ヴォート シコルスキー F4U-1 コルセア 1/72 タミヤ その2
2022.12.1初出
|
ナニがアレだが、解説で言及した写真を見ていただこう。 |
sta.110のフレームと風防後端フレームの位置関係が分かる。右画像でフレームの本数を数えれば、これが110なのは間違いない。 |
ロンジロンとキャノピレールが別だという写真。なお、ボンベ後方のフレームがsta.142となる(別写真より)。 |
キャノピ側面形は、この写真によるところ大。 |
キャノピオープン。キャノピと胴体の間隔に注意。なお、レールは胴体上端よりは後方への狭まり方が弱い。 |
第1の説から第2の説、そして今回の最終版ver.2.0まで、作図の経過を側面図でお示しする。不完全な情報で図面を作るとこうなる、という見本として見ていただければ幸い。でも、この経験を踏まえて推測するに、世の中の図面には、この第1、第2のレベルで描かれているもの(あるいはそれ未満)が多いのだろうな。 |
再掲、第1の説。全長383"に合わせて写真をトレースしたもの。 |
実機写真(反転)と重ね合わせたところ。そもそもこういう描き方だから、写真とはよく合う。 |
第2の説。すなわち、ver.1。第1の説の前半をそのまま利用し、尾部だけ後方に延ばし、主翼と尾翼の距離を量産型に合わせたもの。第1の説とも、全長にフックは含まない。 |
|
そしてこれが最終版 ver.2.0。比べると、細部もリファインされているのだ(機銃口とか)。全長はフックを含む。フックなしだと387.32"で、第2の説も大きく違わない。 |
写真と重ねる。ビミョーに合わないのは、遠近法の誤差ということにしておこう。元写真は遠近法の補正はせず、縦横比のみ変えている。写真と図面とは、コクピット付近(このあたりは誤差が少ない)で合わせる。 |
それにしても、最終版を写真と重ねると、キャノピと主翼後端の位置関係が合わない。原因は不明。この写真の時の主翼後端は、フラップが違うか何かで位置が異なるのかも。 ※2/1追記 その後、sta.142とキャノピ後端の関係を見直す。ver.2.0は、前掲キャノピ側面写真におけるコクピット後壁の縦の部材の前面をsta.142としたが、別角度の写真からは後面がsta.142とも読み取れる。差は実寸で2cm程度。実際のところどっちが正解か分からないが、後面を正としてキャノピを描き直すと、主翼後端との関係が改善し、ギリギリ許容範囲まで近づく。よってこれをver2.2とし、図面と胴体側面図を差し替える。 さらに、主翼前端の解釈が違うかも?と思いつき、検証してみる。従前の解釈は、胴体中心線における仮想翼の前端を主翼前端とするもの。当時の飛行機の設計ではこうするのが一般的だ。新解釈は、逆ガルで最下点での断面における前端とするもの。主翼基準面は3°16'後傾しており、胴体中央と最下点との距離約50cmに後傾角のコサインをかければ、前後の位相差は約2.8cmとなる。したがって、この解釈ならば、主翼位置は胴体との境で約2cm後退するわけだ(2.8cmでないのは、胴体中心より胴体境の方が翼が下に位置するため)。 で、この解釈を加味して描き直すと、前述のキャノピと主翼の位置関係はほぼ解決となる。いやこれでハッピーエンド、かと思ったのだが、こんどは機首延長前でのカウル後端と主翼との距離の辻褄が合わない。ということで、とりあえずこの最下点前端の新解釈は保留、従前の胴体中心前端とする。真相は不明。情報求む。
|
電気コードの銅線でプラグコード。本当はダブルだけど省略。 |
#8銀で塗装してスミイレ。ギアカバーはEDSG。 |
翼端灯も工作。内部は迷彩色(すなわちブルーグレイ)ではないかと思う。少なくともジンクロではない。 |
