カーチスP-36A製作記 その2

2008.5.30初出

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■ キット追加情報 7/7追加

 先日WINDSさんの展示会に参加した。会員およびゲストの方々の素晴らしい作品には、大いに製作意欲を刺激され、また「濃い」会話に時間の経つのも忘れ、楽しく過ごした。そのとき会員の方から、モノグラムキットの追加情報を頂いたので、紹介しよう。詳しくはろっこうたいし氏のブログ腹ポ氏のブログで。情報および画像提供に感謝。


モノグラムの青箱。以下、借り物画像で、残念なことにキット自体は私のものではない。

その側面。COPYRIGHT 1967 MONOGRAM MODELSの文字が。

続く時代の写真箱。見せていただいたキットには、1977の刻印はない。

中には、他キットを紹介した紙片が入っている。イラストも秀逸。


■ 追加資料

 その展示会で、とあるゲストの方から追加資料をお借りした。感謝。仏DTU社の"Flying Tigers American Volunteer Group"と、Mushroom Model Publications社の"Fighters Over France and the Low Countries"。前者はP-36はないのだが、フライングタイガースの隊員個々人の情報が詳しい。写真多数。巻末に英抄訳もある。後者はフランス上空で戦った各国機をまとめたものだが、Hawk75(P-36と同型)も多数ある。貴重なフランス軍迷彩機のオリジナルカラー写真あり。ポーランドの出版社だが英語版。


■ キャノピ 

 では、製作に戻る。キットのクリアパーツは、合わせがかなりツライ。ここは躊躇なくプラバンヒートプレスだ。手順はいつものとおり。今回は小サイズなので、0.2mmプラバンを使う。B4サイズを6つに切り、極弱火のガスコンロで炙り、木型に押しつける。絞りの目標厚さは0.5mm。表裏の凸凹を削って出来上がり0.3〜0.4mmとする。


キットのクリアパーツ。風防と胴体の間にかなりの隙間が・・・。

木型を作る。まず側面形を切り出す。この状態だとメッサーみたい。P-36エルラハウベってか??

ほぼ削り上がった状態。ここで形や大きさのバランスをチェックし、修正する。これは修正前で前面が前に突出しすぎているかな。

木型の出来上がり。削りすぎて幅が狭くなったので、エッチングソー(ハセガワ厚い方)で半分に切って幅を広げるという、いつもの泥縄作業。


 繰り返し言っているが、木型を削る時はモデルの胴体に乗せて大きさをチェックしながら作業するとよい。絞る時に裾や前後を継ぎ足したりして、手間がかかるように思えるが、この方が早く正しい形を出せるので、結果的には作業効率が良い(当社比)。

 この木型、見れば見るほどSB2Cヘルダイバーにそっくり。



後方クォーターウィンドウもヒートプレス。これは、その木型。

後方窓を接着するため、縁を階段状に削る。


0.2mmプラバンをヒートプレスし、大まかな形を切り出したところ。

胴体との合わせを調整、表裏を一皮むくように削り、ざっと磨いたところ。キャノピは開状態とするので、風防とスライドキャノピを切り離す。


 注目していただきたいのは、前方固定風防の側面部(上写真の赤丸部)。ここは平面なのだが、その後方のスライドキャノピと同じ面ではなく、前すぼまりになっていて、縦のフレームの線で折れ曲がる(これは木型を見た方が分かりやすいかも)。この結果、風防側面部下端の線が胴体の上縁と一致しないのが上写真でも分かるが、実機ではここを隠すようにフェアリングが取り付けられる。このあたりの処理の仕方は、ヘルダイバーそっくり。



風防は、前上部胴体に乗せるのでなく、胴体の切り欠きにはめ込む。こうした方が接着部が目立たないはず(下図参照)。

全体形の確認。キャノピに並行して、スジ彫りも作業。



■ 読書感想文

 フレデリック・フォーサイス編著「翼を愛した男たち」(原書房)読了。編著とあるとおり、フォーサイス自身の作は、以前にも書いた「シェパード」のみで、残りは多くの作家による飛行機もの中短編を集めたもの。手記でなくあくまで「小説」のアンソロジーで、中にはロアルド・ダールの短編のように超現実的で不思議な味わいの作品もあるが、その中で個人的に一番のお気に入りは、リチャード・バック作「猫」。F-84Fサンダーストリーク部隊と1匹の灰色のペルシャ猫の物語である。


