中島 キ43 隼 II型 前期型 アルマホビー 1/72 製作記

2025.9.17初出




最終更新日 3Dファイル




■ はじめに

 零戦が完成して、新たなバッカニアの旅のお供が欲しくなる。モデリンク(11/3)も近づいたし、「商品見本」第二弾いくか。つうことで、アルマの隼を始める。今度は前期型(前期後型ともいう)にして、塗&マは前からやりたかった59戦隊の南郷大尉機だ。




再掲、前期型カウル。全体に角ばった形状で、正面開口部が広く、過給機インテイクは小判形。

再掲、後期型カウル。丸みを帯びた形で、前に長くなりその分開口部が狭まる。インテイクは饅頭形。


 さて、前作のII型後期型(後期後型ともいう)は、発売前のテストショットを組んだもの。そのため、キット紹介の意味もあって、外形は全く手を入れず、唯一、カウルをキットパーツと3DPの脱着式にして、カウルフラップの開閉を楽しんだ。

 今回は2作目なので、前回気になった点にちょこっとだけ手を入れる。これから組む人も参考にしてもらえると嬉しいな。なお、キット評や、3DP改造パーツは、以前の製作記を見ていただくこととして、ここでは割愛。


■ お絵描き

 隼のイラストは前に描いているので、ちゃちゃっとマーキングだけ変えて南郷機にする。手を動かしてみると、いろいろと疑問点が湧いてくる。まず、水平尾翼の赤白帯の有無。手持ちの南郷機の写真では、有るとも無いとも判別がつかない。確か同隊機で帯ありがあったはず(ちょっと今手元に写真が出てこないが)、ということで、帯ありにする。

 次にカウル下面。実機写真だと下面やオイルクーラーも暗緑色に見える。一方で、世傑などに同隊でカウル下面が明色の初期型(前期前型)のカラー写真がある。ここは南郷機の写真の印象で暗緑とする。後部胴体も、暗緑が下まで回り込んでるかよく分からん(世傑のイラストはそうなっている)。暗緑の色調は、前述世傑カラー写真のイメージで、青暗くする。世間的に言うところの川西機色(零戦も隼もこんな色だと私は思っているが)。

 さらに、青帯の色調も不明。日本機のカラー写真でマーキングの青って見たことがないから、色のイメージがつかめない(※)。モノクロ写真の印象では、明度は低い。世傑のイラストは明るすぎかな。紺色の疾風のラダーが現存していて、それはネイビーブルーのような紺色。ということで、その色をイメージ。いや、そもそも「青」っていうのは合ってるのかな? モノクロ写真だと分からないよね。文献の記録があるのだろうか。

 スピナは明色だが、白か黄色か悩ましい。写真の印象は白かな。タンクの色は何色だろう? 下請け工場で適当に塗った灰色ってところだろうが、さてその灰色の色調は如何に? その他、アンテナ柱はなし。脚カバーは暗緑。ホイルは無塗装。以上、お気づきの点があれば、遠慮なくご指摘いただきたい。※9/19落下タンクを追加し、細部を訂正して再掲。

9/30追加
※ その後、尾翼に青の部隊マークの入った屠龍のオリジナルカラー写真を見せていただく。写真の印象は、紺でもなく、水色でもなく、まさしく青。英語だとトゥルーブルー。あるいはコバルトブルー。そういえば、日本機の塗色の文献にはこのコバルトという言葉を見かける。で、コバルトブルーで検索して出てくる色は、このカラー写真の印象に近い。ということで、そのイメージでイラストを描き直す。(塗り直す、か)

 それから、水平尾翼の帯については、隊長機だけでなく同隊機の多くに記入され、それは五式戦に機種転換したのちも継続したようだ、との情報をいただく。改めて写真を見直すと、そのように見えなくもない写真が出てくる。しかして、その色は?