主翼と胴体の接合部を0.14mmプラペーパーと0.2mmプラバンで工作。このL字形部材については後程解説。 |
コルセアの主翼と胴体の結合方法について気づいたこと。主桁は防火壁にがっちりと結合されるが、後方の補助桁と胴体は結合されない(スピットは結合される。109はどうだったっけ?)。構造設計上は、荷重は全て主桁と防火壁で受ける。しかし、それだけでは翼後端がプラプラして具合が悪い。そこで、翼外板と胴体外板をL字形の帯でリベット止めして、動かないように固定しているのだ。 主翼って、エルロンやフラップの作動で、結構ねじれ荷重がかかると思う(エルロンリバーサルとか)。だから、このL字帯は、構造上はそれなりに重要な部材といえる。ちなみに、胴体内側に対応するリブはない。日本機のような薄い外板だったら、金属疲労で破断しそうだが、厚板でフレームが密だから大丈夫なのだろう。フラップ部のL字帯は、単に隙間塞ぎだね。
フラップ回転軸の位置は、製造図から読み取っているので、ほぼ実機どおりに作動するぞ。ただし、回転軸が描かれた製造図のフラップ正面図は、翼基準面沿いに見て描かれているが、本3D設計では、いわゆる普通の正面図の方向で設計してるので、軸の位置決めがややこしい。 |
正面図、平面図、翼断面図をベースに、各フラップの端面の断面図を描き、ロフトでつなぐ。 |
各フラップのヒンジ軸をスケッチ(画像黒線)。この線を軸として、フラップのボディを50°回転させる。 |
ヒンジは簡便な方法で近似的に造形する。まず、上部を切り取った円錐(円を-50°で押し出し)のエッジを丸める。 |
横方向に20%縮小してから、前後にカットして折り曲げ、軸を追加。 |
その他、あれこれ追加して出来上がり。 |
下面はこんな具合。実機はフラップと主翼との間に隙間があるが、強度確保のため隙間なしとする。 |
主翼に接着。外翼フラップは別パーツとして出力、接着する(一体だと合わせが大変なので)。 |
下面はやっつけ仕事。隙間を瞬間パテで塞ぐ。 |
キットのフラップを切り取って、この3Dパーツをはめ込めば、誰でもフラップダウンが再現できる、というのを意図して作ったもので、フラップ幅などの寸法は、実機の正確な1/72ではなく、タミヤに合わせてある。活用してもらえれば幸い。ま、しかし、パチピタとは程遠いので、キットパーツを使うのと手間的にはあまり変わらないかも。使用の際は、上面のフラップ境を基準に、下面側の切断面位置を調整するとよいと思う。 内側フラップの胴体側のヒンジは、胴体内部にあるのだね。前述製造図でそれが分かる。ということは、製造工程では、胴体にフラップなしの主翼を取り付け、その後にフラップを取り付けたわけだ。
|
カウル内側にプラペーパーを貼る。カウルの位置がズレないよう、エンジン外周を慎重にすり合わせる。 |
エンジンとカウルを接着後にカウル上部と胴体との隙間を埋める。 |
これで、基本外形組み立ては終了。スジボリ、たまぐりも概ね終了。次はインレタのリブを貼る。
3Dパーツは、キットの主脚をそのままそっくり交換するという前提で設計してある。主翼の取付穴に差し込みづらいが、ピンセットなどでつまんで穴にいれてやると、後方のリンクがジャストフィットするはず。脚柱中心の穴には0.6mmの真鍮線を通して接着する。3か所の小穴は挿入後に瞬間を流すためのもの。 プリントは、内側ホイルと脚柱を一体にして、上を下にすることを推奨。タイヤと外側ホイルはそれぞれ別に最適角度で出力し、塗装後に接着すればマスキング不要だ。脚柱最上部が広いのはサポート受けで、出力後は切り離す。 タイヤ、ホイルのクリアランスは、私の出力環境下(Mars2、Shiraya Navy、0.05mm 2.6s:脚柱、0.025mm 2.4s:タイヤ&ホイル)で最適にしている。ここは各自お試しプリントして調整されたい。ブレーキラインとオレオ引き上げロッド(脚柱下部の前側にある細い棒)は別ボディとしてあるので、好みで「なし」にできる。1.5倍すれば1/48にも十分使えると思う。ただし、タミヤ48とのフィッティングは未確認。 |