■ ぼちぼち再開 9/5追加

 ほぼ2ヶ月ぶりの更新。タミヤの零戦にかかりっきりだったんだけど、リベットに飽きてきて「息抜き」したい頃合。ま、息抜きには重たくなりつつあるP-36なんだけど・・・

 ともかく、再開の第一歩は後部クォーター・ウィンドー。絞った透明プラバンを、窓の形に合わせて切って接着するのだが、接着部分を見せないために透明プラバンを一回り大きくとり、それに合わせて胴体の凹みも広げる。ところが広げ方が足りなくて、接着剤が本来の窓の部分にまではみ出してNG。

 剥がして、凹みを広げて、塗装して、もう一回ヒートプレスして、切り出して、接着。あ〜めんどくさ。塗装はSM06クロームシルバー筆塗り。


1回目。毛細管現象で接着剤がはみ出してNG。

やり直し2回目。黒瞬間で周囲を埋めて、サンディングしたとこまで。前からゴミが入らないように、ティッシュでフタ。


■ 丁の字 9/17追加

 零戦の方は、リベットをまったり進行中。その合間にこっちを進める。ようやく主翼と胴体を接着。胴体幅を広げた分、翼パーツの接着面を慎重に削り合わせる。ついつい削り過ぎた隙間には、黒瞬間を充填。カウルを仮止めして機首から胴体下部へのラインを削り合わせる。


カウルと水平尾翼が未だなので「士」の字ならぬ「丁」の字。脚付け根のふくらみに黒瞬間を盛る。


■ 水平尾翼

 当初はキットパーツを使うつもりだったが、若干の薄さが気になる。そこでジャンク箱を漁ってハセP-40のパーツをピックアップ。これは厚さ、翼断面形は上々(さすがヒコーキのハセガワ!)なのだが、平面形に難があり、プラバンを挟んで形状修正。エレベータの分割ラインがP-36とは異なるので注意。胴体との合わせも調整の要あり。このため結果的に胴体とはイモ付けとなり、真鍮線で補強。


キットとハセガワ(修正済み)の比較。濃緑のプラに時代を感じるなあ。

胴体に仮止めしたところ。


■ 機首機銃

 以前作業した機銃スリーブが気に入らず、勢いで作り直す。前回は2.0mmプラ棒をカウルのカーブに合わせて削ったのだが、位置決めに苦労したので、今回はカウルに穴を開ける方式に変更。太さも不満だったので、φ2.3mmのランナーを使用(ちなみにタミヤのジープ)。どうしても出来る隙間は黒瞬間で処理。


ピンバイスやリューターを駆使して穴を開ける。手前は突っ込む予定のランナー。

前より太くしたので、先端とカウルリップとの位置関係が改善されているのだ。


■ プロポーション確認

 ということで、キャノピを乗せて、イメージチェック。自分としては満足。これで最後まで突っ走るぜ。


右と比べれば、地味〜なところで、あちこち変化してるのだ。

再掲、機首機銃やりなおし前。このアングルだと、大差ないんだけど、正面のイメージが自分的には大きく違っているのだよ。


■ 続、クォーターウィンドー

 接着して、ツライチに削ったら、次はスジボリ。これが結構面倒くさい。まず、窓の形を彫る。これは0.2mm透明プラバンを窓の形に切り、両面テープで貼ってケガキ針でカリカリ。これだけなら簡単だが、面倒なのはその外枠。接着線との交錯が厄介。ケガキ針を使って一度失敗、埋めてエッチングソーで慎重に彫り直す。さらに前方と中央の縦の細枠を追加。これは2本の針を0.5mm間隔に並べて接着した自作ケガキ針を使用。


窓の縁をスジボリ。まず、後端だけのテンプレートを作ってケガく。

窓の上下のスジボリは窓との間隔が大事。モデラーズのテープを切り出してガイドにする。

さらに前方と中央の縦の細枠を彫り、細部のスジボリを追加して、コンパウンドで磨く。

カウルと胴体は、このようにプラ材のかみ合わせで位置を仮固定しつつ、削り合わせていく。


■ 機首接着 9/29追加

 ゆるゆる進行中。

 カウルを胴体に接着。まずエンジンをカウルに黒瞬間で接着。プロペラ軸は前方から1.0mmバイスで掘る。手堀りで中心軸を正しく出すのは難しいから、後方からはφ1.5mmで迎えに行き、最後部にφ1.0mm穴のプラバンを接着。