■ 製作開始

 塗装考証は今後詰めるとして、早速手を動かす。同キット、すごーーく良く出来ているが、ちょっとだけ気になるところがある。それは、カウル後方の胴体幅がやや狭いこと。私の図面と比較してもそう。前回は書かなかったけど。おそらく、カウルフラップの隙間から出てくる排気管との取り合いで、そうなったのだろう。ここを0.5mmほど広げてやる。そうすると、3DPカウルとのラインも滑らかにつながる。

 あと、垂直尾翼前縁がちょい薄いか。設計者からは、私の図面どおりにしたのに!と怒られるかもしれないが。それと、上反角はわずかに不足。私の図面に合わせて手でパーツを曲げてやろう。



中にプラバンの桁を入れる。過度の変形で前縁が割れないようにするためで、ピッタリ入る必要はなく0.5mm程の隙間は許容する。

胴体接着部の風防より前方及びエンジン裏に0.5mmプラバンを接着(赤矢印)。クサビ形に削り、風防前方では幅ゼロとする。

垂直尾翼前縁に0.3mmプラバンを接着し、前後がなじむように削る。

計器盤、配電盤にデカール。

翼上下を接着。コクピット内部色を塗る。ちなみに今回は鍾馗で使った自作中島コクピット色。

胴体と主翼を接着。胴体拡幅により、合わせがきつくなるから、そこは慎重に擦り合わせるべし。


 キットはカウルフラップが開いているので、その後方の胴体が狭いのが気にならない。しかし、閉じると段差が分かってしまうのだよね。私の3DPを使う方は、ぜひここを改修するようオススメする。


■ カウル、エンジン 9/30追加

 あっという間に「エ」の字になり、次は3DPの機首の取り付け。このまま素直に作っても面白くないなと、前作同様ネオジム磁石で首を差し替え、カウルフラップ開閉を楽しむことにする。そのための3D設計は済んでいる。



矢印部分にも0.5mmプラバンを挟んでいる。小判形突起は1mmプラバン。機首の位置はこれで決まるので、寸法と位置を正確に。

機首拡幅に伴い、矢印部分の辻褄も合わなくなるから、適当にパテ類(私は瞬間+プラ粉)を盛って整形する。

エンジンにはネオジム磁石の接着台を設計してある。お持ち帰りファイルとモデリンク販売品にはない。悪しからず。

磁石を接着する。精度よく接着するには工夫が必要(後述)。

フラップ開のカウル。まだ接着はしない。

フラップ閉のカウル。


 磁石の接着法。まず、1つ目のエンジンに磁石を瞬間で接着。そこに胴体側磁石をひっつけ、エンジンの位置を合わせて胴体と磁石の間に瞬間を流す。誤差はこの隙間に逃がす。2つ目のエンジン側の磁石を、今しがた接着した胴体側磁石にひっつけ、エンジンの位置を合わせてエンジンと磁石の間に瞬間を流す。誤差はこの隙間に逃がす。小判形プラバンは、エンジンの凹みと隙間ガタツキなくピッタリはまるように作るのが、キモ。


■ アルマ純正3DP

 前作2型後期型の製作時には、アルマから純正3Dパーツのファイルをメールで送っていただき、それをプリントして使用した。今回も使おうと思ったら、PCご臨終でファイル喪失。バックアップ取ってなかったのじゃ。参ったなあ。

 と思ってたら、キットインストに書かれているURLから無料でダウンロードできる、と教えていただく(情報感謝)。キットを買った人だけがアクセスできる、というわけ。いやー、知らなかったなあ。←インストよく読めよ。



シートベルトつき座席をプリントしてみる。ちなみにファイル形式はstl。他に排気管なども。



■ 主脚3DP

 キットの主脚は、惜しいことにオレオのゴムブーツが再現されていない。つうことで3DPだ。トルクリンクの穴も開けるぞ。フォーク部分はキットを使う。3Dレジンでは、このように偏芯荷重がかかる部材は曲がってしまうのだ。キットのフォークを切り取り(トルクリンクの直下で切る)、0.6mm真鍮線を接着し、それに3DP主脚上部を被せる。