主脚柱全景。スムーズトレッドのタイヤ、ホイル内外も一緒のファイルに入れておく。 |
内側。下端の牽引リングが一つのポイント。画像で見えない位置で、脚柱とホイルの間に補強を入れている(非表示可)。 |
スムーズトレッドのファイルに、ホイルが入っている。ホイルは内側にもスポークがあるよ。 |
ラダー状のトレッドは、一部のバードケージに見られる。 |
-1D以降になると、ダイヤモンドトレッドが主流。これはライトニングで作ったやつを加工する。 |
確信ないけど、多分ひし形はこのように互い違いに横に3こずつ並んでいるのではないかな。 |
プリントして仮組み。ロッドは「なし」にして伸ばしランナーで再現する。 |
後方の斜め部材やオレオのトルクリンクのH形断面がポイント。斜め部材の脚庫取り付け位置については後述。 |
後方斜め部材の主翼側取付位置は、実機ではもっと奥(翼上面に近い位置)である。しかし、キットは脚庫内の主桁(脚庫前後の仕切り壁)が厚いため、斜め部材の角度を実機どおりにすると、取付位置が下面寄りになってしまうのだ。脚庫内の再現性を重視するか、外から見た時の正確さを重視するかの選択となるわけだが、外形至上主義者の私は迷わず後者を選択する。 前者重視なら、スケッチ(gear side)を編集して斜め部材の角度を2°ほど立ててやる(角度の数字を変えるだけで、あとは関係する箇所が自動的に変更されるはず。ただし2°を超えると面倒かも)。
お持ち帰りファイルで表示されているのは、初期の脚柱が短いタイプだが、6インチ延長された長いタイプも設計してある。適宜、表示/非表示を変えてプリントされたし。 ついでに、フラップのファイルを加工し、-1Dのステップの穴も再現できるようにして、ファイルを差し替える。 |
設計出来上がり。一応、キットの脚庫にそのまま取り付けられるようにしたつもり。フックは別ボディで「なし」も可。 |
出力して仮組み。キットで表現されない部材断面の穴がポイント。外からはよく見えず、荷重のかかる部材は太めにしてある。 |
フック先端は、Fusionのロフトでテキトーに設計したもの。そもそもフックのロッドは曲がりやすいから3DPには不向きで、金属線に交換が望ましい。であればフック先端もプラパーツを加工するのがよい(3DPのフックを金属棒の先に接着するのはあまり適当ではない)、つうことで悪しからず。
|
|
支点Aは、主翼側に固定されている。Aのすぐ下に翼下面外板が位置するため、Aは外からは見えない。支点Bは主脚に固定。引き込みアクチュエータは支点Cにつながっており、Cと脚柱はフリー。BとCの間は、短いリンクでつながっている。 脚を引き込むときは、アクチュエータによりCが右上に引っ張られる。Bは脚柱固定なので、部材BCは反時計回りに回転し、縦のリンクを押し上げ、Aから右下に伸びる斜め部材を押し上げる。Aが固定なので、斜め部材は「へ」の字に折れ曲がり、ロックが解除される。 一方、脚を降ろすときは、Cに左向きの力がかかり、そのままではCはBを超えて左に行ってしまう。ここは何らかのロック装置が働いて、必要以上にCが左に行かないようになっていると思われる(斜め部材が180°以上曲がらないようになっていれば、Cの動きは制限されるはず)。 ついでに、オレオ引き上げ機構について。上画像で下側の脚カバー取り付けステイの下に見える逆ヘの字レバーが、引き上げロッドに連結されている(画像ではロッドが少々見づらいが)。