 胴体との接着では、カウルフラップ後端に接着剤を付けたくないので、胴体側に受けのプラバンを接着し、エンジン後方のプラバンに接着する。


カウルにスジボリ。エンジンを接着して、プロペラ軸の芯出し。仮組して軸のブレがないか確認。

機首接着。再度胴体とのラインを削り合わせる。


■ 排気管カバー

 キットパーツから切り取っておいた排気管カバーを接着する。接着後に縁を薄く削る。こういう所はヤスリより彫刻刀が便利。最後に細丸ヤスリで形を整える。


排気管カバーを接着。左は整形前で縁が厚い。右、整形後。

こいつが付くと、顔つきがぐっとP-36らしくなるね。(ホントはオイルクーラー補助インテイクも下げたいんだけど)


■ 風防接着

 全体が概ね形になったところで、いよいよ風防接着。風防の形状整形と合わせの調整は済んでいる。


まず裏側をコンパウンドでよく磨く。その過程で凸凹が生じ、像が歪んでしまうが、手作りの限界と諦めよう。溶剤系で胴体に接着。

頂部の窓枠線は、平面に展開すれば直線となる(ハズ)。直線のテープをぺたと貼ってスジボリ。隙間には黒瞬間を盛る。

黒瞬間を整形して磨く。

下部にフェアリングを追加。これは0.3mmと0.14mmプラバンの組み合わせ。


■ 尾脚バルジ 10/9追加

 P-36の尾脚周囲はふくらんでいて、P-40以降と異なる特徴。胴体整形の際に削り飛ばしていたので、ランナーを紡錘形に削って再現。


尾脚周囲のバルジは縦半分に切ったランナーを貼り付けて整形。水平尾翼取り付け部に生じた段差は黒瞬間で埋める。


■ 機首機銃

 今まで気付かないフリしてたけど、機首の機銃フェアリングって、カウルとの接点に「のりしろ」みたいなフチがついているのだね。スジボリで表現したいところだけど、かなり難しそう。一方、排気管カバーとか風防下端フェアリングは、フチに段差の「クドめ」表現。それならこっちも段差をつけてみようかな。以下画像で。


再掲、フチをつける前の状態。フェアリング自体も後方に長すぎ、ここも要修正だ。

0.14mmプラバンをフチの形に切り抜く。こういうのは、穴をキチンと開けてから周囲を切り取っていき、最後にペーパーで仕上げる。

機銃フェアリングの回りに接着。フチがちょっと太すぎ。

フチを細く切り取り、整形してサフを吹いたところ。段差がちょっとクドいが、まあまあの雰囲気で満足。


■ サフェーサ

 話しが前後するが、基本外形が終了したところでサフを吹く。今回、切った貼った炸裂なので少々厚めに吹き、スジボリの乱れ、キズ、凸凹など、表面のアラを修正していく。模型作りで一番つまらなく手間もかかる作業なのだが、この結果が作品のクォリティに直結するので、おろそかにできない。


アラが沢山見えてくるかと思ったが、意外とちゃんとしていて、我ながら感心。(←とりあえずサフの段階ではね)

このカウルと胴体のくびれを表現したかったのだよ。スライドキャノピは、後付け予定なので後回しじゃ。


■ タブ 11/13追加

 1ヶ月ぶりの更新。

 まずは、削り飛ばしていたエルロン固定タブの再生から。零戦は金属を使ったが、こっちはぬるめの工作でプラバンを使用。


裏側にプラバンの厚み分の凹みを掘る。

0.2mmプラバンを接着して整形。


■ キャノピ

 スライドキャノピにスジボリして磨く。窓枠の太さを揃えるため、スジボリツールを自作。縫い針2本をプラバンの間に挟む。細切りのマスキングテープで、窓枠位置の当たりをつけてから、ハイテク・テープをガイドにする。前後端の窓枠もこれを使う。片方の針をエッジに引っかけてケガくわけ。

 コンパウンドで磨く際は、力を入れすぎて折角の自作パーツを折らないように、モーターツールに差した綿棒で、あまり力をかけずに磨く。ただし端部を磨く時は、綿棒がエッジに引っかからない回転方向となるように注意が必要。