 主翼取り付け部もキットパーツを切り取って使う。3Dで一体設計できなくもないが、そこはプラにした方が、主翼との接着に具合がいいでしょ。



いい写真がなく、細部は推測が入る。現存機の脚は、たぶん1型の流用。カバー取り付け金具が違うと思う。



■ 3Dファイル

 ということで、お持ち帰りいだだく。リンクは後期型製作記のページで。


■ マーキングの青

 これについて、情報をいただき(感謝)、イラストを描き直す。イラストはこちらで。


■ 細部あれこれ 10/14追加

 塗装前に済ませておくべき工作を進める。排気管はアルマ純正3DP。閉じたカウルフラップと干渉するので、すり合わせを慎重に行う。一体だと上手く合わないので、分割する。



カウルフラップを開くと隙間から筒の部分も見えるので、そこはプラパーツを継ぎ足す。ギャップはパテ。

閉じるとこんな具合。3DPは奥行きがあって「管」に見える。プラパーツだと「皿」。

機銃パネルなどのファスナを#3たまぐりで打つ。

動翼リブのインレタは過去に作成済み。版の余ったスペースを利用しているので色がバラバラ。

インレタ部分には保護のためサフをしっかり吹く。

エンジンはC8銀で塗装し、黒のウェザマスで強めにウォッシュ。このあと、プラグコードなどに差し色を入れる。

シートも3DP。C8銀とC526茶色で塗装。これは塗装後に取り付ける。

ガンサイトに0.2mmプラバンのリフレクタを接着し、風防を接着する。ヘッドレストは小さい方(パーツB24)を使う。


 そのほか、フィレット部のスジボリを追加し、胴体側面の不要パネルラインを埋める。具体の箇所は、隼後期型製作記「リベット」の項を参照されたし。


■ 塗装開始

 改めて、全体にサフを吹き、本番塗装を始める。上面の暗緑には銀剥がしをするので、下地のC8銀を吹く。下面は無塗装銀。こちらにはタミヤラッカーのLP-38フラットアルミを下地とし、その上にC8銀をドライブラシ。フラットアルミを選んだのは、艶消しの方が日本機の白っぽい銀に近い気がするから。従前はプリビアスシルバーにフラットベースを混ぜて使ったが、それとフラットアルミのビン生と、ほとんど同じ仕上がりになる。



上面にはC8銀。

キャノピはキット付属のマスクシールでマスキング。下地に黒を吹いてC8銀。シールは辺ごとに分割して貼る。

パネルごとのトーンの違いを出そうと、マスクして自作ガンメタルを薄く吹く。

やりすぎたのでフラットアルミを上吹きしてトーンを抑える。今度は抑えすぎだな。何やってんだか。




■ シルエット・ポートレイト再び 10/16追加

 前回更新から2日後の更新。シルエット・ポートレイトの正しい使い方が分かったので、忘れないうちに書いておく。

 零戦32型製作時は、インクスケープで作成したベクターデータが読めないため、ラスターデータ(画像データ)として読み込み、そのために精度が悪く、結局マスキングシートを手切りした。

 しかし、先日オービーズ例会(ズーム参加なのだ)で対処法を教わり、あっさり解決。なんで気づかなかったのか、オレ。ともあれ、改めて新マシンの性能確認だ。ちなみに、零戦32型でのいきさつは、
こちらから。  



高さ4mm強のレターを切ってみる。データは補正せず。ロボよりも精度がよい。データ修正で歪みをとれば、よりよくなるだろう。

円(最小は直径3mm)を切ってみる。ロボのように始点と終点がズレるようなことはない。ただしビミョーな歪みはある。


 結果、マシン買い替えは正解であった。めでたしめでたし。カットの設定は次のとおり。カット圧、速度、パス、加速度、刃出し量:いずれも1、オーバーカット設定にチェック。


■ 続、シルエット・ポートレイト

 対処法の詳細についての備忘録。

◆シルエット・スタジオへのSVGファイルの読み込み方法

 シルエット・スタジオ(無償版)は、ベクターデータとしてdxfファイルが読み込み可。したがって、svgファイルをdxfファイルに変換できれば問題解決だ。その方法は以下の2つ。イラストレータのaiファイルについても、たぶん同様の方法で解決するはず(試してはない)。

