では色違いのように見える。


■ ブレード形状

 ブレードとスピナの形状について写真で確認しよう。1枚目は、一般的なデハヴィランド製金属ペラとペアになる短スピナ。これらはMk.Iと同一である。3枚目がデハヴィランドの幅広ブレードとやや長くなったスピナ。といってもジャブロのスピナほどは長くなく、キットに入ってるのがまさにこれって感じ(一般的なタイプはタミかハセから持ってこよう)。これらはSEACのRAAF隊のMk.Vcに多く見られる。4枚目以降はジャブロロートル木製ペラ。これがまた複雑な形状で、見る角度によって全然違う形に見える。



一般的なデハヴィランド製金属ペラ。まあいわゆる普通のプロペラだ。ブレード平面形はハミルトンに近い。

左と同じもの。角度を変えて。ところで、当機は温帯迷彩型には珍しいCウイング。

デハヴィランドの幅広ブレードとやや長くなったスピナ。ほぼ同一アングルの上画像と比べると違いは明らか。

次にジャブロロートル。横から見ると、包丁のような前縁がまっすぐで後縁が湾曲した三角形に見える(下側ブレード)。

前から見ると、付け根〜中間までが同一幅、そこから先端に細くなる鉛筆形(下側ブレード)。上側の2枚はピッチのため付け根が細く見える。

ちょっと角度を変えると複雑な表情を見せる。上下とも前縁は単純な曲線でなく、中間付近に妙なくびれが入る。

これも上下ブレード前縁に、くびれというか変曲点がある。4枚目画像もよく見れば上下ともわずかにくびれがあるよね(しかもくびれ方が上下で違うという・・)。

もいっちょ。後縁も単純なカーブではないのだ。当機(317SqnのEN916 JH-J)は、他隊を訪問してチョークの「歓迎」を受けたとか。


 ジャブロロートルは、何故こんな複雑な表情なのか。私の推測では、ブレードの基本形状は単純で、ブレード展開図として見ると付け根から中間付近までコード一定(またはほぼ一定)そこから突如先端に向かって先細になっていく。ピッチ変化は一様(かほぼ一様)。この両者が複合されると、ピッチの変化率と前後縁カーブ変化率の違い、さらに厚さの変化も加わって、見る角度によって妙なくびれが生じるのだ。と、理屈で解ったつもりになっても、これを3Dの模型で再現するのがまた難しいんだな。




■ 参考文献

 参考文献リストはシーファイアMk.47の頁に掲載。





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