窓枠をスジボリして磨く。手前は自作のスジボリ・ツール。針のブレを抑えるため、糸ハンダでぐるぐる巻きにして瞬間で固める。

P-36はP-40Bとは異なり、キャノピ頂部にも前後に1本窓枠が入るが、気付いたのは作業後。なお、風防の透明度が悪いのはセロテープを貼っているから。


■ 動翼リブテープ

 今回は、サフェーサで再生。最近、面相筆手描きで細い線を引くのが辛くなって、マスキング方式。モデラーズのハイテク・マスキングテープを使ったところ、切断線にはみ出した糊が仕上がりに悪影響。普通のマスキングテープの方が良いかも。


ハイテク・テープでマスキング。隙間は0.3mm。

エレベータ、ラダーも含めてマスキング。この段階で主翼ウォークウェイ(?)のスジボリを追加という泥縄。

下面もあわせて、合計90本のリブテープ。 ふう〜、しんど。

サフェーサを2、3回塗るというか置き、テープをはがして#600ペーパーで表面を均す。出来上がったつもりが・・・


■ ラダー分割線

 今頃になって、考証ミスに気付く大マヌケ。垂直安定板の分割線とその下部の胴体部分での分割線とは、位置がずれるのが正しいのだが、モデルは一直線(上画像参照)。これ、キットの分割線を鵜呑みにした結果。P-40Lを作っていて気付かないとはナサケナイ。幸い、修正は大ごとでなく済みそう。以下、毎度の泥縄作業。


胴体後端部は適当なプラ材で1mmほど延長。その分、ラダー下部を削る。

出来上がり。上と比較されたい。


■ その他ちまちまと

 機首周辺にディティールを追加。


機首機銃を0.6mm真鍮パイプで再現。これで機首が締まる。

アクセスパネルのファスナを#2たまぐりで打つ。主尾翼フィレット周囲は#1。小アクセスパネルのスジボリ、後部胴体ジャッキアップ用穴を開口。

 プロペラは、ハセガワF4Fのパーツを使うつもりだったが、ブレード先端が細いので、ハブだけ使うこととして、ブレードはキットを使う。古いキットだが、ブレードの形はカーチスプロペラの特徴をよく掴んでいる。さすがモノグラムだ。ただし、エッジが薄く、整形中に消えてしまいそうなので、瞬間+プラ粉で厚みを補っておく。しかる後、ヤスリ、ペーパーで形を整える。カーチスペラの形状はP-40Lを製作した際に頭の中に入っているから、楽勝だ。←じゃあ、何でラダーは・・・


左はキットをベースに整形したもの。右はハセガワF4F(←多分。もしかするとバッファローかも)。



■ 続、小物 11/28追加

 ちまちまと、小物の続き。


プロペラ出来上がり。ハブはハセガワのF4F(たぶん)。ちょっと細いけど目をつぶる。スピナも同じ(たぶん)。プラペーパーで基部に少々細工。

キャノピ頂部に窓枠を追加。スジボリして磨いて、と二度手間。表はセロテープでマスク。裏はマスキングテープ。


■ 主脚

 キットをベースに雰囲気の追加工作。


キットパーツ。雰囲気は悪くない。タイヤとキャップが別パーツとなっている。

タイヤパーツ。左はキットだが、ちょっと歪みがあり。右はハセガワF4F(だったかF2Aだったか)で、こっちを使う予定。

脚につくカバーは割り箸の木型で0.5mmプラバンのヒートプレス。

脚を覆う部分とタイヤを覆う半円形の部分とは、実機では別部品で一部重なっている。このように追加工作。

 主脚は、まだ続く。


■ サフ吹き

 小物と並行して、塗装の下地作り。サフ吹き後の塗装面の磨きに、「Mr.ラプロス」を使ってみる。モデラー仲間から、これは良いという話は聞いていたが、確かに良い。塗装の下地には#4000が適当。番手の数字と実際の使用感はちょっと異なり、#4000だと耐水ペーパーの#1000くらいかな。


サフを吹いて、ラプロスで表面を均す。これはよい。おすすめ。水をつけて使う。

動翼はこんな感じの仕上がり。水平尾翼に0.2mmプラバンでヒンジを追加工作。これで、いつでも本体塗装に入れるのだが・・・









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