@ ウェブ上でsvgファイルをdxfファイルに変換するサイトを利用
 長所:簡単、お手軽。
 短所:外部サイトに依存するところに一抹の気持ち悪さが。

A インクスケープでdxfファイルとして出力(名前を付けて保存)
 長所:堅実、確実。
 短所:古いInkscape ver0.91(←私が使っているヤツ)ではdxfファイルで出力できない(エラーが出る)。

 では、どうやってdxfファイルに出力するか?
 答え:最新のver1.4.2を使用する。名前を付けて保存する際は、DXF R12を選択する(R14ではエラー)。

◆インクスケープとシルエット・スタジオの互換性について

 こうして出来たdxfファイルだが、シルエットで開くとサイズ情報は失われ、読み込まれた図形のサイズは、一律で幅174.15mmとなる。ということは、インクスケープで幅174.15mmならば、等倍サイズで読み込まれることになる。だから、174.15mmの幅の四角形のなかにカットデータを入れて出力、シルエットで読み込み後に四角形を消せば、サイズ問題は解決となる。

◆インクスケープ新旧バージョンの互換性について

 個人的には、もう1つ問題がある。新旧バージョンの互換性だ。ver0.91は90DPI(1インチあたり90ピクセル)、ver1.4.2は96DPIである。そのため、0.91で作成したファイルを1.4.2で読み込む際に、ファイル変換を要求される場合がある。変換オプションは3つ。

@スクリーンに表示するためのデジタルな作品
A紙や3Dプリントなどに物理的に出力するためのファイル − クリップ・・・の見た目が一番重要
B         同上               − オブジェクトの物理的なサイズ・・が一番重要

@は、オブジェクトのピクセル数が不変。そのため、出力するとサイズが90/96となる(6.25%小さくなる)。
Aは、オブジェクトのピクセル数が96/90倍になり、出力したときのサイズが同じになる。
Bは、Aよりさらにピクセル数、出力サイズを96/90に拡大  →選択しない

 @とAは、状況で使い分けるといいかな。なお、0.91で作成したファイルでも、1.4.2で開くときにファイル変換が要求されない場合、サイズが同じでピクセル数が違う形になる。同じファイルなのに、開くバージョンによってピクセル数が変わるわけ。なぜこういう違いが生じるのか、理由は不明。クローンが関係するのかも。


■ マーキングのマスク

 隼は、マーキングをマスクして暗緑を吹き、白を突き合わせで塗る算段。さっそく、習得したワザを使って、マスクシートをカットする。胴体の帯は、3本が密集するので、幅や間隔が不揃いだと目立つ。胴体はテーパーしているので、マスクシートは円弧状に切る必要がある。しかし細長い胴体断面のため、円弧の半径は上下面で小さく、側面で大きくなる。だからカーブ定規も使えない。

 こんなのは、PCでデータを作るのが一番。マステを貼ってペンで下描き。インクスケープに取り込んでトレース。ベジェ曲線を1本描いたら、クローンで複製して縮小して並べると、その後の修正作業が楽。試し切りし、モデルに貼っては修正。帯の幅や間隔はイラストどおりに再現できる。



マステに下描き。

できあがり。尾翼もイラストのデータを使う。リブのインレタの上には貼らない(ここはマステの糊を落として貼る)。







■ 図面

 当ページにも図面のリンクを載せておく。詳しくは隼図面のページを参照されたし。隼II型は、大きく分けて、初期、前期、中期、後期、最後期の5タイプに分類される。文献によっては、それぞれ前期前型、前期後型、後期前型、後期後型、2型改としているものもある。当ページでは、前者の呼び方(初期〜最後期)を使う。いずれも、後世になって便宜上つけられた名称である。

I型側面図I型上面図I型下面図I型正面図I型断面図

II型初/前期側面図II型中/後期側面図II型上面図II型下面図

II/III型正面図II型初/前期断面図II型中/後期断面図III型側面図




■ 参考文献

 前作のページに記載。

隼図面のページ


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