このレバーにはワイヤが取り付けられ、その反対端は脚庫の翼下面近く、かつ脚柱より前方に固定されている。地上でオレオが縮んだ状態ではワイヤは弛んでいる。 離陸するとオレオは伸び、レバーが下がり、ワイヤはピンと張る。脚が引き込まれるとワイヤ取り付け位置と、レバーとの相対距離が長くなるため、ワイヤがレバーを引っ張り、ロッドを介してオレオを引っ張る。シンプルで上手く考えられている。P-47も同じ原理だ(こちらはワイヤでないが)。我が紫電もこの機構を使えば、もうちょっと活躍できたかもね。 動画も実物と同じ機構のバージョンに差し替える。ただし、オレオ引き上げは再現してない。
|
スチュアートと同じ版にした都合で黄色。ちなみに白は白の下地がない分だけ他の色より薄いので、リブ表現には向かない。 |
下面もたっぷり。 |
貼り付けてサフを吹く。この控えめな凸がいいのだ(←あくまで個人の感想)。 |
スパン延長で切った貼ったしても問題なし。後縁もシャープに決まる。 |
|
ブレードは、以前作ったデータをちょいちょいとイジって出来上がり。思った以上に簡単。形もキットには勝ってると思う。 |
ハブは、キットで凸パーティングラインとなる部分が凹スジボリになってるのがミソ。 |
シートは、ピクトリアル本の図を参考にする。ベルトは、これくらいオーバースケールにしないと塗り分けが困難。 |
Mk.8ガンサイトも作る。シートのファイルに入っている。 |
|
カウルに体育座りの女性のノーズアートがあって、デカールも多く出ているVMF214の「Marines Dream」白の576(BuNo02576)は、写真では補強された後部胴体となっている。ただし、シリアルから、レトロフィットということが分かり、ノーズアートありで後方補強なしの状態も存在した可能性はあるから、窓ありにこのデカールを貼っても間違いとは言い切れない。 後方窓がないタイプのキャノピ後縁ラインは、おそらく-1Aと同じ。だから、キットを改造して作るなら、-1A用の胴体パーツを使い、キャノピ後方をプラバンなどで延長すればいいだろう。 では、前述のAカウルのファスナの図を掲載。左右画像の中間の状態もある。-1Aがどうかは気になるところで、タミヤ1/32がどうなってるかも気になるところ。Aカウル以降のファスナ(ネジといったほうが正確かも)も、-1A以降は変化があるみたい。情報歓迎。ファスナのサイズは3種類くらいあって、分かった範囲で図面でも区別して表記する。カウルのファスナが最も大きい。これは一応実物のサイズを縮小して表示。他は雰囲気で。 |
-1当初のファスナ。-1後期は、側面図の付図に記載のとおり。 |
-1Dで見られるファスナのパターン。上側のパネルは変更ない(多分)。 |
3DPシートは最終版の手前で、バックルが足りないがまあいいや。防弾板をプラバンで追加。 |
0.3mmプラバンの防弾板を追加。ヘッドレストはつけない。後方窓の凹みは彫り込み済み。 |
しかし一方、同文献にある43年12月撮影の-1A BuNo17930(-1Aのおよそ1200機目)の写真は、私にはIGよりもDDGに見える。御上の指示と生産現場には乖離があったことは十分に有り得る話だ。まあ、モノクロ写真の明度はあてにならないので、写真の印象で全てを語るのは危険ではあるが・・・ いずれにせよ、グロッシーブルー(44年5月以降)の機体では、コクピット内壁がIGなのはカラー写真より確実。また、ベンダーからの供給品(座席やラダーペダルなど)は、44年の遅くになってもDDGが残っていたとのこと。コクピット内壁やキャノピ内側より、シートが暗く写っている写真もある。 ということで、写真を見ていただこう。出典は同文献。ナニがアレだけど、ご容赦いただければ幸い。 |
上述-1A BuNo17930のコクピット。コンソール上面の黒と内壁との明度差がほとんどない。外装はトライカラースキーム。 |
シートがDDGっぽく見える写真の一つ。キャノピ内側を見ればコクピット内壁はIGかな? |
風防の接着に流し込み系を使ったところ、グレアシールドとの隙間に流れてしまう。これから作る方は要注意だ。あわてて外して磨き直し、グレアシールドのサイドも少し削り、白フタで慎重に接着する。後方窓はメタルプライマーを接着剤代わりに、塗料をパテ代わりに使う。 |
フチを削って磨き直したところ。後方窓はこのあとダブル針で窓枠を彫る。 |
胴体に接着し、後方窓の隙間はタイヤブラックで埋める。 |
防弾ガラスの設置は悩ましいところ。風防のプラの厚みで正しい位置に取り付けられない。このスケールだと、無理して付けても、総合的な完成度がはたして上がるか疑問。ということで、とりあえずなしで。接着跡を整形したら、いよいよ塗装だ。後方窓の内側は迷彩色で塗装済み。
|
後方窓と胴体の間に注目。防弾板手前の板は、ノンスタンダード。 |
|
|
#800ペーパーで段差を均し、接着前にダブル針で彫った内側のスジボリを目安に、カッティングシートを貼る。 |
スジボリしてコンパウンドで磨いたところ。内側に詰めたティッシュは汚れ防止。 |
セロテープでマスクしてサフを吹く。まずまずの出来具合。スライドキャノピの下なので、この程度で十分。 |
勢いで、ブルーグレイも塗ってしまう。アンテナやタブロッドが未だなんだけど。 |
しつこいようだが、WW2米軍機の場合、後方固定窓から見える内側の胴体は迷彩色で塗られる(無塗装の場合は無塗装)。インテリアグリーンは絶対にない。もしインストの指示がそうなっていたら、それはインストが間違い。該当機種は、本機の他、P-47レイザーバック、P-36、P-40(M型まで。Nはこの例に当てはまらない)。
|
アンテナは1.2mm真鍮棒削り出し。長さは39.25"。金属部にはミッチャクロンを筆塗りする。 |
タブロッドと小アンテナ柱は0.35mm真鍮線。折り曲げて端部をペンチで潰す。 |
エルロン等の小ブリスターは、プラ細工。0.8mmプラバンを水滴断面の棒状に削り、端部を丸めてナイフで切る。 |
トリムタブロッドはプラバンで。 |
突起物には薄くサフを吹いておく。
|
ブルーグレイを吹き、シェーディングと退色表現をエアブラシで軽く。のの字吹き(注:F/A18の項参照)も少々。 |
外翼下面はブルーグレイ。こちらはSDEカラーのビン生。画像では上面と明度が違わなく見えるが・・ |
この後さらに、汚れ、退色を追加する。
バードケージの迷彩は、当初は上側面と外翼下面がANA603ブルーグレイで、外翼を除く下面はANA602ライトグレイ。外翼下面が上面迷彩色なのは、翼を折り畳んで甲板上に駐機したときに、敵から空母が視認されにくくするため。カウリングの内側は、以後の型式も通じて下面迷彩色(つまりこの場合ライトグレイ)で、カウルフラップ内側もライトグレイとのこと。後方固定窓の内側は上面迷彩色。 主脚収容部、主脚ドア内側、尾脚ドア内側、主脚柱、尾脚柱、主車輪ホイル内側は、全てライトグレイ。ホイル表側のみ銀。模型では銀の脚柱をよく見かけるが、トライカラーの-1Aを含め、こういう機体は存在しなかったと思う(←私の旧作-1Aは銀で塗ったけどな。当時は情報が無かったのじゃ。なお、モノクロ写真で銀に見えるものは、ライトグレイだろう)。折り畳んだ主翼の断面は、内翼側がライトグレイでフラップ部のみブルーグレイ、外翼側はブルーグレイ。 コクピット内はダルダークグリーン。計器盤やコンソールは黒。コクピットとカウル内側を除く機体内部(尾脚収容部、ガンベイドア内側を含む)は、サーモンと呼ばれるジンクロ(イエロー)と酸化鉄を混ぜたくすんだピンク色。機体内部がジンクロになるのは、-1Aになってから以降のようだ。なお、内部がサーモンの場合でも、機体外面のプライマーはジンクロで、翼付け根などの塗装が剥がれた所にはジンクロが顔を出している。 トライカラースキームは1943年1月5日に導入された。ただし生産現場への反映は遅れた。当初は側面のANA608インターミディエイトブルーが前後につながっていたが、まもなく胴体上面のANA607シーブルーが翼上面につながった。国籍マークは、トライカラーで袖なしの機体があることから、トライカラー導入後すぐに(夏頃?)、白袖とフチが付いたものに変更されたと考えられる。そのフチは、工場塗装では全て赤で(←理由は-1Aで赤フチつきがあるから)、現地に送られた後で、赤フチから青フチへの変更指示(43年秋頃?)に基づき青く塗り直されたのではないか。 トライカラースキームの場合、カウル内側や脚回りは、下面迷彩色であるANA601ホワイトとなるが、部品供給の関係でライトグレイの脚柱も存在した模様(あるいは、ほとんどがそうかも)。カウルフラップ内側はインターミディエイトブルー。主翼折り畳み断面は、カラー写真より外翼側はインターミディエイトブルーで間違いない。内翼側は不明。 バードケージの写真を見ていると、袖&フチつきインシグニアでブルーグレイ迷彩に見える機体があるが、その大半は退色したトライカラーではないか。ブルーグレイのままインシグニアを新しいものに描きかえた機体は多くないと思う。フチなしで白袖だけのインシグニア(これもイイよね)は現地塗装だろう。
グロッシーブルーは1944年5月導入。-1Aは同年6月まで(最後の方の-1Aは内翼下面のパイロンあり)だが、グロッシーブルー導入は-Dの極初期のようだ。上部の枠無しキャノピは44年8月以降で、順次レトロフィットされた。コルセアの場合、全面グロッシーブルーでも国籍マークのインシグニアブルーが残された(-4の途中(?)から「なし」、ヘルキャットは最初から「なし」、FM2ワイルドキャットは「あり」)。 ちなみに、この2色は後者の方が暗く、インシグニアブルーは、ほとんど黒といっていい色調。模型だと逆のパターンをよく見るが、あれは間違い。これ、デカールの色が明るすぎるんだよ。そろそろみんな気づいて欲しいな。てゆうか、実機写真をよく見てチョーダイ。なお、デカールに合わせてシーブルーを明るくすると、出来損ないのレストア機みたくなるからNG。インシグニアブルーを手描きしよう。レシピは黒とシーブルーを半々。 マーキング、FAA関係については別の機会に。以上出典は、ほぼほぼピクトリアル本。
|
左、3DP。右、キット。ブレードの形や幅も違えているが、まあ、自己満足の世界だな。 |
3DPのアップ。サフを吹いてスミイレ。凹線表現の分割線がポイント。本番塗装までにスピナの積層痕を消しておこう。 |
|
Mrペタリでマスクしたところ。内外翼の境界はテープのマスクで塗り分け済み。 |
塗り分け完了。水溶きウェザマスのススとサビで軽くウォッシング。 |
機首はこんな具合。 |
尾脚収容部にサーモンを吹く。これは、ジンクロイエローと赤を半々やや赤少な目に混ぜたもの。 |
仕方ない。やり直しだ。#1500ペーパーで塗装を磨き落として、コンパウンドで磨き、再度セロテープでマスク。何やってんだか。 |
ペーパーで塗装を落としたところ。他のマスキングははがさない。 |
後ろ隣のマスクもはがして、コンパウンドで磨いたところ。まあ何とかリカバリーできたかな。 |
|
断面図を重ねて一枚に表示する。-1のキャノピ断面は、前端は直線、後端は曲線であることが分かる。
|
左舷。この2枚の窓以外は左右対称。 |
右舷。下端に枠が追加された分、窓が狭くなる。 |
次回は-1A側面図と平面図。 |